「キャッシュフロー」概念の使用における問題点についての一考察
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(2) 第46巻 第 2 号. して「直接法」と「間接法」の2種類が認められているが叫いずれの様式でも, キャッ. シュフロ. ー. 項目を営業活動によるもの, 投資活動によるものと財務活動によるものに三区. 分することを要求している3)。 そして, 最近の新刊書や巷では,「従来の損益中心士義の経 営や会計制度からキャッシュフロ. ー. 重視の経営や計算制度へ変革することが重要である」. とか,「欧米で重視されているキャッシュフロ. ー. が日本で重視されておらな かったことが. 問題であり」, これでわが国の会計情報の開示も国際水準に追いついたという, 連結キャッ. シュフロ. ー. 計算書の開示を謳歌する声が溢れている。. この点, わが国の会計学や経営学では, アメリカの研究成果が盛んに導入されるにつれ. て, 厳密な理論上の検討が行なわれずに, 多数のアメリカの専門用語が使用されるように. なってきた。 とりわけ, 本稿で検討するキャッシュフロ 計算のための新しい概念とみなされ, キャッシュフロ. ー. ー. 概念は, 企業評価, 特に, 投資. 値の記載もしくは計算によって,. 他の数値よりも企業の収益力と支払能力についてより有益な情報を提供したり, 獲得でき. るものと,. 一. 部ではみなされてきた均. また, 従来の損益計算書と貸借対照表を中心にした決算報告書で示される可処分利益で. は満足できない者が, 利益概念に代わるべきものとして, キャッシュフロ. ー. 概念に熱い眼. 差しを投げ掛けてきた 。 この点, アメ リカ公認会計士協会 (American Institute of 5). Certified Public Accountants). の見解 に よ れ ば , 財政状態の源泉と使用の 一 覧表. (statement of sources and application of funds も しくは簡単に statement of. funds) が, 企業に流入するあらゆる支払手段 (Mittel) の由来を分析し, これを同一 期. 間で用いられるあらゆる支払手段の使用と対比するため, ドイツの貨幣運動計算書もしく. は資本運動計算書 (GeldfluB- bzw. KapitalfluBrechnung) と対象領域において同 一 視. できるものであるが叫わが国に導人された, キャッシュフロ. ー. 計算書は, 既に述べたよ. うに, 対象領域(内容)である, 資金の範囲を現金と現金同等物に限定しており, 後に述 2). 参照。企業会計審議会(意見書)三「連結キャッシュフロ ー 計算書等の作成基準」 の概要 4表 示方法; see. FASB.: (SFAS95) paras. 27-28.; 参照。 染谷恭次郎著 (キャッシュ ・ フロ ー 会計論) 176-177 頁; 由井敏範著(利益とキャッシュ ・ フロ ー ) 173-174 頁;鎌田信夫著(資金 会計)『 資金会計の理論と制度の研究』白桃習房 1995年354-355 頁 3) 参照。企業会計審議会(意見書) 三「連結キャッシュフロ ー 計算書等の作成基準」の概要 3 表不区分; see. FASB.: (SFAS95) para. 6, para. 14, paras. 84-87.; 参照。鎌田信夫著 (キャッシュ ・ フロ ー 会計) 82 頁 98 頁; 染谷恭次郎著(キャッシュ ・ フロ ー 会計論) 61 頁 137 -139 頁 141 頁 4) 参照。拙著(資金計画論)「ドイツ資金計画論」森山害店 1997 年 25 頁; Vgl. Juesten, W.: 5) 6). (Cash-flow) Cash-flow und Unternehmensbeurteilung, 4. Aufl., Berlin 1980. S. 9. 参照。 由井敏範著(利益とキャッシュ ・ フロ ー) 198 頁 参照。拙著(資金計画論) 25-26 頁; Vgl. Juesten, W.: (Cash-flow) S. 15 u. S. 90.; see. APB.: (APBO. 3.) Accounting Principles Board Opinion No. 3. "The'\i. -178(332)―.
(3) 「キャッシュフロ ー 」概念の使用における問題点についての一考察(牧浦) べるように, 貸借対照表と損益計算書に大きく依存した作成過程からみて, 真に, 第三の 財務諸表と呼ぶにふさわしいものであるのか極めて疑問視されるべきものである。 そして, 通常の決算報告書を他のより有益な情報源により補足する試み, たとえば, 「正味運転資本」指標とともに,「キャッシュフロ ー 」指標を用いる試みがなされてきたが, このような試み, いわゆる, キャッシュフロ ー 分析は, 決算報告書がその利用者に対して あらゆる必要な情報を提供したり, 少なくとも, 利 害関係者に情報を利用可能な形式では 提供しておらないことから, うまれてきた匁 本稿では, まず, 投資計算, とりわけ, 割引キャッシュフロ ー 計算の欠点を指摘し, 次 に, キャッシュフロ ー 計算書に係わる欠陥を呈示した後で, キャッシュフロ ー 分析で用い られる「キャッシュフロ ー 」指標の限界を明らかにする。 しかしながら, 本稿では, 割引 キャッシュフロ ー 計算, キャッシュフロ ー 計算書と「キャッシュフロ ー 」指標の基本構造 を中心に検討して, 企業の収益力と支払能力に対する描写力に対する問題点を明確にする ことに主眼が置かれていることを予めお断りしておきたい。. 2.. 割引キャッシュフロ. ー. 計算の問題点. 周知のように. 投資計算では,「利益」概念が. 曖昧で, 過去志向で. 投資の効果のタ イミングを頂視しないものとして,「キャッシュフロ ー 」概念が導入されたが, その際, 「キャッシュフロ ー 」 概念は, 投資プロジェクトの実施に伴って発生す る 資 金 の 流 入 (cash inflow) と資金の流出 (cash outflow) の全体を示す概念であるとみなされてき た。 このため. キャッシュフロ ー はさまざまな時点で発生する資金の流人と流出を内容と しているが. 発生時点(タイミング)を厳密に取り扱うならば, 計算が非常に煩雑になる ので, 必要な計算精度に応じて, 適当な期間間隙を設定して, 投資プロジェクトの実行開 始時点で発生する資金の流出を期首支出 (initial outlay) と呼び, これ以降の各期間間 隙内で生ずる資金の流入と流出は, 同 一時点(各期間の期首)で発生するものとして算定 される, ネット ・キャッシュフロ ー (net cash flow) に換算される。 このため, 投資計 算では, 投資プロジェクトの実施に伴って発生するキャッシュフロ ー の効果の差異(タイ /'Statement of Source and Application of Funds" 1963. para. 8.; APB.: (APBO. 19.) Accounting Principles Board Opinion No.19. "Reporting Changes in Financial Position" 1971. paras. 7-8.; 参照。 染谷恭次郎著(キャッシュ ・ フロ ー 会計論) 121 頁, 38 41 頁;由井敏範著(利益とキャッシュ ・ フロ ー) 170 頁;鎌田信夫著(資金会計) 51 頁 7) 参照。拙著(資金計画論) 26 頁;杉本典之 ・ 洪 慈乙著(キャッシュフロ ー 計算書)「キャッシュフ ロ ー 計算書」東京経済情報出版, 1995 年, 12 頁, 注 3; Vgl.Juesten, W.: (Cash-flow) S. 17.. -179 ( 333)-.
(4) 第46巻 第 2号 ミング)は大雑把に把握されており, 特定期間で, 資金の流入量が流出量を上回るため, マイナスの ネット ・キャッシュフロ ー が発生したり, 期首に近い時点で資金の流出, 遠く 離れた時点で資金の流入が集中すれば, 投資プロジェクトを考察するときには, つなぎが 必要になる。 また, 投資プロジェクトの実施に伴って発生するキャッシュフロー は, 本来, 不確実性下で発生するものであるが, 一般には, 確実性の仮定が置かれたり, モ ー ド(最 頻値)によって各期間の状況が描写できるものと考えられている8)。 このた め. 予測の誤 りは回避できない。 更に. 内部創出資金として, 税引後利益に減価償却費を加算し, 配当 や役員賞与を控除した数値が使用されるため叫 ネット ・キャッシュフロ ー が期間純利益 に減価償却費を加算したものにより代替できるものと一 部ではみなされている IO) 。 しかし ながら, このような代替は, 明らかに, 部分(修正)損益計算であり, 支払手段の運動と 解されるべきキャッシュフロ ー を把握することとは同一視できない。 ところで, 投資プロジェクトの実施に伴って発生するキャッシュフロ ー の効果のタイミ ングの差異, いわゆる, 貨幣の時間価値や利子の要素と呼ばれるものを重視して, 複利割 引の計算公式を利用して, 発生時点を異にするキャッシュフロ ー の各構成要素を比較可能 な l つ の数値に換算 す る も の は 割引 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 法 (discounted cash. flow. method) と呼ばれる。 ここで, 代表例として,「正味現在価値法」 (net present value. 投資プロジェクトのネット ・キャッシュフロ ー の総現在価値 (gross present value). を. method) をとりあげれば, 正味現在価値法は, 予め決められた計算利子率に基づいて,. 求め, これが期首支出を超過する金額である正味現在価値の正負で, 独立投資では, 投資 プロジェクトの採否を判定し, 排他的投資では, 最大の正味現在価値を有する投資プロジェ クトを選択する。 つまり, 計算利子率をi' 期首支出を Co, 後続する ネット ・キャッシュ フロ ー を Al, A2, ···, An で示すならば, 正味現在価値 NPV が, 式 NPV =. A2 An -Co + · · ·+ + n 1 +i C1 +i) 2 C1 +i) Al. =. n. At. I 1-,Cl+iY. -Co. で計算されうることを利用する 11) 0 しかしながら, 正味現在価値は一定の計算利子 率が予 め与えられるときにのみ計算でき, 逆に, 計算利子率は正味現在価値の大きさに決定的な 影響力を有する。 このため, 正味現在価値法では計算利子率をどのように設定するのかが 8) 参照。 拙著(経営財務概論)「経営財務概論J中央経済社, 1990 年, 94-95 頁 9) 参照。 中沢 恵•池田和朗著(キャッシュフロ ー 経営入門)「キャッシュフロ ー 経営入門』日本 経済新聞社. 1998 年, 20 頁, 62 頁 10) 参照。 鎌田信夫・斉藤孝ー著(現金収支分析)「現金収支分析の新技法」中央経済社, 1997 年. 134 頁. 137 頁;高橋良造著(資金会計論)『資金会計論』税務経理協会, 1995 年, 84-85 頁, 269 頁, 281 頁 11) 参照。 拙著(経営財務概論) 98 頁;鎌田信夫·斉藤孝ー著(現金収支分析) 77-90 頁 -180 (334)-.
(5) 「キャッシュフロ ー 」概念の使用における問題点についての一考察(牧浦) 非常に重要である。 この点, たとえば, 社債で設備投資する場合に社債の実質利子率を計 算利子率にするように, 使用資金の利用代価や, たとえば, 企業の利用している各種資本 調達源泉の利用割合と個別の実質資本コストによる加重平均資本コストを計算利子率にす るように, 資本の運用における最低目標利益率を基礎にして計算利子率は設定されてきた が, いずれにしても, 計算利子率の設定では, 任意性は避けられない。 また, 正味現在価 値は, 絶対値で示されるが, その大きさは投資プロジェクトの投下資本一単位当たりでの 投資効率を示しているわけではない。 このため, 投資プロジェクトの ネット ・キャッシュ フロ ー の総現 在 価 値 を 分子に , 期 首 支 出 を 分母にす る 比率, つまり , 収 益 性 指 標. (profitability index) を計算して, 独立投資では, この指標が 1 以上のものを採用し, 排他的投資では, 最大の指標を有するものを選択する「割引収益 性指標法」が提案されて いる 12) 。 (参照。 表1). 0 -300 -100. 期間 プロ ジェクト A プロ ジェクト B. 0 20 0 0 4l. 表 1 投資計算の具体例. 600 250. GPV(i = 0.1) 875.60 309.85. NPV(i = 0.1) 575.60 209.85. 収益性指数 2.92 3.10. また, 投資プロジェクトの有効期間に差異が見られる場合, 投資プロジェクトが無限回繰 り返されると仮定して, 各投資プロジェクトの正味現在価値に資本回収係数を掛けて得ら れる等価年金額で比較する,「等価年金比較法」 (equivalent annual annulity method) が用いられてきた 13) 。 (参照。 表2)もちろん, 投資の規模にも差異があれば, たとえば, 等価年金額を更に投下資本額で割った値で比較する必要がある。 表 2 投資計算の具体例 期間. ゜. 1. 2. プ ロ ジ ェ ク ト C -500 プ ロ ジェクト D -500 プロ ジェクト C' -500. 100 100 100. 700 200 700 -500. -500. 100. 200. 3. 4. NPV(i = 0.1). 回収係数. 資本. 年金 額. 300. 400. 169.422 254.798. 0.5762 0.3155. 97.621 80.389. 100. 700. 100. 700. 309.439. 12) 参照。 拙著(経営財務概論) 99-100 頁 13) 参照。 拙著(経営財務概論) 102-104 頁 -181(335)-. 等価.
(6) なお,「割引キャッシュフロ. 第46巻 第 2号. ー. 法は, 現在, M& A(吸収合併)などに利用され, 企業. 価値を算定する基本的な考えになっている」 といわれている丸しかしながら, 正味現在. 価値は, 投資効率を示すものではないため, 改善されてきたが, たとえば, 特定期間で, マイナスのネット ・キャッシュフロ. ー. が発生したり, 期首に近い時点で資金の流出, 遠く. 離れた時点で資金の流入が集中する, 投資プロ ジェクトでは, 支払能力を保証するもので. はない。 また, 投資プロ ジェクトではなくて, 企業の収益力と支払能力を検討する場合に は, 過去に実施された投資プロ ジェクトにより発生するキャッシュフロ ないもの, もしくは, 休止や廃止により発生するキャッシュフロ. ー. ー. の内, 変更でき. は計画時点での与件と. して取り扱い, これに, 現在と将来に実施されうる投資プロ ジェクトにより発生するキャッ シュフロ. ー. を組み合わせなければならない。 また, 資本調達源泉の利用により, 各期間で. 必要な, 配当金や利子と元金の支払いを資本調達プロ グラムとして推測し, 投資プロ ジェ クトと組み合わせて, リニア・ プロ グラミングなどで, 最適解を選択する必要がある 届 ”. 3. キャッシュフロ. ー. キャッシュフロ ー 計算書の問題点. 計算書の導入で廃止されることになった,「資金収支表 」 は, 作成甚. 準がなくて, 公認会計士の監査対象外であったため, 情報の信頼性が乏しく, 現金預金だ. けではなくて, 株式などの一時所有の有価証券を資金の範囲に含めておるため, 価格変動. 危険や資本の回収可能性に問題があり,「事業活動に伴う収支」と「資金調達に伴う収支」. という二区分方式を採用しておるため, 前者に営業活動による収支と投資活動によるそれ 16 が混在していたなどと批判されてきた )。 この点, キャッシュフロ. ー. 計算書では, このよ. うな批判を克服するための配慮がなされるとともに, キャッシュフロ. 期間のキャッシュフロ. ー. に関する情報を,. 一. ー. 計算書が, ー会計. 定の活動に従って区分し, 要約して表示した. 計算書であるため, 貸借対照表による財政状態や損益計算書による経営成績とは異なる情 報, たとえば, 企業の資金獲得力, 債務返済能力, 資金の調達と運用状況, 配当金の支払. 14) 参照。桜井通晴•佐藤倫正編著(キャッシュフロ ー 経営)「キャッシュフロ ー 経営と会計」中央 経済社, 1999 年 98-99頁;岩崎 彰著(キャッシュフロ ー 計算書)「キャッシュフロ ー 計算書の 見方・作り方』日本経済新聞社 1999 年 92 頁;高橋良造著( 資金会計論) 284 頁;佐藤倫正著 (資金会計論)『資金会計論」白桃書房 1993 年, 251 頁 15) 参照。 拙著(投資決定論)「ドイッ投資決定論J森山書店, 1993 年, 17 頁; Vgl.Albach, H.: Clnvestition) Investition und Liquiditllt. Wiesbaden 1962. S. 154-157. (溝ロ 一 雄・後藤 幸男訳『設備投資と資金計画」ダイヤモンド社 1964 年, 185-189 頁) 16) 参照。桜井通晴•佐藤倫正編著(キャッシュフロ ー 経営) 43-44 頁;沢 昭人• 浜本 明著 (キャッシュフロ ー)「キャッシュフロ ー 早わかり」中経出版, 1999 年, 172-173 頁;岩崎 彰著 (キャッシュフロ ー 計算書) 14 頁 -182(336)-.
(7) 「キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー. 」 概念の使用 に お け る 問題点 に つ い て の 一 考察 (牧浦). 能力 な ど を 評価す る た め の情報を企業の 利害関係者 に 与 え る こ と が で き る も の と み な さ れ ている匹. と こ ろ で.. キャ ッ シュ フ ロ. か否か が判定基準 と な る. 1. 8). ー. 計算書 の 現金 と 現金同等物で は, 短 期 の 支払資金 で あ る の. 。 こ の た め . 現金 と し て. 手元現金 と 要求払預金が, 現 金 同 等. 物 と し て. 3 ヶ 月 以内 の 短期投資 が そ れ ぞ れ指摘 さ れ て い る が, 具体的 な 選択 は 作成者 に. 委ね ら れ て お り , た と え ば, 定期預金, 譲渡性預金, 件付 き 現先. 公社債投資信託 な ど の 内.. ど れ を , 支払資金で は な く て. 運 用 益 を ね ら う 投. 資資金 と み な す の か に よ り , 選択の範囲 は 異 な る キャ ッ シュフロ る が,. ー. コ マ ー シ ャ ル ・ ペ ー パ ー . 売戻 し 条. 19). 。 こ の た め, 企業会計審議会 の 「連結. 計算書等 の 作成基準」 で の 資金 の 範囲 は対象領域 を 限定す る も の で は あ. フ ォ ン ド , つ ま り , 資金勘定科 目 の 具体的 な 組み合わ せ に は選択 の 余地が あ る. 201. c. ま た, 当 座借越を 通常で は, 負 の現金同等物 と み な し , 短期借入金 と 同様 の 資本調達源. 泉 と 判断 さ れ る 場合 に は. 財務活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー. と みな さ れる が. 20. ,. このよう. な 解釈 で は, 営業活動 の 支払 い の た め に小切手を 発行す る と い う 当座借越 の 利用実態 と 違. 和感が生 じ て い る し . 企業の 支払能力が. 当 座借越 の 未利用 の 限度枠 や, 担保物件 な ど に よ る 追加資本 の 調 達 に お け る 信用 限度額な ど に も 依存 し て い る 事実 を無視 し て い る ま た, 営業活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー. 22). を 直接法で表示す る 場合. 商 品 及 び サ ー ビ ス の. 販売 と 購入 に よ る 収人 と 支 出 , 従業員 と 役員 の 報酬 に よ る 人件費支 出以外に, 営業外損益. 計算 の 対象 で あ る , 災害に よ る 保険収入や損害賠償金 の 支払 い . 破産債権, 更生債権や 償 却済み 債権 の 回 収 に よ る 収人, 取 引 先 へ の 前渡金や営業保証金 に よ る 支 出. 取 引 先 か ら の 前渡金や営業保証金 に よ る 収入 も 含 ま れ る. 2. 3). 。 ま た . 営業収支 と 財務収支 を 区分 せ ず に .. see . F ASB. : (SF AS95) para. 5. ; 参照。 染谷恭次郎著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計論) 136 頁 ; 由井敏範著 (利益 と キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー ) 168 頁 ; 鎌 田信夫編著 (資金情報開示) 「資金情報 開示の理論 と 制度」 白桃書房, 1991年, 212 頁 ; 鎌 田信夫著 (資金会計) 220 頁 18) 参照。 染谷恭次郎著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計論) 5 頁 19) 参照。 企業会計審議会 (作成基準注解) 「連結キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書等の作成基準注解」 1998 年, 注 1 と 注 2 ; 桜井通晴 • 佐藤倫正編著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 経営) 50 頁 ; 岩崎 彰著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書) 17 頁 ; 由井敏範著 (利益 と キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー ) 122 頁 ; 日 本公認会計士協 会 (実務指針) 「連結財務諸表等 に お け る キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計 算書 の 作成 に 関 す る 実務指針」 1998年2 (2) ; ト ー マ ス 編 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計算書) 「 キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計算書 作成実務 と 経営管理」 清文社 1999年, 16-17 頁, 68 頁, 91 頁 20) 参照。 企業会計審議会 (意見書) 三 「連結キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書等の作成基準」 の概要 2 資 金の範囲 ; 企業会計審議会 (作成基準) 「連結キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書等の 作成基準」 1998 年, 第二 作成基準 一 21) 参照。 日 本公認会計士協会 (実務指針) 3 と 29 ; ト ー マ ス 編 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計算書) 17 -18 頁 ; 鎌 田信夫著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計) 75 頁 22) 参照。 拙著 (資金計画論) 221 頁 ; Vgl . Schoppen, W . : (Finanzlage) Darstellung der 17). 23). 参照。 企業会計審議会 (意見書) 三 「連結キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書等の作成基準」 の概要 3 表示 区分 (2) ; 日 本公認会計士協会 (実務指針) 7 ; ト ー マ ス 編 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計算害) 29-30\.. Finanzlage mit Hilfe der Kapitalflu fJ rechnung, Dusseldorf 1982. S. 41-42 . -183(337)-.
(8) 第46巻. 第. 2号. 法人税等 の 支払 い 以外 に 竺 受取利息や受取配当 に よ る 収入 と , 支払利 息 に よ る 支 出 も 営. 業活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー. に含めて い る. 25). 。 そ し て, 投資活動に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー. に は, 固定資産並 び に 現金同等物 に 含 ま れ な い 短期投資 の 取得 と 売却以外 に , 貸付金 の 支. 出 と そ の 回収 に よ る 収入が, 財務活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー. に は, 株式, 社債 と 借人金. に よ る 収入, 社債 の 償還 と 借入金 の 返済 に よ る 支 出 以外 に , 配当金 に よ る 支 出,. 自 社株 の. 取得 に よ る 支 出 と 売却 に よ る 収人がそ れぞれ含 ま れて い る 。 こ の点, 営業活動 に よ る キ ャ ッ 26). シュフ ロ. ー. 欄 に は, 小計が あ り , 小計 よ り 上で対象項 目 , 下 で例外,. に対す る 調整項 目 や利益処分項 目 が表示 さ れ て い る が,. た と え ば, 発生主義. こ れ に よ り , 損益計算書で の 営業. 損益 と 営業外損益 と 特別損益の 区別, 更 に, 損益計算 と 利益処分 の 区分が, 軽視 さ れ て い 27) る こ と は認 め な け れ ば な ら な い 。 (参照。 図 1). /頁 ; see. FASB. : (SFAS95) paras. 22-23. ; 参照。 染谷恭次郎著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計 論) 142-143 頁 ; 由井敏範著 (利益 と キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー ) 172-173 頁 ; 鎌 田信夫著 (資金会計) 223-224 頁 ; 参照。 岩崎 彰著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書) 19-20 頁 24) 参照。 企業会計審議会 (意見書) 三 「連結 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書等の作成基準」 の概要 3 表 示 区分 (5) ; 企業会計審議会 ( 作 成 基 準 ) 第 二 作 成 基 準 二 表 示 区 分 2 ; see. FASB . : (SFAS95) para. 92 . ; 参照。 鎌田信夫著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計) 87-88 頁 ; ト ー マ ス 編 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計算書) 72-73 頁 25) 参照。 企業会計審議会 (意見書) 三 「連結キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書等の作成基準」 の概要 3 表 示区分 (6) ; see.FASB. : (SFAS95) para. 90. ; 参照。 鎌 田信夫著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計) 83-85 頁 ; 由井敏範著 (利益 と キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー ) 177 頁, 197 頁 26) 参照。 企業会計審議会 (意見書) 三 「連結キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書等の作成基準」 の概要 3 表 示区分 (3) (4) ; 企業会計審議会 (作成基準注解) 注 4 と 注 5 ; see. FASB. : (SFAS95) paras. 16-17, paras. 19-20. ; 参照。 染谷恭次郎著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計論) 144 頁 146 頁 ; 由 井 敏範著 (利益 と キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー ) 171-172 頁 ; 鎌 田信夫著 (資金会計) 224-225 頁 ; 高 橋 良 造著 (資金会計論) 96-98 頁 27) 参照。 日 本公認会計士協会 (実務指針) 12 ; ト ー マ ス 編 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計算書) 31-32 頁 ; 鎌田信夫著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計) 23 頁. - 1 84 ( 338 )-.
(9) 「キ ャ ッ シ ュ フ ロ 直接法. I. ー. 図1. 」 概念の使用 に お け る 問題点 に つ い て の 一考察 (牧浦) 連結 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書の様式訪). 営業活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 営業収人 原材料 ま た は商品 の仕入支出 人件費支 出 そ の他の営業支出. XXX XXX - XXX - XXX. 小 計 利息お よ び配当金の受取額 利息の支払額 損害賠償金の支払額. - XXX. 法人税等の支払額. .. -. -.... -. ----. -. -. ----. ---. ----. -. 営業活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ. II. ー. 投資活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 有価証券の取得 に よ る 支 出 有価証券の売却 に よ る 収入 有形固定資産 の取得 に よ る 支 出 有形固定資産の 売却 に よ る 収入 投資有価証券の取得 に よ る 支出 投資有価証券の 売却 に よ る 収入. 連結範囲 の変更を伴 う 子会社株式の取得 連結範囲 の変更 を 伴 う 子会社株式の売却 貸付に よ る 支 出 貸付金の 回収 に よ る 収入. m. 投資活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー. 財務活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 短期借入れ に よ る 収入 短期借入金の返済 に よ る 支 出. 長期借入れ に よ る 収入 長期借人金の返済 に よ る 支 出 社債の発行 に よ る 収入 社債の償還 に よ る 支 出 株式の発行 に よ る 収人. 自 己株式の取得 に よ る 支 出 親会社 に よ る 配当金の支払額 少数株主への配当金の支払額 -----------------------------------------. 財務活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー. N V VI. w. XXX - XXX - XXX - XXX. 現金お よ び現金同等物 に 係 る 換算差損 現金お よ び現金同等物の増加額 現金お よ び現金同等物期首残高 現金お よ び現金同等物期 末残高. - 185 ( 33 9 ) -. XXX. - XXX. XXX - XXX XXX - XXX XXX. - XXX XXX - XXX XXX XXX. XXX - XXX. XXX - XXX XXX - XXX. XXX - XXX - XXX - XXX XXX XXX. XXX XXX XXX.
(10) 間接法. I. 第46巻. 第2号. 営業活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 税金等調整前当期純利益. 減価償却 費 連結調整勘定償却額 貸倒引 当金 の増加額 受取利息お よ び受取配当金 支払利息. -. 為替差損 持分法に よ る 投資利益 有形固定資産売却益. -. 損害賠償損失. 売上債権の増加 棚卸資産 の 減少額 仕入債務の減少額. -. XXX XXX - XXX - XXX. 小 計. 利息お よ び配当金の受取額 利息の支払額 損害賠償金の支払額 法人税等の 支払額. ....... . ---...... 営業活動に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー. II III IV V VI. vn. 28). XXX XXX XXX XXX XXX XXX XXX XXX XXX XXX XXX XXX XXX. 投資活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ. 財務活動 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー ー. - XXX (直接法 と 同 じ ). XXX. (直接法 と 同 じ ). 現 金 お よ び現金同等物 に 係 る 換算差損 現金お よ び現金同等物の増加額 現金お よ び現金同等物期首残高 現金お よ び現金同等物期 末残高. 企業会計審議会 (作成基準注解) 注 7, 様式 1 と 様式 2. - 1 86 (340)-. XXX XXX XXX XXX.
(11) 「キ ャ ッシュフロ ー 」概念 の使用における問題点について の 一考察(牧浦) そして, 表示方法では. 直接法が理想であ る が, わが国では両方が認め ら れた29) 。 この 点, 直接法でも. たとえば. 営業収人が, 算定式, 売上高 権の減少額で, 原材料または商品の仕入支出が, 算定式 の増加額. ー. 一. 売上債権の増加額 + 売上債. 売上原価 + 原材料または商品. 原材料または商品の減少額 十 買入債務の減少額 ー 買人債務の増加 額で. 人. 件費支出額が. 算定式, 人件費 + 未払給与の減少額. ー. 未払給与の増加額で算定され る よ. うに, 会計帳簿 具体的には. 現金出納帳や入金 ・出金伝票などから数値を直接求め る の ではな く て, 実務では. 貸借対照表と損益計算書から誘導され る 30)。 また, キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書の作成過程では, 損益計算書で求めた未処分利益に対して株主総会で承認され た処分内容を一期 ズ レで表示す る 「利益処分案」ではな く て. 前期の利益処分に損益計算 書の当期純利益を加算して期末剰余金を算定す る 「剰余金計算書」がまず作成され, 次に, ‘. 精算表( ワ ー キ ノ ク ・ ペ ー パ ー )で, 前期末と当期末の有高差額貸借対照表の増減額( 直 接法では, 損益計算書の項 目も含めて)が. 営業. 投資, 財務の各活動によ る キ ャ ッ シュ フロ ー 欄に差額を反対記入す る ことにより, 剰余金計算書の金額と等し く な る ようにされ る 31) 。 (参照。 図 2 と圏 3)更に. 連結キ ャ ッ シ ュ フロ ー 計算では, 各連結会社が 自 社の財 務諸表について上記のキ ャ ッ シュフロ ー 修正仕訳をしてキ ャ ッ シ ュ フロ ー 計算書を作成し た後. 連結会社間での債権 ・債務関係. 営業取引, 固定資産 • 有価証券の売買取引や. 貸 付け ・借入れなど(間接法では. 更に, 連結会社間での取引きにより発生した未実現利益. 各連結会社の損益計算書には記載されない連結調整勘定償却額や持分法によ る 投資損益な ど)について連結キ ャ ッ シ ュ フロ ー 修正仕訳をす る 「原則法(個別連結法)」 と, 各連結 会社の財務諸表について連結修正仕訳をして連結財務諸表を作成した後, キ ャ ッ シュフロ ー 修正仕訳をす る 「簡便法(総合連結法) 」とが認められてい る 32)。 (参照。 図 4). 29) 参照。 鎌田信夫著(キ ャ ッシュ ・ フロ ー 会計 ) 25 頁 103-113 頁 ; 小宮一慶 著 ( キ ャ ッシュフ ロ ー 経営) 「キ ャ ッシュフロ ー 経営」東洋経済新報社 1998 年 58-59 頁 ; 沢 昭人 • 浜本 明著 (キ ャ ッシュフロ ー ) 26 頁, 97 頁 ; see. FASB . : (SFAS95) para. 19, para. 27 , para. 29. ; 参照。 杉本典之 ・ 洪 慈乙著(キ ャ ッシュフロ ー 計算書) 102-103 頁 30) 参照。 岩崎 彰著(キ ャ ッシュフロ ー 計算害) 49-52 頁 ; 鎌田信夫著(キ ャ ッシュ ・ フロ ー 会 計) 51-54 頁 ; ト ー マ ス 編 (キ ャ ッシュ ・ フロ ー 計算書) 103-104 頁, 115-116 頁 31) 参照。 岩崎 彰著(キ ャ ッシュフロ ー 計算書 ) 57-66 頁; 染谷恭次郎著( キ ャ ッシュ ・ フロ ー 会計論) 185-216 頁, 228-256 頁 32) 参照。 岩崎 彰著(キ ャ ッシュフロ ー 計算書) 67-71 頁;鎌田信夫著( キ ャ ッシュ ・ フロ ー 会 計) 193-204 頁, 225 頁 ; 日 本公認会計士協会 (実務指針) 47 ; ト ー マ ス 編 (キ ャ ッシュ ・ フロ ー 計算書) 135-137 頁 - 1 87 (34 1)-.
(12) 図2. 33) 直接法 に よ る キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー. 貸借 対 照表. 期首. ;;;剰;悶:;r::�1 1:::1:�悶 役員賞与. 120 1 - 60 1 - 25. I合. 計. 35. 3-. 33. 1. i 売上高 売り:,. 第2号. � '. 30 1. 期末. 3. 現金預金. 1 1 1 1贔. 第46巻. 一 一一. VI現金及び現金同等物期首残高 .................ト----------―<---------- ........................................ 107 1 - 56 1 - 20 現金及び現金同等物期末残高. vn. 30. -5. -8. - 3 1 - 18. -5. -8. - 3 1 - 18. 3 3- i 3. - 20. - 18. 2 -. ロ. - 56. - 18. 6� 6. " - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - r―- - 107-- --1―- - - - -. -8. 6 -. ー. .. 〗 よるキ ャ ッ シュ フ ロ 11 投資活動に .. . ........................................ キ フ ........ よ るキ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 皿財務活動 に-------------------------------ヤ ツ ロ ―-----------------l ..ノ き IV 現金及 び現金同等物 に係 る 換算差額 十 ュ算 V 現金及 び現金同等物 の増加額 - - - - - - - - - ---------------室 ----------------------. /□. 岩崎 彰著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算替) 62 頁 ; 参照。 日 本公認会計士協会 (実務指針) 例6 34) 岩崎 彰著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算寄) 65 頁 ; 参照。 日 本公認会計士協会 (実務指針) 例3. 33). - 1 88 ( 342 )-. m. m. 設. 設.
(13) 「キ ャ ッシ ュ フ ロ ー」概念の使用にお ける問題点につ い ての一考察(牧浦). 図 4 原則法と簡便法による連結キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー計算書の作成過程35) 原則法. 連結会社 Aの キャッシュフロ ー 計算書 n 1. 連結会社 B の キャッシュフロ ー 計算書 連結会社 C の キャッシュフロ ー 計算書. 簡便法. 乳. キ修 ャ 連結 正 日 ; 仕 H キャッシュフロ ー ュ 計算書 訳 フ ロ I. III. ―. I 浦廷今社 A I 戸 丁. H. 連 結 財 務諸表. ャ修 ッ 正 シ仕. フ訳 ロ ュ. 連結 4 キャッシュフロ ー 計算書. なお, 直接法は, 営業収入, 原材料または商品 の 仕入支出, 人件費支出, その他の営業. 支出について主 要な取引毎にキャッシュフロ. ー. を総額表示する方法である。 こ の ため, 利. 点 と して, 営業取引の規模が分かる と い う「明瞭表示の 長所」 が認められる と いわ れてい. る。 反面, 営業収入や営業支出などの デ ー タ を主 要な取引毎に用意するため, 実務上の手 数がかかる ) 。 この 点, 直接法でも, 上記の よ うな算定公式を用いて貸借対照表 と 損益計 36. 算書からキャッシュフロ. ー. を誘導するならば, 常に, 収益・ 費用の計上基準, 債権・ 債務. と 棚卸資産 の 評価基準 と 評価方法などに左右される と と もに, 算定公式の 増加額 と 減少額. の 間で相殺される可能性があるため, 総額主義が維持されている と はいえない。 他方, 間. 接法は, 税金等調整前当期純利益に, 非資金損益項目, 営業活動にかかわる資産及 び資本・. 負債の増減額 と ,「投資活動によるキャッシュフロ. ー. 」 と 「財務活動によるキャッシュフ. ロ ー 」の区分に含まれる損益項目を加減して, 営業活動によるキャッシュフロ. 37) る 。 この ため, 当期純利益 と キャッシュフロ. ー. ー. を表示す. と の 関係が明示される と い う長 所を有す. 38) るもの と みなされている 。 しかしながら, 間接法では, 貸借対照表 の 資産及 び資本・ 負. 35) 岩崎 彰著(キ ャ ッシ ュ フ ロ ー 計算書) 68 頁 , 71 頁 36) 参照。 企業会計審議会(意見書) 三 「連結キ ャ ッシ ュ フ ロ ー 計算書等の作成基準」 の概要 4 表 示方法;岩崎 彰著(キ ャ ッシュフ ロ ー 計算書) 42-43 頁 37) 参照。 企業会計審議会(作成基準) 第三 表示方法 ー 2 38) 参照。 企業会計審議会(意見書)三「連結キャッシュ フロ ー 計算書等の作成基準」 の概要 4 表\ - 189 ( 343)-.
(14) 第46巻 第 2 号. 債の増減額のすべてを資金として捉えるのではなく て, 営業活動にかかわるもののみを資 金と して捉え, これ以外の投資活動と財務活動にかかわる資産及 び資本・ 負債の増減額,. たとえば, 連結キ ャ ッシ ュ フ ロ ー 計算書に注記すべき重要な非資金取引である, 転換社債 の転換, フ ァ イナンス・ リ ー スによる資産の取得, 株式の発行による資産の取得又は合併 , 現物出資による株式の取得又は資産の交換はもち ろん竺 たとえば, 未払金による設備の. 調達, 長期借入金による社債の返済や, 為替差損のように, 現金預金の増減を伴わなけれ. ば, 資金の変動とはみなさない40) 。. なお, 直接法でも間接法でも, 会計情報シス テ ムを改善し, キ ャ ッシュフロ. ー. をリア ル. タ イムに把握するのではないため, 損益計算の発想から抜ききれておらないとみなさざる. をえない41)42)O. 4. 「キャッシュフロ. ー. 」 分析の問題点. 周知のように, 貸借対照表と損益計算書を利用した実数分析では, 企業の収益力を検討. するものとして,「損益分岐点」指標や, 損益分岐点と実績売上高の差額である「安全余. 裕」 指標が竺 企業の支払能力を示すものとして, 貸借対照表の資産は資金の使途 ( 運用. 形態) , 資本・ 負債は資金の源泉 (調達形態)を示すものと解し, 流動資産 から流動負債. を控除した額, もしく は, 自 己資本と固定負債の合計額である長期資本から固定資産を控 除した額である「正味運転資本」 指標が重視されてきた。 しか しながら, 流動資産には,. 経営活動を継続するために常に保有しなければならない恒常的流動資産と, 経営活動とと. もに変動する一時的流動資産とがあるため, 長期資本から固定資産と恒常的流動資産の合. /示方法 ; see. FASB . : (SF AS95) para. 6, paras. 28-30. ; 参照。 染谷恭次郎著(キ ャ ッ シュ ・ フ ロ ー 会計論) 139 頁 177 頁 224 頁 257 頁 ; 鎌田信夫著( キ ャ ッ シュ ・ フ ロ ー 会計) 54 頁 ; 石 川純治著(キ ャ ッ シュ ・ フ ロ ー 簿記会計論)『 キ ャ ッ シュ ・ フ ロ ー 簿記会計論」 森山害店 1996 年 7 頁, 64--BS 頁, 88 頁, 95-97 頁 39) 参照。 企業会計審議会(作成基準注解) 注 9 ; 由井敏範著 (利益と キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー ) 198 -199 頁 40) 岩崎 彰著( キ ャ ッ シュフ ロ ー 計算書) 41-42 頁 ; see.FASB . : (SFAS95) para. 32 . ; 参照。 染谷恭次郎著( キ ャ ッ シュ ・ フ ロ ー 会計論) 217 頁 41) 参照。 沢 昭人• 浜本 明著( キ ャ ッ シュフ ロ ー) 97 頁, 26 頁 42) この点、 「既にで き あ が っ た貸借対照表と 損益計算書 を調整 し て得 ら れ た キ ャ ッ シュフロ ー 計算 書 は、 た だ単に財 務諸表の数が増 え た だ け で、 何 ら 追加情報を提供 し て いる ことに は な ら な い 。 その た めに も 、 キ ャ ッ シュ フ ロ ー 計算書 は貸借対照表や損益計算書と 同様に、 期中の取 引 活動に 基づい て誘導法に よ り 作成 さ れる べ き で あ り 、 営 業活動に よ る キ ャ ッ シュフ ロ ー も 直接法 で表示 さ れるべ き で あ る」(高田 正淳監修( キ ャ ッ シュ ・ フ ロ ー 計算書)『 キ ャ ッ シュ ・ フ ロ ー 計算書 の 作 り 方 • 読み方」 東京教育情報 セ ン タ ー 1999 年, 37 頁 43) 参照。 拙著( 経営学概論 ) 「経営学概論 』 同文館 1999 年, 296-297 頁 - 1 90 ( 344 )-.
(15) 「キャッシュフロ ー 」概念の使用における問題点についての 一考察(牧浦) 計額を控除した額の変化に注 目 しなければならない44) 。 (参照。 図 5) また, 比率分析では, 安全 性指標として, 貸借対照表の資産 • 負債項目と資本項目を対 比する, 水平的指標(資産 ・資本比率)が重視されてきた。 とりわけ, 流動資産を流動負 債で割って求められる 「流動比率」と, 固定資産を長期資本で割って求められる 「固定長 期適合率」は, 両者の差額が正味運転資本であるため, 企業の支払能力を表示するものと 解されてきたが, 上記の恒常的流動資産と一時的流動資産の区分を認めるならば, 固定資 産と恒常的流動資産の合計額を長期資本で割って求められる 「修正固定長期適合率」指標 を重視すべきである叫 しかしながら, 貸借対照表における固定資産と流動資産という区 分表示は, 資産の換金化もしくは資本の拘束の正確な期間構造, すなわち, 各資産から獲 得される収人の時間上の分布を示すものではないし, たとえば, 流動比率において流動資 産の換金化による流動負債の返済が前提とされているように, 水平的指標は, 収入を特定 の資産部分, 支出を特定の資本調達源泉に帰属させようとしているが, 企業の支払能力を 評価するときには, 債務の一部分が返済されるかどうかが頂要であるのではなくて, 企業 全体に対して生ずるあらゆる支払請求に対応することが重要である。 また, 貸借対照表分 析は, 負債の返済の延期や借り替えの可能 性を考えておらないし, 更に, 追加資本調達能 力や信用限度枠などを無視している46) 。 他方, 企業の収益力を検討する比率分析では, 関 係式 投資利益率 = 利益 + 資本 = (利益 + 売上高) X C売上高 + 資本) = 売上高 利益率 X 資本回転率. に注目して, 投資利益率で評価される収益力を高めるためには,. 費用を削減して, 売上高に対する利益の割合を増加させるか, 投下資本, 具体的には過剰 な資産を削減して, 回収資本である売上高に対する投下資本の割合を増加させることが要 求されている47) 。. 44) 参照。 拙著(経営学概論) 118- 119 頁 45) 参照。 拙著(資金計画論) 7 頁 46) 参照。 拙著 (資金計画 論 ) 8 頁 ; Vgl. Bea, F. X. u. Dichtl, E. u. Schweitzer, M. : (Betriebswirtschaftslehre) Allgemeine Betriebswirtschaftslehre, Band 3. Stuttgart 1990. S. 264-265. ; Drukarczyk, J . : (Finanzierung) Finanzierung. 5. Aufl. , Stuttgart 1991. S. 45-46. 47) 参照。 拙著(経営学概論) 285 頁 - 1 9 1 ( 345 )-.
(16) 第46巻 第 2号 図 5 資本の調連 と 運用 の関係図絹). 正味運転資本. 一 時的 流動資産. 闘. i. 恒常的 流動資産. 動債 �定債 �己本 固負 �自資 流負. 修正固定長期適合率. 定債 �己本 固負 �自資. 定産 固資. 正味運転資本. 定. 産 資. ・ ー―固 一. {. 本. 一資 己 一自. ↑. 正味 → 運転資本. 動債 流負. 流動. 修正固定長期適合率. ところで, 最近, 経営分析では, 利益概念や「正味運転資本」指標に代わるべきものと して「キ ャ ッシュフロ ー 」指標を導入しようとする試みが注目されているが, 実数分析で は, 企業の収益力と支払能力を検討するものとして, 「営業キ ャ ッシュフロ ー 」 指標や 「フ リ. ー. キ ャ ッシュフロ ー 」指標が注目されている。 この点, 前者の 「営業キ ャ ッシュフ. ロ ー 」 指標は, キ ャ ッシュフロ ー 計算書の「営業活動によるキ ャ ッシュフロ ー 」の残額で あり, 後者の「フ リ. ー. キ ャ ッシュフロ ー 」指標は, たとえば, この営業活動によるキ ャ ッ. シュフロ ー の残額から経営に必要な投資維持額を除いた差額であり, 戦略的な投資や有利 ● 子負債の返済と, 配当や 自 社株の購入財源になるものと解されている 9)0 しかしながら,. 資産及び資本 ・負債の増減額と, 「投資活動によるキ ャ ッシュフロ ー 」. と. たとえば, 間接法は, 税金等調整前当期純利益に, 非資金損益項目, 営業活動にかかわる 「財務活 動によ. るキ ャ ッシュフロ ー 」 の区分に含まれる損益項目を加減して, 営業活動によるキ ャ ッシュ フロ ー を表示すると既に述べたように50\ 「営業キ ャ ッシュフロ ー 」 指標は税金等調整前 当期純利益以外に, 営業活動にかかわる資産 • 資本項目と, 投資活動と財務活動によるキ ャ ッ シュフロ ー の区分に含まれる損益項目の増減額の影響を受けており, 支払手段や企業の支 払能力を示すものではない。 また, 比率分祈では, 企業の収益力を検討する比率として, 上記の関係式. 投資利益率 = 利益 + 資本 = ( 利益 + 売上高). = 売上高利益率 x 資本回転率 上高. を応用して, 初項の関係式. X. ( 売 上 高 + 資本). 売上高利益率 = 利益 + 売. に, 利益の代わり, 営業キ ャ ッシュフロ ー を代入して, 営業キャ ッシュフロ ー ・ マ ー. ジン率 = 営業キ ャ ッシュフロ ー + 売上高. が形成される。 その際 営業キ ャ ッシュフロ ー. 48) 参照。 拙著(経営学概論) 116 頁 49) 参照。 岩崎 彰著(キ ャ ッシュフ ロ ー 計算書) 27 頁 50) 参照。 企業会計審議会 (作成基準) 第三 表示方法 ー 2 - 1 92 (346 ) -.
(17) 「キ ャ ッシュフロ ー」 概念の使用に お ける問穎点につ い ての一考察(牧浦). が, 税金等調整前当期純利益以外に, 営業活動にかかわる資産 · 資本項目 と, 投資活動と 財務活動に よ るキ ャ ッシュフ ロ. ー. の区分に含まれる損益項目 の増減額の影響を受けている. とい う上記の事実に対 し て配慮する場合には, 当期純利益 • 営業キ ャ ッシュフ ロ. 当期純利益 + 営業キ ャ ッシュフ ロ + 資本. に相当するものは通常では無 視されている。 また, 企業の支払能力を検討する. を応用 し て, 流動資産の代わりに, 営業. キ ャ ッシュフ ロ ー を代入 し て, 営業キ ャ ッシュフ ロ ー. + 流動負債. ー. ・流動負債率 = 営業キ ャ ッシュフ. が形成される。 その際, 企業の金利支払能力を測定するために, イ ン. ス タ レスト ・カバ レッジ ・ レ シ オ の営業利益の代わりに, 営業キ ャ ッシュフ ロ て, 営業キ ャ ッシュフ ロ 払利息. 率 =. に注 目 し ているが, 第二項の資本回転率 = 売上高. ー. 比率と し て, 流動比率 = 流動資産 + 流動負債 ロ. ー. ー. ・支払利息率 = (営業キ ャ ッシュフ ロ. が算定される場合も多い叫. ー. ー. を代入 し. 十 支払利息). + 支. これらは, 従来の財務諸表分析で使用されてきた関係比率を修正 し て, 営業キ ャ ッシュ. フロ. ー. を代入する, キ ャ ッシュフ ロ. いてキ ャ ッシュフ ロ. ー. ー. 分析であるが, 更に, キ ャ ッシュフ ロ. ー. 計算書にお. 項 目 が営業活動に よ るもの, 投資活動に よ るものと財務活動に よ る. ものに三区分されていることに注 目 し て, 設備投資比率 = 設備投資額 + 営業キ ャ ッシュ フロ. をは じ め, 投資活動には設備投資以外に関連 会社への投融資や企業買収などが含. ー. まれることを重視 し て, 投資比率 = 投資キ ャ ッシュフ ロ. ー. + 営業キ ャ ッシュフ ロ. 算定される場合もみられるが, これら比率は, 固定比率 = 固定資産 + 自 己資本 し た, 修正固定内部比率 = 固定資産 + 内部資金. フロ. ー. 経営は株主を甫 視 し た経営で あ る と い う 立 場 か ら, 1 株 当 た り 当 期 純 利 益 率. 済株式数, 配当性向 = 支払配当金 + 当期純利益. 「配当性向」 = 支払配当金 + 営業キ ャ ッシュフ ロ + 1 株当たり利益. 業キ・ ャ ッシュフ ロ ー. を修正. に相 当 し ている 。 なお, キ ャ ッシュ 52). ( EPS) を修正 し た, 1 株当たり営業キ ャ ッシュフ ロ. フロ. が. ー. ー. ー. = 営業キ ャ ッシュフ ロ. ー. + 発行. を修正 し た, 営業キ ャ ッシュフ ロ. ー. や, 株価収益率 ( PER). を修正 し た, 株価 ・営業キ ャ ッシュフ ロ. ー. ー. 版. = 株価. 率 = 株価 + 1 株当たり営. が注 目 されているが, これらも, 利益の代わりに, 営業キ ャ ッシュ. 53) を用いるものである 。. 参照。 岩崎 彰著(キ ャ ッシュ フロ ー 計算書) 117-119 頁;桜井通晴 • 佐藤倫正編著(キ ャ ッ シュフロ ー 経営) 129---132 頁; 染谷恭次郎著(キ ャ ッシュ ・ フロ ー 会計論) 271-272 頁; 小宮 一 慶著(キ ャ ッシュフロ ー 経営) 98-105 頁; ト ー マ ス 編(キ ャ ッシュ ・ フロ ー 計算書) 199-202 頁 ;鎌田信夫 ・ 斉藤孝ー著(現金収支分 析) 22-23 頁 52) 参照。 染谷恭次郎著(キ ャ ッシュ ・ フロ ー 会計論) 268-270 頁 53) 参照。 岩崎 彰著(キ ャ ッシュ フロ ー 計算書) 121-123 頁;小宮一慶著( キ ャ ッシュ フロ ー 経 営) 106-112 頁; 高田正淳 監 修 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計 算 書 ) 91 - 103 頁 ; see. FASB. : (SFAS95) para . 33 . ; 参照。 染谷恭次郎著(キ ャ ッシュ ・ フロ ー 会計論) 275-276 頁; ト ー マ ス 編(キ ャ ッシュ ・ フロ ー 計算書) 200--201 頁. 51). - 1 93 (347)-.
(18) 第46巻 第 2号 と ころで,「キ ャ ッシュ フ ロ ー 」指標の特徴 は, 関係比率の構成要素 と して営業キ ャ ッ シュ フ ロ ー を利用する と ころにある。 このため, 利益. と りわけ. 営業利益の代わりに, 営業キ ャ ッシュ フ ロ ー を代入するこ と が正当か否か は. 両者の関係を検討しなければなら ない。 この点, 図 6 で示されているよ う に. 営業キ ャ ッシュ フ ロ ー は営業利益 と 運転資本 の増減により規定されている。 このため, 前者の営業利益の増減で は, 関係式 = 売上高 一 売上原価 ー 販売費 ー 一般管理費 関係式. 運転資本 = 売上債権 + 棚卸資産. ー. 営業利益. に基づいて, 後者の運転資本の増減では,. 買入債務. に基づいて, 各構成要素の増減. 額を確認する必要がある丸 (参照。 図 6)また, 投資比率 = 投資キ ャ ッシュ フ ロ ー + 営 業キ ャ ッシュ フ ロ ー. が, 1 以上であれば, 資本調達の必要 性が, 1 以下であれば, 余剰. 資金の発生が予想され, 財務キ ャ ッシュ フ ロ ー で, 営業キ ャ ッシュ フロ ー と 投資キ ャ ッシュ フ ロ ー を調整するための方策が, 計画される と いわれているが55), このよ う な主張で は , 投資活動が主, 財務活動が従 と みなされており, 規模の維持が重視されている。. 図 6 営業キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー %). :t::. ・ 販売 費. 売上高. ・. �f:::§. I. :::!:. 償却前営業利益 運転資本の増加 I. 、. 運転資本の減少 営業キャッシュ フ ロ ー. 5. お わ り に 本稿で は, キ ャ ッシュ フ ロ ー 概念が導入され, 活用されている代表的な分野に内在して いる問題について検討した。 ここで, 検討の結果を簡単に纏めれば, まず, 投資計算の分 野で は, 割引キ ャ ッシュ フ ロ ー 計算の公式に投資効率を表示できない と い う 欠点が内在し ており, 企業の収益力 と 支払能力を保証する投資プロジェクト と 資本調達プログ ラ ム の最 適な組み合わせを選択するに は , 既存の投資決定法で は計算コストが大きすぎるこ と を指 摘した。 次に, キ ャ ッシュ フ ロ ー 計算書 は, 損益計算書 と 有高差額貸借対照表 と , 剰余金 計算書をベ ー スにしており, 資金の範囲に選択の余地があり, 営業活動 • 投資活動 • 財務 54) 参照。 岩崎 彰著(キャッシュフロ ー 計算書) 130-131 頁 ; 鎌田信夫・斉藤孝ー著 ( 現金収支 分析)148 -1 49 頁 55) 参照。 小宮一慶著(キャッシュフロ ー 経営) 154 頁, 50-51 頁 56) 岩崎 彰著(キャッシュフ ロ ー 計算書) 131 頁 - 194 (348)-.
(19) 「キャッ シ ュ フロ ー 」 概念の使用にお ける問題点につ い ての一考察(牧浦). の 三区分表示の ため, 損益計算書で の 営業損益と営業外損益. 活動によ る キャッシュフロ. ー. そ して, キャッシュフロ. 分析で用いられ る 「キャッシュフロ. と特別損益の区別と, 損益計算と利益処分の 区分が軽 視されてい る ことを明らかにした。 ー. ー. 」指標は, 財務諸表分析. で用いられてきた関係比率に, 利益の代わ り に, 営業キャッシュフロ. ー. 本稿で検討したこのような問頴は, いずれも, 割引キャッシュフロ. 計算, キャッシュフ. を代入 す る もので. あ り , 企業の収益力と支払能力を正確に表示でき る かど うかは疑わ しいことを説明 した。 ロ. ー. 計算書と「キャッシュフロ. ー. ー. 」指標の基本構造にかかわ る もの であ る ため, 企業の 収. 益力と支払能力に関す る 経営管理で, このような問題に注意 した り , 問題を克服す る 努力. を放棄 す る ならば, 経営管理に無用な混乱を煮起す る だけであ る とわれわれには思われる 。. ところで, 最近,「利益は オ ピニ オ ンであ り , キャッシュは事実であ る 」 とよくい わ れ. る 叫 この点, 確かに, 利益は発生主義に基づき算定され る ため, 収益と費用の計上基準,. 棚卸資産と有価証券の 評価基準と評価方法, 固定資産 の 償却方法や, 引当金の計上基準な どで選択の 余地があ る ) 。 しか しながら, 本稿で検討 したキャッシュフロ 58. 過程から判断す る と, キャッ シュフロ. ー. ー. 計算書 の作成. は現金と現金同等物の増減とい う事実に基づいて. い る から, 発生主義 の原則に基づいて計算され る 「利益」概念の よ うに, 恣意的な会計処. 理が入 り 込 む余地のない, 透明性が高い情報であ る とみなすことも, 許されない59) 。 また, 建前として, キャッ シュフロ キャッシュフロ. ー. ー. 計算書ではすべての 資金の 流入と流出を対象としてい る が,. 経営において管理され る キャッシュフロ. と呼ばれ, すべての キャッシュフロ 「フ リ. ー. キャッシュフロ. ー. ー. ー. は, フ リ. ー. キャッシュフロ. ー. を意味してい る わけではない60) 。 この 点, たとえば,. 」指標については, 営業活動によ る キャ ッ シュフロ. ー. の 残額 か. ら経営に必要な投資維持額を除いた差額であ り , 戦略的な投資や有利子負債の 返済と, 配. 当や 自 社株の 購入財源にな る もの とい う既に述べた解釈以外に帆 税引後の 営業利益に現. 金支出を伴わない費用であ る 減価償却費を加え, そこから運転資本投資額と固定資産投資. 額 を差し引いて計算される とか62\ 営業活動による キャッシュフロ ー と投資活動による キャッ 57). 参照。 桜井通晴 • 佐藤倫正編著(キャッ シ ュ フロ ー 経営) 27 頁; 中沢 恵 • 池田和朗著(キャッ シ ュ フロ ー 経営 人門) 24 頁; 土井秀生著( 連結キャッ シ ュ フロ ー 経営)「 連結キャッ シ ュ フロ ー 経営と戦略的意思決定』 同文館, 1999 年, 5 頁 58) 参照。 岩崎 彰著(キャッ シ ュ フロ ー 計算書) 135 頁; 小宮 一慶著(キャッ シ ュ フロ ー 経営) 136 頁 ; 高田正淳監修(キャッ シ ュ ・ フロ ー 計算書) 27 頁 59) 参照。 岩崎 彰著(キャッ シ ュ フロ ー 計算書) 22-23 頁 60) 参照。 桜井通晴•佐藤倫正編著(キャッ シ ュ フロ ー 経営) 17 頁 61) 参照。 岩崎 彰著(キャッ シ ュ フロ ー 計算書) 27 頁 62) 参照。 桜井通晴•佐藤倫正編著(キャッ シ ュ フロ ー 経営) 18 頁 ; 中沢 恵 • 池田和朗著(キャッ シ ュ フロ ー 経営 入門) 63 頁 - 1 95 (349 ) -.
(20) シュフ ロ. 第46巻 第 2 号. ー. の純額と同等なもの63\ 営業キャッシュフ ロ. 額を控除した残額や, 営業キャッシュフ ロ. ー. 得すると期待されるフリ ー キャッシュフ ロ. ー. ー. から現状維持に必要な設備投資. から設備投資額と配当金を控除した残額な. ど竺 多様な解釈がなされている実状にもかかわらず , 「企業価値は将来にその企業が獲 か竺 「フリ ー キャッシュフ ロ. ー. 65>. (期待 FCF) の現在価値で求められる」と. は使用せずに, 手元資金として維持 す るのではなくて,. 借入金の返済などによる財務体質の改善, 配当金の増額や 自 社株の購入などによる株主還. 元, 新規事業の開拓や 吸収合併などの戦略投資のために活用しなければならない」と主張 しても•n , 実際に, 財務計画を作成 するのに役立つのであ ろ うか。 そして, 成長性, 安定. 性や安全性に関して経営活動を検討する場合には, 少な く とも, キャッシュフ ロ. ー. を将来. の複数期間について予測する必要がある。 しかしながら, 目下提案されている, キャッシュ フロ. ー. 分析やキャッシュフ ロ. ー. 計算書は一期間分析である。 われわれは, たとい, 資金の. 内容がキャッシュに相当するものであるとしても, つまり, フ ォ ン ド概念の限定に問題が 無いとしても, 複数期間分析でなければ, フ ロ. ー. を分析する こ とはできないと考える。 こ. の点, 貸借対照表値はストッ ク (時点値) であるが, 損益計算書値と同様, キャッシュフ ロ. ー. フロ. 値はフ ロ ー. ー. 値と主張しても, 一期間値である こ とには変わりはない。 なお, キャッシュ. 経営は株主を重視した経営であるとい う立場から, 注目されている, 株式投資利益. 率(ROE) はいうまでもな < , 1 株当たり当期純利益率(EPS) を修正した, 1 株当たり 営業キャッシュフ ロ. ー. や, 株価収益率(PER) を修正した, 株価 ・営業キャッシュフ ロ ー. 率 = 株価 + 1 株当たり営業キャッシュフ ロ おわりに. 今回のキャッシュフ ロ. ー. ー. 68) も単年度指標である 。. 計算書の導入により, 国際水準に追いついたとい う. 雰囲気にわれわれは失望する者である。 経営管理に係わる者は, 既存の管理方法に安住す. る こ とは許されない。 企業の状態についてより正確に診断できる方法を常に開発 ・改善し, 国際的にリ ー ドするとい う姿勢を採り続けなければならない。 今 後, 既にできあがった貸. 借対照表と損益計算書を剰余金計算書に基づいて調整する こ とにより, キャッシュフ ロ. ー. 63) 参照。 桜井通晴•佐藤倫正編著 (キ ャッシュフ ロ ー 経営) 19-20 頁 64) 参照。 小宮一慶著 (キ ャッシュフ ロ ー 経営) 74 頁, 78 頁, 86 頁 ; 高橋良造著 ( 資金会計論) 135 -136 頁 65) 参照。 沢 昭人• 浜本 明著 (キ ャッシュフ ロ ー) 102-104 頁; 染谷恭次郎著 (キ ャ ッシュ ・ フ ロ ー 会計論) 266-268 頁 66) 参照。 中沢 恵 • 池田和朗著 (キ ャッシュフ ロ ー 経営入門) 131 頁; 小宮 一 慶著 (キ ャ ッシュ フ ロ ー 経営) 74 頁; 由井敏範著 (利益とキ ャッシュ ・ フ ロ ー) 198 頁; ト ー マ ス 編 (キ ャッシュ ・ フ ロ ー 計算書) 11 頁, 215-219 頁 67) 参照。 岩崎 彰著 (キ ャッシュフ ロ ー 計算書) 155 頁; 小宮一慶著 (キ ャ ッシュフ ロ ー 経営) 140-141 頁 84 頁 68) 参照。 中沢 恵 • 池田和朗著 (キ ャッシュフ ロ ー 経営入門) 105 頁; 小宮 一 慶著 (キ ャ ッシュ -196 (350)-.
(21) 「 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 」 概念の使用 に お け る 問題点 に つ い て の 一考察 (牧浦). を逆算で き る こ と か ら , 実務上簡便 と み な さ れ, 普及す る で あ ろ う , 間接法で表示 さ れ た キャ ッ シュ フ ロ. ー. 計算書 に ,. ど の よ う な 追加情報 を 開示す る 能力 が存在す る の か は疑問で. あ る 。 「資金計算書が, 直接的 に 資金 の 変動 に 焦点 を 置 く こ と に よ っ て , 69). よ び貸借対照表 に 含 ま れ な い 情報 を 提供す る こ と を 目 的 と し て い る 」. 損益計算書 お. な ら ば, 資金 の 変. 70). 動 を 取引 毎 に 直接記録 し , 損益取引 と 分離 で き る , 新 し い会計情報 シ ス テ ム を構築 し な け 71) ればな ら な い 。. 参. 1) 2) 3) 4) 5). 6). 7) 8) 9). 考. 文. 献. Albach, H.: (Investition) Investition und Liquiditl!t. Wiesbaden 1962. ( 溝 ロ 一 雄. 幸男訳 「設備投資 と 資金計画」 ダ イ ヤ モ ン ド 社 1964年). APB.: (APB0.3.) Accounting Principles Board Opinion No.3.. ・. 後藤. "The Statement of. Source and Application of Funds" 1963.. APB.: (APB0.19.) Accounting Principles Board Opinion No.19. "Reporting Changes in. Financial Position" 1971.. Bea, F.X. u. Dichtl, E. u. Schweitzer, M.: (Betriebswirtschaftslehre). Betriebswirtschaftslehre, Band 3. Stuttgart 1990.. 土井秀生著 (連結キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 経営) 「連結キ ャ ッ シ ュ フ ロ. 館 1999年. ー. Allgemeine. 経営 と 戦略的意思決定」 同 文. Drukarczyk, J.: (Finanzierung) Finanzierung. 5.Aufl., Stuttgart 1991.. F ASB.: (SFAS95) Statement of Financial Accounting Standards No.95. "Statement of. Cash Flows" 1987.. 石川純治著 ( キ ャ ッ シ ュ. 1996年. ・. フロ. 岩崎 彰著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ. 聞社 1999年. ー. ー. 簿記会計論) 『 キ ャ ッ シ ュ. 計算書) 『 キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー. ・. フロ. ー. 簿記会計論」 森 山 書店. 計算書の見方. ・. 作 り 方』 日 本経済新. 1 1). Juesten, W.: (Cash-flow) Cash-flow und Untemehmensbeurteilung, 4.Aufl., Berlin 1980.. 12). 鎌田信夫. 10). 13). 鎌 田信夫編著 (資金情報開示) 「資金情報開示の理論 と 制度」 白 桃書房 1991年 鎌 田信夫著 (資金会計) 「資金会計の理論 と 制度の研究』 白桃書房 1995年 ・. 斉藤孝ー著 (現金収支分析) 「現金収支分析の新技法』 中央経済社 1997年. 参照。 高 田 正淳監修 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計算害) 36-37 頁 ; 由井敏範著 (利益 と キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー ) 152-153 頁 176 頁 ; 石川純治著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 簿記会計論) 30 頁 ; 杉本典之 ・ 洪 慈乙著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書) 101-102 頁 70) 鎌田信夫著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計) 131 頁 71) 参照。 鎌 田信夫著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計) 59 頁 227-240 頁 ; 染谷恭次郎著 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 会計論) 159-169 頁 362 頁 ; 由井敏範著 (利益 と キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー ) 186-187 頁 ; ト ー マ ス 編 ( キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー 計算書) 38 頁 ; 杉本典之 ・ 洪 慈乙著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書) 65 頁, 169---178 頁 ; 鎌 田信夫著 (資金会計) 183-203 頁. 69). - 1 97 (35 1 )-.
(22) 14). 15). 16). 鎌 田信夫著 ( キ ャ ッ シ ュ. ・. フ ロ ー 会計) 「キ ャ ッ シ ュ. 企業会計審議会 (意見書) 「連結 キ ャ ッ シ ュ フ ロ. 1998 年. ー. 企業会計審議会 (作成基準) 「連結キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ・. フ ロ ー 会計」 税務経理協会 1 999 年. 計算書等の作成基準の設定 に 関す る 意見書」 ー. 計算書等の作成甚準」 1998 年. 17). 企業会計審議会 (作成基準注解) 「連結 キ ャ ッ シ ュ フ ロ. 19). 牧浦健二著 (経営財務概論) 『経営財務概論J 中央経済社 1990 年. 18). 小宮一慶著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー. 経営) 「キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー. ー. 計算書等の作成基準注解」 1998 年. 経営」 東洋経済新報社. 20). 牧浦健二著 (投資決定論) 『 ド イ ッ 投資決定論J 森山書店 1993 年. 22). 牧浦健二著 (経営学概論) 「経営学概論』 同文館 1999 年. 21) 23) 24) 25). 牧浦健二著 (資金計画論) 中沢. r ド イ ツ 資金計画論』. 森山書店 1997 年. 恵 • 池田和朗著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 経営入門) 『 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 経営入門』 日 本経済新. 聞社 1998 年. 日 本公認会計士協会 (実務指針) 「連結財務諸表等に お け る キ ャ ッ シ ュ. 関す る 実務指針」 1998 年 沢. 昭人 • 浜本. 明著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ. ー. ) 「キ ャ ッ シ ュ フ ロ. 高橋良造著 (資金会計論) 『資金会計論」 税務経理協会 1995 年. 28). 桜井通晴 • 佐藤倫正編著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ. 29) 30). 31) 32) 33) 34). ・. フ ロ ー 計算書の作成に. 早 わ か り 」 中経出版 1999 年. ー. 26). 27). 1998 年. 佐藤倫正著 (資金会計論) 「資金会計論」 白 桃書房 1993 年. 1999 年. ー. 経営) 『 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 経営 と 会計」 中央経済社. Schoppen, W.: (Finanzlage) Darstellung der Finanzlage mit Hilfe der Kapitalflul?,. rechnung, Dusseldorf 1982. 染谷恭次郎著 ( キ ャ ッ シ ュ. 杉本典之. 版 1995 年. ・. 洪. ト. ー. ー. 1999 年. マ ス編 (キ ャ ッ シ ュ. 清文社 1999 年. フ ロ ー 会計論) 「キ ャ ッ シ ュ. 慈乙著 ( キ ャ ッ シ ュ フ ロ. 高田正淳監修 ( キ ャ ッ シ ュ. 京教育情報セ ン タ. ・. ・. ・. ー. 由井敏範著 (利益 と キ ャ ッ シ ュ. ー. ・. 計算書) 「 キ ャ ッ シ ュ フロ. ー. フロ. ー. 会計論」 中央経済社 1999 年. 計算書) 『 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 計算書』 東京経済情報出. フ ロ ー 計算書) 「キ ャ ッ シ ュ. フロ. ・. ・. ・. フロ. フロ. ) 『利益 と キ ャ ッ シ ュ. - 198 (3 52)-. ー. ・. ー. 計算書の作 り 方 • 読み方」 東. 計算書. 作成実務 と 経営管理」. フ ロ ー 会計」 白 桃書房 1997 年.
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