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学 位論文 審査の要旨 主査

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 本 島 貴 之

学 位 論 文 題 名

多様な不均質性を有する岩盤内における 地下水流動評価手法に関する研究

学位論文内容の要旨

  近年,原子力発電の利用はェネルギーの安定供給,地球温暖化対策の両面から拡大状況にあり,原 子力発 電に伴い発生する放射性廃棄 物の処分についても事業者,規制の両観点から議論が進んでい る状況である.放射性廃棄物処分施設の安全評価を行う際には,広範囲にわたる処分場全域において 地質環 境に不確実性が含まれること や,数万年以上という一般土木構造物とは異顔るオーダーでの 性能評価が必要とされることから,説明性の高い評価手法の適用が望ましいと考えられる.また,放 射性廃棄物処分施設の安全評価にあたっては,廃棄物が地下水中に溶出し,処分施設周辺の地下水流 れに沿 って移行して人間環境に達す る際の被ぱく線量を評価するシナリオ,いわゆる地下水シナリ オと呼ばれるシナリオを基本として評価が行われる見込みである.そのため,放射性廃棄物処分施設 の安全 評価を行う際に,不均質性を 有する地盤や岩盤を適切に評価する技術の開発及び向上が今後 より重 要を課題とぬるものと考えら れる。

  以上 を背景とし,本研究では放射 性廃棄物処分施設の建設および安全評価を行う際の,岩盤の地 下水流 動現象並びに物質の地下水中 の移行現象に着目し,それらの現象のモデル化並びに原位置で 得られ た計測データを用いた解析の 実施を目的とする.岩盤中の地下水流動問題を考える際の岩盤 のモデ ル化手法は,岩盤自体を不連 続媒体としてモデル化する手法と連続媒体と見極してモデル化 する手 法に大別されるため,本研究 においても2種類のモデル化 手法に着目し,不均質性を有する 岩盤の モデル化技術,地下水流動評 価技術及び物質移行評価技術の開発と向上を目的として検討を 行った ,

  第1章 は,本研究の諸論として, 放射性廃棄部処分施設周辺の 地下水挙動評価教らびに安全評価 を行うに当り,高い精度で地下水挙動を評価するための解析技術の必要性および,その問題点につい て示すことにより,本研究の目的とする所を明らかにしたものである.このため,我が国において実 際の放 射性廃棄物処分施設を念頭に 実施された地下水評価に関 する研究とその問題点につい て示 した.

  第2章は ,岩 盤を 不 連続と見教し て評価する手法のーつであ る不連続亀裂ネットワークモ デル (DFNモ デル)の構築手法に着目して 検討を行った,

岩盤中の亀裂は,岩盤のカ学的特性及び水理学的特性を支配し,放射性廃棄物処分の安全性能を大き く左右 する要因と誼るものの,原位 置で取得されるデータに基づき種々の仮定に基づぃた整理が顔 されており,既往の検討では試行錯誤的橡設定が適用されるといった問題があった,こうした背景か ら,本 研究では原位置の地表踏査お よびポーリング調査をどにより得られた亀裂特性データに基づ き,各 亀裂特性間の関係を考慮したDFNモデル構築手法の整理を 行った.特に,本研究では亀裂の     ―44―

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半径分布に注目し, 原位置で観察した亀裂のト レース長と観測が事実上不可能教亀裂半径の関係を 確率理論に基づぃて 導出し,トレース長の確率 密度関数を導出した.本研究 で整理した一連のDFN モデル構築手法の導 入により,DFNモデルを構築 する上で必要と教る亀裂特 性パラメータの設定方 法に関する不確実性 が減少し,DFNモデルを用いた岩盤の確率的評価の信頼性が向上すると考える.

  第3章 は, 第2章で 構築 手 法を検 討したDFNモデルと理論式に 基づく簡易的顔手法を用い, 大深 度立坑を掘削する際 の突発湧水リスクを評価す る手法について検討を行った,岩盤中に構造物を建 設する際には,亀裂顔どの不連続構造からの湧水が施工上の問題となる場合が多いため,花崗岩中で の立坑掘削工事を例として,亀裂からの突発湧水リスクの簡易評価手法を提案し,さらに工事の事前 段階でのボーリング 孔による調査の情報量の効 果を含んだ突発湧水リスクの評価手法を提案した.

さらにりスク低減方 策の検討として,事前の亀 裂頻度の情報量の影響を考慮した総調査・対策コス トの算定手法を提案し,試解析を行った結果,建設工事の事前段階での調査量と施工時の突発湧水リ スクの関係を定量的 に把握し,コストミニマム を実現する最適誼調査量を判定できる見込みが得ら れた.

  第4章では,岩盤 を連続媒体で表現するものと 仮定し,原位置透水試験の 結果に基づぃて大規模 地下水流動解析の際 に設定すべきマクロ教透水 性を意味する 巨視的透水係数 を算定する方法を 提案し,数値試験によりその妥当性と適用範囲について検証を行った,さらに,実計測データを例と して原位置試験結果に基づく 巨視的透水係数 および分散長の算出を実施した.具体的には,原位 置透水試験による透 水係数の統計量を入カデー タとし,確率有限要素法による逆解析を行うことで 不均質に分布する 岩盤の透水係数分布 の統 計量を推定する手法を取りまとめ,推定した 岩盤 の透水係数分布 の統計量に基づき,既往の検討で示されている巨視的透水係数の算出を行った.本 手法により,試験の スケールに依存する原位置 で取得した透水係数データからマクロ改透水性を設 定する手法が構築さ れた,

  第5章では同じく ,岩盤を連続媒体で表現するものと仮定し,岩盤中の地下水流動,物質移行間題 を解く手法として混 合型有限要素法のー種であ る不連続ガラーキン法および局所不連続ガラーキン 法による非定常地下 水流動解析及び崩壊項を含 む移流分散方程式の弱形式化を行った,さらに局所 不連続ガラーキン法 と解析解との比較を行うこ とで数値解の精度検証も実施した.本研究で導入し た手法により,従来手法で問題と教ることの多い数値振動や数値分散について,工学的顔範囲でそれ らの影響を排除でき ることを確認した。

  第6章では本研究 の成果を取りまとめた。本研 究では,放射性廃棄物処分 施設の安全評価を実施 することを念頭に、 岩盤を不連続媒体として取 り扱う手法および岩盤を連続体と近似して取り扱う 手法の両者について 検討を加えた,前者につい ては主に不連続亀裂ネットワークモデルの構築手法 を提案し,後者については,不均質性を含む連続媒体の巨視的款水理特性の評価と,数値振動・数値 分散の少顔い数値解 析手法の適用を行い,不均 質性を有する岩盤の地下水流動特性と物質移行特性 の評価技術の高度化 に資する成果を達成した,

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学 位論文 審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 教 授 准 教授

蟹 江 三 浦 五十 嵐 松 本

学 位 論 文 題 名

俊仁 清一 敏文 高志

多 様な不均 質性を有 する岩盤内における 地下 水流動 評価手法 に関する研究

  近年,原子力発電の利用はエネルギーの安定供給,地球温暖化対策の両面から拡大状況にあり,原 子 力発電に伴い発生する放射 性廃棄物の処分についても事業者,規制の両観点から議論が進んでい る 状況である.放射性廃棄物処分施設の安全評価を行う際には、広範囲にわたる処分場全域において 地 質環境に不確実性が含まれ ることや,数万年以上という一般土木構造物とは異極るオーダーでの 性 能評価が必要とされることから,説明性の高い評価手法の適用が望ましいと考えられる.また,放 射 性廃棄物処分施設の安全評価にあたっては,廃棄物が地下水中に溶出し,処分施設周辺の地下水流 れ に沿って移行して人間環境 に達する際の被ばく線量を評価するシナリオ,いわゆる地下水シナリ オ と呼ぱれるシナリオを基本 として評価が行われる見込み である,

  以上を背景とし,本研究で は亀裂顔どの不均質性を有する岩盤内における地下水流動現象に着目 し ,そのモデル化並びに原位置で得られた計測データを用いた解析手法の提案を通じて,放射性廃棄 物 処分施設の建設および安全 評価を行う際塩どの長期的趣流動予測技術の向上に寄与することを目 的 とする.岩盤中の地下水流動問題を考える際の岩盤のモデル化手法は,岩盤自体を不連続媒体とし て モデル化する手法と,連続媒体と見橡してモデル化する手法に大別されるため,本研究においても 2種類のモデル化手法に着目し て検討を行った.

  第1章は,本研究の諸論とし て,放射性廃棄部処分施設 周辺の地下水挙動評価顔らびに安全評価 を 行うに当り,高い精度で地下水挙動を評価するための解析技術の必要性および,その問題点につい て 示 す こ と に よ り , 本 研 究 の 目 的 と す る 所 を 明 ら か に し た も の で あ る .   第2章は , 岩盤 を不 連続 と見 顔して評価する手法 のーつである不連続亀裂ネッ トワークモデル (DFNモデル)の構築手法に着 目して検討を行った.岩盤中の亀裂は,岩盤のカ学的特性及び水理学 的 特性を支配し,放射性廃棄物処分の安全性能を大きく左右する要因と顔るものの,原位置で取得さ れ るデータに基づき種々の仮 定に基づぃた整理が顔されており,既往の検討では試行錯誤的教設定 が 適用されるといった問題があった.こうした背景から,本研究では原位置の地表踏査およびボーリ ン グ 調査 顔ど によ り 得ら れた 亀裂特性データに基づ き,各亀裂特性間の関係を 考慮したDFNモデ ル 構築手法の整理を行った. 本研究で整理した一連のDFNモデル構築手法の導入により,モデル構

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築上必要と極る亀 裂特性パラメータの設定方 法に関する不確実性が減少し。当該モデルを用いた岩 盤の確率的評価の 信頼性が向上すると考える .

  第3章 は, 第2章で 構 築手法を検討したDFNモデル と理論式に基づく簡易的橡手 法を用い,大深 度立坑を掘削する 際の突発湧水リスクを評価 する手法について検討を行った.岩盤中に構造物を建 設する際には,亀裂をどの不連続構造からの湧水が施工上の問題とをる場合が多いため,花崗岩中で の立坑掘削工事を例として,亀裂からの突発湧水リスクの簡易評価手法を提案し,さらに工事の事前 段階でのボーリン グ孔による調査の情報量の 効果を含んだ突発湧水リスクの評価手法を提案した.

  第4章では,岩 盤を連続媒体で表現するもの と仮定し,原位置透水試験の結果に基づぃて大規模 地下水流動解析の 際に設定すべきマクロを透 水性を意味する 巨視的透水係数 を算定する方法を 提案し,数値試験によりその妥当性と適用範囲について検証を行った.さらに,実計測データを例と して原位置試験結果に基づく 巨視的透水係数 および分散長の算出を実施した.本手法により,試 験のスケールに依 存する原位置で取得した透 水係数データからマクロ没透水性を設定する手法が構 築された.

  第5章では同じ く,岩盤を連続媒体で表現するものと仮定し,岩盤中の地下水流動,物質移行問題 を解く手法として 混合型有限要素法の一種で ある不連続ガラーキン法および局所不連続ガラーキン 法による非定常地 下水流動解析及び崩壊項を 含む移流分散方程式の弱形式化を行った.本研究で導 入した手法により,従来手法で問題とぬるてとの多い数値振動や数値分散について,工学的教範囲で それらの影響を排 除できることを確認した。

  第6章では本研 究の成果を取りまとめ,岩盤 を不連続媒体として取り扱う手法および岩盤を連続 体と近似して取り 扱う手法の両者についての 知見が整理されている.

これらを要するに,本研究は多様教不均質性を有する岩盤内における地下水流動問題に対し,不均質 性に応じたモデル化と解析手法を開発し,岩盤内の地下水流動特性・と物質移行特性の評価技術の高 度化に,極めて有益次知見を得たものであり,水理学,地下水工学抵らびに構造解析学の発展に貢献 するところ大抵るものがある.よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与するに値するも のと認める.

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参照

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