有機質面に沿つての線条図形とその性質(第1報)
著者 池尻 忠夫
雑誌名 福井大学工学部研究報告
巻 8
号 1.2
ページ 1‑24
発行年 1960‑03
URL http://hdl.handle.net/10098/5179
有機質面に沿っての線条図形とその性質(第 1 報)
池 尻
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夫When the electric sparking arose between the two electrodes on the sensitive paper which had been exposed to light
,
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,
and perhaps with the emulsion layer ando o .
raita layer of sensitizer.About the cause
,
there are many obscure points,
and we are fully combined to the elucidation of the phenomena.The present studies are significantly concerned with problems in the domain of insulating resistance
,
e. g. in the arc‑proof characteristics of moisture insulators.感光した印画紙上に電極を置き,電圧を印加して火花放電を行わせると,略々等電位線方向に 線条の集合よりなる放電図形が生成される。この放電図形は電イ立の傾きに非常に影響を受け,且印 画紙の乳剤層又はパライタ層に生成されるoその生因に関して未だ不明の点があるが,印加エネノレ ギ一等が非常に関係するo 尚この図形に関して諸性質を調べた。之等の図形はある範囲の絶縁抵抗 の時生成され,例えば湿潤絶縁物の耐孤性の研究等に重要な関連を有すると思われるo
緒
有機質面に沿って生ずる放電図形の特異性に就ては,前に篠原教授,赤木教授等の諸研究があ り,更に著者によりこの研究が継続され,有機質面として,感光した印画紙を用いた場合について,
一応定量的な結果が導き出されているo しかしながら,これ等の現象は極めて複雑な機構により生 成されるものと考えられ,且っその生成過程も合めた研究は,未だ充分解明されていない現状であ るo従って,本稿に於ては,一応線条図形の既報以外の基礎的諸性質を示し,更にこれ等の図形と 関連あると見られる湿潤紙面上の焼損図形に就ても研究を行い,生成要因並びに生成過程に就て,
比較考察した。
これ等の研究は,有機質電気絶縁材料の沿面耐孤性の基礎的性質の解明,又はこの現象と類似 の原因により生成されると考えられる,汚損碍子の沿面閃絡時のドライベノレトの生成過程等の究明 に重要な意義を有するものと思われる。
特 福 井 大 学 講 師
2 福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第B巻 第 卜2号
2 . 実験装置及び実験方法
供試有機質面としては,感光した印画紙を使用し, この紙面上にアルミニヲム箔を火花電極と して密着させ,直流電圧を印加した。又放電路の上方への轡曲を防ぐ為,上方にも更に一枚の印画 紙を
O.1‑0.5mm
の空隙を隔てて置いた白この場合,電圧を印加すると,火花放電にて線条図形が 生成されるo この線条図形は如何なる電極配置でも大体等電位線に近い方向に延び,且つ電極軸に 対し,略々左右対称に出来るロ 印画紙の種類として, ブロマイド印画紙, クロロブロマイド印画 紙,ガスライト印画紙等を用いたが何れの場合も同様に図形は生成される。元来印画紙を自然光線 中に放置する時は,各印画紙の膜面の硬さの程度により少しの差異はあるが,大略ガスライト印画 紙(例えば,利根F‑3)は白色→淡檀色→赤樟色→赤紫色→赤褐色と変化し,クロロブロマイド 印画紙(例えばp ペロナF‑2) では,決黄色→淡黄緑色→淡青緑色→暗青色→赤褐色,ブロマイド印画紙(例えば,富士F‑2) では黄色→淡緑色→青緑色→青紫色等と変色する。(第 1表 〉 木 第1表 自然光線中放置時の印画紙の変色
ガ ス ラ イ ト(F‑2)利 根 白色→淡桃色→赤褐色→亦紫色→決赤紫色→
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複 写 用 印 画 紙
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黄色→黄緑色→濃黄緑色→褐色→実験の場合に於ては,線条図形の各線条の模様を容易に判別する為に,ガスライト印画紙では赤紫 色,クロロブロマイド印画紙では,暗文は談青色,ブロマイド印画紙では,青紫色に変化したもの について研究したが, この場合ガスライト印画紙に於ては,線条図形は黄色に,クロロブロマイド 印画紙に於ては,青色,紫色,桃色又は黄白色
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…緑色地に青色,紫色,桃色線条,F‑4
淡青色地に桃色線条, AM‑3淡青色地に黄白色線条〕ブロマイド印画紙では黄色又は紫色等の線 条が明瞭に現れた。 (Fー2淡青緑色地に黄色線条, F‑3青色地に紫色線条〉湿潤紙面上の焼損図 形の生成に要する実験装置等は後述するo
3 . 印画紙上に生成される線条図形
線条図形の生成条件と印画紙処理方法との関係については,既報の如くであり,之より乳化剤 層が適当に感光する事が必要であり,又保護膜層並びに原紙に生成されるものでない事も判ったo
ここでは更に各種の光線即ち可視光線,紫外線,赤外線等の投射の影響を考えてみた。潜像の形成 と線条の生成とについて述べると,先ず印画紙を可視光線に感光後直ちに実験を行った場合は,線 条はあまり鮮明に現れず好結果は得られない。電極聞の相当広範囲にしみの様なものが出来,微か に,図形を形成するにすぎない。電圧印加後一時線条図形は現われるが,数時間程経過すると周囲
有機質面に沿っての線条図形とその性質 3
が変色し,判断し難くなるo即ち線条図形の生成には関係ない事であるが,乳化剤!曹の感光による 着色が図形の判別を困難にするo印画紙を数時間日光にて感光させて,後実験を行うと却って鮮明 な図形が得られる。しかも時間の経過と共に図形も比較的安定で色状の変化もあまりなく細部迄判 別するのが容易である。 24時間以上に亘って感光させた時は長く実験当時の色状を保っている。之 等の諸変化は印画紙を水中にて感光させた後乾燥させた場合でも同様であり,圧縮力印加後感光さ せた時も同様で,ただ感光度低下の為,線条図形の判別が困難なだけであるo文レYズにて印画紙 上の一部分のみ強く照射し,照射量のむらを作ったものにても,図形の生成には影響は認められな かった。赤外線電球,ガス入タyグステシ電球,電熱器等よりの比較的波長の長い光線を使用し,
即ち熱線を印画紙に照射した一例として, ガスライト紙の場合, 感光域外にあり, 従って感光せ ず,色状は変化ないが,之に電圧印加して後,自然光線中に取出すと線条は現われる。更に印画紙 を自然光線中に取出し,可視光線と熱線共存の時は,可視光線単独の時に比し,多少赤味を帯びる が,線条図形は出来るo 次に紫外線加として,アーク灯及び殺菌
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を使用した時は,クロロブロマ イド印画紙では青色に変色するが(数分間照射〉線条図形自体の特性には影響を与えない。可視 線と共存の時も同様である。又赤外線を照射し,次に紫外線照射の場合或いはこれの逆の場合,更 に同時照射の場合,ナトリワム:KJ等の単色光並びにそれ等の組合せによる照射を試みたが同様であ った。尚その他偏光による影響も調べたが,線条図形自体の特性には影響はなかった。放電図形生 成LJlの紫外線,赤外線等の照射の影響も認められなかった。又印画紙の種類によって線条図形の模 様は幾分相違するが線条の色彩以外は特別の変化は認められなかった。然し線条図形の延びの長さ は異る口(第 1図)これは固有抵抗の差によると考えられるo各種の印画紙の温度を調節し同一抵 抗値に保持した時は,線条図形の諸性質は大略等しくなるが,然しガスライト紙の場合は図形は最 も明瞭な規則正しい繊細完全な図形となるに反し,他の二者では幾分線条の乱れが目立つ。之はハ ロゲン化銀粒子の大小に関係するものと思われ(ガスライト紙の場合小で,クロロブロマイド紙の 時普通,X
線ペーパーの時大である口)他に乳化剤層,パライタ層及び原紙等中の乳化剤,ゼラチ~,硫陵ノミリウム,木質繊維等の不純物としての影響と思われるが, これ等の詳細に関しては目下 研究中であるoその他特殊印画紙としてオッ Vログラブ用印画紙,極薄手複写印画紙(三菱1)電 送ブロマイド紙(富士)反射焼付用極薄手複写印画紙(三菱U)引仲用極薄手複写印画紙(三菱C
H)プオトスタット用極薄手控写印画紙(三菱pS)
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線ペーパー(オリエンタノレ〉等何れに於て も線条図形は出来る白青写真用印画紙(青線法)に於ては出来なかったが,薬剤(クエシ酸鉄アジ モニウム,塩化第二鉄等)及び含有アラビアゴムの含有分の小なる為めかと考えられるが,詳細は 未だ不明であるo4 . 線 条 図 形 の 諸 性 質
線条図形は供試面の固有抵抗によって変化を受け,固有抵抗の大きい時は,線条の延びに幾分 のばらつきを生ずるが,固有抵抗の小なる場合は,ばらつきは殆んどない。大体105‑109.Q‑cmの 組問で再現性は極めて良好である。
( 1 )
低絶縁抵抗の場合大 体105̲108.Q‑cmの範囲で生成せられるもので,絶縁抵抗と線条の延びとの関係を示すと,
第2.1図,第2.2図,第3.1図付)(ロ)等のようになるo更に線条数及び線条の巾等との関係を示すと,
第3.2図付)(ロ)付(ニ1, 第3.3図等のようになる。更に印加電圧,電流を横軸にとり,延び等との関係を 示せば,第4図(イ)(ロ)及び第5図のよ
5
になる, 即ち lO‑60MQの範囲内に於てはp 延びは,略々 相等しい。電圧一定の場合についていえば,始めの2‑3M.Q附近に極大点を有しているD 次に瞬間 投入電力との関係を示すと,第6図のようになり,略々比例関係にある事がわかるo投入電力をパ福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第8巻 第1・2号
ラメーターとして表面固有抵抗と線条の延び,数,線条の巾との関係は夫々第
7図のようになる。
即ち線条の数は,印加電力1O‑60Wの範囲にて僅かに5‑6本程度増大するのみであり,殆んど変 4
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12 福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第B巻 第1・2号
化しない。線条の巾は大体1O‑15MJJ附近迄は減少し, それより絶縁抵抗の大なる範囲にては,
殆んど変化は認め難い。更にギャップ長を変化した時,同一瞬間電力に対するギャップ長と線条の 延びの関係を求めると, 第8図のように滅少し, ギャップ長の増大につれ, 線条生成電力は増大 し,絶縁抵抗4.5M!2一cmの時,第9図等の如くなるo 又ギャップ長をパラメーターとして紙面の 固有抵抗との関係を示すと,第10図等の如く表わされるo次に線条の延びと印加時間との関係を調 べたo線条の延びは, 14‑15秒間は時閣の増大と共に増加するが,その後は一定値になるロこの関 係を第11図等に示す。第12図は印加時聞をパラメーターとした時の個有抵抗値と延び等との関係を 表わす。尚電圧上昇率と線条の延び及びその数,巾との関係を求めると,第13図のようになるo 即 ち印加電圧の大きい程,減少の割合が大きい。この場合の線条数及びその巾はあまり変らない。
(2) 高絶縁抵抗の場合
印画紙は元来或る程度の湿りを有し(印画紙の種類により異り湿分合有量はR.H.15%で3‑7
%, 8%位で9‑14箔,又100%になると20箔に達する。)従って,絶縁抵抗も低いが,之を乾燥させ て,大体80‑100MQ一cm迄持来すと線条図形は線条一個の枝が明瞭に分岐して来る事,線条が繊 細になる事,線条が印画紙の表面に突出してくること及び線条の数が多い事等が目立った相違であ る。この時の抵抗範囲としては, 108‑109Q‑cmであり,それ以上になると再現性が乏しくなるo
この場合の絶禄抵抗と線条の延び,数及び巾との関係は,第14.1図, 14.2図, 14.3図, 14.4図等に 示される。この場合絶縁抵抗が高くなる,即ち電流が減少するにつれ,線条の明確度は低下し,又 黄色味を帯びるようになるo 印画紙の固有抵抗一定の場合,ギャップ長を変化させ,その時の線条 の延び,数及び巾との関係を求めると,第15.1図,第15.2図,第15.3図に示すよ
5
になるo以上の 関係は空隙長によっても影響し,それとの関係を示せば,第16.1図等のよ5
になる。更にこの時放 電回数を重ねると,重ねた回数が増加するにつれ,線条の延びは増大するが,放電回数を30‑40回20
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首既報にも述べた如く,線条図形は電イ立の傾きの影響を受けて生成され,印画紙に各種形状の 孔を穿けた場合の線条図形の模様を示すと第1 7 . 1
図の如くなるo 印画紙を数個所にて折曲げた時 は,第1 7 . 2
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に現われるo又第1 7 . 3
図の如く一対の電極聞に線条図形生成後,それと直角方向より電圧を印加すると前の図形と無関係に図形が生成されるo
更に印加波形の影響等について言えば,交流
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の場合は,直流の場合と同様に生成され るが,直流に較べて幾分図形が不鮮明である。衝撃波 (1x40μs)印加の場合は,殆んど図形は形 成きれない凸ただそれらしいものが生成されるのみで,それは殆んど等電位線方向に延びる真直な 線条図形であるo之はゼラチシ被膜上に電圧印加の場合は明瞭に見られるD(第
1 6 . 2 図)
第13図
湿潤紙面上の焼損図形
水又は電解液等を浸潤した油紙その他各種の紙面上に両電極を置き,直流又は交流電圧を印加 した場合, 略電極軸上中央部附近に於て, 等電位棋に近い方向にー乃至二本の焼損図形が現われ る。この現象は汚損碍子等に発生するドライベノレトの生成機構更には薄葉状誘電体の高周波乾燥に 伴
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焼損図形の発生等に関連あるものと考えられるo しかしながら未だこの現象に対して二,三の 研究は行われているよ5
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福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第8巻 第1・2号 20
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第 17.1図
22 福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 8巻第卜 2号
上述の印画紙面上の線条図形 と比較,考察する意味に於て
実験を行い,二,三の結果を件
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い程度の状態にて絶縫抵抗を測定して定めたo文 試料の大さも焼損図形に影響を有するから,各試 料の特性を比較する意味で,全て略々一定 (3x 6cm)に保った口)
電圧印加後試料の負極の方よりだんだん黄色 に変色し始め,正極からは薄いにごった黒色に変 色するo これら両極よりの紙面の変色した部分 が,中央部に向って移動し,ある部分で両者の変 色部の尖端が相対立する。この部分より少し正極 側に,略々等電位線方向に薄い掃の線が一本発生 するo尚正極側は負極側よりも早く乾燥し,負極 には水滴が溜るo この場合の両電極聞の電位差の 時間的経過に対する模様を示すと,第四図のよう になるo焼損の初期の緑色状の線が時間の経過と 共に一層濃くなって,遂にはその部分が焼損し始 めるo ここで一応電圧を断って,この試料にリト マス試験紙を当てると,この焼損部を境として正 極,負極側が夫々赤色文は青色に変化する事より
これ等の部分に夫々 H+;OHーイオYが存在する 事がわかるo焼損図形の形状は,電極形状に応じ て変化し,又図形生成迄に要する時聞は,不平等 電界である程早い。吏に充分時間経過後焼損部附
近を再び観察すると,いづれの場合も,こげ茶色に変色している白これは化学的検定により種々考 察の結果,電極材料たる鉄が溶融し,焼損部分に溜ったものである事がわかった。 溶液の種類によ
っても異り,水道水,砂糖71<.,苛性ソーダ等では焼損図形は類似していて,図形は不鮮明で,焼損 時聞は短い。 Kcl,Cacl2では大体同様で焼損図形は類似している。 尚濃度の影響等は非常に認め
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第17.2図 紙面轡曲時の放電図形
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主│23 有機質面に沿っての線条図形とその性質
られ大なる程焼損が大であるが極端に大になる と又誠少するようである。之に関しては稿を改 めて述べたい。試料の種類の影響も存在する が,現在の所温紙の場合が図形は最も明確に現 われるo又j思潤リトマス試験紙に電圧を印加す る時は,酸或いはアノレカリ検出リトマス紙に応 じて,陰,陽極側が変色を始め,略電極間中央 部に変色の境界部を生じ,それにそって焼損を 始める。即ち赤色
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トマス試験紙を水道水に浸 し,電圧を印加すると,負極より次第に青色に 変じ, 中央部に進み, 正極よりで焼損し始め るo 正極よりの焼損部の距離は電極間隙の略 2/5程度の位置である。一方正極の方は赤色で ある口リトマス試験紙の変色具合は負極附近は濃青色で,そこから一様に育色で,又焼損部で特に濃青色となり,それより正極迄の焼損部は濃赤 色で, 後は一様に赤色となっているo 実験修了後, この試料を酸性被に浸すと焼損部が判然とす るロ却ち全部が赤色と成り,焼損部丈が黒色として残る。電極材料として,鉄,銅,白金の三種に ついて調べたが,イオン化傾向より言って,鉄,銅,白金のI}買に小さくなる。一般に金属をMとす ると,電庄印加により~iE極材料は M→ M+~+xe として x 価のイオシとなって試料内に融け出 るo 実験結果によると,金属イオンが,焼損部附近に沢山存在する程,焼損図形の生成は容易であ る白之は白金電極の場合,それの化学的不溶性の為,焼損部にはその成分は殆んど認められない。
且つ焼損図形の位置は今回は負極側に寄る。概して電極材料の種類の如何によらず, 水道水を用 いた場合は,焼損図形は急速に生成せられ図形は一般に不規則であるが白金の場合は例外で,比較 的に規則的焼損が生ずる白 Kcl溶液では,鉄電極の場合が最も早く焼損し,銅電極,白金電極の!頓 にその影響が少くなる白いづれの場合に於ても,櫨紙は反応が迅速ではなく,白金電極のKclに浸
した温紙の場合は特にひどく,相当長時間電圧を印加しないと焼損しない。
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E可加時向(均 第 19図竜柏市喧広町
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第 20図
24 福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第8巻 第1・2号
以上リトマス試験紙の変色による実験より知られる如く1H+イオシ及び OHーイオシが相接 して存在し,その境界に沿
5
で,焼損図形は生成される。又金属の堆積がある場合程,焼損図形の 生成が容易なように思われる。この後者の理由については,未だ不明であるが,これらの諸実験結 果より考えて,焼損図形の成因は1 Hイオy及びOHイオンの中和反応の熱エネノレギーに関係があ るように思われるo然して,この熱エネノレギーにより,先ず乾燥帯を生じ,それを挟んで,徴小火 花放電が起り1 li.つ焼損図形も乾燥部分と湿潤部分の境界に沿うて発生し,沿面閃絡への端緒を形 成するものと思われるo又前述の如く中和反応の熱エネノレギーにより生成されるとすれば,焼損図 形生成の位置は,両イオンの易動度の差に関係を有するものと考えられる。前に印画紙に生成される線条図形は電位の傾きの影響を受ける事を述べたが,湿潤紙面上の焼 損図形に於ても,この影響の存在を調べる為に,次のように紙面に各種形状の穴を穿った時の焼損 図形の変化の模様を研究したo第20図の如く穴を穿けると,同図に示されるよ
5
な焼損図形が生成 されるo これらより, 本実験に於ても, 焼損図形は電位の傾きの影響が大であることを理解出来 るo6 . 結
F司以上印画紙に生成される線条図形の基礎的諸性質について,未だ既報に発表されない部分のみ を主として記述したo この図形の生成原因については,更に詳細な実験に侯たねばならず,将来研 究続行の予定であるが,兎に角一応その全貌を捕える事が出来たo尚湿潤紙面上の焼損図形は,中 和反応に於ける熱エネノレギーに基づくものと考えられ,上述の感光した印画紙の場合の線条図形と は直接の関連はないよ
5
であるo 印画紙の場合でも, 絶縁抵抗が小になり 0.2MQ一cm位になる と,線条図形も 1‑2本で,湿潤紙面の場合と極めて類似した図形が生成されるよ5
になるo しか しこの場合は,乳化剤層のゼラチγ分子の吸湿の為格子間隔の増大によって,線条図形の不明或い は数の減少を招いたものと考えた方が妥当のよ5
であるo これ等に就ては,別に改めて電気雑誌に 投稿の予定であるo尚電圧印加回数増加に伴う空白部の存在,電極形状,極性効果の影響等につい ては紙面の関係上次の機会に譲りたい。終りに本研究に対し,御懇篤なる御指導を載く名古屋大学 工学部篠原卯吉教授に深甚の謝意を表する次第であるo参 考 文 献
(1) 篠原・永井・佐藤;電学誌 63,720 (昭18) (2) 赤木 :電学誌 71
,
170 (昭26) (3) 池尻(4) 池尻 (5) 池尻 (6) 池尻 (7) 池尻 (8) 池尻・篠原
:電学誌 78,841 (昭33) :応用物理28,11 (昭34)
:電気関係学会講蹟論文集昭和32年4月 :電気関係学会講演論文集昭和33年5月 :電気関係学会講演論文集昭和34年4月 :日本物理学会講演会 昭和33年3月
(受理年月日 昭和34年6月30日)