保健室登校の援助と教育的機能 : 不登校経験者の面接調査による分析と探索
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(2) テーションを行うことで担任の精神的な支えと. 学校では特別支援ゴーディネイダーを中心にカ. なっていた。毎日の支援を行う養護教諭と週1. ードを使い情報の連絡を行っていた。養護教諭. 回の支援を行うS Cとの間で役割りを分担する. の日頃からの声がけから信頼関係が生まれ,っ. ことができ協働で生徒支援ができるようになっ. ながっていき様々な悩みや辛さを受け止め,保. た。S Cによる保健室登校に対する理解のある. 健室は安心感が持て,徐々に自己洞察をしてい. 発言で保健室の役割りが理解され周知されるよ. く場となっている。インタビューの中で一番心. うになった。保健室登校生徒のインタビューか. に残った言葉は,「大切にしてあげる。それだけ. ら養護教諭の変わらない働きかけとしてr気持. でいいですよ」であった。. ちを分かってくれる」r受容される」r包み込ん. 保健室登校生徒の追跡調査から得られたメッ. でくれる」であり養護教諭のみが深くかかわる. セージを活用した健康教育実践(実地研究1I). ことの多い体調に対する理解への感謝であった。. を行った。内容はr由加ちゃんの校歌」という. また生徒たちにとってS Cとの出会いは重要で. 自作教材と卒業生からのメッセージを用いた総. 心理的なかかわりを持って援助がされていた。. 合学習であった。たった一言の言葉rきもい キ. 他校における保健室の役割や養護教諭の専門. ショイ」から不登校になった経験と乗り越えて. 性についてインタビューの結果は,6つのカテ. きた今の気持ちを伝えた。r友人関係」「今を一. ゴリーに分けることができ共通する支援と特殊. 生懸命生きる」といった自分自身を見つめての. な活動に分けて役割を明確にした。r受容され安. 感想が見られた。r温かい人間関係が不登校の予. 心できる居場所としての保健室」は,安全で生. 防につながる」などの教師一の感想も見られた。. きるための場所となっており,生徒にとって米. 4 総合考察と今後の課題. やすい空間である。「ゴーディネイダーとしての. 不登校への支援と保健室の役割として,児童. 養護教諭の働き」では、学校にいる人達と保健. 生徒の「安心と自信と自由」を培い成長の礎を. 室登校生徒・保護者と担任・担任と子どもをつ. 築く働きは,養護教諭の教育機能と言える。S. ないでいる。r組織的対応と連携」では支援会議. C導入後は保健室登校生徒への対応を協働して. や校外でのケース検討会議を持ったり不登校対. 行うことにより養護教諭の不安が軽減し,S C. 策委員会などで情報交換をしたり,保健日誌が. と連携していく事で保健室登校生徒の早期の教. 管理職と子どもをつなぎ,rあの子はどうしてい. 室復帰が見られた。子どもたちにとってr信頼. るか」と関心を持たれ大きな援助一となっている。. できる人(先生)」との出会いが新しい一歩を踏. r早期発見・早期対応」r学級とのつなぎの役割」. み出す為の糧になり,保健室という空間の中で. があり「その他の活動」として,小学校ではS. 関わる人の存在が大切であるといえる。保健室. Cがいないことで,コーディネーター的な役割. 登校生徒は養護教諭と毎日ともに過ごしあるが. を担っていることが最も多く見られた。小学校. ままに受け止められ,丁寧に対応された体験を. では言葉を介して行われる面接が難しいので,. 通して自信を回復し自立していく支援は「人の. 観察と連携が特に必要でおんぶや抱っこなどの. 成長」にかかわる教育的機能であるといえる。. 身体的接触が養護教諭との信頼関係を作ってい. 今後の課題として発達障害を持つ保健室登校. き,中学校は教科担任制であることから組織的. 生徒への対応である。. 対応と連携が重要であり,高校ではメンタルヘ. 修学指導教員 新井 肇. ルスヘのサポートがより重要である。特別支援. 指導教員松本剛. 一95一.
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