奈
精 神 遅 滞 や 自 閉 症 な ど の 疾 患 感 受 性 が 報 告 さ れ て い る コ ピー 数 異 常 が3例(lq21.1欠 失 、 lq21.1重 複 、16q13.11重 複 ) で あ っ た 。 残 り3例(lq22欠 失 、lq42重 複 、Xq22重 複 )は こ れ ま で に 報 告 の な い コ ピ ー 数 異 常で あ り 、CNVの 報 告 と 一致 し な い 位 置で あ っ た 。 また 報 告 の な い コ ピ ー 数 異 常3例 の う ち 遺 伝 性 検 討 が 可 能 で あ っ た2例 は 全 て ぬnovoの 異 常 で あ っ た 。 表 現 型 に 関し て は 、 染 色体 コ ピ ー 数 を同 定 し た 群 での 比 較 よ り 、 乳幼 児 期 の 表 現 型 で あ る 筋 緊 張 低 下、 精 神 発 達 遅滞 は ほ ぽ 全 例に 認 め 、 男 児例 で は 停 留 睾 丸も 併 せ て 呈 し て い た 。 さ ら に3歳 以 降 で は 乳 児期 症 状 と 併 せ肥 満 症 状 を 呈す る 例 が 増 え てい た 。 ま た 新 奇 性 検 討 か ら 、7p15欠 失 症候 群 は こ れ まで 着 目 さ れ てい な か っ た 共 通し た 表 現 型 を呈 す る 症 候 群で あ る 事 と 、2例 の ,5q31.3欠失 症 候 群 は 新奇 の 症 候 群 が予 想 さ れ る事か ら、詳 細解 析 の 必要 性 が 示 さ れた 。
【 考 察】
過 去 の 様 々 な体 系 的 な 先 天性 疾 患 の ゲ ノ ム網 羅 的 解 析 の結 果 と 比 較 する と 、 本 研 究で 同 定 さ れ た 微 細 染 色 体異 常 の 割 合 は多 い と 考 え られ る 。 本 研 究に お い て 微 細 な染 色 体 コ ピ ー 数 異 常が 比 較 的 多 く同 定 さ れ た 事は 、 ア レ イ 解析 が 効 果 的 で ある 疾 患 の1っ と予想 された 。 詳 細 な 表 現 型 解 析 から 乳 児 期 の 発育 不 良 、 筋 緊張 低 下 は ほ とん ど 全 て の 症 例で 呈 す る 表 現 型 で あ り 、 こ れ ら は微 細 染 色 体 異常 を 疑 う 要 因で あ る 事 が 示唆 さ れ た 。 ま た乳 児 期 に は 疾 患 特 有 の 表 現 型 が 十分 に 確 立 さ れて い な い の で、 乳 児 期 の 発育 不 良 、 筋 緊 張低 下 を 主 訴 と す る 症 例 に 対 す る ア レ イ 解 析 な ど に よ る 網 羅 的 解 析 は 意 義 が 高 い と 考 え ら れ る 。 本 研 究 で は7p15欠 失 症 候 群 お よ び5q31.3欠 失 症 候 群の 新 奇 性 を 報告 し た 。7p15欠 失 症 候 群 は 欠 失 領 域 内 に 含 ま れ るHand‑Foot‑Genital症 候 群 の 責 任遺 伝 子HOXA13を 含む た め 、 こ の 疾 患 の 特 徴 も 示 す も の のPWSと 一 部 共 通し た 表 現 型 を呈 す る 事 が 示唆 さ れ た 。5q31.3 欠 失 症 候 群 の 検 討 では 、 同 様 の 欠失 例 集 積 か ら表 現 型 の 特 徴を 捉 え る 事 が でき た 。 さ ら に 全 例 で 共 通 し た 表 現型 を 呈 す る 事か ら 新 奇 微 細染 色 体 欠 失 症候 群 で あ る 事 が示 唆 さ れ た 。
【 結 論】
臨 床 症 状 よ りPWSが 疑 わ れ 遺 伝 学 的 にPWSが 否 定 さ れ た 症 例中 に 、 複 数 の微 細 染 色 体 異 常 を 同 定 し た 。 同 定 さ れ た 微 細 染色 体 異 常 を 有す る 症 例 はPWSと よ く 似た 表 現 型 を 呈し て お り 、 こ れ ら の 領 域 に 含 ま れ る 遺伝 子 はPWSの 発 症 に 関 連す る 可 能 性 があ る 。 よ っ て本 研 究 で 実施 し た 遺 伝 型表 現 型 解 析 は、PWSの 発症 機 序 を 理 解す る 上 で 重 要な 情報 となる 事が 期 待 さ れ る 。 さ ら に 本研 究 で 同 定 され た 微 細 染 色体 異 常 は 他 の体 系 的 な 研 究 に比 べ 検 出 率 が 高 く 、PWSで 高頻 度 に 認 め られ る 乳 児 期 の 筋緊 張 低 下 お よび 発 育 不 良 など の症 状を呈 する 症 例 は アレ イ 解 析 が 有用 で あ る 事 が示 さ れ た 。
本 研 究 に お いて 同 定 さ れ た微 細 染 色 体 異 常の 詳 細 な 遺 伝型 表 現 型 解 析か ら 、 新 奇 性の 富 む7p15欠 失 症 候 群 お よ び5q31.3欠 失 症 候 群 を 同 定 し 報 告 し た 。7p15欠 失 型 Hand‑Foot‑Genital症 候 群 の 同 定 か ら 、PWSと の 一 部 共通 す る 表 現 型を 有 す る な ど疾 患 の 特 徴 を 捉 え る 事 が 出来 た 。 ま た5q31.3欠 失 症 候 群 は遺 伝 型 表 現 型解 析 よ り 新 奇の 微 細 染 色 体 欠 失 症 候 群 で あ る 事 を 同 定 し 、 欠 失 幅 検 討 か ら2つ の 候 補 遺 伝 子 同 定 へ 繋 が っ た 。 本 研 究 で は 遺伝 型 解 析 と 併せ て 表 現 型 解 析も 詳 細 に 検 討し て い る こ とよ り 、 こ れ らの 情 報 発 信 は 臨 床 遺 伝 学 の み な ら ず 臨 床 診 療 へ の 貢 献 に 繋 が る も の と 考 え る 。
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学位論文審査の要旨 主査 副査
副査 副査
教授 准教授 准教授 教授
田中 矢部 折舘 有賀
学 位 論 文 題 名
伸哉 一郎 伸彦
正
Genetic factors that determine Prader ― Willi syndrome phenotype
(プラダー・ウイリー症候群の表現型を規定する遺伝要因に関する研究)
Prader
―Willi 症候群(PWS) 、は新生児期の筋緊張低下、乳児期以降の食欲亢進と肥満、精 神遅滞などを呈する疾患である。PWS はゲノム刷り込み現象の対象である150ll‑t113 を責任 領 域とし、 この領 域の父性 発現遺伝子の機能喪失により発症する。本研究室ではPWS 様表 現 型を呈する症例中に、特に乳児期の表現型が類似する14 番染色体母性片親性ダイソミー
(updく14) mat )の存在を同定し報告している。さらに近年PWS 様表現型を呈する他の染色 体異常の報告もあり、PWS 様表現型を呈する他の遺伝要因が示唆されている。本研究では全 ゲ ノムを対象に網羅的コピー数解析を行い、同定された微細染色体異常の遺伝型表現型解 析 を検討する事とした。対象は、臨床症状よりPWS が疑われたがPWS およびupd (
14) matが 遺 伝学的に否定された78 例とした。方法は、北海道大学大学院医の倫理委員会の承認のも と 、Genome ーWide Human SNP Array 5.0 (Affymetrix ,
Santa Clara,CA) を用いて染色体 微 細コピー数異常の有無を検討し、併せて表現型解析を行い遺伝型表現型連関に関して検 討 した。lMb 以上 のコピー 数異常を
21例同定 した。内 訳はPWS 様表現型を呈すると報告の あ るコピー数異常3 例(lp36 欠失2 例、
Xt:i28重複)、精神遅滞などとの関連が既に報告さ れ るコピー 数異常
12例(1q44 欠失 、2p14 欠失 、2q24 欠失 、3q13 欠失 、4t121 欠 失、5q31 欠失2 例、6q24 欠失、7p15 欠失、
1 5q13重複、22qll .2 欠失、Xp22 欠失)、精神遅滞や自閉 症などの疾患感受性が報告されるコピー数異常3 例(1 (21 .1 欠失、lq21 .1 重複、16q13 .11 重複)であった。残り3 例(1q22 欠失、1q42 重複、Xq22 重複)はこれまでに報告のないコピ 一 数異常で
CNVの 報告と一 致せず、 遺伝性 検討が可 能であった2 例は全てヵ口口閉の異常 で あった。表現型に関しては、染色体コピー数を同定した群での比較より、乳幼児期の表 現 型である筋緊張低下、精神発達遅滞はほぼ全例に認め、男児例では停留睾丸も併せて呈
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し て い た 。 さ ら に3歳 以 降 で は 乳 児 期 症 状 と 併 せ 肥 満 症 状 を 呈 す る 例 が 増 え て い た 。 ま た 詳 細 な 遺 伝 型 解 析 よ り 、7p15欠 失 症 候 群 、5t131.3欠 失 症 候 群 は 新 奇 性 に 富 む 事 が 予 想 さ れ 、 詳 細 解 析 を 行 っ た 。 本 研 究 で は 約27% (21/78)の 症 例 に 微 細 染 色 体 異 常 が 同 定 さ れ 、 比 較 的 検 出 率 が 高 い 事 か ら ア レ イ 解 析 が 効 果 的 で あ る 疾 患 の1っ と 予 想 さ れ た 。 詳 細 な 表 現 型 解 析 か ら 乳 児 期 の 発 育 不 良 、 筋 緊 張 低 下 は ほ ぼ 全 例 で 呈 す る 表 現 型 で あ り 、 こ れ ら は 微 細 染 色 体 異 常 を 疑 う 要 因 で あ る と 考 え ら れ た 。 ま た 乳 児 期 に は 疾 患 特 有 の 表 現 型 が 十 分 に 確 立 さ れ て い な い の で 、 乳 児 期 の 発 育 不 良 、 筋 緊 張 低 下 を 主 訴 と す る 症 例 に 対 す る ア レ イ 解 析 な ど に よ る 網 羅 的 解 析 は 意 義 が 高 い と 示 唆 さ れ る 。 さ ら に 、7p15欠 失 症 候 群 は Hand−Foot−Genital症 候 群 の 特 徴 を 示 し か つPWSと 一 部 共 通 し た 表 現 型 で あ る 事 、 ま た 5q31.3欠 失 症 候 群 は 同 様 の 欠 失 例 集 積 よ り 表 現 型 の 特 徴 を 捉 え 新 奇 微 細 染 色 体 欠 失 症 候 群 で あ る 事 が 示 唆 さ れ た 。
学 位 論 文 審 査 で は 、 は じ め に 副 査 の 矢 部 准 教 授 よ り 、PWSの 責 任 領 域15till―q13に お け る 遺 伝 学 的 解 析 の 詳 細 、PWSが 疑 わ れ る 臨 床 症 状 、 お よ び5q31.3欠 失 症 候 群 の 責 任 候 補 遺 伝 子 に 関 す る 質 問 を 受 け た 。 次 い で 副 査 の 折 舘 准 教 授 よ り 、 臨 床 症 状 で のPWS診 断 基 準 、 お よ び 現 在PWS候 補 遺 伝 子 と し て 最 有 力 視 さ れ るHBI卜85に 関 す る 質 問 を 受 け た 。 次 い で 主 査 の 田 中 教 授 よ り 、 臨 床 遺 伝 学 的 な 先 天 性 奇 形 症 候 群 のDNAア レ イ 研 究 の 進 め 方 、 候 補 遺 伝 子 の 選 定 方 法 、 お よ び 今 後5t131.3欠 失 症 候 群 の 責 任 遺 伝 子 の 同 定 へ 発 展 さ せ る た め の 方 法 論 に 関 す る 質 問 を 受 け た 。 最 後 に 副 査 の 有 賀 教 授 よ り 、 近 年 報 告 さ れ た150ll.2微 細 欠 失 に よ るPWS症 例 の 詳 細 、snoRNAお よ びHBI卜85の 今 後 の 解 析 ア プ 口 ー チ 方 法 、 お よ び7p15 欠 失 症 候 群 の 表 現 型 に 関 す る 質 問 を 受 け た 。 申 請 者 は 全 て の 質 問 に 対 し 、 自 身 の 実 験 結 果 や 過 去 の 文 献 引 用 な ど か ら 、 概 ね 適 切 に 回 答 し た 。
こ の 論 文 は 、PWSで 高 頻 度 に 認 め ら れ る 乳 児 期 の 筋 緊 張 低 下 お よ び 発 育 不 良 な ど の 症 状 を 呈 す る 症 例 に お い て ア レ イ 解 析 が 有 用 で あ る と 報 告 し た 点 、 新 奇 性 の 富 む7p15欠 失 症 候 群 お よ び5031.3欠 失 症 候 群 を 同 定 し 報 告 し た 点 で 高 く 評 価 さ れ 、 今 後 のPWSの 発 症 機 序 を 理 解 す る 上 で 重 要 な 情 報 と な る 事 が 期 待 さ れ る 。
審 査 員 一 同 は 、 こ れ ら の 成 果 を 高 く 評 価 し 、 大 学 院 課 程 に お け る 研 鑽 や 取 得 単 位 な ど も 合 わ せ て 申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る と 評 価 し た 。
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