• 検索結果がありません。

経済学基礎 2016年前期@東大工学部 Fumihiko Suga

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "経済学基礎 2016年前期@東大工学部 Fumihiko Suga"

Copied!
63
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

菅 史彦

内閣府 経済社会総合研究所

(2)

競争市場において、生産者は価格受容者(プライステイカー) と仮定されていた。

これは無数に企業が存在し、市場の相場から大きく逸脱した 価格設定はできないという仮定に読みかえられる。

現実には、それほどたくさんの企業が生産しているわけでは ない市場もたくさん存在している。

そこで、まずは企業が一社しか存在しないケース(=独占) を考えた。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 2 / 39

(3)

独占市場では、企業が生産量を決めたら、その生産量が売り 切れる最高の価格を設定すると仮定できる。

一方、利潤最大化の条件は相変わらず、MR =MCで与えら れる。

ただし、MRはp(y)yをyについて微分したもの。

MR =MCの条件で生産量が決まり、その生産量を売り切れ る最高の価格を需要曲線を使って見つける。

(4)

図で見ると…

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 4 / 39

(5)

図で見ると…

(6)

図で見ると…

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 4 / 39

(7)

図で見ると…

(8)

図で見ると…

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 4 / 39

(9)

図で見ると…

(10)

競争的な市場よりも供給量は少なく、 消費者が直面する価格は高くなっている。 そのため、

競争的な市場よりも高い価格を払わされている人

競争市場では買えていたのに、独占市場では高くて欲しい物が 買えない人

が存在している。

さらに、死荷重が生じ、経済全体の厚生が損なわれる。 なので、原則独占は禁止されるべきとされており、自然独 占が生じるケースには、政府が介入して価格規制を行うこと が正当化されうる。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 5 / 39

(11)

現実は、ほとんどの場合、独占市場と競争市場の間にある。 たとえば、車のメーカーは複数存在するが、プライステイ カーと仮定できるほどとも思えない。

例えば、トヨタのメーカーの意思決定はホンダの意思決定に 依存して決まる。

このような状況を戦略的状況と呼ぶ。

戦略的状況を分析するためには、ゲーム理論が必要となる。

(12)

ゲーム理論は以下のような分野でよく使われる: 不完全競争(寡占)の分析(産業組織論) 企業内部の活動の分析(組織と契約の経済学) 政府や公共部門の分析(政治経済学)

情報の非対称性の分析 制度設計の分析

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 7 / 39

(13)

ゲームを以下のように定義する:

ゲーム

1 プレイヤーi = 1, . . . ,N

2 プレイヤーiの戦略a

iとaiの集合Ai

3 プレイヤーiの利得g

i(a1,a2, . . . ,aN)

プレイヤーiの利得が、i以外のプレイヤーの戦略にも依存してい る=戦略的状況であることに注意!

(14)

いまa =(a1,a2, . . . ,aN) をある戦略の組とする。

このとき、プレイヤーiだけが戦略をaiからaiに変えた状態 を(ai,ai) と書くこととする。

この記号を使って、ナッシュ均衡は次のように定義される: ナッシュ均衡

戦略の組aが、全てのプレイヤーiと全ての戦略aiにつ いて、

gi(a) ≥gi(ai,ai) を満たすとき、aをナッシュ均衡という。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 9 / 39

(15)

二人の容疑者がそれぞれ別の部屋で尋問を受けている。 二人が犯罪に関わったことはわかっているが、証拠が不十分 である。

二人の容疑者の戦略は、黙秘するか自白するか。

二人とも黙秘すれば、証拠不十分なため、二人とも禁錮1ヶ 月で済む。

二人とも自白すれば、犯罪が立証されて、二人とも禁錮3ヶ 月になる。

片方が自白して片方が黙秘すれば、自白した方は無罪放免、 黙秘した方は禁錮5ヶ月

(16)

これを利得表にすると、以下のようになる:

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 11 / 39

(17)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

(18)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 12 / 39

(19)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

(20)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 12 / 39

(21)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

(22)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 12 / 39

(23)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

(24)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 12 / 39

(25)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

(26)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 12 / 39

(27)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

(28)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 12 / 39

(29)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

(30)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 12 / 39

(31)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

(32)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ均衡。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 12 / 39

(33)

どちらの囚人にもそこから逸脱する誘因がない所がナッシュ 均衡。

もしくは、

相手の戦略に対する最適な戦略を 全てのプレイヤーがとっている

という状況のことをナッシュ均衡と呼ぶ。

ナッシュ均衡は混合戦略まで含めれば必ず存在することを示 したのがナッシュ。

ちなみにこの例では、相手がどちらを選ぼうと、自白のほう がいい、すなわち「自白」が支配戦略になっているため、囚 人たちが合理的に行動すれば必然的にナッシュ均衡に至る。

(34)

多くの先進国では、競争を制限して価格を釣り上げる行為

(談合・カルテルなど)は違法になっている。

談合・カルテルをすれば罰金が課せられるが、企業には自白 するインセンティブがないので、なかなか摘発できない。 どうすれば談合やカルテルを摘発することができるか? 先に自首した企業だけ、課徴金を減免する制度(リニエン シー制度)が導入された。

公正取引委員会の調査前に自白すれば、 最初に自白した企業への課徴金は免除 次に自白した企業への課徴金は50%免除 3番めに自白した企業への課徴金は30%免除

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 14 / 39

(35)

2社のケースで、課徴金をx、自然にバレる確率をpとおくと、

(36)

2社のケースで、課徴金をx、自然にバレる確率をpとおくと、

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 15 / 39

(37)

囚人のジレンマは、相手の行動が予測できないために、二人 にとって望ましい結果が実現できない状況を表している。 実際には、全てのプレイヤーに支配戦略があって、結果が自 明なケースは稀である。

しかし制度・政策の設計に活かすことができることはあるか もしれない。

企業同士を、囚人のジレンマ的な状況に置くことで、談合を 摘発しようというのがリニエンシー制度のアイデア。

ただ、囚人のジレンマのように、全てのプレイヤーに支配戦 略があって、予測可能な結果が一意に決まるケースは稀。

(38)

二人の学生が、共同作業をするために Mac か Windows のど ちらかのパソコンを買おうとしている。

共同作業をするためには、合わせたほうが便利。

合わせるのであれば、今やろうとしている作業については Macのほうが少し便利。

と仮定する。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 17 / 39

(39)

このとき、利得表は以下で与えられるとする:

(40)

このとき、利得表は以下で与えられるとする:

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 18 / 39

(41)

二人とも Mac がお互いにとって一番いいが、

何らかの理由でどちらかが先に Windows を買ってしまった ら、もう片方も Windows を買うほうがいい。

ベータ V.S. VHS のシェア争いや、ブルーレイ V.S. HD DVD の争いに置き換えることができる。

この例からわかることは、

ナッシュ均衡は1つとは限らない。

片方がもう片方より、全てのプレイヤーにとって望ましいとい うこともあり得る。

一度悪い方の均衡にハマってしまうと、一人の努力ではどうし ようもないことがある。

(42)

選択肢が連続変数なケースとして、立地選択のゲームを考える。 学園祭で、焼きそばの屋台を出す2つのサークルが、銀杏並木の どこに出店するかを同時に決定する。

客はより近い方の屋台に行くと仮定。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 20 / 39

(43)

この時、各屋台の間にスペースがあると、より相手に近いところ を選ぶインセンティブがある。

なのでナッシュ均衡ではない。

(44)

これはどうか。

これも、逸脱するインセンティブがある。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 22 / 39

(45)

結局、両方が真ん中に寄るのが Nash 均衡

この例からわかることは、

選択肢が連続変数であっても、ナッシュ均衡を考えることは できる。

客にとっては適度に間隔があったほうが望ましいのに、お店 同士が客を奪い合う結果、真ん中に集中してしまう。

立地選択を政党のマニフェスト、客を投票者に置き換えれば、 政治学の中位投票者の定理が説明される。

(46)

A市から B 市に行く車が 150 台あり、3つのルートから道を選ぶ:

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 24 / 39

(47)

ルートが短いほど早くつくが、混雑していると到着時間は遅 くなるとし、以下の関係式が成立していると仮定する:

所要時間 = ルートの長さ + 通行する車の台数/ 10 すなわち、早く着こうとして一番短いルートを皆が使うと、 混んで余計に時間がかかるようになっている。

このとき、以下のような状態はナッシュ均衡になっている: ルート1の交通量は50

ルート2の交通量は100 ルート3は誰も使わない

(48)

所要時間と距離・交通量の関係は、実際のデータから推計する:

出典:神取道宏『ミクロ経済学の力』

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 26 / 39

(49)

コンピュータを使ってナッシュ均衡を計算:

出典:神取道宏『ミクロ経済学の力』

(50)

ナッシュ均衡による予測は、現実のばらつきの約 85 %を説明:

出典:神取道宏『ミクロ経済学の力』

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 28 / 39

(51)

ナッシュ均衡ならば必ず実現するとは決して限らないが、実現し ている状態がナッシュ均衡になっている事例は結構多い。その理 由として、

1 合理的推論の結果、ナッシュ均衡に行き着く。

2 試行錯誤の末、ナッシュ均衡に行き着く。

3 話し合いの結果、ナッシュ均衡に行き着く。 が考えられる。

(52)

これは囚人のジレンマを考えればわかりやすい。

しかし相手の行動が予測できるケースに限られてしまう。 例えば技術の選択のようなケースだと、相手の行動が予測で きない限り、ナッシュ均衡には至らない。

すなわち、現実にナッシュ均衡の実現に必要な条件は、

1 合理性

2 相手の出方に関する正しい予想 の2つ。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 30 / 39

(53)

現実には、人間はそこまで合理的でないし、相手の出方が予 想できることも稀である。

しかし、同じ状況に繰り返し直面していれば、いずれ相手の 出方も読めてきて、自分にとって何が得かもわかってくる。 一度ハマってしまえば、そこから逸脱するインセンティブは ない。

交通量の予測の例のように、車のルート選択がナッシュ均衡 に近い状態になっていることは、これで説明できる。

あるいは、地域によってエスカレーターで右側に立つ/左側 に立つがパターン化しているのも、これで説明できる。

(54)

事前に話し合っておけば、ナッシュ均衡は実現可能。

これは、ナッシュ均衡が誰もそこから逸脱するインセンティ ブがない均衡だからこそ実現できる。

すなわち、誰か一人でも裏切ることができるような均衡は ナッシュ均衡ではない。

すなわち、ナッシュ均衡は口約束だけで実現できる行動と見 なせる。

逆に、誰か一人でも裏切ることによって利益が得られて、罰 則もないような状態は、ナッシュ均衡ではないので長続きし ない。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 32 / 39

(55)

市場メカニズムがうまく機能しないケースの分析に使われる。 ナッシュ均衡は、必然的に実現する均衡というわけでもなけ れば、結果の予測に使えるとも限らない。

しかし、社会に定着した行動パターンや頻繁に見られる慣習 について、それがなぜ安定的な均衡として実現するのかを説 明することができる。

それを知ることで、社会的に望ましい状態が実現されるよう、 人々に正しいインセンティブを与えるような制度・政策をデ ザインすることができるかもしれない。

それまで「市場を通じた自由競争の促進」一辺倒だった経済 学の関心を「適切なインセンティブを与える制度設計」にシ フトさせた。

(56)

企業が2社のみのケース。

市場の需要曲線はp = φ(yd)で与えられているとする。 どちらの企業も同じ技術を持ち、企業iの費用関数はC(yi)で 与えられる。

2つの企業が、お互いの出方を見つつも独立に意思決定を行 い、同時のタイミングで生産量を決定するとき、均衡の生産 量と価格はどうなるか。

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 34 / 39

(57)

企業1と企業2の利潤は以下で与えられる: π1(y1) = φ(y1+y2)y1C(y1) π2(y2) = φ(y1+y2)y2C(y2) 一階の条件は

φ(y1+y2)y1+ φ(y1+y2) −C(y1) = 0 φ(y1+y2)y2+ φ(y1+y2) −C(y2) = 0 となり、これを解けば解が得られる。

こうして得られた均衡をクールノー・ナッシュ均衡と呼ぶ。

(58)

市場の需要曲線がp =abyd、企業iの費用関数がC =cyi2

(cは共通で定数)で与えられるとする。 このとき、企業iの利潤は以下で与えられる:

πi = (ab(y1+y2))yicyi2 一階の条件は以下で与えられる:

a2byibyj2cyi = 0

これをyiについて解けば、以下のような最適反応関数を得る: yi = abyj

2(b +c)

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 36 / 39

(59)

これを図に書くと…

(60)

これを図に書くと…

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 37 / 39

(61)

これを図に書くと…

(62)

クールノー・ナッシュ均衡における生産量は、 y1 =y2 = a

3b+ 2c

p= a(b+ 2c) 3b+ 2c

ちなみに、独占市場における生産量は以下で与えられる。 y˜ = a

2b+ 2c

さらにちなみに、競争市場における生産量は以下の通り: y¯ = a

b

菅 史彦 (ESRI) 経済学基礎 38 / 39

(63)

すなわち、市場に供給される財の生産量は、 独占市場 < 寡占市場 < 競争市場 であり、

価格は、

独占市場 > 寡占市場 > 競争市場 となっている。

すなわち、市場がより独占的になるほど、消費者はほしいも のにより多くのお金を払わされ、その財を買うことを諦める 人も増えるということ。

参照

関連したドキュメント

ここから、われわれは、かなり重要な教訓を得ることができる。いろいろと細かな議論を

地域の中小企業のニーズに適合した研究が行われていな い,などであった。これに対し学内パネラーから, 「地元

問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ

目的 青年期の学生が日常生活で抱える疲労自覚症状を評価する適切な尺度がなく,かなり以前

森 狙仙は猿を描かせれば右に出るものが ないといわれ、当時大人気のアーティス トでした。母猿は滝の姿を見ながら、顔に

て当期の損金の額に算入することができるか否かなどが争われた事件におい

「社会人基礎力」とは、 「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な 力」として、経済産業省が 2006

脱型時期などの違いが強度発現に大きな差を及ぼすと