ホワイトカラーの能力開発と評価の課題
小 山 田 英 一 *
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There emerge now two kinds of pressing prob1ems to be solved by white -collar workers, especially university graduates emp10yed by big companies.
On
e is to cope with s戸edi1ychanging market environments which induce severer competitions with each others. Another is to be prepared for the second occupationa1 careers before and after retirement age.This tentative article exp1ains recent trends to be observed in both sides, and urges attention to the positive sides of each careers in case of career redeveve1op -ment for midd1e噂agedand over white -collar workers. (1
) は じ め に
ここのところ継続する景気停滞が始まった. 1993年の労働省「雇用管理調査」によると, 雇用管理上の問題点は,合計では半数以上の 企業が「技術者の不足・採用難jをあげてい たが,5
,0
0
0
人以上の大企業では6
割以上 の企業が「中高年ホワイトカラーの配属およ び処遇Jをあげていた.景気停滞が始まる前 の状況では労働力の需給のそれぞれの事情か らホワイトカラー労働者が増加していたもの の,景気停滞の中で企業はリストラクチャリ ング等の経営見直しを迫られた.間接部門の 合理化が叫ばれ,ホワイトカラーの低い生産 性が一頃世上大きな問題とされていた. ホワイトカラーといっても, C.W.ミルズ *おやまだえいいち 文教大学人間科学部社会学専修 CCharles Wright Mills)の『ホワイトカラー』 CWhite collar: the American middle classes, 1951)にあるように小売業の販売庖 員まで含める非常に範囲の広いものではなし 大企業に就業している,主として男性の大卒 ホワイトカラーが問題の中心である. 経済社会の大幅な変動の中で,大企業の大 卒ホワイトカラーは,2
つの相反し,また相 関連する課題に直面している. 1つは,金融 ビッグ、バンや大幅規制緩和のような国境をこ えた経済社会変動と企業間競争の中で生産性 向上に努め,職業能力の向上と発揮に逼進し なければならないことである.もうひとつは, 中高年齢ホワイトカラーの職業能力再開発を 進め,戦力として全体のレベル・アップを図 るとともに,6
0
歳以降の雇用維持のために職 業能力の再開発と発揮の体制を整えることで あり,各人の意識転換が必要なことである. ウ t p o(
2
)
進展する人事制度変革と評価の公正
』
性
余剰人員が解消策として出向・転籍,早期 退職優遇制度,管理職定年制度が大企業を中 心に大幅に実施され,これらに加えて人件費 対策として,年俸制度の導入,定昇・べア制 度の廃止までが論じられている. 現在,日本型人事制度の変革を早める背景 として,①高齢化の進展,②アジル・マネジ メント(より早い経営判断を下す経営) ,③ 競争原理の徹底(企業内競争の結果となる評 価・処遇における透明性,公開性,アカウン タビリティの導入),④個の違いの尊重(確 実に仕事をこなす会社人間だけでなく,企業 家的企業人,スペシャリストなどへの人材ニ ーズが高い. ) ,⑤情報通信革命(世界的な 情報・通信革命への早急な対応)(1)があげら れる.人事制度の変革として,最も顕著なも のはホワイトカラー上層部における年功制の 大幅な払拭であり,中間層ホワイトカラーに おいても抜擢人事が一般化してきていること である. われわれが注目しなければならないことは, ホワイトカラーと一口にいうが,ゴールドカ ラーと普通一般のホワイトカラーの未分化で あり,国際競争場裡では分化が求められてい ることである.ゴールドカラーへの選別と能 力開発施策は一般ホワイトカラーの場合と揮 然、一体となっているのがこれまでのわが国企 業の特徴であって,最終選抜をなるべく遅く して全体のモラール維持に努めるものであっ た.ここに至って多くの企業で企業内教育受 講者の一方的選別を開始しており,優れたホ ワイトカラーには集中的な教育投資が必要と されるに至っている.いうまでもなく,ここ で納得性のある評価機構が必要とされること になる.あるいは,年俸制度は大企業で1
5
.
3
%の導入率(労務行政研究所,1
9
9
5
年調査) であって,長期継続雇用を前提としつつも従 来の給与体系から年功給的要素をなくし,成 果主義を強めたケースが殆どであるが,上司 と部下とのきめ細かな面談に基づく公正な評 価が必要になる.そして,他方出向・転籍や 再就職を進める際にも評価が重要になるが, この場合には6
0
歳台前半等における職業能力 向上のためのキャリア評価と動機づけが重要 となり,一般の評価とは異なる.(
3
)
ホワイトカラー人事管理の能力主義
化と能力開発の戦略化・構造化
筆者も参加の機会を与えられた,中央職業 能力開発協会が1
9
9
3
年1
0
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2
月に実施した 「中高年齢ホワイトカラーの能力開発調査J(2) によると,中高年齢ホワイトカラーの人事管 理の課題としては「人事処遇の能力主義管理 の徹底J25.8%
,r
管理者の意識改革J2
2
.
7
%が上位にあがっている.この調査が示すも のは主として高齢化対応の人事管理の課題で あって,この点についても能力主義化が大き な課題となっていることが判る. 他方,これまでの大企業におけるホワイト カラーの人事管理はどのようなものであって, これからどのように展開されていくのか.第 lの視点としては,会社と人との関係が仕事 /役割と能力の関係に展開されようとしてい る.第2
に年功原理に傾斜していた制度や慣 行が,市場原理に傾斜したものとなろうとし ている.第3に,終身雇用の雇用慣行は貢献 と報酬の関係が「長期バランスJであったもの が,一部「短期バランス」の原理へ移行しよう としている.企業の人事管理はいうなれば「能 力開発主義Jをとり,年功制度は長期の勤労 意欲を鼓舞し,職能資格制度は保有能力の向 上をもたらしてきた.他方,仕事の重要度に よ っ て 職 務 分 類 制 度Jが現実的な形として 存在する.市場の環境の変化が激しくなると, 長期の職能資格制度によって対応することは できなくなり,仕事を中心とした成果主義を 仕事の重要度に応じて格づけとする「職務分 類制度jにシフトして行かざるを得ない.成 果や仕事の要素が強いほど,市場への対応が 容易となり, しかも“一人ひとりの職務や仕 事の範囲をはっきりさせて能力を発揮させ-68-る"方向に,中高年やホワイトカラーの能力 開発の方針も変化することになる.その方が 市場の変化に対応しやすいし,また能力評価 の客観性が維持しやすいことになろう. さて, 1995年における能力開発の重点階層 は課長が83.1%で第 l位であり,主任・係長 61.9%,若手新入社員 45.4%,部長クラス 37.4%…の順であった(日本産業訓練協会, 11995年度,企業内教育に関する総合アンケ ート調査J) .課長クラスの教育に力を注ぐ ことは,それが第一線の戦力の中心であり, 部下の戦力化やそのための
OJT
の担い手で あると同時に将来の上層管理者を選ぶべき有 力な母集団であるためであってその点の変化 はない. 先の中央職業能力開発協会の調査によって 職業能力の潜在的内容(因子分析)により 「これまでに重視してきた能力」と「これか ら重視される能力」について分析を試みた. 「これまで重視してきた能力Jについては 「企業活動推進」と「企業活動対応jの2
因 子に分けられた. (図-1) 第 l因子の「企業、活動推進J因子は,情報 取得・管理・活用能力,指導力・統率力,判 断力,職務関連以外の知識・技術,渉外・折 衝力の順に高い因子負荷量を示した.これは, 企業活動で重要な情報収集力,判断力,渉 外・折衝力などの能力で,いわば「企業活動 を推進するj能力である.この因子の因子ス コアを年齢別にみると, 41歳--50歳, 51--60 歳の順に大きいが,絶対値をあまり大きくな く , 40歳以下はマイナスとなっており,この 因子は,管理職の中でも上級管理職,又は経 営幹部に求められる能力と判断される. -1. 0000 -0. 8000 -0. 6000 -0. 4000 -0. 2000 O. 0000 O. 2000 O. 4000 O. 6000 o.8000 1. 0000 図-1 rこれまで重視してきた能力」の因子負荷量-69-明1.0000 -0.8000 -0.6000 -0.4000 -0.2000 0.0000 0.2000 0.4000 0.6000 0.8000 1.0000 図-2 これから重視される能力」の因子負荷量 第
2
因子の「企業活動対応」因子は,職業 転換のための能力,体力・健康管理能力,技 術・知識の陳腐化防止能力,幅の広い実務経 験,変化対応力の順に高い負荷量を示した.こ の能力は,企業活動を積極的に推進するとい うよりは,企業活動の流れに対応する能力と 考えられる.この因子の因子スコアを年齢別 にみると, 41'"'-'50歳が大きく,他の年齢層で はマイナスの値を示しており,この因子は, 管理職の中でも中間管理職で企業活動の中心 的ライン外にいる人材に求められる能力と考 えられる. 「これから重視される能力」については, 「自己啓発・チャレンジ」と「問題解決専 門J2因子に分けられる. (図-2) 第 1因子の「自己啓発・チャレンジJ因子 は,自己啓発能力,一般学力,意欲・チャレ -70-ンジ精神,幅の広い実務経験,職務関連専門 知識の順に高い負荷量を示した.この能力は, 特に技術系専門職,研究開発部門の人材に求 められる能力と考えられる.この因子の因子 スコアを年齢別にみると, 40歳以下, 41'"'-'50 歳の順に大きく, 50'"'-'61歳ではマイナスが大 きい. 第2
因子の「問題解決専門J因子は,問題 解決力,企画力,語学・国際化対応力,渉 外・折衝力,新技術・新知識に高い負荷を示 した.この能力は,企画,国際,営業・販売 等の人材に求められる能力と考えられる.こ の因子の因子スコアを年齢別にみると, 40歳 以下が大きく,他の年齢層ではマイナスの値 を示していることから,比較的若いホワイト カラーに求められる能力といえよう. こ の よ う に こ れ ま で 重 視 し て き た 能力」から「これから重視される能力」が追加 的に重視されるとともに管理職には,最近, その言葉が企業で多く用いられるようになっ ているコンピテンシー・マネジメントの推進 者としての役割が重視され,また,個人個人 の問題解決能力や自己啓発・チャレンジ能力 を向上させる OJT推進者としての役割がま すます重視されるようになる. 管理者の育成という中心課題の管理者能力 もこれまでのような平板なものは反省を迫ら れている.例えば,管理者教育について,教 育 (0J T)と組織風土と評価の 3つが絡む と効果があり,具体的には部下を与え,権限 委譲し,自信をつけてやると能力が伸びると いう指摘がある.能力開発に通した風土づく りはことに中堅企業で有効であり,これを動 機づけ機能としての評価が支えることになる. また,教育の構造を明らかにして「変革活動 の担い手Jとしての管理者を育成する必要が あるという意見もある.このためにはわ かる (Headwork) J
r
できる (Handwork) J 「うごける (Heartwork)Jの3つのHに健康 (Hea1th)のHの4つの Hが揃っていること が 大 切 で あ る と い わ れ る わ か るJは,担 当分野の専門知識があることでありr
でき る」は自ら設計・製作し,ものっくりができ ること,そして「ハートワーク Jは人を動か せることであり,状況変化への対応力がある ことだとされている. 他方, 1994年に決定された損保大手A社の ホワイトカラーの能力開発は人的資源管理を 構造的に仕組んだものであり,これまで産業 界で議論さながら実現されなかったものが多 く含まれていて注目されよう.①人事考課の 考課項目と連動された研修ブpログラム,②各 研修, 0 J T,自己開発等の関連性の強化, 研修責任者の明確化,③ OJTの一層の推進 (トレーナーズセミナ一等) ,④選抜的研修 の強化,⑤部門専門性の強化,⑥管理者育成 の抜本的改革.この管理者育成の新しい構想 は注目されるもので,本来はゴールドカラー を対象にした方がよいレベルのものであるが, 全管理者とゴールドカラーととらえていると もいえよう. 基礎となる能力群としてはマネジメントの 基礎知識,マネジメントのスキル,マネジメ ントの取り組み姿勢などであるが,要素的能 力として取り上げられている以下のものは大 いに参考となろう. <<ビジョン構築》創造力, 問題分析力・判断力,情報収集力,分析力, 柔軟な発想力,知的好奇心. <<シナリオ策 定》計画組織力,人材の活用,仮説設定力. 《パワー動員》実行プロセス(実行力,折衝 力,調整力,執着性,ストレス耐性, リスク 管理能力),ポジティブなコミュニケーショ ン(コミュニケーション能力,感受性, リー ダーシップ) ,指導の育成力. (4) ホワイトカラー能力開発の課題・問題 占 企業内の能力開発上の障害や問題点として は「仕事が忙しくて研修に参加できない人が いるJ47.2%,管理者は部下の能力開発に 対して積極的でないJ36.4%,r
社内全体が 自己啓発意欲に乏しい J29.4%…が主たるも ので,実はその状況は過去3
0
年位変っていな い.また,実施しているか否かは別として, 最も能力開発が重要だと考えている対象職掌 の第l位もやはり部課長層となっており,そ の能力向上が重要である理由は「必要とされ る業務知識の高度化が進んでいるためJ62.4 %が最も多い. (以上,日本産業訓練協会前 出アンケート調査) 日本の大企業はこのように能力開発が必ず しも円滑に行われなくても非常な熱意をもっ て行っており,人事能力開発施策に大きな信 頼を置いているようである.しかし現場の 技能訓練と比べてホワイトカラーの教育の場 合,個々人の動機づけが極めて重要であるだ けに次のような問題が存在すると思われる. 第1に,人事施策と能力開発施策のそれぞ れが,そして両者が一体となって人を育てる 環境づくりに役立つことが求められる. しか し人事制度と能力開発の有機的連携はいわ 吋 ﹄れながらも十分達成されていない.前出のA 社の例は稀有なものといってよい. 第
2
に,ホワイトカラーは誰もゴールドカ ラーになれるわけではなく,大部分の中高年 齢ホワイトカラーに対しては高齢化対応の施 策を考えなければならない.現在,大企業で ゴールドカラーの育成が求められているとす ると,ホワイトカラーの人材育成の目標は, 経営戦略に関連した目標,一般ホワイトカラ ーの高齢化対応の2
つに分化されることにな ろう. “経営力強化と高齢化対応という2
つ の課題を同時に達成する"といった暖昧な目 標では成果が上がらないことになろう. 第3に,人事考課,能力・業績評価には, ①能力・業績評価(価格づけ)機能と,②カ ウンセリング(育成・動機づけ)機能の両面 がなければならない.多くの大企業では,自 己申告制度,目標管理を導入し業績評価を中 心に人事考課面接が行われているが,人事考 課の納得性,公平性が保障されるためには, 本人主導の人事考課と上司との面接によって 人事考課が自己啓発,能力開発の契機となる 必要がある.人事考課が社員に受け入れられ るためには“評価"と“カウンセリング"の 両面がなければならないが,これまでどこの 企業でも十分ではない.ことに得点の悪い部 分へのフィードバックの仕方などは極めて重 要であろう. 第4に,中高年齢ホワイトカラーに対する, 能力開発が殆ど実施されていない.前出の中 央職業能力開発協会が行った調査では出向・ 転籍,配置転換時の能力開発は「実施してい る 」 は , 例 え ば “ 意 識 転 換 教 育 "4.7%, “自己の能力・キャリアの評価"は 9.7%, “専門能力の拡充"6.4%、“他企業で働くに あたっての、留意点"8.7%、“出向・派遣先の ニ ー ズ に 即 し た 重 点 的 教 育3.7%と,微々 た る も の で あ っ た あ る 程 度 実 施 し て い るJを含めても50%以下である. (図-3) 内容別にみると, “自己の能力・キャリアの 評価"50.7%, “専門能力の拡充" 4.3.0%, “他企業で働くにあたっての留意点"42.6% などである.中高年齢ホワイトカラーの出向 .転籍にあたってはそれまでのキャリアの適 切な延長としての配慮が重要であるのに,必 ずしも十分ではない模様である. 。% 50% 100%関
意識転換教育 61. 8 45.0 53.0 57.7 37.3 出向・派遣先のニーズに則した重点的教育・E趨磁18.9欝鶴調 64.3 その他 1・
1山 る 緩2あ る 程 度 口3L-
c
tJ.い 部4該当者無│ 図-3 出向・転籍、配置転換時の教育訓練・能力開発(無回答を除く) ワ ム ウ ﹄(%) 0.3 合 計 建 設 製 造 電気・ガス・熱供給・水道、通信、金融・保険 卸・小売、飲食店、サービス 図-4 キャりア・カウンセリングの実施の有無 表 -1 キャリア・カウンセリングを実施している場合の重視している指導・援助のポイント (MA) l口h 計 1 . 自 分 の 職 務 適 性 の 発 見 31(27.9%) 2.昇 進 ・ 昇 格 へ の 納 得 性 の 確 保 1604.4%) 3.自 己 啓 発 プ ラ ン 作 成 29(26.1%) 4.企業内での組織人としての自覚 1200.8%) 5.企業内外キャリアも含めた職業 1907.1%) 生活の視野の拡大 6.仕事と余暇のバランスの取り方 4( 3.6%) 7.そ の 他 O( 0.0%) 第5に,第 3と第 4に関連してキャリア・ カウンセリングを実施している企業は合計で
14.6%
にすぎない. (図-4
)
キャリア・ カウンセリングを実施している場合の重視し ている指導,援助のポイントは, “自己の職 務適性の発見"27.9%
, “自己啓発プラン作 成"26.1%
, “企業内外キャリアも含めた職 業生活の視野の拡大"1
7
.
1
%
, “昇進・昇格 への納得性の確保"14.4%
…などである. (表一 1) 実際に,ジョブ・ローテーショ 建 設 製 造野義
卸庄、・小サ売ー、飲ビ食ス 0(0.0%) 21(31. 3%) 6(26.1%) 4(26.7%) o(0.0%) 700.4%) 5(21. 7%) 4(26.7%) 3(50.0%) 18(26.9%) 5(21. 7%) 3(20.0%) 106.7%) 6( 9.0%) 4(17.4%) 1c6.7%) 106.7%) 1207.9%) 3(13.0%) 3(20.0%) 1(16.7%) 3( 4.5%) O( 0.0%) O( 0.0%) O( 0.0%) O( 0.0%) O( 0.0%) ンのルールとキャリア・カウンセリングとの 関連をみると, “標準的な基準を設定し,系 統的なローテーションを実施"している場合 に,それを実施している割合はかなり高いこ とに注目すべきである. (表-2) いずれにしても,キャリア・カウンセリン グは,その概念自体がわが国の大企業に惨透 しているとはいい難い.しかし,ホワイトカ ラーの従業員にとって,長期的・段階的な能 力開発を各個人のイニシアチブにより各個人-73-表-2 ジョブローテーションのルールとキャリア・カウンセリングとの関係(クロス集計) キャリア・カウンセリングの実施の有無 1. 実してい施る 2.検実施討を中 3.実施なして ぷ口h 計 L
、
L、
ジ 1.標準的な基準を設定し、系統 ヨ 15(35.7%) 17(40.5%) 42(100.0%) フ 守 的なローテーションを実施 10(23.8%) ロ 2.特に基準は特定せず、 1つの ア 職場での滞留年数を基準にロ 1205.6%) 10( 3.0%) 55(71.4%) 77000.0%) シ ヨ ーテーションを実施 ン の 3.公式のルールは設けず、ケー )[; 18( 9.7%) 17( 9.2%) 150(81.1%) 185(100.0%) ス・バイ・ケースで対応 )[; と管理者の間の話し合いにより策定していく ことは, “個"重視の人事管理として極めて 重要な筈である. 第5
に , 以 上 の よ う な 結 果 個J実現の 多様なキャリア開発が十分ではない.これま では管理職中心の育成の中で様々に専門職な どに分かれていくキャリア開発はうまく機能 したといわれるが,高学歴化が進む中で管理 職ポストを十分用意することは一層困難にな ろうとしており,価値観の変化と相まって一 人ひとりの適性,能力,進路希望に対応した 多様な能力の開発・発揮の機会を保障するこ とが今後ますます大切になろう. 第6に,定年前後の第二の職業への円滑な 移行のための措置が期待されながら十分では ない.大企業出身のホワイトカラーが出向・ 転籍で,あるいは再就職で中小企業に再就職 した場合にうまく機能し得ない理由として, 表-3 中高年齢ホワイトカラーの能力開発の方針 l口L 計 建 設 製 造 電熱重気供輸融給・・・通ガ・水保信ス道、険・、 卸居、・小サ売ー、飲ビ食ス 揮 囲1人をさせひはるとっきりのり職させ務てや能仕事力をの範発 5407.8%) 4(10.3%) 36(20.6%) 4( 1O~ 5%) 10(19.2%) ど職ちさ務せらか仕能という範発と揮囲1人をさひときり の や事力の せはっ 123(40.5%) 17(43.6%) 67(38.3%) 16(42.1%) 23(44.2%) り て を る ど ち ら と も い え な い 61(20.1%) 605.4%) 37(21.1%) 708.4%) 11 (21.2%) のルどりさ職せちーさ務るらせプやかをる仕とよ中事い心りのうにも範と能チ囲1ー力人をムをひはや尭とっ揮きグり 4906.1%) 9(23.1%) 2705.4%) 8(21.1%) 5( 9.6%) l人をひときりの職プさ務せをや心仕よ事にり能のも範力チ 囲 は つ り 中る 13( 4.3%) 3( 7.7%) 8( 4.6%) 2( 5.3%) O( 0.0%) ームやグルー を発揮させる 無 回 ヨE皮3 4(1.3%) O( 0.0%) O( 0.0%) 1c2.6%) 3( 5.8%) d 斗 A 可 t次のものがあるといわれる.①大企業では仕 事の経験がごく狭い範囲であったり,逆にゼネ ラリストとして何等専門性を持ち得なかった. ②中小企業で非常に重視される経理・財務の 知識が不十分である.③大企業に就業してい た当時の意識が切り替らず,新しい職場の経営 者・従業員との聞の人間関係上の問題が多い. したがって,定年後の職業への円滑な移行 のための「ライフプランセミナーJ Iライフ デザインセミナー J等の拡大が期待される. 40歳中位から50歳にかけてキャリア認識や自 己分析などに加えて,職業キャリアの点検と その後のキャリアの展望を行わせるもので, 出向者教育もこの中に含められることになる. また,一部の企業が実施しているように,経 理,財務に関する通信教育を40歳中位から実 施することも奨められよう(3) 全体をとおして,前記のとおりホワイトカ ラーの能力が少しでも市場環境の変化に即応 していけるためには仕事要素にシフトした能 力開発を推進することが期待されよう.中央 職業能力開発協会で実施した調査にもみられ るように“一人ひとりの職務や仕事の範囲 をはっきりさせて能力を発揮させる"という 方向に推進されるべきなのであろう. ω (表 - 3) (5)
ホワイトカラーの評価の課題
その後の日本の人事管理に大きな影響を及 ぼした日経連『能力主義管理~ 0969年)は, “能力主義管理の理念は,企業の経済合理性 と人間尊重の調和にある.企業の経済合理性 追求の中は当然人間尊重の理念が含まれてお り,人間尊重のないところには経済合理性の 達成もありえないし,またその逆もまたあり えないと述べ,当時定着しかかっていた 日本的労使関係の行きすぎに歯どめをかけよ うとするものであった. ところが先般発表された日経連『新時代 の日本的経営-挑戦すべき方向とその具体 策~ (新雇用・処遇システム, 1995年5月) は,長期蓄積能力活用グループ,高度専門能 -75-力活用型グループおよび雇用柔軟型グループ の3つの雇用グループに分け,職能・業績に 基づく人事・賃金管理の方向を示した.その 内容については様々な議論を誘発しているが, 長期蓄積能力活用型以外のタイプには雇用不 安 を も た ら し 成 績Jと「査定Jによって 働く者を分断し,競争に駆り立てようとして いるという批判もある. ことにホワイトカラーに関しては,上層管 理職レベルばかりでなく,入社後数年にして 厳しい評価と選別に曝されることになる. したがって評価の公正性,納得性は何度 も問われなければならない.三和総合研究所 「評価制度に関する調査研究報告書(5) 0995年度労働省委託調査)では,労働組合 にも質問票を送付した.能力主義的人事制 度に「積極的に賛成Jとする組合はごく僅か 0.5%)であるが, 80.8%と大方の組合 は「条件によっては賛成Jと し て お り 条 件によらず反対」と答えたところは13.5%で あった.その時の条件は「評価基準の明確イ
じ
J94.5%,賃金の最低のラインの保障J 87.6%, I雇用の保障J66.3%の順であった. しかも評価結果の本人通知に82.0%は望まし いとしている. この調査では「処遇に関するルール策定」 が労働組合の強まる機能として労組が答えて いる最大のもの (87.9%)であるが,逆に弱 まる機能としては「平均のベア率の意味がな くなる J (80.0%)が最も多い. それでは,労働組合が評価制度についてど のような要望をしているかというと,抽象的 なものであるが,電気機器大手 B社の労働組 合の例に触れて置こう.これは1993年末に専 門職(主事補・技師補・主事・技師)を対象 として,裁量労働制を中心とする新人事制度 が会社から提案されたことに関するものであ る.従来の評価制度に対する組合員の声とし て,①学歴や性別などの属性による評価面が 強い,②評価の内容がわからない,③評価方 法,仕事の質よりも量を重視しているのでは ないか,などがあげられている. B社の労働組合は以下の点を指摘している.①魅力ある 労働条件の追求(時間外手当が支給されなく なるので,長時間の時間外労働がないように 仕事量の配分がアンバランスにならないよう にする) ,②仕事のやりがい感の追求(目標 /評価制度を実施することにより,これまで ややもすると個々人の役割が不明確で個々人 の専門性の育成が希薄になっていたのが改善 される) ,③公平・公正さの高い評価制度 (目標/評価制度により,個々人の強み・弱 みが認識でき,本人にとって自己啓発の契機, 上司にとっては育成計画の契機にすることが できる) ,④職場内のコミュニケーションの 充実,⑤個人の選択肢の拡大. 他方,今後ある程度の労働力流動化が中高 年齢になると不可避と考えられるので,とく に中小企業における大企業ホワイトカラーに 対する労働力需要のパターンも見て置きた い.~槻電通総研「ホワイトカラーの中途採用 の実態(転職の条件整備)に関する調査J(6) (1995年 度 労 働 省 委 託 調 査 ) に よ る と 特 定の職業分野の専門の技術能力 J52.0%, 「部門・職場単位の管理能力J43.0%,
r
部 下の指導・育成能力J42.2%が主要なもので ある.中高年齢者まで採用する企業では「新 規企画,経営戦略の立案能力J36.5%, 全 体的な経営管理能力J35.8%など企業経営全 般に関する能力が求められる. このように個々の企業の中で求められる能 力は高度化し,年輩になるほど企業の枠を超 えて通用する能力であることが求められる. 現在,日本の企業では目標管理面接による評 価制度が定着したが,キャリア開発制度によ る個人目標の設定,賃金の仕事給化とならん で仕事自体の見直しとして,企業の枠を超え た仕事能力を背景とする個人毎の仕事の明確 化,再包括化が評価の課題となろうとしている. これまで主としてプラスとマイナス両面の 一般の評価につき論じてきたが,中高年齢ホ ワイトカラーの職業能力を再編成して中小企 業で新たに職業適応を高めていくためには, 「評価jの機能は,キャリアのプラス面から -76-論じていかなければならない.この点で中央 職業能力開発協会では, 1997年3月「自分自 身によるホワイトカラーの状況理解と能力開 発J ーキャリアと変化対応性の発見ーを とりまとめた.この中でホワイトカラーの職 業能力評価には,少なくとも次の3領域が必 要であることを強調している. ① 職務遂行に関する能力や個人特性 ② 変 化 認 識 力 ③ 変化対応力 開発された技法としては,①「キャリア・ レコードJ,②「中高年齢者向け環境適応尺 度」の2つ が あ る キ ャ リ ア ・ レ コ ー ドJ では,ホワイトカラーが自らの職業生涯を振 り返り,職業経験の中で身についてきた職業 能力を再評価することによって,将来の職業 能力開発や職業生活の設計を行うことを支援 することを目的として,職業歴・学習歴・そ の他の活動歴,今後の目標等を記述させ,自 己の職業能力を確認をすることになる. 「中高年齢者向け環境適応尺度Jは,ホワ イトカラーが環境変化をどのように認識し, その変化に対してどの程度対応行動がとれる かと自分で評価するのを援助することを目的 としたインベントリー・シートである.ここ で は 変 化 認 識 力Jと「変化対応力」の2
つの側面から評価できるようになっている. これらが具体的に活用されるのはこれから の模様であるが,いずれにしてもキャリア・ カウンセリングの方法論を始めとして指導・ 援助の具体的なあり方が,実践面の課題とな ると思われる.一 注
-(1)富士ゼロックス総合教育研究所 w'97人材開 発白書』 一 「仕事Jと「能力」を中心にした 新たなシステムの構築一(1997年8月) (2) 中央職業能力開発協会『ホワイトカラーの職 業能力開発の方向とあり方に関する検討結果報 告~ (1996年3月) 労働省委託事業として「高 齢化対応能力開発検討委員会J (座長慶応義 塾大学教授佐野陽子氏,メンバーは大手企業人事部長等6名)が組織され,筆者は,専門委 員として木村周筑波大学教授他とともに調査 の設計・分析および全体討議への参加機会が 与えられた.調査は1993年10"""12月、半数が し000人以上の大企業である3,000社に依頼し, 306社の有効回答を得た.なお,本稿はこの研 究会の報告書の結論とは直接関係はなく,いわ ば“メモ"にすぎない. したがって,本稿の文 章の責任はすべて筆者にあり,主としてその聞 に入手し得たデータ・情報を活用している.お 詫びとお礼を申しあげたい. (3)財団法人ビューティフルエージング協会・生 涯学習委員会 WforBeautiful Aging~ 一 生 涯学習,中高年向け研修,主要64企業実態調査 報 告 書 一 ( 1994年1月) (4) この点で労働省が実施している「ビジネス・ 一
77-キャリア制度Jは,これまでに経験し体得して きた職務知識と技術をもう一度学習体系として 組み直すもので,仕事にシフトした能力を再構 築し,企業の枠を超えて学ばせるもので有意義 であると考えられる. (5) 三和総合研究所「評価制度に関する調査研 究報告書J 1995年3月...,4月に企業と組合各 2,000'こ発送し有効回答は企業526社,組合339 組合であった. (6)株式会社電通総研「ホワイトカラーの中途採 用の実態に関する調査J rホワイトカラーの転 職の条件整備に関する調査J 1995年3月上旬 下旬従業員規模30"""99名の企業3,000社, 労働者は正社員のホワイトカラー8,100名に 調査を実施した.有効回答は企業380社,労働者 560名であった.