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歌唱法の研究 : 独唱と合唱の比較検討

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Academic year: 2021

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(1)歌唱法の研究. ∼独唱と合唱の比較検討∼. (論文要旨).       兵庫教育大学 学校教育研究科 教育内容・方法開発専攻 文化表現系教育コース.           M111821並河 彩. I論文の背景. 法は独唱の借用に留まりがちである。独唱.  既存の合唱における歌唱法研究は独唱. と比較して歴史的背景・音楽的表現・音響. の歌唱法研究に比して少ない。独唱は古楽. 的特性で合唱に別個の特徴があることを. で中世騎士歌曲,カメラータのモノディや. 再確認し,歌唱の理想としてのベル・カン. マドリガーレの歴史を経て,1637年(通説). ト唱法を手掛かりに合唱独自の歌唱法の 必要性を検討する。従来唱えられるノン・. にマネッリ F.Mane11i(1594∼1667)の 《Andromeda》が劇場で上演され世俗的な. ラ盛期の後17−18Cには華やかなベル・カ. ヴィブラート唱法や個性を捨てるといっ た合唱の表現は実際的でなく偏りがある。 独唱・合唱の両立を視野に入れ相対的かつ. ントの時代を迎える。声楽的技巧の極致を. 中立的に捉えた歌唱法の可能性を検討す. 経てオペラを土壌に歌唱法は円熟し,これ. る。. 劇音楽が社会と共に発展,バロック・オペ. を現代に継受すべくガルシア M.Garcia(1805∼1906)による喉頭鏡の発. 皿論文の構成と手法. 明やヘルムホルツH.L.He1mho1tz(1821∼. 序章. 1894)の音響学,フースラーF.Hus1er(1889. 第I章 歴史学的アプローチによる独唱と合唱の. ∼1969)の発声法等の科学的アプローチを.    比較検討. 含む歌唱研究の時代に至る。独唱の歌唱法. 第1節独唱と合唱の歴史年表. は史的研究,発声法の内容共に専門機関で. 第2節 独唱と合唱の歴史年表の分析. 実際に教授され,ここにはベル・カント唱. 第皿章 統計学的アプローチによる独唱と合唱の. 法やリートにおけるドイツ唱法その他の 呼称を伴った一定の目指されるべき歌唱.    比較検討. 法のコンセンサスがある。.    容.  合唱では主に修道院のグレゴリオ聖歌 を元に徐々に成長した教会ポリフォニー 音楽が15−16Cに黄金期を形成しパレスト. 第2節 独唱と合唱に関するアンケート調査の結.    果と分析. リーナG.P.Pa1estrina(1525∼1594)やバ.     較検討で分かること. ードW.Byrd(1543∼1623)らを輩出する。. 第皿章 音響学的アプローチによる独唱と合唱の. 宗教改革を経て社会の変遷に伴い音楽は.     比較検討. 市民社会に舞台を移し,オペラが人気を博. 第1節 独唱と合唱のモデル化した歌唱録音. する中,後期ロマン派では独を中心にアマ. 第2節 独唱と合唱をモデル化した歌唱録音の音. チュア合唱運動が台頭して,合唱は19C 後半を通し諸国の国民楽派にも受容され.    声分析. た。アマチュアが合唱を担う状況は依然と.    で分かること. して存在し,故に合唱の歌唱法,特に発声. 終章 前章までを総合した独唱と合唱の比較検討. 第1節 独唱と合唱に関するアンケート調査の内. 第3節アンケート調査からみた独唱と合唱の比. 第3節 歌唱録音からみた独唱と合唱の比較検討.

(2) 資料及び参考文献. 意見は実際的で,更に本アプローチによる 調査が進められることにより,両方の差異. 第I章では声楽史の比較を行った。独唱 史と合唱史の性格を概観的に取扱い,宗. 理学のSD法や音響学の音質評価語を用い. 教・世俗における歴史過程の偏在や個々の. ることも今後検討されるべきであろう。. 作曲家の功績を検討した。第■章ではアン.  音響学的考察ではモデル間の差異が得. ケートを用いて独唱・合唱歌唱の形容を試. られ,歌手の特性によって及ぼされる影響. みる。意識調査を通して合唱の歌唱法構築. が異なる可能性も示された。歌手は独唱モ. にあたる課題を検討した。第皿章では独唱. デルで音量を出すことを意識し,対して合. モデルと合唱モデルを設定した歌唱録音. 唱モデルでは音量を調整している。今回検. を音声分析にかけ,実際的な歌唱上の差異. 討した3人の歌手は歌曲的な歌唱,オペラ. を科学的アプローチの導入により検討す る。以上本論文を通して,3つのアプロー. 的な歌唱の傾向をもった歌手に分れた。楽. チを用いて比較検討を行った。. 手もいた。分析から各々の結果を得,程度. を明確にできると思われる。調査に音楽心. 曲に応じて巧みに歌唱法を調整できる歌 の差はあるが全員において,息の運び方や. これ迄に各々の黄金期を生んだ社会的背 景をはじめ音楽史上要求される歌唱は差. 母音性にモデル間で差が生じていること が判明した。現時点で音響学的アプローチ には限界があるが,録音を用いた分析から 導き出せる結論は客観的で,専門性を高め. 異を有すると考えられる。独唱は歌曲に始. れば歌唱法の体系化に有益であると考え. まるが17Cにはオペラを生み,劇音楽が 本格的に発展するとともに歌唱法も深め. られる。スンドベリJ.Sundberg(1936∼). の音響学研究が歌唱の音声分析について. られた。合唱音楽は,神に祈りを捧げる音. 詳述しており,歌手のフォルマントの概念. 楽としての聖歌に端を発したものが,現代. を初め,多くの見識を授かった。. でもソレム唱法などで継受されている。ま.  声楽実技への指向性を持った観点から. た,近代で土壌をアマチュアに移したこと. の独唱・合唱の比較検討には歌唱実技上の. に伴う独自の成長過程を持っている。結果. 可能性があり,今後も研究が進められるこ. として独唱と合唱の歌唱法における要求. とが望ましい。科学的研究を含め独唱にお. 事項は異なっており,それは現代の各々の. けるベル・カント唱法を中心とした歌唱法. 歌唱法に反映されていると考えられる。. の,独唱と合唱で互換性のある唱法の体系.  アンケート上の形容詞を用いた言語表. 化と理論化,中世・ルネサンス教会合唱音. 現にも対照的な差がみられた。独唱はより. 動的で個性を主張する外向的な表現で形. 楽の出自となるグレゴリオ聖歌やルネサ ンス期の教会合唱音楽に関する声楽実技. 容され,合唱は静的な表現や親密さ,内向. 面での歴史的研究によって,合唱独自の歌. 的な性格を持った形容詞が選択された。独. 唱法が広められることも期待される。. 皿結論及び今後の課題  独唱・合唱は別個の声楽史的特徴を有し,. 唱は個性が求められる,声量を要し,音楽 の全責任を負う,合唱よりも身体性が重要 であるといった意見,合唱は正確な音程を 重視し,声を合わせることが必須である,. 練習時間が長く声の調整を伴うといった. 主任指導教員 保坂博光   指導教員 保坂博光.

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