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博士 (理学 )廣 瀬 亘 学位 論文題 名 Spatial and Temporal development of Neogene volcanism in Central-Eastern Hokkaido

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Academic year: 2021

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     博士 (理学 )廣 瀬    亘      学位 論文題 名

Spatial and Temporal development of Neogene     volcanism in Central‑Eastern Hokkaido

‑ Beginning and evolution of arc volcanism at Southwest Kuril arc        and Northeast Japan arc ‑      ( 北 海 道 中 央 部 〜 東 部 の 新 第 三 紀 火 山 活 動 の 時 空 変 遷 一千島孤南西部〜東北日本孤における,島孤火山活動の成立と進化―)

学位論文内容の要旨

  北海道では、新第三紀以降、火山活動域が大きく変化してきたことが、近年の研究により明ら かとなってきた。火山の噴火様式や火山岩の化学組成は、その当時の周辺地域のテクトニクスを 敏感に反映し、北海道においても火山活動にテク卜二クスの変化が記録されている可能陸が高い。

しかしながら、これまでの多くの研究では、火山岩化学組成のみに興味が向けられ、テクトニク スを検討する上で不可欠である、火山分布や噴出量、火山噴火様式からみた広域応力場やマグマ の熱源の時空分布についての検討はほとんど無かった。本研究では、千島弧南西部に位置する北 海道中央部〜東部の19 Ma以降の火山活動について、 本研究で新たに測定された47個のK‑Ar 年代を含む348個のK‑Ar年代値と61個のフイッション トラック年代値、火山岩層序、火山地 質学的パラメー夕(噴出量、噴出率、噴出様式、火山体の形態)、本研究で測定された主成分化学 組成分析値456個、微量元素化学組成分析値485個を含む、主成分化学組成分析値2,392個、微 量元素化学組成分析値903個に基づぃて、その時間的・空間的な変遷を検討した。また、隣接す る千島弧・東北日本弧会 合部、北海道西南部及て煉北日本についても、新分析値(K‑Ar年代49 個、主成分化学組成分析 値537個、微量元素化学組成分析値237個)を含むK‑Ar年代値285個、

フイッショントラック年代値101個、主成分化学組成3,084個(北海道西南部:1,511個、東北 日本:1,573)、微量元素化学組成2 162個(北海道西南部:834個、東北日本:1,328個)によ り同様の検討を行った。

  北海道中央部〜東部の 広域応力場は伸長(19‑14 Ma)から、伸長〜差応カの小さい状態(14‑1 Ma)、圧 縮(1‑0 Ma)へと変化した。19‑14 Maの火 山活動のスケールは8kn13・ 仙′と、14Ma 以降(150.300km恥り)に比べ著しく小規模であり、単成火山の活動とパイモーダル火山活動、

高恥02.Nbのアルカリ玄 武岩からなる非島弧的火山 岩で特徴づけられる。1す14Maの火山活 動は、プレートの沈み込みによるものではなく背弧海盆形成に伴うマントルプリュームの上昇に 伴って発生した可能性がある。これに対し、14・9Maの火山岩は島弧的な火山岩で特徴づけられ るが、化学組成の広域変 化が存在しないことや、14Maに全域で突然火山活動が開始し、9Ma に火山活動域が南方へ大きくジャンプすること、噴出量の極大がオホーツク海側に存在すること など、9Ma以降の火山活 動とは著しく異なった特徴を持ち、太平洋プレートの沈み込みではな い他のテクトニクスに伴って発生していることを示唆する。しかしながら、このステージに形成 された可能J陸があり、もしそうならば火山活動に大きな影響を与えることが予想される千島海盆 の形成年代が不明であるため、現時点では14・9Maにおけるテクトニクスと火山活動との関連の 検討は困難である。9Ma以降の火山活動は、化学組成の明瞭な広域変化が存在すること、低TD2

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安山岩が卓越すること、太平洋側で噴出量が大きいことで特徴づけられ、明らかに沈み込みに伴 い発生した火山活動であると結諭できる。ただし、9‑1 Maには一部に高′ri02安山岩やアイスラ ンダイト質デイサイト(島弧・引張夕イプ)が出現すること、。lMa以降は低Ti02のカルクアル カリ安山岩(島弧・圧縮夕イブっが卓越することで特徴づけられる。

  9‑1 Maの沈み込み帯火山活動は太平洋プレートの斜め沈み込みのもとで発達した。太平洋プレ ートからの水平圧縮応カは斜め沈み込みのために、島弧伸長方向にも大きな成分を持つ前弧スル パーが横すれ運動することにより島弧横断方向の成分は相対的に減少する。このため、当時の千 島弧背孤域において島弧・引張夕イプ火山岩が出現したと考えられる。太平洋プレートの斜め沈み 込み成分は現在まで次第に減少し、現在は非常に小さい。このために、現在は島弧・圧縮夕イプ火 山岩が卓越する。

  東北日本弧 の北方延長である北海道西南部の後期新生代火山活動は少なくとも12 Ma以降現 在まで、低Ti02. Nb火山岩の活動と火山岩化学組成の水平変化の存在で特徴づけられる。火山 岩層序の解析 から、この地域の新生代火山活動は12 Ma以前、12‑5 Ma、5‑1.7 Ma、1.7‑0 Ma の4ステージに区分できる。12‑5 Maの火山活動は第四紀に比べ著しく北方まで仲び、東北日本 弧火山フ口ントを構成するK20に乏しい火山岩の分布もまた同様に北方へ延長される。このこと は、当時の千島弧・東北日本弧会合部が現在よりも約100km北方に位置していたことを意味する。

5・1.7Maには、東北日本弧・千島弧会合部の背弧側で局所的な伸長応力場が形成され、アルカリ 玄武岩質単成火山群と安山岩質成層火山の共存で特徴づけられる滝川単成火山群が活動した。こ の単成火山群の活動開始前後に、東北日本弧北端は約1頂)lm南下した。これは、千島・東北日本 弧 会合 部が5Maまでに10Qkm南下したことを示してい るのかもしれない。第四紀火 山活動は 地域南部に限定される。

  千島弧南西部と東北日本弧北部の火山活動は極めて複雑であり、背弧海盆である日本海(千島 海盆?)の形成、太平洋プレートの千島弧への斜め沈み込み、北海道中軸部から日本海東縁への プレー卜境界のジャンプ、など多様で変化に富んだテクトニクスの影響を受けていると考えられ る。日本海形 成がほぽ終了した14・13Ma以降、この2つの島弧はそれぞれ異なったテクトニク ス場にあった。千島弧と千島弧・東北日本弧会合部は太平洋プレートの斜め沈み込みの影響を大き く受けたのに対し、東北日本弧である北海道西南部主部と東北日本ではその影響は大きくなかっ た。1Ma以降、 北海道中軸部から日本海東縁へのプレート境界ジャンプに伴い、北海道中央部

〜東部、西南部、東北日本はいずれも同じ北アヌリカプレート上に位置するようになり、比較的 よ く似 た圧 縮応力場のも とで島弧・圧縮夕イプ火山 活動の場へと変化したと考え られる。

  このように、本研究による新第三紀火山活動の解析から、千島弧・東北日本弧会合部付近におい て 、19Ma、12〜9Ma、1Maにテクトニクスが大きく変 化した可能性があること、千 島弧南西 部が第四紀初頭まで太平洋プレートの斜め沈み込みに伴う伸長応力場に置かれていたことが明ら かとなった。これらは、北西太平洋の沈み込み帯における新第三紀以降のテクトニクスを検討す る上で大きな制約条件と成るであろう。

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学位論文審査の要旨

主査    教授    宇井忠英 副査    教授    渡辺暉夫 副査    助教授    在田一則 副査    助教授    新井田清信

副査    教授   木村   学(東京大学大学院理学研究科)

副 査    教 授    高 橋 正 樹 ( 茨 城 大 学 理 学 部 )

     学位論文題名

Spatial and Temporal development of Neogene     volcanism in Central ‐ Eastern Hokkaido

‑ Beginning and evolution of arc volcanism at Southwest Kuril arc       and Northeast Japan arc ‑      ( 北 海 道 中 央 部 〜 東 部 の 新 第 三 紀 火 山 活 動 の 時 空 変 遷

―千島孤南西部〜東北日本孤における,島孤火山活動の成立と進化―)

  近 年、火 山活動 の特徴 をもとに した過 去のテ クトニ クスの研究は国際的に見ても盛んに行われてい る 。しか しその多 くは、 火山岩 岩石学 的な見 地から テク卜 二クスの検討を行おうとするものであり、

火 山体の 形態や噴 出量の 時空変 化とい った火 山地質 学的な アプローチも合わせてテクトニクスの解析 を行おうとする研究は皆無であった。

  本 論文は 、このような状況において、新たに測定した47個のK←Ar年代値、456個の主成分化学組成、

485個 の微量 元素化 学組成 分析値 を含む膨大な放射年代値、火山体の形態、噴出量、鏡下観察、マグマ 化 学 組 成の 時空変化 につい てデー 夕処理 を行い 、千島 弧南西 部東北 日本弧に わたり 新生代 以降の 火 山 活 動 と 広 域 応 力 場 、 テ ク 卜 二 ク ス の 関 係 を 初 め て 明 ら か に し た も の で あ る 。   北 海道 中央 部東部 の広域 応力場は 伸長(19−14 Ma)か ら、伸 長差応 カの小 さい状 態(14ー1Ma)、 圧縮(1―O Ma)へと変化した。19−14 Maの火山活動のスケールは8km3/Myと、14 Ma以降(150―300 km3/My) に 比べ著 しく小規 模であ り、単 成火山の活動とバイモーダル火山活動、高Ti・ Nbのアルカリ玄武岩か ら なる非 島弧的火 山岩で 特徴づ けられる。19―14 Maの火山活動は、プレートの沈み込みによるもので は なく背 弧海盆形成に伴うマントルプリュームの上昇に伴って発生した可能性がある。14−9 Maは島弧 的 な火山 岩で特徴づけられるが、化学組成の広域変化が存在しないことや、5 Myしか継続しないこと、

噴 出量の 極大がオ ホーツ ク海側 である ことか ら、オ ホーツ ク海側に一時的な熱源を想定する必要があ

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る。候 補とし ては、 千島海盆の形成ないしはユーラシア一北アヌリカプレートの衝突による太平洋プレ ートス ラブ傾 斜の変 化があ げられる する。 これは、9ーl Maには斜め沈み込みのために、火山フロント より背 弧側ヘ 伝わる 島弧横 断方向の 圧縮応 力成分 が相対 的に減 少したためと考えられる。l Ma以降は 斜め 沈 み 込 み成 分 の 減 少に よ り 、 低Tiカ ル クア ル カ リ 安山 岩 ( 島 弧―圧 縮夕イ プ)が 卓越する 。   北海道 西南部 の後期 新生代 火山活 動は12 Ma以 降現在 まで、 島弧圧 縮夕イ プ火山 岩と火山 岩化学組 成の水平変化の存在で特徴づけられる。火山岩層序の解析から、12 Ma以前、12―5Ma、5−1.7Ma、1.7―0 Maの4火 山 活 動 ステ ー ジ に 区分 で き る 。12―5Maに は火山 フロン トは第 四紀に比 べ約100km北方ま で 伸び、 当時の 千島弧 一東北 日本弧会 合部が 現在よ りも約100km北方 に位置し ていた ことを 意味する。

5−1.7 Maには、東北日本弧―千島弧会合部で局所的な伸長応力場が形成され、アルカリ玄武岩質単成火 山群と 安山岩 質成層 火山の 共存で特 徴づけ られる 滝川単 成火山 群が活動した。この単成火山群の活動 開始前 後に、 東北日 本弧北 端は約100km南下し た。これは、千島―東北日本弧会合部が5Maまでに100km 南下した可能性を示す。第四紀火山活動は地域南部に限定される。

  千島弧 南西部 と東北 日本弧 北部は 、日本 海形成がほぽ終了した14―13 Ma以降、それぞれ異なったテ クトニ クス場 にあっ た。千島弧と千島弧一東北日本弧会合部は太平洋プレートの斜め沈み込みの影響を 大きく 受けた のに対 し、東 北日本弧 である 北海道 西南部 主部と 東北日本ではその影響は小さく、日本 海形 成 の 影 響が5Ma前後ま で残る 。lMa以降 、北海 道中軸 部から 日本海東 縁への プレー ト境界 ジャン プに 伴 い 、 北海 道 中央部 東部、 西南部 、東北 日本は いずれ も同じ 北アメ リカプレ ート上 に位置 する ように なり、 比較的 よく似た圧縮応力場のもとで島弧一圧縮夕イプ火山活動の場へと変化したと考えら れる。

  すなわ ち、著 者は、 北海道 におけ る新第 三紀火山 活動を 火山地 質学的手法および岩石学的手法の両 面から 解析す ること により 、既存の 研究を 遙かに しのぐ 新知見 を得、火山活動とテクトニクスの研究 に大きく貢献した。

  よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 が あ る も の と 認 め る 。

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参照

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