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つまずき研究の展望

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Academic year: 2021

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−13− スポーツの実施は、心身の健康を維持・促進 し、課題に挑戦することによって自己実現をもた らし、生涯に渡る楽しみや生きがいになるなど、 私たちに多くの恩恵を与えてくれる。その反面、 スポーツ活動の中で、技能が上達しなくなった り、やる気が持続せず競技からドロップアウトし てしまったり、学業と運動部活動の両立に悩んだ りと「うまくいかない経験」を有する者は多い。 このようなスポーツ場面におけるうまく行かない 経験を「つまずき」と総称し、スポーツ活動に従 事する学生の支援や指導者の養成に役立てること を目的とした研究が、ジュニアスポーツ教育学科 の教員を中心に始まっている。 「つまずき」研究の大きな特徴は、これまで個 別に検討されてきた事象を包括的に見直し、その 支援方法を考えようとしている点である。従来 は、技能の伸び悩みはスランプとして、競技継続 に関わる意欲の問題はモチベーションや燃え尽き 症候群として、スポーツ選手が抱える種々の悩み は競技ストレスとして研究がなされてきた。しか し、実際にスポーツ活動をしている学生の悩みを 聴いていると、相談のきっかけになった問題の裏 にその他の問題を同時に抱えており、複雑な様相 を呈していることが多い(図1)。例えば、部活動 に対する悩みを訴えてきたケースで、克服すべき 課題がスポーツ環境の中だけでなく、本人の精神 的な成熟の程度や家族との関係とも絡み合ってお り、結果としてスポーツ活動からの離脱だけでな く大学生活そのものへの不適応を引き起こすなど である。このようなケースの場合、影響は部活動 場面に留まらないため、部活動指導者だけでは対 処不可能である。逆に、専門家による支援の際に も、スポーツ場面の特性やアスリート特有の背景 への理解が乏しければ適切な対処ができないだろ う。したがって、スポーツ場面における「つまず き」を理解し、学生を支援していくためには、幅

つまずき研究の展望

葦 原 摩耶子

神戸親和女子大学 発達教育学部 ジュニアスポーツ教育学科 准教授 図1.想定されるアスリートを取り巻くつまずきとその関連要因 ・技能面の不調(スランプ,イップスなど) ・心理面の不調(競技ストレス,バーンアウトなど) ・身体面の不調(スポーツ傷害・疾病など) ・学業成績不振 ・キャリア支援 ・対人関係 ・競技レベル ・パーソナリティ特性 ・精神的な未熟さ(アイデンティティ,  レジリエンスなど) 〈スポーツ場面でのつまずき要因〉 〈日常生活場面でのつまずき要因〉 〈つまずきに影響する個人内要因〉 D11270_71002675_葦原摩耶子.indd 13 2019/06/05 22:44:21

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−14− 広い視点から行われた研究を統合し、総合的にア プローチしていくことが有効と考えられ、多分野 の研究者による学際的な研究が必要であるといえ る。 このような背景から「つまずき」研究は、神戸 親和女子大学学習教育総合センターにおいて、「学 内の共同研究環境の活性化」に関する研究チーム の取り組みとして採用されている。現在、ジュニ アスポーツ教育学科のスポーツ心理学を専門とす る教員2名を中心に研究が開始され、「スランプ対 処・予防のためのスランプエピソードの分析」と 「既に習得した技能が新しい運動技能習得に及ぼ す影響」の2つの視点から検証が進められてい る。まずはこの2課題を足がかりに新しい視点で 「つまずき」を捉える意義を示し、学生アスリー トを取り巻く諸課題を整理するとともに、今後は 学科を問わず複数の専門性を持つ教員がチームを 組み支援するための枠組み作りに発展させること が望まれる。そして、大学教員の研究成果が学生 の教育、および課外活動に還元されることによっ て、充実した学生生活を支えるだけでなく、次世 代のスポーツ指導者の育成につながっていくこと が期待される。 D11270_71002675_葦原摩耶子.indd 14 2019/06/05 22:44:21

参照

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