Kobe Shoin Women’s University Repository
Title
古民家に共存する3寸法体系
―住空間の史的展開過程に関する研究(その 16)―
Three dimensions in old Kaga-farm houses
Author(s)
島村 昇(Shimamura Noboru)
Citation
生活科学論叢(Review of Living Science)
,
No.32:41-63
Issue Date
2001
Resource Type
Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
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Right
古民家 に共存 す る3寸 法体系
住空間の史的展開過程 に関する研究(そ の16)
島
村
昇
序 民 家 は 歴 史 的所 産 で あ る。 古 民家 にお い て もそ の こ とは い え、 建 築 時 以 前 の 歴 史 的所 産 を 内包 して い る 。 各 室 も も と を辿 れ ば そ の 発 生 時 期 を 異 に して お り、 発 生 時 の 痕 跡 を と どめ て い る。 本 稿 は 、各 室 の 寸 法 体 系 か ら室 の発 生 時 期 をみ 、 そ の 歴 史 的経 過 を辿 っ て み る 。 1事 例 と す る 加 賀 古 民 家 確 立 期 加 賀 農 村 住 居 の 適例 と み られ る高 田家 は 、 正 面 は切 妻 ピサ シ つ き、 背 面 は寄 棟 の屋 根 型 で あ る。正 面 切 妻 部 分 の破 風 口 は大 きな3角 形 の 開 口 で あ り、内 部 へ の 採 光 や 換 気 は 充 分 で あ る 。 高 田 家 の屋 根 は 平 行 サ ス に よ っ て組 まれ て お り、正 面 は平 行 サ ス が 切 妻 形 式 と して 使 用 され た 例 で あ るが 、背 面 は オ イ ザス に よ っ て い る。 屋 根 の構 法 は い う まで もな くサ ス構 法 で あ る が 、 正 面 切 妻 形 式 は ウダ ッ構 法 の影 響 が み られ る 。 しか し、 い ず れ に し て も屋 根 の 骨 組 はサ ス構 法 に よ っ て お り、 伝 統 的 で あ る。 また 、 屋 根 の サ ス は ケ タ 当 た り式 で あ り、 屋 根 裏 が ア マ と して 活 用 さ れ て い るの も確 立期 ら しい。 屋 根 の 一 部 を構 成 す る ピサ シ も よ く発 達 し て い る 。 正 面 の カ ヤ ピサ シ は ハ ネバ リ(桔 梁 〉 に よ っ て支 え られ て お り、 大 工 の技 術 と して は 多 少 高 級 な 技術 で あ る 。 両 側 面 の 板 ピ サ シ は住 空 間 の ヨ コ方 向 へ の拡 幅 を 目的 と した もの で 、 ヨ コ ピサ シ の お 陰 で 住 空 間 の床 面 積 は倍 増 し て い る の で あ る。 屋 根 を支 え る軸 組 部 分 は、 い う ま で もな くヤ グ ラ構 法 に よ っ て お り、 と くに そ の 中核 とな る オ エ 部 分 で は ワ ク ノ ウ チ ヅ ク リ(枠 の 内造 り)の 手 法 が 適 用 さ れ て お り、事 例 として申 し分 ない。 また 、 ワ ク ノ ウ チ を構 成 す る ロ ッポ ンバ シ ラや サ シ モ ン、 ハ ル モ ン等 の部 材 もよ く当初 の 姿 を と どめ て い る 。 しか し、 こ う した古 民 家 の常 と して 建 設 以 降 の 改 造 の 後 もみ られ るが 、 そ れ も また 住 空 間 の発 展 過 程 を跡 づ け る 重 要 な 資 料 とな りう る。 以 下 、 高 田 家 の 空 間構 成 を各 部 分 ご と に 検 討 して い く。2ロ ッ ポ ン バ シ ラ の 柱 サ イ ズ 当 高 田家 の平 面 形 式 は[図1]に み る よ う に、 典 型 的 な前 面 大 ドマ ・ヒ ロ マ型 の 住 居 で あ り、 オ エ の 背 後 は ナ ン ド ・デ イ ・エ ンの3つ の 部分 か ら成 っ て い る。 室 と して は ナ ン ド とデ イ の2室 で あ るか ら、2列1段 で あ る 。 した が っ て 、型 と して は前 面 大 ドマ ・ヒ ロ マ 型 後2列1段 とい う こ と に な り、 明 らか に ヒロ マ 型 の 住 空 間構 成 で あ る。 当 家 の ヒ ロマ は オ イ と呼 ば れ て い た よ うで あ るが 、 オ イ も オ エ と同 じ くオ ウエ(御 上)の 転 で あ り、 加 賀 農村 住 居 の ヒロ マ 呼 称 は この オエ が 一 般 的 で あ る。 当家 の ヒ ロ マ 呼 称 もオ エ とす る 。 当 地 の オ エ には 必 ず イ ロ リが あ り、 屋 内 の 唯 一 の火 処 で あ り、 カマ ドが な い 。 オエ は 全 住 問 の 中 心 的 な生 活 の場 で あ る が 、 そ の オエ の 中 で もイ ロ リが 中 心 的 な役 割 を果 した 。 食 事 、 休 息 、 団 ら ん 、 接 客 等 の 中 心 的役 割 を演 じる の は火 処 と して の イ ロ リで あ っ た か らで あ る。 中心 的 な オエ の 中核 部 分 を構 成 す る 主 要 な6本 の柱 を、 当 地 で は ロ ッポ ンバ シ ラ(六 本 柱)と 呼 び習 わ し、 他 の柱 と区 別 して きた 。 そ れ は こ の ロ ッポ ンバ シ ラが ワ ク ノ ウ チ を構 成 す る柱 だ か らで あ る 。 ロ ッポ ンバ シ ラ は他 の柱 よ り太 く頑 丈 で あ る。 耐 雪 性 コ ア ・シス テ ム で あ る。 ロ ッポ ンバ シ ラ は オ エ の 正 面(ナ ン ド ・デ イ境)に3本 、 背 面(ニ ワ境)に3本 の 都 合6本 で あ る。 正 面3本 の柱 列 と背 面3本 の柱 列 は相 い 向 い 合 う形 を と る 。 これ が ワ ク ノ ウチ ヅ ク リの 基 本 で あ る。ワ ク ノ ウチ を構 成 す る6本 の柱 が い か に 重 要 な役 割 を も っ て い るか が わ か る と同 時 に、 こ の6本 の 柱 を ロ ッポ ンバ シ ラ と半 ば 固有 名 詞 化 して い る理 由 も首 肯 さ れ る 。 高 田 家 の ロ ッポ ンバ シ ラ の サ イ ズ をみ る と、[図2]に 示 す よ う な 太 さ で あ る。 オ エ 正 面 の3 本 の柱 列 は、 左 か ら205㎜ ×210㎜ 、230㎜ ×180㎜ 、210㎜ ×190㎜ で あ る。 背 面 の3本 の柱 列 は 、 同 じ く左 か ら175㎜ ×175㎜ 、230㎜x185㎜ 、185㎜ ×185㎜ で あ る 。今 日 の木 造 住 宅 の 柱 は10cm角 程 度 で あ る か ら、 これ に比 べ る と ロ ッポ ンバ シ ラ は 太 い 。 い ま か りに ロ ッ ポ ンバ シ ラの 断 面 積 を 求 め る と、 上 の 六 本 は 同順 に430.5c㎡、414c㎡ 、399c㎡、 306.3c㎡ 、425.5c㎡ 、342.3c㎡ とな り、平 均 断面 積 は386,3c㎡ とな る。 今 日の10αn角 の柱 の 断 面 積 は 100c㎡で あ る か ら 、 そ れ に比 べ る と4倍 近 い 太 さ を も っ て い る こ とが わ か る。 ロ ッ ポ ンバ シ ラが い か に重 視 さ れ て い た か が 太 さ の点 か ら も よ くわ か る。 -42一
3ゲ ン カ の 柱 サ イ ズ オ エ の 中 心 部 を取 り囲 む 形 で配 置 され る ロ ッポ ンバ シ ラ は、 上 記 の よ う に太 く頑 丈 な もの で あ るが 、 そ れ に対 応 す る形 で 配 置 され る出 入 口正 面(ゲ ン カ)の 柱 サ イ ズ は ど の よ う に扱 われ て い る の か 。 当 高 田 家 が 妻 入 り形 式 を と って い る こ とは 明 らか で あ る が 、 そ の 際 出入 口 正 面 の 柱 も人 目につ く重 要 な位 置 に あ る 。 出入 口 正 面 に は や は り主 要 な柱 が3本 立 っ て お り、 そ の サ イズ は 左 か ら150㎜ ×145㎜ 、185㎜ ×180㎜ 、150㎜ ×145mmで あ る。一 見 して この3本 の柱 は ロ ッポ ンバ シ ラ よ り細 目で あ る([図2] 参 照)。 そ れ ぞ れ の 断 面 積 を求 め る と、 剛1頂に217.5c㎡ 、333c㎡、217.5c㎡ と な り、3本 の 平 均 断 面 積 は256c㎡で あ る。先 の ロ ッポ ンバ シ ラ の平 均 断 面 積 は386.3c㎡ で あ っ た か ら、これ と比 較 す る と、 約66%の 太 さに 当 た る。す な わ ち 、正 面 出 入 口 の3本 の柱 は ロ ッポ ンバ シ ラ よ り細 い 。 も っ と も、 今 日の10cm角 の柱 に比 べ れ ば2.5倍 の 太 さ を もっ て い る。 妻 入 り住 居 に お い て妻 側 正 面 に並 ぶ 柱 は 、 人 の 出入 り に際 して常 に 目に触 れ る柱 で あ り、 ま た 外 観 上 も 目につ く位 置 に あ りな が らロ ッポ ンバ シ ラ よ り も細 い の は 、 や は り外 観 上 の 見 栄 え よ り も構 造 体 と して の ワ ク ノ ウ チ の ロ ッポ ンバ シ ラ を重 視 して い る か らで あ る 。 歴 史 的 にみ る と、 オエ1室 の 単 室 住 居 か ら発 展 して きた 当 地 の 農 村 住 居 は 、 も っ と も来歴 の 古 い オ エ 部 分 に ワ ク ノ ウチ な る核 構 造 体 を完 成 させ て い た の で あ る 。 そ れ に比 べ る と、正 面 の3本 の柱 は ニ ワ と呼 ば れ る ドマ が オ エ と呼 ば れ る単 室 に 附加 され て 以 降 の もの で あ り、 そ れ だ け に新 しい 、 い わ ば 新 参 の 空 間 で あ る 。柱 サ イ ズ の 扱 い も古 参 と新 参 で は 異 る の で あ る。 以 上 の よ う に、 当家 の 全 住 空 間 に林 立 す る柱 群 の うち 、 最 大 級 は 中 核 部 分 の ワ ク ノ ウチ の ロ ッ ポ ンバ シ ラで あ り、次 が 正 面 の3本 の 柱 で あ り、 そ の他 の柱 は大 同 小 異 で100∼150㎜ 角 程 度 と今 日の10cm角 柱 に近 い。 柱 群 の サ イ ズ は、 大 き く3つ の グ ル ー プ に分 け られ 、 も っ と も太 い の が ワ ク ノ ウ チ の ロ ッポ ンバ シ ラ、 次 が 正 面 の3本 の 柱 、 最 後 が そ の 他 の 柱 とな る 。 こ う して み る と、 正 面柱 は ワ ク ノ ウ チ の ロ ッ ポ ンバ シ ラ よ りは細 いが 、 そ の 他 の 柱 よ りは太 く、 外 観 上 の見 栄 え を ま っ た く考 慮 して い な い わ け で は ない 。 柱 の サ イズ に も各 部 分 の歴 史 性 が み られ る。 4柱 の 形 状 柱 の サ イ ズ に つ い て は 以 上 の よ うで う る が 、 次 に柱 の 形 状 に つ い て み て お き た い。 そ れ は柱 の 格(序 列)や 柱 の 通 り(柱 列 の通 し方)と も関 係 す る か らで あ る 。 今 日の住 居建 築 に み られ る よ うに 、 全 柱 群 の サ イズ をた と え ば10cm角 の正 方 形 断 面 に 統 一 した場 合 に は 、柱 の 格 の上 下 や柱 の 通 り に関 す る 問 題 は ほ とん ど発 生 し ない 。 さて 、 高 田家 の柱 の 形 状 を まず ワ ク ノ ウ チ の ロ ッポ ンバ シ ラ に つ い て み る と、 ほ とん どが 矩 形
断面 で あ る。 古 民 家 の建 設 当 時 は今 日の よ う に製 材 技 術 が 発 達 して い ず 、 チ ョウ ナ(手 斧)で は つ っ て 角 柱 をつ くる手 造 りの 製 材 で あ り、 ま た天 然 の樹 木 の 形 状 を 生 か した 製 材 法 を と る の で 、 今 日の柱 の よ う に整 然 た る正 方 形 断面 に な らな い 。 ロ ッポ ンバ シ ラ の形 状 を、 オエ 側 の 面 の 幅(見 付 け 幅)をa、 これ と直 角 な面 の 幅(見 込 み 幅) をbと して 、a対bの 比 率 に よ っ て示 す と、 オ エ正 面 の3本 の柱 は左 か ら0.98、1.28、1.11と な る。 す べ て 長 方 形 断面 で ほ と ん どが オ エ 側 を長 辺 と して い る 。 次 に オエ 背 面 の3本 の 柱 は、 同 様 に左 か ら1.00、1.24、1.00と な り、 左 右 の 柱 は正 方 形 断 面 で あ る が 、 中央 の柱 は長 方 形 断 面 で や は りオ エ 側 を長 辺 と して い る。 ロ ッポ ンバ シ ラ6本 の う ち4本 は 長 方 形 断面 で 、 そ の うち3本 は長 辺 をオ エ 側 に面 す る よ う に 配 置 して い る。2本 の 正 方 形 断 面 の 柱 は ど ち らの 面 を オエ 側 に 向 け て も面 幅 と し て は 同 じで あ る 。 この よ うに、 正 方 形 断 面 の柱 の 場 合 に は長 辺 を オエ に面 す る よ うに 配 置 し、使 用 頻 度 の 高 い オ エ か ら見 た場 合 の柱 幅 を効 果 的 に演 出 して い る。 ち な み に、 ゲ ンカ正 面 の3本 の柱 につ い て み る と、 同 じ く左 か ら1.03、1.03、1.03と な り、 ほ とん どが 正 方 形 断面 に 近 い が や は り正 面 を長 辺 と して い る 。 す な わ ち 、 ロ ッポ ンバ シ ラ に しろ ゲ ンカ正 面 柱 に しろ 、 主 要 な柱 は す べ て 長 辺 を見付 け 幅 と して い る 。 オ エ や 出入 口正 面 か ら見 え る 面 を 長 辺 と し、柱 を太 く見 え る よ う に立 て て い る の で あ る。 こ れ は 一種 の格 式 的 デザ イ ンで あ る とい え よ う。 古 民 家 の よ う に内 部 に と くに飾 り立 て た 意 匠 を ほ ど こ さ ない 素 朴 な 空 間 にお い て は 、 直 立 す る 柱 の 太 さ はか けが え の な い デ ザ イ ン ・エ レ メ ン トで あ った に違 い な い 。 非 装 飾 的 な空 間 で あ れ ば こそ 、 ま た逆 に柱 の 太 さが 主 要 な デザ イ ン ・エ レメ ン ト とな りえ た の で あ った 。 5柱 の 面 幅 ロ ッポ ンバ シ ラ や ゲ ンカ正 面 柱 は長 方 形 断 面 の場 合 、 長 辺 面 を見 付 け と した 。 と くに ロ ッポ ン バ シ ラ は も と も と太 い 材 を使 用 して い るが 、 よ り太 く見 栄 え を よ くす るた め に 長 辺 面 を見 付 け と した 。 しか し、 同 じ長 辺 で もそ の 寸 法 は柱 ご とに 異 っ て い る 。 す な わ ち 実 寸 法 と して の 柱 幅 は、 どの よ う な方 法 に よ っ て扱 わ れ て い る の か 。 い ま長 辺 長 さ に着 目 して ロ ッポ ンバ シ ラ を み る と、オエ 正 面 の3本 の柱 は左 か ら205㎜ 、230㎜ 、 210㎜ とな る 。 す な わ ち 、 中央 の 柱(大 黒 柱)が も っ と も幅 広 で右 、左 の順 に な る 。 同様 に して 、 オ エ 背 面(ニ ワ側)の3本 の柱 をみ る と、 左 か ら175㎜ 、230㎜ 、185㎜ と な る 。 や は り中 央 の 柱 が最 大 で 次 が 右 の柱 、 そ の 次 が 左 の柱 で あ る 。 この よ う に柱 の 見 付 け 幅 は そ の 位 置 に よっ て 異 な る が 、 大 き くみ る とオ エ 正 面 の柱 列 の 方 が 背 面 の柱 列 よ り幅広 で あ る 。 こ れ に よ っ て オ エ 正 面 の柱 列 が こ と さ ら重 視 され 、 中で も中 央 の柱 が 一46一
最 重 点 の柱 で あ る。 つ ま り正 面 中央 の柱(上 大 黒)が 主 役 で あ り、左 右 の柱 は これ に次 ぐ脇 役 で あ る。 オ エ 背 面 の 柱 列 に つ い て も こ の こ とは い え る 。 背 面 の 場 合 も中 央 の柱(下 大 黒)が 主役 で あ る。 これ に対 して左 右 の柱 は一 段 と細 くな っ て い る が 、 右 の柱(185㎜)は 少 しで は あ る が左 の 柱 (175㎜)よ り幅 広 で あ る 。 オエ 正 面 の左 右 の柱 が205㎜ と210㎜ で右 が 左 よ りす こ し太 か っ た の と同 じで あ る 。右 方 が左 方 よ り重 視 され て い る の で あ る。 こ こ に住 空 間 の ヨ コ方 向 の空 間 序 列(オ モ テ 方 と ウ ラ 方)の 空 間観 を適 用 す る と、 よ り明 快 な答 が え られ る 。 当 高 田家 は平 面形 式 か ら明 らか な よ う に 、 ナ ガ シや ナ ン ドが 左 に くる左 勝 手 の 家 で あ る。 す な わ ち 、 この 家 で は左 方 が ウ ラ方 、右 方 が オ モ テ 方 で あ る 。 した が っ て デ イ(ブ ッ マ)は オモ テ 方 に きて い る。 つ ま り柱 の 面 幅 も ウ ラ方 よ りオ モ テ 方 の 方 を重 視 し幅 広 とす る の で あ る 。 ち な み に 正 面 柱 につ い て み る と、 柱 の 面 幅 は左 か ら150㎜ 、185㎜ 、150㎜ と な り、 や は り 中央 の 柱 が 最 大 で左 右 の柱 は 同 格 で あ る 。 中央 柱 の重 視 は オ エ の 場 合 と同様 で あ る 。 た だ し、正 面柱 は 全 体 と して は オ エ の柱 よ り細 い 。 6柱 の 格 づ け 以 上 、 高 田家 の 柱 のサ イ ズ 、 形 状 につ い て み て きた が 、 サ イ ズ も異 な りま た形 状 も長 方 形 断 面 の もの が 多 か った 。 つ ま り柱 サ イズ 、 柱 の 断 面 は 多 様 で あ っ た 。 しか し、 こ う した 多 様 な柱 群 の 使 用 に当 っ て は一 つ の方 法 論 が 存 在 した 。 そ れ は柱 の 格 づ け で あ る。 格 づ け の 主 た る要 素 は太 さ で あ る 。 太 さは 、 と りあ え ず は 断 面 積 の大 小 に よっ て 計 られ る が 、 長 方 形 断 面 の 場 合 は長 辺 長 さ の長 短 に よ る。 そ して、 長 辺 面 が 見 付 け 幅 、 短 辺 面 が 見 込 み 幅 と な る 。 こ う して 決 定 され た太 さ に よ る柱 の格 は 、 上 位 か ら順 に重 要 度 の 高 い位 置 に配 置 さ れ る。重要 度 の 高 い 位 置 は、 まず は柱 列 と して捉 え られ 、(1)オエ 正 面 の3本 の 柱 列 、② 次 が オ エ 背 面(ニ ワ 側)の3本 の柱 列 、(3)その次 が 出入 口 正 面 の3本 の 柱 列 、(4)最後 が そ の 他 の柱 列 とい う順 に な る。 (1)のオ エ正 面 の3本 の柱 列 と(2)のオエ 背 面 の3本 の柱 列 は 、 ロ ッポ ンバ シ ラ と い わ れ る ワ ク ノ ウ チ の 主 要 柱 で あ っ た。 この 部 分 に は高 い格 づ けが お こ な わ れ て い る こ とが わ か る 。 各 柱 列 に お け る格 の上 下 は、(1)中央 の柱 、(2)オモ テ 方 の 柱 、(3)ウ ラ方 の柱 と い う順 に な る。 た だ し、(2)オモ テ 方 の柱 と(3)ウラ方 の 柱 は 同格 と さ れ る 場 合 もあ る が 、(1)の中 央 の柱 は 必 ず 最 上 位 と され る。 高 田 家 は左 勝 手 の 家 で あ る か ら、左 方 が ウ ラ方 、 右 方 が オ モ テ方 と な る 。 高 田家 の オ エ 正 面 と出入 口 正 面 の柱 列 で は オ モ テ 方 と ウ ラ方 の柱 が 同 格 と して 扱 わ れ て い る が、 そ の 他 は格 づ け 通 りの柱 配 置 で あ る 。 こ う した柱 の 太 さ に よる格 づ け は 、ご く近 年 ま で加 賀 大 工 の 問 で お こ な わ れ て き た慣 行 で あ り、 逆 に い え ば高 田 家 の 建 築 され た と され る近 世 中 期 に は 、 こ の よ う な格 づ け に よ る柱 配 置 の 方 法 論 が 確 立 して い た とい うこ と に な る 。越 前 の坪 川 家(中 世 末 か ら近世 初 期 の建 設)も 同 様 の 手 法 に
よ っ て い る。 柱 の格 づ け に よる柱 配 置 と い う方 法 論 を概 念 図 と して 図示 す る と[図2]のA∼Fの よ う に な ろ う が 、 そ れ は た ん に柱 の 配 置 手 法 とい う施 工 技 術 の 問 題 に と ど ま る もの で は な く、 柱 の位 置 す る空 間 の 重 要 度 や そ の 空 間 の来 歴(発 生 時 期 の古 さ新 しさ)な ど と も関 連 して い よ う。 しか し、 何 よ り重 要 な の は 、 この よ うな 手 法 の 成 立 が ワ ク ノ ウチ ヅ リ構 法 の 確 立 と一 体 的 な もの で あ り、 加 賀 農 村 住 居 の確 立期 を象 徴 して い る こ とで あ る。 7ロ ッ ポ ン バ シ ラ の 柱 配 置 ロ ッポ ンバ シ ラの 断 面 は 長 方 形 で 、 長 辺 を オ エ に向 け て立 て て見 栄 え を よ く して い た 。 した が っ て 、 短 辺 が オエ か ら見 た 場 合 の 見 込 み 幅 と な る 。 上 手 の3本 の 柱 列 の 見 込 み 幅 は 、 左 か ら 205㎜ 、180㎜ 、190㎜ と異 な る 。 も し、 これ ら を真 通 し(シ ン ドウ シ)に す れ ば柱 の見 付 け 面 は 揃 わ ない 。 柱 間 に板 戸 を入 れ る と散 りの寸 法 が 異 な り不 体 裁 な こ と に な る 。 そ の た め 、3本 の柱 は す べ て オ エ に対 して 内面 通 し(ウ チ ヅ ラ ドウ シ)と して い る 。 下 手 の3本 の 柱 列 も同 様 に 内 面 通 しで あ る。 この よ う に、 ロ ッ ポ ンバ シ ラ を オ エ に対 して 内 面 通 しに す るの は、 オ エ 空 間 を重 視 して い た 謹 捺 で あ るが 、 そ の か わ りオ エ と反 対 側(前 方 の ニ ワ、 後 方 の ナ ン ド ・ブ ツ マ)で は柱 面(ハ シ ラ ズ ラ)は 揃 わ ず 凹 凸す る 。 前 方 の ニ ワ も後 方 の ナ ン ド ・ブ ツマ も柱 面 は揃 わ な い 。 しか し、 ニ ワ 側(下 手 の 柱 列)の3本 の 柱 の 見 込 み 幅 を み る と、左 か ら175㎜ 、185㎜ 、185㎜ 、 で 大 き な差 が な い 。 この程 度 の差 で あ る と、 内面 通 しに して も ニ ワ側 の 外 面(ソ トヅ ラ)も だ い た い揃 う。 上 手 の 柱 列 よ り面 通 り(ツ ラ ドウ リ)が よ い 。 ニ ワ に対 して 多 少 面 通 りを よ くして い る の は、 ゲ ンカ(玄 関)か ら ニ ワ を 通 っ て オ エ に至 る進 入 経 路 に対 して 、下 手 の 柱 列 は正 面 に な る の で い く分 体 裁 を考 慮 して い る の で あ ろ う。 こ れ を本 論 で は柱 の 正 面 性 の 重視 とい う。 長 方 形 断 面 の 長 辺 面 を オエ 側(ニ ワ側 に も な る)に 向 け る の も 正 面 性 の重 視 で あ る 。 柱 の 通 りにつ い て は 以 上 の よ うで あ る が 、次 に柱 間 寸 法 で あ る。ロ ッポ ンバ シ ラ の柱 間 寸 法 は 、 [図3]に 示 す よ う に ヨコ(梁 行)方 向 は真 々7.0尺 間(ナ ナ シ ャ クケ ン)の2.0間 で あ り、 タテ (桁行)方 向 は真 々13.3尺 とな り、 ヨ コ方 向 の7.0尺 間 が 使 用 さ れ て い な い 。 上 記 の よ う に オ エ に対 す る3本 の柱 列 は そ れ ぞ れ を 内面 通 し と して い る の で 、タ テ 方 向 の柱 間 寸 法 に つ い て は、内 々 寸 法 を採 用 す る と12.57尺 とな り、 必 ず し も明 解 な寸 法 単 位 に な ら な い 。 タ テ 方 向 は ヨ コ 方 向 の 7.0尺 間 とは 別 の寸 法 単 位 が 採 用 され て い る と考 え られ る。 以 上 の よ う に、 ワ ク ノ ウチ を構 成 す る ロ ッポ ンバ シ ラの 柱 問寸 法 は、 ヨ コ方 向 と タテ 方 向 で異 な り、 同一 の寸 法 体 系 に よ っ て い な い 。 そ の 辺 の事 情 につ い て 次 項 で 検 討 す る。 -48一
[図3]高 田 家 ロ ッ ポ ン バ シ ラ の 柱 間 寸 法 真 々4,248(14.02尺) 2,113(6.97尺)2,135(7.05尺)
砦
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ィ)監
くつ 頃 〔N eつ(Neつ ¶一一7-1■ 一 口 口 口 (内 面 通 し) 一 一 一 2,123(7.01尺)2,128(7.02尺) 真 々4251(14.03尺) (註)筆 者研 究室 調査 資料 よ り作成 8ワ ク ノ ウ チ の 柱 間 寸 法 オエ に対 して 内面 通 しに した ロ ッポ ンバ シ ラの柱 間寸 法 は、 上手 の柱 列 で は真 々6.98尺 、7 .03尺 、 下 手 の 柱 列 で は真 々7.00尺 、7.02尺 で あ る 。 こ の4つ の 柱 問寸 法 か ら、 高 田 家 が 建 設 され た 当 時 に は ワ ク ノ ウチ の柱 問 寸 法 は7.0尺 と して い た こ とが わ か る 。 し か も、 こ の寸 法 は か な り正 確 に 現 れ て い て誤 差 が 少 な い 。 な お 、 こ こで も う 一 つ 見 逃 す こ と の で きな い の は 、 調 査 に お け る実 測 値(㎜ 単 位)を 尺 寸 単 位に換 算 す る に際 して 、1.0尺 を現 行 の303㎜ と して い る こ とで あ る 。 す な わ ち、 当 時 の1.0尺 は 現 行 の303㎜ と考 え て ほ ぼ 間 違 い が な い 。 ち な み に 、4つの 柱 問寸 法 の 和(8,501㎜ 、28.0尺)か ら、 逆 に1.0尺 の 値 を求 め る と303.61㎜ とな り、 現 行 の303㎜(よ り厳 密 に は303.031㎜)と ほ と ん ど 同 値 で あ る。 次 に ロ ッポ ンバ シ ラ の タテ(桁 行)方 向 の 柱 間寸 法 をみ るが 、 こ の場 合 の 相 対 す る2本 の柱 の 柱 間寸 法 は真 々 寸 法 で は論 じ られ な い 。 前 項 で述 べ た よ うに 、 この 場 合 の 相 対 す る柱 は内 面 通 し に な っ て い るの で 内法 寸 法 は一 定 す るが 真 々寸 法 は と うぜ ん一 定 しな い 。 そ こで 柱 間 内 々 の 寸 法 を求 め ね ば な ら な い が 、3つ の タテ柱 間 内 々寸 法 は 多 少 異 な るの で そ の 平 均 値 を採 用 す る と3,80 8㎜ とな り、 こ れ は12.57尺 に当 た る。 こ の12.57尺 な る内 々寸 法 は 内 法 制 と して は失 格 で あ る。なぜ な ら、も し柱 の 内 々寸 法 を決 定 し て 建 築 す る な ら、 この 内 々 寸 法 を12.0尺 か13.0尺 にす る は ず だか らで あ る 。12.0尺 に は5寸7分 (17.1(皿)多 す ぎ 、13.0尺 に は4寸3分(12.9cm)不 足 す る。 こ れ らの 過 不 足 値 は 、誤 差 と して 扱 うに は 大 きす ぎる 。 す な わ ち 、 オエ の タテ 方 向 の柱 間 寸 法 は 内 面 通 しに して い るせ い で 、 内 々 寸 法 は 一 定 で あ る が 柱 面(ハ シ ラ ヅ ラ)に よ る 内法 制 で は な い 。 タテ 方 向 の柱 間寸 法 が 真 々 制 で もな く、 内 法 制 で も ない とな る と一 体 どの よ う に して 柱 問 の 寸 法 を決 定 して い た の か とい う こ と に な る。 そ れ に つ い て 考 え られ る の は 、(1)ヨ コ ピサ シ の タ テ 方 向 の柱 問 寸 法 との 関 係 、 ② ワ ク ノ ウ チ 上 部 に位 置 す るサ シ モ ンの 長 さ との 関 係 、(3)ワク ノ ウチ 正 面 とニ ワ側 に入 る板 戸 との 関 係 で あ る 。 まず 、(1)の ヨ コ ピサ シ との 関 係 に つ い て み る と、[図4]に よ っ て わ か る よ う に、 左 ピサ シの 柱 真 々 寸 法 は13.09尺 、右 ピサ シ の そ れ は13.06尺 で あ る。 す な わ ち、 オ エ の ヨ コ ピサ シ部 分 で は柱 真 々13.0尺 が使 用 さ れ て お り、 そ の 際 に使 用 さ れ る柱 は4.0寸 角 と考 え ら れ る。 ヨ コ ピサ シ部 分 は改 造 さ れ て い る の で柱 サ イ ズ も多 少 異 な っ て い る が 、4.0寸 角 とす る の が 妥 当 で あ ろ う。 こ の よ う に考 え る と、 オ エ の 奥 行 寸 法 は4.0寸 角 柱 の 真 々13.0尺 と い う 明 確 な 寸 法 体 系 が 見 え て く る。振 り返 っ て 、 こ の事 実 を ロ ッ ポ ンバ シ ラ に適 用 す る と、 まち ま ち な 太 さ を もつ ロ ッポ ンバ シ ラ も 内面 通 しの4.0寸 角 柱 と考 え て(仮 想 して)柱 間寸 法 を 決 定 した こ と に な る。 実 際 、 ロ ッ ポ ンバ シ ラ の タ テ方 向 内 々 寸 法 の12.57尺 に仮 想 され た4.0寸 角 柱 の4.0寸 を加 え る と、12.97尺 に な り、 タ テ 方 向 柱 間寸 法 の13.0尺 に な る[図5]。 以 上 の よ う に、 ロ ッ ポ ンバ シ ラ に よ って 構 成 され る ワ ク ノ ウチ を架構 す る に際 して、 す で に ヨ コ ピサ シの 柱 が 想 定 さ れ て い る とい う こ とは 、両 者 が 一 体 的 ・同 時 的 に計 画 され て い る とい う こ とで あ る 。 ワ ク ノ ウチ ヅ ク リ の成 立 は 、 ま た 同 時 に ヨ コ ピサ シ の 成 立 を も意 味 して い る 。 次 に 、② の サ シ モ ン の 長 さ につ い て は[図6]に 示 す よ う に 、 相 対 す る2本 の ロ ッポ ンバ シ ラ に渡 され るサ シ モ ンの 仕 口 は 、 打 抜 き柄 差 しの 端 栓(ハ ナ セ ン)止 め で あ るが 、 柄(ホ ゾ)の 加 工 に 当 って サ シ モ ンが 柱 に2.0寸 程 度 噛 み 込 み 小 壁(ド ウヌ キ と ア マ バ リの 問 の壁)に 接 す る よ 一50一
(註)小 壁 の チ リ(散 り)は オ 工 側 で は す べ て2.⑪ 寸 で あ る が.反 対 側 で は 柱 の 見 込 み 幅 に よ っ て 異 動 す るゆ..1二園 は高 口隊 の カ ミ ダ イ コ ク柱(見 込 み 幅1呂0且皿、6,0寸)の 場 合 を図 示 して い る.
うに す る。 こ れ は サ シ モ ン の小 口(コ グチ:切 り口)が 見 え な い た め の 配 慮 で あ る 。 噛 み込 み の 2.0寸 分 は 小 壁 の チ リ(散 り)で もあ る 。 サ シ モ ンの 両 端 に2.0寸 分 、 都 合4 .0寸 分 を見 込 む と、 や は り先 の4.0寸 角 の 柱 の4.0寸 分 を仮 想 す る の と同 じ結 果 に な り、 サ シ モ ン の丸 太 部 分 の 長 さは 13.0尺 に な る。 こ の13,0尺 は小 壁 の 内 々 寸 法 に も当 た り、 小 壁 に つ い て い え ば13 ,0尺 の内法制 と い う こ と にな る。 っ つ い て(3)の板 戸 との 関係 で あ る が 、 オ エ の正 面 や ニ ワ側 に入 る板 戸 は 、上 の小 壁 の直下 に く る と考 え て よい 。 す な わ ち 、板 戸 も内法13.0尺 とな る の で あ る 。 高 田家 の 場 合 は ニ ワ側 に も板 戸 が 入 っ て い る が 、 本 来 ニ ワ側 に は板 戸 が入 らず オ エ とニ ワ は吹 き放 しに な る。 そ の た め 、 板 戸 の 内 法 制 は どの家 に つ い て もい え る こ とで は な い が 、小 壁 につ い て は内 法 制 が い え る 。 この よ う に 、小 壁 や 板 戸 、 さ ら に は ヨ コ ピサ シ の上 手 、下手 の壁 等が面(メ ン)と して13.0尺 の 内 法 制 に な る の は 、 も とは ロ ッポ ンバ シ ラ の 内 面(ウ チ ヅ ラ)を 通 す こ と に起 因 して い る 。 真 々 制 か ら内 法 制 へ の移 行 過 程 が うか が え る と こ ろで あ る 。 9ワ ク ノ ウ チ の 寸 法 体 系 以 上 に よ っ て ワ ク ノ ウ チ の タ テ(桁 行)方 向 の 寸 法 は、4.0寸 角 の 仮 想 柱 の 真 々13 .0尺 、 これ は 同 時 に面(小 壁 、 板 戸 の 面)の 内 々(内 法)寸 法 で もあ っ た。 そ して 、 ロ ッポ ンバ シ ラ の 内 々 寸 法 は12.6尺 で あ っ た 。 当 時 加 賀 地 方 で は土 屋 又 三 郎 『耕 稼 春 秋 』(宝 永4(1707)年)に 記 され て い る よ う に、 太 閤検 地 に よ る1.0間(6.3尺)が 使 用 さ れ て い た。 ロ ッ ポ ンバ シ ラ の タテ 方 向 寸 法 の12.6尺 は太 閤 検 地 の2.0問(12.6尺)を 採 用 して い た の で は な い か とい う こ とに も な る 。 しか し、 これ は本 末 転 倒 で 太 閤検 地 の6.3尺 そ の も の が 中世 の 柱 真 々6.5尺2.0間(13.0尺)か ら柱 の4.0寸 を 引 い て2で 割 っ た1.0問(6.3尺)で あ る か ら、結 果 と し て は 太 閤 検 地 の1 .0間 (6.3尺)に な って い る が 、 こ の6.3尺 問 は 内 法 制(高 田家 で は ロ ッポ ンバ シ ラ の 内 面 通 し)を 採 用 した場 合 に必 然 的 に生 ず る建 築 的 帰 結 な の で あ る。 した が って 、重 要 な の は柱 真 々寸 法13.0尺 と4.0寸 角 柱 で あ る。 こ う して ワ ク ノ ウチ の 寸 法 は ヨ コ方 向柱 間 真 々2.0間(14 .0尺)、 タテ方 向柱 間真 々13.0と な る。 タ テ 方 向 に 柱 間1.0問 の 概 念 を導 入 す れ ば 、 そ の 場 合 の柱 問1 .0間 は真 々6.5尺 とな る。す な わ ち 、 ワ ク ノ ウ チ の 寸 法体 系 は ヨ コ7.0尺 問 、 タテ6.5尺 間 の2通 りの寸 法 体 系 が 使 用 さ れ て お り、 6.3尺 内 法 制 へ の き ざ し もみ えい る 。1.0間 の 実 長 平 安 時 代 の7.0尺 、鎌 倉 時代 の6 .5尺 、桃 山 時 代 の 内 法 制 へ の 移 行 過程 に現 わ れ る6.3尺 に対 応 させ る と、 高 田家 の ワ ク ノ ウ チ は ヨ コ方 向 の 7.0尺 、 タテ 方 向 の6,5尺 、 タ テ方 向 内 々 の6。3尺 と各 時代 の 寸 法 体 系 が 共 存 して い る の で あ る 。 近 世 中期 の建 築 と され る 高 田家 の ワ ク ノ ウチ は 、 目 に見 え な い が 寸 法体 系 とい う ソ フ トな工 法 シ ス テ ム の 中 に 過 去 の歴 史 を秘 め て い る。 否 、 そ れ は ワ ク ノ ウチ の成 立 過程 、 す な わ ち オ エ の 発
生 過 程 と関 連 して い る 。 オエ の ヨ コ方 向(間 口方 向)寸 法 は古 代 、 タ テ 方 向(奥 行 方 向)寸 法 は 中世 あ るい は 中世 末 の様 相 を と どめ て お り、 オ エ の 発 生 か ら発 展 過 程 に お い て各 時 代 の寸 法 体 系 が 取 り入 れ ら れ た の で あ っ た。 ワ ク ノ ウ チ の寸 法体 系 で い ま一 つ採 り上 げ て お か ね ば な ら ない の は 、 イ ロ リの 位 置 で あ る。 ワ 、 ク ノ ウチ は構 造 的 に も生 活 的 に も全 住 空 間 の 中核 を成 して い るが 、 この ワ ク ノ ウチ の 中 の 中心 的 存 在 が イ ロ リで あ る 。 イ ロ リは ワ ク ノ ウ チ ひ い て は オ エ の 生 活 空 間秩 序 を実 現 す る重 要 な位 置 に あ る 。 高 田家 の ワ ク ノ ウチ に お け る イ ロ リの 位 置 は[図7]に 示 す 通 りで あ る 。 [図7]ワ クノ ウ チ とイ ロ リの位 置 関 係 真 々14.0尺
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く左 び さ し の7.5尺 、 ワ ク ノ ウ チ の14.0尺 、 右 ピサ シ の7.0尺 、 計28.5尺 と一 致 す る 。 しか し 、 問 題 の 左 ピ サ シ7.5尺 の0.5尺 分 が ど こ か ら生 じ た の か は 解 決 さ れ て い な い 。 そ れ を 解 決 す る た め に は2つ の 手 続 き を ふ ま ね ば な ら な い 。 そ の 第1の 手 続 き は 、[図8]に お い て 右 方(エ ン の 方)か ら エ ン4.5尺 、 ブ ツ マ12.0尺 を と り、 次 に ナ ン ド12.0尺 を と る た め に は 左 ピ サ シ を7.5尺 と し な け れ ば な ら な い 。こ れ が 左 ピ サ シ7 .5尺 の 由 来 で あ る 。ブ ツ マ の 幅 を12. o尺(2.o問)に す る の は 当 地 の 慣 行 で あ る か ら 是 と す る と し て 、 エ ン が な ぜ4.5尺 に な っ て い る の か と い う 問 題 が 残 る 。 エ ン の 幅 に は3.0尺 、4 .0尺 、6.0尺 な ど さ ま ざ ま な 寸 法 が あ り う る が 、 ま さ に4.5尺 に さ れ て い る 理 由 は 奈 辺 に あ る の か 。 そ こ で 第2の 手 続 き が 必 要 に な る 。 第2の 手 続 き と は 、 ブ ッ マ と オエ の ロ ッ ポ ンバ シ ラ との 関 係 を み る こ と で あ る 。 ブ ツ マ と オ エ の 境 に は2本 の ロ ッ ポ ン バ シ ラ が 位 置 し 、 こ の 柱 問 真 々7.0尺 の 柱 を ち ょ う ど ブ ツ マ の 中 央 に く る よ う に す る と 、 両 側 に2,5尺 の 同 寸 法 の 脇(ワ キ)が で き る 。 ブ ツ マ に お け る 出 入 口 部 分 の 対 称 性 を え る た め の 処 置 で あ る 。 す な わ ち 、 右 ピ サ シ7.0尺 か ら ブ ツ マ の 脇(右 脇)2.5尺 を 引 い た 残 り4.5尺 が エ ン 幅 と な る 。 こ れ が エ ン 幅4.5尺 の 由 来 で あ る 。 ナ ン ド ・ブ ツ マ ・エ ン の3つ の 空 間 は 、 以 上 の よ う な 方 法 論 に よ っ て 構 成 さ れ て い る が 、 そ の 際 の 特 色 は す べ て が6.0尺 間 を 使 用 し て い る こ と で あ る 。 先 の オ エ 部 分 で は ヨ コ 方 向 が7 .0尺 間 、 タ テ 方 向 が6,5尺 で あ っ た か ら 、 こ の2種 類 の 寸 法 体 系 に6.0尺 問 を 加 え る と 、 都 合3種 類 の 寸 法 体 系 が 共 存 す る こ と に な る 。 こ れ は 、 き わ め て 注 目 す べ き こ と で あ る 。 ナ ン ド ・ブ ッ マ ・エ ン の タ テ(桁 行)方 向 の 寸 法 も ヨ コ 方 向 と 同 じ6、0尺 問 が 使 用 さ れ て い る 。 タ テ 方 向 最 奥 の 柱 間 寸 法 が 3.0尺 よ り少 し長 く 間 延 び し て い る の は 、仏 壇 入 の 奥 行 を 内 法3.0尺 と し て い る た め で あ り 、6.0尺 間 に 変 り は な い 。 オ エ 背 面 の 空 間 が ナ ン ド ・ブ ツ マ ・エ ン の3つ の 空 間 に 分 割 さ れ 、 オ エ と 異 っ た 寸 法 体 系 に よ っ て こ れ ら が 構 成 さ れ る と 、 各 空 間 を仕 切 る 問 仕 切 健 具)は ロ ッ ポ ン バ シ ラ と柱 当 た り に な ら ず 、 ナ ン ド ・ブ ツ マ 境 の 戸 当 た りは 細 い 角 材(5.5cm×5.0㎝)で あ る 。 こ の よ う な 処 置 は 、 オ エ 背 後 の 空 間 が 後 代 に 新 し く分 割 さ れ た こ と を 示 す も の で あ り、 そ れ は 同 時 に 左 ピ サ シ の 幅 が7 .5 尺 に 改 造 さ れ た こ と を も 意 味 し て い る 。 最 後 に 背 面 ヨ コ(梁 行)方 向 の 柱 列 に つ い て ふ れ て お く。 こ の 柱 列 は 全 体 と し て28 .5尺 で オ エ 部 分 の ヨ コ 方 向 全 寸 法 と 同 じ で あ る が 、 個 々 の 柱 問 寸 法 に は か な りの 差 が あ る 。 も っ と も、 左 の 2柱 間 は左 ピ サ シ7.5尺 に 対 応 し、 右 の2柱 問 は 右 ピ サ シ の7 .0尺 に 対 応 す る 。 左 の2柱 間 の 真 々 寸 法 は7.55尺 で 左 ピ サ シ の7、5尺 に 一 致 し 、 右 の2柱 間 の 真 々 寸 法 は6.87尺 で 右 ピ サ シ の7 .0尺 に ほ ぼ 一 致 し て い る 。 残 る4柱 間 の 真 々 寸 法 は 、3.37尺 、3.74尺 、3.42尺 、3.54尺 で 最 大 と 最 小 の 問 に は3寸7分 (11.1cm)の 差 が あ る 。 ワ ク ノ ウ チ の ロ ッ ポ ンバ シ ラ の 精 度 に 比 べ る と 、 こ の あ た り の 柱 問 寸 法
は か な り粗 略 で あ る 。 しか し、4柱間 の 総 和 は14.07尺 と な り、 ワ ク ノ ウ チ の 幅(ロ ッポ ンバ シ ラ 上 手 の2柱 間:6.98尺 と7.03尺)14.01尺 と比 べ て も6分(1.8cm)の 差 で あ る。7.0尺 間 の 使 い 方 と して は か な りの 精 度 とい え よ う。 抑 え るべ き寸 法 は 抑 えて あ る 。 ワ ク ノ ウ チ に対 応 す る この4柱 問 の 平 均 値 は3.52尺 で 、 こ れ は明 ら か に7.0尺 間 の 半 間 に 当 た る。 左 ピサ シ と右 ピ サ シ に対 応 す る 部 分 も7.0尺 間 に よ って い る。 した が っ て ナ ン ド ・ブ ツ マ ・ エ ン の部 分 は、 ヨ コ方 向 に つ い て は 、 も と は7.0尺 間 で あ っ た が 、 室 分 割 に際 して は6.0尺 間 に よ っ て い る とい う こ と に な る。 タ テ 方 向 は 終 始6.0尺 間 で あ る 。 オエ が7.0尺 間(古 代 的)と6.5尺 問(中 世 的)の 共 存 状 況 を示 して い た の に対 し て 、 オ エ 背 後 の ナ ン ド ・ブ ツ マ ・エ ン は7.0尺 間 (古代 的)と6.0尺 間(近 世 的)が 混 在 して い る。 11ニ ワ 、 ソ トニ ワ 部 分 の 寸 法 体 系 オ エ 背 後 の ナ ン ド ・ブ ツ マ ・エ ン部 分 の 空 間 分 割 に際 して は 、前 項 で 述 べ た よ うに タ テ(桁 行) 方 向 、 ヨ コ(梁 行)方 向 共 に6.0尺 間 が 使 用 され て い た。 そ れ で は 、 オ エ 全 面 の ニ ワ(ド マ)部 分 、 さ らに そ の 外 の ヒ サ シ 下 の ソ トニ ワ部 分 の寸 法体 系 は どの よ う に扱 わ れ て い る か 。 ニ ワ 、 ソ トニ ワ部 分 の 寸 法 を[図9]に 示 す 。 ニ ワ 部 分 ヨ コ方 向 寸 法 は 、 オエ の 全 幅28.5尺(左 ピサ シ7.5尺 、 ワ ク ノ ウ チ14.0尺 、右 ピ サ シ 7.0尺 の 合 計)に1.0尺 分 が 追 加 され て い る。 こ の1.0尺 分 は ウマ ヤ を内 化 し た(屋 内 に組 み 込 ん だ)時 に 増 加 した分 で あ る。 ウ マ ヤ は右 ピサ シの 下 に造 られ て い る が 、 右 ピサ シの 幅 は も と も と 7。0尺で あ り、 そ こへ8.0尺 幅 の ウ マ ヤ を造 る と1.0尺 分 を外 に 突 き 出 さね ば な らな い 。 ウ マ ヤ を ウ チ ウ マ ヤ(内 馬 屋)に す る に 際 して は 、 これ を あ くまで ヒサ シの 下 に納 め モ ヤ の 中 へ入 ら ない よ う に して い る 。 これ は ウ マ ヤ の 柱 列(右 方 タ テ通 りの 柱 列)と 上 部 の サ シモ ン との 関係 か ら くる と考 え ら れ る が 、 機 能 的 にみ て もウ マ ヤ の よ うな 畜 舎 が モ ヤ に喰 い込 む こ とは避 け た い で あ ろ う。 そ の 意 味 で は 、 ソ トウ マ ヤ(外 馬屋)を ウ チ ウマ ヤ にす る こ とは 一種 の 内化 で あ る が 、 住 空 間 と して は ヒサ シ部 分 に外 化 して い る の で あ る 。 つ ま り、 オ モ ヤへ は 内 化 して い るが モ ヤ か らは外 化 され て い る の で あ る 。 ウ マ ヤ の 幅8,0尺 に 対 して タ テ 方 向 の 長 さ は9.0尺 で あ る。9.0尺 は6.0尺 間 の1.5間 で あ る。 ニ ワの タ テ 方 向 の 長 さ は全 体 で12.0尺(6.0尺 間 の2.0間)で あ る か ら、 ウ マ ヤ の8.0尺 を引 い た残 り 3.0尺 が 物 置 に され て い る 。 した が っ て 、 ウ マ ヤ の 面 積 は8.0尺 ×9.0尺 で ち ょ う ど2.0坪(6.6㎡) に な る 。 こ の あ た りは 、 現 行 の6.0尺 間(1.0間=1.818m)で 換 算 す る こ とが で き る 。 以 上 の よ う に 、 ウマ ヤ は右 ピサ シ の 下 に1.0尺 分 突 き出 して 造 られ て い るが 、 反 対 側 の 左 ピサ シ の下 に は ナ ガ シ(流 し)が 設 け られ て い る 。 ナ ガ シ の 幅 は5.2尺 と2.0寸 の 端 数 が つ くが 、 これ は柱 真 々の 寸 法 で あ るか ら実 質 的 な 内 々 寸 法 は5.0尺 と考 え て よ い で あ ろ う。 タ テ 方 向 の 長 さ は 一58一
12.0尺(6.0尺 問 の2.0問)で あ る 。 ナ ガ シ の 面 積 は5.2尺 ×12.0尺 と な り 、1,73坪(5.7㎡)で あ る 。 畳 数(1.0畳=3.0尺 ×6.0尺 と し て)で い え ば3.5畳 で あ る 。 今 日 の マ ン シ ョ ン に よ くみ ら れ る 小 型 台 所 と 同 じ く ら い の 規 模 で あ る 。 ニ ワ 部 分 は 以 上 の よ う に6,0尺 間 が 使 用 さ れ て お り 、 い か に も近 代 的 で あ る 。 ヨ コ 方 向 は オ エ 部 分 の 影 響 で7.0尺 間 の 使 用 が 部 分 的 に み とめ ら れ る が 、 他 は す べ て6.0尺 間 で あ る 。 出 入 口 部 分 (ニ ワ と ソ トニ ワ の 境)の3本 の 柱 は ロ ッ ポ ン バ シ ラ と 対 応 す る の で 、 自 ず か ら7.0尺 間 に な っ て い る が 、 他 は す べ て6.0尺 間 で そ れ は ソ トニ ワ 部 分 に も及 ん で い る 。 ソ トニ ワ 部 分 の ヨ コ 方 向 寸 法 は 、 モ ミ オ キ6.0尺 、 ゲ ン カ13,0尺 、 カ コ イ ビ サ シ7.0尺(5.0尺 と2.0尺)、 大 便 所3.5尺 で 合 計29.5尺 で あ る 。 ま た 、 タ テ 方 向 寸 法 は 上 部 の ヒ サ シ の 出 と の 関 係 か らモ ミ オ キ4,7尺 、 カ コ イ ビ サ シ5.1尺(1.6尺 と3.5尺)と 寸 単 位 の 端 数 が み ら れ る が 、 モ ミ オ キ の ヨ コ 方 向 が6.0尺 と さ れ て お り、 ま た 大 便 所 の3.5尺 も3.0尺(0.5問)に5.0寸 の 余 裕 を も た せ た と考 え る と6.0尺 間 の 使 用 が 分 明 す る 。 な お 、 こ こ で 高 田 家 の ヨ コ(梁 行)方 向 へ の 拡 幅 に 際 し て 屋 根 の サ ス 幅 も拡 幅 さ れ て い る こ と を 附 記 し て お く[図10]。 当 家 に お い て も 、 屋 根 架 構 は 伝 統 的 な 平 行 サ ス 構 法 を 使 用 し て い る が 、 拡 幅 に 際 し て 右 方 の サ ス 尻 を2.5尺 分 外 へ(右 へ)ず ら せ て い る 。 住 空 間 の 拡 幅 に 際 し 大 屋 根 の サ ス 組 の 幅 を 変 更 し た 事 例 で あ る 。 -60一
[図10]高 田 家 の ヨ コ(梁 行)断 面
123寸 法 体 系 の 共 存 以 上5項 に わ た っ て高 田 家 の 寸 法 体 系 を み て きた が 、 結 論 的 に い え ば7.0尺 間 、6.5尺 間 、6.0 尺 間 の3種 の 寸 法 体 系 が 共 存 して い た 。 同一 の家 屋 を建 設 す る に際 して 本 来 な ら こ の よ う に わず らわ しい こ とはお こ な わ な い 。 しか し、 こ の よ う に考 え る の も実 は現 代 的 思 考 で あ り、 各 種 の 寸 法 体 系 の 共 存 す る こ とが 高 田家 の歴 史 性 を証 して い る とい え よ う。 以 下 に そ の 歴 史 性 を要 約 して お こ う。 (1)古 代 的7.0尺 問(古 法) 柱 間 を真 々7.0尺 とす る古 法 が ワ ク ノ ウチ ・ロ ッ ポ ンバ シ ラ の ヨ コ(梁 行)方 向 に み られ た 。 ロ ッポ ンバ シ ラ に よ っ て 囲 ま れ る 空 間 は オ エ の 中 心 部 で あ り、 歴 史 的 に み る と原 オ エ と い え る空 間 で あ る。 真 々7.0尺 の 柱 間 が2柱 間 で 都 合14.0尺 が 原 オ エ の 幅 で あ り、 両 側 に ヒ サ シつ く以 前 の ス ヤ(素 屋)の 間 口(梁 行)長 さで あ る。 元 禄 期(1688∼1703年)の 『加 賀 農 耕 風 俗 図絵 』 に多 くみ られ た ス ヤ ダ テ の 間 口 長 さ柱 間2.0間 に 当 た る もの で あ る。 高 田 家 は 近 世 中期 の 建 物 と され て い る か ら、 そ の 頃 に は ま だ古 代 的 な7.0尺 間 が 加 賀 地 方 で は使 用 され て い た と考 え られ る 。 ヒサ シ 部 分 も ヨコ方 向 は こ の古 法 に習 って い る 。 (2)中 世 的 な6.5尺 間(古 新 法) 7.0尺 問 の使 用 は ワ ク ノ ウチ の ヨ コ方 向 で あ っ た が 、 タ テ(桁 行)方 向 は 中世 的 な6.5尺 間 が 使 用 され て い た 。 しか し、 こ れ は4.0寸 角 の 柱 を 使 用 した 場 合 の話 で あ り、 高 田 家 の よ う に ロ ッポ ンバ シ ラ の サ イズ が 異 る場 合 に は オ エ に対 して 各 柱 を 内 面 通 し(ウ チ ヅ ラ ドウ シ) と して 、 あ た か も4.0寸 角 の 柱 が 立 っ て い る か の よ う に仮 想 して6.5尺 間 を使 用 す る。 そ の 結 果 、 ワ ク ノ ウチ の タ テ 方 向 の 長 さは 柱 間2.0問 の13.0尺 と な っ た。 ロ ッポ ンバ シ ラ の 内 々寸 法 は 、 そ の 結 果 と して 太 閤検 地 に使 用 され た6.3尺 問 に な っ て い る 。 (3)近 代 的 な6.0尺 間(新 法) オ エ 以 外 の部 分 で は タテ方 向 、ヨ コ方 向共 に6.0尺 問 を使 用 して い た。オ エ背 後 の ナ ン ド ・ ブ ツ マ ・エ ン部 分 、 オエ 前 面 の ニ ワ ・ソ トニ ワ(前 ピサ シ)部 分 す べ て が6.0尺 間 で あ っ た 。 オ エ 背 後 の室 分 割 はお そ ら く近 世 後 期 か ら近 代 にか け て お こ な わ れ た もの で あ り、前 面 の ニ ワ は も と は別 棟 の ドマ 棟(コ ナ シ ヤ)が モ ヤ に 合 体 し て発 生 す る もの で あ る。 『耕 稼 春 秋 』 (宝 永4(1707)年)に そ の ドマ棟 を コ ナ シ ヤ(熟 し屋)と 呼 ぶ こ とが 記 され てい た 。 近 世 後 期 の 所 産 で あ る オエ 背 面 の 諸 室 や ニ ワ は新 しい6.0尺 間 を使 用 して い る ので あ る。 以 上 の よ う に 、 高 田家 の各 室 は異 な っ た寸 法 体 系 に よ って 構 成 され て お り、 そ れ ぞ れ の室 の成 立 時 期 に対 応 す る 寸 法 体 系 が 使 用 され て い る と考 え られ る。 もっ と も初 期 に成 立 す る オエ は、 古 代 の単 室 住 居 に使 用 さ れ た7.0尺 間 を伝 承 して お り、 そ の7.0尺 間 は と くに オ エ の ワ ク ノ ウチ の ヨ コ(梁 行 、 間 口)方 向 に残 っ て い る。 タ テ(桁 行 、奥 行)方 向 に は 中世 の6.5尺 問 が 伝 承 さ れ て 一62一
い る が 、 この 時 期 は タ テ屋 造 の タ テ(奥 行)方 向 へ の 延 伸 が 活 発 化 す る時 期 で あ り、 そ の 動 向 が 6.5尺 問 に 残 って い る もの と 考 え られ る 。 次 の6,0尺 問 は もっ と も新 しい近 世 の 所 産 で あ り、前 面 に ドマ(ニ ワ)や ピサ シ の 附 加 、 ナ ン ド ・ブ ツマ の2室 の増 殻 、 さ ら にエ ンの 附 設 な ど はす べ て この 近 世 の6.O尺 闘 に よっ て い るφ 3寸 法 体 系 の 共 存 は 、 い わ ば 住 空 間 の歴 史 が 重 層 した 結 果 で あ 尋,、その 意 味 で も当 高 田 家 の 価 値 は 高 い 。 しか し、 異 な る寸 曲 体 系 の 共 春 は 、 と き に不 整 合 な結 果 を も た ちせ る。 そ の 顕 箸 な現 象1まオエ と そ の背 景 の ナ ン ド ・ブ ッマ の 取 り合 い で あ る。 す な わ ち 、 ナ ン ド ・ブ ツマ 堺 の 問 仕 切 が オ エ の 柱 に柱 当 た りに な らな い こ とで あ る 。 逆 にい え ぱ 、 そ の よ う な現 激 は ナ ン ド ・ブ ッマ 部 分 が オエ よ り後 に成 立 し、 追 加 され た こ とを 示 して い る。 ドマ(ニ ワ)も 同様 で あ る 。