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代)神奈川大学言語研究センター

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NEWSLETTER 2013.2. N。.38

221‑8686横浜市神奈川区六角橋3‑27‑1電話(045)481‑5661(

代)神奈川大学言語研究センター

1

t・L・V:1G.‑1

I L1

モダ リティとロボッ トの断想

彰 国 躍

昨年、神奈川大学言語学研究叢書 (2)『モ ダ リテ ィと言語教育』 に 「中国語モ ダ リテ ィの機能 体 系‑Palmerモ デル適用 の試 み」 とい う論 考 を 書 いて以来、 しば らくモ ダ リテ ィの ことは脳裏 か ら離れ られ なかった。世間で しゃべ るロボ ッ トが 話題 になるたびに、モ ダ リテ ィが どの よ うに表現 されてV,るかが どうして も気 になる

そ もそ もロボ ッ トは人 間 の よ うに こ とばを理 解 し、使 うこ とは可 能 なの だ ろ うか。 かつて言 語 哲 学 者 のJohnR.SearleがMlhds,Bralbs,and PTOgTamS (1980年 ) とい う論 文 の 中 で "The Chineseroom"とい う思考実験 によ り、み ごとに 人工知能 と人 間の言語理解 との区別 を立証 した。

searle往 1は、 自分が コンピュー タ と見立てた部屋 に入 り、小 さな窓 を通 して外部か ら英語で書 かれ た質問カー ドを受 け取 った時、彼 はそれを読み英 語で回答 を書 いて窓の外 に出すが、中国語で書 か れたカー ドが差 し込まれた時 には、漢字が読 めな い彼 は プ ログ ラムが書 かれ た作業 マ ニ ュアル に 従 って中国語のカー ドを選 び窓の外 に返す とい う ことを想定 した。部屋 の外の人間か ら見れば、両 言語 とも正確 な回答 が得 られ たので、 この コン ピュー タは英語 も中国語 も同 じよ うに理解で きる よ うに見 える。 しか し、部屋 の中を覗 いてみ ると、

英語 の回答 はSearleが ことばの意味 を理解 して答 えてい るのに対 して、中国語の回答 はプログラム に沿 って作業 しただけで、 ことばの内容 は毛頭理

解 していない ことが明 らかであ る。つま り、ロボ ッ トの作業 はSearleの中国語の回答 の よ うに 「こと ばの理解」 とい う人間の知能 とは別物であ ること が証明 されたわけであ る。

ところが、 コンピュー タサイエ ンスのパ イオニ アMaⅣinMinskyは、 あ る 日テ レビイ ンタビュー の 中 で "Iknow thephilosopheryouaretalking about・‑ ‑ Idon'thavemuchrespectforthose philosophers"と、 Searleの 主 張 を 一 蹴 し た。

Minsky注2に とって脳 は しょせん物質であ り、様 々 なパー ツによって構成 された一種 の機械、 しか し 極 めて精密 な機械 であ る。科学者 たちが この よ う な考 え方 をもってい るか らこそ人間の知能‑の挑 戦が始 ま り、人工知能の技術革新 が飛躍的 に進歩 した こ とは間違 いない。 いまは、笑 うロボ ッ ト、

考 えるロボ ッ ト、 しゃべ るロボ ッ トな どを科学者 たちが本気で作 り出そ うと努力 してい る。

しか し、それで も私 は、 もし科学者 たちの夢が 実現で き、 しゃべ るロボ ッ トが作 り出された とし た ら、主観性 を表現す るモ ダ リテ ィが どう処理 さ れ るかが気がか りで な らない。た とえば ロボ ッ ト が「〜だろ うね」「そ うかなあ」「まあいいか」「絶 対〜 にちがいない」 な どと発話 した とす る。われ われ はそれ らを額面通 りに受 け止 めていいのだろ うか。つま り、これで ロボ ッ トが推測 した り、疑 っ た り、譲歩 した り、確信 した りした ことになるの だろ うか。なる とす る と、生命体抜 きの主観 的な

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(1)

(2)

判断や表現 とは、いったV,何 を意味す るものだろ うか。

科学者 たちの執念 は理解で きる。それが原動力 とな り人間の能力 を遥 かに超 えるマ シンが開発 さ れて きた こ とも事 実 で あ る。 しか し、 だか ら と 言 ってSearleが示 した生命体 としての主観性 (意 識、理解、知覚)の壁 をマシンが本当に超 えられ るのだろ うか。われわれは人間そっ くりの蝋人形 を見 た時、ふ と動 き出すのかな と錯覚 を起 こす こ とはあ る。 ロボ ッ トの動 きを見て生 き物 の よ うに 感 じることもある。 シ ミュレーシ ョンは実体 に似 ていた り、 いなかった り、あ るいは実体以上 にス マー トに出来上が った りす ることもあ り得 る。 し か し、それ にはいつか必ず命が吹 き込 まれ ると熱 弁 され ると、そ うかな と疑 いた くなる。それが本 当に起 こった ら、それ こそ鏡 に映 った自分がある 日突然飛 び出 して くるよ うなファンタジーの世界

である。

最 も客観的で、理性的な分析 に徹す る科学者 た ちは、実 は最 も可愛 らしく、 ファンタステ ィック な夢 を追 いかけてい るのではないか とい うよ うな 気が してな らない。

つ い この間、「神 の素粒子」 が発見 され た とい う報道 を耳 に した時、 もしか して物理学者 によ り 生命 の誕生 にかかわ る物質が突 き止 め られたのか な と、早合点 してわ くわ くしたのをいまで もはっ き り覚 えている。

注1:Searle,John.R.(1980)Minds,brains,and programs.BehavioralandBrainSciences (3):417‑457

注2:http://ⅥW .youtube.com/watch?V‑SNWV vZi3HX8&feature‑related

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