Newsletter of the National Museum of Modern Art, Tokyo [Jun.-Jul. 2013]
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新
し い コ レ ク シ ョ ン
桂 盛仁(1944- )
《盒子 蟹》
1980年
彫金・四分一、金消
高さ3.5, 幅9.5, 奥行7.0cm
平成24年度寄贈
館 のコ レ ク シ ョ ン の 基幹 は ︑ 一九 七
七年
の
工芸 館 開 館 時 等
に
文化庁
から
移管
された
伝統 工
芸 の
作品群
によ っ
て 形成 され ました ︒ 特 に 金工 は ︑ さま ざま
な 金属 素 材 にあわせ て
創意 工 夫 された 伝
統 の
技術
が
高度
に 揮 われて い ます ︒ なか
でも ︑ 小
こ柄
づ
や 目 貫
かめぬ
とい っ た
き
江戸 時 代
の 刀
装金 具 の 流 れをくむ 彫金 技法 を 継承 し 発
展 させた
装身具
でし ょう ︒ わず か 数 セン
チ
四方 の 銀 ︵ 四
し分
ぶ一
いち︶ や 銅 の
地金
に 揮 われ
た ︑
各種 の 鏨
たがねによる
精緻
な
造形
と
金銀
や
多彩
な 銅 の
合金
︵ 色
いろ金
がね︶ の 象
ぞ
嵌
うが
や 金消 ︑ 鍍
んと
金
き
による
ん
色彩豊
かな
表現
︑ そし て
昆虫
や
小動物
︑ 花 ・
植物等
を
主題
として
写実的
でし ゃ れ た
構成意匠
と
現代的
な
感覚
とで
表 された
小金 具
は
伝統
の 粋 といえ ま す ︒
当館
では ︑
近代
の
名工 と 称 された 豊
と
川
よか
光
わみ
つ
長
な
・ 桂 光
がかつらみ
春
つは
に 連 なり ︑ 桂 盛
るかつらも
行
りゆ
・ 鴨
きか
下
もし
春 明
たしゅんめ
い
の 帯留 や 香合作品 が 開館時 の 移管 によ っ
て
収蔵
され ました ︒ そし て 一九 八一年 度
と 一九 九 二 年 度 に ︑
桂光春
に
師事
し
戦前
の 帝展 や 新文展 ︑ 戦後 の 日展 を 経 て 日本
伝統 工 芸 展 で 傑出 した 活躍 を 示 した 大
お
木
おき
秀
ひ
春
では
の
る
帯留
やブ ロ ー チ 等 の
装身具
が
多数
寄贈 された こ とによ っ て ︑ 伝統 の 彫金 によ
る
現代的
な
造形作品
のす ばらし さが 明 ら
かに な り ま し た ︒
今回
の
桂盛仁
の
彫金作
品 はそれ 以来 のこと と な り ま す ︒
桂盛仁 は ︑ 一九 四 四 年 東 京 都 生 まれで ︑
父 ・ 盛行 に 早 くから 師事 して 修業 し ︑ 日本
伝統 工 芸 展等
で
活躍
して き ま した ︒
父同
様 に 刀装金具 の
古典
の
伝統
を 踏 まえ ︑ 打
出 しや 鮮麗 な 色金 と 色絵等 の 技法 を 駆使
した
制作
で ︑
身近
な
小動物
や
植物
を 主題
に 新 たな 造形表現 の 可能性 を 押 し 広 げて
いま す ︒ 二
〇〇 八年 重要 無形文
化 財 ﹁ 彫
金 ﹂ 保持者 の 認定 を 受 けま し た ︒
今回 ︑ 硬 い 四分 一 ︵ 銅三 に 銀一 の 合金 ︶ を 打出
した 愛 らし い カ ン ガ ル ー の 抓 みを つ
け ︑ 胴部 にシ ル エ ッ ト で 原野 を 跳 ねて いく
カン ガル ー を 表 した 作品 ︽ 打出 し 香爐 躍 ︾
︵ 一九 九 七 年
︶ ︑ 赤 銅
しゃくど
や 緋 銅
うひど
︑ 青
うあ
金
おき
とい っ た
ん
色金 を 鮮 やか に 用 いた ︽ 帯留金 具 磯 の 木 ︾
︵ 一 九九九年 ︶ や ︽ 帯留金 具 めだ か
︾ ︵
二
〇〇
三年 ︶ とともに ︑ それらより 少 し 以前 の 制
作 である 本作 ︽ 盒子 蟹
︾ ︵ 一九 八
〇
年 ︶ の 四
点 の
寄贈
を 受 けま し た ︒ いず れも
桂盛仁
がよ く 取 り 上 げる
題材
であ り ︑
伝統
の 技
法 の
卓越
さと ︑
表現
として
生命
の 喜 びに
感 じ 入 るよ う な 自然観 とが 満 ちて います ︒
香 を 入 れる 容器 の ︽ 蟹 ︾ は ︑ 金消 の 潮干 に
はい 出 して き た 蟹 をわ ずか
六五
ミリ の 幅
で 細 やか に ︑ じつに 写実的 な 制作 としたも
ので す ︒ 四分 一 を 用 いた 蟹 の 面相 や ︑
ハ サ
ミと ツ メ の
精細
な
打出
しと 黒 みの
赤銅
や
緋色 の 銅 ︑ 金 の 象嵌 など ︑ 若 さな りにやや
技巧的
です が ︑
力量
の 確 かさ と
主題
の 興
趣 さを うかが わ せ て います ︒ 第二 十 七 回日
本伝統 工 芸 展 へ の 出品作 です ︒
︵ 工芸 課 主 任 研 究 員 諸山正則 ︶ 桂
かつら
盛
もり ひと
仁
︽ 盒 ごう子
す蟹
かに︾ 当