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JAIST Repository: 中間機関における組織と個人のダイナミクス

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

中間機関における組織と個人のダイナミクス

Author(s)

吉澤, 剛; 西村, 由希子; 田原, 敬一郎; 安藤, 二香

Citation

年次学術大会講演要旨集, 27: 593-596

Issue Date

2012-10-27

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/11092

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

中間機関における組織と個人のダイナミクス

吉澤剛(大 大学)、西村由希子(東 大学)、 田原敬一郎( 学研究所)、安藤二香(科学技術 機 )

1.

知識と社会的・公共的価値をつなぐ中間機関につ いて、これまで機能、組織形態、外部主体との関 性や知識 ロー上の 置づけを類型分析してきたが (吉澤・西村・田原・安藤 2010, 2011)、機関の指向 性(価値 制度)や活動動機(内発的 外発的)、組 織と個人の に着目しつつ、実 の活動と らし て中間機関のダイナミクスを明らかにする。

2.

中間機関論においては、これまで みてきたよう な機能や組織形態、外部主体との関 といったある の 的な外形的分析に加えて、中間機関に内 するそのものの目的(指向性)や、その活動動機か ら えることが 要である。なぜなら 、それによ って外部環境の変化に対して中間機関がどのような ダイナミズ を発 し、どのような生存 を る のかを理解することができるからである。ここでは 指向性と活動動機について、それ れ両極を えて みる。 指向性 ・ 制度指向 や行政、慣 による制度化を指向し、安定性・ 性のある活動を行う。これによって機関が 化されるとともに、外部からの信頼を得ることが可 能となる。したがって組織に する各個人において は、その集 的活動が基盤をなす。機関内外におけ る組織およ 個人の関 性は概して 直的である。 の ィードバックがかかったシステ であり、組 織化のダイナミズ は い(cf. 木嶋・中條 2007)。 ・ 価値指向 社会的・公共的価値を指向し、 性・柔軟性の ある活動を行う。外部主体からの委 を受け、その 理・ を めたり、 主的に を ったりす る。したがって組織的というよりもそれ れの個人 的活動が基盤をなす。機関内外における組織 個 人の関 性は概して 的である。 の ィードバ ックがかかったシステ であり、組織化のダイナミ ズ は 強 い 。「 組 織 に お け る 」(Weick 1998; Moorman and Miner 1998; Miner, Bassoff and Moorman 2001; 高尾・中原 2012)や「実 コミュ

ニティ」(Wenger, McDermott, and Snyder 2002)な ど 的な個が 公 なネットワークを 出すこ ととなる。 にそこでは行 における 識的・ 的な知識が や実 者によって共生産されてい ると えられる(Amin and Roberts 2008; Roux et al. 2006)。 活動動機 ・ 内発的 主に機関としての内発的動機により活動を行う。 ここで内発的とは、外からの働きかけによら に組 織内部からの な意思の発現が行動につながって いるという意 であり、「 ら んで行う」という 極的な 意のある「 発的」とは して用いる。 したがって、ここでは組織として 一された意思で あるかどうかは わないが、リーダーなど 定の個 人が組織の明 的ないし 的な使命・目的・意 ・ と大きく外れるような行動を指すことも 定し ない。その活動には 性・ 見性があり、それを えるような人 を有していることが められる。 ・ 外発的 主に機関外部からの命 ・要 ・依頼・関心に従 って活動を行う。その活動においては機関のおかれ ている 体を した上で、外部環境の変化や 外部主体の に することが められる一 、 その分 け機関の 営資金を多 から調 できる 可能性がある。

3.

事例として、国内外の 的な資金 分機関、TLO なども られるが、本 では の からテク ロジーア スメント機関、科学コミュニケーショ ン機関など、英 における4 つの中間機関 けを り上 て、その活動のダイナミクスを組織と個人の 点から分析する。また、 で定 した指向性と 活動動機の2 軸に って、各中間機関の活動の変遷 を せて する。 ・ 研究 ネットワーク(RIN) 研 究 ネ ッ ト ワ ー ク (RIN: Research Information Network)は、研究者が や サー スをどのように り出し、使用するのかとい うことに対する理解を ることを目的とする英国

(3)

の機関である。これは研究 書 グループの (RSLG)による 2003 年 書の 言により、2005 年に実 的に設 された( )。3-5 程度の な組織ということもあって、 を める ールドス テインのリーダーシップによって関 者から信頼を していった( )。外部 の委託研究のマネジメ ントを主としながらも、そこに研究者を き込みな がら、研究者コミュニティに対する や指 など の 言も強めていった( )。2005 年度に 30 ン ドで められた活動も多様な 体からの資金 を 受け、2009 年度には 145 ンド と資金が拡 さ れた。ところが2010 年度からの 政を受けて政

府に対してVFM(Value For Money)を す 要が

出てきた( )。そこで、スマートな指 により実 例 を行うとともに、関 者との対話を深めていっ た( )。しかし2011 年 に 期間が すると、 その人 と は のコミュニティ・インタレス ト・カン ニー(CIC)に き がれ、 ら委託研 究の実施主体として新たな活動を めるようになっ た( )。 ・ サイエンスワイズ サイエンスワイズ(Sciencewise-Expert Resource Centre)は、科学技術に関して い から市民と の対話を することを目的として 2004 年から まった英国政府のプログラ である( )。 な コミュニケーション関連の公 を行っていたが、 2008 年から委託 に り え、マネジメント業 をコンサルタント会社の AEA に外部委託するとと もに、政 指向を強めた( )。2009 年に政府が 子組 え に関する市民対話を設計したとき、 営委員会の委員 が技術 りの発言を行っ たため、 営委員会の 性が されプロジ クトが中 されるということがあった。サイエンス ワイズも設計 に携わっていたため、 省的にこ の 事 の 理 論 的 分 析 を め た ( )

(Sciencewise-ERC Subgroup on GM Dialogue 2011)。また、対話の意 について 省 ・機関に意 識 起するとともに( )、 省 ・機関に対話・関 与 を して、政 者や省 にトレーニ ングを実施するようになった( )。現 では多くの 利 関 者を き込みながら の活動を目指 している( )。 ・ 科学技術 (FST)

科学技術 (FST: Foundation for Science and

Technology)は科学技術に関する政 的 につい ての 論を行う中 的なプラット ー を す ることを目的として、1977 年に有限 保 会社と して設 された英国の である( )。もともとは 員が多様な関 者間の 論 を目的として定期 的な会 を開 するものであったが、 会、政府、 産業 、研究者コミュニティという4 グループとの 連携が深まるにつれて、こうした関 者との 公 な対話から が得られるが、 的には の 高経営 者が を 定する( )。 善 体 や 会社 の に て、2003 年より の年間 書およ を公開しており、一般向け講演など の開 や ブサイトの 実などにより公 性を高 めている( )。現 は公 体として 要な分の資 金を外部調 する形にしている( )。 ・ 会技術 価 (OTA) 国 連 邦 会 技 術 価 (OTA: Office of Technology Assessment)は、1972 年に制定された に基づき設 された、テク ロジーア スメン

(4)

ト機関である。 制化に深く関わった民主 員ダ ダリオが初 として した( )。ところが 初の 営はシンクタンクに調 研究を委託する形が 多かったものの、政 的 に関する 意識に いており、 に つ が得られなかった。1978 年、 2 目所 に した ーターソンは OTA に 会 からの 性を めつつ、国 に を与える な を定めることを目論んでいた( )。しかし、 設定についての を されたと えた 員 から 感を い、わ か1 年 で OTA を してし まう( )。1979 年、新たに所 となった ボンズ は 会からの ではなく、 会の信頼できる として えめな を めることを目指し、 書の中で政 言を行うことを意識的に けた( )。 員や 員スタッ 、 との対話やネットワー クを 実させ、機関としての信頼を高めることに したと言われている( )。1993 年、新たに した4 目所 である ードマンの で 期的・ 期的 を め、組織のダ ンサイズを ったが ( )、共和 会の 政 のター ットとされ、 1995 年に活動を した( )(Bimber 1996; Wood 1997)。

4.

上で見たような2 軸による中間機関の目的と活動 の多様性とダイナミクスは、本研究でなぜ「中間組 織」でなく「中間機関」という を用いてきたかの 説明ともなる。つまり価値指向、個人性の強い活動 は組織という を超える活動であり、近年でこそ組 織間におけるネットワーク(今井・金子 1988; 若林 2009; 中野 2011)や協働(日置・二神 2008; 佐々木・ 加藤・東・澤田 2009)という概 で研究されている ものの、「組織」という言 を用いることの限 を しているようにも見える。 「機関」という言 は、組織という意 のほかに 「活動の けのあるもの、からくり」という意 があり、現 でも機関 、内 機関などの言 が知 られている。「機関」の英 に するものとして

organization のほか、agency や authority、そして

engine が られる。この 意の多様性は って従 の組織論を えた中間機関の多 性とダイナミク スを しうる。これを の2 軸で される4 象限 に展開すると、次のように説明できる。 ・ 組織(organization):制度指向 内発的 性・ 見性を持 、安定的・ 的に活動を 行うことで、組織における個人の能 が高まり、そ れが組織に ィードバックされる。すなわ 、組織 学 (capacity)を めることが可能となる。知識 と業 の 化が んでおり、組織的 性を持っ て明 化された に基づいて働く「機 制」 に する(Flynn 2002; Lam 2000)。サイエンスワ イズは政府のプログラ として、OTA は によっ て定められ、持 していった。FST は 員による さなコミュニティ ったものが、 々に として の体制が えられていった。 ・ (authority):制度指向 外発的 体の と外部 の があり、安定的・ 的に活動を行うことで、機関が外部から資金と信 頼を 得し、 化される。社会学 を めながら、 環境や多様な主体と機関のアイデンティティや資 を調 (coordination)していくことが 要となる。 連携と 調 による有機的で 的な を有する傾向にある。ルール ースの集 的活動が 主となり、 たる組織や制度を基盤とする「知識 移転」が多く行われると見られる。RIN の設 は公 的機関の 言により実現したもので、 の政府系 機関からの出資を受けて活動 限を有していた。 ・ 動 (engine):価値指向 内発的 組織に する各個人が社会的・公共的価値を して 由に活動することが機関の原動 となってい る。ここで個人は組織 にとらわれ 、個人学 を め な が ら 極 的 に 外 部 主 体 に 関 与 (commitment)していくことが 要となる。ミッ ション ースの個人的活動が主となり、組織や制度 が柔軟に変化する「知識交流」が多く行われると見 られる。FST は基本的に 的な活動を展開してお り、 初から 由に外部主体との 触を行っていた。 RIN も 期は な資金をもとに、外部 の委託 研究における 由度が高かった。 ・ 理・ (agency):価値指向 外発的 外部からの働きかけによって、その活動を 理な いし する。外部主体の要 に柔軟に すると ともに、中抜きされないために新たな 加価値を し、外部主体に ィードバックしなけれ ならな い。したがって、 なる けとしての を え て 、 外 部 主 体 に も 学 を も た ら す 、 共 学 (co-learning)を めることが められる。知識と 業 の 化が しく、 的な 解 知識を持

(5)

って個人が柔軟に連携することから「アドホクラシ ー」とも言える(Flynn 2002; Lam 2000)。RIN は初 期において研究者コミュニティ、後期には政府系機 関に向けた活動を行い、各主体との連携を深めてい った。サイエンスワイズも近年は政府系機関からの 委託を受け、内部に入り込んで市民対話・関与の設 計に携わっている。

5. 考察

本研究での2 軸での説明は、類型論を展開して各 機関を綺麗に分類したいのではなく、むしろ発見的 (heuristic)に中間機関の多様性を描写しながら、 かつ、その類型を横断するような形で中間機関が遷 移していく過程を強調することにある。事例と理論 から傾向を分析すると、中間機関は概ね2 軸の中心 を目指す活動を展開していくが、そのダイナミック な性格上中心に留まることが難しいと見られる。制 度指向が強まるほど、制度的硬直を起こし、公共的・ 社会的価値の実現ができなくなる。逆に価値志向が 強まるほど、活動の個人性が大きくなり、組織とし ての形態を維持することができなくなる。内発的に なるほど、外部からの理解や信頼、資金を得にくく なる。逆に外発的になるほど、組織としての使命が 曖昧になり、知識を生産する主体ないし利用する主 体に中抜きされる可能性が高まる。中心の一点に留 まって両極からのバランスを保とうと思っても、経 営者や従業員の意向(内発的)や環境の変化(外発 的)、組織の慣性(制度指向)や組織外とのネットワ ークの拡大(価値指向)により、どこかの極に触れ ていってしまう。そのため、どの象限が良いという ことでもなく、また、その象限に留まれるというこ とでもない。一般的には中心を目指すダイナミクス を持っていることが中間機関として望ましいという ことができるが、そのタイミングや軌道については、 機関内外の状況に依存するということがせいぜいで ある。

謝 辞

本研究は科研費基盤C「知識と社会的・公共的価 値をつなぐ中間機関の機能」(22530395)として実施 されているものである。

参 考 文 献

Amin, A. and Roberts, J. (2008) “Knowing in action: beyond communities of practice”, Research Policy 37(2): 353-369.

Bimber, B. (1996) The Politics of Expertise in Congress: The Rise and Fall of the Office of Technology Assessment. State University of New York Press.

Flynn, R. (2002) “Clinical governance and governability”, Health, Risk & Society 4(2): 155-173.

Lam, A. (2000) “Tacit knowledge, organizational learning

and social institutions: an integrated framework”, Organization Studies 21(3): 487-513.

Miner, A.S., Bassoff, P. and Moorman, C. (2001) “Organizational improvisation and learning: a field study”, Administrative Science Quarterly 46(2): 304-337. Moorman, C. and Miner, A.S. (1998) “Organizational

improvisation and organizational memory”, Academy of Management Review 23(4): 698-723.

Roux, D. J., Rogers, K.H., Biggs, H.C., Ashton, P.J. and Sergeant, A. (2006) “Bridging the science–management divide: moving from unidirectional knowledge transfer to knowledge interfacing and sharing”, Ecology and Society 11(1): 4.

Sciencewise-ERC Subgroup on GM Dialogue (2011) Talking about GM: Approaches to Public and Stakeholder Engagement.

Weick, K.E. (1998) “Improvisation as a mindset for organizational analysis”, Organization Science 9(5): 543-555.

Wenger, E., McDermott, R. and Snyder, W.M. (2002) Cultivating Communities of Practice: A Guide to Managing Knowledge. Harvard Business School Press. [邦訳]『コミ ュニティ・オブ・プラクティス』櫻井祐子訳、翔泳社、 2002 年.

Wood, F.B. (1997) “Lessons in technology assessment: methodology and management at OTA,” Technological Forecasting and Social Change 54(2-3): 145-162.

今井賢一・金子郁容(1988)『ネットワーク組織論』岩波 書店。 木嶋恭一・中條尚子編著(2007)『ホリスティック・クリ エイティブ・マネジメント』丸善。 佐々木利廣・加藤高明・東俊之・澤田好宏(2009)『組織 間コラボレーション:協働が社会的価値を生み出す』ナ カニシヤ出版。 高尾隆・中原淳(2012)『インプロする組織:予定調和を 超え、日常をゆさぶる』三省堂。 中野勉(2011)『ソーシャル・ネットワークと組織のダイ ナミクス:共感のマネジメント』有斐閣。 日置弘一郎・二神恭一(2008)『コラボレーション組織の 経営学』中央経済社。 吉澤剛・西村由希子・田原敬一郎・安藤二香(2010)「競 争的資金制度における中間機関の機能」『研究・技術計 画学会第25 回年次学術大会講演要旨集』、476-477 頁所 収。 吉澤剛・西村由希子・田原敬一郎・安藤二香(2011)「知 識生産・移転・交流・利用の四元モデルに基づく中間機 関の類型化」『研究・技術計画学会第26 回年次学術大会 講演要旨集』、724-727 頁所収。 吉澤剛・山内保典・東島仁・中川智絵(2011)「科学と社 会をつなぐ組織の社会的定着に向けて:英国からの教 訓」『科学技術コミュニケーション』9 号、93-106 頁。 若林直樹(2009)『ネットワーク組織:社会ネットワーク 論からの新たな組織像』有斐閣。

参照

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