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会議参加記 137

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Vol.26 No.2 原子力バックエンド研究

会議参加記

137

国際会議『Goldschmidt2019』参加報告

渡邊保貴*1 横山信吾*1 新橋美里*1

2019年8月18日から8月23日にかけて,地球化学関連 の国際会議「Goldschmidt2019」がスペイン・バルセロナに て開催された.本会議は,地球化学に関連するトピックを 幅広く包含している.地表・地殻・マントル・火山などを 対象に,原子・結晶レベルの議論もあれば,地形や物質移 行を扱うような巨視的挙動の議論も多数行われる.地表水 や地下水,風化や侵食,微生物反応,セメント系材料とい った観点でも研究成果が多数報告される.その中で深層開 発は参加者の多くが関心を持つプロジェクトの一種であり,

放射性廃棄物処分もこれに含まれる.今回,著者らは,放 射性廃棄物処分関連の研究成果を発表する機会を得て本会 議に参加することができた.

セッション大分類の1つに「Minerals and Energy for High Tech Societies」が設けられていた.ここでは,鉱物やエネ ルギー資源の新しい活用と社会基盤の拡張を意識した,現 象理解をはじめ理論・モデル・評価手法についての研究発 表が集められていた.二酸化炭素地中貯留や鉱山廃棄物,

そして,放射性廃棄物処分に関連する内容が目立っていた ように思う.セッション小分類として「Geochemical and Mineralogical Investigations Relevant to The Nuclear Fuel Cycle: Insights from Experiment, Theory, and Modelling」が設 けられており,地球化学分野において核燃料や放射性廃棄 物処分に対する関心が強いことが伺えた.

上記セッションでは,はじめに,ドイツの Institute of Energy and Climate ResearchとベルギーのSCK・CENの連 名による基調講演があった.この中で,処分概念と欧州諸 国の事業進捗についての概略,廃棄体腐食,これに関連す る核種移行に関する実験とモデリングが紹介された.米国 のSandia National Laboratoriesからは,ユッカマウンテン処 分計画の経緯やDeep borehole disposal(~5,000m)につい ての発表があった.後者については,高温・高圧・水質を 考慮した物質移行の計算に精力的に取り組んでいたことが 印象的であった.スイスの Paul Scherrer Institute と Bern

Universityは,セメントとモンモリロナイトの相互作用試験

において,中性子ラジオグラフィを用いた水分分布計測か ら 変 質 に よ る 間 隙 率 の 変 化 を 議 論 し て い た . 米 国 の Stanford UniversityとスペインのAmphos 21 Consulting SLは,

サイト選定に向けて,Multi-scale, multi-criteria evaluation

(MSMCE) of sitesと称して,異なった地質環境の比較を行

うためのフレームワークを検討していた.処分概念ごとに 熱・水・力学・化学条件に対する感度を考慮し,地質環境 のデータセット同士を数学的に比較するものであった.

スイスのMont-Terri地下研究所では,NAGRA主導のも

と,セメント-粘土相互作用の原位置試験を国際共同研究 として進めており,これの成果も報告されていた.スペイ

ンのIDAEA-CSICでは,種々の元素の拡散に着目した原位

置試験の再現解析を行っており,イオン強度や粘土粒子表 面電荷の影響を考慮したモデリングが紹介された.これに 類似した取り組みとして,米国の Los Alamos National

Laboratory より,粘土岩-ベントナイト-セメントの熱水

相互作用試験の結果が報告された.最高 200℃の環境にお けるベントナイトの変質を分析した内容であった.

著者らも本セッションで人工バリア中の物質移行に関連 する研究成果を発表した.人工バリアを構成するベントナ イトに移行抑制機能を長期間期待するためには,モンモリ ロナイトを含むベントナイト構成鉱物の変遷を精度良く予 測することが重要になる.とくに,ベントナイト-セメン ト相互作用を考慮すると,高pH環境における鉱物の溶解 や二次生成物の沈殿を速度論で評価する必要がある.著者 らは,こうした速度論的評価のための室内実験と地球化学 反応-物質移行連成解析の結果を発表した.国際的に著名 な研究者を含め多くの専門家と,データの解釈や今後の展 開についてディスカッションができ,これを通じてコネク ションが生まれたことは有意義な収穫であったと思う.

また,本会議において,参加者のさまざまな専門や興味 に 横 串 を 通 す よ う な セ ッ シ ョ ン 「Nano to Microscale processes」が設けられていたことは個人的に印象深い.フ

ランスのISTerre Universityでは,セメント硬化の初期段階

におけるナノサイズのC-S-H(Calcium silicate hydrate)に よるコロイド形成過程を調べていた.これは,放射性廃棄 物処分におけるベントナイトの変質や核種移行を議論する うえでも重要な現象である.米国のPrinceton Universityで は,粘土粒子群の圧縮過程における粒子配向や局所的な水 分移動を分子動力学でシミュレーションしていた.ベント ナイトの締固め,透水,膨潤といった巨視的挙動を深く理 解するうえで非常に参考となる発表であった.

こうした会議への参加を通じて,放射性廃棄物処分以外 の分野における類似・関連事象の気づきと理解が処分研究 の発展と信頼性向上につながることを強く感じた.ここで 得られた視点を忘れることなく,今後の研究と事業支援に 活かしたいと思う.

末尾に余談となるが,本会議のロゴはガウディのドラゴ ンがモチーフになっているようであった.会議ウェブサイ ト(https://goldschmidt.info/2019/)を参照いただきたい.ガ ウディ建築に限った話ではないが,垣間見えるバルセロナ の景色はとても美しく,いつか家族とゆっくり来たいと思 える地であった.

Report on the international conference, “Goldschmidt2019” by Yasutaka WATANABE ([email protected]), Shingo YOKOYAMA and Misato SHIMBASHI

*1 一般財団法人 電力中央研究所

Central Research Institute of Electric Power Industry

〒270-1194 千葉県我孫子市我孫子1646

参照

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