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ラオスの子供図書館活動から -- 山の子どもたち、町の子どもたち (フォトエッセイ)

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Academic year: 2021

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全文

(1)

ラオスの子供図書館活動から -- 山の子どもたち、

町の子どもたち (フォトエッセイ)

著者

安井 清子

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

200

ページ

30-33

発行年

2012-05

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003975

(2)

  ラオスのシェンクワン県ノンヘート郡ゲオバ トゥ村というモン族の村で 、 村の人たちと一緒 に建物を建て 、 子ども図書館をはじめてから五 年たった 。 図書館を作る話が決まった時 、 元 々 文字を持っていないモン族の村 、 しかも電気も 通っていない山奥の村にいきなり建物を建て 、 図書をそろえて図書館を作っても 、 役に立たな い援助になってしまうのではないか ?と思っ た 。 せっかく 、 日本の個人の方々から貴重なお 金を頂いて作るのである 。 ちゃんと子どもたち に利用される図書館にしたい 、 という思いか ら 、 結局 、 村の人々と一緒に作業をして図書館 の建物を作り 、 その建設作業の傍ら 、 私自身が 、 ゴザを敷いて子どもたちに絵本を見せながらモ ン語でお話をしたり 、 おえかきをしたり 、 ﹁ 図 書館ができたら 、 こんなことをするんだよ ﹂と 、 身をもって示しながらやっていこうと 、 私とも う一人建設担当の日本人の二人が 、 約一年 、 村 に滞在した 。   当初 、 数カ月で出来上がると思っていた予想 は甘く 、 木を伐ってもらい材木をそろえるだけ で半年が過ぎた 。 ﹁ 土台に使う石をどこで買う の ? ﹂ と 聞けば 、 ﹁ 石なんて買う必要ない ﹂ と 村の人々が鉄棒で山の岩を割ってきて 、 さらに 石の塊をトンカチで割って小さな石ころにし た 。 森から木を伐りだし何日もかけて挽いた板 を 、 背負って何時間も歩いて運んでくる 。 時 間 がかかるとか 、 効率が悪いとかは関係ない 。 人 間の力でできることは自分でやればいい!とい

■ フォトエッセイ ■

ラオスの子供図書館活動から

―山の子どもたち、町の子どもたち

写真・文 

安 井 清 子

kiyoko Yasui ビエンチャンにある子ども文庫の前で。元気いっぱいだが、いろいろな事情を抱えた子どもたち(後列左端が筆者)

(3)

うモンの人々に 、 自分の常識をひっくり返され る思いがした 。 半年目の終わりになんとか棟上 げをして 、 茅葺きの屋根を葺いたところで 、 作 業は一時中断 。 雨季が始まると 、 みな農作業に 忙しいからである 。 再 度 、 二年目の乾季に作業 を始め 、 半年後にやっと図書館が完成した 。   現在 、 図書館は村の若者 3人がスタッフとし て 、 週三日平日に開いている 。 最 初 、 土日に開 こうと言うと 、 村の人に ﹁ 土日に子どもは来な いよ 。 みんな忙しいんだから ﹂ と言われた 。 休 みには 、 子どもたちも山の畑で農作業を手伝う から 、 村の中にいないのである 。 平日の開館日 には 、 小学校の昼休みや放課後 、 子どもたちが 大勢駆けこんできて 、 ﹁ この本読んで 、 あの本 読んで ﹂ ﹁ おえかきしたい ﹂ などなど 、 夢中に 小一時間過ごし 、 さっといなくなる 。 ある程度 の年齢になると 、 子どもたちは 、 水汲み 、 牛 や 水牛の世話 、 豚や鶏のえさやり 、 薪とり 、 飯 炊 きなど 、 任されている家の仕事をしなくてはい けないからだ 。 図書館にかごや天秤棒をかつい できて 、 少し道草をしてから 、 作業に行く子も いる 。 親は夕方遅くまで帰ってこないが 、 子 ど もたちは自分にまかされた役割をちゃんと認識 していて 、 いちいち指示されずともちゃんと やっているのには本当に感心する 。 それは 、 小 さい頃から 、 大人やお兄ちゃんお姉ちゃんの働 く姿を見て 、 一緒に水汲みに行き 、 畑に行き 、 見よう見まねで作業を覚え 、 少しずつ経験しな がら育ってきているなかで 、 自然に身について 木を挽く…爺さんの手伝いで、丸太から板を挽く少 年たち。小さい時から大人の作業を見ているから、 だんだんできるようになる。 村の人との共同作業で作った、村の図書館。 力いっぱい、トウモロコシ畑を耕す。 陸稲の稲刈り。土日、子どもたちも稲刈りのお手伝い。手伝いというよりも、 子どもの力なくては、とても作業は追いつかない。

(4)

きているものである 。 子どもたちは 、 日々の生 活のなかで 、 生きる力と知恵をその手足 、 身 体 に身につけながら育っている 。 小さい頃に実際 に経験することから身につく力は 、 一生もので ある 。 私 は 、 今 、 日本の子どもたちに一番欠け ていることは 、 こういうことだろうと思う 。 生 活を生きる中から実際に身体で学ぶこと 。 今 、 ラオスから私たちが見習うべきことは 、 こうい うことではないか 、 と山の村でよく思う 。   それでも 、 山の村にも図書館が必要だと思う わけは 、 今の子どもたちの将来は 、 村の中だけ には閉じていないからである 。 将 来 、 多くの子 どもたちは外に出て行かなくてはいけない 。 そ れに 、 現在は山の奥の村であろうと 、 経済活動 が入ってきている 。 外部と交渉なしの村のなか の自給自足の生活ではなくなってきている 。 そ んな社会変化の流れのなかで 、 ただ流されるの ではなく 、 自分で判断ができ 、 ちゃんと生きて いける人になってほしい 。 そのためには 、 子 ど もたちが心のなかでもいろいろな出会いや経験 を積み 、 より広い世界 、 知識に接し 、 心の基礎 を築いていくことが大切なのではないか 。 そ う 思って 、 山の村の図書館活動を応援している 。   私は 、 もう一カ所 、 ビエンチャンの自宅横で 、 小さな文庫を開いている 。 そこは古くからの村 落ではなく 、 ビエンチャンの近郊から職を求め て出て来て 、 安いお金で土地を借り 、 竹やトタ ン板でバラック小屋を作り住んでいる人たちが 多い場所である 。 屋台を引っ張っている人 、 竹 いつもお姉ちゃんと一緒。子守も子どもたちの役目。 藁 遊 ぶ …… 山 に ワ ラ を 取 り に 行った子どもたち。山の斜面は、 水がひけるところは棚田に、ひ けないところは陸稲を植える。 山は畑であり、そして子どもの 遊び場でもある。 水汲み…水汲みは子ど もたちの仕事だ。村の 水場から、天秤棒で何 往復もする。村の子ど も た ち は 小 さ い 時 か ら、 お 兄 ち ゃ ん お 姉 ちゃんのやることなす ことを見て育つ。

(5)

かごを編んでいる人 、 土木労働者 、 ま た 、 なか には無職で麻薬中毒患者も多い 。 いい環境では ない 。 しかも 、 地価が高騰しているなか 、 い つ まで住んでいられるかもわからない不安定な状 況である 。 そんな環境のなかにいる子どもたち が 、 自由に遊びに来られる子どもの場所となれ ばいいと思い 、 文庫を開いている 。 土日には子 どもたちが来て 、 一日中遊んでいる 。 本を借り て行く子もいるが 、 ここの文庫は ﹁ 居場所 ﹂ と しての役割の方が強いかもしれない 。 きっと 、 家に居場所がない子どもたちも多いのである 。 中学に入っても経済的理由からやめてしまう子 どももいる 。 今 、 どんどん発展しはじめている ようにみえるビエンチャンで 、 どう這い上がろ うにも這い上がれない環境にいる子どもたちも いる 。 そんな子どもたちが 、 少しでも夢と希望 を持って 、 自分の人生を生きるようになるには どうしたらいいのだろう?   いったい私たちは 図書館活動のなかで何ができるのだろう?と悩 みながらやっている 。   ラオスの子どもたちが 、 今の急激な社会変化 のなかで 、﹁ 生きる力 ﹂ を失わずに 、 自己をしっ かりもち 、 人生を切り開いてしっかり生きてほ しいと願うばかりである 。 やすい きよこ/ ラオス山の子ども文庫基金  代表 東京都生まれ。国際基督教大学卒。NGOの 派遣で、タイのラオス難民キャンプで、モン 族の子ども図書館活動を担当。その後、ラオ スのモン族の口承文学の記録を始める。現在、 ラオス山の子ども文庫基金の代表。モンの村、 ビエンチャンで子ども図書館活動を継続中。 子どもたちはお話を聞くのが大好き。 図書館のお姉さんの話しを真剣な顔で きく。(山の村の図書館) 学校が終わると、足の踏み場もないほど、 子どもたちでいっぱいだ。(山の村の図書館)

参照

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