沖縄腹業 (J.Okinawa
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施肥管理を通じたサトウキビの糖度向上に関する研究
第 3 報.塩化カリおよび硫酸カリが圃場栽培サトウキピの糖度および 搾汁液中イオン含有量に与える影菩 渡追健太 I, 2) ・賓川拓生 I. 2) • 上野正実"・川満芳信 I) い琉球大学典学部, 2) 鹿児島大学大学院連合農学研究科)K
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WATANABE, H
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TAKARAGAWA, Masami UENO a
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要約 既報において,ポット条件下ではカリ肥料の 違いによりサトウキピの品質に与える影菩が異 なり,塩化カリ (KCI) が過剰に施肥された場 合のみ糖度低下が確認され,硫酸カリ (K2S04) 施肥区ではそのような傾向は見られなかった. そこで,圃場条件下での再現性の有無や収凪ヘ の影唇を明らかにするためカリ肥料の種類およ び施肥量を変更した圃場試験を行った.試験 1 では施肥量は変えずカリ肥料に KCI および K2S04 を用いた区を設定した.搾汁液中 K+, Cl ―含有量と糖度との間には有意な負の相関関 係が認められたが処理による違いは見られなかっ た.試験 2 では KCI, K2S04 を 0,6
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18 およ び 60kg
10a―'施肥した区を設けた. KCI 施肥 量の増加にともない搾汁液および土壌中 K+, Cl ―含有凪は増加する傾向が見られた.また, 試験 1 と比べ明確ではなかったものの搾汁液中K
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Cl- 含有凪と糖度との間に負の相関関係が 確認された.KCI 60 kg
lOa-1 区は甘庶糖度, 原料茎重可製糖鼠が最低であった. 以上より,圃場条件下でも K+, Cl- は糖度を 2016年 6 月 30 日受付 2016年 9 月 2713 受理 低下させ, K+. Cl ―が過剰に蓄積している圃場 では収量と品質の両方に悪影善を及ぽすことが 明らかになった.その様な圃場に対しては KCI 減肥によって糖度増加が可能であると考えられ たが,施肥管理の面からだけでなく栽培環境全 体の K\ Cl- を減らす工夫も必要である. キーワード:サトウキビ,糖度, KCI,K
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Cl ―,圃場試験 緒言 現在,減少傾向にあるサトウキビ原料茎およ びその粗糖の生産鼠を増加させるためには技術 的な面から単収および品質(糖度)を向上させ る必要がある.サトウキビの糖収凪増を図るた め施肥管理を通じた糖度向上に関する研究とし て,国内の製糖工場から採取した原料茎の搾汁 液中イオン含有量と糖度の関係を調べた結果, 搾汁液には多量の K□ および Cl ―が含まれてお り,これらイオンと糖度との間には負の相関関 係があることを確認した (Watanabee
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すなわち,過剰な K ャ,および Cl ―はサ卜ウキビの糖度を低下させる要因で,これらの 養分を適切に管理することが糖度向上に有効で あることを報告している. また,塩化カリ (KCI) と硫酸カリ (K2S04) を用いたポット試 験では, KCI を多屈に施肥した区で糖度が低下 する傾向が見られたが, K2S04 施肥区では同傾 向は見られなかった (Watanabe
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サトウキビ栽培には一般的に KCI が用いられ るため,カリ施肥量が過剰な圃場では蓄租され た K十および Cl ―が糖度低下を引き起こしてい ると考えられた. しかし,これはポット試験の 結果であり,実際に生産が行われる圃場条件下 では根圏が制限されておらず,降雨や台風など の影響もあることからポット条件下と異なる結 果が示される可能性がある.また,施肥管理に よる糖収最増を達成するためには糖度だけでな <分げつを含めた株全体の収且への影響につい ても明らかにする必要がある.そこで,本報で は圃場試験の結果からカリ肥料の違いがサトゥ キビの収量および糖度に与える影蓉を明らかに し,施肥管理による品質向上および糖収鼠増加 の可能性について検討を試みた. 材料および方法 試験 1:
カリ肥料の種類の異なる圃場試験 2011 年 4 月 29 日にサトウキビ (Saccharums
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NiF8) の一節苗を琉球大学農学部試験 圃場(島尻マージ)に畝間 1.2m,
株間 0.3m
の間隔で植えつけた.施肥に一般的なサトウキ ビ栽培用粒状配合肥料 88666 を用いた恨行区 に加え,窒素,リン酸に硫安,重焼燐を,カリ に KCI または K2S04 を用いた KCI 区および 氏 S04 区を設けた.各処理区の面積は 68m2
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10a―’とした.ポット試験(
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2016
b) ではサンプリング時 期により処理が糖度に与える影響が異なったこ とから 2011 年 12 月 7 日 (T1) および 2012 年 3 月 5 日 (T2) の 2 回,各処理区 15 株の刈り取 り調査を行った. T1 では全茎を T2 では各処理 区 15 茎を対象に近赤外線分光光度計 (Foss, InfraXact) により甘庶糖度を測定した.搾汁液 は Brix を測定し,超純水で希釈した後,ろ紙(
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Advantec) を用いてろ過し,イオンプ ラズマ元素分析装岡 (ICPSー8100,S
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により K十含有凩を測定した. T2 ではそのろ液 をさらに 0.45µm メンブレンフィルターにか け,イオンクロマトグラフ (ICS-1600,Thermo
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Scientific) により c1-. so/- 含有鼠を測 定した. 試験 2:
カリ肥料の種類および施肥呈の異なる 圃場試験 2014 年 4 月 12 日にサトウキビ {S.s
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NiF8) の一節苗を琉球大学農学部試験圃場 (島尻マージ)に畝間 1.2m,
株間 0.3 m の間 隔で植えつけた.施肥は硫安および燐安を用い てそれぞれ計 20,6
kg lOa-•
の窒素およびリン 酸を全処理区同凩与えた.カリを与えなかった 区 (OK と表記)に加えカリ肥料の種類 (KCI または K2S04) および施肥最(計 6, 18 およ び 60kg 10a
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I (それぞれ lK, 3K および lOK と表記))の異なる 7 処理区を設定した.OK
区の面積は 72m2 (
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他の処理区 の面積は 43m2 (
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m) であった.生 育調査として月に一度各区 6 株を対象に主茎 の仮茎長および茎数を測定した. 2014 年 10 月 9 日 (T3) に各処理区 4 株の, 2015 年 3 月 13 日 (T-1) に各処理区 6 株の刈り取り調査を行っ た.刈り取った原料茎を主茎および分げつで分 類し.原料茎数および一茎重測定後, 1 茎ごと渡追・賓川• 上野・川満:施肥管理を通じたサトウキピの糖度向上に関する研究 47 に搾汁した.試験 l 同様に搾汁液を調整した後, イオンクロマトグラフ (ICS-1600, Thenno FisherScientific) により K+, Cl
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S042 ―含有 量を測定した.また,同サンプルを用いて高速 液体クロマトグラフィー (Shimadzu) によりショ 糖含有量を測定し,甘庶糖度の算出に用いた. 土壌サンプルは風乾し 2 mm メッシュのふる いにかけた後'5 g の土壌に対し 25 ml の超純 水を加え l 時間振とうを行った(土壌:水=1
:
5 : U.S. Salinity Laboratory Staff, 1954). その 土壌浸出液の pH, 電気伝導率 (EC) を測定し た.土壌中 K+, Cl-, SO/―含有飛は搾汁液と 同様の方法で測定した. 統計分析はすべて統計ソフト R (R Core Team, 2015) を用いて行った. 結果および考察 試験 1 : 試験 1 ではカリ施肥屈は変えず.カ リ肥料の種類のみを変え.サトウキビの糖度お よび搾汁液中イオン含有量に与える影蓉を調査 した. T,において,すべての区でカリ施肥量 は同凪であったが, K2S04 区の搾汁液中 k十含 有量は他の区より有意に高かった(表 2). 同 様の傾向は T2 でも確認されたまた,肥料中 に含まれていないにもかかわらず T2 の搾汁液 中 Cl―含有量も K2S04 区で有意に高かった. T1, T2 ともに搾汁液中 K+, Cl ―含有量およ び甘庶糖度は同一処理区内で大き<ばらついた (図 0. T1 の時点では慣行区および KCl 区で は K十含有量と甘庶糖度の間に明確な関係は見 られなかったが, K2S04 区では 1%水準で有意 な負の相関関係が確認された.ー方, T2 では すべての処理区において K+ 含有昼の増加にと もない甘庶糖度が低下する傾向が見られ,特に 恨行区および KCI 区で有意な関係が認められ た. また,全茎を対象に K十含有量と Brix との 関係を調べたところ,すべての処理区において 両者の間には 1%水準で有意な負の相関関係が 表 1. KO および氏so.
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処理が収昂関連形質に与える影響(試験 1). T1 T2 茎数 甘庶糖度 茎数 一茎重 原料茎重甘庶糖度可製糖逗 本 % 本 g 本―1 kg 株―1 % g 株―1 慣行 28 13.8 a 32 575 b 1.23 16.7 a 192 KCI 24 13.4 a 39 558 b 1.45 16.4 a 222 K2S04 38 12.9 b 43 723 a 2.07 16.4 a 316 サンプリングは 2011 年 12 月 7 日 (T.) および 2012 年 3 月 5 日 (T2) に行った.異なるアルファペッ ト間には 5%水準で有意差があることを示す (Tukey-Kramer 法). 表 2. Ka および氏改)、処理が搾汁液中イオン含有盪に与える影響(試験 1). T1 T2 K + K + C「s
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-匹; L-I mgL ー1 mgL ー1 mgL ー1 恨行 3635 b 3152 b 1403 b 1547 b KCI 3577 b 3019 b 1482 b 1830 a K2S04 4314 a 3784 a 1852 a 1807 a サンプリングは 2011 年 12 月 7 日 (T1) および 2012 年 3 月 5 日 (T2) に行った.異なるアルファベッ ト間には 5%水準で有意差があることを示す (Tukey-Kramer 法).18 (ポ)赳蕊誕ね 16 14 12 10
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g
r = -0.44 ュた-ヽ
r= -0.57.. _, 4000 6000 図 1. 搾汁液中 k 含有置と甘庶糖度の関係(試験 1). サンプリングは 2011 年 12 月 7 日 (T.) および 2012 年 3 月 5 日 (T2) に行った.*および**はそれぞ れ 5%および 1%水準で有意であることを示す. 25 (冬) X! 』 8 23 21 19゜
25 23 ,_ (冬) X! 』 8 21 19 、,゜
確認された 慣行 慣行 r = -0.81** ぐ! C. 、~. に~·\,;~ v匹菟因'.')
2000 4000 ぐ) () ヽ',.キ .'' — c~·J じ、なi-, 0 もを入 、'、,.:,,-キr J "~ む' (^,!
6000 r = -0.76** 1000 (図 2). 2000 と Brix の問にも確認された. 3000 KCI KCI 同様の関係は Cl ―含有凩 このことから, K および Cl ―は圃場条件下でも糖度を低下させ る要因であると考えられたが, r::: -0.56**麗
ぶ'.~ 怠、ぶ
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0 2000 4000 6000 搾汁液中 K•含有豆 (mgL-1) r = -0.57** `、·~) -f 、_C,,J、 9 、 ·1, 心炉";,
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0 1000 2000 3000 ‘, r ヽ 6000 図 2. T2 fこおける搾汁液中 K 含有昂, a- 含有且と Brix の関係(試験 1). **は 1%水準で有意であることを示す.(
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の報告と異なり,カリ肥料間で K十お よび c1- と糖度との関係に違いは見られなかっ た. また,凡so4 区では K十含有凪が有意に高 かったことから,他の区より糖度への負の影蓉 が早く表れたと考えられた. いずれの処理区においても T2 時のに含有量 と Cl- 含有鼠の間には高い正の相関関係が確認 されたが, 回帰係数において処理区問で明確な渡追・究川・上野・川満:施肥管理を通じたサトウキピの糖度向上に関する研究
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1980) ことから,肥料中に Cl ―を含 まない K2S04 区においても吸収された K 十とと もに Cl―が植物体内に取り込まれたことが示唆 された.圃場条件では土壌溶液 (Goos,1
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などから c1- が供給源となることが知られてい ることから, K2S04 区でも肥料以外の面から吸 収可能な Cl ―が供給されたと考えられた. また,搾汁液中 K+, Cl ―含有最が K2S04 区で有 意に高かったり,同一処理区内で K+, Cl ―含有 展に大きなばらっきが見られたりした理由とし て,前作などの影唇により栽培前の土壌にはこ れらのイオンが不均ーに分布していた可能性が ある.L
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Wiegand
(1997) は同一圃場 内でもイオン分布が異なり,搾汁液中 K'含有 量と土壌中 k十含有量,搾汁液中 Cl ―含有凪と 土壌中 Cl ―含有量の間には有意な正の相関関係 があることを報告している.本試験では試験前 後の土壌分析を行っていないためデータとして 示せないが,搾汁液中イオン含有量は一圃場内 のより小さなスケールにおける土壌中イオン含 有量によって決定されていた可能性がある.ま た,カリウムおよび塩素は大部分がサトウキピ 内で常にイオン状態またはイオン化しやすい状 態にあり,古い器官から若い器官へと容易に再 転流されることが知られている(宮里 1986;T
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そのため主茎に比べ 糖度が低い分げつにより多くの K+, Cl- が蓄積 されていたために K+. Cl- と糖度の間に負の相 関関係が確認されたとも考えられる.以上の点 を明らかにするため,試験 2 では定期的に土壌 サンプリング行い,また収穫茎を主茎と分げつ に分けて分析を行った. 試験 2:
試験 1 から圃場条件下でも搾汁液中K
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Cl ―含有昼の増加にともない甘庶糖度が低 下する傾向が見られたことから圃場条件下でも K および c1- が糖度低下の要因であると考えら れた.そこで,試験 2 では肥料由来の K+,Cl
— が搾汁液中 K+, Cl ―含有母を増加させ,糖度を 低下させているかどうかを検証するため.カリ 肥料の種類に加え,施肥鼠を変えた試験を行っ た.仮茎長はすべての処理区で 7 月ごろまでは 緩やかに上昇したが,その後 9 月ごろまで著 しく増加した(図 4). また.それにともない 処理区間差も大きくなり, 8 月以降 KCIlOK
K2S04
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3 2 1 o (-'蕊怜)鋭城 7/28 9/22 11/17 1/12 3/9 612 日付 7/28 9/22 11/17 1/12 3/9 図 4. KO および KzS04 処理にともなう仮茎長および茎数の推移(試験 2). 表 3. KO および氏改),処理が収屋関連形質に与える影轡(試験 2). KCI OK IK3K
IOK IKK2S04 3K
IOK T3 甘蕨糖度 % 6.1a 7.3a 7.0 a 7.3a 7.2a
6.5a 6.9a 一茎重 g 本―1 683 b 753 ab 806 ab 875 ab 889 ab 942a 888 ab T4 原料茎数原料茎重甘惹糖度可製糖量 本株―I kg 株―I % g 株―1 2.8 a l.93 a 16.8 a 303 a 2.3 a l.76 a 16.9 a 278 a 2.2 a l.75 a 16.8 a 273 a 1.5 a 1.31 a 15.9 a 197 a 2.0 a l.78 a 16.4 a 272 a 2.5 a 2.35 a 16.0 a 352 a 2.0 a l.78 a 16.7 a 276 a サンプリングは 2014 年 10 月 9 日 (T3) および 2015 年 3 月 13 日 (T.) に行った.異なるアルファペッ ト間には 5%水準で有意差があることを示す (Tukey-Kramer 法). 区の仮茎長は他の処理区より低く推移した.そ 仮茎長の伸びは緩慢となり. 12 月以降 の後 はほとんど増加が見られず, 最終的には 220-250 cm となった.茎数は栽培期間を通じ て OK 区で高かった. 茎数は低く. 11 月以降 KCI lOK 区の 3 月では他の区が 2 本株 -I 以上であったのに対し KCI lOK 区では 1.5 本株―I となった.収屈調査の結果, Tl では甘庶糖度 は OK 区で最も低く, KCI IK および IOK 区で 最も大きかったが. T4 では KCI IOK 区で最低 (表 3). T4 において,一茎重は OK 区が K2S04 3K 区に対し有意に低かったが,原 となった
渡追・賓川・上野・川満:施肥管理を通じたサトウキビの糖度向上に関する研究 51 料茎数は最大であったため原料茎重は K2S04 3K 区についで大きかった. KCl lOK 区は一茎 重においては他の区と同程度の値であったもの の原料茎数が他の区と比べ著しく低く.原料茎 重は最低となった.また.甘庶糖度も最低であっ たことから可製糖量も最も低く.最大となった K2S04 3K 区より 40%以上低かった.海外では 力リ肥料の種類や施肥量を変更した圃場試験に 関する報告は少なくない・ Akhtar and Akhtar (2002) , Almeida et al.(2015) は KCI 施肥量 を増加させると収凪糖度の向上および植物体 または土壌中 k十含有量の増加を確認している. ー方で, Hallmarket al. (200 I) , Khosa (2002). Khadr et al.(2004) は KCI および K2S04 の違 いによる収量や糖度への影唇は小さいと述べて いる.そのため, KCI 施肥星の増加による負の 影唇やカリ肥料の種類による糖度への影唇の違 いなどは報告されていない. しかし,これらの 試験では最大でもカリ施肥量が約 20 kg IOa
—
I と本試験 lOK 区の 60 kg 10a―’と比べて著しく 少ないことから本試験のように KCI 施肥量が 過剰となったときの影響を評価できていないと 考えられた. T3 においては主茎,分げつともに KCI, KiS04 施肥鼠の増加にともない搾汁液中 k十含 有量は増加する傾向がみられ, KCI lOK 区お よび K2S04 lOK 区は OK 区および KCI lK 区 に対し有意に高かった(表 4). 同様に搾汁液 中 c1- 含有量もカリ施肥量の増加にともない増 加する傾向が認められたが,特に KCI 施肥区 においてその傾向が顕著であり, KCI 10K 区 で最大となった. T4 においてもカリ施肥量の 増加にともない搾汁液中 K+. Cl ―含有量は増加 する傾向が見られたが,その傾向は T3 ほど明 瞭ではなかった.特に T3 で最も搾汁液中 K+, Cl ―含有量の裔かった KCI lOK 区で T3 時と比 べて T4 の主茎の K+, Cl- 含有量が著しく低かっ た. したがって, KCI 施肥量を増加させると搾 汁液中 K+, Cl―含有量は増加する傾向が認めら れたが生育前半の方がその影響を強く受けると 考えられた. また, T4 の搾汁液中 K+, Cl—,
S042 ―含有量は主茎よりも分げつで高くなる傾 向にあったが,甘庶糖度には主茎・分げつ間の 有意差は認められなかったことから, K+, Cl—
と糖度間の負の相関関係は茎の熟度によるもの ではないと判断した. KCI 施肥区において,試験 1 と比較して明確 な傾向は得られなかったものの, T4 時の搾汁 液中 K+, Cl- 含有量と甘庶糖度との間には負の 相関関係が認められた(図 5). また, OK 区の 中でもに含有量の範囲が 1000-3000 mgL
—·.
c1- 含有量の範囲が 700-1400 mg L―'に及ぶな ど.同処理区内でもばらっきが大きく,やはり 肥料以外にも搾汁液中 K+, Cl ―含有量は左右さ れるものと考えられた.T
3
,
T4 ともにカリ肥料の種類に関わらず, 搾汁液中 k十含有員と Cl ―含有量の間には高い 正の相関関係が確認され,その回帰係数は KCI 施肥区より氏S04 施肥区で小さかった(図 6). 同様の結果は Watanabe et al. (2016b) のポッ ト試験でも確認されたことから.圃場レペルで も施肥量が増加した場合 K2S04 は KCI よりも 搾汁液中 c1- 含有凪を低下させることができる と考えられた. T3 において,土壌中 K十含有量はカリ施肥量 の増加にともない,また土壌中 Cl―含有量は KCI 施肥昼の増加にともないそれぞれ増加した が,特に KCl lOK 区で土壌中 K+. Cl- 含有量, EC が他の区より有意に裔かった(表 5).T
4
においてもカリ施肥量が増加すると k十含有量 が増加する傾向が見られたが処理区間に有意差 は認められなかった. これはサトウキビに淡分表 4. KO および氏so
.
.
処理が主茎・分げつ別搾汁液中イオン含有量および甘庶糖度に 与える影響(試験 2). K+ C「 S04 2- 甘蕨糖度 四 Lー 1 mgL ー 1 mgL ー 1 % OK 1566 b 962 b 1213 a 6.5 a IK 1647 b 1053 b 1040 a 7.6 a KCI 3K 2406 ab 1352 ab 1226 a 7.1 a 主茎 lOK 2950 a 1580 a 1169 a 7.5 a lK 2113 ab 967 b 1078 a 7.4 a K2S04 3K 2468 ab 964 b 1227 a 7.7 a lOK 2797 a 1129 ab 1056 a 7.9 a OK 1926 b 1010 b 1164 a 5.9 a T3 lK 1633 b 1056 b 945 a 6.9 a KCl 3K 1750 b 991 b 1060 a 6.9 a 分げつ lOK 3073 a 1635 a 1062 a 7.2 a lK 2059 ab 849 b 1066 a 7.0 a K2S04 3K 2577 ab 986 b 1008 a 5.8 a IOK 3016 a 1163 b 983 a 5.6 a 茎 ns ns **
*
ANOVA 処理•••
•••
ns ns 茎 x 処理 ns m ns ns OK 1709 ab 999 a 1500 a 17.0 a IK 1429 b 1045 a 1474 a 17.2 a KCI 3K 2021 ab 1153 a 1340 a 17.0 a 主茎 lOK 1923 ab 1123 a 1526 a 15.8 a lK 1701 ab 961 a 1411 a 16.4 a K2S04 3K 1768 ab 890 a 1346 a 15.9 a IOK 2179 a 1051 a 1476 a 16.5 a OK 1697C 1084 a 1717 a 16.6 a T4 lK 1850 be 1166 a 1455 a 16.7 a KCI 3K 2024 abc 1260 a 1541 a 16.6 a 分げつ IOK 2882 ab 1454 a 1659 a 16.1 a IK 2116 abc 1156 a 1644 a 16.5 a 応S04 3K 2816 a 1285 a 1529 a 16.1 a IOK 2697 ab 1245 a 1720 a 16.8 a 茎...
*
*
*
*** ns ANOVA 処理•••
* * ru; 茎 x 処理.
ffi ns ns サンプリングは 2014 年 10 月 9 日 {T3) および 2015 年 3 月 13 日 (T.) に行った.各サンプリング時 期のそれぞれ主茎と分げつにおいて異なるアルファベット間には 5%水準で有意差があることを示す (Tukey-Kramer 法).*.**および***はそれぞれ 5%, 1%および 0.1%水準で有意差もしくは有意な交 互作用があることを, ns は 5%水準で有意差もしくは有意な交互作用がないことを示す.渡追・賓川・上野・川満:施肥管理を通じたサトウキビの糖度向上に関する研究
5
3
20 8 6 4 ー 11 (冬)邸碑涵 B KCI r = -0.36 ..襄
氏S04 r=-0.02 X 口口辺«119
翌砂ロ
ぉ
.
12 0 1000 2000 3000 4000 5000 0 1000 2000 3000 4000 5000 搾汁液中 K+含有呈 (mgLー1) 20 KCI r=-0.17 "# -'--1e栂~oa
磁『
.
14 K2S04 『 =0.05露ロ
o ロ.
12 [ __ - キ —--キ-'---キ---1 ----0 500 1000 1500 2000 0 500 1000 1500 2000 搾汁液中 c1-含有益 (mgL-1) 主茎 xOK 01K o3K • 10K 分げつ +OK 口 1K 口 3K ■ 10K 図 5.T
.
.
lこおける搾汁液中 K 含有昼, a-含有昼と甘庶糖度の関係(試験 2). **は 1%水準で有意であることを示す. KCI 氏S04 2000 , ·—7
..— ―——ー一 、,~ --T31500 ト
T3~ノ•十
-渇x囀"'‘‘
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1000 ~=—
C) E キ 500 y = 0 41 X + 337 y = 0.22x + 487 r = 0.95** r = 0.72 ....囀把佃
i
む:
2 000 0 1500Tヽ
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T . ,ロ
1000 sooI y = 0.32 X + 538 y = 0.27 X + 539 r = 0s
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キ
r=0.81"* 0 L__'————•….
L . ー...・ -—_J I 0 1000 2000 3000 4000 5000 0 1000 2000 3000 4000 5000 主茎 搾汁液中 kや含有拭 (mgL—1) 分げつxOK 01K o3K • 10K +OK 口 1K 口 3K ■10K
図 6. 搾汁液中 K 含有迅と a―含有量の関係(試験 2).
サンプリングは 2014 年 10 月 9 日 (T3) および 2015 年 3 月 13 日 (T4) に行った.**は 1%水準で有 意であることを示す.
表 5. KO および KiSO、処理が土壌中イオン含有岳に与える影響(試験 2).
pH EC K+ C「 S04 2—
m5 rri
—
I mg 100gーI mglOOgー I mglOOgー 1栽培前 6.93 7.12 1.49 1.99 4.07 OK 6.31 a 30.45 b 1.00 b 4.19 b 5.85 a IK 4.82 ab 27.30 b 1.16 b 4.57 b 7:72 a KCI 3K 5.49 ab 39.55 ab 3.03 b 8.27 b 8.87 a T3 IOK 6.38 a 82.38 a 14.15 a 19.61 a 19.76 a IK 5.39 ab 25.91 b 1.40 b 4.13 b 7.84 a K2S04 3K 3.98 b 30.90 b 2.92 b 3.46 b I 1.08 a IOK 4.05 b 28.90 b 3.16 b 4.19 b 9.53 a OK 6.61abc 12.74 a 0.79 a 3.42 a 6.67 a IK 6.45abc 11.53 a 0.45 a 3.70 a 8.54 a KCI 3K 6.72 ab 16.49 a 1.04 a 2.20 a 8.67 a T4 IOK 6.87 a 21.78 a 1.34 a 2.55 a 11.68 a IK 6.65 ab 17.81 a 0.53 a 2.47 a 14.18 a K2S04 3K 6.23C II.II a 0.84 a 1.97 a 11.31 a IOK 6.32be 14.10 a 1.99 a 2.34 a 18.73 a サンプリングは 2014 年 10 月 9 日 (T3) および 2015 年 3 月 13 日 (T.) に行った.各サンプリング時 期において異なるアルファペット間には 5%水準で有意差があることを示す (Tukey 法). が吸収されたり,降雨等によって肥料の溶脱が 生じたためだと推測した. c1- 含有量と糖度の間に負の相関関係が確認さ れたことから, K2S04 代替利用ではなく KCI 減 肥によって K+, Cl ―による糖度低下を回避する 方法が有効であると考えられた.沖縄県の多く の圃場ではすでに十分員のカリが蓄積されてい る(大田ら, 2000) ことや試験 2 においてカリ を全く与えなかった OK 区でも恨行栽培 (KCI lK) 区より高い可製糖屈が得られたことから もカリを減肥できる可能性は十分にある.今後 は K+, Cl- 存在量の異なる栽培圃場でこのよう な KCI 減肥が実際に糖度および可製糖量の向 上に有効であるか研究する予定である. 以上,試験 l から K+, Cl ―は圃場条件下でも 糖度低下の要因となりうること,試験 2 から KCI が過剰に施肥されると土壌中および搾汁液 中 K+, Cl ―含有量が増加し,収凪および糖度を 低下させることが明らかになった. しかし,そ の搾汁液中含有鼠には肥料以外の要因も影啓す ると考えられたため,施肥管理の面からだけで なくクリーニングクロップを用いて残存する K+, er を除去したり,塩浪度の低い灌漑水を 用いるなど栽培現境全体の K+, Cl- を低減する 必要があると考えられた. Watanabe et al. (2016b) は特に糖度低下の主要因と考えられ た Cl屈を減らすため現行の KCI 施肥屈の低減 もしくは K2S0-1 の代替利用を行う必要がある と述べているが.ポット条件下と異なり圃場条 件下では試験 l の K2S0-1 区でも搾汁液中 k 令・
Abstract: From the previous reports, it was reュ vealed that, under pot conditions, different potasュ sium fertilizers had different effects on sugarcane quality and sugar concentration was reduced only with increasing potassium chloride (KCI) levels,
渡退・賓川・上野・川満:施肥管理を通じたサトウキビの糖度向上に関する研究