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ランダムウォークのマルチンゲール性に基づく解析

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Academic year: 2021

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(1)ランダムウォークのマルチンゲール性に基づく解析 教科・領域教育学専攻 自 然系 土 一 ス. M l 0 1 7 1 C 後  藤  寛  貴. 1 研究の目的. ンダムウォークであることを示す..  本論文のテーマはランダムウォークをそのマル. 2 論文の概要. チンゲール性に基づいて考察することである..  ランダムウォークとは,数直線の整数点,例え. 以下,修士論文の概要について述べる.. ば原点0から出発し確率ρ(ρ∈(0,1))で斗1,確率. 第1章「ランダムウォークの性質」では,まず,. (1_ρ)で_1移動することを独立に繰り返す運動             1 のことである.特に,ρ=一のとき,対称ランダム             2 ウォークと呼ぶ.このようなランダムウォークは,. 本論文の主題であるランダムウォーク(刈につ. 古く350年位前にその概念の萌芽が見られるが,そ. の性質である「独立増分性」と「定常増分性」に. れ以来,ランダムな運動を表す確率過程の基本的. ついて考察した.このr独立増分性」とは,重なら. なモデルとして,様々な観点からのアプローチに. ない時間区間において,ランダムウォークの増分. よってその性質が明らかにされている.現在にお. が独立であるという性質であり,r定常増分性」と. いては,その応用範囲は数学内に限定されるもの. は,ランダムウォークの増分の確率分布が,時間の. ではなく,物理学,生物学,経済学などにおいても. シフト(平行移動)に依存しないという性質であ. 広がっている.. る.これらはランダムウォークの基本的な性質であ.  著者は,このランダムウォークに非常に興味を持. り,本章の重要な主張である.. ち,研究の対象とすることにした.特に,本論文で. は,1930年代に導入され,その後確率過程論の重. いて正確な定義を与える.次に,ランダムウォーク.  第2章rマルチンゲール」では,確率過程として のマルチンゲールを定義する.そのために,フィル. 要概念として定着してきたマルチンゲール性を通 じてランダムウォークを解析することを中心課題 とする.具体的には,主に次のような問題を考察 する.一つ日は,「破産問題」である.これは,ラ. ンダムウォークにかかわる問題として古典ともい えるものである.この問題に対して,古来より知 られている差分方程式によるアフロ」チとともに,. マルチンゲールによるアプローチによって解答を 与える、二つ目は,対称ランダムウォークをマルチ ンゲールによって特徴付けることである.さらにそ の応用として,折り返しランダムウォークが対称ラ. トレーションと呼ばれる増大情報系を定義する.こ れは,時間とともに発展するσ一加法族であり,“情. 報”を数学的に表現したものである.このマルチン. ゲールとフィルトレーションが本論文における重 要概念である..  次に,マルチンゲールに関する結果である「任意. 停止定理」を述べ,証明を与える.また,停止時 刻によって定まるσ一加法族を定義し,その性質のい. くつかを述べる. さらに,「任意抽出定理」を述. べる.上記2つの定理は,マルチンゲールに関する 重要な結果であり,本論文においても非常に重要な. 一322■.

(2) プローチと,マルチンゲールによるアプローチと2. 役割を担う..  第3章「マルチンゲール表現定理」では,確率過. 程がマルチンゲールになるための必要十分条件を. 与える1これが「マルチンゲール表現定理」であ. 通りの方法で解答を与える.さらに,原点Oから出. 発したランダムウォークが初めて位置1に到達す る時間の期待値も具体的に求める.. り,本章の主要定理である.第6軍とも関連があり,.  第6章「ランダムウォークの特徴付け」では,ま. 対称ランダムウォークの特徴付けの際にも応用さ. ず,第2章のマルチンゲール表現定理を応用して,. れる.章末には,この定理によって得られるマルチ. 確率過程が対称ランダムウォークであるための必. ンゲール表現の例をいくつか述べる.. 要十分条件を与える.さらに,対称ランダムウォー.  第4章「離散確率解析」では,「ドゥーブ・メイ ヤー分解定理」とr離散伊藤公式」が,重要な主張 である.まず,ドゥーブ・メイヤー分解定理ついて 述べる.この定理は,可積分な適合過程がマルチン. ゲールと可予測過程の和に一意的に分解できると いうものである.本定理により,適合過程の構造を. クのマルチンゲール性に基づく特徴付けを与える.  次に,後者の応用として,折り返しランダムウォー. クが対称ランダムウォークであることの証明を与 える.初等的にこのことを示すことは可能である が,相当長いものになる.本章では上記の特徴付け. を応用することで,マルチンゲールの観点から簡 潔明瞭に証明することができる.. 明らかにすることができる..  次に,r離散伊藤公式」を述べる.この結果によ.  第7章r付章」では,第1章から第6章までを述. り,議論を拡張するために,適合過程と関数との合. べるにあたり,既知とする測度論に関する基本的な. 成によって得られる新しい確率過程の構造(ドゥー. 定義,定理を記す、特にr優収束定理」は本論文で. ブメイヤー分解)が明らかになる.さらに,この. 有用な役割を果たす定理である.また,rラドン・ニ. 新しい確率過程がマルチンゲールになるための必. コディムの定理」は第2章の条件付き期待値を定. 要十分条件を与える.. 義する際に必要な定理である..  第5章「破産問題」では,まず,ランダムウォー.  なお、本論文の主たる参考文献については,ラン. クの基本的性質である強マルコフ性を示す.この. ダムウォークに関する基本的立場のよりどころと. 性質を通じ,破産問題や初到達時間分布を求める.. したのは,藤田岳彦著,rランダムウォークと確率. 次に,ランダムウォークにおけるr破産問題」を考. 解析 ギャンブルから数理ファイナンスヘ」であ. 察する.これは,ランダムウォークがどのような確. る.また,測度論的確率論については,佐藤坦著,. 率で目標に到達するのかを調べる問題である.本. rはじめての確率論 測度から確率へ」,マルチン. 章では,ランダムウォークがr対称な場合」とr非. ゲールに関する諸概念については,舟木直久著,「確. 対称な場合」について,それぞれ2つのアプローチ. 率論」を参考にした.これらの文献の著者に感謝. による解法を与える.また,破産問題の数値例も調. いたします.. べ,卜対称な場合」とr非対称な場合」では,たとえ 目標を低く設定しても,まったく違う結果が得られ ることがわかる..  次に,ランダムウォークの初到達時間分布を考察. する.これは,原点0から出発したランダムウォー. クが初めて位置1に到達する時間の分布を求める. 主任指導教員 藤原  司. という問題である.本章では,確率母関数によるア. 指導教員藤原 司 一323一.

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