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JAIST Repository: 大学・公的研究機関の研究成果の産業応用への評価 : 産学連携を経験した企業としない企業の比較

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 大学・公的研究機関の研究成果の産業応用への評価 : 産学連携を経験した企業としない企業の比較 Author(s) 齋藤, 裕美; 隈藏, 康一 Citation 年次学術大会講演要旨集, 27: 819-823 Issue Date 2012-10-27

Type Conference Paper

Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/11147

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

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これらの分析結果からは、以下の点を確認することができる。 (1) 産学連携の対象期間(1998 年~2000 年)より以前に産学連携を行っていなかった研究者については、 産学連携への参加はその後の研究者の研究成果にプラスの影響を与えない。論文発表件数という量的側 面については、産学連携への参加の程度と明確な関係は見られないが、論文被引用件数という質的側面 については、産学連携により活発に参加するほど研究成果は低下する傾向がある(なお、この傾向は、 両者の間の相関分析でも明らかである。産学連携への参加の程度と、自引用を含む論文被引用件数及び 自引用を除く論文被引用件数の増加率との間には、いずれも1%水準で有意な負の相関が確認できる)。 (2) 産学連携の対象期間(1998 年~2000 年)より以前に産学連携を行っていなかった研究者については、 論文発表件数、被引用件数の増加率のいずれにおいても、対象期間にまったく産学連携を行っていない 研究者の方が研究成果の増加率が高い。平均値の差の検定では、自引用を含む被引用件数の増加率につ いて5%水準で有意であった。 (3) 産学連携の対象期間(1998 年~2000 年)より以前に産学連携を行っていた研究者を対象にした場合、 産学連携への参加の程度がその後の研究成果に与える影響は上記(1)(2)とは異なる結果を示す。論文発表 件数(研究成果の量的側面)への影響については、相関分析では明確な傾向は見られないが、図表 2 に 見られるようにそこには逆U 字の関係を見出すことができる。つまり、産学連携への参加の程度が一定 程度まで高まるにつれて論文発表件数は増加するが、その程度がさらに高まるにつれて低下するという 傾向が見られる。このことは、論文被引用件数(研究成果の質的側面)についても同様である。相関分 析では産学連携への参加の程度と論文被引用件数の増加率との間には負の相関が見られるが(自引用を 含む場合には 5%水準、自引用を除く場合には 1%水準で有意)、産学連携への参加の程度が一定程度ま で高まるにつれて被引用件数は増加し、その程度がさらに高まるにつれて低下するという傾向が観察で きる。 (4) 産学連携の対象期間(1998 年~2000 年)より以前に産学連携を行っていた研究者については、上記(2) とは対照的に、産学連携を全く行わない研究者よりも産学連携を行う研究者の方が、その後の論文発表 件数及び自引用を除く被引用件数の増加率が高くなっている。平均値の差の検定によれば、論文発表件 数について10%水準で有意であった。 5. 考察と政策的インプリケーション 以上の分析結果によれば、産学連携が大学研究者の研究成果に与える影響は、過去に産学連携の経験があ るかどうかによって異なることが理解できる。産学連携に初めて参加する研究者あるいは一定期間産学連携 に関わってこなかった研究者においては、産学連携は研究成果にプラスの影響を与えるというよりも、むし ろマイナスの影響を与えること、特に研究の質(被引用件数)を低下させることが確認できる。他方、それ までに産学連携に参加した経験を持つ研究者にとっては、一定程度までの産学連携への参加は研究成果を向 上させること、しかし過度の参加は逆に研究成果を低下させる傾向を持つことが伺える。このことは、研究 室の規模や学術的な研究活動へのエフォートとの関係で産学連携に適度に参加することの重要性を示唆して いる。 過去に産学連携に参加したことがあるかないかによって、ある時期の産学連携への参加の程度が研究成果 の向上に与える影響が異なるという事実は、第2 節で述べた「産学連携の経験蓄積」の効果を浮き彫りにす る。つまり、それまで産学連携を行っていなかった研究者にとっては、産学連携への参加は慣れない調整活 動への対応によって研究活動にネガティブな影響を与えるが、産学連携の経験がある研究者は過去の経験を 生かし、産学連携をより有効に活用することができると考えられる。 このような分析結果から得られる知見は、産学連携施策の展開に当たって以下のような点を考慮に入れる ことの重要性を示唆するだろう。第一に、過去に産学連携を実施していなかった研究者に対しては、産学連 携は少なくとも短期的には研究成果にプラスの影響を与えるのではなく、むしろマイナスの影響を与えるこ とがあることから、産学連携に際しての手続きや連携の進め方、連携からの研究成果の発表方法等に関する 情報提供など、何らかの支援策が必要となるだろう。 第二に、過去に産学連携を実施してきた研究者に対しては、ある一定程度までの産学連携への参加はその 後の研究成果を向上させるが、その程度がさらに高まると逆に研究成果を低下させる傾向が見られることか ら、学術的な研究活動と産学連携活動におけるエフォート率の適正管理を行い両者のバランスを図ること、 また産学連携に係る補助金の利用頻度に上限を設けることなどを通じて産学連携への過度の参加を抑制する ことなどを入念に検討することが求められよう。 以上、本稿では産学連携が大学研究者の研究成果に与える影響を、産学連携の経験蓄積という視点から考 察してきたが、ここでの分析では研究者の研究分野の違いは考慮されていない。データベース所蔵の 2,848 名のうち 688 名(24.2%)はライフサイエンス分野の研究者であり、ここでの分析結果はややこの分野の特 徴が色濃く反映されている可能性がある。今後、研究分野ごとの相違を考慮した分析が求められる。//

大学・公的研究機関の研究成果の産業応用

産学連

を経験した

業としない

業の比較

美( 大学) (政策研究大学 大学) 1. はじめに 1995 年の科学技術 本 施行を 機として 我が国の大学・公的研究機関による 研究には の公的資 が投入されてきた。 れと に こうした大学・公的研究機関による 研究から まれ る レッジをいかに産業応用に な 会に さ ていくかが 政策 要な 題として され てきた。ここにおいて 産業 からみたアカデミック レッジの活用方 活用 合いに いて ビ デンスをもって することは 政策立 する で必要である。しかしながら レッジ自体が の ものであり れがどのように産業 で 用されているかは ビデンスとしてとらえがたい。また レ ッジはス ル ーバーするため どのような経 を通じて産業に 用されるかに いて データをもっ て することは のわ である。 しかしながら 行研究では産業 の主体に対するアン ート調査を通じて 主観的データという で定量的な を みてきた。Mansfield(1991)(1998)は 業アン ートの調査結果に き 研 究の成果がなければ新しい 造方 の10%は の が著しく れただろうと指摘している。日 本において 業に対し産学 連 の実態調査を行った 行研究としては IETI 2003 IETI(2004) (2006a,b) (2009a,b)などがある。 我 は Mansfield のアン ート を として アカデミック レッジが 業の に 献して いる 合い ならびに アカデミック レッジが ければ み され なかった新 ・サービスの 合 を問うために 日本の 業 業を対 とした調査を行った(GRIPS 業サーベイ)。これは データバンクの 気動向調査に質問 を 加したものであり 気動向調査の 者の から考える と 以 のように 主に 業の経 あるいは経 に近い部 のスタッフが しているものと 定された。 の結果の は ・ (2009)に示した。 GRIPS 業サーベイの結果として こうした 業の経 は 大学・公的研究機関の研究成果が自 の 化 にあまり 献していないと考えていることが 定量的に示された( )。しかしな がら アカデミック レッジに対するこのような は に大学・公的研究機関との連 を行ったこ とがないために じているものであり 大学・公的研究機関との連 を行っている 業のみに する と アカデミック レッジの はある いのではないか。我 は このような を するた め の報告では GRIPS 業サーベイのデータの な分析を行った。 2. 分析方 GRIPS 業サーベイの調査方 は インター ット ター調査である。 体的には データバ ンクに ター している 業本 にあてて ールで調査 を行い ール文 にあるURL にア ク スしてもらったうえで 面 で 信してもらっている。調査 は 業の本 にあてて 行われており 部 の指定はしていない。 者の5 は経 であり 経 でない 合でも 人で はなく 業として してもらっている。我 の調査の代表性の も めた に いては ・ (2009)を されたい。 本調査の期 は2008 年 12 月 17 日 2009 年 1 月 5 日の 20 日 である。我 の調査では 2 455 を対 に調査 をし 結果として1 731 から を られた( 52.5 )。ただし 我 の調査において 頭の 問で研究開発 部で行われた技術 入を現在あるいは過去活用したこ とがあるかをたずねたうえで いずれに関しても「ない」と した 業は の の 問には し ないように質問 を 計している。 のため本 で実際に用いるサンプルは概ね5360 であり の

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合の は 26%ということになる。 3. 結果 まずは本調査サンプルにおける産学連 の実態に いて概観する。我 は本調査において 大学・公 的研究機関との連 に関して これまで 近 10 年 で 者が る り どのような 態で大学・ 公的研究機関との連 を実施したことがあるかを いた。産学 連 のタイプに いては 研究 研究 研究者 流 技術移 (ライ ンス り し) ベンチ ー 研究 料の りとりという態 をとりあ 近 10 年 において 者が る り実施があった 合に をとる ダミー変数とする。 の結果 のような経験はない と した 業が 数以 の55.6 おり 続い て 研究が21.2 研究が11.5 の で かった( )。 らかの で大学・公的研究機関 と連 した経験がある 業は 44.4 ということになる。 ここで産学 連 の経験がある 業とない 業 れ れの を概観する。表 は れ れの 業 の 計である。また 者に 計的に な いがあるかどうかを 和 定により した。 和 定の結果 な いがみられたのは 業 数といく かの産業分野である。産学 連 の 経験がある 業は ない 業に比べて 業 数が く(経験あり 平均 業 数209 人 経験なし 平 均 業 数121 人) 造業に い。 に産学 連 の経験がない 業は 業 動産業 業 業 ・ 業 サービス業に い。 造業に産学連 の経験が いという結果は 的な認 識とも整合的である。 に産学 連 の経験の によって 大学・公的研究機関の研究成果の 業における活用に いて どのように が異なるのかに いて した。産学 連 といった明示的な 態をとらずとも 大 学・公的研究機関の研究成果は 科学的 見という の公 的性質によって にとってもアク ス が である。 こで必ずしも産学 連 の みに ることなく 大学・公的研究機関の研究成果が 業にどの 活用されているのか 主観的な を めた1。 問としては 大学・公的研究機関の研 究成果が 業が ・サービスを み すことにどれだけ結び いたのかを ねている。 体的には Mansfield(1991, 1998)にならって 「貴 の ・サービスのう 大学・公的研究機関で行われた研 究の成果がなければ みだされ なかったものの 合( 数)は どの ですか。必ずしも 確な 数 をお調べいただく必要はなく でお えいただければ結構です。」という質問 を 成した。 この 問に対する は すべて(100 ) に大きい(30 以 100 ) 大きい(10 以 30 ) ある (3 以 10 ) 少(1 以 3 ) さい(0.3 以 1 ) に さい(0 ではないが 0.3 ) まったくない(0 )の 8 段階となっている。 の 結果を 産学 連 を経験したことのある 業としたことのない 業にグループ分けして示 した結果が 3である。 産学 連 の経験がないグループの結果をみると 大学・公的研究機関で行われた研究の成果がなけ れば みだされ なかったものの 合( 数)は「まったくない」が 的に く 「 に さい」 「 さい」の に の 合は 少していく。 の分 は (「まったくない」)に った明確な を している。産学 連 の経験がないグループにおいては 「 少」(1 以 3 )以 と えた人の 合計は 10.9 どであり と どの 業は 大学・公的研究機関で行われた研究の成果がなければ みだされ なかったものの 合( 数)は と どないと考えている。なお 大学・公的研究機関 の研究成果の 献 が「 少」以 と えた10.9 の 業に いては の に られているよ うな産学 連 の経験がないにもかかわらず アカデミック レッジの 献 があると している。 これらの 業は 公開された学術論文を する 大学研究者との 公 ・ 人的な ンタクトをする などの で アカデミック レッジを活用しているものと考えられる。 方 産学 連 の経験があるグループの結果は 産学 連 の経験がないグループに比べれば 大 学・公的研究機関で行われた研究の成果がなければ みだされ なかったものの 合( 数)は「ま ったくない」と した 合はきわめて少なくなっている。ただし 13.1 は「まったくない」と しており これらの 業に いては連 の成果が られなかったものと 定される。この 分 から 1 大学・公的研究機関の研究は主に 研究であることもあり の研究成果の活用によって 業がど のような影響を けているのかを 観的に することは しい。主観的 の 合 この点がク ア できることに加えて 観的 では見 としが な大学・公的研究機関の 献をフ ローできるもの と考えられる。

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は の ークは「 に さい」と「ある 」の2 カ所に顕れている。結果として 産学 連 の経験がある 業の方が 経験のない 業よりも 化にあたってのアカデミック レッジの 献 を く している。 4. 結 G IPS 業サーベイでは アカデミック レッジの 化 の 献 として 「まったくない」(0 ) の 合が 的に いとう結果が示されたが 産学 連 の経験のある 業とない 業に分けて 結果を見たところ 産学 連 の経験のある 業の 分 は 体傾向とは く異なっており アカ デミック レッジの 献 に 定の が与えられていることが分かった。 もっとも もともとアカデミック レッジを していたからこ 産学 連 を行おうと った 業も 定 合で存在することが推 されるため 「アカデミック レッジを していた 業にとっ て 実際に産学 連 を行った結果 アカデミック レッジの がさらに まったか あるいは く なったか」「アカデミック レッジを く していた 業にとって 実際に産学 連 を行った結果 アカデミック レッジの が くなったか あるいは いままだったか」 といったことに いては ア ング調査 も め 加の調査が必要である。 また ここで した 問は アカデミック レッジがなければ み され なかった ・サービ スの 合を問うものであり ・サービスの数ではないため み している ・サービスの数が い大 業においては が「 に さい」 に れ るを ないという がある。 の 題として 業 と ンクさ てさらに分析を行う必要がある。 cknowledgement 本研究は 化学研究所との 研究の成果の 部である(「ライフサイ ンス研究の成果展開方策と の 果に関する調査研究」2005 年 2009 年 )。本 の見 は ・ のものであり 著者らの 所 機関 研究 を代表するものではない。本 における の は 者らの に する。 eference 美・ 「公的研究の成果はどう活用されているのか G IPS 業サーベイの概要」『 りず 』,経済産業調査会 的 産情報 ンター,Vol.7,No.83,60-91, 2009.

Mansfield, E. (1991) Academic research and industrial innovation, Research Policy,Vol.20, pp.1-12.

Mansfield, E. (1998) Academic research and industrial innovation: An update of empirical findings, Research Policy,Vol.26,pp.773-776.

之(2006a) 業の技術連 の り みは大 業とどのように異なるか 『 』第56 巻第6 号, 35-51. 之(2006b) 業による産学連 の と連 成果 業総合研究 (5), 21 36. 之(2009a) 業の産学連 の実態 バイ ME, フトウ ア分野の比較調査結果 信 月報, 8(1), 25-40. 之(2009b) 業 別にみる産学連 の と成果 業 56(1),60-65. 経済産業研究所(2003)『平成 14 年 日本のイノベーションシステムに関わる産学連 実態調査報告書』 http://www.rieti.go.jp/jp/projects/innovation-system/H14_2.html(2012 年 9 月 13 日 アク ス ) 経済産業研究所(2004)『平成 15 年 日本のイノベーションシステムに関わる産学 連 実態調査報告 書』http://www.rieti.go.jp/jp/projects/innovation-system/H15_2.html(2012 年 9 月 13 日 アク ス )

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大学・公的研究機関の研究成果の 化 の活用に対する (GRIPS 業サーベイ) 0 10 20 30 40 50 60 ( % ) 産学 連 の状況 表 産学 連 の経験別 計 数 29 8 120 988 2 9 0 2219 208 9 2 5 928 29 2 0 00 0 0 0 0550 22 1 0 00 0 0 0598 29 2 0 00 0 0 0 8 22 1 0 00 0 0 0 90 29 2 0 129 0 0 0 22 1 0 105 0 0 0 1 29 2 0 01 9 0 0 1 2 22 1 0 00 9 0 0 0 01 29 2 0 0 0 8 8 22 1 0 5 0 1 0 992 29 2 0 2 92 0 0 8 22 1 0 2098 0 0 0 2 29 2 0 0 0 0 182 22 1 0 01 0 0 0 129 29 2 0 020 0 0 1 20 22 1 0 0099 0 0 0988 29 2 0 1 20 0 0 8 22 1 0 1112 0 0 1 の 29 2 0 0010 0 0 0 18 22 1 0 001 0 0 0 学 学 ***; 1% で **;5 で 産学 連 の経験あり 44.6% 産学 連 の経験なし55.4

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0 10 20 30 40 50 60 70 学 学 3 大学・公的研究機関の研究成果の 化 の活用に対する (産学 連 の経験別)

参照

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