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思春期の口腔内細菌数に関連する因子の検討 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 岡安 こずえ 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 医科学 ) 学 位 記 番 号 医工博甲 第391号 学 位 授 与 年 月 日 平成29年3月23日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1該当 専 攻 名 人間環境医工学専攻(生体環境学コース) 学 位 論 文 題 名 思春期の口腔内細菌数に関連する因子の検討

( The total number of oral bacteria and related factors in adolescence) 論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 上木 耕一郎 委 員 教 授 川村 龍吉 委 員 講 師 松岡 伴和

学位論文内容の要旨

(研究の目的) う蝕や歯周病に代表される歯科疾患はその原因菌による感染、および、日々の口腔衛生習慣、さら に、その他の様々な因子が重なり発症する生活習慣病の一つである。近年、子どものう蝕罹患率に減 少傾向が認められる一方で、成人期以降の罹患率は高い現状があり、生涯を通した取組の重要性が課 題となっている。歯科疾患の発症や重症化予防には自身の健康状態を把握し、より良好な口腔内環境 を維持することが不可欠であり、適切な生活習慣を身に付ける時期でもある思春期における歯科保健 教育の充実が大切である。しかしながら、現在まで学校歯科健診のような若年者の集団を対象とする 現場において、簡便かつ安価に口腔内の衛生状態を把握し定量的なリスク判断を下すための手技は未 だ確立されていない。 そこで、永久歯列完成直後である思春期の口腔内細菌数の状況を把握するとともに口腔衛生の指標 として活用できるかについてその妥当性を口腔内所見や生活習慣など、その他の因子との関連につい て検討を行った。 (方法) 山梨県の甲州市立中学校5校に在籍する全ての生徒を対象とし、学校歯科健診時に口腔内細菌数測 定装置を用いて舌背から検体を採取し細菌数の測定を行った。また、毎年実施されている「甲州市 児童生徒の心の健康と生活習慣に関する調査」から歯磨きに関する回答結果を抽出し、健診による口 腔内所見(う蝕、歯垢、歯肉、歯列)と合わせて、細菌数との関連について検討を行った。得られた 細菌数を対数変換し、その分布を男女別、学年別に検討し、さらに、歯科医師による口腔内所見や歯 磨き習慣との関連について検討を行った。

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(結果) 参加者は男子498人、女子494人で計測された総菌数の平均値は7.25(標準偏差 0.32)であった。 女子において、学年が上がる毎に有意な細菌数の増加が認められた(p=0.02)。細菌数と口腔内所見 との間には一貫した関連は認められなかったが、1日3回歯磨きをしていない群において細菌数が有意 に高かった。 (考察) 口腔内所見の内、う蝕と歯肉所見については細菌数との間に関連性が認められなかった。う蝕や歯 肉所見と口腔内細菌数との間に関連がなかった理由として、診断バイアスと細菌の種類の同定ができ なかったことが考えられる。 また、歯科疾患の発症が生活習慣と関係があることから、細菌数と歯磨き習慣との関連について検 討を行ったが、朝、昼の歯磨き習慣とはそれぞれ単独では細菌数との関連が認められず、夜の歯磨き 習慣と細菌数との間には関連が認められた。さらに、1日に3回(朝、昼、夜)、歯磨きをしているか どうか、すなわち1日3回の歯磨き習慣が身についていることと細菌数との間に有意な関連が認められ た。 日常の歯磨き習慣と口腔内所見(歯垢、歯肉、歯列咬合)との間には正の線形傾向が認められた。 細菌数と歯磨き習慣、さらに歯磨き習慣と口腔内所見との間に関連が認められたことから、思春期の 子どもの口腔内細菌数が日常の口腔衛生習慣を的確に反映していることが明らかとなった。本研究の 限界は5校の学校歯科健診を計8名の歯科医師が担当しており、各歯科医師による診断バイアスが存在 する可能性があることと菌種の同定ができていないことである。本研究の長所は、ある地域の全学校 を対象として比較的大規模に調査を行い、これまで検討されていなかった永久歯列完成後の口腔内細 菌数の分布を明らかにし、さらにに細菌数について口腔内所見や生活習慣との関係を検討したことで ある。思春期に通常の学校歯科健診項目に加えて、定量的に結果を示すことが可能な口腔内細菌数の 計測を用いることで個人のリスクに合わせた将来の歯科疾患の発症及び重症化予防につながる効果 的な健康教育の手段の一つと成りえる可能性が示された。 (結論) 口腔内細菌数が口腔内環境を反映している可能性が示唆された。よって学校歯科健診の口腔内所見 に加え、口腔内細菌数を用いて口腔内環境の把握を行うことによりさらに効果的な歯科保健指導につ ながることが期待される。

論文審査結果の要旨

1) 学位論文研究テーマの学術的意義 う蝕罹患に関しては、近年減少傾向にあると考えられている一方で、成人期以降の罹患率は高い 傾向があることが示されている。歯科疾患、特にう蝕、歯周病においては口腔内環境に大きく影 響を及ぼす口腔内細菌が原因の 1 つであることは事実である。しかし、学校歯科健診のような大 きな集団を対象とする口腔内細菌数を調査した報告は少ない。本研究は細菌種の同定はできてい

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ないが、比較的客観的で簡便な方法で細菌数を測定して、口腔内所見と生活習慣との関連を評価 した点で十分独創的であるといえる。 2) 学位論文および研究の争点、問題点、疑問点、新しい視点など う蝕と歯周炎(歯肉所見)と細菌数との関連が最大の争点であったが、統計学的に関連性は見い だせなかったとしている。診断バイアスと細菌種の同定できていなかったことが原因と考えられ るとしている。う蝕および歯周炎の評価方法が細かく数値化されていないこと、細菌数測定機器 の正確性よりも歯垢採取方法の再現性の低下が推察される。また、疾患を引き起こすのは全体の 細菌数よりもある一定の種の細菌が関与していると考えられ有意な関連を示すに至らなかった ということであろう。しかしながら、歯磨き習慣と細菌数との関連性を見出すなど、新規に十分 な根拠を示す結果が得られている。 3) 実験データの信頼性 対象は十分に統計学的に評価しうる数を確保できており、また簡便な指標を用いて評価であり信 頼性は高いと考えられる。 4) 学位論文の改善点 学校歯科健診での検査項目、採取物には大きな制限があると思われる。しかし、このことを十分 考慮した上で、客観評価可能な検査項目の評価方法、できればより詳細な数値での評価ができれ ば、より高い客観性を得ることができると思われる。さらに、歯垢採取方法においても唾液など の方が細菌数測定には有効だったかも知れない。

参照

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