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磁気浮上機の量子化制御

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Academic year: 2021

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磁気浮上機の量子化制御

2009SE011 荒川紘次 指導教員:大石泰章

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はじめに

通常の制御理論において制御入力は連続値をとりうる ものと仮定することが多い. しかし, 例えば制御対象に搭 載されたアクチュエータが ON-OFF 型のときなど, 入力 が離散値入力に限定される場合も現実には多い. このよう な場合の入力生成法の 1 つは, 図 1 の関数 q を使って, 連 続値の入力 x を離散値の入力 q(x) に変換することであ る. このような変換器を静的量子化器という [1]. しかし, これでは間隔 d が大きいとき, 連続値入力のときに保証さ れた制御性能が保証されなくなることがある. これに対し て, 東・杉江 [2] は過去の量子化誤差を量子化器内に保持 し制御入力を決定することで, 静的量子化器より良い制御 性能を実現することを提案した. これを動的量子化器とい う. しかし, 動的量子化器の概念はもともと安定な制御対 象に対して考えられたもので, 不安定な制御対象に適用す るときは注意が必要である [3]. 以上を背景として, 澤田・ 新 [4] は LMI を用いた量子化器の性能の解析・設計法を 提案した. これより不安定な制御対象に対する動的量子化 器を設計することが可能になった. d d x q(x) 図 1 静的量子化器 本研究では, 不安定な制御対象の例として磁気浮上機を 選び, その量子化制御を試みる. まず前述の問題が生じな いよう制御器を分解することによって東・杉江の方法で 量子化器を設計する. つぎに澤田・新の方法で量子化器を 設計する. 一方, 動的量子化器は与えられた制御対象と制 御器に対して定まるので, 制御器の選び方によっては十分 な性能の動的量子化器が得られないことが懸念される. そ こで, 制御器の選び方により, 動的量子化器の性能にどの ような影響が生じるかを数値実験により検証する. 本稿で はページ数が限られているので東・杉江の方法による量 子化器の設計については割愛する.

2

LMI を用いた動的量子化器設計

図 2 において, 与えられた制御対象 P と制御器 K に対 して,Q で生成される量子化誤差が zpに及ぼす影響を, 小 さくなるように Q を設計する. 澤田・新 [4] は以下の方法 を提案した. Q はシステム L と静的量子化器 q が含まれており, シ ステム L は設計すべき線形システムで次の状態空間表現

C

u

Q

P

c v zp 図 2 フィードバックシステム を持つとする: L : [ xl(k + 1) ul(k) ] = [ Al Bl Cl 0 ] [ xl(k) el(k) ] ul(k) は線形システム L の出力,el(k) は線形システム L の 入力である. また, 考えているシステムは通常の線形シス テムに動的量子化器 Q 内部の静的量子化器 q が生成する, 量子化誤差が外乱として加わったものと考えることがで きる. この外乱が出力 zpに与える影響の大きさは LMI を 使って評価することができ, さらに Q の設計問題を出力 フィードバック制御器の設計問題の要領で LMI に定式化 することができる [4]. 磁気浮上機, 磁気浮上機のサンプル制御器を用いて, 澤 田・新の方法で動的量子化器を設計する. 以下に数値実験, 実機実験の結果を示す. 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 -3.5 -3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 x 10 -3 時間[s] 鉄球の位置[mm] 連続値入力 離散値入力 図 3 数値実験 数値実験では連続値入力の場合と動的量子化器にほと んど違いがみられない. 実機実験でも数値実験と同様にほ とんど違いがみられないが, 外乱があり少しぶれている.

3

制御器の選び方による動的量子化器への影響

3.1 制御器設計 制御対象 P が状態方程式で P :      x(k + 1) = Ax(k) + B1w(k) + B2u(k) z(k) = C1x(k) + D11w(k) + D12u(k) y(k) = C2x(k) + D21w(k)

(2)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 x 10 -3 時間[s] 鉄球の位置[mm] 連続値入力 離散値入力 図 4 実機実験 のように与えられたとき, 図 5 のように以下の 2 つのパ ターンを考え, それぞれ離散時間の Hノルムを最小に するように制御器を 2 つ設計する. 出力 評価 外乱 入力

K

P

(ii) (i) 外乱

P

入力

K

出力 評価 + + + + 図 5 H設計 (i) 入力外乱から入力までの Hノルムを最小にするよ うに設計する. (ii) 入力外乱から出力までの Hノルムを最小にする ように設計する. 制御器を選ぶ際, 量子化誤差が制御対象の出力に与える 影響が小さいことが望ましいと考えられる. そこで, 入力 外乱から出力までの Hノルムを最小する (ii) の制御器 を設計する. この制御器と比較するために (i) の制御器も 同様に設計する. 3.2 動的量子化器の性能評価 制御器がどれくらい動的量子化器の性能に影響してい るかをみるため, 図 6 のシステムと図 7 のシステムに同一 入力を入れたとき, 最悪ケースの出力の差を評価関数とし て動的量子化器の性能を評価する [1]. それぞれの評価関 数の値は表 1 のようになった. 表 1 性能評価 静的量子化器  動的量子化器 (i) 8.2109× 10−4 4.4637× 10−7 (ii) 1.2777× 10−4 2.3607× 10−7

P

K

入力 参照 + -出力 入力 図 6 制御対象と制御器

P

K

Q

入力 参照 入力 入力 連続 離散 + -出力 図 7 制御対象と制御器と量子化器 この結果より, 動的量子化器を使う場合 2 つの制御器で は量子化誤差の影響が 10−7ぐらいで小さくなるので, 他 の制御器を使った場合でも, 量子化誤差の影響が小さくな ると予測される. したがって, 量子化誤差を無視して制御 器を設計できると考えられる. 表 1 は制御器に動的量子化 器を付けた場合の評価関数の値だけでなく, 制御器に静的 量子化器を付けた場合の評価関数の値も示されている. 動 的量子化器は静的量子化器と比較して量子化外乱を 10−3 倍小さくできることがわかる. 静的量子化器を使うより動 的量子化器を使うことで, 制御器の設計に量子化外乱を考 えて設計する必要がないと考えられるので, 他の性能を良 くして設計できると考えられる.

4

おわりに

澤田・新の方法で動的量子化器を設計し, 磁気浮上器に 実装した. それを数値実験, 実機実験の結果より, 連続値制 御の場合と動的量子化器の場合でほとんど違いがでない ことを確認した. また, 制御器の選び方が動的量子化器に 影響することを評価関数を用いて確認し, 同時に動的量子 化器と静的量子化器では動的量子化器が優れていること を確認した. しかし, 制御器の選び方が動的量子化器にど のように影響するかは確認することができなかった. これ が今後の課題である.

参考文献

[1] 東俊一, 杉江俊治: 『離散値入力型における最適動的 量子化器』.システム制御情報学会論文誌, 第 20 巻 (2007), pp.122–129. [2] 東俊一, 杉江俊治: 『離散値入力フィードバック制御の ための動的量子化器』.計測と制御, 第 49 巻 (2011), pp.795–800. [3] 東俊一, 杉江俊治: 『離散値入力型制御のための最適 動的量子化器の安定性』.計測自動制御学会論文集, 第 43 巻 (2007), pp.1136–1143. [4] 澤田賢治, 新誠一: 『離散値入力型 SISO システムに対 する不変集合解析に基づく動的量子化器設計』.システ ム制御情報学会論文誌, 第 23 巻 (2010), pp.249–256.

参照

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