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骨芽 細胞様 細胞株

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Academic year: 2021

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博 士 ( 歯 学 ) 岡 本    甼

学 位 論 文 題 名

骨芽 細胞様 細胞株 (MC3T3 ― El 細胞)の

タンパク質チロシンホスファターゼの精製と性質

Porification and characterization of phosphotyrosine protein phosphatase       from a clonal osteoblastic cellline (MC3T3‑E1 cell)

学位論文内容の要旨

[ 緒 言 ]

  細 胞 機 能 の 調 節 に 蛋 白 質 の り ン 酸 化 が 重 要 な 役 割 を 果 た し て お り 、 増 殖 因 子 受 容 体 の 多 く が チ ロ シ ン キ ナ ー ゼ(PTK)活 性 を 保 持 し て い る こ と が 報 告 さ れ て い る 。 蛋 白 質 の チ ロ シ ン リ ン 酸 化 状 態 はPTKに よ る り ン 酸 化 と 、 チ ロ シ ン ホ ス フ ァ タ ー ゼ (PTP) に よ る 脱 リ ン 酸 化 に 依 存 し て お り 、PTPも 細 胞 機 能 調 節 の 情 報 伝 達 に 関 与 し て い る と 推 測 さ れ て い る 。PTPは 現 在 ま で に 数 十 種 類 の 報 告 が あ り 、 骨 形 成 系 細 胞 に 存 在 す るPTPに つ い て も 報 告 さ れ て い る が 、 石 灰 化 と の 関 連 に 着 目 し た 報 告 は 少 な い 。 骨 芽 細 胞 様 細 胞 株 で あ るMC3T3‑E1細 胞(El細 胞 ) は 分 泌 基 質 を 石 灰 化 す る 能 カ を 有 レ 、 石 灰 化 とPTPと の 関 連 を 研 究 す る の に 適 し て い る こ と か ら 、 本 研 究 で は そ の 関 連 を 調 べ る た め の 一 環 と レ てPTPの 精 製 を 試 み 、 そ れ ら の 性 質 を 調 べ 、 新 種 PTPの 有 無 に つ い て 検 討 レ た 。

[ 材 料 と 方 法 ]

  El細 胞 は10% 牛 胎 児 血 清 を 加 え たa‑MEMで 通 法 に 従 い 培 養 し た 。 細 胞 に0.25M 蔗 糖 溶 液 を 加 え て 回 収 後 、 超 音 波 処 理 を20秒 間2回 行 っ て 細 胞 を 破 砕 し て 懸 濁 液 を 得 、 さ ら に ガ ラ ス ホ モ ジ ナ イ ザ ー に て ホ モ ジ ナ イ ズ し た っ そ の 後 核 ・ 未 破 砕 画 分 、 ミ ト コ ン ド リ ア 画 分 、 細 胞 膜 画 分 、 細 胞 質 画 分 に 分 画 レ た 。

    PTP活 性 の 測 定 は P‑ATPで り ン 酸 化 し た P‑RCM‑Iysozymeを 用 い た . 。       PTK活 性 の 基 質 と し て グ ル タ ミ ン と チ ロ シ ン が4:1で 結 合 し て い る 重 合 体 を 用 い た 。

    精 製 に ( まC‑SepharoseDEAE‑S ephacelSephacryl S‑400Superdex 200HRカ ラ ム を 用 い た 。

    SDS‑PAGELaemmliの 方 法 で 行 い 、 ウ エ ス タ ン ブ 口 テ ィ ン グ 法 は1次 抗 体 と し て 抗PTPIBPTPICPTPID抗 体 を 用 い た 。 .

    蛋 白 量 の 測 定 は Lowry法 及 び 、 280nmの 吸 光 度 に よ っ て 行 っ た 。   [ 結 果 ]

    PTK活 性 は 石 灰 化 部 位 が 観 察 さ れ る 時 期 ま で 上 昇 し 、 そ の 後 減 少 レ 、 再 び 緩   や か に 上 昇 し た 。PTPの 比 活 性 は 培 養 開 始 後 上 昇 を 続 け た 。 一 方 チ ロ シ ン リ ン 酸   化 蛋 白 質 は 多 数 発 現 し て い る が 、26322429.528.2kDa4っ の 蛋 白 質 の 発 現 量   が 石 灰 化 時 期 に 増 加 し て い た 。  遠 心 分 離 に よ っ て 分 画 レ た4画 分 に つ い て   PTP活 性 を 測 定 レ た 結 果 、 総 活 性 の73% は 細 胞 質 画 分 に 存 在 レ て い た 。 ま た 比 活   性 も 細 胞 質 画 分 が 最 も 高 い こ と が 認 め ら れ た た め 細 胞 質 画 分 に つ い て 精 製 を 行

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うこととした。

  細 胞 質 画 分 をCM‑Scpharosc,DEAE‑S cphacclカ ラ ムに か けた 結 果、3穏の PTP(E1‑PTP1,2,3)に 分画された 。さらにこのPTPをScphacrylS‑400カラムにか けEl‑PTPl,2,3はそれぞれ分子量1580,500,66kDaとして溶出した。El‑PTPlをさ らにSupcrdcx200HRカ ラ ムに か けた 結 果、 全 細 胞ホ モ ジネートに 比較して4779 倍 精 製 さ れ 、 回 収 率 は16.8% で あ っ た 。 分 子 量 は933kDaに 溶 出 し た 。SDS‑

PAGEでEl‑PTPlは33及び39kDaの蛋白質として言忍められた。

  El‑PTPl,2,3と抗PTPIB,1C,1D抗体との反応を調べた結果、El‑PTPlはいずれ の抗体とも 反応しなか った。El‑ PTP2は抗PTPIB抗体と反応し、El‑ PTP2,3は抗 PTPID抗 体 と反 応 した 。El細 胞に お け るPTPIBとPTPIDの培養 時間経過に と,も なう 発 現量 の 変化 を 調ぺた ところ、時 間経過とと もに発現量 は増加して いた。

El‑PTPlの 至 適pHは 約pH6で あ っ た が 、El‑PTP2,3. ではpH7付 近で あ った 。   El‑PTPl,2,3ともにセリン/スレオニンホスファ夕一ゼの阻害剤であるオカダ 酸による阻 害は見られ ず、一般的 なPTPの阻 害剤である 亜鉛、モリ ブデン酸及び ノくナジン酸により阻害された。マンガン、カルシウムはEl‑PTPl,3の活性を阻害 した が 、El‑PTP2の 活 性を促進 した。マグ ネシウムはEl‑PTP3の活性 を阻害し、

El‑PTP1,2の活性を増 強した。ま た2価 金属キレー ト剤であるEGTA,EDTAはいず れの活性も 阻害した。El‑PTPlは酸性 ホスファ夕 ―ゼの阻害 剤であるフッ素や酒 石酸によってその活性が部分的に阻害された。

[考察と結諭]

  骨組織の細胞にPTK活性を有する種々の増殖因子受容体が存在しており、骨芽細胞 の機能と関連しているとの報告がある。また、PTPの阻害剤が骨組織の細胞のチロシ ンリン酸化程度を上昇させ、これにより細胞増殖が促進されるとの報告もあり、El細 胞においてもPTPが骨芽細胞の増殖、分化機能調節に関与しているものと推測される。

  本研究においてEl細胞の培養中に、チロシンリン酸化レベルが変化する4種類の蛋 白質を見いだした。この4種類のタンノくク質の同定は今後の課題であるが、分子量が 近似するチロシンリン酸化夕ンノくク質についていくっかの報告がある。その中のひと っが、細胞接着に関与するインテグリンを介して増加するタンノくク質であり、インテ グリンを介レたコラーゲンとの接着による石灰化開始シグナルの伝達に関与している 可能性がある。PTK,PTPの培養中の変化を解明するためにはおのおのについて調べる 必要があるが、本研究ではそのうちP rPの精製を試み、その性質を検討することにレ た。  PTPIB,1Dの分 子量はそれ ぞれ53kDa,72kDaであり 、一方El‑PTP2のSephacryl S‑400に よ るみ か けの 分子量 は500kDaであった。PTPIDのイム ノブロッテ ィング 法を 行 う際 、 還元 剤 を除い た試料処理 液を使用し た場合と、 煮沸を行わ なかっ た 場 合 に 分 子 量133kDaと し て 認 め ら れ た 。 以 上 の 結 果 は 、El細 胞 で は PTPIB,PTPIDは会 合 体を形成 して機能し ていること を示唆して いる。骨形 成系 の細 胞 にPTPIB,PTPIDが 存 在し て いる と の報 告 はな く 、これらPTPが骨芽細 胞 の増殖、分化機能の調節にも関与していると推測される。

  El‑PTP2,3の 酵 素 的 性 質 に つ い て 過 去 の 報 告 と 比 較 す る と 、PTPIBで は EDTA,EGTAによって活 性が増強さ れ、また、PTPIDではノ くナジン酸 によって活 性が 阻 害さ れ ない こ と等が 異なってい た。一つの 理由として 、本研究で は培養 細胞 か ら分 離 したPTPであ るのに対し 、過去の報 告では組換 え型のPTPの性質で あることが考えられた。

  El‑PTPlの 精 製 を 試 み た 結 果 分 子 量 はSDS ‑PAGEで33あ る い は39kDa、 Sephacryl S‑400カ ラ ムで1580kDaであり、Superdex 200HRカラム では933kDaで あった。細胞質型のPTPは細胞内情報伝達系の多数のクンノくク質と相互作用レて いることが 確かめられ ており、界 面活性剤非存在下では他のタンノくク質との会 合に よ って 見 かけ 上 大きな 分子量とレ て溶出され てくるもの と推定され る。ま

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た 、Scphacryl S‑400に比較レて、Supcrdex 200HR後は会合体が小さくなって溶 出 した ものと 考え られる。これらの知見はEl‑PTPlの機能とも関連すると考えら れ、今後の研究によって明らかにされる必要がある。

  El‑PTPlの 酵素 的性質 を既 に知 られ ているPTPと比 較検 討レ た。El‑PTPlの至 適pHはpH6付 近で あり、 酸性 ホス ファ 夕一ゼ の一 般的 な阻害 剤で ある 酒石 酸、

フ ッ素 によっ て阻 害効 果が 見られ た。 レか し、 酸性ホスファクーゼの至適pHは さ らに 酸性側 であ り、 阻害 剤に対 する 効果 も不 完全であることと、酸性ホスフ ァクーゼのよい基質である/くラニ卜ロフェニルリン酸がよい基質とならなかっ た こと から、 酸性 ホス ファ クーゼ であ る可 能性 は低いと考えられる。セリン/

ス レオ ニンホ スフ ァク ーゼ の阻害 剤で ある オカ グ酸に対レて非感受性であり、

基 質作 製にはPTKを使用したことからセリン/スレオニンホスファクーゼではな いと考えられた。PTPの一般的な阻害剤であるノくナジン酸、モリブデン酸、亜鉛 に よ って 活性が 阻害 され 、またMgCI2によっ て活 性が 増強さ れ、EDTAによ って 活 性阻 害され るこ とか らマ グネシ ウム 要求 性で あると考えられた。このような PTPの報告はなく、新たなPTPである可能性が示唆された。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

骨芽細胞様細胞株(lx/IC3T3 −El 細胞)の

タンノヾク質チロシンホスファターゼの精製と性質

Porification and characterization of phosphotyrosine protein phosphatase        from a clonal osteoblastic cell line (MC3T3‑E1 cell)  '

  審査 は担当者が それぞれ 個別に申 請者に対 し、口頭 試問ある いは筆記試 験により 提出 論文の内容とそれに関連した学問分野にっき行った。

  申請 者は、骨形 成系の細 胞におい ても標的 蛋白質チ ロシン残 基のりン酸 化・脱リ ン酸 化 に よ っ て 細 胞 機 能 調 節 が な さ れ て いる の では な い かと 推 測し 、 本 研究 を 行っ た 。   MC3T3‑E1細胞 中 の チロ シ ンキ ナ ーゼ(PTK)活性 は石灰化 部位が観 察される 時期まで比 活 性が上昇 し、その後 減少、再 び緩やか に上昇し た。チロ シンホスファターゼ(PTP)活性 は 培 養 開 始 後 上 昇 を 続 け た 。 一 方 チ ロシ ン リン 酸 化 蛋白 質 は多 数 発 現し て いる が 、 263,224,29.5,28.2kDaの4種類の蛋白質の発現量が石灰化時期に増加していた。この4種 類 の 蛋白質は未 同定であ るが、分 子量が近 似するチ ロシンリ ン酸化蛋白 質のーつ に細胞 接 着に関与 するインテ グリンを 介して増加する蛋白質があり、これらの蛋白質のーつは、

イ ン テグリンを 介したコ ラーゲン との接着 による石 灰化開始 のシグナル に関与し ている 可 能 性がある。PTK,PTPの培養 中の変化 を解明す るために は各々に ついて調べ る必要が あ る が、 本 研 究で は そ の内PTPの精 製を行い 、その性 質につい て検討して いる。遠 心分 離 に よって分画 した画分 のうち、 細胞質画 分が総活 性、比活 性ともに最 も高いた め精製 の出発材料として細胞質画分を選択している。

  細胞質画分にはカラム操作の結果、3種類のPTP(E1−PTP1,2,3)が存在していた。これら のIyl`PをSephacryl S‑400カ ラ ム に かけ た 結果 、El‑PTPl,2,3はそ れ ぞれ 分 子 量 1580,500,66kDaとして溶出した。El‑PTPlをさらにSuperdex 200HRカラムにかけた結果、

分 子 量 933kDaに 溶 出 し 、 SDS‑PAGEで は 33及 び 39kDaと し て 認 め ら れ た 。   El‑PTPl,2,3と抗PTPIB,1C,1D抗体との反応を調べた結果、El‑PTPlはいずれの抗体と も 反 応せず、El‑PTP2は 抗PTPIB,1D抗体 と反応し 、El‑PTP3は抗PTPID抗 体と反応 した。

PTPIB,1Dの分子量 は53,72kDaであり、一方El‑PTP2のSephacryl S‑400カラムでの分子量 は500kDaで あ っ た。PTPIDは 還 元剤 を除いた 試料処理 液を使用 した場合 及び煮沸を 行わ ず に イム ノ ブ ロッ テ ィ ング を 行う と 分 子量133kDaと し て 認め られ ることを確 認してお り 、PTPIB,1Dが 会 合体 を 形成 し て機能 している ことを示 唆してい る。また、MC3T3‑E1 細 胞におけ るPTPIB,1Dの培養 時間経過 にともな う発現量 の変化を調べたところ、時間経 過 と 其に発現量 は増加し ており、 これらryrPが 骨芽細胞 の増殖、 分化機能の 調節への 関

治 章

進  

  芳

村 本

   

   

中 松

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

与が推測される。

  El‑PTPl,2,3ともにセリン/スレオニンホスファターゼの阻害剤であるオカダ酸による 阻害は認められず、一般的なIyI`Pの阻害剤である亜鉛、モリブデン酸、バナジン酸によ り阻害された。マンガン、カルシウムはEl‑PTPl.3の活性を阻害し、El−PTP2の活性を促 進 した 。マ グネ シウ ムはEl‑PTP3の活性を阻害し、El‑PTPl,2の活性を増強した。また2 価 金属 キレ ート 剤で あるEDTA,EGTAは ぃず れの 活性 も阻害した。El‑PTPlは酸性ホスフ アターゼ(ACP)の阻害剤であるフッ素や酒石酸によってその活性が部分的に阻害された。

El‑PI'Plの 至 適 pHは pH6で あ っ た が 、 El‑PTP2, 3は pH7で あ っ た 。   El‑PTP2,3の 酵素 的性 質に つい て過 去の 報告 と比 較するとPTPIBではEDTA,EGTAによ っ て活 性が 増強 され てお り、PI'PIDではバナジン酸によって活性が阻害されなぃことが 異 なっ てい た。 一つ の理 由と して 、本 論分 では 培養 細胞から分離したPTPであるのに対 し て、 過去 の報 告で は組 換え 型のPTPで ある こと が考 えられる。El‑IyIPlの酵素的性質 に つい て既 に知 られ てい るホスファターゼと比較した。El‑PTPlは至適pHはpH6であり、

ACPの 一般 的な 阻害 剤で あるフ ッ素 ・酒 石酸 によ って 部分 的に 阻害 され た。 しか しACP の 至適pHは さら に酸 性側 であること、フツ素・酒石酸による阻害が不完全であること、

ACPの よい 基質 であ るパ ラニト ロフ ウニ ´レ リン 酸が よぃ基質とならなかったことから ACPで はな いと 考え られ る。セ リン /ス レオ ニン ホス ファターゼの阻害剤であるオカダ 酸 に対 して 非感 受性 であ り、 基質 作成 にはPTKを 使用 したことからセリン/スレオニン ホ スフ ァタ ーゼ では ない と考 えら れる 。PTPの一 般的 な阻害剤である亜鉛、モリブデン 酸 、バ ナジ ン酸 によ り阻 害され、マグネシウムによって活性を増強、EDTA,によって活 性 が阻 害さ れる こと から マグ ネシ ウム 要求 性の 阿`Pであると考えられる。このような PTPの報告はなく、新種のPTPである可能性が示唆している。

  以上 のよ うに 本論 分はMC3T3‑E1細胞 の石 灰化 過程 にPTK,PTPによ り調 節さ れる チロ シ ンリ ン酸 化が 関与 し、 さら に新 種のPTPの 存在 する 可能性があることを示唆した点こ れ から の骨 代謝 の研 究に 資すること大である。よって申請者は博士(歯学)の学位を授 与される資格を持つものと認めた。

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