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学習の基礎となる生物の認識度について

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Academic year: 2021

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学習の基礎となる生物の認識度について

Children s Cognition to a Creature used in the Textbook of National Language

山野井昭雄(明石市立大久保小学校) AkioYamanoi(OokuboElementarySchool,Akashi) 笠原恵(兵庫教育大学) MegumiKasahara(HyogoUniversityofTeacherEducation) 渥美茂明(兵庫教育大学) ShigeakiAtsumi(HyogoUniversityofTeacherEducation) 小学校において,生物の知識が必要とされる学習は理科だけとは限らない。 小学校国語の説 明文・物語や音楽で指導する歌詞の中にも,多くの生物が登場している。 それらのいくつかは, 物語や曲の情景を想像するために重要な役割を果たすものであるが,理科・生物の知識が十分 ではない児童,とりわけ生活の中で体験的に学ぶ機会もない都会の児童には全く理解されて いない可能性がある。 理科離れとともに,国語力の再生が叫ばれる教育界であるが,作品の情景や使われる比喰表 現を正しく理解し,語嚢を増やすためにも理科・生物の学習が必要ではないかと考え,国語の 教科書に出てくるいくつかの生物について認識度の調査を行ったo 得られた結果は,予想を裏切らないものであったOもちろん,1校のみの調査で,データと して少なすぎるため,この結果をそのまま,市内・全国の候向と言い切ることには無理がある。 しかし,特別な学校でもないこの学校のデータと似た結果が各地で見られるという推測も否 定はできず,学習前の下地としての共通認識,基本的な生物教育の必要性について再認識させ るものであった。

キーワード:学習の基礎,生物,常識度,小学校,理科,国語科

1.問題と目的 小学校での学習活動の中で,生物の知識が 必要とされる学習は理科だけではない。 国語 の説明文・物語文や音楽で指導する歌詞の中 にも生物が多種登場している。 それらのいく つかは,物語・曲の情景を想像するために重要 な役割を果たすものであるが,理科・生物の知 識が十分ではない児童,とりわけ生活の中で 体験的に学ぶ機会もない都会の児童には全く 理解されていない可能性がある。 もちろん指 導する担任も例外ではなく,全く実物を知ら ないまま「もっと気持ちを込めて!」と強引 な指導しているケースや,作者が季節感を表 そうとして使った語句の意図を理解できてい ないケースも少なくないと思われる。 理科離 れとともに,国語力の再生が叫ばれる教育界 であるが,作品の情景や使われる比喰表現を 正しく理解し,語嚢を増やすためにも理科の なかでも生物に関する体験的な学習が必要で はないかと考え,国語の教科書に出てくるい くつかの生物について認識率の調査を行っ た。

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2.方法 2.1討査対象 調査対象は,明石市立で小学校の児童合計 120名(5年生60名,6年生60名)およ び教員15名とした。 2.2質問項目 調査では,国語科の教科書に出てくる生物 (動物)3種類について,写真を4枚提示し, その中から正しい写真を選び調査用紙に番号 を記入するという方法で行ったO国語科1年 教材「あいうえおのうた」および4年教材「ご んぎつね」より,マツムシについての調査を 図1の写真を用いて行った。 また,マツムシ に関しては,聞きなし(鳴き声)に っいての 調査も同時に行った。 聞きなしは,スズムシ, マツムシ,カンタン,キリギリスの鳴き声を 聞かせ,マツムシの鳴き声を選ばせた。 さら に,5年教材「詩を味わおう」よりウミスズメ を,6年教材「やまなし」よりカワセミを選 び,同様の方法で認識調査を行った。 ウミス ズメに関す る選択肢を図2に,カワセミに関 する選択肢を図3にそれぞれ示した。 2.3調査結果の集計 調査結果は,それぞれの生物に関する正解 率を5年生(60名)と6年生(60名)に ついて集計した。 3.蘭査結果と考察 3.1マツムシについて 体長は20-30mmほどのコオロギの仲間。 幼 虫は夏にふ化してきて,成虫は秋の草地に出 現する。 同じく秋に成虫が出現する「スズム シ」とは,体色以外の特徴が良く似ているので 間違われやすい。 オスだけが鳴くことができ る。本州以南に広く分布し,「チンチロリン, チンチロリン」と開きなしされる,特徴的な美 しい声で鳴くため,古くから音楽教材として も取り上げられてきたこともあり,有名な虫

図1マツムシに関する認識度調査で使用した写真

A,'ェンマコオロギB;スズムシc;マツムシD;キリギリス

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図2ウミスズメに関する認識度調査で使用した写真

A;コオリガモ,B;ユリカモメ,C;マガモ,D;ウミスズメ

の1つである。 しかし,小さくてすばやい虫で あり,実際に姿を見ることは難しい。 また,近 年は草地そのものの減少により,生息域が減 少し個体数を減らしている。 さらに,スズムシ に比べて飼育も難しいことから,その鳴き声 を耳にする機会はますます少なくなってい る。1年生と4年生の国語科教材に出てくる が,その認識度は5年生で68%,6年生で 93%であったo鳴き声に対する認識度はさ らに低く,5年生で30%6年生で64% であった。 3.2ウミスズメについて 体長25cm程度の中型の鳥o魚類や甲殻類を 食べる。雌雄は同色で,夏羽では後頭部に白い 模様が現れる-O冬羽は近縁種のカンムリウミ スズメと似ている。 非繁殖期は10羽ほどの小 さな群れで沖合いの海上に浮かんでいるが, 繁殖期には海岸の岩の隙間に巣を作って1 2個の卵を産む。 ヒナが解化するとすぐに巣 を離れ海上でヒナを育てる。 北太平洋に分布し,日本では北海道と岩手 県ゐ一部で,少数が繁殖することが確認され ている。冬も繁殖地周辺の海上です.ごすが,南 下するものもあり,北日本各地の海上で冬鳥 として見られるが,まれに九州や南西諸島で も確認される。5年生の国語科の詩の教材と して出てくる。北原白秋の有名な詩の中に登 場する鳥なのであるが,その認識度は,学習 した5年生で75%,6年生になれば57% と低くなる。日頃,見慣れない鳥であるため, 6年生では,調査した3種の中で最も低い認 識度であった。 3.3カワセミについて スズメほどの大きさの鳥で,くちばしが長 くて黒い(メスは下のくちばしが赤い)0また, 全体的な体色は雌雄でよく似ているが,雄の 方がやや色鮮やかであるOカワセミといえば, 青い鳥だと思われがちだが,本来は青くなく, 光の加減で青く見えている。このため,背中の 水色は光の当たり方によっては緑色にも見え

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図3カワセミに関する認識度調査で使用した写真

A;ヤマセミ,ち;カワセミ,C;オオルリ,D;キツツキ

るO漢字で「素翠(ヒスイ)」とされるのは このためである。 清流の鳥のイメージが強い が,海岸や都市部の公園にもあらわれる。 水辺 の枝から水中に飛び込んで,魚類や水生昆虫 を捕まえて元の場所に戻ってから食べる姿が しばしば観察される。 繁殖期になるとペアで 土手に50cm'--'90cmほどもある横穴を掘って産 卵・育雛するが,非繁殖期は縄張り意識が強く 1羽で行動するO日本だけでなく,いくつかの 亜種に分かれながら,ヨーロッパ∼東南アジ アにかけて広く分布するO暖かい地方では定 住する,寒い地方では移動を行う。 日本では, 北海道で夏鳥だが,はかの地域では1年中見る ことができる。 6年生の国語科の教材「やまなし」に出て くる鳥である。 このカワセミの認識率は,5 年生で70%6年生で64%となっている。 6年生の方が低くなっている原因として,「や まなし」の中では,写真や図として出てきて いないこと,また調査した5年生のクラスは 理科の得意な教員が担任をしているためで あると考えられる。 それぞれの調査結果である認識率を図4 に示す。 3.4「教材生物」に開する教員の蘭査結 果について 授業を担当する教員-の調査も児童と同 じ方法で行った。 調査数が非常に少ないた め(15名),数字データとして公開する ことは控えるが,カワセミ以外では. 担任 する児童に十分な指導が行えるだけの裏付 けは得られなかった。 4まとめ どの調査結果からも,児童の「情景」理解 が不十分なまま,単元の指導を終えている ことが明らかであった。 また,カワセミの調 査からは,自然が豊かに残る地域なら,特別 に指導しなくても大丈夫! という判断は正 しくないことも明らかになったC

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A;マツムシ′

B;マツムシの 鳴き声

C;ウミスズメ

D;カワセミ

5 年生 6 ^ 」 I ess ! I i i 93I 1 i CH 20% 4【 6 0* 、 ー【仇 5 * 」 6 年 生 i 3 8 賀 6 4 も 1 I 一 i I i i -i 2 0% 4 0 等 6 0 % 80 % tD く粘 5 年 生 6 年 生 ー 7 5% I i I - ∼ 5 7S . I 0 % 2 0% 4 0 * 6 0 % 8 仇 ー0 0% 5 年 生 6 年 生 7 肪 e 賎 i I i i i i , i ` 2 0 % 4 0 % 60 % BO S 1 0 0 % 図4国語科の教科書に出てくる生物に関する認識度 5年生および6年生の調査結果を示す。 特に,自然が少ない都市部では,作品を正し く理解させるためには,指導する教員による 適切な指導は不可避であると思われる。 今回の調査は,ほんの1例をあげたものに すぎないが「小学校では,国語科の教材を理 解させるにも,生物の正しい知識が必要であ り,様々な教科においても同様なことが考え られる。これらのことは,′ト学校の教員の生 物嫌いをなくし,教員に生物に対する正しい 認識を培うことが,児童の学習にとって,非 常に重要であるということを示唆している。 参考・引用文献 1)国語科教科書(平成17年度版)光村図書: 1年教材「あいうえおのうた」 2)国語科教科書(平成17年度版)光村図書: 4年教材「ごんぎっね」 3)国語科教科書(平成17年度版)光村図書: 5年教材「詩を味わおう」 4)国語科教科書(平成17年度版)光村図書: 6年教材「やまなし」 5)叶内拓哉ほか(2002)「日本の野鳥」

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参照

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