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原子核に関する発見
https://sites.google.com/site/hakkennorekishibutsurigaku/
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ラザフォード模型が生まれた経緯
ガイガーとマースデンによるアルファ線の散乱実験(1911年) ガイガーとマースデンによるアルファ線の散乱実験(1911年)
硫化亜鉛(ZnS)シンチレータ
(蛍光塗料の材料)
硫化亜鉛(ZnS)シンチレータ
(蛍光塗料の材料)
241Am - アルファ線源
H. Geiger and E. Marsden,
Proceedings of the Royal Society of London, A82, 495-500 (1909) 辻 哲夫 訳 物理学古典論文叢書9 原子模型 より
ラジウム
アルファ線
金属薄膜
硫化亜鉛シンチレータ
顕微鏡
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ガイガー・マーズデン実験の結果
ほとんどのアルファ線は薄膜を突き抜けるが、 まれに反射されるものがある
ほとんどのアルファ線は薄膜を突き抜けるが、 まれに反射されるものがある
H. Geiger and E. Marsden,
Proceedings of the Royal Society of London, A82, 495-500 (1909) 辻 哲夫 訳 物理学古典論文叢書9 原子模型 より
ラジウム
アルファ線
金属薄膜
硫化亜鉛 シンチレータ
顕微鏡
重い 多い
重い金属ほど散乱も多い 重い金属ほど散乱も多い
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自然の階層構造
分子
電子
原子核
陽子
中性子
クォーク
10
-10m
原子10
-9m
10
-14m
10
-15m
ナノメートル
Å(オングストローム)
10
-18m
原子の大きさ 10-10 m 原子核の大きさ 10-14 m
~ 1万分の1
原子の大きさ 10-10 m 原子核の大きさ 10-14 m
~ 1万分の1 原子の中心にある
『重い』
『点状』
の粒子(原子核) の存在が明らかに 原子の中心にある
『重い』
『点状』
の粒子(原子核) の存在が明らかに
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原子核が人の大きさ程度とすると
原子: 山形市 (~20 km) 原子核: バランスボール (1 m)
陽子・中性子: ソフトボール (10 cm)
電子・クォーク: 花粉以下 (< 0.1 mm)
原子核が人の大きさ程度とすると
原子: 山形市 (~20 km) 原子核: バランスボール (1 m)
陽子・中性子: ソフトボール (10 cm)
電子・クォーク: 花粉以下 (< 0.1 mm)
原子の大きさ 原子の大きさ
原子核の大きさ 原子核の大きさ
クォークの大きさ クォークの大きさ 陽子の大きさ
陽子の大きさ
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サブアトミックチャート
http://sites.google.com/site/sciencechat/
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原子核とは
原子核の構造に関する手掛かり 原子核の構造に関する手掛かり
1920年 チャドウィック
原子番号は原子核の電荷の数と等しい 1920年 チャドウィック
原子番号は原子核の電荷の数と等しい
原子の質量(原子量) おおよそ水素原子の質量が基準 原子の質量(原子量) おおよそ水素原子の質量が基準
原子番号は原子量のおおよそ半分
原子核の中には
中性の粒子が、陽子と同量程度存在する
ラザフォードによって明らかにされた、原子の極小の質量中心: 原子の核 ラザフォードによって明らかにされた、原子の極小の質量中心: 原子の核
原子番号 原子核中にふくまれる陽子の数 原子番号 原子核中にふくまれる陽子の数
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ベリリウム線の発見
1930年 ボーテ、ベッカー
ベリリウムにアルファ線を照射すると透過性の強い放射線が放射する 1930年 ボーテ、ベッカー
ベリリウムにアルファ線を照射すると透過性の強い放射線が放射する ベリリウム線
電気的に中性
高エネルギーのガンマ線?
1954年 ワルサー・ボーテ
コインシデンス法による原子核反応とガンマ線に関する研究
1954年 ワルサー・ボーテ
コインシデンス法による原子核反応とガンマ線に関する研究
α Be
まだ知られていない
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ベリリウム線の性質
イレーヌ・ジョリオ=キュリー、フレデリック・ジョリオ=キュリー ベリリウム線をパラフィンに当てると陽子が放出される事を発見 イレーヌ・ジョリオ=キュリー、フレデリック・ジョリオ=キュリー ベリリウム線をパラフィンに当てると陽子が放出される事を発見
α Be パラフィン
ベリリウム線 = 陽子と同程度の質量の中性粒子? ベリリウム線 = 陽子と同程度の質量の中性粒子?
ガンマ線は『光子』 質量 0
ガンマ線で質量の大きな陽子をたたき出すことはほぼ不可能 ベリリウム線 = エネルギーの大きなガンマ線?
ベリリウム線 = エネルギーの大きなガンマ線?
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中性子の発見
1935年 ジェームス・チャドウィック 中性子の発見
1935年 ジェームス・チャドウィック 中性子の発見
ベリリウム線を様々な原子核に衝突させ 陽子とほぼ同じ質量
中性電荷
の粒子が原子核中に存在する事を発見
中性子 となづけた
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原子核の構造
陽子 中性子
電荷 +1 0
スピン ½ ½
陽子 中性子
電荷 +1 0
スピン ½ ½
Z
A B
原子番号=陽子の数
原子量=陽子+中性子の数
元素名
6
12 C
炭素(Carbon)陽子 6個中性子 6個 炭素(Carbon) 陽子 6個 中性子 6個
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原子核を作る力:核力の発見
陽子・中性子(核子)を結びつける力 核力 1935年 湯川秀樹
・ 粒子間の相互作用 = 力を媒介する粒子(中間子)の交換
・ 力の到達距離(原子核の大きさ) → 中間子の質量を予言
重い粒子 短距離間力 → 核力・弱い相互作用 軽い粒子 長距離間力 → 電磁力
陽子・中性子(核子)を結びつける力 核力 1935年 湯川秀樹
・ 粒子間の相互作用 = 力を媒介する粒子(中間子)の交換
・ 力の到達距離(原子核の大きさ) → 中間子の質量を予言
重い粒子 短距離間力 → 核力・弱い相互作用 軽い粒子 長距離間力 → 電磁力
1949年 湯川秀樹
核力の理論的研究による中間子の存在の予言 1949年 湯川秀樹
核力の理論的研究による中間子の存在の予言
何故、陽子と中性子が 10-14 m の大きさに 束縛されているのか?
何が、陽子と中性子を繋ぎ止めているのか? 原子核の大きさ
原子核の大きさ
10-14 m
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力を伝える粒子: 中間子
中間子のキャッチボール
軽い粒子は遠くまで
重い粒子は近くだけ
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色々な力と中間子
電磁力電磁力 無限遠 核力核力
弱い力弱い力
重力重力
~ 10-15 m
~ 10-18 m
無限遠
光子
力の種類 到達距離 中間子 質量
0
パイ粒子 陽子の0.15倍
W・Z粒子
(重力子)
陽子の約90倍
0
1947年 発見
1948年 人工的に生成 1947年 発見
1948年 人工的に生成
強い力強い力 無限遠 グルーオン 0
クォークを結びつけ、陽子・中性子を作る力
ベータ崩壊を引き起こす力
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中間子の発見
1950年 セシル・パウエル
写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発 および諸中間子の発見
1950年 セシル・パウエル
写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発 および諸中間子の発見
1947年
アンデス山脈の高地で
宇宙線にさらされた写真乾板による発見
ノーベル物理学賞 受賞講演論文より抜粋
−
−
−
e
−
e
パイ中間子の崩壊 パイ中間子の崩壊
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原子核の内部を探る: 原子核崩壊・壊変
アルファ崩壊
アルファ崩壊
+
アルファ線(ヘリウム原子核) 陽子2個+中性子2個
+
ベータ崩壊
ベータ崩壊
+
ベータ線(電子)
ニュートリノ
核力で結びつけられていた陽子2個・中性子2個が 分離する過程
『弱い力』により中性子が陽子に変化する際、 電子とニュートリノを放出する過程
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226Ra 226Ra
230Th 230Th
234U 234U
234Pa 234Pa 238U
238U
234Th 234Th
222Rn 222Rn
218Po 218Po
214Pb 214Pb
218At 218At
214Bi 214Bi
210Tl 210Tl
214Po 214Po
210Pb 210Pb
206Hg 206Hg
210Bi 210Bi
206Tl 206Tl
210Po 210Po
206Pb 206Pb
U ウラン
Pa プロトアクチニウム Th トリウム
Ac アクチニウム Ra ラジウム Fr フランシウム
Rn ラドン
At アスタチン
Po ポロニウム Bi ビスマス Pb 鉛
Tl タリウム
Hi 水銀
安定
アルファ崩壊 ベーター崩壊
原子核の崩壊: ウラン系列
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核融合・核分裂
1938年 エンリコ・フェルミ
中性子衝撃による新放射性元素の発見と 熱中性子による原子核反応の発見
1938年 エンリコ・フェルミ
中性子衝撃による新放射性元素の発見と 熱中性子による原子核反応の発見
1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究 1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究
1944年 化学賞 オットー・ハーン 原子核分裂の発見
1944年 化学賞 オットー・ハーン 原子核分裂の発見
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新しい原子核を作る
原子核は
陽子 中性子
から出来ている。
陽子・中性子を 増やす・減らす → 原子核の種類が変わる
※ アルファ崩壊・ベータ崩壊による原子核壊変 陽極線
陽子はクーロン力により原子核近くに近づけない(クーロン障壁)
※ ラザフォードによる原子核の発見
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原子核の反応: 融合
+
中性子を原子核に衝突させ、新しい原子核を生成
→ 40種類以上の人口放射性同位元素を生成
陽子はクーロン障壁により 原子核に近づく事ができない
中性子は電荷を持たない 原子核に近づくことが可能
→ 核力で新しい原子核を作る 1938年 エンリコ・フェルミ
中性子衝撃による新放射性元素の発見と 熱中性子による原子核反応の発見
1938年 エンリコ・フェルミ
中性子衝撃による新放射性元素の発見と 熱中性子による原子核反応の発見
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フェルミの業績
+
ベータ崩壊
+
ベータ線(電子)
ニュートリノ
『弱い力』により中性子が陽子に変化する際、 電子とニュートリノを放出する過程
“フェルミ相互作用”
“フェルミ相互作用”
同じ『スピン』の粒子は、同じ状態を 取れない → 『パウリの排他原理』 同じ『スピン』の粒子は、同じ状態を 取れない → 『パウリの排他原理』
“フェルミ統計”
“フェルミ統計”
原子核中の陽子・中性子は
“フェルミ統計”に従う
→ “価”陽子は特定の運動をする 原子核中の陽子・中性子は
“フェルミ統計”に従う
→ “価”陽子は特定の運動をする
“フェルミ運動”
“フェルミ運動”
フェルミ統計に従う粒子で 構成される気体
フェルミ統計に従う粒子で 構成される気体
“フェルミ気体”
“フェルミ気体”
フェルミ統計に従う粒子 フェルミ統計に従う粒子
“フェルミ粒子・フェルミオン”
“フェルミ粒子・フェルミオン”
その他色々...
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陽子による原子核反応
1932年にローレンスによって開発された サイクロトロン(陽子を1 MeV以上に加速)
The Physical Review 40 19 (1932)
陽子を高エネルギーに加速させる
→ クーロン障壁を破る
→ 陽子による核融合反応 1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究 1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究
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サイクロトロン
1932年にローレンスによって開発された サイクロトロン(陽子を1 MeV以上に加速)
The Physical Review 40 19 (1932)
“MeV" とは?
1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究 1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究
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荷電粒子の加速 と エネルギー単位
荷電粒子の加速
・ 陰極線 電子が陰極から陽極に移動 電位差によって、加速する ※ 陰極管、ブラウン管
荷電粒子の加速
・ 陰極線 電子が陰極から陽極に移動 電位差によって、加速する ※ 陰極管、ブラウン管
1電子ボルト (エレクトロンボルト eV) 電子1つを1Vの電位差で加速させる 1電子ボルト (エレクトロンボルト eV) 電子1つを1Vの電位差で加速させる
0 V 1 V 電子
TeV (テラeV、テブ) =1012 eV GeV (ギガeV、ジェブ)=109 eV MeV (メガeV、メブ) =106 eV keV (キロeV、ケブ) =103 eV TeV (テラeV、テブ) =1012 eV GeV (ギガeV、ジェブ)=109 eV MeV (メガeV、メブ) =106 eV keV (キロeV、ケブ) =103 eV
減圧気体容器
陰極 (-V)
陽極 (+V)
X線のエネルギー領域 ガンマ線のエネルギー領域
原子の構造が見えてくる(※ X線回折) 原子核の構造が見えてくる
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最初のサイクロトロン
1932年にローレンスによって開発された サイクロトロン(陽子を1MeV以上に加速)
The Physical Review 40 19 (1932)
1 MeV = 100万電子ボルト サイクロトロンで陽子を
100万ボルトの電位差で加速させた 電子と同じエネルギー
まで加速する事に成功
1 MeV = 100万電子ボルト サイクロトロンで陽子を
100万ボルトの電位差で加速させた 電子と同じエネルギー
まで加速する事に成功 陽子が原子核のクーロン障壁を越えた 1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究 1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究
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加速器の発展
KEK陽子加速器の前段加速器。到達エネルギー750 keV。 http://www.kek.jp/newskek/2002/marapr/evolt.html
1951年 ジョン・コッククロフト、アーネスト・ウォルトン
加速荷電粒子による原子核変換の研究
1951年 ジョン・コッククロフト、アーネスト・ウォルトン
加速荷電粒子による原子核変換の研究 コッククロフト型加速器
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静電型加速器
ヴァンデグラーフ型加速器
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例) 東工大バンデグラーフ加速器
最高到達エネルギー
陽子、重陽子 4.75 MeV
3He、4He、N、Ne 9.5 MeV
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静電型加速器
タンデム型加速器
筑波大学・タンデム型加速器
http://web2.tac.tsukuba.ac.jp/uttac/
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線形加速器
~
~
+
+ ー
ー
~
ー→+
+→ー
1931年、スローン、ローレンスは30段の加速器で、 水銀イオン 1.26 MeV への加速に成功
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加速器の発展
1961年 ロバート・ホフスタッター
線形加速器による高エネルギー電子散乱の研究と 核子の構造に関する発見
1961年 ロバート・ホフスタッター
線形加速器による高エネルギー電子散乱の研究と 核子の構造に関する発見
アメリカ・スタンフォード線形加速器センター(SLAC)
全長 3 km
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線形加速器
アメリカ・スタンフォード線形加速器センター(SLAC)
3 km, 電子を 45 GeV まで加速
東海村・J-PARC 大強度陽子加速器施設
陽子線形加速器
600 MeV まで加速
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陽子の構造の発見
1961年 ロバート・ホフスタッター
線形加速器による高エネルギー電子散乱の研究と 核子の構造に関する発見
1961年 ロバート・ホフスタッター
線形加速器による高エネルギー電子散乱の研究と 核子の構造に関する発見
核子を構成する粒子 陽子と中性子
核子を構成する粒子 陽子と中性子
電子を陽子(や中性子)に衝突させ、 その散乱の様子をみて、
陽子の中の様子を探る
電子を陽子(や中性子)に衝突させ、 その散乱の様子をみて、
陽子の中の様子を探る
アルファ線を原子に衝突させ、 その散乱の様子をみて
原子の中の様子を探る → 原子核の発見 アルファ線を原子に衝突させ、
その散乱の様子をみて
原子の中の様子を探る → 原子核の発見 何故、電子を衝突させると
原子核よりさらに小さい陽子の中が分かるのだろうか?
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光で物を見る
光を当てて、
戻ってきた光を見る
通過した光から、
『陰』を見る
小さいものを見るのには 波長の短い光 が必要
小さいものを見るのには 波長の短い光 が必要
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光の波長・エネルギー
X線の波長 10-12 ~ 10-8 m X線の波長 10-12 ~ 10-8 m
可視光
1 nm = 10-9 m 原子(10-10 m)が見える
陽子(10-15 m以下)を見るためには10万倍の解像度が必要 波長 10-17 ~ 10-13 m の光が必要
波長 10-17 ~ 10-13 m の光が必要
X線回折 電子線回折
(同程度の物質波)
X線のエネルギー 数千 eV ( ~ keV) X線のエネルギー 数千 eV ( ~ keV)
同程度のエネルギーの 物質波(電子線等)でもOK
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原子核の中を見るためには
X線の波長 10-12 ~ 10-8 m X線の波長 10-12 ~ 10-8 m
原子(10-10 m)が見える
X線のエネルギー 数千 eV ( ~ keV) X線のエネルギー 数千 eV ( ~ keV)
原子核の大きさ 10-14 m 原子核の大きさ 10-14 m
陽子の大きさ 10-15 m 陽子の大きさ 10-15 m
原子~山形市 原子核~バランスボール
陽子~ソフトボール
必要な波長はX線の
1
100000 ∼
1
10000
X線の数万倍のエネルギーを持つ『波』
GeV = 109 eV MeV = 106 eV keV = 103 eV GeV = 109 eV MeV = 106 eV keV = 103 eV 数 MeV 以上の『波』があれば
原子核や陽子の中を見る事が出来るはず 数 MeV 以上の『波』があれば
原子核や陽子の中を見る事が出来るはず
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高エネルギー電子散乱
1961年 ロバート・ホフスタッター
線形加速器による高エネルギー電子散乱の研究と 核子の構造に関する発見
1961年 ロバート・ホフスタッター
線形加速器による高エネルギー電子散乱の研究と 核子の構造に関する発見
顕微鏡 電子を陽子(や中性子)に衝突させ、
その散乱の様子をみて、 陽子の中の様子を探る
電子を陽子(や中性子)に衝突させ、 その散乱の様子をみて、
陽子の中の様子を探る
アルファ線を原子に衝突させ、 その散乱の様子をみて
原子の中の様子を探る → 原子核の発見 アルファ線を原子に衝突させ、
その散乱の様子をみて
原子の中の様子を探る → 原子核の発見
大角度散乱
『点状』の
電子のエネルギーを上げて
大角度散乱があれば → 点状
大角度散乱が減れば → 広がりを持つ 電子のエネルギーを上げて
大角度散乱があれば → 点状
大角度散乱が減れば → 広がりを持つ
電子(数百 MeV ~ 数 GeV)
アルファ線(5 MeV)
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実験結果: 188 MeV 電子 と 陽子標的
電子の散乱角
散乱されやすさ 点状物体との散乱
測定結果をつないだ線 測定結果
点状の物体と比べると、 大角度に散乱されにくい 点状の物体と比べると、 大角度に散乱されにくい
陽子は『点』ではなくて、 広がり(大きさ)を持つ物体
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原子核内部の電荷分布
原子核半径 10-15 m 電荷密度 1/(10-15 m)3
原子核の半径
カルシウム 3.5 × 10-15 m 鉛 6.5 × 10-15 m 原子核の半径
カルシウム 3.5 × 10-15 m 鉛 6.5 × 10-15 m
原子核の内部密度は ほぼ一様
原子核の内部密度は ほぼ一様
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サイクロトロン
1932年にローレンスによって開発された サイクロトロン(陽子を1MeV以上に加速)
The Physical Review 40 19 (1932)
1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究 1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究
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加速器の発展
1932年にローレンスによって開発された サイクロトロン(陽子を1MeV以上に加速)
The Physical Review 40 19 (1932)
Rutger大学のサイクロトロン
理研のサイクロトロン第2号機
(1944年)
1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究 1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究
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大阪大学 RCNP リングサイクロトロン(1974年)
理化学研究所 リングサイクロトロン(2006年) 超伝導方式のリングサイクロトロン
現在のサイクロトロン
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日本の加速器(加速器の形が分かる所)
J-PARC@東海村 KEK@つくば
SPring-8@兵庫県
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世界の加速器色々
DESY
CERN
J-PARC
KEK
BNL
SLAC
FNAL JLab
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BNL-AGS加速器とノーベル章
http://www.bnl.gov/bnlweb/history/AGS_history.asp
http://www.bnl.gov/bnlweb/history/images/AGS-5-141-57-sm.jpg
現在のBNL
AGS
1976年 バートン・リヒター、サミュエル・ティン J/ψ中間子の発見
1976年 バートン・リヒター、サミュエル・ティン J/ψ中間子の発見
1988年 レオン・レーダーマン、メルヴィン・シュワルツ、ジャック・シュタインバーガー ニュートリノビーム法、およびミューニュートリノの発見によるレプトンの二重構造の実証 1988年 レオン・レーダーマン、メルヴィン・シュワルツ、ジャック・シュタインバーガー ニュートリノビーム法、およびミューニュートリノの発見によるレプトンの二重構造の実証
1980年 ジェームス・クローニン、ヴァル・フィッチ 中性K中間子崩壊におけるCP対称性の破れの発見 1980年 ジェームス・クローニン、ヴァル・フィッチ 中性K中間子崩壊におけるCP対称性の破れの発見
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世界最大級のシンクロトロン
Large Hadron Collider LHC
テバトロン
フェルミ国立研
(FNAL)
CERN-LHC 半径 ~ 4km
FNAL-Tevatron テバトロン 半径 ~ 1km
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原子核内部構造の理論的理解
1963年 ユージン・ウィグナー
原子核および素粒子に関する理論への貢献、 特に対称性の基本原理の発見とその応用
マリア・ゲッパート・メイヤー、ヨハネス・ハンス・イェンゼン
原子核の殻構造に関する研究(殻模型の提唱) 1963年 ユージン・ウィグナー
原子核および素粒子に関する理論への貢献、 特に対称性の基本原理の発見とその応用
マリア・ゲッパート・メイヤー、ヨハネス・ハンス・イェンゼン
原子核の殻構造に関する研究(殻模型の提唱)
1975年 オーゲ・ニールス・ボーア、ベン・ロイ・モッテルソン、レオ・ジェームス・レインウォーター
核子の集団運動と独立粒子運動との関係の発見、 およびこの関係に基づく原子核構造に
関する理論の開発
(集団運動模型の提唱)
1975年 オーゲ・ニールス・ボーア、ベン・ロイ・モッテルソン、レオ・ジェームス・レインウォーター
核子の集団運動と独立粒子運動との関係の発見、 およびこの関係に基づく原子核構造に
関する理論の開発
(集団運動模型の提唱)
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原子核の内部構造: 液滴模型
原子核は
『非圧縮性流体』
の性質をもつ 原子核は
『非圧縮性流体』
の性質をもつ
密度が一定
はっきりした『表面』をもつ 1963年 マリア・ゲッパート・メイヤー、ヨハネス・ハンス・イェンゼン
原子核の殻構造に関する研究(殻模型の提唱)
1963年 マリア・ゲッパート・メイヤー、ヨハネス・ハンス・イェンゼン 原子核の殻構造に関する研究(殻模型の提唱)
に至るまえに...
原子核の液滴模型
水滴
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液滴の振動モードと原子核の液滴模型
~ 10-15 m
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原子核内部の構造
裳華房テキストシリーズ-物理学 「原子核物理学」より抜粋
1963年 マリア・ゲッパート・メイヤー、ヨハネス・ハンス・イェンゼン 原子核の殻構造に関する研究(殻模型の提唱)
1963年 マリア・ゲッパート・メイヤー、ヨハネス・ハンス・イェンゼン 原子核の殻構造に関する研究(殻模型の提唱)
K 1s 2s 2p L
原子の殻構造
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元素の周期表に現れる魔法数
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原子核の殻模型と魔法数
元素の存在比
原子核の魔法数:
2, 8, 20, 28, 50, 82, 126, 184
原子核の魔法数:
2, 8, 20, 28, 50, 82, 126, 184
陽子・中性子の数が『魔法数』になる原子核 同程度の他の原子核に比べて
・ より安定している
・ 存在比が多い
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原子核の魔法数と陽子・中性子のスピン
裳華房テキストシリーズ-物理学
「原子核物理学」より抜粋
原子核の魔法数:
2, 8, 20, 28, 50, 82, 126, 184
原子核の魔法数の再現
・ 核子の軌道
・ 核子のスピン
+
スピンと軌道運動の干渉
『スピン軌道相互作用』
1963年 マリア・ゲッパート・メイヤー、ヨハネス・ハンス・イェンゼン 原子核の殻構造に関する研究(殻模型の提唱)
1963年 マリア・ゲッパート・メイヤー、ヨハネス・ハンス・イェンゼン 原子核の殻構造に関する研究(殻模型の提唱)
YAMAGATA UNIVERSITY
ノーベル物理学賞に見る原子核物理の発展
1950年 セシル・パウエル
写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発および諸中間子の発見
1963年
ユージン・ウィグナー 原子核および素粒子に関する理論への貢献、特に対称性の基本原理の発見とその応用
マリア・ゲッパート・メイヤー、ヨハネス・ハンス・イェンゼン 原子核の殻構造に関する研究(殻模型の提唱) 1967年 ハンス・ベーテ
原子核反応理論への貢献、特に星の内部におけるエネルギー生成に関する研究
1975年 オーゲ・ニールス・ボーア、ベン・ロイ・モッテルソン、レオ・ジェームス・レインウォーター
核子の集団運動と独立粒子運動との関係の発見、およびこの関係に基づく原子核構造に関する理論の開発(集団運動模型の提唱) 1983年
スブラマニアン・チャンドラセガール 星の構造および進化にとって重要な物理的過程に関する理論的研究
ウィリアム・ファウラー 宇宙における化学元素の生成にとって重要な原子核反応に関する理論的および実験的研究 1939年 アーネスト・ローレンス
サイクロトロンの開発および人工放射性元素の研究
1961年 ロバート・ホフスタッター
線形加速器による高エネルギー電子散乱の研究と核子の構造に関する発見 1951年 ジョン・コッククロフト、アーネスト・ウォルトン
加速荷電粒子による原子核変換の研究 1938年 エンリコ・フェルミ
中性子衝撃による新放射性元素の発見と熱中性子による原子核反応の発見
1944年 イジドール・イザーク・ラビ
共鳴法による原子核の磁気モーメントの測定法の発見 1948年 パトリック・ブラケット
ウィルソンの霧箱による原子核物理および宇宙線の分野における発見 1935年 ジェームス・チャドウィック
中性子の発見
1954年
マックス・ボルン 量子力学、特に波動関数の確率解釈の提唱
ワルサー・ボーテ コインシデンス法による原子核反応とガンマ線に関する研究
発見研究手法の確立原子核構造理論の完成応用・発展
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宇宙・天体物理学への展開
1983年
スブラマニアン・チャンドラセガール
星の構造および進化にとって重要な物理的過程に関する理論的研究 ウィリアム・ファウラー
宇宙における化学元素の生成にとって重要な 原子核反応に関する理論的および実験的研究 1983年
スブラマニアン・チャンドラセガール
星の構造および進化にとって重要な物理的過程に関する理論的研究 ウィリアム・ファウラー
宇宙における化学元素の生成にとって重要な 原子核反応に関する理論的および実験的研究
1967年 ハンス・ベーテ
原子核反応理論への貢献、
特に星の内部におけるエネルギー生成に関する研究 1967年 ハンス・ベーテ
原子核反応理論への貢献、
特に星の内部におけるエネルギー生成に関する研究
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元素の存在比は
宇宙全体でほぼ同じ
→ 同じ起源によるもの 元素の存在比は
宇宙全体でほぼ同じ
→ 同じ起源によるもの
「一家に一枚元素表」より
Subatomic physics より
元素の存在比
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元素の存在比
・ 質量数の増加に従い、桁違いに少なくなる
・ Li, Be, B は HeやCに比べて極端に少ない
・ 質量数の増加に従い、桁違いに少なくなる
・ Li, Be, B は HeやCに比べて極端に少ない
・ 重量比:
水素 71%, He 27%、残り 2%
・ 重量比:
水素 71%, He 27%、残り 2%
・ A ~ 56 (Fe) のあたりに「山」
・ A ~ 56 (Fe) のあたりに「山」
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宇宙の進化
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『光あれ!!』
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宇宙の進化
宇宙は光に満ちあふれ
(光しか存在しない)
膨張と共に『粒子』『反粒子』の対が生まれる
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宇宙の進化
何故か『反粒子』が消滅し
『光』と『粒子』が残される
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宇宙の進化
宇宙が更に冷えてゆくと
ある種の粒子は自由に動き回る
ある種の粒子があつまって、別の『粒子』を作り出す
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ビッグバンと元素合成
宇宙背景放射 2.7 K 光子の密度
水素:光子 = 1:109 150億年前にビッグバン
→ 宇宙の膨張&冷却
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宇宙進化における軽元素合成
宇宙が十分に熱い時 宇宙が十分に熱い時
陽子 中性子
互いに入れ替わる事が出来る 宇宙が冷めると
宇宙が冷めると
別々の粒子へと、袂を分かつ
そのときの宇宙の温度が『陽子』と『中性子』の割合を決める そのときの宇宙の温度が『陽子』と『中性子』の割合を決める
宇宙開闢から 10秒程経過した頃・・・・
陽子 7 中性子 1
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宇宙における元素合成:二段階過程
I. ビッグバンから数分後までに起きた、 軽い元素の合成過程
I.
II.
II. ビッグバンから数億年程度経ってからの、 星の中での元素合成による重い元素の合成
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宇宙進化での元素合成
宇宙が冷めると 宇宙が冷めると
陽子 中性子
宇宙をしめる陽子の割合は
12
16 =
3
4
残りはヘリウム1
4
陽子は中性子の7倍存在
宇宙が更に冷めると 宇宙が更に冷めると
重陽子が作られる 宇宙が更に更に冷めると
宇宙が更に更に冷めると
4Heが作られる
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星の進化
重力収縮 → 内部温度の上昇
> 0.1 M
> 0.1 M
中心温度 107 K (~ 1 keV) で、”水素燃焼”
→ α粒子生成
> 0.25 M
> 0.25 M
中心温度 108 K (~ 10 keV) で、”ヘリウム燃焼”
→ C原子核の生成
> 4 M
> 4 M
中心温度 6 ×108 K (50 keV) で、”炭素燃焼”
→ 酸素燃焼 → ネオン燃焼 → ケイ素燃焼
→ マグネシウム燃焼
> 10 M
> 10 M
鉄のコアが形成
3×109 K (250 keV) で 鉄 → ヘリウムへ分解
→ 超新星爆発
M 太陽質量 M 太陽質量