歌唱法の研究 : 独唱と合唱の比較検討
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(2) 資料及び参考文献. 意見は実際的で,更に本アプローチによる 調査が進められることにより,両方の差異. 第I章では声楽史の比較を行った。独唱 史と合唱史の性格を概観的に取扱い,宗. 理学のSD法や音響学の音質評価語を用い. 教・世俗における歴史過程の偏在や個々の. ることも今後検討されるべきであろう。. 作曲家の功績を検討した。第■章ではアン. 音響学的考察ではモデル間の差異が得. ケートを用いて独唱・合唱歌唱の形容を試. られ,歌手の特性によって及ぼされる影響. みる。意識調査を通して合唱の歌唱法構築. が異なる可能性も示された。歌手は独唱モ. にあたる課題を検討した。第皿章では独唱. デルで音量を出すことを意識し,対して合. モデルと合唱モデルを設定した歌唱録音. 唱モデルでは音量を調整している。今回検. を音声分析にかけ,実際的な歌唱上の差異. 討した3人の歌手は歌曲的な歌唱,オペラ. を科学的アプローチの導入により検討す る。以上本論文を通して,3つのアプロー. 的な歌唱の傾向をもった歌手に分れた。楽. チを用いて比較検討を行った。. 手もいた。分析から各々の結果を得,程度. を明確にできると思われる。調査に音楽心. 曲に応じて巧みに歌唱法を調整できる歌 の差はあるが全員において,息の運び方や. これ迄に各々の黄金期を生んだ社会的背 景をはじめ音楽史上要求される歌唱は差. 母音性にモデル間で差が生じていること が判明した。現時点で音響学的アプローチ には限界があるが,録音を用いた分析から 導き出せる結論は客観的で,専門性を高め. 異を有すると考えられる。独唱は歌曲に始. れば歌唱法の体系化に有益であると考え. まるが17Cにはオペラを生み,劇音楽が 本格的に発展するとともに歌唱法も深め. られる。スンドベリJ.Sundberg(1936∼). の音響学研究が歌唱の音声分析について. られた。合唱音楽は,神に祈りを捧げる音. 詳述しており,歌手のフォルマントの概念. 楽としての聖歌に端を発したものが,現代. を初め,多くの見識を授かった。. でもソレム唱法などで継受されている。ま. 声楽実技への指向性を持った観点から. た,近代で土壌をアマチュアに移したこと. の独唱・合唱の比較検討には歌唱実技上の. に伴う独自の成長過程を持っている。結果. 可能性があり,今後も研究が進められるこ. として独唱と合唱の歌唱法における要求. とが望ましい。科学的研究を含め独唱にお. 事項は異なっており,それは現代の各々の. けるベル・カント唱法を中心とした歌唱法. 歌唱法に反映されていると考えられる。. の,独唱と合唱で互換性のある唱法の体系. アンケート上の形容詞を用いた言語表. 化と理論化,中世・ルネサンス教会合唱音. 現にも対照的な差がみられた。独唱はより. 動的で個性を主張する外向的な表現で形. 楽の出自となるグレゴリオ聖歌やルネサ ンス期の教会合唱音楽に関する声楽実技. 容され,合唱は静的な表現や親密さ,内向. 面での歴史的研究によって,合唱独自の歌. 的な性格を持った形容詞が選択された。独. 唱法が広められることも期待される。. 皿結論及び今後の課題 独唱・合唱は別個の声楽史的特徴を有し,. 唱は個性が求められる,声量を要し,音楽 の全責任を負う,合唱よりも身体性が重要 であるといった意見,合唱は正確な音程を 重視し,声を合わせることが必須である,. 練習時間が長く声の調整を伴うといった. 主任指導教員 保坂博光 指導教員 保坂博光.
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