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養液栽培における土壌伝染病の生物防除, その戦略と展望

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(1)

養液栽培 における土壌伝染病の 生物防除, そ の 戦略 と 展望 4 1 3

養液栽培における土壌伝染病の生物防除, その戦略と展望

こま

島根大学農学部環境生物学講座 駒

は じ め に

養液栽培 は , 栽培環境 の清浄化 に よ る 土壌病害 の 回 避, 高品質化, 装置化 ・ シ ス テ ム 化 に よ る 生産性向 上 に よ る い わ ゆ る 3K農業 か ら の 脱却な ど を ね ら っ て , 野 菜 ・ 花 き , 花木 を 中 心 に 各地 で普及 し て き た 。 と こ ろ が 培養液中 は , 土壌 中 の よ う な病原菌 に対す る 他の微生物 の抑制力が弱 く , そ の 上, い っ た ん病原菌が養液栽培 シ ス テ ム に 侵入 す る と 培養液の循環 に よ り 速や か に 全体 に 広が る た め , せ っ か く 回避 を 望 ん だ土壌病原菌 に 激 し く 侵 さ れ, 深刻 な被害 を招 く 例 が少 な く な し 〉。 そ の 防除対 策 と し て , 紫外線照射, オ ゾ ン曝気, 加熱, p H 調節, 溶 液 の濃度調節 な ど, 物理的 あ る い は化学的方法が検討 さ れた が, 一般 に 普及す る に は 至 っ て い な し、

養液栽培 で は , 作物根が露 出 し , 培養液が循環 し て い る た め , 括抗微生物の人為的な接種 に は 好都合であ る 。 そ の 上, 効果 を 維 持 す る た め に 必要 と あ れ ば追加接種 も 可能で あ り , ま た 括抗微生物 の 定着 に と っ て障 害 に な る と 考 え ら れ る ほ か の 微生物相 が貧 困 で あ る こ と な ど, 土 耕の場合に 比べ, 措抗微生物 に よ る 防除 に と っ て き わ め て 有利 な 点が多 い。

土壌病筈を対象 と し た 生物防除の研究 は , 世界的 に も ま た 我が国 で も , 隆盛 を ほ こ っ て い る が, なぜか養液栽 培 に お け る 土壌病原菌 を対象 と し た 生物防除の研究 は顧 み ら れ る こ と が少 な か っ た 。

筆者 ら は近年, 上記 の よ う な 養液栽培 に お け る 生物防 除 の有利性 に着 目 し , ト マ ト 萎 ち ょ う 病, 根腐萎 ち ょ う 病, 育枯病 を対象 に , 微生物 に よ る 生物防除の研究 を 行

い 一 応 の 成 果 を 得 た の で, そ の概略 を 紹 介 す る と と も に , フ ラ ン ス な ら び に 我 が 国 で行わ れた ほ か の研究者 の 成果 を も 併せ て 紹介 し て , そ の戦略 と 今後 の 展望 に つ い て述べ る 。

I

非病原 性 Fusαrium oxysporum と 蛍光 性 Pseudomonas に よるト マ ト 根腐萎ち

ょう病の防除

フ ラ ン ス の LEMANCEAU and A LABOUVETTE ( 1 991) は , 非 病原性 Fusarium oxy.高por z仰 と 蛍光性 Pseudomona s を

Strategies and Prospects on Biocontrol of Soilborne Diseases in SoiJ1ess Culture. By H aj i mu KOMADA

山田一

用 い て , ロ ッ ク ウ ー ル栽 培 の ト マ ト の 根腐 萎 ち ょ う 病 (Fusa rz'um oxysþorum f. sp. radi cis ーかcopersi ci に よ る ) の 防除 に 成功 し た が, こ れ は 養液栽培 に お け る 土壌 病原菌 に 対す る 生物防 除 の 世界 で最初 の 報告 で あ る 。

実用規模の試験が春, 秋二度行わ れ, 病原菌密度が高 く か っ 温度条件が好適 (低温) で あ っ た 秋 の 試験の ほ う が発病程度 は 高 か っ た が, 春 秋 い ず れ の 試験 に お い て も , 非病原性F. oxy.ゆorum ( Fo 47 株) と 蛍光性 Pseu ­ domonas (C7 株) と を 併せ て 接種 (接種菌密度 : Fo47 株 は 1x 1 0 7 CFU, C7 株 は 1xWS CFU) す る と , 両菌株 を そ れ ぞれ別個 に 接種 し た と き よ り も 高 い 防除効果が得 ら れた ( 図 1 ) 0 Fo47 株, C7 株 と も に ロ ッ ク ウ ー ル 中 で,

植物の有無 に か かわ ら ず, ま た そ れ ぞれ単独 で接種 し て も , 併せ て 接種 し て も , よ く 生存 し 続 け る こ と が確認 さ れた ( 図 2) (E PARvIER et al., 1991 ) 。

彼 ら の研究 の ア イ デ ィ ア の よ っ て 立 っ と こ ろ は , 抑止 土壌研究 に あ る 。 非病原性F.。砂ゆorum は , 彼 ら が長年 研究対象 と し て 扱 っ て き た , フ ラ ン ス の Ch âteaurenard

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発 病

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図-1

蛍光 性 Pseudomonasと非病原 性 F . oxy司porum を 接種 した ロ ッ ク ウ ー ル栽培 ト マ ト (定植14週後) の 根腐萎ちょう病 の 発病程度 の比較 (LEMANCEAU and

ALAßOU、ETTE,

199 1 ) .

口:無処理 , 四:病原 菌 のみ 接種 , 国非病原 性 F.

oxyゆOntm と 病原 菌接種, 回:蛍光 性 Pseudomo.

n回 と 病原 菌接種, 調 : 非病原 性 F . oxyゆorum , 蛍光 性 Pseudomonasと病原 菌接種.

一一-

9

一一一

(2)

414 植 物 防 疫 第 48 巻 第 10 号 ( 1994年)

地方の土壌のフザリウム抑止性にかかわる微生物であ る。また蛍光性Pseudomonasは, KLOEPPER

et

al. (1980 )

やSHER and B!\KEIl (1982) によって, アメリカ・カリフ オルニアのSalinas Valleyの土壌のフザリウム抑止性 にかかわる微生物とされた。 さらにこの両者の併用処理 が単独処理より もフザリウム病( キュウリ ) 防除効果 が 高 いことがPAIlI(

巴t

al. (1988)によって報告されてい る。

防除機作については, 様々な仮説( いずれも土壌を対 象) が提案されているが, 主として栄養に対する競合 で あろうとされている。 種々の要因が関与していると推察 されるが, 抵 抗性の誘導を重視していないのはむしろ奇 異に感じられる。

非病原料F.oxysporll.11l 2

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図-2 ロ ック ウ ーノレ(無作付)に按翻した非病原性F 0;り'sþormn と 蛍光性乃eudomol/ω の密 度変動 (Ep!\RVIERら, 1991).実線は単独接趨,破線は混合

接種

一一一

10一一一

E

非病原性F. oxysporumによるサラダ ナキ良禽病の防除

牧野・熊倉(1993)はザラダナの水耕栽培で問題にな っている,Fusa?'ium o

xyゆ

o

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f.

sp. lactucaeによる4艮 腐病に対して, 土耕サラダナから分離した非病原性F

oxyspontrn

(SK -102株 ) の培養液への接種によって高 い 防除効果 と生育促進効果 とを認めた。 本菌は105個Iml 以上水耕液に加えることにより ,また病原菌接種の 4�1 日 前 の添加で 高 い 防 除 効 果 が 認 め ら れ (川島ら , 1994), 5 日間隔で数回処理することにより 防除効果 が向

上 した(牧野ら,1994)

0 SK -102株の接種により , 水耕 栽培のサラダナ, 葉ネギ, ミツバ, ト マトで根誌が増加 し褐色棋が減少して, 生育促進効果 が認められた。 l坊除 機作については検討中であるが, 誘導抵抗の可 能性が示 唆される結果 を得ている。

皿 非病原性F. oxysporumに よ るト マ ト萎 ちょう病の防除

筆者ら(1993a,1994a)は水耕栽培のト マト萎ちょう 病に対して, 土壌から分離した非病原性FlIsarium

0砂­

sporumの前接種により , 高 い防除効果 を認めた。 最も 高 い防除効果 を示した菌株(F13) を用いて検討した結 果 ,病原菌の培養液中の密度 (10' C FU/ml)に対して,

F13菌株の密度 が1 : 1 のとき最も 効果 が高く, 以下 0.1 : 1, 0. 01 : 1 と効果は低下した(図-3)。防除効果は F13菌株の前接種後 2日,7 日,14日まで持続した(図- 4)。

次に|釣除機作を検討した。培地上での対時培養では,

病原菌と F13菌株との聞の干渉は認められなかった。

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41'病IJ;T1''1: F. O.ryS[JO rllm;of;圧[: j�,j/j;f(�i iキ;[正

図-3 水耕栽培のトマト萎ちょう病に対する非病原性F oxysþonrm の接種菌密度のJl���(駒田ら, 1993).病 原菌の接種菌密度はlO"CFU/ml

(3)

主主液栽培におけ る土嬢伝染病の生物防除, その戦闘告と展望 415

F13菌株の硝酸塩利用能欠損変異株を用いて , 根 での病 原菌と F13菌株の菌数変動 を調査したが ,病原菌数の変 動 は非病原菌の有無に関係なかった。トマトの根系を2 分割し ,病原菌と F13菌株とを個別に それ ぞれの根系に 接種し でも,キ艮系全体に病原菌と F13菌株を接種した場

合 と同等の防除効果 が得られた(図-5)。また恨 系に F13 菌株を接種し , 病原菌を子葉節直下の茎に針接種する と ,茎長, 地上部生重量 で F13菌株接種区が無接種区を 上回り , 発病程度 は逆に無接種区が接種区を上 回った (表ー1)。 これらの結果から , 防除機作は根面 での栄養

100 100

80 80

発 病60 fr.

数 40

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非病原1''1F.oxysporIl111(FI3)核組後,11河原的接Mまて'の日数

図-4 非病原性F. OXJψorull7の水耕栽倍トマトの萎ち ょう病防除効果持続期間(駒田ら, 1993).

図:非病原性F. oxys,戸0叩川の防除価,口:発病指数

e-・jド病原性F.o・xys]Joru川知桜純

0ー-0 ri5] 按極

20

o 4 7 10 13 16 19 Ui訂正) 図-5 水耕栽培のトマトの板系を2分割jし,ト7ト婆ちょ

う病菌と非病原性F. 0り喧:þo1'11 111とを独立して そ れぞれの駁系に接麗し たときの葉位別発病程度(駒 閏ら, 1994).

表ー1 トマト婆ちょう病菌を子葉節に針接種したときの非病原性 F.o勾ψOrltJnの防除効果

草 丈 非接 種

接 種 48.8 cm

51. 9 cm

分, 生息場所などに対する競合 ではなく, 主として非病 原性F. 0砂'sþ01'l聞によりトマト植物体に抵抗性が誘導 されることによると考えられる。

W ト マ ト根面細菌によるトマ ト青枯病の 防除

筆者ら(1993b,1994b)は水耕栽培のトマト背枯病に 対して , 水耕栽培したトマト根面 から分離した細菌の前 接種により , 高い防除効果 を認めた。 最も高い防除効果 を示した菌株(R-2,

AI'thl'obacler Sp.) を用いて検討し

た結果 ,病原細菌の培養液中の密度 (107 C FU/I11t) に対 して ,R-2菌株の濃度は同等の107 C FU/l11lないし1/10 の106 C FU/l11lで高い効果 を示した(図- 6)。防除効果は R-2菌株の前接種7日後 に病原細菌を接種したとき極め て高い防除効果 が得られたが14日後 では その効果は減 退した(図-7)。

R-2菌株の病原細菌に対する培地上での生育阻止(抗 生)は認められなか った。R-2菌株と病原細菌のトマト 根面 での菌数変動 を調査したところ, 病原細菌の菌数変 動 はR-2菌株の有無に関係なし競合は否定的である。

根系にR-2菌株を接種し ,病原細菌を子葉節直下の茎

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(4)

( 1 994 年)

ら, 防除機作は主として根 面 細菌(R-2菌株) により , トマト植物体に抵 抗性が誘導されたことによると考えら れる(駒田ら, 1994)。

第10 号 第 4 8巻

土壌病害の防|徐を困難にしている最大の理由は, 土壌 の存在である。 土壌病害防除の目的で土壊に施用 された 化学物質はことごとく土壊中の粘土粒子や有機物に吸着 され, そこに生息する微生物によって分解されて, 土壌 中にくまなく分布する土壌病原菌との接触を果 たせな い。 括抗微生物による生物防除にあっても, 土壌粒子に よる吸着, 土壌微生物との争いによる定着不良, そのう え貧栄養条件下での抗生物質産生の不良, 産生された抗 生物質のl吸着と分解等の理由から, その前途は決して楽

観視できない。

ひるがえって 養液栽培における土壌病害の生物防除に ついて考えてみよう 。 一口に養液栽培といっても, 培養 液のみで栽培する水耕から, ロックウール のよう な支持 体を用 いるものまであり , また培養液の供給方式につい ても循環式と非循環式があるなど実に様々なシステムが ある。 システムにより 若干状況に違いはあるが, 共通し ていえることは, ①作物根 が比較的 露出状態にあるこ と, ②婿養液の供給系があること, そして, ③土壌に比 し微生物相の発達が貧弱であること, である。 根 が露出 状態にあって培養液の供給系をもっという ことは, 措抗 微生物の接種が容易なことを意味し, 必要あれば毎日で も追加接種が可能なことを意味する。 土壌微生物相の発 達が貧弱という ことは, 接種した括抗微生物の定着が比 較的 容易なことを意味する。 このよう に養液栽培の場 合, 土壌病害の生物防除に際して常に その解決を求めら れる按極と定着の問題について有利性をもっているわけ で, その前途は有望という ことができょう 。

次に有効な菌株の選抜の問題について考えてみよう 。 筆者らは上 に紹介した研究に着手するに当たり , まず一 般に土壌病害の生物防除の際に行われているよう に, in

vitroスクリーニングすなわち平板培地上で措抗を示す 菌株の選抜を行い若干の菌株を得た。 しかしやがてこの 砂の中から砂金を深すにも似た作業に疑問を感じるよう になった。 すなわち, rきわめて栄養豊富な培地上で措抗 (ほとんどの場合抗生物質産生による ) を示した微生物 が, 極めて貧栄養な培養液中でも措抗を示す保証がどこ にあるのか, もしかり に抗生物質が産生されても, きわ めて速やかに培 養液中に拡散して しまう のではな い かJ, rかり にin uitroで搭抗能を示した微生物の一部に

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(in 5ilu, 培養液, 植物, 病原菌, 被検菌のすべ

戦略と展望

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疫 防 物 植

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1週間後 2週/ilJl長

恨幅制限iを按軒!後、苛.f,';病病原�11I1:m妾般1I,I'Jm 発

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図ー7 水耕栽培トマト背中古 病に対する,トマト版画細菌接 穏による防除効果持続期!日l

圏中艮蘭細菌無緩種. 図楼車IL

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存型接観

図-8 水耕栽培トマトの茎に7!f枯 病 病原細菌を針接種し た湯合の, トマト根面細菌楼趨の1�糾

dは:ïill{立ごとの維管束褐変程度 を表す.

に針接種したところ, R-2菌株無接極区では接積部位に え死がみられた。 また導管褐変程度 (図8),菌泥i噴出,

権病指数などすべてにおいてR-2菌株接種区では有意 に低く, 地上部生体重は勝って いた。 これらの結果か

一一一 12一一一

(5)

養液栽培 における 土壌伝染病の 生物防除, そ の 戦略 と 展望 4 1 7

て が存在す る 検定系) で有効 な微生物が得 ら れた と し て も , そ れ は そ の微生物がた ま た ま 豊栄養条件下で も , ま た 貧栄養条件下 で も 抗生物質 を 産生す る 能力 を併せ 持 ち 合わせ て い た か, そ れ と も 抗生物質産生以外の何 ら か の (例 え ば抵抗性誘導) 能力 を も 併せ 持 っ て い た に 過 ぎ な い

問題 は解消 さ れ る の で, 土耕の場合 に 一般 に 有望視 さ れ る 抗生物質産生微生物 よ り も むしろ有望 と 考 え ら れ る 。 今後 は , 様々 な 土壌病原菌 を 対象 と して , in vivo ス ク リ ー ニ ン グ系 に よ っ た 抵抗性誘導微生物 に 焦 点、 を 当 て た 選 抜 に よ り , 有効 な生物防除技術が開発 さ れ る こ と に 期待 の で は な い か」 と い う 疑問 で あ る 。 した い。

そ こ で, 萎 ち ょ う 病菌 に 対し て は 土壌 中 か ら 分離した

お わ り に

野菜 ・ 花 き 生産 の 最大 の 阻害 要因 で あ る 土壌病害 の 回 非病原性 F. o);汐ゆorum , 青枯病菌 に 対 し て は水耕栽培 ト

マ ト の 根面 と 培養 液 か ら 分離 し た 細菌 の す べ て に つ い て , 小規模 な zn vzvo ス ク リ ー ニ ン グ系, す な わ ち い わゆ る プ ッ カ ケ 試験系 で生物防除能 の検定 を 行 い , 有効 な菌 株の選抜 を行 っ た 。 こ の 系 に よ る 選妓 は , 一般 に ぽ う 大 な時間 と 労力 を 要す る と さ れ る 。 と こ ろが, 意外 に も 比 較的少数の 菌株 を 扱 う 中 か ら , 高 い 歩留 ま り で高度の 防 除効果 を 示す菌株が得 ら れ, 上 に 紹介 し た よ う な成果が 得 ら れた 。 な お , 念 の た め に in vitro 検定 で選抜 さ れた 菌株 を zn vzvo 検定系 で効果 を 検討 し た が す べ て 無効で あ っ た 。 ま た 逆 に in vivo 検定 で高 い 生物防除効果 を認 め た 菌株 の in vitro 検定 系 で の 括 抗能 の 有無 を 検討し た が, す べ て 陰性で あ っ た 。 な お , 青枯病菌 を 対象 と し た 場合, 高 い 生物防除効果 を 認 め た 菌株 は す べ て 水耕栽 培 ト マ ト の根面か ら 分離 し た 細菌で あ り , 培養液か ら 分

避 を 最大 の 動機 と し て 始 め る こ と の 多 い 養液栽培 も , や

離した細菌 の 中 に は有効な も の は な か っ た 。

上 に 紹介 し た 4 例 の う ち 3 例 は , 主 と し て 接種した 微 生物 に よ る 抵抗性誘 導 に よ る も の で あ っ た 。 LEMANCEAU and ALABOUVETTEの場合, こ の研究 は 彼 ら が今 ま で歩 ん で 来た抑止土壌研究 に か かわ っ て 構築した 理論の実証の た め の い わ ばモ デ ル実験 と し て の性格の も の で あ り , そ の 機作 を 抵抗性誘導 に よ っ て 説明した く な い の は心情的 に は理解で き る が, 少 な く と も 非病原性F. oxysþorum に つ い て は抵抗性誘導 に よ っ て説明す る の が無理の な い と こ ろ と 考 え ら れ る 。 抵抗性誘導 に よ る 生物防除 は , 効果 の 持 続期聞がた か だ か 1 週間程度 と 短い た め , 追加接種 の不可能 な 土耕の場合 は 実用 性 に 難 が あ っ た 。 しかし養 液栽培 で は , 上述 の よ う に 追加接種が容易 で あ り , こ の

主 な 次 号 予 告

次 1 1 月 号 は 「害虫の微生物的 防除」 の特集号です。

予定 さ れ て い る 原稿 は 、 下記の と お り です。

l . 微生物的防除の 現状 と 展望 岡 田 斉夫

2 . イ ネ 害虫 の微生物的防除 松井武彦

3 . 畑作害虫の微生物的防除 田 中 章

4 . 施設害虫 の 微生物的防除 西東 力

一一一

13

は り 土壌病害 に 悩 ま さ れ る の は 皮 肉 で あ る 。 と こ ろが,

養液栽培 に お け る 土壌病害 の 生物防除 は , 上述の よ う に 土耕 に比し種々 有利 な 点 が あ る に も か か わ ら ず な ぜか研 究例 は 乏し い 。 そ れ は 多分, 土壌 を 対象 と した 生物防除 研究 の 困難 さ に 恐 れ を なした も の で あ ろ う 。 Ecology of Soil-borne Plant Pathogens. Prelude to Biological Control ( 1963 年 の 第 1 回 国 際土壌病害 シ ン ポ ジ ウ ム の テ ー マ ) を 念頭 に , 40 年間土壌病害 の 生態 ・ 生物防除 の 研究 を 続 け て き た 筆者 に と っ て , 本稿で紹介 し た 二 つ の 成功例 は , 土か ら の 逃避 で は な い の か と 内心 じ く じ た る

も の を 感 じ つ つ 筆 を お く 。

引 用 文 献

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柏尾具俊 西 八束 ・ 野中寿之 山 下早苗 藤家 梓 島津光明 ( リ レ ー 随筆) 植物検疫の 現場 か ら

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