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現代協同組合論考(3)

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現 代 協 同 組 合 論 考

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日 次 第一章 協同組合と経営 (1)現代の協同組合観 (2)協同組合の組桟と事業 (第8号) (3)協同組合の企業経営 (第9号)

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協 同組合 の経営組織

(1)協同組合の業務 と組織 資本制企業の経営組織 資本主義社会における 協同組合 の経営組織を考え るにあたって,まず資 本主義社会の代表的な企業形態である株式会社 の 経営組織 をみてお く必要がある。資本主義社会に おいては,労働者の組織集団,例えば 労 働 者 政 党,労働組合,そして協同組合などは,資本主義 の社会関係の影響をつねに うけ るからである。そ の影響 の うけ方は,労働者政党のはあいは,政策 と政治方針の面で,いつ とはなしに労働者階級の 解放の道か らそれてしまうとい うぐあいである。 また労働組合は,幹部が資本家階級に買収 され, 思想的に資本家階級の とりこになるとい うぐあい である。 しかし何 といって も,労働者集団のなか で,資本家階級の影響を もっともうけ易いのは, 協同組合であろ う。それは協同組合が営なむ事業 は,資本家 のつ くった商品を対象 としていて,業 務が組合員 と職員に分かれてお こなわれがちだか らである。へたをすると,かたちは協合組合があ って も,実質は資本主義のための企業になってし まう。 そ こで資本主義 の社会関係 (つ ま り資本主義の 上部構造 と経済的土台) と,株式会社 の経営組織 の関係を とりあげて考察しよう。周知のように資 本主義社会は,社会 としては一つのも の で あ る が,資本家 と労働者 とい う二つの階級に分れてい る。 資本家は生産手段を占有してお り労働者は生 産手段を もたないから,労働者が生産の労働に従 事するには,資本家に労働力を売 らな くてほなら ない。 また資本家は生産手段を もっていても,じ ぶん と家族のためだけに生産するのではな く,社 会 の購買需要を 目あてに生産 し,その生産に よっ て利潤を うることを 目的にしている。 だから労働 者を雇用 して生産を組織す る。そして,個 々の資 本家はつねに資本規模を拡大し,生産規模を拡大 して,競争相手の資本家に うちかち, 制 覇 を と げ,よ り多 くの利潤をあげ ようとす る。 このよ うな資本主義企業の発展を助けたのが, 株式会社 とい うかたちである。産業資本家は,秩 式を発行 して,資本を調達 して,資本 と生産の規 模を拡大 しようとす る。そして産業利潤 として得 られた利潤の一部を,株式-の配当 と し て 分 け る。 こうして株式会社 の成立 とともに,資本家階 級は,生産に従事 しないで株式を取得して,利潤 の分け前にあずかる投資家 と,株式を発行して資 本を調達 し,その資本を もって生産手 段 を 取 得 し,生産を組織する産業資本家に分かれる。 こう して資本家階級の内部に もしだいに複雑な仕組み がっ くりだされて くる。そのはあい,複雑な関係 を処理す る基準 としての社会秩序が重要である。 株式の発行者の責任 と株式の取得者の権利 といっ た秩序 は,株式会社立法や商法 とい うかたちで, 国家の名において保護 され る。同様に投融資のか たちで結ばれ る,産業資本家 と銀行資本家の関係 も,金融関係法によって秩序づけ られ る。そして この個別の経済立法は,国家の基本法である憲法 の =資本家的私有財産 の保護この精神によって裏 うちされ るのである。立法だけではな く,国家の 行政 も個 々の資本家の利害を調整 し,秩序を保証 し,資本家階級の社会的な支配に貢献するように 運営 され る。 また立法や行政だけではない。教育制度や文化 の領域において も,資本家階級の社会支配 と企業 経営に貢献す る仕組みがっ くりあげ られている。 産業企業が大規模になればなるほ ど,産業資本家 -

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1-は企業管理の頂点の業務だけにたず さわ り,中間 か ら末端にいたる管理業務を,管理技術者 として 専門的に養成 された頭脳労働者にゆだね るように なる。 また,企業競争のなかで,日に 日に発展す る生産技術は,産業資本家個人の手におえない も の となる。そ こで資本家に替 って,生産技術を掌 握 し,生産労働を組織す る頭脳労働者が専門技術 者 として養成 され るよ うになった。 こうした管理 技術者や生産技術者をつ くりだす必要にしたが っ て,資本主義社会の教 育 調 度 がかため られる。 ところで,これ らの企業や社会を管理する専門家 や生産技術の専門家は,多 くのはあい,労働者の 子弟のなかから選ばれ,教育される。 したがって その出身階級の性質のゆえに,資本家階級の利益 のために隷属することは,け っして安定した もの ではない。彼 らがいつ謀叛 を お こ して,資本家 に弓をひ くか,不安である。そ こに労働者出身の 専門家を,その魂の面からもつ くりかえ,資本家 に従属す るように仕立てあげる必要がある。資本 主義社会の文化や イデオ ロギーが,肉 体 労 働 者 早,労働者階級出身の専門家が,資本主義社会に なじむ ように,彼 らの頭にそそ ぎこまれ る。 資本主義の発展は,株式会社 のような企業形態 を生み出し,その企業に うま く適合 した法律 と行 政 の制度をつ くりだし,また教育制度をつ くりだ し,文化 とイデオ ロギーの内容をかためた。 この よ うに して,社会 のあ らゆる部門にわた って,質 本家階級の支配に役だつ ような仕組み が 成 立 し た 。 このような社会的環境のなかで,資本主義の代 表的な企業形態 として株式会社 は設立され,運営 され るのである。株式会社を構成するのは,資本 と株式取得のかたちで拠出する株主 と,その杖主 か ら選ばれる取締役,そして取締役の もとで企業 と生産の管理にあたるべ く雇用 された管理者 と技 術者の集団,管理者 と技術者の監督のもとで労働 す る労働者である。 これ らの人び とに よって営な まれ る企業経営をつ らぬ くものは,資本の事業-の投下,労働者の搾取を源泉 とする利潤を ともな った資本の回収である。 この資本の投 下 と回 収 は,まず よ り多 くの利潤を取得す ることのできる ような事業の選択からは じめ られ る。そして事業 が選択 されると,その事業に必要な固定資産の取 得に資本の一部が投下され,他の一部は事業の操 作 と管理に必要な資金にふ りむけ られ,また他の 一部は労働者の雇用にあてられ る。 ここで重要な ことは,資本が貨幣資本のかたちで存在すること である

「は じめに資本あ りき」 とい うことが決 定的に重要である。 また社会的にいって,社会は 資本家階級 と労働者階級に分れているから,その 事業は労働者を雇用することに よって,はじめて 可能である。つ ま り,株式会社 においては,事業 はは じめから, こ企業経営二 としてのみおこなわ れ る。 このことは,協同組合 の企業経営 とくらべ た場合の,大切なちがいであ る。 のちにのべ るよ うに,協同組合の事業は,必 らずLも企業経営の かたち,つ ま り労働者の雇用 や,固定資産の取得 といったかたちを とるものではない。 株式社会によって代表 され る資本制企業では, はじめに貨幣形態の資本があ って,その資本はよ り多 くの利潤を得て,資本 じたいを増殖しようと する本性を もっている。 したが って,資本の 自己 増殖の本性に適合した事業が発見されると,その 事業にむかって資本は突進をは じめ,投資がおこ なわれ る。そ うした資本の行 為は,資本増殖をじ ぶんの魂 としている資本家に よって担当 される。 そのはあい,資本行為は資本家 によって担当され るけれ ど,その仕事のすべてを資本家が実行する わけではない。すなわち,資本家に よって雇用 さ れる労働者が資本家 もし くはその代理者の監督の もとで,仕事をお こな う。 これ らのことを順序づ けてのべ ると, ミは じめに資本あ りきミで,その 資本に最高の利潤を もた らす よ うな事業が選ばれ る。そしてその事業に必要な施設や設備が もとめ られる。 資 本が固 定 資 産のかたちを とる。 また 一部の資本は,固定資産の道営に必要な運転資金 のかたちを とる。 そして資本家 の意志にしたが っ て,事業を遂行する労働者が雇用 され る。つ ま り,一部の資本は賃金のかたちを とって,労働者 に支払われる。だから労働は, :資本の労働;と い うかたちを とってお こなわれ る。そのはあい, 労働者には頭脳労働者 と肉体労働者の二通 りがあ って,頭脳労働者は資本家に替 って,肉体労働者 の労働を監督する。 以上が, 資本の行為の骨組み であるが,企業の内部では 「企業の経 営 管 理 機 構」 として組み立てられる。 2

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-資本制企業の経営管理機構は,資本家が資本の 所有主 として もつ権力を行使す る機構であって, 資本家階級 と敵対す る社会的立場にあ る 労 働 者 を,資本制企業の内部において,資本の搾取意志 の もとにはめ こみ,その もとで労働 させ るための 機構である。 このはあい資本家は,その企業規模 が拡大 されれば され るほ ど,労働者階級出身 の頭 脳労働者に,企業管理 と技術管理の面で強 く依存 す るよ うになる。 そ こで階級的に敵対す る立場に ある頭脳労働者に,企業管理 と技術管理を委ね る にあた って,それをあ くまで も資本の搾取意志の もとにお くことを保証す ることで,経営管理援構 はす ぐれて重要な意義 を もってい る。つ ま り,質 本制企業 の経営管理秩梓は,資本家階級 と労働者 階級の敵対的な矛盾を,資本家の階級支配の方向 において処理す るための権 力機構である。 その企業内におけ る資本家の権力機構は,社会 的な資本家の権力機構である,資本主義国家の法 律や行政 と連 な り,補 ないあって,資本家階級の 支配 の体系を形づ くる。す なわち,すでにのべた ように資本家的私有財産は,国家の基本法 と諸個 別立法に よって保護 され,その法律に もとづいて お こなわれる行政に よって支持 され,資本家的な 文化 とイデオ ロギーに よってかため られる。 国家 の名においてお こなわれ る,そ うした資本家的私 有財産 ,つ ま り資本の増殖運動の保護 は,資本制 企業内の経営管理機構 と補完 しあ って,一つの ま とまった体系を完成す るのである。 だか ら,一つ の企業 の経営管理機構をみ るときに,資本家 と労 働者の階級対立や,資本家階級のための国家 の立 法や行政,文化 とイデオ ロギーとの関係を無視す ることは適当ではない。 しか し企業の資本家 は,資本の企業内における 権力機構 としての経営管理機構をむ きだLに しよ うとしない。企業のなかでの労資の階級対立を カ ムフラージュしよ うとす る。 そ こで経営管理棟溝 が ともす ると,企 業内の階 級対立 と階級支配を露 呈 しがちであるために,それを 「経営組織」 とし て とらえ,説 明しよ うとす る

「経営組織」 とし て説 明す ることは,企業におけ る資本家 と労働者 の関係が階級対立を基礎に してい るのではな く, 単純 な人 間 関 係 の現われであることを強調す る ものであ る。 このよ うに企業内の秩序 を,階級関 係を現わす経営管理機構 としてでな く,企業のな かで働 ら く人間の集団的な組織関係を現わす経営 組織 として説明す ることは,資本制企業のつ ぎの よ うな発展段階を背景にして可能になった といえ る。 すなわち,独 占 資 本 主義の段階になって, 巨大な金融資本が うまれ,株式会社企業にたいす る投資や融資の面で,個人株主に香 って,銀行や 保険会社 などの金融資本が大きな役割をはたす よ うになった。 そして企業 の内部で も,企業の活動 規模が拡大 され るにつれ て,企業管理や技術管理 が,少数の企業資本家 の能力を こえ るよ うになっ た。 その企業管理や技術管理は,本質的に労働者 階級にぞ くす る管理技能者や生産技術者 とい う頭 脳労働者の手にゆだね られ るよ うになった。 いわ ゆ る こホ ワイ トカラー労働者ミの台頭である。 こ うして,社会的に も企業的に も,資本は株式資本 家や企業資本家 とい う資本家人格を もって正面に 現われ ることが少な くな り, ます ます抽象的な資 本のかたちを とるよ うになる。時 としてはあ る一 人の人格を もった株式資本家や企業資本家が不在 の企業 も出現す る。企業がそのよ うな状態になる ことは,資本 と労働の階級的な対立が企業の枠を こえて,い っそ う社会的な範囲におけ る対立のか たちを とるよ うになった ことである。 かたちはそ うなって も,肉体労働者が労働力を売 って賃金を 得て,その賃金にみあ った労働時間以上に労働 さ せ られ,不払い労働,つ ま り搾取 されてい る本質 的な事情には変 りはない。 労資対立 の本質的な事情には変 りはな くて も, このはあいかたちの うえでの変化は重要であ る。 企業経営において,株式資本家や企業資本家 とい う人格を もって現われ る資本の姿が影をひそめ, 企業活動が企業管理や技術管理の能 力を もった頭 脳労働者に よ り多 く依存す るよ うになった。 この ことは,資本の権力的な支配を具体化す る企業の 管理機構を,労資の階級対立があたか も存在 しな くなった よ うに表現す る経営組織 ,つ ま り企業に おけ る単純 な人間関係 として,強調す ることを可 能 とす る。 その意味で,資本制企業におけ る 「経 営組織」論は,労資の階級対立を糊塗 す る た め に,粧いを新たにした資本家階級の企業理論であ る。 そ して この理論 と系譜を同じ くして,社会的 には こ大衆社会論ミ (社会に階級差別 は な くな 3

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-り,社会の構成員は同質の大衆である と説 く理 請)が提唱 されてい る。 このような 「経営組織論」を もって, どのよう に現実を粉飾 して説明しようとも,社会的には労 資の階級対立はかたちを変えて現存してお り,企 業的には経営管理機構をつ うじて,資本の支配は 全 うしてい る。そ して,経営管理機構は,企業資 本家 (取締役)を中心 とした経営管理層によって 構成 され,現業の労働者の労働を監督す る。その 経営管理は,投下した資本を最高の利潤を ともな って回収 され ることを 目的 としてい る。投下資本 は一般に固定資産 と運転資金および賃金のかたち に分れ,それぞれのかたちの投下資本の効率の高 い運用を 目標 としてかかげ る。そのはあい,賃金 を支払 って雇用 された労働者の労働の監督つ ま り 労務管理が,重要な意味をもってい る。 なぜなら ば,固定資産の運用や,運転資金の回転は,すべ て労働者の労働に よっておこなわれ る か ら で あ る。つ ま り資本家に とっては労務管理に よって, 労働能率 (労働生産性)を高め ることが,主た る 関心事 となる。労働能率,労働生産性は,これ こ そが支払 った賃金によって,労働者が賃金に相当 す る労働時間以上に,利潤の源泉をなす不払い労 働をどれほ ど多 く働いたかを表現す る か ら で あ る。労働能率の向上は,労務管理,つ ま り企業管 理層による労働者の監督によってお こなわれが, それ とともに,労働能率をいっそ う高め られ るよ うな,企業施設の導入に よって も努力される。例 えは,ベル トコンベヤー ・システムが,それであ る。その意味では企業施設つ ま り固定資産の取得 も,労働能率,労働生産の向上を狙いとしている といって もよい。施設や設備の 「近代化」に よっ てお こなわれ る 「合理化」は,本質的に労働者を 不払い労働によ り多 く従事 させ,利潤をふやす手 段である。 それ とともに,資本を投下す る事業種類や事業 所の設置 も,つねに検討 され る。生産企業を例に とると,製糸部門の企業が,需要の減 退 し た 生 糸 ・絹織物市場か ら,資本を化学鉄雄部門に移動 させ る傾向があるが,それはよ り多 くの利潤を も とめて,資本投下の対象 となる事業を変えた こと -である。 また,工業企業はたえず工場立地を検討 し,よ り有利 な工業用水 ・エネルギー源,労働仔 および販売市場を もとめて,工場を移転させ る。 これは一定量の投下資本が,よ り多 くの利潤を と もなって回収 され るような立地を選んでい ること をしめす。 資本制企業のこのような傾向は, この企業の本 性,つ ま りよ り多 くの利潤をめざして資本投下の 対象 と場所を選び労働能率を高めることか ら生 じ てい る。 これにたいして,協同組合の 企 業 経 営 は,その本質において異なった傾向 を し め す。 協同組合においては,企業経営その ものが 目的で な く,まして投下資本あた りの利潤量の大小が 目 的ではない。協同組合は労働者の組織 された集団 であるとい う本質に もとづいて,労働者階級の窮 極的な解放を 目的 とす る。そして,その解放にい た る過程のある一時期において営なむ 企 業 経 営 も,投下資本あた りの利潤量の大小によって,秦 業の種類や事業所の場所を選ぶ ものではない。事 業の種類は組合員の必要 とす るものであ り,事業 所は組合員の組織活動に とって必要な場所に設け られ,組合員の利用の便宜 さを考慮す るものであ る。 とくに協同組合においては,協同組合の事業 を執行す る組織が特異である。 協同組合の業務 と組級過程 株式会社な どの資本制企業 とちが って,協同組 合の事業をすすめ るさまざまの業務は,は じめか ら企業経営の業務 として現われるものではない。 このことは,1844年に イギ リスの pッチデールの 町に生 まれた公 正 開 拓 者組合 (いわゆるロッチ デール組合)などの労 働 者 協同組合の事 業が, 組合員 じしんによって,組合員の組織活動 として おこなわれた ことによって明らかである。 またわ が国の農村におけ る部落実行組合が,組合員 じし んによって運営 されていることによって も明らか である。 これ らの協同組合においては,組合の事 業は,組合員のさしせ まった問題を解決す るため に営なまれ るが,その事業は組合員の需要のとり まとめ,商品現物 の仕入れと配分によって完了す ることが多い。そ こで,重要なことは,組合の事 業が組合員 じしんによって遂行 され る こ と で あ る。つ ま り組合の事業過程は,ただちに組合員の 組織過程であ り,事業は組織運動 としておこなわ れ る。そ して事業を遂行す るための注文のとりま -

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4-とめ,商品の仕入れや配分 とい った業務をお こな う組織は,組合員組織その ものであって,組令員 とは別 な業務組織があ るわけではない。 まして経 営組織 があるわけではない。 協同組合の事業が組合員 じしんによって執行 さ れてい るときには,業務の組織は組合員組織その ものであ り,業務 の指揮者は組合員の運動の指導 者であ る。 また,組合員のなかの指導者 のよ うな 人たちが,業務の性質によって,業務のある部分 を分担 し,組合員 の全員に代 って執行す る。 いわ ゆる代行 の関係をつ くりだす こともある。 この代 行業務 も,多 くのはあい,職業的に固定 して担当 す るのでな く,それぞれの組合員の分業 として担 当し,その分担 した業務が完了す ると,代行 の関 係 も消滅 してしま う。 また,組合員ぜんたいが分 業 して,業務の一つ一つの部分を執行 す る と き は,業務遂行に必要 な費用,と くに手間賃は,め らためて計上 された り,請求 され ることがない。 それは組合員のすべ てが,何 らかのかたちで業務 の執行にたず さわ り,そのたず さわ り万が平均 し てい るときに, と くにそ うである。 しか し,ある 特殊な業務,例えは少人数の人が分担 してや った 方が能率的であって,また誰で もがやれ るとい う のではない,記帳や計算のよ うな業務は,組令員 の うちの特定の人にゆだね ることがあ りうる。そ のはあいは,その特定の人にたい して,協 同組合 は 「実費弁償」の性質の支払いをお こな う必要が ある。実費主義の費用 の支払 いは,協同組合 の業 務の この よ うな執行のはあいに適用 され るのであ る。 しかし,協同組合の事業が量的に拡大 され,質 的に複雑 な ものにな ってゆ くと,その事業の遂行 のための業務は,組合員の全員が平均的に分担 し あってや るには不適当な ものになることが多い。 組合員の うちの特定 の人が,職業 として専門的に 業務を担当す るよ うになる。 また組合員以外の労 働者を雇用 して,その人に業務をゆだね ることも 生 じて くる。 また業務をお こな うに必要 な店舗や 事業所な どの施設や設備を もとめる必 要 も 生 ず る。店舗に配列す る商品の取得のための運転資金 も必要になる。 これ らの固定資産や運転資金にあ てら九 ,職業的な専従者に支払 う賃金にあて られ るところの資本を,協 同組合は調達す る必要 にせ まられ る。 こ うして協 同組合は資本を調達 して, 出資制の協 同組合 とな り,資本を調達 し運用す る 企業経営体の側面を もつ よ うにな る。 協同組合が企業経営体の側面を もつにつれて, 事業を遂行す る業務は,企業の経営組織をつ うじ てお こなわれるよ うになる。そ して組合員組織の 業務か ら,経営組織の業務が分離 して,しだいに 独立 してゆ くよ うになる。そ こで経営組按 として の業務の性質を明 らかにす るために,組合員組織 としての業覇を確かめてお こ う。協 同組合の生活 用品購 入の事業を,組合員が直接に遂行す る とき には,組合員が寄 り集 まって,お互いの生活 問題 を研究 し,お互いの共通の必要品 目をみいだ し, 購入方法を検討 して,仕 入れをお こな う。仕 入れ た商品を配分す るときは, もし支払 いに不便を感 ず る組合員があれば,いちばん親 しい仲の他の組 合員が立替えた りす ることもある。 このように, 組合員 じしんが寄 り集 まって購入の業務をお こな うときには,その仕事にみんながたず さわ るので あるか ら,商品の仕入れ と配分 とい うことだけに とどまらずに,その仕事をつ うじてお互 いの生活 の困難や,家庭内の事情を知 りあい,それを基礎 にして労働者 としての連帯関係を強め ることがで きる。 こうして購買事業な どの業務が,組合員の 組織に よってお こなわれ るときには,組合員の連 帯 と団結を強めるとい う,協同組合が労働者の集 団 として本来的に もっている役割を,十分にはた す ことがで きる。 これ と比べて,協同組合が企業経営体 としての 側面を発生 させ るよ うになると,その事業は,企 業経営的な方法でお こなわれるよ うになる。企業 経営体の側面が生ずることは,事業をお こな うた めに商業上の物 的施 設を取得し,組合員の内外か ら商業労働者を雇用 し,それに よって事業を遂 行 す ることである。 そ こでは,注文,仕入れか ら配 袷,代金回収にいた る現業的な業務,計算 と管理 の業務は,すべ て企業経営的にお こなわれる。つ ま り,協 同組合の事業を委 任された組合の指導者 が,職員 として雇用 された商業労働者を使 って, もろ もろの業務を執 行す る。つ ま り事業は管理者 と職員か らなる経営組織をつ うじて,経営組織の 業務 としてお こなわれ る。 そ うなる と,つ ぎの重要な変化が生ずる。事業 -

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5-の遂行をつ うじて,組合員相互が横につながる関 係が強められ ることが少な くな り,一人一人の組 合員は,一人一人のかたちで,組合の企業経営が おこな う事業を利用し,いわば組合 と組合員の縦 のつなが りの関係に入 りこむ ようになる。つ ま り, 事業を遂行す る過程である事業過程は,組合員の 団結を組織してゆ く過程 としての組織過程か ら分 かれてゆ くようになる。協同組合の指導者は企業 経営の管理者 とな り,労働者は企業経営に雇用 さ れる労働者 と,組合員 としての労働者に分化す る。 労働者組織内部の関係が分化し,指導者 と労働者 大衆の関係が,経営者,職員 としての労働者,事 業利用者 としての労働者 とい う関係に分化す る。 協同組合の経営組織は,その理論上の系譜 とし ては,組合員組織か ら分化して発生 して くるもの である。 この経営組織は,つ ぎの二つの特徴を も っている。第一は,協同組合が民主主義的な手続 きで運営 されている限 りでは,組合運営に組合員 が 日常的に介入す ることがあ りうるか ら,経営組 織は組合員組織 とつねに接触 し,組合員組織によ って影響 される関係がっづ くことである。 この特 徴にてらして協同組合の民主主義的な運営は組合 員組織が 日常的に組合の経 営 組 織 と接 触 して, 影響をあたえることに よって 可 能 に なる, とい う運営の方 向がきまって くる。第二の特徴は,協 同組合の経 営 組 織 は椎式会社などのように,資 本家が労 働 者を敵 対 的に支配する経営管理機構 を軸にして成立す るものではない。たしかに協同 組合の企業経営においても,管 理 者 と従 業 員 と い う管 理 機 精の関 係はある。 しか し,その管理 者 も従業員 も,そ して組合員 も,すべて労働者階 級の構成員であ り,それぞれの立場はいわば分業 の関係であって,階級関係に由来す るものではな い。そして立場のちがいは,労働者階級内部の矛 盾を形づ くるものであ っても,階級間の敵対的矛 盾を形づ くるものではない。 もちろん分業の関係 は階級分裂の基礎をなす ものであるか ら,上記の 労働者階級内部の矛盾は,資本主義社会の環境 の もとでは,階級間の敵対的性質の矛盾に転化す る 可能性をつねに内包していることに注意 しな くて はならない。 このような事情に もかかわ らず,協 同組合の運営が組合員である労働者によって掌握 されている限 りでは,管理者,従業員,組合員の 関係は,労働者階級内部の関係である。そして企 業経営における管理機構は,資本家が労働者を支 配する権力機構 としての性質を もつ も の で は な く,労働者階級内部の集団 と個人の関係を秩序づ ける機構である。 したが ってこの管理機構におけ る人び との関係は,労働者階級にぞ くす る,社会 的に同質な人び との人間関係であって,厳密な意 味における経営組織,つ ま り企業経営をめ ぐる人 間関係の組織 といい うるものである。 協同組合の内部に,企業経営の関係が発生 した ことは,組合員の相互の横の関係よ りも,組合の 企業経営 と組合員の縦 の関係が強 まることは,さ きに指摘 した。 この変化は重要な意味を もってい る。協同組合の内部で,組合の企業経営 と組合員 の縦 の関係が支配的にな って くることは,組令員 が組織の主体か ら疎外 され る傾向を生 じやす く, それにつれて組合員は協同組合の企業経営 と,他 の 商 店 との 比 較を試みる傾向におちいる。例え は協同組合の企業経営は,非営利経営の原則にし たが って,組合員の必要 とする事業だけを営なみ つづけ,その事業に要する費用だけを実費 として 仕入れ価格に加算して供給価格をきめ る で あ ろ う。そのはあいでもすでに,実費は企業経営の実 費であ って,組合員が相互に補てんしあった実費 ではな くな っている。すなわち,協同組合に企業 経営の関係がいまだ発生せず,組合員がみんなで 仕事を分担 しあ って,事業を執行した ときには, そのために組合員が負担しあ っ た 費 用 (実費) は,各人の差額分だけが,他の組合員によって補 てんされた。 しかし,企業経営における費用は, それが利潤をふ くまない実費であ った として も, 組合員が相互に補てんしあ うものではな く,組合 員が企業経営にむか って負担するものである。そ して, もしか りにその実費なる費用加算が,他の 商店の利潤をふ くんだ費用 よりも多い とすると, 組合員はその負担を容易に承認 しな くな る だ ろ う。組合の企業経営が支出する費用は,つねに他 の商店に くらべて節約 された ものであるように, 縮小を義務づけ られ るであろ う。 この よ うに し て,組合の企業経営は,他の商店 とのあいだの企 業間競争に入 りこむ ことを強いられる よ うに な る。そして労働能率や労働生産性の問題が生 じ, 企業経営に雇用 された労働者 (職員)の労働を強 ー 6

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-化す る措置 も検討 され るよ うになる。 そして さら に組 合の企業経営は,組合員の生活上に必要な事 業であ って も,経営的に不採算が見込 まれ る事業 を回避す る傾向におち入 りやすい。 この不採算事 業の回避は,採算のあがる事業だけを選ぶ ことと 同じ意味であるか ら,組合の企業経営が営利性の 原則の影響を こうむ りは じめ る崩芽で もある。 こ の傾向は,協同組合に企業経営 の関係が発生 し, 事業が組合 員組織に よって遂行 され ることか ら, 企業の経営組織に よって遂行 され るよ うにな った ことか ら不可避に生ずる ものであ る。 協同組合の業務の場の変化 い ままでにのべた ところを要約すると,協同組 合の事 業をすすめるや り方には,組合員のみんな が事業 の執行に参加す る方法,組合員の うちの指 導者の よ うな特定の者が組合員に替 って事業を代 行す る方法,そして協同組合 のなかに企業経営の 関係が発生 し,指導者が管理者 とな って,雇用 し た労働者を監督 して業務を執行す る方法, この三 つの方 法がある。 こうした業務の執行の方法が変 るにつれ て, こ業務を執行す る場こ も変化す る。 ちなみに一般の資本制企業においてほ,企業の発 展に ともな って,業務をお こな う場を定め る基準 に変化 の生ずることはない。すなわち,一般 の資 本制企業においては,投下 した資本が最高の利潤 を ともな って回収 され るよ うに,事業を営なむ場 所が選 ばれ,そ こに企業経営の楼横が うちたてら 九,業 務が遂行 され る。企業経営 の業務が事業所 の内部に集約 されていることが特徴的である。 も ちろん多 くのはあい,資本制企業はさまざまの性 質の外務員業務を もち,その業務は事業所の外側 で執行 され るが, この外務は事業所内の業務の延 長であ り,補完であ って,事業所内の業務があ く まで も基本をなしている。 これ と比べて,協同組合 の業務が執行 され る場 は,別 の特徴を もってい る。 まず協同組合 の事業 が,組合 員のみんなが参加 してお こなわれ るはあ いは,業 務を執行す る場は,組合員の居住地域の 全域にお よんでいる。す なわち, このはあいの協 同組合 の業務の執行は,いわば地域的活動 のかた ちでお こなわれ る。つ ぎに,協同組合の事業にか かわ る業務が,組合 の指導者な どの,組合員の-部の ものに よって 代行 され るはあい も,業務の執 行の場は,原則 として組合員の居住地域 の全域で ある。それ と同時に,代行の役割をほたす一部の 組合員が,代行して業務を執行しやすい場に,莱 務の場が しだいに集約 され,そ こに移 ってい く傾 向 も生 じて くる。 こうして業務の場が変化す ると ともに,組合員のなかでの業務の分担の関係 も変 って くる。すなわち,一部 の組合員が,はじめは 時期をきめて,組合員のみんなに替 って業務を専 門的に執行し,のちには恒常的に,半ば職業的な かたちで,業務を執行す るよ うになる。 このよう な状況の もとで も,業務を執行す る場は,一般の 組合員 とのつなが りの便宜性に よって選ばれ るの であ って,代行者の業務執 行の能率性に よって選 ばれ るものではないのであ る。 しか し,協同組合の内部に企業経営の側面が生 じ,組合の事業にかかわる業務が,取得 された物 的施 設や,雇用 された従業員に よって執行 され る よ うにな ると,事情は根本的に変化す る。その変 化の主要な特徴は,業務を執行す る場が,組令員 の居住地域 の全域にお よんだ広が りか ら,事業の ための物的施設が設置 され,従業員が勤務す る事 業所- と集約 され,移 ることにある。 それ ととも に,組合 の事業のもろもろの業務は,組合員 じし んが執行す るものでな く,組合の事業所を場 とし て,雇用 された従業員が執 行す るよ うになる。そ して,組合員は組合の事業 の業務を執行する立場 か ら,組合の事業を利用す る立場に移 り変ること になる。 また,い まや業務を集約的に執行す る場 とな った事業所は,組合員の利用 の便宜性 もさる ことなが ら,業務執行の能率性を考慮にいれて決 定 され るよ うになる。例えば,組合員の利用に便 利な居住地域 の中心部にして,しか も仕入れ商品 の受渡 しに便利な交通立地 であるよ うな場所を選 んで,業務の能率化をはか ろ うとす るであろ う。 この変化 した業務執行の場 と場を 選 定 す る基 準 は,あたか も一般 の資本制企業 のはあい と,いち じるし く近似 した ものである。 そ して,業務を執行す る場が,事業所に集約 さ れ ると同時に, さまざまのかたちの外務活動が導 入 され るであろ う。 この外務活動は組合員の居住 地域 の全地域を対象 とす ることにな る。 この外務 活動は,一見,協同組合の業務の本来的な執行 の

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7-かたちであった地域活動に類似する。 しかし,こ のはあい,かたちの うえでの炉似 ともか か わ ら ず,その実質は変化している。 この外務活動は, 一般 の資本制企業のはあい と同じように,事業所 内の業務か ら延長 された ものであ り,事業所内の 業務を補完す るものである。 また組合員の全員が 参加して業務を執行した ときの地域活動は,組合 員の組織を強めてゆ く組織活動であ ったのに くら べて,この外務活動は事業活動であ り,駁客を追 い もとめる性質の活動であるとい ってよい。 協同組合事業の業務が,組合員組織の業務 とし て組合員全員の参加のもとに執行 され る も の か ら,企業の経営組織の業務 として,組合員の手か ら離れて執行 され るものに変るにつれて,協同組 合における人び との関係 も変化す る。すなわち, 組合運動の指導者は,企業経営の管理者 とな り, 組合員大衆は業務の執行者の立場か ら,事業の利 用者 となる。そして新たに,組合の内外か ら労働 者が,協同組合の企業経営の従業員 として雇用 さ れ,その従業員は管理者の監督のもとに,業務を 執行す る。 このよ うな変化が生 じたにせ よ,それ がなお協同組合の本質を もち,企業経営が協同組 合の企業経営 としてお こなわれる限 りは,組令員 の組織関係は継続 され る。つ まり組合員組織は存 続す る。 こうして,協同組合は,組合員組織 と, それか ら分化して成立 した経営組織 の二重の組織 関係を もつ ようになる。 (2) 協同組合の業務の編成 と組合員 協同組合の経営粗放 と組合員 協同組合の企業経営が組合員の拠出する資本を 基礎にし,企業経営 の営なむ事業が組合員の生活 用品の購入に関係した ものに限定され,企業経営 じたいが組合員が選んだ管理者の監督 と管理のも とにおかれている以上は,協同組合の経営組織は 組合員 と密接な関係にある。商店や百貨店な どの 一般の資本制企業の 「経営組織」が,商品購買者 と無関係に,そして資本の権力機構である経営管 理践精を軸にしているのに くらべて,いちじるし く相異す る。 しばしば強調され るように,協同組合の企業経 営は,組合員の組織活動を基盤にしてお り,この ことが一般 の資本制企業か ら協 同組合を区別する 主要な特徴 とな っている。協 同組合において,企 業経営が組合員 との関係を維持 しておこなわれる ことは,事業にかかわるもろ もろの業務が,組合 員の手か らはなれて,企業の経営組織をつ うじて お こなわれ る状態にな って も,変 ることがない。 そしてその企業経営が組合員 との関係を離れ るよ うにな ると,その協同組合はかたちの うえでは協 同組合であ って も,実質的には協同組合ではな く な るほ どに,企業経営 と組合員 の関係は,協同組 合 として重要な条件をなす。 このように企業経営の方法 でおこなわれ る協同 組合の事業は,組合員であ る労働者の生活用品購 入上の困惑を処理するために営なまれ るのである が,企業経営の方法が用いられていることについ ては,外見的には一般の資本制企業 といちじるし く類似している。すなわち,貨幣資本が投下され て,商業上の物的施設を取得 し,商業労働者を雇 用 して,商品の仕入れ と配分 の業務がお こなわれ ることは,そのことのかぎ りでは,協同組合 も株 式会社の商店 も類似してい る。 そしてこの双方に 類似した企業経営の方法のゆえに,協同組合の事 業は企業経営体に固有な法則 の影響をこうむ りや す くな る。すなわち企業経営 におけ る問題は,協 同組合においては,例えば固定資産にたいす る自 己資本の不足は,つねに組合員の増資に よって補 充 され るとい うく小あいに,また収益を こえた費用 支出 とい う欠損の発生は,つねに組合員の負担に よって処理 され るとい うぐあいに解決され る。 し たがって,利益の留保による 自己資本の増成,能 率の向上による費用支出の節約,収益向上のため の事業 の選択 といった企業経営 の法則は,協同組 合が組合の必要を充足す るためにだけ運営 されて いる限 りでは,協同組合に作用することはない。 しかし半面では,協同組合の事業に関係した業務 が組合員の手か ら離れて,協 同組合の企業経営に 移 され ることは,組合員 との距離をつ くりだした ことである。その距離の拡大に比例して,企業経 営はそれに固有な法則の影響 をい っそ うこうむ り やす くなるであろ う。すなわ ち,協同組合に企業 経営の側面が成立 し,企業経営が組合員 との密接 な関係か ら離れ,企業経営 体 としての独 自性を強 めるにつれて,企業経営に固有な法則の影響 のも -

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8-とにおかれるようになる。すなわち,協同組合の かたちを残しながらも,一般の資本制企業 と同じ ように,能率性や採算性 -収益性,そして独 自な 資本充足 とい った 「合理化」の要請を考慮しない わけにはいかな くな る。 この 「合理化」 とい う資 本制企業に固有な法則は,企業外の関係では経費 率が低 く収益率が高い場所に事業所を設け,企業 内部では労働生産性を高め るべ く労働を強化し, 労働者 の搾取を強化す ることである。協同組合の 企業経営は,組合員 との距離を拡げるにつれて, この 「合理化」 とい う資本制企業の法則の影響を こうむ るよ うにな る。 しか し協同組合においては,この 「合理化」法 則は,組合員の側か らの抵抗にぶつか り,この法 則の展開は一定の制限を うけないではいない。す なわも,協同組合においては,組合員が必要 とす る場所に事業所を設け,組合員が必要 とす る性質 の事業を営なまないわけにはいかない。そしてそ のために,企業経営 としてみると,事業 の直接費 や管理費が増大した り,投下資本にたいす る利益 率が低め られ る事業を営なむ ことにな り,総 じて 企業利益率の向上が制約 されるとい う結果におち いる。 このように,協同組合の企業経営において は,組合員の要請に こたえることによって

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「合 理化」は一定の制約を こうむる。つ まり,協 同組 合の企業経営は,組合員の必要 と要請に こたえる とい う組織の原理に,企業経営 の 「合理化」の法 則 とが対抗し,あい争 う場をなしてい る の で あ る。 この二つの原理 と法則の対抗は,協同組合の 経営組織に表現 される。 協同組合においては,組合員は じぶんが直接に 事業を執行す るにせ よ,経営組織の遂行す る事業 を利用するにせ よ,事業 との関係において,協同 組合をつ くるのである。 したがって,企業経営の 関係を成立 させた協同組合においては,組合員 と 協同組合の関係は,具体的には経営組織 との関係 である。そのはあい,組合員 と経営組織 との関係 は,二重に現われ る。一つは,組合員が総会な ど の議決をつ うじて,直接に また理事会の執行を介 して間接に,経営組織 と関係す る。 この組合員 と 経営組織の関係の仕方は,経営組織の運営を組合 員の要請す る方向に誘導 しようとす る も の で あ る。最高議決校閲である総会は,具体的な政策を 決定し執行す る機関 としての理事会をつ うじて, 経営組織のなかの管理者層を掌握し,事業 の運営 を左右す る。第二には,組合員は 日常的な事業を 利用する機会をつ うじて,経営組織 との関係を と り結ぶ。 このはあいは,組合員は,経営組織のな かの現業従事者層 と接触 し,そこにむけて組合員 の必要や要請を伝達 しようとす る。そして現業従 事者層は,管理者層に組合員の必要や要請を反映 して,経営組織の総体を組合員の要請にむけて運 営す るように努力す ることが可能である。 この点 において,協同組合の経営組織は,一般の資本制 企業の経営組織が,資本の権力機構である経営管 理機構によって規制 されていることに比べて特異 である。 また この点に根拠をおいて,経営組織が 組合員組織 と接触 し,時 としては融合す る可能性 が生ずるのである (後述参照)0 このはあい,協同組合においては,その経営組 織が資本の労働にたいす る支配のための権力機構 を軸にした ものでない ことに注意す る 必 要 が あ る。協同組合の経営組織 も,やは り経営管理機構 における人び との組織的な関係を内容 と し て い る。その経営管理機構は,総会において表明 され た組合員の総合的な意志を,理事会が事業運営の 方針に とりまとめ,その方針を管理者 層 が うけ て,業務を編成 し,遂行す るための校横である。 したがって,協同組合の経営管理機構は,資本の 権力に替 って,組合員の総合意志が管理者層を媒 介にして,現業層に浸透 してゆ く校樵である。そ して組合員 も労働者であ り,理事,管理者層およ び従業員も,すべて労働者階級にぞ くしてい る。 その経営管理機構を軸 とした経営組織,つ ま り企 業経営におけ る管理 と現業をめ ぐる人間関係は, それを構成す るものは労働者階級にぞ くす る階級 的に同質の人たちであ り,その言葉の厳密な意味 での人間関係であ り,人間の組織である。 このよ うな経営管理機構を軸にした管理機構であ るため に,管理者層を経由して現業者層に伝わ る組合員 の総合的な意志 と,現業老層が 日常の業務をつ う じて把握する組合員の意向 とは,対立 しあ うもの ではない。そ こには管理者層が総会や理事会か ら うけ とる組合員の意志が組合員全体のものである のにたいし,現業老層が把揺する組合員の意向が その時 どきの特定の組合員の ものであるとい うち -

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9-がいがあるだけである。その双方は,対立 しあ う ものでな く,そのちがいを調整 しうるものである。 協同組合の経営組織の もつ こうした特質を明 ら かにした うえで,管理 と現業 と組合員の三者の関 係を,事業を遂行するための具体的な業務にそ く して,たちいって考察 しよう。すでに明らかなよ うに,管理部門のおこな う業務は,形式か らみ る と,組合員の意志を反映 して,事業の遂行のため の業務を統轄す ることである。 この管理部門が組 合員の意志を代表 して,経営組織の頂点におかれ るのは,管理者層を構成す る組合長な ど の 理 事 が,組合の総会に よって選ばれた,組合員の指導 者だか らである。管理者層を構成す る人び とは, 経営管理の技能者の素質によるものではな く,孤 合員の指導者の資格においてであることは,注 目 に値いす る。 また,経営組織の管理部門が組合員 の意志を代表す るのは,組合長な どの理事による 管理行為が,協同組合の制度 として,総会や理事 会の決定によって拘束 されるか らである。 したが って,か りにその管理行為が,組合員の意志に忠 実でな く,組合員の利益以外のものを反映 した と きには,管理部門や管理者層は,協同組合が与え る地位を失な うことになる。 しか し,そ の は あ い,管理部門や管理者層が地位を失な うのではな く,その地位を維持 した ままで,協同組合の性質 じたいを変えて,組合員の利益以外のものに,協 同組合の事業を適合 させ るとい うことが,しばし ば起 りうるのである。協同組合において,管理部 門や管理者屑にあ る人び とでこの傾向におちいる のは,けっして悠 意 的な 理 由によるものではな くて, これ らの人び とが組合運動の指導者である 半面において,企業経営の責 任 者でもある こ と によ り,その立場で企業経営上の要請,つ ま り企 業の収益性や安定性 とい う要請に応 じようとす る か らである。 つ ぎに現業部門は,組合員の生活用品購入上の 困惑を処理す る事業を直接に担当す る も の で あ り,そのために事業を遂行するための業務をつ う じて,組合員 と日常的に接触す る。 この事業は組 合員が選んで,組合の事業たらしめた も の で あ り,事業遂行 のための業掛 ま,協同組合に企業経 営の関係が発生す る以前には,組合員 じしんが執 行 した ものである。例えは組合員であ る 労 働 者 が,共同購入の方法で,生活用晶の購入上の困惑 を処理す ることを必要 とす る商品の品 目 の 決 定 紘,組合員が集団で事業を直掛 こ執行した当時に は,全組合が会合を開いておこなった。そ してそ の品 目の仕入れ業務は,組合員が交替 し て 担 当 し,商品現物の受渡しや配分は,全員が参加して おこな った。協同組合に企業経営の側面が成立す ると,商品品 目の決定は予約注文の取 りまとめの 業務 として受注係が,仕 入れ業務は仕入れ係が, 受渡 し業務は受渡係が,商品の配分は配給係が, とい うぐあいに協同組合の従業員が担当す るよう になる。 これは組織運動 としての業務の執行が, 企業経営活動 としての業務の執行に変った ことを しめ している。 しか し協同組合においては,組合員が組織集団 として まとまっている限 りは,組織運動 としての 業務が,企業経営活動 としての業掛 こ変化 し移行 す ることは,完全なかたちで完了す るものではな い。例えば,協同組合の購入事業の取 扱 い 品 目 は,その商品品 目のもた らす利潤率の高低によら ず,組合員の必要 とす る品 目を選ぶの で あ るか ら,組合員の必要の確認 とい う組織的な手続きを 欠 くことができない。 この組織的な手続きを欠 く ことは,協同組合が協同組合のかたちを残 したま まで,協同組合の実質を失な うほ どに,本質的な 意味をもっている。そ こで,企業経営活動 として おこなわれ る,組合員の必要 の確認は,受注係が 全組合員を個別に巡回 しておこな うことは,事実 上不可能であるから, どうしても組合員集団 じた いに,そ の業務を依存 しないわけにはいかない。 そ して組合員集団が,企業経営の業務のい くつか を担当す ることは,協同組合においては,その業 務のうちのい くつかは,組織運動の業務 として残 り,すべての業務が経営組織に移 され るものでは ない ことを しめ してい る。 このように協同組合の おこな う事業にかかわ る業務は,組合員集団の組 織運動としての業務と,経営組織の企業経営活動 としての業務 とにわた るものであって,その双方 は相互補完的な関係にあ るのであある。 このような協同組合の業務が,組合運動の業務 と経営組織 とに分れて,相互補完的な関係をもっ て成立す ることは,協同組合の企業経営 としての 特質によるものである。すなわち協同組合におい - 10

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-ては,組合員が事業の利用者であ り, また利用者 であ るがゆえに出資者,つ ま り資本の所有者であ り,そ して組合員がみずか らの利用の便宜を基準 に して資本の運用を管理 しようとす る。 この組合 員だけが事業の利用者であることを基礎にして, 資本の所有主であ り,資本運用の管理主体である とい う,三位一体の関係が協同組合の企業経営の 特質を規定 してい る。そ して この企業経営の特質 は,形式的には利用 と所有 と管理の三位一体によ って保証 され るのであ るが,内容的には組合員 と しての労働者 と管理者 としての労働者 の 指 導 者 と,そ して従業員としての労働者の関係が,労働 者階級内部の関係 として維持 され ることによって 保証 され るのである。 したが って,事実上,資本 の所有を代表す る管理者が,組合員の組織運動か ら遊離 して,企業経営だけの限 られた 観 点 を 強 め,企業経営の安定性 と能率性を基準 として,従 業員であ る労働者の労働を強化し,組合 員の必要 に よらずに,利潤率の高い事業を選ぶ ようになる と,組合員 と,管理者 と従業員の関係は,労働者 階級内部 の関係を逸脱す ることになる。協同組合 の一般 の資本制企業に向けての変質が, ここには じまる。 い うまでもな く,協同組合のこのような 変質は,協同組合が企業経営の関係を発生 させた ことに一般的な基礎を もつのであるが,協同組合 の孤立 した内部におけ る現象ではない。 この変質 は協同組合が資本制社会のうちにあって,資本制 社会を構成 している資本家的所有制,資本主義 の 利潤を 目的にした生産,資本主義国家の法 と政治, 資本家的なイデオロギ-,文化の体系などの諸要 素か ら影響を うけているためにお こるのである。 そして また,協同組合のこの変質は,資本家的所 有が うち倒された社会主義社会においても, この 社会にはかって資本制社会の基礎をなした諸要素 が 「旧社会の母斑」 として残 るために,十分にお こりうることである。社会主義社会における協同 組合の変質については,詳説を省 くこ とに す る (なお拙稿 「社会主義の生産関係 とブルジ ョア的 権利」岩波書店 『思想』誌1967年第8号所載を参 照 されたい)0 経営粗放の管理者 と従業員 企業経営の関係を ともなった協同組合において ほ,経営組織 と組合員 もし くは組合員組織の関係 は,経営組織それ じたいの編成 と運営のいかんに よって影響を うけやすい。例えば経営組織が閉鎖 的に編成 され,組合員組織からの 自立化がお こな われるならば,組合員 もし くは組合員組織は,協 同組合の業務の日常的な執行から疎遠なものにな ってゆ くであろ う。 この意味で,経営組織を構成 す る管理者 と従業員の関係をあ らためて考察する 必要があるといえよう。 協同組合の業務が,組合員組織の業務 としてお こなわれているはあい,つ まり,組合員が他の何 人に も業務の執行を委託 しないで,組合員じしん が業務を執行 しているはあいには,業務の執行に おける管理 と現業, もし くは管理者 と従業員の関 係は, とりたてての問題にならない。 このはあい は,業務をめ く中る人び との関係は,組合員組織に おける組合員相互の関係そのもの で あ る。そ し て,そ こでは組合員は, じぶんが当面する生活用 品購入に さいしての困惑を処理す る必要から出発 し,じぶんたちの処理能力に もとづいて,事業を 営んでいる。そこでは処理を必要 とす る問題の大 きさと,処理能力 とのあいだに,当然 くいちがいが あ りうるが,その くいちがいは,事業を遂行す る 主体である組合員内部の問題である。例えは,坐 活用品購入にさいしての困惑 といわれる,価格の 変動や格差を是正す る必要は,ある程 度 ま で 拡 げ られた組 合 員 組 織の共同購入に よって処理 さ れ る。 しかし,組合員組織がそのよ うに拡大 され ず, また適切な共同購入を組織できない とい うこ ともあ りうるが,それは組合員組織の規模や充実 が不十分であるとい う,いわば組織の内部問題に ぞ くす る事柄である。 しかし,協同組合に企業経営の関係が生 じて, 事業がその経営組織によって遂行 され るようにな ると,事情が変化する。例えは,成立した企業経 営が 「強化」 されて,取扱い事業の規模が拡大さ れ,それにつれて協同組合の組合員規模が拡大 さ れることがあ りうる。 しかし,組合員が主体的に 組紋に参加し,団結を維持 し うる規模は,必 らず Lもそれに照応 しない。そ こに組合員組織の規模 と内容的な充実 とが,企業経営の強化に照応でき ず,む しろ強化 された企業経営の営業 手 段 と し て,組合員組織が利用 され るとい う こ逆 立 ち 現 ェ if]一

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象こも生 じかねない。 またつ ぎの ようなことも生 ずるだろ う。組合員の生活用品購入上 の困惑が, 商品価格の変動や格差を是正す るのでは処理され ず,価格水準その ものを引下げることを必要 とす -る状態が生ずる。 この性質の困惑 は,資本主義の 価格制度,つ まり資本主義その ものを変革するこ とによって,はじめて解決され るのである。 しか るに協同組合の企業経営は,商品の売買や保管 と い う仕事をす るものであって,資本主義制度を打 倒 した り,変革 した りす る仕事には不 向 き で あ る。資本主義制度の変革は,協同組合の組合員で ある労働者が,資本家階級が握る国家権力を奪い とり,生産手段の資本家的所有制を倒して,はじ めて成功できるのである。組合員である労働者の 生活の問題がそ こまで深 まってい るときに,協同 組合が企業経営の側面に 1)- ドされ,そのような 問題を解決す る力を失 なってしまっていると,組 合員が労働者階級の立場で行な う組織運動 と,企 業経営の売買活動 とのあいだには,大きな精がっ くられた ことになる。 協同組合における組合員の組織運動 と,企業の 経営活動 との分化の傾向の基礎には,組織運動の 指導者が,企業経営の管理者 とな り,しだいに企 業経営の管理者 としての性格を強めるとい う変化 がある。 また協同組合に雇用 された従業員が,孤 合員の組織運動 としての業務のための要員 とい う 性格の ものか ら,企業経営において管理者の もと で労働する商業労働者 とい う性格の ものになると い う変 化 が あ る。そ こで このよ うな変化の窮極 は,協同組合が組合員大衆の組織であることをし だいに止めて,名 目的には協同組合であって も一 般の資本制商業企業 とは変るところがない もの と なることである。協同組合の この ような 「変質」 ともい うべ き変化をさけるには,協同組合の経営 組織は,つ ぎの ことを考慮すべ きであろ う。 その第一は企業経営の管理者に関係している。 一般に組合員の指導者が,企業経営の管理者 とな り,組合員の利益を代表 して管理者 として事業を 選び,業務を編成 し統括する。 ここでは,組合員 の指導者は,同時に企業経営の管理者であるとい う二重の役割をになっている。そ して組合員の指 導者であることによって,企業経営の管理者 とな るのであって,その逆ではないか ら,二重の役割 のなかで,組合員の組織運動を蒜導す ることが, 企業経営を うまく管理することに優先する。そし て この優先の関係は,指導者の個人的な素質 とい った偶然的な要因によって保証 され る の で は な く,協同組合の運営が,組合員の意志の もとにお かれ るとい う組織上の措置によって保証 される必 要がある。 このよ うな保証が強調 されるのは,指 導者 と管理者 とい う二重の役割が,無条件的につ ねに一致するものではな く,時 としては背反 しあ うことがあるか らである。すでにのべたように, 組合員であるところの労働者の生活問題は,生活 用品の購入の方法を協同組合的に組織することに よって処理 されることもあるが,それによっては 解決され ない こともある。資本主義制度その もの の変革によって解決される問題をふ くんでいる。 したがって,協同組合 とい う場での労働者の指導 者は,企業経営の管理者 とい う立場 よ りも広い, 労働者の運動を指導する責任を負っている。 した が って労働者の運動の指導者であるとい う責 任 杏,協同組合の企業経営の管理者 としての責任に 倭小化す ることはできない。 つ ぎに,協同組合の従業員について も考慮する 必要がある。すでにのべたように,協同組合の企業 経営組織の業務は,それ じたいで 自立的に完了す るものでな く,組合員組織の業務 と入 り組み,相互 に補ないあっている面がある。 この ような経営組 織の執行する業務の特質にてらして,従業員の仕 事のや り方がきまって くる。すでにのべたように, 協同組合のお こな う商業的な事業は,一般の商業 企業 と同 じよ うに,商業労働者の労働力を賃金に よって雇用 し,その劉 動力によってお こなわれる。 そして協同組合の企 業 経 営 が取得する商業利潤 は,商業労働者がその賃金に相当す る労働時間を こえて労働に従事 した ことによるものである。協 同 組 合 が 労働者の組織であるとい う本質のゆえ に,この商業利潤は,企業剰余の処分のかたちで, 商業労働者に分配 される。 こうした商業利潤の分 配方法を とることによって,組合員 としての労働 者 と,従業員 としての労働者の矛盾が,労働者階 級 内 部 の 矛盾 として処理 されるのである。つ ま り,協同組合の従業員は,それが従事す る労働の種 類が,一般の商業企業 と同じ商業的労働であって も,企業経営に雇用 された商業労働者一般にぞ く - 1

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2-す るものではない。協同組合の従業員は,組令員 である労働者の商品購入の業務を組織 し代替する ところの,商業に従事す る労働者である。 したが って,組令員,組合の企業経営 とい う形式を媒介 にしてい ることを無視す ることはできないが,本 質において組合員である労働者 と階級所属を同 じ くする ものである。 この本質的な関係があるか ら こそ,協同組合においては,組合員組織 と企業経 営組織が補ないあ う関係にあるのであ り,組令員 と従業員が対立することがないのである。 しか し協同組合が,組合員の組織活動を基礎に して運営 された状態から,企業経営を中心に運営 される状態に変るにつれ, また組合員の指導者が 企業経営の管理者 としての性格を強め る に つ れ て,組合員 と従業員の連が り方 も変 って くる。す なわち組合員は協同組合の運営の主人公 としてよ りは,むしろ企業経営体の営なむ事業の利用者 と い う立場を強める。そして従業員は企業経営体に 雇用 された,単なる労働者 とい う立場を強め る。 こうして,従業員 としての労働者 と,組合員 とし ての労働者は,あい補な う関係にある組合員組織 と経営組織の密接な関係を介して,労働者 として 相互に達がる状態を,しだいに弱め,やがて解消 す るよ うになる。そのばあい,従業員 と組合員 と は,ひ とし く労働者階級に属す るとい う関係を認 識しあ うだけであって,協同組合 とい う具体的な 場において,その業務をつ うじて結ばれるもので な くなる。 こうした変化をひきお こす決定的 な要 因は,協同組合が労働者の大衆的な組織か ら,質 本家商品の売買をお こな う単なる商業企業に変化 したことであ り,労働者の指導者が,商業企業の 経営者に変 った ことである。 (3) 協同組合の経営組織 と組合員組放 経営管理機構 と経営組織 一般の資本制企業における経営管理機構は,質 本家が労働者の労働を支配する権力的な機構であ る。 この企業の内部における資本家 と労働者の関 係は,社会における資本家階級 と労働者階級の対 立の一部をなす ものである。 このよ うな社会 と企 業にわたる階級対立の関係の一部をなす,企業の 内部におけ る資本家 と労働者,雇用者 と被雇用者 の関係を,人間関係一般 として表現 し,そのよ う な考え方を労働者に植えつけよ うとす るのが,企 業における人間組織の理論つ まり :経営組織ミ論 である。労働者協同組合は,社会的な資本家 と労 働者の階級対立の もとで,労働者がみずからの集 団組織 としてつ くった ものであるか ら,協同組合 の組織の内部には階級関係はない。そして協同組 合に企業経営の関係が発生したのちにおいて も, その企業経営の関係は,労働者階級内部の関係で あって,資本家 と労働者の階級対立の関係はふ く まれない。 しかし,協同組合の企業経営が営なむ 事業が,資本家商品の売買であ り,資本家の商品 の貨幣への姿能変換を媒介するものであることに よって, この労働者階級内部の関係は,つねに労 働者 と資本家の対立の関係に転化す る可能性を も っている。 こ うした転化の可能性を もってい るに もかかわ らず,労働者協同組合の本質が維持 されている限 りにおいては,協同組合の企業経営における経営 管理機構は,一般の資本制企業に比べて,明 らか に異なった特徴を もってい る。すなわち,協同組 合の企業経営における経営管理機構は,資本家の 労働者にたいす る階級支配の権力機構ではな く, 組合員である労働者のぜんたいの意志に もとづい て,従業員である労働者がお こな う業務遂行の労 働を組織し管理す る機構である。 そ こでは,組合 員である労働者の意志を とりまとめる議決機関 と しての総会, この総会によって選ばれ,総会の議 決を事業 として具体化し執行する理事会,理事会 から事業にかかわる業務の管理を委嘱 された管理 者,そして理事会に よって雇用 された従業員 とい う機構が存在する。 しかしこの機 構は経 営 管 理 機構であって も,資本家が労働者を支配する権力 機構ではない。そしてこの機構を軸にして配置 さ れた人間が,その時 どきの特定の業務を遂行する ために とり結ぶ関係は, まさに経営組織であ り, 労働者階級内部の人間の組織であっても,資本家 と労働者の階級関係を,人間関係一般 として粉飾 す る性質の ものではない。そして協同組合におい ては,一人の従業員は, この経営組織にぞ くし, その よ うな もの として組織的に行動する。他方で は,組合員が組合事業を利用するはあい も,一見 して個人 として利用行為をお こな うようにみえて 一 13

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-も,その組合員は組合員組織にぞ くしているので あるか ら,組合員組織の構成員 として行動 してい るのである。 したが って,協同組合の企業経営の 従業員が業務を執行し,組合員が組合の事業を利 用す ることは,経営組織 と組合員組織が業務を介 して接触することで もある。 この ことは,協同組 合の業務が,商品の売買 とい う経済的な役割をは たす と同時に,組合員の組織活動の一端の役割を はたす とい う特徴をしめしている (本章の後述を 参照)0 ところで協同組合において も,その経営管理践 借は,いわゆるスタッフのはたす役割 と, ライン のはたす役割をふ くんでいる。その限 りでは,一 般の資本制企業 とのちがいはない。 しかし,スタ ッフとラインの二つの役割が,経営管理機構のな かで実現 されるかたちには特徴がある。 よく知 られているよ うに,一般の資本制企業の 経営管理機構におけるラ インの機能は,ライン部 門のかたちを もって遂行 される。そ してライン部 門は,管理者か ら現業の従業員にいたる幾層 もの 管理の校精を貫ぬいて,資本家の支配が一人び と りの従業員におよぶ ことを保証する。いわゆる「直 系命令系統」が これである。そして企業の規模が 大きくな り,事業が多岐にわたるよ うになると, この 「直系命令系統」を貫ぬ くところの命令の内 容が複雑にな り,個人の資本家の手にあまるよ う になる。そ こにスタッフの役割が必要 とな り,経 営管理携帯のなかにスタッフ部門が設けられる。 スタッフの役割は,企業の最高の管理者や ライン にたいして,事業や業務にかんす る助言や勧告を お こな うことである。株式会社な どの資本制企業 においては,スタッフの役割はスタッフ部門 とい うかたちを とり,労働者階級のなかの文化的技術 的な専門家を雇用 して, この部門に配置する。資 本制企業が このよ うな方法を とるのは,資本制企 業の本質によるものである。すなわち,資本制企 業は資本家の利潤追求の 目的を具体的に保証す る ものであって,その企業が どのよ うな事業を営な 衣, どのよ うな社会的に有用な挟能を は た す か は,その企業の 日的ではない。 したが って,資本 家には利潤追及 とい う資本の魂の権化の素質が も とめ られても,社会的に有用な事業を 選 ぶ 能 力 千,その種の事業を遂行す るための業務を組織す る能力は必 らずLも必要 とされない。 このよ うな 徒力は,資本家にとっては,その能力を もった他 の人を調達 して,そ こにあてはめることで,事た りるのである。 そ こで取締役会や株主総会 とは別 に,助言 と勧告を専門的にお こな う部門が必要 と なるのである。そ して,企業 の資本調達が個人の 持株資本家でな く,銀行な どの金融機関からお こ なわれ るよ うにな り,企業管理が企業資本家でな く,労働者階級の内部から管理技能者を調達 して ゆだね られるよ うになるにつれて,スタッフ部門 は重要性を まして くる。独占資本主義の時代にお ける資本制企業は, このよ うな状態 と傾向をしめ す企業である。 協同組合の経営管理践精は, これに くらべて特 徴を もっている。協同組合の企業の経営管理機構 において も,組合員の総合的な意志を うけた組合 長な どの管理層の もとで,それぞれの従業員がひ とまとまりの事業活動をお こな うためには

,

「直系 命令系統」つ まりラインの関係が確立 されな くて はな らない。 しかし,スタ ッフの役割がスタッフ 部門を確立 して果たされることは,必 らずLも必 要ではない。協同組合の企業経営において執行校 閲の地位をしめ る理事会は,資 本利潤の追及の

の権化 としての資本家ではな く,組合員の具体的 な必要や要求をその身につけ て代表する理事が構 成員である。 これ らの理事は,協同組合その もの が どの ような運動をお こな うべ きかを知 っている 運動の指導者である。 また これ らの理事は,協同 組合の企業経営が組合員のためにいかなる事業を 選ぶべ きか, またその事業を遂行す る従業員の業 務が どのように編成 された ら,組合員に とって便 利であ り有利であるかを知 っている。 これ らの理 事 こそ,他にかけ替えのない最高の参謀であ り助 言者であ り,同時に執行者で もあるのだ。 よしん ば これ らの理事のなかから一人の理事 が 選 ば れ て,事業 と業務を管理する立場につい た と し て ち, この最高の管理者は,組令員-労働者の指導 者であ る理事を参謀 として,有効にして適切な助 言を得ることができる。協同組合の経営管理機構 において,スタッフの機能が スタッフ部門のかた ちを とらないですむ, もう一つの理由がある。協 同組合では,組合員は総会において,それぞれが 当面す る生活用品購入上の困惑 をのべ,その うち - 14

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