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トロピカルフルーツについての研究 : パパイヤ果実の追熟に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

トロ ピ カ ル フル ー ツ に つ い て の研 究

Study

on the

Tropical

Fruit

パパ イ ヤ果 実 の追熟 に関 す る研 究

Part

3. Sutdy

on the

Ripening

of Papaya

Fruit

Saburo Takano モ モ や トマ トな ど果 実 の細 胞 に は軟 化 に関 与 す る物 質 、 ペ クチ ンや ヘ ミセ ル ロ ー ス が 存 在 し細 胞 と細 胞 の 間 の接 合 に関 与 して い る こ とが し られ て い る。 さ らに モ モ な どで は細 胞 間 の接 合 物 質 ペ クチ ンは そ の 分 解 酵 素 の ポ リ ガ ラ ク チ ュ ロ ナ ー ゼ(PG)の 働 き で切 断 さ れ 、 細 胞 間 に ず れ や ひ ず み が 生 じ、軟 化 が 進 行 す る と考 え られ て い る。1)∼4> と こ ろで 、 従 来 よ りパ パ イ ヤ の追 熟 に関 す る研 究 を行 って き た。 この パ パ イ ヤ は 日本 に 輸 入 す る際 に 地 中 海 ミバ エ殺 卵 の た め に蒸 熱 処 理(7時 間 か け て47℃ 達 温 処 理)を 行 うが 、 この 処 理 で い くつ か の 果 実 に種 子 周 囲 約1.5 cmの 幅 で 障 害 が み られ る。 こ の 障 害 を受 け た 果 実 は軟 化 が 進 まず 、 パ パ イ ヤ の 品 質 を大 変 損 って い る 。 既 にパ パ イ ヤ は障 害 の あ るパ パ イ ヤ 果 実(障 害 果)と 障 害 の な い 正 常 果 の酵 素 を抽 出 し検 討 した と こ ろ、 特 にPG活 性 に 差 が あ る事 を認 め、 トマ トな ど と同 様 パ パ イ ヤ の 軟 化 に はPGが 直 接 関与 しペ ク チ ン な ど の細 胞 が 切 断 す る もの と判 断 した 。 そ こ で今 回 はパ パ イ ヤ のPGに つ い て さ らに詳 細 に検 討 す る と共 に、 細 胞 壁 の 構 成 糖 につ い て も若 干 の 知 見 が 得 られ た の で 報 告 す る。 実 験 方 法 1.実 験 試 料 試 料 の パ パ イ ヤ は ハ ワ イ の SLFarmに お い て 採 取 し た 未 熟 期 の 果 実 (ソ ロ 種)で あ る。 採 取 し た 果 実 は 蒸 熱 処 理 (47°C、7時 間)を 行 っ た も の を 正 常 果 と し 、 蒸 熱 処 理 を 行 う 際 に 果 実 を ポ リエ チ レ ン フ ィ ル ム で 包 み 人 工 的 に 生 理 障 害 を 引 き起 こ し た も の を 障 害 果 実 と し 、 そ れ ぞ れ 実 験 の 試 料 と し た 。 果 実 の 追 熟 段 階 はFig.1の よ う に 、 7段 階 に 分 け 、 さ ら に 熟 度 段 階 に つ い て は 左 か ら1、2番 目 の 未 熟 果 を 緑 色 期(Green)、 3、4番 目 の 半 熟 果 を 黄 緑 色 期(Turning)、 5、6番 目 の 熟 果 を 黄 色 期(Yellow)、7番 目 の 過 熟 果 を 過 熟 期(Over-ripe)と し た 。

Fig. 1 Ripening stage of papaya

2.PGア イ ソ ザ イ ム 粗 酵 素 液 の 調 製 お よ び 濃 縮 粗 酵 素 液 はYOSHIDAら の 方 法 で 調 製 し た 。 そ れ ぞ れ の パ パ イ ヤ 果 実 よ り種 子 周 囲 厚 さ1.5cmの 果 肉 を1009採 取 し た 。 こ れ を 水 と共 に 磨 砕 し た 後 、35,0009で15分 遠 心 し た 。 沈 澱 物 に 塩 化 ナ ト リ ウ ム を 含 む0.2Mト リ ス 塩 酸 緩 衡 液(pH9.0)200m乏 を 加 え 、2 時 間 撹 拌 し た 。 さ ら に35,0009、15分 遠 心 し 、 得 ら れ た 抽 出 液 を40%硫 安 で 塩 折 し、 一54一

(2)

Toyopearl650カ ラ ム ク ロ マ トグ ラ フ ィー を 行 い 可 溶 性 の糖 頼 を除 去 し、 得 られ た 画 分 を 粗 酵 素 液 と した 。 こ の 液 に40%飽 和 に な る よ う硫 安 を加 え 4°Cで 一 液 放 置 後上 清 を35,0009で30分 遠 心 した 。 得 られ た 上 清 にToyopear1650ゲ ル20 並 を加 え4℃ 、3時 間 撹 拌 した 。 Toyopearl650に タ ンパ ク 質 を 吸 着 させ た 後 、40%硫 安 の 飽 和 溶 液100祕 に 懸 濁 した 。 これ を カ ラ ム に 充 填 した 後 、 蒸 留 水200mQで 溶 出 さ せ3mQず つ 分 画 した 。280mmの 吸 光 度 の 高 い タ ンパ ク 質 画 分 を 集 め 、Toyopearl 画 分 と した 。 電 気 泳 動 はREISFELDら の 方 法 に 準 じ て 行 っ た 。 分 離 用 ゲ ル に は ポ リア ク リル ア ミ ドを、 電 極 用 緩 衝 液 に は β一 ア ラニ ン お よ び 酢 酸 緩 衝 液 を用 い た 。 泳 動 終 了 後 ゲ ル を ポ リガ ラ ク チ ュ ロ ン酸 を 含 む50mM酢 酸 ナ ト リ ウ ム 緩 衝 液(pH4.5) 中 に浸 漬 し、37℃ 、 で30分 間 イ ンキ ュベ ー シ ョ ン し た 。 反 応 後0.5%ル テ ニ ウ ム レ ッ ド液 でPGの タ ンパ クバ ン ドを染 色 した。 3.細 胞 壁 の 構 成 糖 分 析 細 胞 壁 の 調 製 は D.J.NEVINSら の 方 法 に準 じて 調 製 した 。 パ パ イ ヤ の果 肉509に エ タ ノ ー ル200祕 加 え 、 磨 砕 し80°C、20分 熱 還 流 を行 った 。 この 抽 出 液 を、 エ タ ノー ル 、 ア セ トンで 順 次 、 洗 浄 し、 乾 燥 させ た もの を細 胞 壁 画 分 と した 。 構 成 糖 は細 胞 壁 画 分 を硫 酸 で 加 水 分 解 し た もの を、 糖 画 分 と し、 これ に無 水 酢 酸 を用 い ア セ チ ル 化 し、 さ ら に内部 標 準 に イ ノ シ トー ル を用 い たGLC分 析 で定 量 した 。 実 験 結 果 お よ び考 察 パ パ イ ヤ は軟 化 に伴 い、軟化 酵素 のPGが 増 大 す る こ と を認 め た。 一 方 、 蒸 熱 処 理 で 生 じた 障 害 果 で はPG活 性 の 上 昇 が み られ な い こ とか ら、 この 両 方 の差 を検 討 す る た め 電 気 泳 動 を行 った 。 Fig.2に 正 常 果 の 各 追 熟 段 階 別 の 活 性 染 色

Fig.3 PG activity staining of crude enzymes iso- lated from thermally injured fruits.

Fig.2 PG activity staining of crude enzymes lated from normal fruits.

パ タ ー ン を 示 し た 。 これ よ り 明 ら か な よ う に 、 パ パ イ ヤ 果 実 のPGは 電 気 泳 動 上 、 性 質 の 異 な る3つ の バ ン ドが 認 め ら れ た(移 動 度 の 小 さ い も の か ら 順 にPG-1、PG-II、PG-HIと す る)。 そ こ で 、 追 熟 段 階 別 の 各PG変 化 を 調 べ る と、 追 熟 初 期 段 階 のGreen期 で PG-1が 出 現 し 、Turning期 、Yellow期 と追 熟 が 進 む に つ れ て 徐 々 に 鮮 明 に な っ た 。 し か し、Over-ripe期 で は 逆 に 活 性 が 著 し く 低 下 し て い た 。 こ れ に 対 し 、PG-II、PG-IIIで は トー タ ルPG活 性 が 急 激 に 上 昇 す る Turning期 で 出 現 し は じ め 、Yellow期 で は さ ら に 鮮 明 に な りOver-ripe期 に な る とPG -1同 様、 活 性 が 低 下 し て い る こ と が 観 察 さ れ た 。 一 方 、 障 害 果 で は 比 活 性 が 著 し く低 い た め 活 性 染 色 に よ る バ ン ドが 得 ら れ ず 、 追 熟 段 階 別 で の 変 動 を 調 べ る こ と が で き な か っ た 。 55一

(3)

そ こ で 、 比 活 性 が 低 い な りに も追 熟 期 か ら Over-ripe期 に か け て の ピ ー ク を集 め 、 濃 縮 しPAGEを 行 っ た 。 この 活 性 染 色 パ タ ー ン をFig.3に 示 した 。 薄 くPG-1の 出 現 が 確 認 で き た の み でPG-II、PG-IIIの バ ン ド は確 認 で きな か っ た 。 トマ ト果 実 か らは2つ のPGが 抽 出 さ れ 、 これ ら は電 気 泳 動 的 に性 質 の 異 な る2つ の バ ン ド と して検 出 さ れ る こ とが し られ て い る 。 こ れ ら は 移 動 度 の 小 さ い 順 にPG-1、PG -IIと 名 付 け られ た。 ま たPG-IIをPG-1に 変 換 す る性 質 を持 つPGコ ンバ ー タ ー が 追 熟 段 階 で 常 に存 在 し作 用 して い る こ と も知 られ て い る。 未 熟 期 で は、PG-IIは 過 剰 な PGコ ンバ ー タ ー と反 応 し てPG-1と な る の で 、 見 か け 上PG-1の み存 在 して い る よ う に見 え る。 追 熟 が 進 む に つ れ てPG-IIは 増 加 し 過 剰 に な り、 結 果 的 に はPG-1と PG-IIが 存 在 し検 出 さ れ る よ う に な る。PG -1は 抽 出 の 際 に生 成 され る 物 質 で 、PG-IIが 本 来 のPGで あ る と考 え られ て い る。 成 熟 した パ パ イ ヤ 果 実 に も トマ ト果 実 と同 様 に PG-1とPG-IIの2つ の ア イ ソ ザ イ ム が 存 在 す る とい わ れ て い る 。 しか し、 本 受 験 で 表1パ パ イ ヤ果 実 の 追 熟段 階 別のPG活 性 変 動 G 未 熟果 HR 半 熟果 R 熟果 ・ 過熟果 正 常 果 PG-1 一f一 十 十 十 十 十 PG-II 一 十 十 PG-III 一 十 十 障 害 果 PG-1 一 冖 PG-II 一 一 一 一 PG-III 一 一 一 一 (+):活 性 有 、(一):活 性 無 は 追 熟 に と も な うPG活 性 パ タ ー ン を 調 べ た と こ ろ 、3つ の ア イ ソ ザ イ ム の 存 在 を 確 認 し た 。 正 常 果 で はPG活 性 が 検 出 し 始 め る Green期 か らPG-1が 出 現 し 、Turning 期 で はPG-1、PG-II、PG-r.【1の3つ の ア イ ソ ザ イ ム が 出 現 し た 。 さ ら にYellow期 で はPG-1、PG-II、PG一 皿【が さ も に 鮮 明 に 観 察 さ れ た 。 し か し 、Over-ripe期 で は 全 体 の 活 性 が 低 下 し た 。 こ の 原 因 は 、 パ パ イ ヤ 果 実 の 老 化 に と も な うPG活 性 の 低 下 で あ る と判 断 し た 。 Fig.4ElutionPatternsofPapayaPGIsozyme 56一

(4)

Fig.5.ChangesinacidsugarcompositionofCell WallfractionfromPapaya. これ に 対 し、 障 害 果Yellow期 で は、PG -1の み しか 確 認 で きな か った。 この 要 因 と して は、 蒸 熱 処 理 の ヒー トシ ョ ック に よ っ て 、 PG-II、nが 失 活 して し ま った の か 、 あ る い はPGのdemovo一 合 成 が 阻 止 さ れ た と も考 え られ る。 以 上 よ り、 追 熟 初 期 に出 現 し、 追 熟 ピ ー ク を過 ぎ る と消 失 す るPG-1 よ り も、 追 熟 中期 か ら後 期 に出 現 す るPGII お よ びPG一 皿 が パ パ イ ヤ 果 実 の軟 化 に 直 接 関 与 して い る もの と考 え られ る。 な お 、 トマ ト同 様 に この3つ の ア イ ソザ イ ム の うち どれ か 一 つがPGコ ンバ ー タ ー 的 な働 き を して い る の か 、 単 にPGア イ ソザ ム と して存 在 して い る か 現在 ア イ ソ ザ イ ム を分 離 して 検 討 中 で あ る。 パ パ イ ヤ の 正 常 果 で のPGア イ ソザ イ ム の SephadexG-100に よ る 溶 出 パ タ ー ン を Fig.4に 示 した が 、 そ れ ぞ れ の ピー ク はPG -1 、PG一 皿 、PG-IIの 順 に現 わ れ た 。 一 方、PGは 細 胞 壁 に存 在 す る ペ クチ ン を 切 断 す る酵 素 で あ る 。 ペ ク チ ンの構 成 糖 は ポ リガ ラ クチ ュ ロ ン酸 で あ る。 そ こで パ パ イ ヤ の 細 胞 壁 の 糖 画 分 の うち 、 酸 性 糖 の 追熟 段 階 別 の変 化 をみ た と こ ろ、 ガ ラ ク チ ュ ロ ン酸 の 減 少 が顕 著 で あ っ た 。 この 事 か らパ パ イ ヤ で は追 熟 に伴 いPG活 性 が 高 ま り細 胞 内 の ペ ク チ ン が分 解 され 低 分 子 の ガ ラ ク チ ュ ロ ン酸 か らさ ら に代 謝 され 軟 化 が 進 ん で い くもの と考 え て い る。(Fig.5) 参 考 文 献 1)高 野 三 郎 、 生 活 科 学 研 究 、 文 教 大 学 生 活 科 学 研 究 所 、 第13集 、39(1991)。 2)高 野 三 郎 、 生 活 科 学 研 究 、 文 教 大 学 生 活 科 学 研 究 所 、 第14集 、41(1991)。 3)増 田 芳 雄 、 植 物 の 細 胞 壁(東 京 大 学 出 版 会)p. 12(1986)0 4)PRESSEY,R.,Planta,174,39(1988)o 一57一

参照

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