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地域活動への参加要因に関する試論--調査結果に基づいて

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Academic year: 2021

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地域活動への参加要因に関する試論

―調査結果に基づいて― 石塚 優 はじめに 1 活動参加意識 2 居住地域での行事への参加と近所の人との関係 3 居住地域での行事への参加と相互の手助け 4 参加している団体と友人・知人の所在――仲間づくり 5 友人・知人や仲間の所在と地域での活動の関係 6 インフォーマル・グループづくりと地域で活動する人材育成事業の効果 まとめにかえて <要旨> 高齢者が地域で普通に生活できる条件を整えるためには、古典的コミュニティの機能を期待できな い今日では、住民が居住している地域で活動することが重要と考える。そこで地域活動への参加の要 因について間接的資料を用いて検討した結果、地域の伝統的行事や祭り等の催しに参加し、社会関係 を広げること、友人や仲間を地域内に作ることが重要である。これらのインフォーマル・グループの 存在が居住している地域での活動には重要であると推測できる。 <キーワード> フォーマル、インフォーマル、地域の行事への参加、仲間、養成事業 はじめに 地域活動にはフォーマルな行政主導的活動とインフォーマルな住民参加型の活動があるが、北九州 市の場合、前者は市民センター(130ヶ所)を活動拠点とする「まちづくり協議会」がある。これを中 核的に構成するは町内会・自治会連合会、校(地)区社会福祉協議会、老人クラブであり、さらに20以 上の団体が参加する「まちづくり協議会」がある(2006年「市民センター館長」調査より)。一方、イ ンフォーマルといえば、近所の人との付き合いの中で生まれる相互の支援や住民の自主的活動団体と 考えやすいが、インフォーマル・グループはフォーマルな団体の中にも存在し、その志向性やまとま りがフォーマルな団体の機能や活動に大きく関わりがある。つまり、フォーマル・グループの中で構 成されるインフォーマル・グループの特性がフォーマル・グループでは重要な位置を占めているとい うことである。フォーマルやインフォーマルという大きな分け方ではなく、パブリック、コマーシャ ル、コミューナル、プライベートと分類することもできる。行政、企業、NPO、個人(自主的活動団体) 等がこの分類に当てはまるであろうが、この観点から見れば、全てにインフォーマル・グループが存 在すると予測できる。つまり、地域活動団体では特にインフォーマル・グループの志向性が重要とい うことになる。例えば、市民センター館長調査によると「古紙回収」「自動販売機設置」「フリーマー

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25.1 28.1 11.9 11.3 6.6 33.7 38.7 21.9 34.8 40.3 38.5 41.7 12.6 8.7 11.2 11.9 7.9 9.9 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 地域の子育てを手助けする活動 地域の防犯活動 地域の観光振興の活動 地域の景観づくりの活動 障害を持った近所の人への支援活動 地域の公園清掃の活動 地域の環境保護の活動 自治会活動 地域のお祭り できれば取り組みたい 取り組みたい 関門共同研究16号より 図1 取り組んでみたい活動 ケット」等の事業により自主財源を確保する姿勢に大きな差が出ている。この結果に関する明確な資 料はないが、インフォーマルな部分での差とも見て取れる。 このように地域での活動に関してはインフォーマルな活動や志向性を確認することも必要であるが、 ここではそのような資料がないために、活動への参加意識や祭り等の伝統的行事への参加と社会関係 との関連性、友人・知人や仲間の所在と居住地域での活動参加の関連性等について検討した。仲間は インフォーマルな存在であり、この所在がどのような影響をもたらすのかは地域での活動参加の要因 として重要な視点と考える。 1 活動参加意識 地域での活動への参加意識として、地域で取り組んでみたい活動に関する質問で得られた結果を 図1に示した。これによると「環境保全」「障害を持った近所の人への支援」「防犯」「公園清掃」「子 育てを手助け」に半数近い人が取り組んでみたいと回答している。取り組んでみたい活動であるから、 種々の事情により実際には活動に結び付かない方が多いと考えられるが、これが実際に活動に結び付 く要因として第一に考えられるのが一緒に活動するインフォーマルな仲間の存在である。 仲間づくりで考えつく方法は、多様な機会に集まりに参加することや同じ活動をすることであろう。 そこで、以下では地域の伝統的行事や催しへの参加による近所の人との付き合いに違いがあるかを確 認した。

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2 居住地域での行事への参加と近所の人との関係 第一に、居住地域での伝統行事や祭りへの参加により、近所の人との付き合いに違いがあるかを確 認したのが図2と3である。図2は近所の人と会話や挨拶を交わす頻度を示している。これによると 地域の伝統行事や祭りに参加している人の方が、参加の理由が好きで参加している人も役割で参加し ている人も参加しない人よりは近所の人との付き合いの頻度は多いことが分かる。 さらに、図3には地域の伝統行事や祭りへの参加の有無と近所の人との付き合いの内容の関連を示 しているが、これによると地域の伝統行事や祭りに参加している人の方が、参加の理由にかかわらず、 参加しない人よりは近所の人との付き合いは親密であることが分かる。参加していない人は挨拶や会 話は多いが浅い関係である。 関門共同研究18号より 図2 地域の行事への参加と近所の人との付き合いの頻度 41.9 46.6 30.8 23.8 27.4 38.7 41.4 38.1 29.8 32.9 9.7 3.4 14.5 15.9 13.4 8.6 14.2 27.3 19.5 3.2 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 好きで参加している 役割で参加している あまり参加していない 祭りや行事は参加していない 全体 ほとんど毎日 週に2回以上 月に1回以上 ほとんどない 77.4 70.7 80.6 74.2 48.4 41.4 32.5 28.0 29.0 13.8 11.8 8.9 25.8 19.0 15.2 10.2 22.6 8.6 19.4 27.6 9.7 5.5 6.9 12.1 8.7 15.6 2.8 1.5 12.9 3.4 4.2 0 50 100 150 200 好きで参加している 役割で参加している あまり参加していない 祭りや行事は参加していない 挨拶や立ち話をする程度 家事や些細な用事、相談 病気の時に助け合う   互いの家を行き来する 老人クラブ等で一緒に活動 趣味を一緒にする 宗教活動をともにする つき合いはない・その他・無回答 関門共同研究18号より 図3 地域の行事への参加と近所の人との付き合いの内容

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それでは、どのような経緯により、「役割で参加」することになったかを示しているのが図4の福祉 協力員への調査結果である。図4の通り、「当て職」「依頼・推薦」が大半を占めている。自ら進んで 役員や福祉協力員になっている訳ではない。その当て職の多さは校(地)区社会福祉協議会(以下、社 協)役員の兼務の多さに表れている(図5)。 このように自ら好んで役員等になった訳ではないが、そのために参加している地域の伝統的行事等 への参加を通して近所の人との交流を深めているとも解釈できる(もちろんPTA活動等を通して近 所の人との交流があるから役員を依頼されるという見方も成り立つ)。 このような調査結果は、始まりが子どもを通したPTA等の活動であるとしても、居住地域の伝統 的行事や祭りへ参加している人の方が、近所の人との関係も親密で、親密な人が多くなれば繋がりの 相乗効果で地域の活動にも多く参加している傾向を示唆している。ただし、周知の通り少子化の影響 08年 福祉協力員調査 図4 福祉協力員になるきっかけ 24.4 24.4 18.7 8.1 4.5 3.6 2.9 2.3 2.3 2.0 0 5 10 15 20 25 自治会で役についたから 自治会からの依頼・推薦で 校(地)区社協役員・福祉協力員から誘われて 民生委員からの依頼・推薦で 民生委員になったから 自薦で まちづくり協議会からの依頼・推薦で まちづくり協議会で役についたから 婦人会からの依頼・推薦で 老人クラブの友愛訪問活動をしていたから 08年 校(地)区社会福祉協議会役員調査 図5 社会福祉協議会役員の兼務する団体の役職 24.4 24.4 20.3 20.1 14.2 7.4 1.4 1.1 0 5 10 15 20 25 町内会・自治区会・自治委員協議会長 兼務していない 老人クラブ会員 まちづくり協議会理事 その他 民生委員児童委員 地区民児協会長(総務) 自治連合会会長

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3 居住地域での行事への参加と相互の手助け それでは、実際の手助けの有無に関しては、地域の伝統的行事や祭りへ参加している人と参加して いない人で違いがあるのであろうか。 前提として、地域の伝統的行事や祭りへ参加している人は近所の人との交流頻度も多いことが分か っている。図6は実際に行った相互の支援の有無である。これには近所の人との交流の多い方が「手 助けをした・してもらった」両者で多いことが示されている。 しかし、この結果には2点ほど留意する点がある。一つは図で示した「手助けをした・してもらっ た」のは回数ではなくて、「した・してもらった」の行為のみであることである。つまり、図に回数を 加味すると別の結果になる可能性がある。二つ目は手助けを必要とする事態は近所の人との交流頻度 や親密さとは関連がなく起こることである。交流が多い方が手助けを必要とする事態に遭う可能性は 高まるが、図6の結果はその可能性を示しているにすぎないということである。つまり、純粋にこの 結果から、交流の多い方が手助けをしたり、手助けしてもらう両者で多いとはいえず、結果が示唆し ていることは事態に遭遇する機会が多いという程度である。 33.4 9.9 60.7 51.8 41.4 28.0 11.0 20.5 14.3 12.4 8.6 3.4 62.6 86.1 34.2 41.1 56.6 67.7 86.5 74.4 76.8 85.5 90.3 93.2 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 手助けした全体 手助けしてもらった全体 [近所の人とのつきあい] ほとんど毎日 週に4、5回 週に2、3回 週に1回 ほとんどない 《手助けしてもらった》 [近所の人とのつきあい] ほとんど毎日 週に4、5回 週に2、3回 週に1回 ほとんどない 手助けした/してもらった しなかった/してもらわなかった 関門共同研究18号より作成 図6 近所の人とのつきあいの頻度と相互支援

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4 参加している団体と友人・知人の所在――仲間づくり 仲間づくりのもう一つの方法として趣味や学習を共にする活動等への参加である。これには多様な 活動団体があり、以下の図7には回答の少ない団体や活動はまとめて示した。 図によると「自治会・町内会」への参加・加入が最も集中して多いが、居住すれば自動的に加入す ることになるような自治会・町内会では加入率が低下しているともいえる。年齢別には図示していな いが年齢が低いほど加入していない。 これを近所の人との付き合いの頻度で見ると、頻度が高いほど団体に参加している人が多いことが 分かる。この近所の人との付き合いの頻度から、「自治会・町内会」以外の参加している活動や団体を 見ると、全てが近所の人との交流頻度が高い方が上回っている。「団体に参加していない・入っていな い」のみが近所の人との交流頻度が低い人に多いことが分かる(「自治会・町内会」に関しては加入し ているから近所の人との付き合いが多くなるとも言える)。 この結果は単純に近所の人との付き合いの頻度が高い方が趣味・学習等の団体への参加が多いこと を示しているのではなく、仲間の数の違いを示唆しているとも見ることができる。参加・加入が多い のは、「自治会・町内会」以外では「スポーツや趣味・学習活動」「同窓会」「宗教団体」である。「同 窓会」は若い年齢層で多く、年齢とともに一度は低下するが、60歳代以降に復活する傾向がある。「宗 教団体」は高齢者に多い等の特徴がある。ということはそこに仲間が存在することであり、インフォ ーマル・グループが存在することでもある。これらの仲間やインフォーマル・グループが何処に存在 するかにより、地域での活動が変わってくると推測できる。 74.6 32.4 12.7 11.0 12.1 23.1 9.8 13.9 27.2 18.5 6.4 56.0 25.7 5.3 3.2 9.5 19.2 9.3 5.5 11.5 11.0 21.3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 自治会・町内会 スポーツや趣味・学習 婦人会 老人クラブ PTA 同窓会 商工会等の同業者組合・労働組合 NPO・ボランティア団体 宗教団体(氏子・檀家含む)・頼母子講 消費者団体・生協 入っていない 週4回~毎日 ない~週3回 関門共同研究16号より作成 図7 参加している団体

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5 友人・知人や仲間の所在と地域での活動の関係 居住している地域での活動をフォーマルとインフォーマルに分けられるとすると、多くの人が参加 していると回答した町内会・自治連合会活動及び、まちづくり協議会や校(地)区社協等はフォーマル に近い。上述した通り、友人や仲間の活動はインフォーマルである。これらは明確に分かれている訳 ではなく、フォーマルな集団の中にインフォーマルな集団が存在することも多い。そのインフォーマ ルな集団の活力がフォーマルな集団の活動性を左右したりもする。友人・知人というインフォーマル・ グループが居住地域内に存在するか、居住地域の外に存在するか。つまり、個人が友人・知人や仲間 と何処でつながっているかに地域の活動が左右されるという報告もある。単に友人数が多いだけでは 地域での活動参加の促進にはならないが、友人・仲間が多くなれば、グループ活動を促進し、ネット ワークを拡大し、地域関与へと結びつく可能性がある。しかし、友人・知人や仲間は地域とは独立し た存在のために、その所在が居住地域の外にある場合、居住地域での活動には結びつかない。友人・ 知人や仲間の人数と、その所在は居住地域での活動の分かれ目となる。 表1には親密な人・仲間の人数を属性別に示した(ただし、最大人数が示すように、団体を構成する 人数を回答している場合もあり、これらをはずれ値として除外すると平均人数は少なくなる)。 この図から平均人数を見てみると、親戚は校区外に多い。近所の人は校区内・外でほとんど同じ人 数である。仕事関係の人は校区外に多い。趣味・学習活動では校区外に多い。 このように属性のほとんどが校区外に多く存在している。上述した通り、友人・仲間が多くなれば、 グループ活動を促進し、ネットワークを拡大し、地域活動へと結びつく可能性があるが、この結果を 見る限り、友人・知人や仲間は地域とは独立した存在のために、その所在が居住地域の外にある場合、 居住地域での活動には結びつかない状態であることを示唆している。友人・知人や仲間の人数と、そ の所在は居住地域での活動の分かれ目となるとすれば、居住地域での活動よりも、居住地域外での活 動になりやすいと予測される。 6 インフォーマル・グループづくりと地域で活動する人材育成事業の効果 リーダー養成のもとで中高齢市民が一定期間の研修を受けるシニアリーダー、地域リーダー、指導 者養成、高齢者リーダー、人材育成等の「高齢者人材育成事業」が47都道府県で推進されてきた。研 修を受講した人のその後の活動などの追跡的な資料がないために評価は不明である。しかし、間接的 な推測の域を出ないが、養成事業参加は居住地域のための活動を促進すると考えられる。例えば、養 成事業参加により友人・仲間が多くなれば、グループ活動を促進し、ネットワークを拡大し、地域活 動へと結びつく可能性があり、「町内会・自治会活動」「企業OB活動」「仲間同士のグループ活動」「行 政主催のグループ活動」を促進するという報告もある。養成事業未参加者ではインフォーマルな「親 しい友人」との活動にとどまるということである(金子、2006)。つまり、友人数が多いだけでは地域 での活動や関与への促進にはならないが、養成事業参加等により友人・仲間が多くなれば、グループ 活動を促進し、地域関与へと結びつく可能性があるというのである。 まとめにかえて 高齢者の主観的幸福感や生活満足度、サクセスフルエイジングは1980年代に盛んに語られ、これら の要因に関する調査研究が行われた。しかし、これらの研究から得られた知見は、健康・経済・社会 関係(家族との関係を中心とした、友人・知人、近隣との関係)という主観的幸福感や生活満足感を

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表1 属性別の親しい人や仲間の人数 平均人数 最頻値 最大人数 毎日~週4回 2.75 1 7 週1~3回程度 3.88 3 16 まったくない・無回答 3.17 1 8 校区内 全体 3.33 1 16 毎日~週4回 7.94 5 30 週1~3回程度 6.62 2 36 まったくない・無回答 5.55 2 30 親 戚 校区外 全体 6.71 2 36 毎日~週4回 7.40 2 37 週1~3回程度 11.91 1 450 まったくない・無回答 3.75 1 15 校区内 全体 8.47 1 450 毎日~週4回 7.93 5 30 週1~3回程度 10.55 1 300 まったくない・無回答 4.17 1 11 近 所 の 人 校区外 全体 8.40 1 300 毎日~週4回 5.75 3 30 週1~3回程度 2.70 1 6 まったくない・無回答 2.16 1 10 校区内 全体 3.68 1 30 毎日~週4回 6.93 1 50 週1~3回程度 5.46 2 80 まったくない・無回答 3.74 2 20 仕 事 関 係 の 人 校区外 全体 5.28 2 80 毎日~週4回 7.52 10 30 週1~3回程度 3.85 1 10 まったくない・無回答 4.83 2 19 校区内 全体 5.79 1 30 毎日~週4回 8.14 2 50 週1~3回程度 7.38 1 49 まったくない・無回答 4.46 2 20 趣 味 ・ 学 習 活 動 校区外 全体 6.69 2 50 阻害する要因であった。また、65歳以上を対象とする多くの調査は老年期の不安が「健康」「経済」に

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を得ている(最近では「家族関係」と並ぶほどに「社会保障」への不安が高まっている)が、これら の不安がまさに主観的幸福感を阻害する要因と一致している。しかし、この三者は必要条件であると いう指摘がある。つまりこれら三者は幸福には必ず必要な条件であるが、充足されても他の事態にも なる可能性もあり、幸福な老年期を実現するためには、さらに十分条件が必要だというのである。指 摘された十分条件とは「成熟したパーソナリティ」の獲得という、多くの人には難しい条件である(成 熟したパーソナリティは7つの特徴が示されている)。 幸福感や生活満足感の必要条件である高齢者の健康・経済を支えるための多様な公的制度の一つに 介護保険制度があるが、財政論的、資源配分論的観点からの制度には限界があるし、仮に高齢者の健 康・経済の条件が整い介護を必要としなくても、生活での障壁は多様に存在する。買い物や坂道・階 段、吹きさらしの道路、公共交通の課題、日常での些細な事が生活の支障になったりする。このよう な生活の支障は地域で普通に生活できるための条件を阻害することになるが、住民相互の支援により 充足できる事も多くある。古典的なコミュニティが存在しない今日、地域での活動が重要になる。そ のため、防災・防犯に加えて「生涯現役」「道具や他者の世話になりたくない」「自分時間を楽しむ」 という生活志向の強い高齢者が地域で普通に生活する条件を整えるのが地域活動の一つの機能といえ よう。地域で普通に生活できるための条件とは①地域や社会との関わりがある(孤立・蟄居ではない)、 ②自己決定(自分の生活道徳)の尊重とそのための支援がある、③生活環境や生活状況(冬季の積雪 等の地域特有の条件)に対応した取り組みがある、④地域の人々のものの考え方や結びつきを世代間 で継承・発展させようとする取り組みがある(冷水、2009)等の日常生活での選択肢のことである。 一方で地域での活動の人材やリーダー不足については良く聞く。上述した①地域の活動に参加する 意識の程度、②近所の人との関係、③高齢者の地域での生活の課題等は多くの調査結果がある。しか し、地域での活動でのインフォーマル・グループの機能についての調査研究は多くはない。この試論 でも周辺的調査資料に基づく検討に止まっているが、以上の検討結果から、地域への参加や関与の第 一歩は仲間づくりであり、同時に感性を磨くことであると考えられる。この仲間づくりや感性を磨く ことの第一歩は参加することや挨拶、ゴミを拾う等の小さなことから始まるのである。なお、社会関 係は単純ではないことから、一元的には明言できないが、友人や仲間(社会的ネットワーク)との接 触頻度の高さは脱地域を進め、地域関与意欲を低下させ、友人との密接な関係は友人自体が脱地域の 存在のため、親しくなれば、それだけ地域関与意欲を低下させる可能性がある。また、地域関与促進 の仲間・友人の規模はこれまでの検討では不明である。 この意味で、養成事業参加者の友人とのネットワークが親密であり、兄弟姉妹や家族との居住地域 が近く関係が親密であれば、地域関与は低下する可能性がある。必要なのは関心と情報、主体的関与、 生活や活動の満足感であるかも知れない。 それでは、個々人が多様なネットワークを持つにもかかわらず、コミュニティの再生や復権が唱え られるのはなぜか(コミュニティ理論や実態論は別として)。それは生活が複数のネットワークに分割 され、そのネットワーク間の連結が少ないことで、ある種の解放ではあるが、自分の所属する集団が どれなのかを単純に決められない状況にあり、生きる意味やアイデンティティが希薄なことである(バ リー.W,1979)。このためにコミュニティ再生等が希求される(福祉的観点からの近隣の助け合いも含 む)。しかも、かつて家族が持つとされた機能が共同体から更に外部化し専門分化した。代価を払えば 入手できる今日では、多様なネットワークは専門分化した多様な資源を入手するための有効な方法で ある(地域に頼る必要がない)。このため、郷愁的な感覚でコミュニティが論じられたりしても、古典

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的コミュニティの再生や復活に大多数の人は切迫した必要性を感じない。 生涯現役、道具や他者の世話になりたくない、自分時間を楽しむ志向性の強い高齢者の問題の一つ は地方における交通手段が車に偏っていることである。中心市街地は衰退し、日常的に食料・日用品 も車を必要とする。大多数の人は車利用可能であり、切迫した居住地域での相互支援の必要性を感じ ないが、不可能な人は健康・経済・家族関係が整っていても生活が困難になる。また、市町村合併は 周辺地域へのサービスを希薄にした。学校の統廃合、病院の統廃合等による住民サービスの低下があ る。 【資料として利用した調査結果の出所】 ① 関門共同研究16号 北九州市調査 06年11月実施 調査対象者698人、20~79歳(図4) ② 関門共同研究18号 同 09年2月実施 調査対象者 890人、65歳以上(図1) ③ 「地域づくりに関する調査研究報告書」北九州市立大学都市政策研究所、2009年3月 校(地)区社会福祉協議会役員調査 08年2月実施、154校(地)区社協中105社協対象 福祉協力員調査 08年2月実施 集計対象者30歳以上の443人の福祉協力員 ④ 「地域づくりに関する調査研究報告書」北九州市立大学都市政策研究所、2007年3月 市民センターの活動に関する調査研究 07年1~2月実施、128ヶ所中78市民センター館長から回答 【引用・参考文献】 金子 勇「社会調査からみた少子高齢社会」ミネルヴァ書房、2006、pp201-212 冷水 豊「フォーマルケアとインフォーマルケアの現状と今後の新たな関係」老年社会科学第31巻 第3号、2009.10、pp413-420 島田一男監修「近隣社会の人間関係」『講座:人間関係の心理第5巻』ブレーン出版、1988 バリー・ウェルマン「コミュニティ問題――イースト・ヨーク住民の親密なネットワーク」1979、 野沢慎司編・監訳『リーディングスネットワーク論』勁草書房、2006、p189

参照

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