• 検索結果がありません。

Chert in the Konose Group of the Sambosan Belt, Southern Kyushu

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "Chert in the Konose Group of the Sambosan Belt, Southern Kyushu"

Copied!
26
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Kyushu University Institutional Repository

Chert in the Konose Group of the Sambosan Belt, Southern Kyushu

中尾, 征三

地質調査所燃料部石炭課

https://doi.org/10.15017/4706204

出版情報:九州大学理学部研究報告. 地質学. 10 (1), pp.11-24, 1969-02-20. Faculty of Sciences, Kyushu University

バージョン:

権利関係:

(2)

九大理研報(地質) 10 1 11‑24 4‑6図版, 19692

三 宝 山 帯 神 瀬 層 群 の チ ャ ー ト

中 尾 征

Chert in  the Konose Group of the Sambosan Belt,  Southern Kyushu  Seizo NAKAO 

(Abstract) 

The upper Permian to Triassic Konose Group in th~ Sambosan  belt  of  southern  Kyushu is  regarded to be an example of orthogeosynclinal sediments.  Chert  is  one  of  the chief components in this group.  It  is  divided into five rock types in  terms of occur‑ rence:  namely relatively large chert body or LB‑type,  chert layers rhythmically alterna‑ ted with clayey seams or  RA‑type,  chert  layers  alternated with  limestone or AL‑type  (nodular bodies of chert associated with limestone is  included in  this type),  small  body  in slate or MB‑type and cherty rock body transitional to・  tuff or slate or TR‑type. 

Descriptions are given on the relationship between the  rock types and their  petrography  and on the mode of their distribution.  Genesis of the geosynclinal chert is also discussed. 

I.研究の目的および地質概略

チャートは地向斜堆積岩類のおもな構成員の1つで あるが,その分布様式や岩質は十分に理解されてはい ない。これらの諸点を明らかにし,チャート成因論の 一助とするために筆者は地向斜堆積岩群として知られ る南九州三宝山帯神瀬層群中のチャートを対象として 層序学的ならびに岩石学的研究を進めてきた。

神瀬層群は球磨山地において,秩父帯の最南部にあ たる三宝山帯を占めて発達する。当地域の三宝山帯は 北煩斜のスラストにより南北2帯に分けられる(第1 図)。勘米良・古川 (1964)の詳細な研究によれば,

おおさかま やりヤおし

神瀬層群は南帯では下位より大阪間・権現山・鎗倒・

つげ告および鎌瀬の5層に,北帯では同じく大瀬および小 口の2層に分けられる。北帯の2層はおもに岩相の類 似とサンゴ化石の示す時代に基づいて,南帯の上部2 層にほぼ対比される。南帯の5層の全層厚は1,200 1,300m,北帯の2層のそれは約600mである。神瀬層 群はおもに石灰岩,玄武岩熔岩,火砕岩類,チャート および粘板岩から成り,少量の砂岩,礫岩を伴う。第 2図に球磨川と中園川沿いの地質柱状図を示す。神穎 層群の時代について,勘米良・古川 (1964)お よ び KANMERA (1964)は,大阪間層産のフズリナ化石がペ ルム紀後期を,鎗倒層中部産のアンモナイト化石がア

1968831日 受 理

中尾征三:地質調査所燃料部石炭課

ニシック階を,さらに小口層産のサンゴ化石がノーリ ック階を指示すると述べ,ペルム系とトリアス系の境 界を暫定的に鎗倒層最下部に発達する数層の礫岩の下 限においた。

本論では神顧層群中のチャートについて,その産状,

産状に基づく岩型の分類とその岩質上の特性について 記載し,それらのチャートの成因を考察する。

II.謝 辞

この研究を行なうにあたり終始ご指導いただいた九 州大学松本達郎教授に心からの謝意を表す。同大学勘 米良亀齢助教授には野外・室内両作業を通じて直接ご 指導いただくと共に粗稿のご検討をしていただいた。

また同じく岡田博有・速水格両博士には討論を通じて 有益なご助言とご批判をいただいたことを記して厚く 感謝する。なお図の一部を九州大学の和田佑子嬢•松 吉俊恭氏に清書していただいた。最後に,発表の機会 を与えて下さった松本達郎教授ならびに当研究報告編 集委員の方々に感謝する。

m

.チャートの産状と分布 A.野外におけるチャートの定義

珪質の化学的堆積物の名称についてはTARR(l938) の詳しい解説がある。それによればチャートは緻密な 隠微晶質の石英で不規則 (splintery)か貝殻状の断口 を持ち,種々の色を呈す。この定義は不純な珪質岩を

(3)

口鍾頼層 □〗小口層

告 層 口 ] ] 大 頼 層

l

段の峠石灰岩

—--- 四万十帯

0.6  OB  km 

第 1図 神 瀬 地 域 地 質 図 (Geological  map of the Konose Area) 

包含していないが,野外において純粋なチャートと不 純なチャートを区別することはできないし,また不純 なチャートとチャートに類似の岩石,例えば珪質凝灰 岩・珪質頁岩などとを識別することも極めて困難であ る。筆者は野外において2つの条件ー

1

つはハンマー の先よりも硬度が大きい,他の1つは肉眼で認められ る粒度の砕屑物を含まないこと一を満たす緻密な"隠 微晶質岩 に対し,一応チャートの名称を用いること にした。従って堆積構造を示す珪質頁岩,硬質の泥灰 岩,細粒の珪質凝灰岩,珪質石灰岩なども顕微鏡観察 前の段階ではチャートとして一括されることになる。

B.チャートの産状と岩型 (rocktypes) 

神瀬層群中のチャート岩体は一般に小規模で石灰岩,

凝灰岩または粘板岩に伴って発達し種々の産状を呈 する。筆者は調査地域のチャートを産状により, LB, RA,AL,MBおよび

TR

の5つの岩型にわけた。各 岩型はチャート自体の産状と岩質または随伴する岩石 の種類によってiさらに細分される。各岩型の属性を 以下に記す。

1.  LB型 層 状 ま た は 塊 状 で 数10cm以上の層厚を持 つ。風化に対する抵抗力が極めて強い。第4図版第1 図には,球磨川の水流に洗い残されたLB型チャート の様子を示す。調査地域において最大規模のLB型チ ャート層は層厚50m弱,走向延長距離4.5kmに達する。

LB型チャートの多くは,白・灰・黒色を呈するが一 部は赤色である。断口と光沢は一定していない。層状 の場合,単層の厚さは通常数cmで あ る 。 白 色 で 鈍 光 沢,不規則な断口はLB型チャート以外ではみられな い特徴である。 ' 

2.  RA型この型のチャートは軟頁岩(粘土質)薄 層との律動互層 (rhythmicalternation)を成す(第 5図版第1図参照)。 この互層全体が吉村 (1942,p.  131)の千枚珪岩にあたると思われる。調査地域のRA 型チャートの層厚(互層全厚)は最大で10m内外であ

る。

RA

型のチャートは beddedchertと呼ばれるこ ともある (SHOJI,1967; lWAO, 1959)が, RA型以,

外で層状をなすチャートもあるので,今後このような 分類が有用ならば用語の整理が必要であると思われ

(4)

三宝山帯神瀕層群のチャート 13  (B) 

(A) 

^ 4, 9

 

︐ 

' ,  

(D) 

(F) 

ー、、、↓ヽ9

口 二 ]

2.9礫岩 3

.粘板岩

1.砂岩

二 旦

4. 岩岩 5.石灰岩 6.チャート 苦灰

第 2図 神 層 群 状 図

(A)一(C):南帯 (D)(E):北帯 (A)

(D):球磨川左岸 (B)

(E):球磨川右岸 (C):中園川沿い(F):蔵谷一段 の峠 (Columnar sections  of  the Konose Group.  (A)‑(c):  Southern  belt, (D)(E): Northern  belt,  (A) • (D):  left  side of the Kuma River, (B)(E):right side  of  the  Kuma River,  (c):  Nakazono River, (F):  Kuratani‑Dannotoge) 

る。 RA型チャートの単層の厚さは1 12cm(通常数 cm),軟頁岩薄層のそれは通常 1cm以下である。両者 の境界は漸移的であり,通常不規則な凹凸面をなす。

軟 頁 岩 薄 層 の 側 端 は 一 見 尖 滅 し て い る よ う に 見 え る が,追跡すると上・下に直接するチャートが合ーした チャート層の中に珪質の薄層として連続している。

RA型チャートは帯緑ないし帯青灰色で,多少とも 貝殻状断口と樹脂光沢を持つ。いくつかのチャート層 に は 連 続 的 ま た は 不 連 続 的 な 泥 質 物 葉 理 が 認 め ら れ る。 RA型のチャート層にしばしばみられる層間摺曲 構造は,当地域ではわずかに1地点でしか観察されな かった。

3.  AL型 石 灰 岩 ( お も に ミ ク ラ イ ト 質 , 一 部 は カ

ルカレナイト)に伴って発達するチャートを,その形 態(層状・団塊状等)を問わず, AL型のチャートと 総称する。層状をなすAL型チャートの厚さは数cm以 下である。 AL型チャートは白・灰・黒・褐色を呈す るが,多少とも周囲の石灰岩の色に類似する。光沢と 断口は一定していない。 ~

層状のAL型チャートと周囲の石灰岩との境界は平 坦ではなく不規則な凹凸をなし,境界に沿って,しば しば styloliteが発達する。多数の石灰質小脈がチャ ート層の中に発達し,そのうちのいくつかは stylolite を切って発達する。

4.  MB型粘板岩中に発達する小規模なレンズ状ま たは団塊状のチャートを M B型 と 呼 ぶ ( 第5図版第

(5)

2図)。 MB型チャートはRA型チャートに伴われて 発達することもあるが, RA型チャートは必らずしも M B型チャートを伴わないし, MB型チャートは軟頁 岩薄層を伴わないので, 筆者は両者を区別した。 MB 型のチャートを伴う粘板岩は,チャートを伴わない粘 板岩と垂直方向に漸移的であって,独立の部層を構成 しない。この型のチャートの肉眼的特質はRA型チャ ートのそれに酷似する。

5.  TR型 凝灰岩中または粘板岩中で樹脂光沢と貝 殻状断口を持つ硬質部をTR型チャートと呼ぷことに する。 TR型チャートは周囲の部分とほぼ同色を呈す る。岩石の名称としては,チャートよりも珪質粘板岩 または珪質凝灰岩の方が適切な場合もあると思われる が,ここではこれ以上の追求はしない。

c .

チャートの層序的分布

神瀬層群構成岩類の量比(層厚比ー以下同じ)を第 3 1 

0°10  2  3  ム

80 

60 

40 

20 

1  1 b 

^ 

・ ヽ ・

>

u

̀

︑︑

︑︑

. . 

冒 □ ‑

[ ︑ い ︑

3 神瀕層群構成岩石量比

(1)南帯総計(球磨川),(2)南帯総計(中園川),(3)南 帯,告・鎌穎層合計(球磨川),(4)北帯総計(球磨川)

a.無露出部,. b.砕屑岩類, 基性火山性堆 積物, d.石灰岩, e.チャート

(Volumetric ratio of rock components of the  Konose Group) 

(1) total in the southern belt along the Kuma, 

(2) total  in the・  southern'belt along the  Nakazono, (3) total of the Tsuge and Kamase  formations along•. the Kuma, (4) total of the  coeval formations in the northern belt along  the Kuma) 

a.  no exposure,  b.  elastic sediments,  c.  basic  volcanic sediments,  d.. limestone,  e.  chert. 

図に示す。全堆積岩中でチャートの占める割合は南帯 で約10%,北帯では約25%である。一方,海底火山 活動の所産である熔岩と火砕岩類の和は南帯で8%, 北帯で15%を占める。総合的な資料から判断すれば,

チャートと熔岩および火砕岩類との量比は南帯で1: 

4'北帯で1: 2となる。

以下に各層毎のチャートの分布を記す。なお一般的 な層序・岩相については勘米良・古川 (1964)の詳し い記述がある。

1.  大阪間層 (70 130m) 大阪間層はチャート,

石灰岩,凝灰岩,玄武岩熔岩,礫岩,粘板岩,凝灰質 粘板岩および砂岩から成る。チャートは当層の6 8

%を,熔岩と火砕岩類との和は同じく 5 20%を占め る。当層下部に発達するチャートは,球磨川・告川沿 いでは LB型と AL型で石灰岩に伴われて発達する が,中園川沿いではTR型であり凝灰岩または凝灰質 粘板岩に伴われる。

2.  権現山層 (50‑‑‑‑‑250m) 権現山層は石灰岩,

チャート,熔岩および火砕岩類から成る。チャートは 当層の数%弱を占め,熔岩と火砕岩類の和は10%弱を 占める。当層の石灰岩は60 90%を占める。球磨川沿 いでは当層下部に厚さ約50mの凝灰岩,凝灰角礫岩お よび玄武岩が発達し,これらにLB型とTR型のチャ ートが挟在される。球磨川沿い,告川沿いでは当層の 最上部に LB,ALおよび RA型のチャートが石灰岩 に伴って発達する。一方,当地域東部の中園川沿いで は権現山層はチャートを全く含まない。

3.  鎗倒層 (200‑‑‑‑‑440m) 鎗倒層の50%は石灰岩 から成る。チャートは当層の10%,熔岩と火砕岩類と の和は同じく数%を占める。球磨川左岸では鎗倒層下 部層は粘板岩,石灰岩,礫岩およびこれらに伴われた LB,  ALおよびMB型のチャートから成る。当層の 中部に,告川沿いでは厚さ4 mのRA型チャートが,

球磨川沿いでは ALおよび RA型チャートが,さら に中園川沿いでは ALおよび LB型チャートが発達 する。

4.  告層 (110,‑‑..,,300m) 勘米良・古川 (1964)に よれば,告層は下位より T1,T2, T3および T4の4 部層にわけられ, T1とT3はおもにチャート,凝灰 岩,凝灰角礫岩および石灰岩(一部にカルカレナイト を含む)から成り, T2とTいよ主に粘板岩と砂岩から 成る。後2者は球磨川沿いでは貧弱である。告層全体 で球磨川左岸に LB,RA,ALおよびTR型のチャー トが発達し,その量は当層の30%にあたるが,凝灰岩 はわずかに2 3%を占めるに過ぎない。しかし西方

(6)

三宝山帯神瀬層群のチャート 15  の上告北方では T1,Ta部層のほとんど全体が火砕岩

・熔岩から成る。球磨川右岸ではチャートの占める割 合は15%,中園川沿では10%である。

T3部層中の AL型チャートを伴う石灰岩には大瀬 層中のものと同様,遠洋浮遊性の二枚貝類と思われる 無数の薄い貝殻が含まれる。

5.  鎌瀬層 (350...500m)  鎌瀬層の10 15%は火 砕岩から成るが,特に石灰質の細粒凝灰岩と凝灰質粘 板岩が優勢である。球磨川右岸ではチャートの量は鎌 瀬層全体の12%に達し, RA型のものが優勢で, LB, TR型がわずかに伴われる。一方,中園川沿いでは LB, RAおよび TR型のチャートがわずか2 3%

うるしがわうち

を占めて発達する。球磨川右岸川原と漆川内の南東 方斜面にはLB型のチャートが優勢である。

6. 大瀬暦 (200 300m) 球磨川沿いでは LB, AL型のチャートが大瀬層の37%を占めて発達する。

当層中の火山源岩石は全て石灰質細粒凝灰岩である が,その量は球磨川右岸で2 3%である。東方中園 川上流の蔵谷付近では露出が悪いが若干のLB型チャ ートが発達する。当層下部にAL型チャートを伴って 発達する暗灰色石灰岩中に前記の告層のものと同様の 遠洋浮遊性二枚貝類のものと思われる無数の薄い貝殻 片が含まれる(第5図版第4図参照)。

1.  小口眉 (200360m) 球磨川沿いではチャー トが小口層の12 20%を占める。熔岩と火砕岩類が17

22%を占める。小口層の下部・中部は球磨川沿いで は熔岩,集塊岩を含む火砕岩類, RA,TR型のチャー トおよび少量の粘板岩から成り,蔵谷の北方では粘板 岩と LB型チャートから成る。小口層上部には LB, AL型のチャートが発達し,最上部には RA,MB型 のチャートが粘板岩部層と凝灰岩部層との間に挟在す る。球磨川右岸の当層上部に発達する層厚10mの礫質 カルカレナイト(ミクライト粒と若干のチャート粒を 含む)のタービダイト層は堆積学上興味深い対象であ るが試料の採取が困難で,その全様を報告することが できない。

D.岩 相 変 化

神瀬層群を構成する各部層の層厚は一般に薄く,垂 直方向の変化に富むが,チャートやチャートに関連す る岩石(主に火砕岩)の岩相の側方変化についてのか なり確実な若干の情報を得た。以下に当地域で得られ たチャートを中心とする岩相変化の例を記す。

1.  小口層の岩相変化 球磨川の両岸(芦北郡芦北 町小口とその対岸)において,小口層の下部・中部は

火砕岩類,熔岩,チャートおよび少量の粘板岩から成 る。第4図にこの部分の岩相変化を示した。球磨川左 岸では集塊岩,熔岩および凝灰岩に少量のTR型チャ ートと粘板岩が加わって厚さ50mの部層をつくり,一 方球磨川右岸の同部層は細粒の凝灰岩,屑灰岩,少量 の集塊岩,凝灰角礫岩および RA,TR型のチャート から成る。右岸ではこの上位に厚さ50mの凝灰岩,

RA型チャートおよび少量の凝灰角礫岩が発達する

(左岸では露頭欠除)。 さらに両岸でこの上位に厚さ 数mのRA型チャートが発達する。中園川上流蔵谷の 北西方と天月川沿い丸尾の南方では,小口層の下部・

15

2

R  1 ‑

1,、ヤ,、、=

100 

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII//

3

1/1/9/9/9/1/1

9 9 99  99  99  9 9 9 9 99  9 9 9 9999, 4

コ 巳

.>;: : 

塁 . .

5

, <) <(:',<)恥も俣,t

入 羹 又 ; : 芦 、 汀

6図月

50 〜   〜  ~ 〜 ~ ` ― ヘ ヘ ヘ

I

茶高没翠全 ,

A 99 △ 

7匹団

ハ 注 袋 氾 翠 図 羨 如

18 E ] 己

Iァ`'、テ`ァ̀ ( ^ ̀'

―-と--剛とふぷ⇒•‘

50 

9

巨 ヨ

100  10

第 4図 小口層中・下部の岩相変化 L: 球磨川左岸, R: 球磨川右岸, 1.チャート (L B型), 2.チャート(RA型), 3.チャート(TR型), 4.凝灰岩, 5.凝灰角礫岩, 6.集塊岩, 7.熔岩, 8.石 灰岩, 9.粘板岩, 10.礫岩

(Lithologic  profile of  the  lower and  middle  parts of the Koguchi formation) 

R:  right side  of  the  Kuma River,  L:  left  side of the Kuma River. 1.  chert (LB‑type),  2. chert (RA‑type),  3. chert (TR‑type), 4. tuff,  5. tuff breccia,  6. agglomerate,  7. lava,  8. limestone, 9. slate,  10. conglomerate.  中部は粘板岩とLB型チャートから成る。

一方,小口層上部の層序は下位から苦灰岩を伴う石 灰岩と LB,AL型チャート (80m),礫質の"タービ

ダイト 'カルカレナイト (10m), レンズ状石灰岩を 伴う粘板岩と砂岩 (120m),粘板岩と,これに伴う RA,TR型チャート (5m)である。小口層の最上部 には新たな火山活動を示す火砕岩類がレンズ状の石灰 岩を伴って発達する。

要するに, LB型チャートは RA,TR型のチャー トに比べて海底火山活動の場から,より離れた環境下 に発達するようである。またAL型のチャートは LB 型チャートと石灰岩との漸移部を構成し, AL型チャ

(7)

ート単独では発達していない。

2.  告層 T3部 層 中 の 岩 相 変 化 告 層 の T3部層は 火砕岩類,石灰岩(一部カルカレナイト,カルシルダ イトを含む)*およびチャートから成る。上告の北方で は T3部層は集塊岩,凝灰角礫岩,凝灰岩および若干 の石灰岩から成る。火砕岩類は東方に向って少量にな り球磨川沿いの T3部層は凝灰質カルカレナイト,ヵ ルシルダイト, ミクライト,粘板岩と LB, RA, AL  およびTR型のチャートから成る。勘米良・古川 (19 64)によれば球磨川沿いと上告の北方では T3部層の 上限に一層のチャートが発達し,上位の T4部層の粘 板岩におおわれる。従って, T3部層堆積時の火山活 動の盛んな部分にはチャートを欠く岩相が形成され,

遠隔地には少量の凝灰岩を伴うチャートと石灰岩の複 合体が発達しているようである。

3.  チャート岩型と岩相全体との関係 LB型チャ ートは通常石灰岩か粘板岩に伴われ,熔岩や集塊岩に 伴われることはない。 RA型チャートは凝灰岩か粘板 岩に伴われる。 AL型チャートは石灰岩に伴われ,通 常LB型チャートの周辺部に発達する。 M B型チャー

トは粘板岩に伴われる。最後にTR型チャートは火砕 岩類か粘板岩に伴われ,通常LBまたはRA型チャー

トの周辺部に発達する。

w

. 岩 質 の 記 載

当地域の各岩型のチャートについて肉眼的,顕微鏡 的岩質を以下に記す。なお1, 2の試料のX線粉末解 析の結果を併記する。

A. LB型

LB型チャートは顕微鏡下での岩質から, i)純粋,

ii)白雲石質, iii)赤色(少量ではあるが散点する鉄 鉱物微粒のために全体が着色されている)および iv) 泥質の4グループに細分される。 i)は肉眼的には白 色または淡灰色でガラス光沢または鈍光沢で不規則な 断口を持つ。 ii)は半透明,灰色で樹脂光沢と貝殻状 断口を持つ。 iii)は光沢・断口とも一定していない。

iv)は灰色で樹脂光沢と貝殻状断口を持つ。放散虫を 主とする珪質生物遺骸の含有量はi)とii)では少い が, iii)とiv)では一般に多く,稀にではあるが50%

弱に達する。なお, ここで白雲石質と呼ぶチャートに は炭酸塩鉱物の菱形結晶が散在しているが,この鉱物

*カルカレナイトは,おもに放散虫ミクライトで 構成され若干の凝灰岩粒を含む。基質は凝灰質 である。カルシルダイトは, このカルカレナイ

トと同層準に発達し前者の粗粒部と考えられる。

が白雲石であるかどうかは確認できていない(チャー トを伴う石灰岩の一部が白雲石を含むことは屈折率測 定により確認したが,チャート中に散在するものにつ いては微小であるため成功していない)。

以下LB型チャートのいくつかの試料について記載 する。見出しの試料番号の次に採集地名,層準および 産状を示す。採集地点は第5図に示した。なお地名・

層準については第1図をも参照されたい。

1‑ Os‑3  (熊本県球磨郡)球磨村大瀬の北方,大 瀬層上部,層状。色はwhite,...̲̲,verylight grey (Geol.  Soc.  America,  1951のRock‑colourChartによる

とN9)で不規則な断口と鈍光沢またはガラス光沢を 持つ。顕微鏡下では全く不純物を含まず,微晶質石英 (microcrystalline quartz)または玉髄で満たされた 放散虫化石が1%以下の割合で含まれる。モザイク状 石英と玉髄の両者またはどちらか一方から成る小脈や 集合体(空隙を埋めたもの?)が発達する(第5図版 第5図)。脈や放散虫化石に対する基質は径5μ以下,

通常2 3μの微晶質石英から成る。 0s‑3のX線 粉 末解析図には石英のヒ゜ークだけが認められる。

2.  Ks‑36  (熊本県芦北郡)芦北町小口,小口層 中部,層状で同岩体には石灰岩の小レンズが挟在され る。色は grey(N3)で,樹脂光沢と貝殻状断口を持 つ。顕微鏡下では最大径50/.!程度のいわゆる白雲石の 菱形結晶を2 3%,他に不透明鉱物の微小片を少量 含む。基質は微晶質石英から成る。直交ニコル下では 基質よりやや粗粒の微晶質石英と玉髄の両者または一 方で満たされた放散虫化石が少量認められる。第5図 版 第6図に Ks‑36と同地点で採集した試料Ks‑34の 顕微鏡写真を示す。

3.  Ks‑138  芦北町小口の南方, 大顛層上部, 層 状。色は duskyred (5R3/4)で樹脂光沢と貝殻状断 口を持つ。顕微鏡下では約30%の放散虫化石を含む。

基質は針鉄鉱または赤鉄鉱の赤色小片により見かけ上 不透明であるが,反射顕微鏡下で認められるこの小片 の実際量は極めて少<, 1%にも満たない。

4.  Ks‑6  芦北町小口,小口層中部,塊状。色は bluish grey (5B4/1)で樹脂光沢と貝殻状断口を持 っ。顕微鏡下では放散虫化石を含む部分と含まない部 分とで構成されるラミナ構造が認められる。両者の境 界は平面的ではなく,複雑に入り乱れているが漸移的 ではない。放散虫化石の量は珪質``海綿 の破片と合 わせて37%(試料全体の平均ではなく含放散虫部分内 で)に達する。基質は不透明で,泥質である。

B .  

RA型

(8)

三宝山帯神瀬層群のチャート 17 

. .  

Gongenyama 

[  

Km 

第 5図 調 査 地 域 略 図 お よ び 試 料 採 集 地 点 図 (Map showing collecting localities of the selected chert samples) 

(9)

RA型のチャートの大半は泥質で放散虫などの化石 を含むが,他に``白雲石質 'または石灰質のものもあ る。泥質のRA型チャートには時々ラミナ構造が認め られる。このラミナ構造はチャー9卜 層 の 端 で は 乱 さ れ,ひきちぎられているようである(第6図)。

第 6図 R A型チャート(試料番号Ks‑90)の層 端におけるラミナ構造の状態

s

:軟頁岩薄層部 (Distortion  of  laminated  structure  at  an  edge of a chert layer of the RA‑type (Ks‑

90).  S:  clayey seam) 

1.  Ks‑14  芦北町小口,小口層中部。肉眼的に認 められるラミヂ構造を持つ。明色のラミナの色はlight greenish grey: (5GY 7 /1)  で暗色のラミナのそれは dark grey (N3)であり,いずれも樹脂光沢と貝殻状 断口を持つ。顕微鏡下では,賠色のラミナは,これに 平行な粘土鉱物の密集体から成り,化石をほとんど含 まないが,明色のラミナは放散虫化石,珪質"海綿 の破片および泥質基質からなり,化石の量は37%に達 する。 2種のラミナの境界は明瞭(clean‑cut)な場合 と漸移的な場合とがある。ここで漸移的というのは,

泥質基質の量が次第に増減することを示す。 Ks‑14の X線粉末解析図には石英,カオリン鉱物,イライトお よび斜長石のヒ°ークが認められるが, Ks‑14と同地点 で採集した軟頁岩薄層 (Ks‑13)の解析図にはカオリ

ン鉱物のヒ°ークは認められず,石英,ィライトおよび 斜長石のヒ°ークが認められる(第7図)。

2.  Ks‑91  球磨村蔀の南方(芦北町小口の対岸),しとみ

小口層中部。明色 (lightgrey,  N7)の3枚のラミナ が暗色 (mediumlight grey,  N6... greyish black,  N2)の地に挟まれてラミナ構造を成す(第8図)。顕 微鏡下では,試料全体に多少とも放散虫化石,珪質

"海綿 'の破片が含まれ,両者の含有量は 17%に達す る。明色のラミナのうちの1枚は多数の"海綿 '破片を

(1) 

29 60  50  40  30  20 

 

1

. r

0 

Q  IQ  (2) 

Q  Q 

29 60  50  40  30 

第7図 R A型チャート(試料番号Ks‑14)と軟 頁岩薄層(Ks‑13)のX線粉末解析図 Q:石英,

I :イライト, P:斜長石, K:カオリン鉱物 (X‑ray  powder  pattern of  the  RA‑type  chert(Ks‑14)  and clayey seam. (Ks‑13).  Q: quartz,  I: illite,  P: plagioclase,  K: kaoline mineral) 

20  10 

1 ,   lcm 

0  2 

8図 R A型チャート(Ks‑91)に観察さ れる葉理 L:この部分の顕微鏡写真を第

6図版第1図に示す

(Laminated structure of a chert layer  of  the  RA‑type (Ks‑91).  L:  photo‑

micrograph of this  part  is  shown in  Fig. 1.  of Pl. 6) 

含み,それらのうちの半数以上がラミナと平行に配列 する (第6図版第1図)。明色のラミナと暗色の地と の境界は明瞭な場合と漸移する場合とがある。

(10)

三宝山帯神瀕層群のチャート 19  この試料に認められるような小化石と泥質基質の量

比に起因する colourgradingゃラミナ構造は,この チャートが"タービダイト '起瀕であることを暗示する と考えられるが,この問題についてはさらに詳細な堆 積学的検討が必要である。 なお, "タービダイト '起 源のチャートについては FAGAN(1962),がNevada の石炭紀のチャート中に認められた turbidite sub‑

stratumを,また SWARBICK(1967)が Northeast Devonのやはり石炭紀のタービダイト・チャートを 報告している。

3.  K‑:5‑2  球磨村大瀬の南西方(芦北町鎌顛の北 方対岸),鎌瀕層中部。色は mediumdark grey (N4)  で,ガラスないし樹脂光沢と貝殻状断口を持つ。顕微 鏡下では30%強の放散虫化石を含み,泥質物による波 状ラミナが認められる。

c .  

AL型

石灰岩と互層するチャート層や,石灰岩中に挟在す るチャート団塊の大半は多少とも石灰質で,約半数は いわゆる白雲石の菱形結晶を含むが,周囲の石灰岩は 純粋であり珪質物を含まない。 AL型チャートのいく つかは,顕微鏡的には放散虫ミクライトであり,方解 石で置換された10 20%の放散虫化石を含む。チャー ト部分の化石含有量は極めて少いが,周囲の石灰岩の それは数%に達する。ほとんど全ての化石,特に石灰 岩中のそれは方解石で置換されている。

, . o

 

cm

第 9図 A L型チャート(層状, Y‑4)と 石灰岩との境界状態 1 :チャート,

2 :石灰岩, 3, 4:方解石脈

(Macroscopic  feature  of  a limestone  with a chert layer.  1. chert (Y‑4),  2.  limestone,  3, 4.  calcite veinlets)  1.  Y‑4  芦 北 町 告 口 , 鎗 倒 層 下 部 , 層 状 。 色 は black (Nl)で鈍光沢,不規則断口を持つ。このチャー トを挟在する石灰岩の色はmediumgrey (N3)であ る。石灰岩中には多数の styloliteが発達する。石灰

岩とチャートの境界状態を第9図に示す。

顕微鏡的にはY‑4は' 白雲石 を含む石灰質チャー トで,比較的粗粒の石英で満たされた放散虫化石をわ ずかに含むが,周囲の石灰岩はバイオミクライトであ り方解石で置換された数%の放散虫化石を含む。石灰 岩とチャートとの境界は, しばしば styloliteから成 るが, styloliteが発達していない場合も両者の境界は 明瞭である。

2.  Ko‑5‑1  球磨村蔀の南方(芦北町小口の対岸),

小口層上部, 不規則団塊状。色は light yellowish  grey (5Y 7 /1),ガラスないし鈍光沢で, 不規則ない

し貝殻状断口を持つ。周囲の石灰岩の色は medium light grey (N6)である。顕微鏡的にはY‑4と同様 であるが,より石灰質である(第6図版第2図)。

3.  Ks‑163  芦北町鎗倒瀬, 鎗倒屑中部, 層状。

色は greyishblack (N2)で鈍光沢,不規則な断口を 持つ。周囲の石灰岩も同色である。顕微鏡的には,

'腐泥質 'ミクライトの基質と,方解石で置換された 多数の放散虫化石および方解石小脈から成る石灰岩で あり珪質物は全く認められない。

4,  T‑8  球磨村大瀬の南西方(芦北町鎌瀬の東方 対岸),告層(Tか 塊 状 凝 灰 質 カ ル カ レ ナ イ ト に 挟 在 される層状岩体。色は brownblack (5YR 2/1)で樹 脂光沢と貝殻状断口を持つ。顕微鏡的には' 白雲石 チャートであり,多数の石灰質小脈が発達する。玉髄 または比較的粗粒の縫合状石英から成る多数の不明瞭 な小球体が認められ,基質は,わかずな泥質物と微晶 質石英から成る。なお, "白雲石 'の菱形結晶の多く は石灰質小脈に伴うも のである。

D.  M B型

M B型チャートについては1例のみを記す。

1.  ks‑122 球磨村蔀の南方(芦北町小口の北東対 岸),小口層上部,粘板岩中の小団塊。色は medium dark grey (N4)とmediumlight grey (N6)の部 分があり,前者は不明瞭な斑点を成す。光沢は樹脂状,

断口は貝殻状であり,

1 4

%の放散虫化石を含む。基質 は玉髄,微晶質石英,および不透明鉱物の多くの小立 方体結晶粒から成る。基質の一部は顕微鏡的には非晶 質である。

E.  TR型

TR型のチャートについては2例を記すが,いずれ も50%程度の放散虫化石を含む。

1.  ks‑46  球磨村坂口の西方,大阪間層下部,凝灰 岩との漸移体。色は darkbrownish grey (5YR3/1)  で貝殻状断口を持つが光沢は鈍い。顕微鏡的には放散

(11)

虫化石が密集し,基質が少なく,"放散虫岩 'と呼ぶに 適した岩質である(第6図版第3図)。 Ks‑46の一部 は角礫化され,緑色の泥質物が基質として礫間を満た す。

2.  Ks‑125 球磨村蔀の南方(芦北町小口の南方対 岸),小口層中部,細粒凝灰岩中の珪質部。色は me‑

dium dark grey (N4) "'medium grey (N5)で中心部 は樹脂光沢と貝殻状断口を持つが,周縁部は光沢も鈍 く不規則な断口を持つ。顕微鏡的には泥質基質が黒色 であるほかは Ks‑46に似ている。放散虫化石の量は 50%強である。基質は微晶質石英,玉髄および泥質物 から成る。放散虫化石の輪郭は泥質基質の量が減るに つれて不明瞭になる領向がある(第 6図版第 4 6 図)。

v .

討 論

チャートの成因論は非常に多くの問題を内包する地 質学上の重要な課題の1つである。おもな問題点とし て,坂口 (1959)も丹波地帯のチャートに関する研究 報告の中で論及しているように,次のものがある: (1) 

シリカの源(海底火山活動に関係があるか河川水中の 溶解物か), (2)チャートの堆積機構(生物作用による か無機的沈澱か), (3)チャートの生成の時期(周囲の 岩石と同時か,より後期か一換言すればチャートはそ れ自体が堆積物として存在していたのか,それとも堆 積後の作用によって作られたのか)および(4)堆積環境 の深度。

以下,これまでに記してきた筆者の資料に基づき,

坂口 (1959)の示した上記の論点に沿って当地域のチ ャートの成因を検討する。

A.シ リ カ の 源

チャートをつくるシリカの海洋系に関しての源は究 極的には2つ考えられてきた。 1つは温泉活動を含め た海底火山活動であり,他の1つは河川水によって運 び込まれる溶解状のシリカである。 1¥1:ACKENZIEand  GARRELS (1966,  p.1078)によれば,河川から海洋に 運び込まれる Si02が全て化学的沈澱または生化学的 除去によって"遊離 シリカとして堆積し,地質学的 時間の後に2.5の比重を持つようになると仮定するな

らば,全世界で年間約 0.17km3の Si02が堆積する ことになる。一方, BAILEYら (1964,p. 67)は, フ ランシスカン層群の放散虫チャートをつくっているシ リカは枕状熔岩の周縁部および火砕岩から海水との反 応で溶出したものであると主張した。このように定性

的には少くとも2つのチャートの起源を考えるのに適 したシリカの源が考えられるが,われわれが神瀕層群 に見られるようなチャートの起源を考える場合には,

直接のシリカの源としての役割の大小にかかわらず,

優勢な火山活動の影膨を無視するわけにはいかない。

BAILEYら(1964, table 5)は枕状溶岩の中心部と 周縁部でのシリカ含有量の差が数%に達すると報告し た。また,彼ら (1964,p. 67)は,チャートと緑色岩 (green stone)の量比が Almaden地 区 で1: 250,  サンフランシスコ湾地区で1: 5となるが, フランシ スカン層群全体としては1: 5よりも 1: 250に近い ものになるだろうと述べている。仮に火山源岩石の全 体から1%のシリカが溶出し,それがすべてチャート

として堆積するならば,概算上チャートと火山源岩石 との量比は1: 90となる。

神顧地域におけるチャートと火山源岩石の量比1: 

5を上記のような単純な概念(熔岩などと海水との熱 水反応)だけで説明するのは難かしい。ただし,神瀬 帯は幅せまく, しかも比較的急斜した一断面を露出す るにすぎないので,現在みられる火山性物質が海底火 山帯の主部に当るか,その縁辺相を代表しているのか 確認できない。

シリカの源について, CALVERT(l966)はさらに別 の説を提示した。彼は季節風によるカリフォルニア湾 と太平洋との海水の交換によって,カリフォルニア湾 に年間1014gの溶解シリカが供給され,これがカリフ ォルニア湾の珪藻質堆積物の源になると考えた。彼の 考察は妥当であると思われるが,シリカの源は海洋と いう 1つの系にとって究極的なシリカの源であって,

CALVERTが論じたのは海洋系の中でのシリカの移動 に過ぎないので,筆者は彼の"大洋 'がシリカの源で あるという言明 (p.593)を受け入れ,これをシリカ の源に関する第3の説とするのは不適当だと考える。

B.チャートの堆積機構

チャートの堆積時の形状としては珪藻または放散虫 軟泥あるいは過飽和溶液から沈澱した無機的なシリカ が一般に考えられる。 PETERSONand BORCH (1965)  は南オーストラリアの CoorongLagoonに隣接する 湖でゲル状のオパールークリストバライトとして沈澱 しつつある無機的生成のチャートを報告した。これは 現世および現世に近い時代の堆積環境におけるシリカ の無機的沈澱の最初の発見である。

一方,現世の海洋環境においては珪藻または放散虫 軟泥以外の珪質堆積物は発見されていない。厳密にい えば皆無ではないが規模や属性について報告されたも

(12)

三宝山帯神顛層群のチャート 21  のは,筆者の知る限りではない。

地質時代のチャートについていえば,珪質生物化石 の量がチャートの原型を知る鍵とされる(坂口,1959)。

しかし,珪藻軟泥の続成作用に関する最近の研究は,

見かけ上無機的なチャートの起源に重大な示唆を与え た。井上 (1967)によれば,北海道中新世の珪質シル ト岩のX線粉末解析図にはクリストバライトの強いヒ°

ークが認められ,顕微鏡下で不明瞭な珪藻の遺骸が多 数認められる。彼はまた,珪藻遺骸が認められない 場合にも放散虫遺骸は認められると報告した。また STRAKHOV (1967)は火山活動の場に近接した地域以 外では珪質岩ーとくに,少くともカンブリア紀以降の チャートの起源として考えられるのは, biogenic si‑ licaだけであると主張した。

神穎地域において,筆者は放散虫化石の輪郭が基質 が純粋な所ほど不明瞭である事実を認めた。 FAGAN 

(1962,  fig. 5)はネバダの石炭紀のチャートを研究し て,これと同様の事実を報告した。神瀬地域では AL 型以外のチャートは,基質が純粋なものほど放散虫化 石の保存状態が悪いという領向を持つ。この事実は当 地域の大部分のチャートが生物起源である可能性を暗 示する。また,つけ加えるならばチャートに直接連な るものではないが,神瀬層群中の比較的硬質(同層群 中の他の粘板岩に比較して)の粘板岩の少くとも一部 には多量の放散虫化石が含まれている。

AL型のチャートについて重要なことは,この型の チャートの周囲の石灰岩中の珪質生物の遺骸がすべて 方解石で置換されており,石灰岩中には珪質物が全く 認められないことである。このことは石灰岩の続成環 境の pHまたは温度が放散虫殻や海綿破片のような珪 質物を保存できない状態であったことを示す。方解石 とシリカの置換の機構や, pHまたは温度の変化要因は 不明であるが,続成作用の地質学的条件を考える場合 には重要な問題であろう。筆者は神瀬地域のAL型チ ャートの大部分が珪質石灰岩ないしは石灰質チャート であることと,上述の事項とを合わせ考えて,これら のチャートが続成環境下の交代作用によって生成され たものと解釈する。同様の解釈の1例はテキサスの Edwards Limestone中のチャートについての PIT‑

TMAN (1959)の報告にある。筆者は神瀬地域の AL 型チャートの産状(形態)の違いは方解石によるシリ

カの置換の時期とシリカの再沈澱の時期各々の違いに 基づくものであると考える。

c .

チャート生成の時期

かりにチャートが塊状のシリカゲルまたは珪質生物

の軟泥として直接海底に堆積したものであれば,その チャートは母岩(周囲の岩石)と同時生成(syngenetic または synsedimentary)であると解される。これと 対照的に後時生成 (epigenetic)は現在認められる岩 石としてのチャートが母岩の交代を通じて生成された ことを示す。当地域のAL型チャートが多分後時生成 物であろうということは前述した。なお,厳密な意味 での epigeneticprocessに続成環境での変化を包 含させるのは適当ではないが,チャートの成因を論ず る場合には synsedimentaryの意味で"syngenetic"

が使用され,以後の時期の変化は慣習的にepigenetic そと記されているので, ここでも synsedimentaryに 対峙する用語として "epigenetic"を用いることにす る。

筆者は神瀬地域のLB型チャートのうち,純粋なも のおよび``白雲石質 の2つのグループについては,

交代的成因を考えるには規模が大きすぎるという消極 的な理由から同時生成であると解釈する。この2つの グループとAL型以外のチャートは前述の記載により 放散虫軟泥または"海綿 '軟泥を起源とすると考えら れるので,やはり大局的には同時生成であると解釈さ

れる。

RA型のチャートについては, D AVIS (1918, p. 394 

‑402)が提示した分離説という興味深い仮説が適用で きるかも知れない。彼はゲル状のシリカと泥質物がコ ロイド状混合物として一緒に堆積し,後に分離して泥 質層とチャート層とになると示唆した。しかし神顛地 域で見られるRA型チャートのラミナ構造が層の先端 で乱され,ちぎられたようになっている事実は,この チャート層の先端が DAVISのいう分離によってでき たものではないことを示すと考えられる。この問題に 関してX線粉末解析によるチャート層 (Ks‑14)と軟 頁岩薄層 (Ks‑13)の鉱物組成の違いが普遍的なもの であるか否かが1つの鍵になると思われる。もしRA 型チャートが DAVISのいう分離の所産ならば,チャ ート層と軟頁岩薄層との鉱物組成ー特に粘土鉱物組成 ーは類似のものとなるであろう。軟頁岩薄層とチャー ト層との間の層面の不規則性は続成作用により再配分 されたシリカの,チャート層側から軟頁岩薄層側への 浸透によると考えることができる。

要するに当地域のチャートの大半は同時生成の所産 であり, AL型チャート(ただし,告層 T8部層中の 凝灰質カルカレナイトに伴われるチャートについては 保留する)*だけが後時生成の所産であると考えられる。

(13)

D.堆積環境の深度

当地域においては一般に有効な深度指示の材料は見 当らない。 KANMERA(1964)と勘米良・古川 (1964) は,大阪間,鎌瀕および小口の各層に発達する石灰岩 は部分的に浅海成 (neritic)であり,特に小口層の集 塊岩中に含まれる石灰岩礫は''reefdebris"であり,

元来は水深40m以浅の海底火山丘上またはその上位斜 面に位置していたものであろうと報告している。

告層と大瀬層の石灰岩に見られる shellbedsは, この石灰岩が遠洋性の堆積物であることを暗示するが 深度は不明である。

筆者は,ここでは粘板岩を主体とする砕屑岩が相当 量存在することと,一部に浅海成と考えられる石灰岩 があることから,神顛層群中のチャートが深海成堆積 物である可能性は極めて小さいということだけを結論

とする。

E.シリカの挙動について'

BAILEYら (1964)はマグマと海水との反応によっ てできるシリカに富んだ熱水は急激に上昇し,通常の 海水表面温度でのシリカの溶解度 lOOppmに対して 著しい過飽和になるまで冷却されると述べた。しか し,仮に熱水の温度が100℃以上ならば,その熱水は 海水表面に到達する前に瞬間的に気化してしまい,シ リカは溶媒を失うので海底の静穏な場所にゲル状の塊 として沈澱するであろう。一方,熱水の温度が 100℃ 以下であれば, BAILEYらの述べたと同様の現象がお こるであろう。この対流の過程で,もしシリカに富む 熱水が周囲の冷水と混合されるとすれば,温度降下に よる溶解度の減少と溶媒の増量とが相殺される。これ はシリカの溶解度と湿度とが比例関係にあり (KRA‑

USKOPF, 1959),また混合希釈の際の溶液体積と温度 とが反比例関係にあることに起因する。シリカの水に 対する溶解度Sppm(海水の場合も同様)と溶液温度 t℃との間には, S4t+50の関係がある。第10図で は便宜上シリカの溶解度が0になる湿度を混合希釈の 最終点とした。図では Sb=1/2Sa, Vb= 2Vaである が, 実際には溶液温度 0°cにおけるシリカの溶解度

*  筆者は, このチャートを伴う岩石に凝灰質 カルカレナイトという名称を与え,石灰岩に伴う チャートを全てAL型と呼んだので,他のAL型 チャートと同列に置かれているが,チャートの成 因を論じる上からは,むしろ周囲の岩石を砂岩と して別の岩型を考えた方が適切であった。このチ ャートについては 1例 (T‑8)を記したが,充分な 検討をしていないので保留とした。

大 溶 液 体 積

l(  x溶液温度とシリカ 溶解度の関係

・ ・混含希釈溶液の 体積と温度の関係

Va

温 度 → 高 第10図 シリカ水溶液の混合希釈による体積,温 度,溶解度変化の関係 Sa:希釈前溶液のシリ

力溶解度, Va:同じく体積, Sb:希釈により 溶液温度が出発点と終点との中間になった時の 溶解度, Vb:同じく溶液体積

(Relationships  among solubility  of silica,  increase of volume of solution and decrease  of temperature of solution,  when the silica‑ bearing solution is diluted through mixture  with the surrounding water.  Sa: solubility  of silica of the original solution, Va: volume  of  the  original  solution,  Sb: solubility  of  silica  of  the  solution  with  intermediate  temperature of the original and final solu‑ tion,  Vb: volume of the  intermediate solu‑ tion) 

Vb 

シリカ溶解度

は約 50ppmであるから Sb>l/2Saとなり周囲の海 水中に存在するであろう数ppmのシリカを合わせて も過飽和状態にはならない。

従って,われわれは火山源岩石から溶出したシリカ の挙動を考えるにあたり,(1)温度が100℃以上のシリ 力溶液および(2)海水表面部で冷却されるシリカ溶液と いう 2つの場合を説明すれば良いことになる。前者の 場合には既述のようにゲル状シリカの直接沈澱の可能 性があるが,後者の場合には過飽和状態が生じたとし ても余剰のシリカは,その凝固速度が極めて小さいの で,綿状沈澱物(flock)として沈澱する前に,放散虫 や珪藻のようなシリカを分泌する生物が生息していれ ば,それらに吸収されてしまうであろう。

筆者は,当地域に発達する熔岩や集塊岩などを伴わ ない比較的大規模の純粋なチャート岩体は,上述した よう無機的機構で説明するには,その規模が大きすぎ

(14)

三宝山帯神瀬層群のチャート 23  るので,決してシリカの直接の無機的沈澱の所産では

ないだろうと結論する。当地域のチャートの多量性を 説明するために,われわれは熔岩や火砕岩類の海底風 化によるシリカの供給の可能性を第一に期待できる。

さらに当地域のチャートの生成に関して直接には適用 できないが,MURRAYand IRVINE(1891)によれば,珪 藻のある種はシリカを含まない水中であっても粘土質 懸濁物があれば,活動的であるといわれ,これは珪藻 が粘土鉱物を分解してシリカを吸収する能力を持つた めであろうと考えられていて,これもシリカの地球化 学的挙動を考える場合には重要な事項であろう。

VII.総 括

1.  神顧層群中にチャートの占める割合は10ないし 25%である。チャートと火山源岩石との量比(キ体積 比)は露出する限りでは1: 2ないし1: 4である。

2.  当地域のチャートは産状によって5つの岩型,

すなわち, i)他の岩石をほとんど挟在せず数10cm以 上の厚さに発達する岩体 (LB型), ii)軟頁岩薄層 と互層するチャート層(RA型),iii)石灰岩と互層す るチャート層および石灰岩中の団塊状岩体 (AL型), iv)粘板岩中の小岩体 (MB型)および V)凝灰岩ま たは粘板岩中のチャート様部分 (TR型)に分けられ る。

3.  LB型のチャートは海底火山の中心部と考えら れる所から,かなり隔った所に発達するがTRおよび RA型のチャートは火山活動の近辺に発達する。 AL 型のチャートはLB型チャートの周辺部に発達する。

4.  RA,MBおよびTR型チャートの大部分と LB 型チャートの一部は,かなり泥質で放散虫化石を豊富 に含むが, LB型のうち,純粋なものおよび`'白雲石 質 のものとAL型チャートの大半は珪質生物化石を わずかしか含まない。

5.  当地域の種々の型のチャートの成因は次のよう に要約されるであろう: a) チャートを構成するシリ 力は海底火山活動による熔岩や火砕岩類から,海水と の熱水反応や海底風化を通じて供給されたものであろ う。 b)大半のチャートは堆積時には放散虫軟泥また は海綿軟泥 (sponge‑spiculiferousooze)のような ものであっただろうが, AL型チャートは石灰岩中に 散在していた珪質生物化石から溶出したシリカを素材

とする続成作用の所産であろう。 c) LB,  RA, M B   および TR型のチャートは syngenetic(synsedi‑ mentary)であり, AL型チャートはepigenetic(続 成環境下での交代作用による)であると解される。

d)神類層群中のチャートの堆積環境はまだ不明な部 分が多いが,日本のペルム紀・トリアス紀の堆積物中 最も外側を占める海底火山帯に沿う地帯で,少くとも 一部は浅海 ,(neritic)である。

引 用 文 献

BAILEY, E. H~ ~ IRWIN, 

w. 

P.  and,JONES, D.  L.  (1964):  F ・. ranciscan. and related ・ rocks and  their significance  in the  geology  of  western  California.  Bull.  183,  California  Div.  of  Mines and Geology.  177p. 

CALVERT,  S.  E.  (1966):  Accumulation  of  dia‑ tomaceous silica in the sediments of the Gulf  of California.  Geo!.  Soc.  Am. Bull., 11, 569 

596. 

DAVIS,  E.  F.  (1918):  The radiolarian cherts of  the  Franciscan  group.  Univ.  Calif.  Pub!.  Dept.  Geo!.  Sci.  Bull.,  11,  235,...,,̲,432. 

FAGAN,  J.  J.  (1962):  Carboniferous  cherts,  turbidites,  and volcanic rocks in the northern  Independence Range,  Nevada.  Geo!. Soc. Am. 

Bull.,  13,  595,...,,̲,612. 

井上雅夫(1967):珪藻質堆積物の続成作用.堆積学の 諸問題,日本地質学会等討論資料, 231,...,,̲,235. lw Ao.  S.  (1955):  Petrographic  characters  of 

some  bedded  chert  of  Permo‑Carboniferous  formation in Japan.  Sci.  Rep.  College General  Educ.,  Univ.  Tokyo,  5,  55,...,,̲,66. 

KANMERA, K.  (1964):  Triassic  coral  faunas  from the Konose Group in Kyushu,  with notes  on stratigraphy, by KANMERA and FURUKAWA. 

Mem. Fae.  Sci.  Kyushu Univ・,[D〕,15, 117  147,  pls.  1219. 

勘米良亀齢・古川博恭(1964):上部ペルムートリアス 系神瀬層群.九大理研報,[地質J, VI,  237,...,,̲,258.  MACKENZIE,  F. T.  and GARRELS, R. M. (1966) 

: Silica‑bicarbonate balance in  the  ocean and  early diagenesis. four. Sed.  Petrology,  36,  1075 

1084. 

MURRAY, J.  and  IRVINE, R. (1891):  On silica  and  the  siliceous  remains  of  organisms  in  modern seas.  Proc. Roy. Soc.  Edin., 18,  229‑‑‑‑‑ 250. 

PETERSON,  M. N.  A.  (1965):  Chert:  Modern  inorganic deposition in a carbonate‑precipitat‑ ing locality.  Science,  3961,  1501,...,,̲,1503.  PITTMAN,  J.  S.  (1959):  Silica in Edwards lime‑

sone,  Travis  County,  Texas.  in  Silica  in  sediments.  Soc.  Econ.  Paleontologists  and  Mineralogists,  Special Publ.,  (7),  121,...,,̲, 134.  坂口重雄(1959):丹波地帯南部に発達するチャートの

形態と成因に関する考察. 大阪学大紀要, [自然科 学〕,(8),4759. 

SHOJI,  R. (1967):  Occurrence and petrographical  studies  of  Paleozoic  chert  of  the  Western 

(15)

Ashio‑mountain, Japan. Jubilee Publ. Commem. 

Prof.  Sasa,  60th Birthday,  171...,183,  pis. 5...,  7. 

STRAKHOV,  N.  M.  (1967):  Some aspects  of  geochemistry  of  silica  (transrated  from "0  nekotory kh voprosakh geokhimii kremnezema",  introduction to Geokhimiya kremnezema:  N. 

M.  Strakhov,  Executive  Editor.  "Nauka" 

Press,  Moscow,  1966,  422p.).  International 

Geol.  Rev., 9,  25,.‑....,29. 

SWARBICK,  E.  E.  (1967):  Turbidite cherts from  Northeast Devon.  Sedimentary Geo!., 1, 145,...̲,  157. 

TARR, W. A.  (1938):  Terminology of the・  che‑ mical siliceous sediments.  Rept. ・ Comm. Sed.,  1937,...̲,1938,  Nat.  Research Council,  8,.‑....,27.  吉村豊文(1942):マンガン読本. 鉱政会, 東京, 205

p. 

(16)

中 尾 征

三 宝 山 帯 神 瀬 層 群 の チ ャ ー ト

第 4   6 図 版

(17)

神瀬層群中のチャートの露頭写真 (Occurrenceof chert of the Konose Group)  1,  LB型,塊状チャート.大阪間層.熊本県球磨郡球磨村大阪間,球磨川左岸川原

(LB‑type,  massive chert.  Ohsakama formation.  Left bank of the Kuma River,  Ohsakama,  Kuma Village,  Kuma‑gun,  Kumamoto. Pref.) 

2.  A L型,層状チャートの風化面.大阪間層.場所は1に同じ (AL‑type,  weathered surface.  Locality is  the same as 1) 

3.  A L型,団塊状および板状チャート. リボン状に発達しているのは9ドロマイト.小口層.熊本県芦北郡 芦北町小口,球磨川左岸川原

(AL‑type, nodular and platy chert associated with ribbon‑shaped dolomite‑bearing limestone.  Koguchi  formation.  Left bank of the Kuma River,  Koguchi,  Ashikita‑cho,  Ashikita‑gun,  Kumamoto Pref.) 

4.  団塊状チャートを伴う層状石灰岩(層間に緑色凝灰質薄層をはさむ.石灰岩の一部はバイオミクライト の砕屑物を主体とし少量のチャート粒を伴う粗粒のカルカレナイトである).鎗倒層.芦北町鎌瀕の東方

(球磐川右岸道路沿い)

(Nodular chert assoiated with bedded limestone alternated  with  green  tuffaceous  seams.  A part of this limestone is calcarenite chiefly composed of fragments of biomicrite and chert.  Yaritaoshi formatin.  East of Kamase,  Ashikita‑cho) 

(18)

九州大学理学部研究報告(地質学)第10 第1号 第4図版

1  0  2m 

中尾征三:神瀕層群のチャート

2  4 

(19)
(20)

第 5  図

(21)

1‑3.  チャートの露頭写真 (Occurrenceof chert of the Konose Group)  1.  R A型 小口層.芦北町小口の東方対岸(球磨川右岸)

[RA‑type. Koguchi formation. East of Koguchi, Ashikita‑cho (Right side of the Kuma River)]  2.  M B型,粘板岩中の団塊状チャート.球磨村蔀の南方.小口層

(MB‑type,  nodular chert associated with slate.  Koguchi formation. South of Shitomi, Kuma  Village) 

3.  A L型,凝灰質カルカレナイト中のチャート層.芦北町鎌顛の東方対岸.告層

[AL‑type,  chert layer associated  with  tuffaceous  calcarenite.  Tsuge formation.  East  of  Kamase,  Ashikita‑cho (Right side of the Kuma River). 

4‑6.  石灰岩およびチャートの顕微鏡写真. 5.6の縮尺は共通. 4は勘米良亀齢撮影

(Photomicrographs  of  chert and limestone of  the  Konose Group.  Scale  is  common to 5  and 6) 

4.  浮遊性(?)二枚貝の殻を多量に含む石灰岩.大瀕層.球磨村大瀬の北方

(Limestone with numerous shells of planktonic (?)  pelecypods,  Ohse  formation.  North of  Ohse,  Kuma Village) 

5.  L B型,純粋なチャート (Os‑3)中の玉露髄集合体と微晶質石英(直交ニコル)

[LB‑type,  aggregation of  chalcedony and microcrystalline quartz  in  pure  chert  (Os‑3),  Nicols crossed. 

6.  L B型,白雲石質チャート (Ks‑34) [LB‑type,  "dolomitic "chert(Ks‑34) 

(22)

九州大学理学部研究報告(地質学)第10巻 第1 5図版

3  4 

5  6  ゜ 1mm 

中尾征三:神瀕層群のチャート

(23)
(24)

第 6 図 版

(25)

1‑6.  チャートの顕微鏡写真.縮尺は共通

(Photomicrographs of chert of the Konose Group.  Scale is  common to all)  1.  R A型,チャート層中のラミナ(第8図のL)

[RA‑type,  lamina (L in Fig.  8)  in a chert layer] 

2.  A L型,チャートと石灰岩(ミクライト)の境界部分.試料番号 Ko‑5‑1 [AL‑type,  boundary between chert and limestone  (micrite),  Ko‑5‑1] 

3.  T R型,凝灰質基質のヽ放散虫岩 (Ks‑46)

[TR‑type,  "radiolarite" with tuffaceous matrix (Ks‑46),] 

4‑6.  T R型 (Ks‑125), 泥質基質量と放散虫化石の輸郭保存の関係を示す. 4から6に向い基質の減量と 共に保存が悪くなっている

[TR‑type (Ks‑125),  showing obliteration of outlines of radiolarian remains.  The outline of  radiolaria is  obscure in Figs.  5 and 6,  in which muddy matrix is  poorly developed] 

(26)

九州大学理学部研究報告(地質学)第10巻 第1号 第 6図版

3  2  4 

5  6  ゜ 1mm 

中尾征三:神瀬層群のチャート

参照

関連したドキュメント

岩手県 ポワッソン・ブラン - 洋食専門店が作業効率改善により取組む新テイクアウト商品の開発 岩手県 有限会社幸楼

いかなる保証をするものではありま せん。 BEHRINGER, KLARK TEKNIK, MIDAS, BUGERA , および TURBOSOUND は、 MUSIC GROUP ( MUSIC-GROUP.COM )

岩内町には、岩宇地区内の町村(共和町・泊村・神恵内村)からの通学がある。なお、岩宇 地区の高等学校は、 2015

第四系更新統の段丘堆積物及び第 四系完新統の沖積層で構成されて おり、富岡層の下位には古第三系.

づくる溶岩を丸石谷を越えて尾添尾根の方へ 延長した場合,尾添尾根の噴出物より約250

・ シリコンシーリングを行う場合、ア クリル板およびポリカーボネート板

岩沼市の救急医療対策委員長として采配を振るい、ご自宅での診療をい

敷地と火山の 距離から,溶 岩流が発電所 に影響を及ぼ す可能性はな