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Academic year: 2021

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(1)

有限体の理論について

教科・領域教育専攻 自然系コース(数学)

横 田 佳 典

は じ め に

整数論はいうまでもなく、整数の諸性質やそ のあいだにひそんでいる諸法則を探求する学問 である。

しかし、残念なことに、この整数論はこれま での学校教育からは完全に閉め出されてしまっ ていた。小学校は整数の計算はいやというほど 練習させられるが、整数のなかに隠されている 法則に気づかせるような数え方はされてこなか った。だから、整数は子供たちにとって退屈き わまりない数にすぎなかった。

しかし、こういうやり方は誤りだと思う。整 数はもっともっとおもしろいもので、子供たち を、もちろんおとなたちも、夢中にさせるだけ の魅力を隠し持っているものである。

整数論は単におもしろいだけではなく、もっ と重要な意義をもっている。なぜなら、それは 数学の支柱となるような重要な考えはほとんど この整数論のなかに含まれているといっても過 言ではないからである。だからそれは数学概論 としての役割をも果たすことができるのである。

その理由をあげてみよう。何よりもまず、帰 納と演鐸の方法を学ぶことができるということ である。

数学も人間の創り出した科学であるから、当 然個々の特殊な事実から一般法則を抽出するこ と、すなわち!滞納からはじまる。ところが、学 校で数学を教えるときは、この段階が抜け落ち

指導教員 丸 林 英 俊

てしまって、定理や公式がいきなり持ち出され て、すぐ証明に移るという行き方がとられてい る。教わる生徒は、受動的にその証明を追いか けるだけになってしまう。そのために教わる側 は天下りに定理や公式を詰め込まれるだけにな ってしまう。

ところが、整数論では取り扱う整数が簡単で あり、計算も加減乗除であるから、この大切な 帰納の段階を十分に経験させることができる。

つまり、あらゆる科学にとって大切な思考法を 学ぶことができるのである。それはすなわち、

( 1 )特殊の場合についての実験

( 2 )

一般法則の推測

( 3  

)法則の証明

( 4 )

証明された法則の適用 である。

この論文では、整数論の合同式、それの 1つ の応用である有限体について記述する。

第1輩 合同式.

この章では、繰り返しの定義について述べた つもりである。例えば7の周期をもっ七曜もや はりそのようなものの一つである。それを合同 式で表すと例えば2つの整数 a、bが同じ曜日 を表すということは、 a‑bが7の倍数であると いうことである。それを 7la‑bで表し、 aと bは、同じ曜日になるということを、 a=b(mod 

7 )と書くことにする。言葉では、

r a

は7を法 としてbに合同である」という。そして、その

‑342‑

(2)

合同式の性質について述べ、剰余類のことも述 べている。また次にその合同式についての算法 つまり加減乗除について成り立つことを述べ、

環や体をなすことを示す(環や体については次 章で述べる。)。また完全剰余系や既約剰余系の ことについて触れ、その発展として、初等整数 論で重要なオイレルの定理、及びその特殊な場 合のフェルマーの定理について記述する。

オイレルの定理:(a,n) 

1ならば aψ(n) 1 (mod n)、ここで ψ(n)はlから nまでの自然数 でnと互いに素な数の個数を表す。

フェルマーの定理:aP¥ 

(odp)

ここで、 pは素数、 aは(ap) 1を満たす自然 数である。

第2章 群・環・体

現代代数学の基礎である群・環・体の基本的 理論を述べる。特に次章で必要な有限環、有限 体について詳しく記述する。

第3章 有限体

Fpの原始根rを選んでおく。そして、 rに関 する指数が奇数であるような

F

p の元 tをとる。

このとき、 α2=tをみたす記号 αを導入する。

(b)  p = 2の場合

有限体F2ー係数方程式X

+  x  + 

1 =0の根 α をつけくわえて、 4個の元、 0,1、α、 α +1からなる体F4をつくることができる:

F

4

=  { O

1

、α、α+

。}

これで、 4 =22個の元をもっ体F4 が構成で きた。次にもっと一般に、任意の自然数nに対 して、 2n個の元をもっ体 F2nをつくりたい。

これは、

F

2一係数の

n

次方程式であって、因数 分解されないものを見つけて、その根をF2に つけ加えるという方針でやる。

そして、一般の

F

2nは、「原始元J を見つけ ることができれば全く n=3の場合と同様にで きる。したがって、問題は「原始元」を見つけ ること、あるいは、それのみたす方程式を、見 つけること、であるが、これに深入りすること はこの論文の範囲を超えてしまう。むしろ、こ こでは、

n

が比較的小さい値のときの計算に慣 この章では、有限体について記述する。 pを れることに主限をおいたのである。

任意の素数とする。最初にF

= { o

12 また、 F2nはコンビュータの分野で盛んに応 p ‑1 }が体であることを、フェルマーの定理 用されている。

を用いて証明する。次に、有限体 Fpを含んで いて、しかもあらゆる Fp一係数2次方程式が 解けてしまうというきわめて有用な、 p2個の 元からなる、有限体

F

2 を次のような方法で 構成する:

(a)  pが奇素数の場合

(i)  p 

(mo )の場合

Fp 2={a + b  ila b5Fp 。}

ここでiは

F

p一方程式

x

2=‑1の根である。

(ii)  p 3Cmod 4)の場合

Fp2  {a+b αI abε F  p}。 ここで、 α は次のようにして作る。

4

章 代数学の基本定理について この章では、 Guassによって証明された代数 学の基本定理、つまり、複素数体上の多項式は 必ず根を複素数体の中に持つ、の詳細な証明を 与えている。

‑ 343‑

参照

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