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行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書

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(1)行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. 論 説. 行政に対する団体訴訟における参加権的構成 についての覚書 宮澤 俊昭 Ⅰ 本稿の課題 Ⅱ 団体訴訟の参加権的構成をめぐる議論の整理—日本における議論の状況 (1)オーフス条約と EU における法状況 (a)オーフス条約 (b)環境問題における市民参加についての EU における指令 (2)ドイツにおける環境に関する団体訴訟 (a)オーフス条約以前の状況 (b)オーフス条約以後の状況 ア 環境・法的救済法 イ 環境損害法 (3)比較法的研究から示されている日本法への示唆 (a)司法アクセス権という視点から (b)協働権という視点から Ⅲ 団体訴訟の参加権的構成の意義 (1)参加権を基礎として実体的違法性を争う団体訴訟制度は可能か (a)司法アクセス権という視点に基づく議論の検討 (b)協働権という視点からの議論の検討 247.

(2) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). (2)団体の参加権を実現するための団体訴訟を論じる意義 Ⅳ 団体訴訟制度と憲法理論との関係 (1)検討の対象—環境権をめぐる議論 (a)何のために検討するのか (b)何を対象として検討するのか (2)環境権についての憲法改正提案をめぐる議論の概要 (a)ワーキング・グループによる改正提案 (b)憲法に環境関連規定を導入する法的意義をめぐる議論 (c)改正提案をめぐる議論 ア 国家の環境保護義務ないし国家目標の設定について イ 環境権規定について (3)検討—団体訴訟制度の制度設計における憲法理論の位置づけ Ⅴ 結びに代えてー団体訴訟の参加権的構成に向けた議論のあり方 (1)本稿の検討のまとめ (2)団体訴訟の参加権的構成に向けた議論のあり方 (a)実体法的根拠という視点から (b)訴訟法的救済という視点から. Ⅰ 本稿の課題 (1)団体訴訟制度の実体法的構成の類型 筆者は、別稿において、団体訴訟制度の実体法的構成を次のように類型化す ることを提案した 1)。 まず、大きく団体訴訟制度の法的構成として次の三つの類型を示しうる。そ れは、①団体が、行政法理論から導かれる法的地位に基づいて行政事件訴訟制 度を通じて行政主体に訴えを提起するという構成、②団体が、私法理論から導 かれる法的地位に基づいて民事訴訟制度を通じて私的主体に訴えを提起すると 248.

(3) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. いう構成、③団体が、行政法理論から導かれる法的地位に基づいて民事訴訟制 度を通じて私的主体に訴えを提起するという構成の三類形である。 行政主体に対する団体の訴えを認める制度を構築する場合は、①の類型をと ることになる。①の類型では、 (α)団体に行政手続への参加権を認めたうえで、 その参加権の侵害に対する司法的救済として参加を求める給付訴訟や参加権侵 害を理由とする行政処分の取消訴訟等を認めるという構成、 (β)行政の適法 性確保・客観的法秩序維持を目的とする客観訴訟としての構成、 (γ)不特定 多数者の具体的利益・環境法的利益等の従来の私人の実体的権利とは異なる性 質を持つ何らかの新しい利益を観念したうえで、それを法律上の利益として団 体に抗告訴訟の原告適格を認める主観訴訟としての構成、という三つの具体的 構成が考えられる。 他方、私的主体に対する団体の訴えを認める制度を構築する場合は、②の類 型と③の類型をとりうる。②の類型は、民事実体法理論に基づいて私的主体に 認められる法的地位を実体法的基礎とするのに対し、③の類型は、行政法理論 に基づいて行政主体の代役として私的主体に認められる法的地位を実体法的基 礎とする。 ②の類型をとる場合には、その団体の法的地位を基礎付ける民事実体法理論 によって、さらに次の二つの具体的構成を観念しうる。 (α)対象となる利益 を個別利益に分析することが可能な場合、伝統的な古典的私権の体系に基づく 規範群に引き寄せることができる部分について、根幹秩序における権利根拠規 範に関わるものとして構成する。 (β)対象となる利益の公共的利益の側面を 直接見据え、外郭秩序における権利根拠規範に関わるものとして構成する。α の構成の場合には、伝統的な古典的私権の体系に基づいて制度設計をおこなう ことになる。他方、βの構成の場合には、理論的に空白となっている外郭秩序 における権利根拠規範が問題となるため、その根拠となる理論の構築が大きな 課題となる。 ③の構成をとる場合には、行政法理論として、私人による行政との議論など 249.

(4) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). を踏まえて、その正当化のために必要となる理論を明らかにする必要がある。. (2)考察の目的 本稿は、以上(1)で示した類型のうち、①の(α)に沿った法的構成のも とで団体訴訟を論じる意義を明らかにし、さらに制度構築をする場合の議論の 方向性を模索することを目的とする。以下、団体訴訟の参加権的構成をめぐる 現在の日本における議論の整理から、考察を始める。. Ⅱ ‌団体訴訟の参加権的構成をめぐる議論の整理—日本における議論の 状況 (1)オーフス条約と EU における法状況 (a)オーフス条約 団体の参加権を基礎においた行政に対する団体訴訟について活発な議論が展 開されているのが、環境法領域である。日本における議論では、特に EU の動 向に議論の焦点が当てられており、その議論において出発点に位置づけられて いるのが、1998 年 6 月にデンマークのオーフスで開催された第 4 回汎欧州環 境閣僚会議において採択され、2001 年 10 月 30 日に発行した「環境に関する 情報へのアクセス、意思決定への市民参加、及び、司法へのアクセスに関する 条約 2)」 (以下「オーフス条約」と記述)である 3)。 オーフス条約は、締約国(条約を批准する国)が、環境に関する、①情報へ のアクセス権(同条約 4 条) 、②政策決定への参加権(同条約 6 条) 、③司法へ のアクセス権(裁判を受ける権利) (同条約 9 条)を、全ての人に保障するこ とをその目的としている(同条約 1 条)4)。オーフス条約の前文は、これらの 権利の基礎に、健全な環境に生きることを内容とする人権としての環境権があ ることを示している 5)。オーフス条約においてこのように定められている①~ ③の三つの権利のうち、団体訴訟との関係で重視されているのが、③司法への 250.

(5) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. アクセス権についての規定である。 オーフス条約 9 条は、まず 1 項において、加盟国に対して、情報開示請求(同 条約 4 条)が不当に認められなかったと考える者に対して、開示請求の取り扱 いについて裁判所やその他の公正な独立機関において再検討を求めることがで きるように保障することを求めている 6)。続いて 2 項において、加盟国に対し て、①十分な利益を有する関係市民、または②締約国の行政手続法が前提条件 としている場合には権利の侵害を主張する関係市民が、所定の許可決定への市 民参加に関する決定、作為、不作為の実体的合法性または手続的合法性を争う ため、裁判所などにおいてその決定の再検討を求める権利を保障することが求 められている。 このような司法へのアクセス権は、情報へのアクセスや市民の参加を紙の上 だけのものではなく現実のものとすることを確保する役割を果たすものと評価 されている 7)。 (b)環境問題における市民参加についての EU における指令 オーフス条約をうけて、環境影響評価指令(85/337/EEC)および統合的汚 染防止規制指令(96/61/EC)を改正した「環境に関わる計画及びプログラム 策定に関する市民参加を定める指令(2003/35/EC) 」 (以下「市民参加指令」 )8) や、環境法規の実体的・手続的瑕疵を是正するために環境団体に広く訴権を認 める趣旨をもつ「特定の公共及び民間プロジェクトの際の環境アセスメントに 関する指令(85/337/EC) 」 (以下「改正アセス指令」と記述)9)などが定めら れた。なお、市民参加指令の前文に掲げられている立法理由においては、その 9 項および 11 項において、オーフス条約に対応するために、アセス指令の改 正を行う旨が明記され、また、市民参加指令 1 条においては、アセス指令の枠 内で市民参加を改善し、司法アクセス規定を設けることにより、オーフス条約 に対応することが、市民参加指令の目的として掲げてられている 10)。 このほか、原因者に未然防止・修復措置を義務付けるとともに、市民・環境 251.

(6) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). 団体に参加権および訴権を認めることを柱とする「環境損害の未然防止および 修復についての環境責任に関する指令(2004/35/EC) 」 (以下「環境責任指令」 と記述)も定められている 11)。本指令に基づいて、一定の要件を満たす個人 や環境団体は、所管行政庁に意見を提出し、特定の措置を執るよう要求し、さ らには所管行政庁の決定を訴訟で争うことができるものとされる。なお、市民 参加指令が主に許認可又は環境影響評価手続における参加について定めている のに対し、環境責任指令は、関係市民や環境団体に一種の規制発動請求権を付 与するものであるという違いがあるとされる 12。. (2)ドイツにおける環境に関する団体訴訟 (a)オーフス条約以前の状況 以上のような条約・指令に基づいて、加盟各国において、団体訴訟が法制化 されている 13)。そのなかでも、とくに日本において中心的に紹介され、議論 されているのが、ドイツの動向である 14)。 ドイツでは、オーフス条約や各指令が発効する以前から、環境法領域に おいて団体が行政に対して訴えを起こす団体訴訟が法制化されていた。こ れ ら 環境法領域 に お け る 行政訴訟 と し て の 団体訴訟 は、①団体被害者訴 訟(Verbandsverletztenklage) 、②参加訴訟(Mitwirkungsklage) 、③私益的 団 体 訴 訟(egoistishsche Verbandsklage) 、④公益的団体訴訟(altruistische Verbandsklage) 、という四つに類型化されている 15)。このうち、オーフス条 約や市民参加指令、改正アセス指令と関連するのは、②参加訴訟と④公益的団 体訴訟である 16)。 参加訴訟とは、法律による特別に認められた参加権が侵害された場合に団体 が提起する訴訟であり、 手続法的団体訴訟とも呼ばれる 17)。環境法の領域では、 連邦自然保護法が、環境 NPO の承認制度を設け、承認団体に、一定の行政手 続における特別の参加権(意見表明権・専門家鑑定書の閲覧権)を付与してい る 18)。この手続的権利は公権であり、その侵害に対し、団体は、参加を求め 252.

(7) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. る給付訴訟(参加強制訴訟:Partizipationserzwingungsklage)が提起できる。 さらに、参加権侵害を理由として、承認団体は、行政措置の実体的違法を主張 することなく、当該行政決定の取消訴訟などを提起することが可能であるとさ れている 19)。 他方、公益的団体訴訟とは、不特定多数の市民に関わる環境利益そのものを 守り、違法な環境行政の是正を目的とする団体訴訟をいう 20)。公益的団体訴 訟は、自己の権利侵害の有無にかかわらず団体の原告適格を認める点で、個人 の権利保護を基本とする行政訴訟制度の例外をなすものであり、特別の法律の 規定が存在する場合にのみ許容される 21)。2002 年の連邦自然保護法の改正に よって、それまでは州法上の規定に基づいて認められてきた公益的団体訴訟 が、一定の客観法的規制を前提とした行政措置に対象を限定して、連邦自然保 護法に導入された 22)。連邦自然保護法においては、 従来の州法の規定と同様に、 公益的団体訴訟を、承認制度に基づいて参加権を有する承認団体にのみ認めて いる 23。また、公益的団体訴訟を提起するにあたっては、当該行政手続におい て、団体が自己の参加権を行使したか、または参加の機会が与えられなかった ことが求められる 24。さらに、当該承認団体が、参加手続のなかで主張し得た にもかかわらず主張しなかった異議については、訴訟の段階で初めてこれを主 張することはできない 25。このような要件が設けられているのは、①あり得る 疑念については行政手続の段階で検討できるようにするとともに、②行政決定 の受益者を不意打ちから保護するためであるとされている。 (b)オーフス条約以後の状況 ア 環境・法的救済法. 前述(a)で見たような 2002 年の連邦自然保護法改正の後、オーフス条約や 市民参加指令にも対応することが求められるなかで、 「EC 市民参加指令に基 づく環境事項の法的救済に係る補完的規定に関する法律」 (以下、 「環境・法的 救済法」 と記述) が 2006 年 12 月に施行された 26)。 環境・法的救済法においては、 253.

(8) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). 一定の要件を満たす承認団体が、自己の権利侵害を主張することなく訴訟を提 起できる旨が定められているが、その訴訟において、承認団体は、 「個人の権 利を根拠付ける」環境法規違反しか主張しえないものとされており、裁判で主 張できる違法理由が制限されている。この様な制限の根拠として、ドイツでは、 オーフス条約 9 条 2 項などが個人について権利侵害を要件とすることを認めて いるので、団体訴訟についても権利侵害型のしくみを採用することが許される、 という見解が示されていた。また、環境・法的救済法によって導入された新た な団体訴訟については、 結局、 権利を侵害された個人の「代位訴訟」でしかなく、 通常の訴訟以上に司法のチェック機能を強化するものではないという点が指摘 されている。さらに、ドイツでは、他の EU 諸国と異なり、主観訴訟と客観訴 訟の厳格な区別が維持されてきたが、新たな団体訴訟は、いわば両者の「ハイ ブリット型」の訴訟であるということもでき、団体訴訟の法的性質に関し、新 たな理論的課題を投げかけている点が指摘されている。加えて、オーフス条約 や市民参加指令の基準を充たすものではない、という厳しい批判もなされてい た 27)。 このような条約あるいは指令への適合性についての批判のあるなかで、環 境・法的救済法について、改正アセス指令への適合性が争われたのが、リュー ネン石炭火力事件である 28)。この事件では、リューネン市において建設が計 画された石炭火力発電所についての予備許可及び一部認可について、環境・法 的救済法に基づき取消訴訟が提起された。この訴えに対し、ミュンスター上級 行政裁判所は、 「個人の権利を根拠付ける」環境法規に関わらない違法がある が、環境・法的救済法によれば訴えを棄却するほかないとしたうえで、欧州司 法裁判所に対し、先行判決を求めた。これに対して、欧州司法裁判所は、オー フス条約やアセス指令の目的に照らし、権利侵害を要件とすることによる主張 制限を環境団体に適用することはできないとし、ドイツの国内法に基づく適格 団体は、改正アセス指令 10a 条に直接基づいて、幅広く環境法規違反を争うこ とができる旨を判示した 29)。この判決により、環境法規違反を包括的に争う 254.

(9) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. ことのできる団体訴訟が整備されなければならず、個人と同等の訴権を付与す るだけでは不十分であることが確認された、とされる 30)。また、環境・法的 救済法が改正されるまでは、この問題に関し、改正アセス指令が直接に適用さ れ、ドイツは、再度の環境団体訴訟改革が迫られているとされる。 イ 環境損害法. ド イ ツ に お い て は、2007 年 に 制定・施行 さ れ た「環境損害 の 未然防止及 び浄化に関する法律」 (以下「環境損害法」と記述)に基づく団体訴訟も存 在する 31。環境損害法は、環境責任指令に対応するために制定されたもので ある。ドイツにおいては、事後的な損害賠償責任を中核とする私法上の環境 責任(Umwelthaftung)について、環境責任法が存在するほか、民法の不法 行為規定(BGB823 条など)によって規律されている 32。これに対して、一 般警察法 や 部門法(連邦土壌保全法等)の 公法規定 に 基 づ く 公法上 の 責任 (Verantwortlichkeit)には、原因者責任と状態責任があり、基本的に、危険防 止(事前措置)や浄化措置(事後措置)に関する義務を内容とする。環境損害 法は、公法上の責任としての環境損害の未然防止・浄化に関する一般的な枠組 みを定め、他の法律を補完する法律であるとされ、私法上の責任は対象として いない。このような性格をもつ環境損害法においては、環境責任指令と同様に、 行政庁が浄化措置を決定する場合の参加、および行政庁が適切な措置をとらな かった場合の作為請求権という二種類の市民参加規定が置かれている。さらに、 環境・法的救済法を準用することにより、同法と同様に承認団体に参加権が与 えられ、その参加権の存在を基礎として、団体訴権が付与されている。すなわ ち、環境損害法は、環境損害が生じている場合の浄化措置の決定に関する参加 権を団体に認めており、その参加権を有する団体は、浄化措置に対する作為請 求権を付与されることになる。他方、環境損害は生じていないが直接的危険が 迫っている場合には、環境損害法に基づく参加権が団体に認められていないた め、危険の未然防止措置に対しては、団体訴訟は認められないことになるとさ 255.

(10) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). れる。. (3)比較法的研究から示されている日本法への示唆 (a)司法アクセス権という視点から 以上(2)に見たような国際的状況を踏まえて、まず、司法アクセス権のあ り方という視点から、日本法への示唆が導かれている 33)。 高村ゆかりは、環境保護と人権を関連づけ、市民と公権力の民主的な相互作 用を通して環境保護を促進しようという特徴を持つオーフス条約が、条約は、 情報へのアクセス、市民参加を、最終的には司法手続を通じて実現できる法的 権利として保障していることに着目をし、 「市民参加」という視点から、日本 法への示唆を汲み取る。すなわち、市民参加の広がりと実質化にはまだ課題も 多い日本において、市民参加が、形ばかりでなく、広がりと実質を持つために は、情報開示と市民参加が、恩恵的に付与されるのではなく、不当に認められ なければ法的手段に訴えて実現しうる「権利」として保障されることが不可欠 である、というものである 34)。 大久保規子は、EU において環境分野の原告適格を最も制限している国の一 つであるドイツでさえ、限定的とはいえ公益団体訴訟制度を導入していること に鑑みれば、環境団体の原告適格が原則として認められず、自然保護訴訟にお いて却下判決が続く日本の状況は、国際的に特異な状況にあるといわざるをえ ないとし、その一因として、参加権と司法アクセス権を一体的に保障するとい う発想に乏しかったことをあげる 35)。また、オーフス条約では、司法アクセ スの保障は参加の実効性を確保するために不可欠のものと考えられているのに 対し、 参加の拡大が司法アクセスの拡大につながっていないことが、 日本のパー トナーシップ施策の特徴であるとしたうえで、NGO も含め、原告適格を広く 解釈するとともに、法治主義の観点から環境法規違反の行為にあまねく司法コ ントロールを及ぼすため、何らかの公共利益訴訟の導入を具体的に検討すべき である、ともしている 36)。このほか、団体訴訟について、環境団体がその設 256.

(11) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. 立目的に係る環境利益の保護を追求する限り、それは純粋な客観訴訟ではなく、 むしろ主観訴訟と捉えるべきであるが、だからといって、行訴法 10 条 1 項の 主張制限を厳格に捉えるべきではなく、環境利益の性質および行政の適法性確 保という行政訴訟の目的に照らしても、また、条文の定め方からみても、環境 利益と何らかの関係がある事項であれば、環境に影響を与えるプロジェクトの 必要性や財政的合理性を含め、これを主張することが許されると解されるべき である、とする 37。さらに、適格団体の要件については、多くの EU 諸国と同 様に、環境保護を設立目的として実際に活動していることという程度の緩やか な内容にするべきであると主張する 38。 大原有里は、やはりオーフス条約との比較において、環境法分野における司 法的救済の機会が日本では限定されていることを指摘した後、存在しない将来 世代の利益も考慮される環境保護の分野では、環境は個人の利益であるばかり でなく、公共の利益でもあると考えるのが妥当であり、そうしてみた場合に、 公共の利益を扱う手法として団体訴訟の導入が必要となると主張する 39)。 (b)協働権という視点から 小澤久仁男は、団体が自然保護という国家的任務を補完してきたという歴史 的経緯を基礎に現行の団体訴訟制度が構築されていると言う点にこそ、ドイツ の団体訴訟制度の特徴がある点を指摘する 40)。そして、 それが侵害されれば 「手 続法上の団体訴訟」 (verfahrensrechtliche Verbandsklage)という訴訟類型を 用いて行政手続への参加を求める訴えを提起できる意見表明権や記録閲覧権と いった「協働権」 (Mitwirkungsrecht)の行使と公益的団体訴訟の当事者適格 とが明確に結びつけられていることから、ドイツにおける公益的団体訴訟が、 全体としての行政訴訟制度における例外としての位置づけの与えられる客観訴 訟とは異なる団体訴訟として捉えうる、すなわち、全体としての行政訴訟制度 と整合的に位置づけられているとする 41)。この点が日本における団体訴訟導 入の議論の参考となるとされている 42)。 257.

(12) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). Ⅲ 団体訴訟の参加権的構成の意義 (1)参加権を基礎として実体的違法性を争う団体訴訟制度は可能か 本稿のよって立つ団体訴訟制度の実体法的構成の類型からみれば、現在の議 論においては、団体の参加権を基礎とする団体訴訟の構成(①−α)を基礎と することによって、客観訴訟(①−β)あるいは主観訴訟(①−γ)としての 構成の団体訴訟を一体的に制度化しうる、という示唆を EU・ドイツにおける 団体訴訟の参加権的構成の議論から導いている、とまとめることができる。す なわち、前述Ⅱ(3) (a)でみた司法アクセス権という視点からの示唆として、 市民参加に関する国際的動向、とりわけ一定の市民に手続的違法性に加えて実 体的違法性も争いうるとするオーフス条約に着目をし、参加権と司法アクセス 権を一体的に保障する必要性が主張されている。また、前述Ⅱ(3) (b)でみ たドイツにおける協働権という視点からは、協働権の行使と公益的団体訴訟の 当事者適格とが明確に結びつけられていることが、全体として公益的団体訴訟 が、行政訴訟制度と整合的に位置づけられているとする。このように、参加権 を基礎として実体的違法性を争う団体訴訟制度を日本法体系のもとで正当化す ることは、可能なのであろうか。 (a)司法アクセス権という視点に基づく議論の検討 司法アクセス権という視点に基づく議論は、オーフス条約や EU における指 令、さらにはそれを受けた EU 諸国、とりわけドイツの動向を基礎とし、これ らの国際的動向が正当化根拠として示されると分析できる。しかしこれは、政 策的な正当化と言わざるを得ない。日本法における団体訴訟制度の正当化のた めには、このような国際的動向という政策的正当化とは別に、法理論上の正当 化が必要となろう。この法理論的正当化の文脈のなかで、ドイツ法の強い影響 を受けている日本法での議論においては、原則として自己の権利侵害を主張す る者にのみ行政訴訟の原告適格を認めているという点で共通するドイツにおけ 258.

(13) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. る法状況に注目すべきである。 前述Ⅱ(2)で見た通り、ドイツでは、オーフス条約 9 条 2 項などが個人に ついて権利侵害を要件とすることを認めているので、団体訴訟についても権利 侵害型のしくみを採用することが許されるという解釈のもと、環境・法的救済 法においては、争いうる実体法的違法は、個人の権利を根拠付ける環境法規違 反に限定された。これは、主観的権利侵害を前提とする行政訴訟制度との整合 性を図るためとされる。これに対して、リューネン火力発電事件における欧州 司法裁判所の判決は、オーフス条約やアセス指令の目的に照らし、権利侵害を 要件とすることによる主張制限を環境団体に適用することはできないと判示し た。司法アクセス権についての国際的動向を重視する見解は、このようなドイ ツにおける状況を捉えて、一方で EU におけるドイツの特殊性を示し、他方で、 国際的には、実効的な司法アクセスという観点に立って広く原告適格を認める 方向にあることを示す。 しかし、理論的正当化という視点から見た場合、ドイツの議論は、国内法体 系の外側にある条約・指令といった法的正当化根拠をもとにしていることを無 視することはできない。すなわち、権利侵害を要件とすることによる主張制限 を環境団体に適用することはできないという解釈が取られたオーフス条約およ び改正アセス指令に基づいて、手続的適法性のみならず、実体的適法性も争う 余地を認められていることが、参加権と司法アクセス権を一体的に保障するこ との法的な正当化根拠となっている 43)。しかし、日本は、オーフス条約に加 盟している訳ではなく、また EU に属している訳でもない。そのため、このよ うな日本国内法体系の外部にある規範に基づく正当化をすることはできない。 すなわち、日本国内法体系の内部で、体系的・理論的な正当化を行う必要があ る。 そして、以上のようなドイツと日本の法状況の違いを踏まえれば、EU のな かで司法アクセス権について消極的な位置づけとされるドイツにおける議論の 展開からは、次のような示唆を導くべきであろう。すなわち、自己の主観的権 259.

(14) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). 利の侵害を前提とする訴訟制度をもつ国において、国内法体系の外にありなが らも法的拘束力のある条約や指令のような法規範の存在がなければ、市民参加 の文脈における手続的権利(参加権)を基礎として自らの実体法上の主観的権 利に関わらない実体法的違法、とりわけ客観法的違法の是正を達成させること は理論的に困難である、という示唆である。この示唆に基づけば、参加権のよ うな手続的権利を基礎とした団体訴訟(団体訴訟の参加権的構成)は、ドイツ における参加訴訟や手続的瑕疵を理由とする取消訴訟のような訴訟類型に限定 して論じるべきである、という帰結を導かざるを得ない 44)。 (b)協働権という視点からの議論の検討 協働権という視点からの議論は、ドイツにおいて、手続的権利としての協働 権を基礎として、公益的団体訴訟を行政訴訟制度と整合的な位置づけ、すなわ ち客観訴訟とは異なる位置づけが与えられているとする分析する。そして、こ の背景に、団体が自然保護という国家的任務を補完してきたという歴史的経緯 があることを強調する。 しかし、ここで問題となるのは、日本において、ドイツにおけるのと同様の 団体の手続・制度的な文脈における歴史的背景は存在していないという点であ る。また、団体の手続への参加の法的状況という点でも状況は異なる 45)。こ の意味において、ドイツにおける議論を日本に取り込むことには限界があると いうべきであろう。日本法の視点から見れば、実体的な協働権が与えられた団 体について、その行使を実効化するということは、団体の手続的権利を実現す るための参加強制訴訟等の団体訴訟を制度化する、という形で理論的に正当化 する根拠となりえよう。また、客観法規違反の予防・是正等を目的とする公益 的団体訴訟が、別個の何らかの根拠によって正当化された場合において、紛争 の複雑化・長期化をさけるため(紛争解決の適正化のため)に協働権との連関 を政策的に求めることも十分に可能といえよう。だが、それを超えて客観法規 違反の予防・是正等を目的とする公益的団体訴訟を協働権によって理論的に正 260.

(15) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. 当化することは、前述したようなドイツと日本の歴史的背景の違いに鑑みれば、 すくなくとも日本法においてはできないといわざるをえない。. (2)団体の参加権を実現するための団体訴訟を論じる意義 以上の検討から、少なくとも現在の日本の法状況を前提とするならば、参加 権というような手続的権利を基礎として、実体法的違法を予防・是正するため の団体訴訟を制度化することはできない(行うべきでない)と結論づけられる。 実体的違法を予防・是正するための団体訴訟制度については、市民参加の文脈 ではなく、正面から、団体に何らかの利益を認める形での主観訴訟として、あ るいは個別の私人に帰属する主観的利益ではない利益の実現を目的とする客観 訴訟として、その理論的基礎付けを行っていくべきであろう。 他方、 本稿のよって立つ団体訴訟の実体的構成の整理の下での①- α の構成、 すなわち団体に参加権を認めたうえで、その参加権の侵害に対する司法的救済 として参加を求める給付訴訟(参加強制訴訟)や参加権侵害を理由とする行政 処分の取消訴訟等を認めるという構成を論じることには、次のような意義があ る。 まず、司法アクセス権の視点からの議論においては、市民参加が、形ばかり でなく、広がりと実質を持つためには、情報開示と市民参加が、恩恵的に付与 されるのではなく、不当に認められなければ法的手段に訴えて実現しうる「権 利」として保障されることが不可欠である、と主張されている。このような主 張の是非を考えるに当たっては、日本法体系の中で、市民参加の文脈で団体に 手続的権利を認めることが理論的・政策的に正当化されるのか、さらにはその ような手続的権利が認められるとするならば、その権利を実効的に実現するた めに、団体はいかなる訴訟が可能となるのか、といった問題について独立して 検討をする必要がある。 さらに、協働権という視点からの議論において、ドイツにおいて、団体が自 然保護という国家的任務を補完してきたという歴史的経緯があることが、公益 261.

(16) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). 的団体訴訟を含めた団体訴訟制度の基礎となっているという指摘がなされてい ることも重要である。 前述(1)で検討した通り、手続的権利としての参加権・協働権を、実体法 的違法を予防・是正するための主観訴訟あるいは客観訴訟としての団体訴訟制 度の理論的根拠とすることは、少なくとも日本においてはできないといわざる を得ない。しかし、団体に認められる手続的権利としての参加権・協働権を明 らかにするということは、行政過程における団体の法的地位を明らかにするこ とにもつながる。そして、このような行政過程における団体の位置づけは、実 体法的違法を予防・是正するための主観訴訟あるいは客観訴訟としての団体訴 訟を論じるにあたっての指針を導きだす基礎となる可能性を秘めているともい えよう。いいかえれば、団体訴訟を参加権的に構成することを目的として行政 過程における団体の位置付けを論ずることにより、ドイツにおける団体をめぐ る歴史的経緯に替えうるだけの理論的基礎付けを示すことができるのではない か。 それでは、団体訴訟の参加権的構成は、日本において、どのように法的に正 当化されるのであろうか。この問題を全て明らかにするには、現状の筆者の能 力が決定的に不足している。そのため、以下では、このような議論のあり方を 考える際に、まず問題となる憲法上の議論との関係を検討する。そのうえで、 現在の議論状況に照らし合わせて、どのような問題についてどのような方向で 考察を加えていくことが求められるのか、と言う点について、問題の提起を行 うこととしたい。. Ⅳ 団体訴訟制度と憲法理論との関係—環境権をめぐる議論からの示唆 (1)検討の対象—環境権をめぐる議論 (a)何のために検討するのか 団体訴訟制度の法的構成を論じるにあたっては、憲法上の問題との関係を論 262.

(17) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. じる必要がある。この憲法上の問題と団体訴訟制度の関係について、島村健は、 次の二つに分けて議論の構図を捉えている 46)。第一が、団体訴訟の政策的な 必要性・有用性を主張する立法論が存在している場合に、そのような制度の創 設ないし設計を消極的に限界づける規範的論拠としての憲法理論との関係であ る。すなわち、団体訴訟の導入により、憲法上の要請に抵触するか否かを論じ るという構図である。他方、第二に、団体訴訟の導入の正統性を積極的に支え る規範的論拠としての憲法理論との関係である。 このうち、第一に示される憲法理論は、団体訴訟の政策的な必要性・有用性 と、制度設計に必要となる具体的な理論構成が明らかにされたのちに、問題と なるものといえよう。これに対して、第二に示される憲法理論は、そのような 政策的な必要性・有用性や制度設計に必要となる具体的な理論構成の前提とも なるものである。そして、このような議論の整理のもとでは、団体訴訟の具体 的な法的構成を論じるにあたって、何よりも先に、団体訴訟の導入の正統性を 積極的に支える憲法理論を確立にすることが求められ、これが明確にされなけ れば制度の正当性・正統性が損なわれることになる、とも考えられる。仮に、 このように考えるのであれば、団体訴訟制度を論じるにあたって、個別法領域 における考察を行う前に、まずどのような憲法理論が制度を積極的に根拠付け るか、について論じなければならないことともなろう。果たしてそのような順 序で考察を行う必要があるのであろうか。以下では、以上のような議論の先後 を明らかにするための検討を行う。 (b)何を対象として検討するのか 本稿での考察の対象としている団体訴訟の参加権的構成に関する議論におい て中心的に扱われてきた環境団体訴訟をめぐる議論においては、オーフス条約 に重要な位置が与えられている。このオーフス条約は、人権としての環境権を、 市民参加の基礎として位置づけている 47)。このようなオーフス条約を基礎に すえている従来の議論との関連からすれば、日本法における憲法上の環境権を 263.

(18) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). めぐる議論を、ここでの検討の対象とするに相応しいといえよう。そこで、以 下では、憲法上の環境権に関する日本における議論を、検討の対象とする。 日本における憲法上の環境権の議論は、公害問題が深刻化した 1970 年代か ら、継続的に行われてきた 48)。近時においては、2000 年に設置された衆議院 憲法調査会においても、 「環境」に関して議論がなされるところとなり 49)、改 めて、憲法上の環境権に関しての議論が深められるところとなった。理論的な 検討を行う本稿においては、特に、近時公表された研究者のグループによる具 体的な改正提案と、それをもとにしてなされた議論を中心に検討を加える 50)。. (2)改正提案をめぐる議論の概要 (a)ワーキング・グループによる改正提案 大塚直は、様々に示されている憲法改正提案について、必ずしも問題の本質 を理解していないものや、法的な検討が不十分であるものがあることを指摘し、 憲法に環境関連規定を盛り込むことが必要であるか、さらに仮に盛り込むとし たらどのようなものになるのか、という問題に対して、現在の憲法学と環境法 学からの検討の必要性を指摘する 51)。このような問題意識のなか、9 名の研究 者により結成されたワーキンググループ(以下「WG」と記述)において憲法 環境規定・環境基本法規定のあり方について検討が加えられ、公表された 52)。 この WG の基本スタンスは、次の 3 点にあるとされる 53)。第 1 に、憲法の 改正が適切か否か、現行憲法の他の条文の改正が適切か否かについては環境法 の問題ではないため、判断することはせず、WG としては、仮に憲法改正をす るならば、という仮定の下で議論をしたことである。第 2 に、現行憲法の基本 的な考え方は、できるだけ変更しないことである。第 3 に、環境問題について、 現行憲法でどこが不足するか、解釈で十分に対応できないかという観点から検 討することである。 このようなスタンスのもと行われた WG での議論は、次のようにまとめら れている 54)。まず、国家の環境保護義務規定ないし国家目標規定をおくこと、 264.

(19) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. および、手続的な参加権としての環境権の規定をおくことについては、一致を したとされる。他方、それ以外の実体的な環境権規定を置くことについては意 見が分かれたとされる。意見が分かれた点は、第 1 に、環境について、公益と しての面に加えて私益としての面もあると見るか否か、第 2 は、現在世代と将 来世代を含めた国民の生命健康などの基盤となる環境のコアの部分について、 現在世代の国民が十分に代表できないとも考えられるが、この問題を全て現在 の多数決民主主義にゆだねてしまって良いとみるか、である。 以上のような議論を前提として、環境権を個人の人権としても認める考え方 に立った A 案と、環境は公益であるとの考え方に立った B 案の二案が提案さ れている 55)。 (b)憲法に環境関連規定を導入する法的意義をめぐる議論 大塚直は、憲法に環境に関連する規定を導入する場合の具体的な法的意義を 次のように整理する 56)。 まず、国家の環境保護義務ないし国家目標の規定を導入された場合には、国 家が環境に関連する活動(立法・行政・司法のあらゆる活動)を行う場合、環 境に十分な配慮をしないときは、憲法に違反する可能性が生じるとされる。そ こで、環境保護の後退禁止義務、過少保護禁止義務(リスク事前配慮義務)の ほか、参加立法義務、団体訴訟立法義務、原因者負担優先原則立法義務、一定 の環境情報作成義務などが発生すると考える余地が生じる。 また、環境防御権、環境社会権、環境参加権のそれぞれについて、別個に法 的意義が整理されている。環境防御権の規定をおく意義として、人格権以外に ついては、一部の景観、入浜権など、環境に関連する私益を一応確定しうる場 合についてのみ、防御権を行使できることになるに止まるとされる。環境社会 権をおく意義としては、一定の場合 57)に、国の措置に対する違憲訴訟が提起 できることにあるとされる。環境参加権をおく意義としては、環境に関する手 続的権利が国家に対する権利として保障されることになるとされる。そして、 265.

(20) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). オーフス条約を参考として、①環境情報請求、②立法・行政の意思決定過程へ の市民参加、③司法アクセスの三つの手続の保障に関する(団体訴訟を含む) 立法などについて、違憲審査を求めうることが含まれるともされる。 (c)改正提案をめぐる議論 ア 国家の環境保護義務ないし国家目標の設定について. 大塚直は、国家の環境保護義務が豊富な内容を含んでいることに加えて、次 の二つの理由を挙げて、国家の環境保護義務規定をおく重要性を主張する 58)。 第一は、環境権に関する規定だけでは、どのような訴訟がなされるかによって 環境保全がアドホックになされるだけとなり、全般的な環境保全に対する目配 りがしにくいと言わざるを得ないという理由である。第二は、行政がすでに作 り出している環境情報の公開・開示のみならず、必要な環境情報を行政などが 新たに作り出すことを根拠付けうるという理由である。 松本和彦は、まず、日本国憲法は、近代的意味の憲法(立憲的意味の憲法) であるという立場、すなわち、一方において国家に権力を与え、国家が社会に 対して権力的に介入することを許容し、他方において、そのような国家が自ら の権力を適切に行使するよう義務付け統制する規範である、という立場を基本 とすることを明示する 59)。そのうえで、国民の生命・自由・財産の保護に加 えて環境保全も国家目的(国家の存立目的)になったとするドイツの議論を 紹介しつつ、国家の環境保全義務を単なる理論で終わらせないために、国家の 環境保全義務を憲法改正によって明記することの意義を見出しうるし、このよ うに明記しても現行憲法の体系と調和することはあれ矛盾することはないとす る。 高橋滋は、規定の抽象性の問題は残るが、後述する権利規定に際して生じる ものよりも問題性の程度は低いことを指摘したうえで、憲法 25 条 2 項が社会 福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進することについての国の義務を定 めているために、同項との並びにおいて、環境施策に関する国家義務・国家 目標規定を創設することは、憲法政策論としてはあり得るとする 60)。ただし、 266.

(21) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. 国家義務の履行・国家目標の達成を制度的に促進する法的枠組みが併せて確立 されない限り、単独でこのような規定を設けても、立法・司法に対する影響は 限定的なものとならざるを得ず、また、予防原則のような環境法上の固有の原 則を憲法レベルのものにまで引き上げることは困難であることから、環境施策 の策定・環境影響のある決定に対する参加のしくみを、環境法領域における基 本法である環境基本法に盛り込む等の措置が併せて必要になるとする。 イ 環境権規定について. 大塚直は、国家の環境保護義務規定以外に、環境権規定をおくことに肯定的 な立場をしめす 61)。この理由としては、環境法学的観点から機能的に考察す れば、国家の環境保護義務を果たすことに対する市民のイニシアティブを必要 とすることをまず挙げる。さらに、次の二つの理由も示す。第一が、 (現代世 代と将来世代を含めた国民の)生命・健康・財産などに関わる価値が問題とな ることである。第二が、それらの価値が現在の国民の活動の結果生ずるもので あるにも関わらず、それが(現在ではなく)将来、重大な結果を発生させる課 題であるために、粗雑に扱われる可能性が極めて高いので、現在の国民の多数 意見できめることにそもそも疑問の余地があることである。 しかし、特に現行憲法の基本的人権の体系との関係で、環境権規定の導入を 否定する見解が極めて強く主張されている。 松本和彦は、現行憲法において環境権は保障されておらず、かつ憲法を改正 して環境権規定を導入する必要はないとする立場を明示した上で、環境に関す る規定を憲法に設ける場合について考察を加えている 62)。まず、現行憲法に よって環境権が保障されていないという根拠として、明文規定がないことに加 えて、環境権が現行憲法の権利規定になじまない特異性を持っていることを挙 げる。すなわち、①環境権は個人の利益というよりも公共の利益を保護の対象 としていること、②環境権の享有主体を限定することが困難であること、③環 境権によって義務づけられる相手方が必ずしも国家(公権力)に限定されない こと、から、環境権が特異であることが示される。そして、もともと公共の利 267.

(22) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). 益をどのように利用し、 どのように配分するかは、 民主的な政治プロセスによっ て決定されるべき事柄であり、環境に関する問題も、公共の場で議論を重ねて 合意が得られるようにつとめるべきであるとされる。しかし、民主的政治ブロ セスに不全がある場合、具体的には、将来世代に執って著しく不利益に働く可 能性が高い場合には、将来世代の利益をも決定に反映させるように認めさせる 必要が認められる。そのため、防御権や社会権としてではなく、参加権として ならば、 環境権を認める可能性はあるとする。しかし、 やはりこのような権利は、 現行憲法の既存の権利から見て異質であり、憲法上の権利の体系に修正を迫る 可能性があることから、こうした新規の権利を憲法に盛り込もうと努力するよ りも、戦略的環境アセスメントの手続や団体訴訟の創設などの検討など、今ま でのように地道に法律制度を構成していくほうが生産的である、と結論が述べ られる。 石川健治は、まず、憲法をアップグレードするのは当然だとする発想は、立 憲主義の伝統的思考要式からの離脱を意味している点において、権力の立憲主 義的統制からの解放を求める政治の本来的欲求と軌を一にしており、両者は極 めて容易に結合可能であることを指摘する 63)。そして、言説空間における憲 法改正論の持つ意味を論じたうえで、戦後日本における憲法改正論議の構造上、 隠された動機に対する審査密度を高めて改憲の必要性をチェックする必要があ るとする。そして、憲法に環境規定を新設することの必要性判断のためには、 ①現状で何が保護義務の対象になっており、新しい環境規定を導入することで、 従来保護されていない法益が保護の対象となるかどうか、②それは憲法改正レ ファレンダムによって解決するに値する、根本的な内容を伴っているかどうか、 をそれぞれ慎重に見極める必要があるとする。この必要性の検討において、ま ず、人権を「現在及び将来の国民に対し」永久の権利として信託すると規定す る憲法 97 条を例に出して、将来世代に良好な自然環境を受け渡す現代世代の 責任は、現行規定でも読み込むことができるため、将来世代の保護は、必ずし も環境規定の新設の必要性を裏付けないとする。他方、人間のために環境を保 268.

(23) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. 護しようとする発想である「人間中心主義」から、生態系それ自体を保護する とする発想である「生圏中心主義」を選び取ることを前提とするならば、憲法 25 条 1 項の生存権条項を廃止し、現行の同 2 項を「最低限度」性の強調など 文言を強化した上で 1 項に移行し、そのうえで生圏中心主義を盛り込んだ新し い憲法 25 条 2 項を増設するのが、考えうるほとんど唯一の真摯な憲法改正提 案であるとする。 高橋滋は、まず、環境悪化に伴う生命・身体への侵害から保護するための人 格権と重なる内容については、判例・学説上、人格権が承認されている現状で は、基本権規定として導入する意義がないとする 64)。他方、それを超えて生 態系などの保護を要求する権利を内包するとすれば、それは、これまでの基 本権規定と異なる要素を日本国憲法に持ち込むことになるうえ、仮に基本権規 定を導入しても諸外国の例を見る限り抽象的な文言とならざるをえないことか ら、憲法上の環境関連規定を環境権条項として位置づけることには疑問が多い とする。. (3)検討 以上(2)で概観した現在の議論からすれば、国家の環境保護義務としてな らば、憲法上に環境関連規定を設けるとすることも可能とする見解が有力であ るが、環境権条項とすることには、極めて強い批判が存在する、ということが できよう。 このうち、団体訴訟の参加権的構成の正当化との関係で、注目されるのは、 環境権規定の手続的権利としての側面についての議論である。改正提案を作成 した WG における議論では、手続的な参加権としての環境権については一致 が見られ、その提案のなかでも明文として手続的権利としての環境権の規定が 置かれているとされている。しかし、従来の憲法上の権利の体系からみて環境 権が異質な権利であることを主な理由として、 (WG に属する研究者を含めた) 公法研究者から、環境権条項を規定することについて強い批判が示されている。 269.

(24) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). このように強い批判が示されていることからすれば、環境法領域における団体 訴訟の参加権的構成を、憲法上の環境権の手続法的側面に基づいて正当化する ことには慎重であるべき、という結論を導かざるを得ない。このことは、環境 法領域以外における団体訴訟の参加権的構成も、憲法上の権利を基礎として積 極的に正当化する、ということが困難であることを示しているということもで きよう。 とはいえ、団体訴訟の参加権的構成が、憲法上否定されているわけではない。 このことは、国家の環境保護義務については憲法の体系に反するとまでは言え ない、という見解が有力であることからも示すことができる。さらに、この問 題について注目されるのが、憲法上の環境権に対する批判の中で、環境権の公 益的側面については、本来、民主的プロセスを通じて実現の是非が論じられて いくべきものであること、さらには、憲法上の環境権を憲法に盛り込む努力を するよりも、地道に法律制度を構成していくほうが生産的である、と主張され ていることである。このことは、憲法上の環境権がなくとも、民主的プロセス のなかで、環境保全などの目的を実現、さらには団体訴訟制度などの具体的な 立法を行うことは可能である 65)、ということも示している。 また、仮に、手続的権利としての環境権が憲法改正により明文で規定された としても、やはり、個別の法律制度を構成していく地道な考察が必要となろう。 というのも、 手続的な参加権としての環境権の意義を示す見解においても、 オー フス条約を参考とすることによって、その内容を示すという手法をとっている。 このことは、憲法上の環境権を肯定することによって、団体訴訟制度の必要性 を基礎付けるという意味における抽象的・基盤的正当化は可能となるのかもし れないが、憲法上の環境権を是認することにより、具体的な制度設計に関する 具体的正当化が達成されるものではなく、別個に個別法領域における考察が必 要となる、ということを意味している。すなわち、憲法上の環境権によって団 体訴訟制度が憲法上正当化されたとしても、団体訴訟を具体的に制度設計する に当たっては、結局のところ関連する個別法領域の体系に即して論じていく必 270.

(25) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. 要がある、ということである。 以上の検討からは、団体訴訟制度の創設ないし設計を消極的に限界づける規 範的論拠としての憲法理論との関係においても、団体訴訟の導入の正統性を積 極的に支える規範的論拠としての憲法理論との関係においても、いずれにして も、個別法領域における具体的な法的構成の提示とそこでの正当化が必要とな る、ということが示される。であるならば、団体訴訟の制度設計を消極的に限 界付ける規範的論拠としての憲法理論との関係においても、民主的プロセスや 憲法上の権利体系のもとでの要請などといった団体訴訟制度の正統性を積極的 に支える憲法理論との関係においても、民法・行政法などの伝統的法領域にお ける体系的・理論的な検証に堪えうる程度に法技術的に洗練された具体的理論 構成を提示したのちに憲法理論との関係を明確にする、という順序で議論を 行ったとしても、団体訴訟制度の正当性・正統性が損なわれることはないとい うことができよう 66)。. Ⅴ 結びに代えてー団体訴訟の参加権的構成に向けた議論のあり方 (1)本稿における考察のまとめ 本稿においては、行政に対する団体訴訟の参加権的構成の意義について考察 を行ってきた 67)。 この考察においては、まず、現在の環境法領域における団体訴訟の参加権的 構成をめぐる議論を概観した 68)。そして、この従来の議論を検討し、少なく とも現在の日本の法状況を前提とするならば、参加権というような手続的権利 を基礎として、実体法的違法を予防・是正するための団体訴訟を制度化するこ とはできない(行うべきでない)との結論を導きだした 69)。他方、日本法体 系の中で、市民参加の文脈で団体に手続的権利を認めることが理論的・政策的 に正当化されるのか、さらにはそのような手続的権利が認められるとするなら ば、その権利を実効的に実現するために、団体はいかなる訴訟が可能となるの 271.

(26) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). か、参加権の侵害に対する司法的救済として参加を求める給付訴訟(参加強制 訴訟)や参加権侵害を理由とする行政処分の取消訴訟等を認めることができる のか、といった問題については、独立して検討をする必要性が認められるとい う結論も示された 70)。 続いて、団体訴訟の制度設計を基礎付ける具体的な実体法理論の考察を行う 前提として、憲法理論との関係について、環境権をめぐる議論を検討し、民法・ 行政法などの伝統的法領域における体系的・理論的な検証に堪えうる程度に法 技術的に洗練された具体的理論構成を提示したのちに憲法理論との関係を明確 にする、という順序で議論を行ったとしても、団体訴訟制度の正当性・正統性 が損なわれることはない、という結論を導きだした 71)。 以上の考察を前提とすれば、次に、団体訴訟の参加権的構成を基礎付けるた めに、どのような行政法理論を具体的に検討すべきか、という課題が浮上する。 しかし、筆者の能力不足のため、その具体的な制度設計に必要となる理論の検 討をここで行うことはできない。そのため、最後に、本稿の考察をまとめたう えで、現在の議論状況に照らし合わせて、どのような問題についてどのような 方向で考察を加えていくことが求められるのか、と言う点についての私見を提 示することで、本稿の結びに代えることとする。. (2)団体訴訟の参加権的構成に向けた議論のあり方 (a)実体法的根拠という視点から 以上(1)にまとめた本稿の考察から、団体訴訟の参加権的構成を論じるた めには、まず、団体にいかなる手続的権利を与えることが、理論的・政策的に 正当化しうるのか、ということを実体法の視点から明らかにする必要があるこ とが示される。しかも、ここでは、特定の領域(環境法領域等)に限定されな い形で示すことが求められる。すなわち、団体の参加権的構成の実体法的根拠 を明示するためには、行政法学における市民参加についての議論に基づいた考 察を行う必要がある。 272.

(27) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. 例えば、角松生史は、市民参加論の総論的課題として、類型論、市民参加の 必要性・意義に関する議論、制度設計に関する議論、の三つに分けて検討をし ている 72)。このうち、類型論においては、情報提供型参加と利害関係型参加 という分類と、企画立案過程への参加と政策決定過程への参加という分類 73) を示している。続いて市民参加の必要性・意義に関する議論については、倉阪 秀史の示す次の三つの必要性・意義を基礎として検討を行っている 74)。そし て、制度設計については、コンテクストの設定、参加者の設定、 「場」の設定、 の三つの観点から制度を分類し、設計することが求められるとする 75)。 また、行政法学における市民参加については、行政法学における協働論との 関係も重要な論点となる。大久保規子は、行政法学における「協働」概念につ いて、次の二つに分類できるとする 76)。第一は、行政、市民、NPO、事業者等、 立場の異なる主体が、それぞれの価値や能力を理解・尊重すると同時に、相互 に批判を受け入れ、共通の認識をつくり、対等なパートナーとして連携・協力 して、様々な社会問題・公的課題に取り組むという意味の「多元的協働」であ る。第二が、規制緩和や行政の効率化の観点から、公的任務(特に公共サービ ス)の民間開放を行うことを指し、行政改革の文脈で語られることの多い「分 担的協働」である。 行政に対して、参加権的に団体訴訟制度を構成するための具体的な制度設計 を考えるにあたっては、これらの市民参加をめぐる行政法学の議論を基礎とし て、団体の参加権の理論的・政策的な実体法的正当化を行うことが求められよ う。 (b)訴訟法的救済という視点から 前述(a)で示したような実体法的根拠という視点からの考察によって、団 体に実体的な参加権が認められることが正当化された場合には、さらに、訴訟 法的救済という視点からの検討が必要となる。すなわち団体の参加権が侵害さ れた場合に、どのような訴訟上の救済を団体に付与することが正当化されるの 273.

(28) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). か、という視点からの検討である。 この点については、団体に与えられた参加権の侵害が、手続的瑕疵となりう るのかという点がまず問題となる。さらに手続的瑕疵となりうるとされた場合 には、それによってどのような訴訟法的救済が与えられうるのか、と言う点を 論じる必要がでてくる。 法律による行政の原理からすれば、行政行為が法定の実体的要件を充たさな いときには、無効ないし取消しうべき瑕疵を有することとなるが、手続規制違 反に関する場合には、問題が複雑になるとされる 77)。私人の側に適正手続に よってのみ処分を受けるという意味での手続的権利があるとすると、手続違反 は当然に私人の権利侵害として処分の取消事由、あるいは無効事由となると解 されるが、これに対して、手続は処分の内容を担保するものであり、それ自体、 独立した手続的権利が私人の側に生じているのではない、とすると手続違反は 当然には処分の効力に影響を及ぼさないことになるとされる。また、この問題 は、裁判所の行政行為に対する審査範囲の問題とも関連してくるとされている。 すなわち、日本においては、行政行為の審査にあたり、原則として裁判所は法 律問題だけでなく事実問題についても審理判断するので、裁判所における審理 過程で、当該行政行為について手続に瑕疵があるが、行政庁の実体的判断は正 しいということが生じうるとされる 78)。 このような手続的瑕疵が存在している場合の救済方法についての行政法学に おける一般的な議論の考察に加えて、具体的な問題を対象とした議論、例えば 現行制度において環境影響評価の不実施ないし瑕疵を追及することが困難であ ることに関する議論 79)も視野に入れて、団体の参加権が侵害された場合の団 体訴訟制度の具体的な制度設計を論じることが必要となろう。 *本稿は、 科学研究費補助金(研究課題番号:2073082)による研究成果である。 なお、本稿においては敬称を略させていただきました。. 274.

(29) 行政に対する団体訴訟における参加権的構成についての覚書. 1)‌詳細については、宮澤俊昭「団体訴訟の実体法的基礎—集合的・公共的利益をめぐる民 法と行政法の関係」松本還暦『民事法の現代的課題』1059 頁(商事法務、2012 年)を参照。 2)ECE/CEP/43. 3)‌オーフス条約を紹介・検討する文献として、高村ゆかり「情報公開と市民参加による欧 州の環境保護—環境に関する、情報へのアクセス、政策決定への市民参加、及び、司法 へのアクセスに関する条約(オーフス条約)とその発展」静法 8 巻 1 号 1 頁(2003 年) (以 下「環境保護」と引用) 、同「オーフス条約に見る欧州の情報公開と市民参加」環境情報 科学 32 巻 2 号 30 頁(2003 年) (以下「市民参加」と引用) 、同「環境情報へのアクセス、 環境に関する政策決定への市民参加、及び、司法へのアクセスに関する条約(オーフス 条約) 」環境研究 135 号 79 頁(2004 年) (以下「オーフス条約」と引用) 、 大久保規子「オー フス条約から見た日本法の課題」環境管理 42 巻 7 号 59 頁(2006 年) (以下「日本法の課題」 と引用) 、同「オーフス条約と EU 環境法—ドイツ 2005 年法案を中心として」環境と公害 35 巻 3 号 31 頁(2006 年) (以下「オーフス条約」と引用) 、大原有里「オーフス条約 9 条 からみる日本の司法へのアクセスの課題」環境情報科学論文集 22 号 351 頁(2008 年) (以 下「司法へのアクセス」と引用) 、同「環境権と市民参加—オーフス条約の事例から見る 手続的権利の可能性」環境情報科学論文集 23 号 401 頁(2009 年) (以下「環境権」と引用) などがある。 4)高村・前掲注 3) 「環境保護」3 頁。 5)高村・前掲注 3) 「オーフス条約」80 頁、大原・前掲注 3) 「司法へのアクセス」352 頁。 6)‌以下、オーフス条約 9 条については、高村・前掲注 3) 「環境保護」20-21 頁、大原・前掲 注 3) 「司法へのアクセス」353-355 頁を参照。 7)高村・前掲注 3) 「市民参加」30 頁。 8)オーフス条約の三つの柱ごとに立法作業が進んだことも含めて、高村・前掲注 3) 「オー フス条約」90 頁参照。 9)ドイツにおける団体訴訟との関連での改正アセス指令の内容については、大久保規子「環 境アセスメント指令と環境団体訴訟—リューネン石炭火力訴訟判決(欧州司法裁判所 2011 年 5 月 12 日)の意義」甲法 51 巻 4 号 74-76 頁(2011 年)を参照。 10)大久保・前掲注 9)76 頁 11)環境責任指令の内容については、大久保規子「ドイツの環境損害法と団体訴訟」阪法 58 巻 1 号 1-6 頁(2008 年)のほか、大塚直「環境修復の責任・費用負担について」法教 329 号 94 頁(2008 年) 、同「環境損害に対する責任」ジュリ 1372 号 42 頁(2009 年)を参照。 12)大久保・前掲注 11)6 頁。 13)EU 各国の状況について、大久保規子「環境公益訴訟と原告適格—EU 各国における展開」 275.

(30) 横浜国際経済法学第 21 巻第 3 号(2013 年 3 月). 阪法 58 巻 3・4 号 103 頁(2008 年) (以下「EU 各国」と引用) 、大久保規子「欧州におけ る環境行政訴訟の展開—司法アクセスの保障を中心として」阿部古稀『行政法学の未来 に向けて』462-473 頁(有斐閣、2012 年) (以下「展開」と引用)を参照。 14)‌2004 年の行政事件訴訟法改正に向けて示された「行政訴訟検討会最終まとめ」のなか で、団体訴訟制度も取り上げられており、そこではドイツの議論を紹介・検討した大 久保・前掲注 15)35 頁以下が参照され、議論がまとめられている( 「行政訴訟検討会 最終 ま と め 資料 11(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/gyouseisosyou/ dai31/31sankou11.pdf(2013 年 3 月 2 日現在 )) 」2 頁参照) 。 15)‌概要について大久保規子「ドイツ環境法における団体訴訟」塩野古稀『行政法の発展と 変革 下巻』38-40 頁(有斐閣、2001 年)を参照。 16)‌なお、私益的団体訴訟については、ドイツにおいて認められておらず、また学説でも消 極的な考え方が支配的であるとされる(大久保・前掲注 15)39 頁参照) 。 17)以下、参加訴訟については大久保・前掲注 15)39 頁、同 40-47 頁を参照。 18)‌なお、行政官庁の最終決定を NPO の意思にかからしめるような共同決定権(同意権) を与えることは、法律による行政の原理や議会制民主主義原則に反するので許されない との意見が強いとされる(大久保・前掲注 15)42 頁) 19)‌ただし、適法な参加が行われた場合には、たとえ当該行政決定が違法であったとしても、 承認団体は、参加訴訟により、その取消しをもとめることはできない。また、参加手続 に瑕疵がある行政決定は、その瑕疵が結果に影響を及ぼしたと考えられるときにのみ、 裁判所により取り消される(ドイツ行政手続法 46 条) (大久保・前掲注 15)47 頁参照) 20)‌以下の記述については、大久保・前掲注 15)39-40 頁、同 47-51 頁、同「ドイツにおける 環境団体訴権の強化—2002 年連邦自然保護法改正を中心として」季刊行政管理研究 105 号 3 頁(2004 年)を参照。なお、大久保・前掲注 15)47 頁では、1965 年にドイツ不正 競争防止法によって導入された消費者保護分野での団体訴訟も公益的団体訴訟と位置づ けられているが、これは、私的主体たる団体が、私的主体を訴えるという類型の団体訴 訟となるので、本稿のよって立つ団体訴訟の実体法的基礎についての分析によれば、環 境法領域における団体訴訟とは別に理解することになる。 21)‌ドイツ行政裁判所法 42 条 2 項により、原則として自己の権利侵害を主張する者にのみ、 行政訴訟の原告適格が認められている(大久保規子「ドイツにおける環境・法的救済法 の成立(1) 」阪法 57 巻 2 号 2 頁(2007 年)等参照) 。 22)‌ドイツは連邦制をとっており、連邦と州の立法権限については、ボン基本法(憲法)が 定めている。自然保護の領域では、ボン基本法 75 条 1 項により、連邦が大綱的立法権 限を有し、州はこれを補完する権限を有するとされる(以上につき大久保・前掲注 20) 276.

参照

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