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学 位論文審査の要旨      主査

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 農 学 ) 行 本 学 位 論 文 題 名

耕うん作業を行う自律移動ロボットに関する研究 学位論文内容の要旨

  本 論 文 は6章 で 構 成 さ れ , 表38, 図78,引 用 文献133編を 含む198頁の 和文 論文 で あり ,別 に10 編の参考論文が添えられ ている。

  将来の日本農業は,経営規模の拡大による生産コスト低減,農産物の高付加価値化による収益性向上,

といった方向に向かうも のと考えられる。大規模経営 における生産コストの低減には,農業機械の自動 化・無人化による労働コ ストの圧縮が不可欠である。 これらの前提から本研究は,作業機操作の自動化 を意図して,1枚の圃場に 対する作業経路計画のよう な企画・管理の一部を併せて 自動化し,かつ車両 操作の完全無人化を図り ,飛躍的な労働コストの圧縮 と快適な農作業の実現を目標としたものである。

得られた成果は次のよう に要約される。

1.無人作業システム

  これまでに行われた車 両系農業機械の自動化は,主 に作業機の調整を自動化したものであり,走行操 作の自動化例は極めて少 なく,作業経路計画などの自 動化は例を見ない。また既往の無人走行研究にお いても,作業経路計画や 枕地の処理までを含めた無人 作業システムを試作・供試して,実際の圃場一面 を全て処理した例は見ら れない。そこで改めて作業経 路計画や枕地の処理までを含めた無人作業を実行 する際の条件を検討した 結果,環境変化の激しい条件 下で柔軟に対応しうるシステムの構築が必須であ る点が確認された。

2.ロボット車両

  無人作業を実行する自 律移動ロボットには,人間に 近い全ての機能要素が必要である。農業分野は単 に作業の場が環境変化の 激しい屋外であるぱかりでな く,コスト面や使用者の専門度合など他の産業分 野とは異なる使用条件が あり,ロボット車両の開発に 際しては当初より低コスト化や信頼性・取扱い性 に対して充分な配慮を行う必要がある。これらに配慮して設計を行った結果,試作したロボット車両は,

重大な卜ラフシレが発生することなく百数十時間にわたって航法装置や作業ソフトの試験,システムの評 価などに供試され,制御性能,耐候性,信頼性の点で十分に満足できる性能を発揮することを実証した。

3.航法システム

  自 律移 動ロ ボ ット の基 幹構 成要 素 であ る航 法装 置 は,100mx100m以 上の 区画 で 車両方位検出誤 差 0.1° 以 下,位 置検出誤差5cm以下を目標と する必要があることを示し た。航法システムには各種の 方 式が考えられるが,車両 のロールやピッチに対する誤 差補正を前提に,

  1) 安 価 で ド リ フ ト 誤 差 の 少 な ぃ 地 磁 気 方 位 セ ン サ に よ る 車 両 方 位 検 出 シ ス テ ム ,     ‑ 206―

(2)

  2) 累積誤差の心配がない外部 標識方式による車両位置検出 システム,

が適 当であることを見いだした。

試 作し た 車両 方位検出システムでは ,適切な磁気環境補正および 傾斜補正法を開発し,再現 性精度約 03゜ を確保し,自律移動ロボット に適用可能との結論を得た 。

  同じ く 試作 した 位置 検 出シ ステ ムで は,データサンプリング 周期0.52秒,位置検出誤差4.6cmを確 保し ,ターゲットの追尾性能に改 良の余地が見られたが,外 部標識トラバース方式が適切であることを 実証 した。最終的には,市販の自 動追尾機能を有するトータ ルステーションを利用してシステムを構成 し た。 こ のシ ステムは,約500m離れ た地点から所定の軌道に対し て土5Qn以内の誤差で,約0.5sの周 期で 車両位置計測とロボット車両 へのデータ伝送が可能であ り,自律移動ロボットに充分適用可能であ ると の結諭を得た。

4.車 両制御アルゴリズム|

  車 両方位検出システムのみを用 いた圃場全面作業ソフトを開発した結果,O.5n仏程度の走行速度で一 応の 無人作業が可能であり,位置 情報が得られる他の航法装 置を併用したシステムにおける補完システ ム ,有 人 運転 の際 の部 分 的自 動直 進制 御, と いっ た場 面で この 方法が実用化できることを 示した。

  さ らに車両方位検出システムと 位置検出システムを併用し た圃場全面作業ソフトを開発した。このソ フト では・

  1)1枚 の 圃 場 に つ い て 導 入 時 に1回 , テ ィ ー チ ン グ 走 行 に よ っ て 圃 場 区 画 情 報 を 得 る ,   2) こ れ を も と に 往 復 作 業 と 周 り 作 業 を 組 み 合 わ せ た 作 業 経 路 を 自 律 的 に 生 成 す る ,   3) こ の 経 路 に 沿 っ て 無 人 走 行 す る よ う 車 両 各 部 を 制 御 す る が , こ の 制 御 部 分 で は , タ     ス ク を 直 進 制 御 ,18ぴ 旋 回 制 御 ,900旋 回 制 御 , 幅 寄 せ 制 御 な ど に 分 割 す る , こと とした。最終的に適切な制御 アルゴリズムを構築するこ とによって,O.1〜llln仏の速度範囲内で 枕地 の処理を含めた完全無人耕う ん作業が行えることを実証 した。

5.自 己診断機能

  開 発した自律移動ロボットシス テムが,変化の激しい圃場 内で機器の故障や車両のすべり,ダッシン グな ど不測の事態に至っても安全 にかつ安定的に高い信頼性 のもとで柔軟に作業を続行できるよう,作 業前 に行う自己診断機能や無人作 業中に機能する異常時対応 機能を提案・開発した。各種圃場における 実 証 試 験 を 通 じ て こ れ ら の 機 能 が , 作 業 の 円 滑 な 遂 行 に 有 効 で あ る こ と を 確 認 し た 。 6.自 律移動ロボットシステム

  自 律移動ロボットシステムの性 能を的確に評価するために ,省力効果と車両制御性能を評価しうる無 人作 業機械の試験・評価方法を策 定し,実証試験を行った。 その結果,作業能率,及び残耕や既耕地へ の踏 み込みなどの作業精度は慣行 作業並であるが,直進時の 平行度や蛇行に関しては自律移動ロボット は有 人運転による慣行作業を上回 る能カを示すことを実証し た。

  以上,本論 文は,農業現場の特性に配 慮し,安定的な作業を遂行するための機能を有する車両系農業 機械のロボッ ト化によって,耕うん作業 の完全無人化が,慣行作業と同等以上のレベルで可能であるこ とを実証した ものである。

    ―207―

(3)

学 位論文審査の要旨      主査

     副査      副査      副査

耕うん作業を行う

   教授   寺尾日出男    教授   高井宗宏

   教授   嘉数侑昇(工学研究科)

   助教授   野口   伸 学位論文題名

自律移動ロボットに関する研究

  本論文は6章で構成され,表38,図78,引用文献133編を含む198頁の和文論文であり,別に10編 の参考論文が添えられている。

  将来の日本農業は,経営規模の拡大による生産コス卜低減,農産物の高付加価値化による収益性向上 などの方向をめざすものと考えられる。  大規模経営における生産コストの低減には,農業機械の自動 化・無人化による労働コストの圧縮が不可欠である。これらの前提から,本研究は作業機操作の自動化 を意図して,1枚の圃場に対する作業経路計画のような企画・管理の一部を併せて自動化し,かつ車両 操作の完全無人化を図り,飛躍的な労働コストの圧縮を目標としたものである。得られた成果は次のよ うに要約される。

1.無人作業システムの構築

  既往の研究では,無人作業システムを試作・供試してシステムして作業経路計画や枕地の処理までを 含めた,実際の圃場一面を全て処理した例が見られないことを示し,これらを実行するためには環境変 化 の激しい 条件下で柔軟に対応しうる無人作業システムの構築が必須であることを提案した。

2.ロボット車両

  無人作業を実行する自律移動ロボットには,人間に近い全ての機能要素を必要とするが,農業分野 では他産業分野とは異なる使用条件があり,開発に際しては当初から低コスト化や信頼性・取扱い性に 対する充分な配慮を行った。その結果,試作したロボット車両は(試作饑は)重大なトラブルが発生す ることもなく航法装置や作業ソフトの試験、システムの評価などに供試され,制御性能,耐候性,信頼 性の点で十分に満足できる性能を発揮することを実証した。

3.航法システム

  自律移動ロボットの基幹構成要素である航法装置には各種の方式が考えられるが,車両のローリング 挙動やピッチング挙動に対する誤差補正を前提に,O安価でドリフト誤差の少なぃ地磁気方位センサに よる車両方位検出システム,◎累積誤差の心配がなぃ外部標識方式による車両位置検出システムが適当 であることを見いだした。

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  試作した車両方位検出 システムでは,適切な磁気 環境補正および傾斜補正法を開発し,再現性の精度 は約O.3゜を 確保し た。また,同じく試作した車 両位置検出システムでは, 最終的に約500m離れた地 点から所定の軌道に対し 土5 cm以内の誤差で,約0.5sの周期で車両位置計測を行うことが可能であり,

自律移動ロボットに適用 可能との結論を得た。

4.車両制御アルゴリズ ム

  車両方位検出システム のみを用いた圃場全面作業 ソフトを開発した結果,O. 5m/s程度の走行速度で 一応の無人作業が可能で あり,位置情報が得られる 他の航法装置を併用したシステムにおける補完シス テム,有人運転の際の部 分的自動直進制御,といった作業面でこの方法が実用化できることを提示した。

  さらに,車両方位検出 システムと車両位置検出シ ステムを併用した圃場全面作業ソフトを開発した。

このソフトでは,ティー チングによって得られた圃 場区画情報をもとに往復作業と周り作業を組み合わ せた作業経路を自律的に 生成し,かつ適切な車両制御アルゴリズムを構築してO. 1〜1. Im/sの速度範囲 内で枕地の処理を含めた 完全無人耕うん作業が行え ることを実証した。

5.自己診断機能

  開発した自律移動ロボ ットシステムが,変化の激 しい圃場内で機器の故障や車両のすべり,ダッシン グなど不測の事態におい ても安全にかつ安定的に高 い信頼性のもとで柔軟に作業を続行できるよう,自 己 診 断 機 能 や 異 常 時 対 応 機 能 を 開 発 し , そ の 機 能 が 有 効 で あ る こ と を 確 認 し た 。 6.自律移動ロポットシ ステム

  自律移動ロボットシス テムの性能を的確に評価するために,無人作業機械の試験・評価方法を策定し,

耕うん作業による実証試 験を行った。その結果,作 業能率および残耕などの作業精度は有人運転による 慣行作業なみであるが, 直進時の平行度や蛇行に関しては自律移動ロボットは有人運転による´慣行作業 を上回る性能を有するこ とを実証した。

  以上のように, 農業現場の特性を考慮し, 車両系農業機械のロボット化によって完全無人耕うん作業 が従来の有人運転 による慣行作業と同等以上 の作業性能を確保できることを実証した本研究は,学術的 にも高く評価され,また実用面にも貢献するところが大であると評価された。よって,審査委員一同は,

行 本 修 が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 充 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

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参照

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