敬語教育について
一 中 学 ・ 高 校 ・ 大 学 生 の 実 態 調 査 を ふ ま え て ー
演 崎 賢 太 郎
(武庫J
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女子大学文学部教育学科)A Study o
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中学生・高校生・大学生の敬語窓識・敬語知識・敬諮行動の実態調査(平成元年 1989年)をふまえ,中学校・高等 学校の敬語教育の現況とむずかしさ,および,その図難を乗り越えての望ましい敬諮教青の試案を述べる.敬語 行動は外語的性格を持っているので,その指導は具体的な場面等を設けて,実際に使用することによって成果を あげることができる.研究の目的
「今日の青少年は敬語がちゃんと使えなしづと言われている.私の実態調査の結果から克ても,敬語が「うまく 使えるjは 5070台である.i
今以上に敬語をうまく使えるようになりたし、と思うかJについては「はしづと答えた者 が,中学生で57.6%, 高校生で 69.3%, 大学生で 96.2%であった.小学校-中学校・高等学校の学習指導要領 には,校種に応じて,敬語指導に関する事項が述べられている.このように敬語教育が年を追って重祝されてい るにもかかわらず,実効はあがっていない.その理由をも検討するとともに,その函葉監を乗り越えて,敬語教育 に真剣に取り組んでいる実践者の方法等を紹介しながら,先学の見解をも参考にして,敬語教育試案の一端を申 し述べる.中学・高校・大学生の敬語意識・敬語知識・敬語行動についての調査
(1)敬語意識についてのまとめり 105(ア) 実態調査では,
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13上に対する敬語使用」は減っても,r
うまく使えなし、」が減り,r
大体うまく使えるj fふつうJfあまりうまく使えなL、」とL、う中間に築まっている. (イ)r
家族どうしの敬語使用」ではf使わない」が場加している.しかし,r
使わなし、」とL、う意識と,r
家の中 でも敬語は使うべきか」との意見には恭子の隔たりがJiI,られた. (ウ)r
これからの敬語」につては,簡素化を望む意見よりも,現状肯定ともとれるfどちらともきえない」の務 状主義の方が多かった.liif,識としては,r
敬語は使われることは少なくなるだろう」と思いながらも,そ のくせ敬語を今以上に「うまく使えるようになりたしゴと思っている (ェ) 国立国語研究所の昭和47年の調査2)の「まとめ」の中に「敬語の使い方については,この20年間大きな 変化はなかった.大筋としては変わっていないことになるjとあるのと同じであるが,男女間の差等で そのとおりでないものもあった. (2)敬語知識・敬語行動についての読ままのまとめ3) (ア) 敬諮使用率については,全般的には中学生・高校生・大学生と高くなっており,特に高校生と大学生との 差が非常に大きいことがわかった.この差は国立国語研究所の年代別潟ままには現れていない現象である. (イ) 高校生でも,在学する学校が途い家庭状況が異なると,使用率が中学から高校生へと必ずしも高くなら ない.女子大生ではl回生と 3回生とでは大きな掬きがあることがわかった. (ウ) 敬語行動は,格別の意図的教育を行わなくても,対人交渉を行うことによって育てられることがわかっ た. (エ) 敬語知識・敬語行動と敬語意識との関係では,中学生・高校生は「大体うまく使えるjと敬語使用務とは比 例するが,女子大生は逆比例している.女子大生は10年前より,わずかではあるが使用率は高くなっ ていた. 以上が王子成元年の私の調査結泉の概要である.中学校・高等学校の学習指導要領について
昭和 52年度版中学校学習指導婆領第 1主主総則 9(1)に,竿校生活全体における言語環境を整え,生徒の言誘活 動が適正に行われるように努めること.とあり,第2宝章第I節国語の「表現」の内容について,r
(1)盟諸による 表現カをつけるため,次の事項について指導する」とあり,第1学年ケ 音声・言葉づかい,速度などに注窓して 話したり朗読したりすること.第2学年ケ 音声,言葉づかし、速度などに注意し,表現を工夫して話したり朗読 したりすること.第3学年ケ 適切な音声・1
言葉づかい,速度などで話したり朗読したりすること.とある. その解説に,…….その擦のぎ薬づかいには,対人関係にはたらくぎ築づかいの問題もあり,いろいろな場開 に応じた敬語の使い方の指導なども含まれるとある. 言語事項(1)の内容は,第1, 第2, 第3学年を通じて,カ 話し言葉と芸書き言葉…・ーなどについて理解し, また,敬語の使い方を身につける.とあり,その解説に,r
敬語の使い方」について,敬語表現は,文法・詩句・文 体などに縞広く関連している.今までの断片的な知識をまとめて体系的に理解させるようにするとともに,いろ いろな場面に応じて,敬語を正しく適度に使うことができるように指導する.とある. これが平成元年度紋中学校学習指導要領では次のようになっている. 第1意総則第 6, 2(1)学校生活全体を通して,言語に対する意識や関心を高め,言語環境を数え,生徒の言 誘活動が適正に行われるよう努めること.とあり,第1節国語のrA表現」の内容についてr(1)濁語による表現 カを高め,次の事項について指導するjとあり,第l学年ケ 自分の考えや気持ちを務理し,言葉遊いに注意し て話すこと.第2学年ケ 自分の考えや気持ちを,相手の場の状況に応じ,適切な言葉遣いで話すこと.第3学 年ク 相手の立場や受け取り方を考えて自分の話の効果を確かめながら認すこと.とある. その解説に,第1学年では,…・υ相手に的確に伝わるよう言葉遊いに注意して言語すこと.第2学年では 相手の場や状況にも当てはめ,それに対応して話すこと・…ーしたがって,適切な言葉遊いを用いる程度も第 1学 年より高等になっている.第3学年では,…・・・相手の立場や受け取りを考慮に入れておくこと.とある. 言語事項(1)の内容は,第1学年ア 話す迷度や音最,言葉の使い方などに注意する.とある.その解説に, 言葉の使い方とは……改まった場合の言葉,了寧な言葉などの使い方も理解させることが望ましい・…一知識とし 106てではなく,具体的に理解させ,効果的に表現したり役立つように指導したい.とある.第3学年オ 敬語につ いての理解を深め,その使い方を身につけること.とある.その解説に敬語については,小学校との関連で第1 学年や第2学年でも,表現の話し方指導毒事項と関連付けて指導されるものと怒われる.第 3学年でも表現のクと 関連付け,主重点的に,効果的に指導し,定着を図るようにする.敬語は,小学校で学潔した内容や,日常生活で 経験的,継続的に学習したことを合わせると,かなりの理解ができているはずである.それらの個別的な知識を 裟理し,体系付け,敬語のきまりとして改めて理解し認識を深めさせる. 敬語表現は,文法,誇議,文体などに幅広く関連している.敬語の使い方としては,その適切な度合い,栂手 や場に応じた使い分けなどの指導をする必要がある.とある. 次に高等学校の学資指導要領を見てみる. 昭和52年度版高等学校学習指導要領第 1意総剣第 7款6(1)に,学校生活全体における言語環境を整え,生徒 の言語活動が適正に行われるよう努めること.とあり,第2章第 1節国語 H A表現jに,ア 対象を的確に表 す詩句を選び,文脈に郎して用いること.とある.その解説に,…-一話し手や替き手が,表現しようと思う対象 にぴったりした言葉を選んで使うことは,話し方や作文の学習の姦本となるのである.とある.イ 文語のきま り,謬11読のきまりなどを解明する.とある.その解説には,文言語のきまりには…・敬語の大体などについて学習 させ…….とある.オ 言語の役割,国語の特質などを理解する.とある.その解説には,詩句の用法として は 国語の大きな特色である敬語についても正しい理解をもたせる.とある. (3) 内容の「言語事項」の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする.ア 中学校の指導の上に立って, 内容のA及びBの指導の中で深めるようにすること.とある. 平成元年度版高等学校学習指導要領第1章総則第 6款6(1)に,学校生活全体を通じて,言語に関する意識や 関心を高め,言語環境を整え,生徒の言言語活動が適正に行われるように努めること.とあり,第2章第 l節 閣 議Iの A表現には,ウ 対象を的篠にき受す謡句を選び,文脈に却して用いること.解説には,語句の選択と使 用に関する指導毒事項で, ~対象』とは,表現しようとする事柄や様子,気持ちなどを広く指している.とある.キ 目的や場に応じて効薬的に話したり朗読したりすること.解説には,この事項は,図的・相手-その携の状況など に応じて適切な言葉遊いや・・ を考え,効果的に話したり…特に言言葉遣いは,相互の人間関係や立場に関係 して起こってくる問題なので十分注意する必婆がある.とある. 2言議事項には,イ 文語のきまり,訪11読のきまりなどを理解すること.解説には,イは・…『文語のきまり』 一敬語法の文体などについて学習させ…….とある.ウ 詩句の窓味,用法などを理解し,誘致を議かにする. 解説には,語句の用法としては・・・爵語の大きな特色である敬語についても正しい潔解を持たせる.とある.オ 言語の役割,閑語の特質などを理解すること.解説には,
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言語の役割」については, 人間関係をよくし社会 を調整する働き・一.とある. 内容の取り扱いには, (4)内容の「言語事項」の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする.イ イに ついては,・…・言葉遊い,敬語の用法などについても,必喜警に応じて扱うこと.解説には,…υ 雷雲実透い,敬語 の用法については,中学校で学習したことを更に深めさせることが望ましいとある. 以上等から学習指導婆領の敬語の取りJ二げ方の推移を見ると, 中学校では,昭和52年度版は,表現の領域で,各学年にわたり,敬語指導に関係する事項が述べられ,言語 事項においては,r
第l学年で,敬語の使い方を身につけることを明記し,第2学年第3学年では第1学年の言 語事項の(1)に示す事項について指導するJとある. これが平成元年度版になると A表現では「自分の気持ちゃ相手や場の状況や立場に応じて適切な言葉遊いで 話す」などきめ細かな指導内容になっている.さらに言語事項において「第2学年第3学年は第1学年の(1)に示 す毒事項について指導する」とあるのに対し,王子成元年度版では,第3学年に3項目にわたって詳述している. このように,前回の内容に検討を加え,より具体的に,指導しやすい形になっている. 高等学校においては,必修である国語Iについて比較すると A表現の内容に関しては大体同じであるが, 内容の取り扱いについては,言語事項の指導配慮についてイの項自が新たに加わり,言葉遊い,敬語の用法など についても必要に応じて扱うことが加えられ,敬語の指導が重視されていることがうかがわれる. n i n H V 宅 B B B 晶中学校・高等学校の敬語指導
大石初太郎氏のは,教え子で中学校の溜話の教鮪をしている若い人から,i
尊敬語とか謙譲昔話とかし、うような 話をしてみても,生徒はさっぱり耳をかしません.むなしい気がします.Jというような述懐を開いて,それは無 理もないことだと思う.尊敬語とか謙談話の説明は然味乾燥で,また潔解もl2l9難であろう.やさしいことではな い.まして近ごろのように,どこでもかしこでもということではないだろうが,いわゆるツッパリ生徒がし、て教 室の空気が荒れているようなところでは,ましてやそんな話は馬の苓に念仏だろうと患う.それからまた教師と 生徒との接触では,これは折り目正しい敬語のやりとりはしていられない.そんなこ'とでは生徒と先生の結びつ きができない.だからおのずから友達づきあいの言葉になる.これはやむをえないことだと怒う.と言っている これは大石氏の感じた,中学校の敬語教育の一般論であろうが,数は少ないながらも,敬語教育の重要性を認 識して指導法を工夫し,真剣に敬語教育の実銭をしている人はある.それらの実践例jを紹介してみる. 中村留太郎氏5)は,i
どのように敬語を身につけさせたか.中学生の場合」で,最近の中学生は「敬語jに対して どのような意識を持っているであろうか.学校として「敬語」の指導に取り総むと,生徒はどのように反応するで あろうか.盟諸科の指導では,的確な知識,潔解を中心に,敬語使用の基本的な態度を養うことに主娘を鐙くべ きであろう.と述べている. 橋本武氏6)は, i悶じく,高校生の場合Jで,敬語の正しい用法に通じていなければIE誤の判断ができない.そ の判断の基準を確認させることは,中学・高校での文法教育の一つの昆療でなければならぬ.と言って,常体と 敬体.種々の言い方.古典教材の利用一一常体表現比較敬語の確認一ーに分けて述べている. 東広島市立高尾中学校の平交正幸氏7)は「中学生における敬語使用の実態と問題」で,わたしの敬語指導は,敬 語の複雑繁多な使用を考えるものではなく,寝言語審議会が出された「これからの敬語Jを基準として考えたもので ある.として,敬語意識の調変.敬語使用と問題点.敬語の指導段階.に分けて述べている. 東京都立芝商業高校の黒沢恵美子氏8)は, i日常生活に生かす敬語指導でJ
,正しくさをしい敬語意識.古典入門 期における敬語指導一一日常語と関連させて.小説を鑑笈する際の敬語慾識手紙文で学ぶ敬語一一一近況報告を 中心に一一一.に分けて述べている. 以上が,敬語教育の困難を乗り越えて,効楽的な敬語教育を模索しながら実践した報告ならびに意見である,先学の克解
(1)敬語指導の問題点 田中久直氏9)は,安い教師は敬語的教養を欠いており,したがってじゅうぶんな敬語指導を行うことができな いのではなし、か若い教師はかれの祉会生活の中で、治応に敬訪を使いこなし,とりたてて不自然さがないと しても,こと「敬語指導」ということになると,ー緩の歯切れの惑さのあることは否定できない.その必喜さを強く 自覚する,自信をもって指導するということを欠いてし、るように思われるのである.と言っている 森岡健二氏10)は,敬語は「言語Jとしての側箇より,対人的な「言語行動Jとしての側節により大きな問題がひ そんでいると思われる したがって敬語語殺をどんなに知っていても,どういう相手にどういう素材について, どうし、う立場から話すかとし、う場面における敬語行動の様式を十分身につける必要があるときっている. 野元溺雄氏Jl)は,敬語の使い分け能力は,敬語の使い方の中で特に重要と考える.敬語のじようずな使い方 は,いつでもていねいに言うということではない.それは場面場面に殺も適したていねいさで言うことだと考え るべきだろう.ぃ…敬語についての知識点と敬語行動のていねいさとはほとんど関係がないようである.と言っ ている. 石野博史氏lめは,子供は学校で敬語について教わる.それなりに理解もする.しかし,学校で得られるもの は単なる知識にとどまり,実践の域には到達しない.敬語はやはり実践である.今の子供たちは教師に対してす ら,ろくに敬語を用いないが,これで、は学校は敬語を身につけるための道場たりえない.とぎっている. 田中章夫氏13)は,敬語使用の義援が,図上とか上役とかし、った,対人的なものから,場面的なものへ移って きた結果,敬語表現のあり方も,場萄との対応が重視され,強調されるようになってきた・a・場聞による敬語 の習得には,その言語環境が大きな影響を持つものと見られる.と言っている 108-(2)形より心の敬語 大石初太郎氏4)は,いわゆる狭義の敬語に関しては,在学中は過保護の状態でもょうのではないか.・岨・…小学 校・中学校では,まず人に対する心透いとか思いやり,それから,これはいったし、どうL、う場面の見分け方であ るかという,相手と自分の関係の見分け方,そういうようなことを身につけさせる生活指導,こういうことに力 を入れるべきではないだろうか.……つまり,言葉の形式を教える敬語教育ではなくて,ヒューマエズムにつな がる基本的な敬語教育ということになると思うわけである念のために言うが,私は,従来の狭義の敬語, これを今日の現実において全く無視しようとL、うわけでは決してない.と言っている. 以上の各先学の見解からも察せられるように,敬言語教脊のむずかしさ,それは,知識だけでなく,実際に相 手,場面等を見きわめて実際に遺うことによって身につくものであることを強調している.その
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まには思いやり の心が必喜さである.敬語教育試案
中学校・高等学校関係者の実践,先学の見解,私のアンケ…ト調査結果から,敬語教育の試案を述べてみる. (1)教師の敬語意識の変革 ア 敬語は封建時代の遺物か 戦後民主主義が入ってきて,人間はすべて乎等だという考えが支配的になり,上下関係で見るということにつ いては,随分否定的になった.当時は,敬語を封建時代の遺物だとか旧時代の因習だとか言って排斥する傾向が 強かった.特に教育界にあっては,進歩的な学者等の指導もあり,この傾向は長く続き,特に甚だしかったよう である.したがってfこれからの敬語」の建議があり,学資指導要領にも具体的に皇室られていても, I平明・簡素」 を無数百容と受けとめる風潮に歯止めがかけられなかったようである 現代国諮というものは上下関係に基づくも のが少なくなったけれども,それでも図上の人,年上の人に敬意を表するのは当然である.また,職業上の任務 による,あるいは技術の能カ差によるといった上下関係は,まだ依然として残っている.こうしたタテ社会の構 造は,今日も呂本の特性として残っているのである.こういう中で,言葉だけが変わるものではないことを認識 すべきである. イ 教宮市と生徒との関係 戦後社会制度の変改と価値観の変動の一つに,待遇のしかたに対して,新しい平等の考え方が強くなった.た とえば戦前の教育では,生徒の先生に対する言葉遣いは,かなり程度の高い敬語が基調とされた.ところが,戦 後になるとその様相は大きく変わり,言葉の上での生徒と先生の距離感は,ぐんと近づいてき,戦後は,敬語を やかましく言わないことが新しい教育であるとの考え方がだんだん強まった.先生と生徒との間は師弟の関係と いうより,むしろ友だちのようになることが望ましいとL、う考え方がふえてきた.先生だけでなく,社会一般の 窓識の方も,生徒の先生に対する言葉づかし、に,敬語~期待する度合いは低下してきたようにみられる列 私の調査結果でもそのことが分かる. 広野昭予告氏15)は,戦後は人間的なつながりを持とうというので,あんまり敬語を使うと子どもが話せなくな るので野放しにしている・・安易な考え方はわれわれにあるようだ.丁寧にいっておけば間違いないと言う気持 ちがだれしもひそんでいるのではないか.たとえば,生徒に対しても最高に近い敬語で言ってしまう.I全校の 生徒に申し上げます」と. これに似た校内放送「何年何組の何君, ,¥、らっしゃいましたら職員室においで下さLづと教師が言っているのが 多くの学校で関かれる.教育上親しい関係が望ましいのも時と場合を考える必要がある 一対ーの場合と一対多 の関係とでは,敬語の使い方が遼わなければならない.教壇の上から生徒全体に向かつて話す場合には,当然き ちんとした言い方が望まれるのである.こうしたけじめをつけないと,かつてテレビで放校された「金八先生シ リーズJのように,生徒は先生に対して全く敬語を使っていない.あれは中学校における実際の会話そのもので はないだろうが,この対話のあり方はかなり当時の現実の対話を投影したものであろうと思われる. 先生の毅然、とした態度で‘は,次のような場面もある.陣J
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桂三氏16)の「教育指導雑感J
に「先生,これして!い や してください」昨年まで,大いにツッパッていた女生徒であるが,教師の顔(毘)を見て自ら言い直した例で、 ある.I
ね.これなに?
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なに!
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すみません.なにですか?
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なに」とL、う部い返しによって気付いて言い直-1
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した例で、ある. 以上から教師と生徒との関係は,親しき中にも礼儀あり.ということに尽きょうか. ウ 教師の敬語認識の変事 官官に「戦後民主主義が入ってきて人間はすべて平等だという考えが支配的になり,上下関係で見るということ については,総分否定的になった」と言ったが,昭和 27年 4月 14日に第 1期間語審議会から文部大臣に建議さ れた「これからの敬語Jを十分理解することが第ーである.その基本方針は次のとおりである l これまでの敬語は, I日時代に発達したままで,必要以上に煩雑な点があった これからの敬諮は,その行 き過ぎをいましめ,誤用を正しできるだけ王子明繍芸誌にありたいものである. 2 これまでの敬語は,主として上下関係に立って発達してきたが,これからの敬語は,各人の基本的人絡を 毒事議する栂
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尊敬のj二に立たなければならない. 3. 4 は省略 以上からもわかるように,第一に戦前の敬語の煩雑な点から,司王切・簡素に,第二に上下関係に重点を震いた 上下敬語,身分敬語の::t流から,各人の基本的人格を尊重する相互尊敬の上に立つという,いわゆる友布敬語・ 社交敬諮といわれるものに主流が移った.ところが,基本方針の読みがー甘いというか,的確に読み取らない者が 多く,平明・箆索が無敬語となり,各人の基本的人絡を尊重する相互毒事敬が,自己の権利の主張のみに重点がお かれ,E
忠実に存する上下関係の会節約否定と震なって,さまざまな社会現象を生むー悶となったことは見のがせ ない.昭和40年代の大学・高校を吹き荒れた学関紛争も,学生生徒の教師に対する敬語行動の欠如の現れと言 えよう. さらに,前述の先学の見解のところでも述べたが,現代敬語は,対人的なものから,場簡に応ずる相対敬語と いうか,社交敬議と言われるものに移行してきた.その結果場関との対応、が議後され強調されるようになった. そのために敬語の知識や理解が十分であっても,具体的な場面に応じて敬語が上手に使えなければならなくなっ た.その判断が3
意外にむずかしく,敬語の知識よりも,敬語をどう使うかの方がむずかしく,しかも援要である ことを認識しなければならない.敬訟を待遇表現と拡大していうのもこのことからである. (2) 敬語指導の基本 ア fこれからの敬語JI"学望書指導要領jに準拠 敬語教育が, 1"これからの敬語Jの線に沿って行われることは言うまでもない.J主体的な内容量方法については, 中学校・高等学校の指導要領に示されている.指導要領には,小学校の各学年宣Ijの具体的な指導内容と異なり, 校種が上がるにつれて簡潔になっている.したがって,その行間を読み取るというか,十分に理解するために は,前述のように, 1"中学校指導護国語編J
I"高等学校学習指導要領解説鴎語編」を熟読し,その意図せど抱盤しなけ ればならない.その読み方の一例を挙げる. 飯島孝夫氏17)は, 1"中学校での敬語指導jで「学習指導要領指導護国語編」により「知的整理と日常生活への応 用カの養成」と潔解し, 1"知的整理jとは教科警に「敬語の種類(尊敬語,ま兼談語,了寧語)Jおよび「敬語の使い方」 として教材イヒされ, 1"応用力jとして錨伎のための問題として載っているのが普通である.言語意識は感覚的にと らえさせることが重姿である.敬議意識について言えば,話し,開く場面で指導するのが効楽的である.その点、 ではテープによる録音教材を用いて指導に効果をあげた報告がいろいろある.これら生徒の身辺に日常起こって いる場協を素材として,敬語の正しい使い方について話し合いをさせるのは効巣のある方法である.敬語の指導 が「聞く話す」領域,特に実際の会話の場面で効果をあげることはこれまで述べてきた通りであるが,作文の領域 も中学生にとってなかなか重要である.と述べている. 高岸ミツ子氏18)は,敬語は基本的には家庭の中でのしつけだろうと思うが,教育現場のやでもいろんなこと を契機にして,やはり教えてし、かなければならない.とにかく今の子供たちは教わっていないというか,教わら な過ぎるんではないかと怒う.少なくとも尊敬語・謙譲語というあたりは,やはりわかっていない子が多い.敬 語は気がついた時に折りに触れて指導したし、と思{っている.向・・…こうL、う草寺代だからこそ敬語を干からびさせた くないので,それにはまず,子供たちの中に,人格に対する尊厳だとか,人に対する配慮の心を少しでも持たせ たいと思っている.そうすることによって初めて,日常会話の中でも自然、に敬語がでてくるのではないかとそん なことを思っている と言っている. ハ υ 1 a A内田保男氏19)は,高校では,学望書指導要領の「閑語1
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では,…・・・「尽的や場に応じて効果的に話ーしたりJf形式 や文体を工夫しJoo・・敬語を教えることになっている.・…一敬語は表面だけ, ~ 、かに文法に郎した正しい使い方 をしても,心が伴わなければ何かとってつけたような表現になってしまう.そうし、う意味では,心と一体となっ た敬語表現の指導というのは大切で、ある社会の動きにつれて言葉も揺れるので,その中で新しい敬諮とい うのを常に模索していかなければL、けないと同時に,やはり教師自身が,いわゆる敬語表現的態度,これを常に 身につけるようにしなければならないと思う.と言っている. イ 外務的性格の敬語指導 ソ連の心理学者ヴィゴツキ_20)は,言語を「外語Jと「内諾jとに分け,このこつを区別しなければならないと 言った.弟子のノレリアは,コミュニケーションの手段としての言語一一外語は,格別の意図的教育を行わなくて も,ある社会集団に属し,対人交渉を行うことによって育っていく.と言っている. 森岡健二氏は, i敬語と教育J
10)の中で,上の内容をふまえて,言語を「内語J
と「外務」とに分け,敬諸行動が f外語」としての性格を持つ.この区2j1Jはピアジェ,ヴィゴツキー,ノレザアという心理学者たちによって発見され たもので,言語教育を考える上で重要な概念だと思う.と含っている. 以上のことは私も向じ窓見である.したがって,このことをふまえて敬語の指導を考えないと,労多くして効 果は少ない結果になる.敬語行動が外語的性格を持つ以上,現場教育,本番教育,生活の中で、教育すなわち実践 しなければ実効はあがらない.このことを具体例でぎっている人々の例を若手挙げてみる. 石野博史氏12)は,子供は学校で敬語について教わる.それなりの理解もする.しかし得られるものは,単な る知識にとどまり,実践の域には到底達し得ない.敬語はやはり実銭である.敬諮は本当の敬意さえあれば自然、 に出てくるものだと言う人もあるがそうではあるまい.少なくとも現実は違う.敬意の有無とは無関係に,時と 場合に応、じて使いこなさなければならないのが敬語というものだ.と言っている. 入谷敏男氏21)は,敬語表現が,自然、と正しくあらわれるような環境場面を復活することである.すなわち, 複雑な用法を,ただ丸橋記的に覚えさせるのではなく,そのような場衝に即して,すなわち経験を通して覚えさ せるのであり,日常湯磁をもっとそのような場面な多く復活させることである.と言っている. 問中久直氏9)は,敬語は単に,文法論や文章論,さらには「ていねいな言い方jなどのように,文体の問題とし てとらえ,一般定期を教えていることだけでかたづくことではないのである.根底には人弱関係意識,場面意識 の問題があり,そういうものを登かに育てないかぎり敬語は生きではたらかないoi
敬語の使い方を知らなし、Jと いう批判は,突は敬語知識からのとられ方ではなく,敬語意識の問題を主としているもののはずである.……国 語教科警にあるような内容で敬語というものを潔解さ4さることはもちろん必要であるが,それはその使い方の会 得のための素材にとどまる.それだけでで、は直接生活に役立つわけて られながら,教育課程全体,さらに学校生活全体の中で指導されるための実際的な計画とそれによる継続的な実 施が必要なのである.ときっている. 飯島孝夫氏17)は,敬語の指導が,敬語教材,教室指導にとどまらず,学校生活・家庭生活の随時に行われなけ ればならないということは,敬語という言語行動が,非言語的なものと結びついて,日常生活の中の行動として 表出されるものであることから当然の帰結である.と言っている.J
二記のことからも察せられるように,外語的性格を持つ敬語行動の指導は,まず基礎・義本的な知識を身につ けさせるとともに,社会的,心理的へだたりや,場面や状況等に応じた指導のできる場面や状況を活用しまた それをできるだけ設定して,実践することが重要である.そのためにも,国語科だけでなく他の先生方にも協力 を仰ぐとともに,学校全体がこのことに関心を持って取り組む必要がある. ウ 各人の恭本的人格を尊重する相互尊敬の教育 言うまでもないことながら「これからの敬語」の基本方針の第2にもあるように,根底に「各人の基本的人格を 尊愛する相互尊敬」の心を忘れてはならない.そのことは前述の大石初太郎氏や高岸ミツ子氏や内田保男氏毒事の ぎわれているとおりである. 問中久直氏 9) も,敬語の使い方は,棺そf~家裁・場関意識が変化することによって変わり,狭い意味の文法論・文 章論だけではかたっ守かない.そういう複雑微妙な使い分けのために,あらゆる栂手・場所・持の関係における意識 のしかたの問題で、ある それを愛かに感じたり,適切に対応していけるような人間の内部を作り上げてやること 111である.健康な人間関係意識の育成である.そういうものの支えによらない限り敬語指導は十分に進めるわけに はし、かない.と言っている.これもそのことを証拠づけている. (3)敬語教育の基本的態度を明確に 宮地裕氏22)は,国語の問題は深く教育の問題とかかわるから,ランガージュの問題,あるいは言語生活の問 題は,ラングの問題とともに,当然主重視さるべきであり,