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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名 今 田 省 吾

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Academic year: 2021

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((別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 今 田 省 吾

審 査 委 員

主 査 山 中 典 和 ◯ 副 査 井 上 光 弘 ◯ 副 査 片 桐 成 夫 ◯ 副 査 川 口 英 之 ◯ 副 査 坪 充 ◯

題 目 Studies on growth characteristics of Populus alba under different water table depths and salinity levels

審査結果の要旨(2,000字以内)

乾燥地域では、塩性化した土地の拡大が問題となっている。土地の塩類化は作物生産 の低下を引き起こすために、農業利用には塩性土壌の改善が必要である。塩性土壌の改 善には様々な方法が試みられているが、多年生植物(特に樹木)の植栽による地下水位 の制御は、現在注目される改善方法の一つである。この方法は、初期投資が少なく、持 続的可能とされる。しかし、現地の環境に適さない樹種の植栽は土壌環境の劣化を引き 起こす可能性がある。したがって、適切な植栽種の選択が重要な課題となっている。し かし、塩性土壌に植栽可能な樹木の生育特性に関する情報は少ないのが現状である。

本研究は、中国の乾燥地に生育し、比較的耐塩性が高いとされる樹木の一種であるウ ラジロハコヤナギ(Populus alba L.)に焦点をあて、異なる地下水位や塩分条件下での 生育特性に関する基礎的情報を得る目的で行われたものである。

なかでも、塩性環境の特徴である高地下水位および高濃度の土壌塩分に対する本樹種 の環境順応性を細根の成長や働きから明らかにすることや、本樹種植栽による土壌環境 への影響を評価するための調査(年間塩分(特に Na)吸収量、蓄積量、及び回転量等)

に重点を置いた研究内容となっている。

細根は土壌資源の獲得に重要な器官であるが、水位変動下におけるその成長に関する 報告は少ない。そこで、まず、異なる水位条件下において 1 年生のP. alba苗木を 90 日 間生育させ、植物体の成長量および現存量を調べた。本実験では、特に細根の成長に重 点を置いた解析を行った。その結果、苗木の細根成長の垂直分布は水位の高さに依存し て変化する一方、水位の高さに関係なく、根長と総現存量との間には高い正の相関が認 められることを明らかになった。これらの結果は、細根の成長が総現存量を制御する可 能性を示唆している。

次に、水位変動条件下において苗木を 45 日間生育させ、細根の現存量、枯死量、及び 植物体の現存量を測定した。その結果、水位を変動させた処理区において細根の枯死割 合が有意に増加する一方、細根の現存量および植物体の総現存量は処理区間で変化しな

(2)

いことが明らかとなった。これらの結果は、根系レベルでの細根量の維持が総現存量を 維持する一因となったことを示唆し、この細根の維持機構が、水位変動下における本樹 種の重要な適応能力の一つと考えられた。

最後に、異なる塩水灌漑条件下において P. alba 苗木を生育させ、苗木の耐塩性機構 を調査した。その結果、Na の配分は根において植物体の Na 蓄積量の 90%と非常に高く、

この根への Na 区画化の能力が本樹種の重要な耐塩性メカニズムの一つであることを明ら かにした。また、1 年間の Na 動態を調査した結果、吸収した Na 量の約 88%が植物体内に 蓄積されることも明らかになった。

以上から、本研究は、異なる地下水位や塩性条件下におけるウラジロハコヤナギの生 育特性を特に細根の成長や機能の面から明らかにするともに、塩性環境下へのウラジロ ハコヤナギの植栽を通じた、塩分動態の仕組みを明らかにしたものと評価できた。

よって当論文は、乾燥地緑化樹種の生理・生態学的特性の1分野を明らかにした、優れ たものであると認められた。 審査委員会は、本研究の内容とその成果を評価し、学位論 文として十分な価値があるものと判断した。

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