人間生態学 シケプリ
今回は授業中の板書と授業で扱った範囲の教科書を中心にシケプリを製作しました。 パワポや授業中に扱っていない範囲の教科書については各自で参照してください。(山脇)
第1章 立地調整の理論と課題 1.立地調整とは何か
○定義:企業が立地調整を行っていく上での各種施設、機能の新設と再編成
○クルンメの「企業の地理学」 企業による調整可能性→ ・空間
・組織…工場や企業のレベル、企業内部の権力構造 ・時間 短期:工場間の調整 (従業員の移動など) 中期:企業間の調整 (下請けや提携など) 長期:移転、分工場建設
○工場の履歴効果…見えざる資産、変わらないもの
工場の閉鎖や移転にいたらず「現在地での変化」にとどまらせているものとは? →工場の何らかの特性における一貫したもの(製造技術、工程、原材料、企業組織)
2.立地調整の理論的課題
○立地調整のメカニズムの解明…基本軸は企業組織の軸(図 1-1)
○バラッサ
内部経済(=企業内の経済メリット) ・工場内の経済
・工場間の経済…モノの輸送費、移動コスト、 通信費の節約
⇔工場間の不経済 ただし近接性を求め集積すると…
集積の利益…モノの輸送費、移動コスト、通信費などの費用節約
不利益…地価の高騰、混雑などのコストアップ要因、リスク分散ができない
○坂本和一
工場結合体は『場所集中型』と『場所分散型』の二重の構造で組織されている
○複数企業、複数工場立地
◆市場分割・相互浸透型(Y 型)
…寡占企業各社が全国企業をいくつかの市場に分割、それぞれの市場圏に工場を配置 ・例:鉄鋼、石油精製、ビールなど素材型産業
相互浸透立地の激化→設備投資の過当競争 不況時→スクラップ・アンド・ビルド
◆工程間・製品間空間分業型
…寡占企業各社が製品別に全国市場をカバーする1つの拠点工場を配置し、さらに工 程別の分担関係を明確にして複数工場を配置
・例:電気機械、自動車など機械工業 市場変動
比較的短いプロダクトサイクルによる製品内容の転換や企業組織の変更 企業文化
などの影響を受けやすい
○産業集積地域での立地調整
マークセン:産業集積地域に関する3類型 ・マーシャル型(大都市型、産地型) →中小企業の水平的結合
・ハブ・アンド・スポーク型(企業城下町型) →大企業関連下請け企業からなる
課題:企業城下町の体質改善…産学官連携による新事業創出、 下請け関連企業の自立化
・サテライト型(分工場型)
→地域内より外部の本社や工場との関係が密 分工場経済の進化過程:
量産拠点の海外移転→国内の分工場を「マザーファクトリー」に位置付け
・生産機能+研究開発機能、海外からの研修生の受け入れ拠点
3、立地調整の構成要素
①新設
開業率、廃業率の地域差と様々な要因
・新規企業の成長においてインキュベーター、苗床となる環境
・企業家精神の地域差
・アカデミック・スタートアップ:大学に近接し、研究開発情報へのアクセスが容易な ところへ新設
…など
②閉鎖
・ワッツ
工場閉鎖の類型化:1.特定製品の生産中止に伴う閉鎖
2.特定工場への生産の集約の結果としての閉鎖 3.閉鎖工場の選択がなされる閉鎖
要因の整理
・クラークとリグリー
「新しい企業論」「埋没費用論」の導入
③移転
・移動距離に関する考察…短距離移動:移動が主 長距離移動:分工場が主
・プッシュ要因とプル要因
プッシュ要因:集積の不利益、工場用地の拡大余地の限界、操業環境の悪化など プル要因:自治体の工場誘致、豊富な労働力、安価な工場用地
④現在地の変化
・現存工場での 増加促進因子・規模の経済から生じる技術的要因 ・既存の用地、建物利用による費用節約 など
抑制因子・規模の不経済 など
・現存工場での変化の促進力:「慣性の力」と「摩擦力」
→組織の慣性(企業サイド)、立地の慣性(地域サイド)
第2章 日本における立地調整と地域構造の再編 1.立地調整の構成要素と分析手法
○立地調整の構成要素
事業所純増減数 開業率 新設数 流入数
廃業率 閉鎖数 流出数 増強・縮小(機能変化)
2.日本工業の立地調整
(1)「新設・閉鎖」「増強・縮小」の地域的動向 A:1978~1981年
・純増減従業者~一般に東高西低
西日本…プラスの値が多く、特に東北、北関東は大幅に増加 東日本…0またはマイナスの地域も多い
・開業率と廃業率のパターンも重要
例)九州…廃業率も開業率も高く多産多死である B:1986~1991年=バブル期
・純増減従業者~地域差が平準化された
・開業率、廃業率ともに高く、事業所の淘汰が活発
特に日本列島の縁辺部が高い開業率…東京などに本社を置く企業が労働集約的な事業 所を地方に進出させた
・増強従業者~鹿児島、滋賀から長崎にかけての地域で高い ただし鹿児島は廃業率も高いため純増率は低い C:1996~2001:バブル崩壊期
・純増減従業者~全国的にマイナス
・開業率が低下し、廃業率が上昇、地域差が少ない
(2)「転入・転出」の地域的動向
・大部分の地域~自地域内移転率が 90%をこえる
・関東臨海、近畿臨海~古くから工業が発達、他地域への移転率が比較的高い 関東臨海→関東内陸、南東北、(東海)
近畿臨海→近畿内陸、東海、北陸、山陽、四国
・関東内陸、近畿内陸はそれぞれ東京、大阪などの大都市の後背地として工業が発展
(3)業種別の集中・分散状況
・ジニ係数~値が0に近いほど均一の分布であり、1に近づくほど偏在している →ジニ係数はほぼすべての業種で減少傾向=工場は分散傾向にあった
・一般に軽工業は分散、重工業は偏在傾向
・ 表 2-2 から業種による地方分散傾向を読み取ることがポイント (例)
衣服/電気機械…地方分散の傾向が強い ↕
鉄鋼/輸送機械…変化が少ない
3.日本工業の地域構造の再編 (3)工業地区別成長率の地域差 製造業従業者数
○1979~86年:安定成長期
・東日本での増加率が高く、東西格差が顕著
・東北地方は衣服産業と電気機械産業、九州南部は電気機械産業により従業者数が増加
○1986~93年:バブル景気および変動期 ・遠隔地化
○1993~2000年:バブル崩壊後のリストラクチャリング期
・全国的に従業者数は減少傾向 ・局所的に成長地区が点在 付加価値生産性
・太平洋ベルト地帯で付加価値生産性が高く、その他の地域との格差がある 例)東北の「発展なき成長」
→工場の地方分散によって数量的には増加したが、付加価値生産性は比較的低い
・同一業種の地域差…企業の設備投資動向に左右され、増強・縮小といった立地調整の影 響を強く受けている
第3章 素材工業の立地再編と京浜臨海部の再生 1.臨海工業地帯の再編
2.素材工業の立地再編 (1)鉄鋼
・スクラップ&ビルド
→国内原料依存型の、古く小規模で市場から離れた位置にある製鉄所がスクラップ
→相対的に新しく、市場に近接した大型製鉄所がビルド
⇒東西市場分割立地から域内連携立地(生産・物流の合理化)に (2)石油精製
・日本の石油精製企業 旧財閥系 外資系 民族系
・大手 6 社による市場分割立地 (東西/多極分散) →輸送費節約
・規模の経済+輸送費節約をうまく組み合わせた生産拠点 →小規模な製油所の閉鎖と大都市近接型の大規模な製油所の強化
・M&A
→グループ内での設備集約化を加速 (3)石油化学
・オイルショック→設備処理 西日本:ファインケミカル 東日本:マスプロダクション
・グローバル競争
変遷:日本→韓国、台湾、シンガポール→中国→サウジアラビア 対策:M&A、海外立地
4.京浜臨海部の再編
・京浜臨海部:低、未利用地の増加など活力の低下が問題
○京浜臨海部再編整備政策の概要 神奈川県
・ソフト面での施策(京浜臨海部のイメージアップ)
・公共交通機関整備(東海道貨物支線の貨客併用化→実現難) 横浜市
・産学連携研究拠点「横浜サイエンスフロンティア」の整備 ・研究開発拠点形成を目指す
川崎市
・ゼロエミッション工業団地の建設
○問題点
①国に頼らざるを得ず、実現性に疑問
②企業が行政の姿勢に同調していない部分もある
③自治体間の意思統一の困難
第4章 セメント業界の M&A と物流システムの再編 1.セメント産業再編の局面
○生産量の動向
・第二次世界大戦後から 1973 年…高度経済成長で需要拡大
・オイルショック後…構造不況業種に指定
・バブル期…需要の拡大により生産量が大きく伸びる
・1997 年以降…バブル崩壊後の不況、アジア通貨危機による輸出の激減で急激に減少
○激しい再編の波
大型企業合併→寡占化の進行
○セメント産業の特徴
・原料立地型産業
・付加価値が低く、物流費が販売価格の2~3割
→大消費地である関東、近畿、東海の3地区への輸送が大きなウエイトを占める
2.セメント大手専業3社における生産システムの再編 (1)小野田セメント
○リストラクチャリングの特徴
①生産最下位4工場が生産停止
②内陸立地工場が生産停止
③4工場中3工場が用途転換として存続
→設備過剰体質の改善、生産効率性を高める
○OFT3工場
大船渡、藤原、津久見3工場を主力とする計画
≪理由≫
・小拠点で大量生産した方が原価をおさえられる ・大量輸送には大規模な港湾設備が必要
例)大船渡、津久見はリアス式海岸で水深が深く港湾設備が充実 ・消費地への近接性
例)藤原工場は阪神、中京に近い ・工場内生産設備
○スワップ(交換出荷制度):他者の製品を自社のブランドで販売 →スクラップ&ビルドに影響
(2)日本セメント
・生産拠点の集約化方針
→集約化により、低い稼働率に陥っている生産体制の再編成 (3)住友セメント
・四倉工場の閉鎖:発祥工場でも M&A などによって閉鎖される事例がある
3.業界新編成期
○1998年:太平洋セメント社の発足(秩父小野田セメント社、日本セメント社) ・国際競争力の強化が目的
→中規模な企業による市場の分け合いからの離脱
・企業主導の立地調整 ⇔ 工場ベースの立地調整 各工場の市場圏交錯 市場圏分割
→物流面での効率化が重要
○1990 年代以降:国内需要の減少でスクラップ&ビルドが進む →臨海大規模工場、市場に近接した内陸工場のみが残る =輸送費と生産量の合計が低い
4.物流システムの再編
○太平洋セメント設立後の物流システムの変化
輸送費と生産費を考慮→各工場の供給圏をフレキシブルに変化させ、全体としての輸送効 率を上昇させた
※セメント:製品の普遍性が高いため
第6章 エレクトロニクス企業における立地調整と産業クラスターの意義 1.激動するエレクトロニクス産業
・戦後:分散傾向~大都市 → 地方分散 → 海外立地 新設 移転 移転 閉鎖・転換
・1990 年以降:円高によるコスト上昇、海外市場参入 →国内生産拠点の集約化、空洞化 ・2000 年以降:国内回帰
※立地調整加速化の要因
①グローバル化およびボーダレス化 ②製品を構成するテクノロジーの進化 ③国際競争の激化
2.CRT テレビ事業から PDP 事業への傾斜
○松下電器のテレビ事業
・1970 年代末以降:カラーブラウン管テレビ生産
→大阪・茨城工場、栃木・宇都宮工場の2工場
・1980 年代中頃:カラーブラウン管テレビ生産のピーク
・1980 年代末:国内市場の飽和、海外製品との競合 →国内生産の減少
・1990 年代末から 2000 年代初頭:ブラウン管テレビからプラズマ・ディスプレイ・パ ネルテレビへ製品転換
○テレビ事業のリストラクチャリングに伴う立地調整 ・ブラウン管およびテレビ部材の工場閉鎖
・ブラウン管テレビ生産設備から薄型パネル生産設備への切り替えに見られる既存工場 の変化
・大規模投資を特徴とする工場の新設
3.PDP の産業特性と生産システム
○テレビ産業の特性
・商品サイクルの特性:商品サイクルが短く、商品売価が短期的に下落
・技術的特性:工程が可視化しにくい
・競争環境:近年薄型テレビの市場が本格的に立ち上がったことで韓国、台湾が力を伸ば している
○松下電器の立地調整
・ブラックボックス化:付加価値の源泉となるパネルと画像処理回路の製造の知識
・パネル生産の大型化:設備投資により生産規模を拡大し、低コスト化へ ↓
クラスター化、立地共有
第7章 自動車産業における立地調整とサプライヤーシステム 1.自動車産業における立地調整とサプライヤーシステム
1990年代後半以降~国内市場の成熟と国際競争の激化
2.ホンダのグローバル展開 (授業では扱っていません)
○海外進出の特徴
・二輪車から四輪車の生産へ展開
・マザー工場制:鈴鹿製作所、埼玉製作所の2系統による技術支援体制
○世界相互補完体制の構築
① Localization の段階:現地化の段階、マザー工場の支援による現地化 ② Glocalization の段階:現地の生産体質の強化、マザー工場と現地の連携 ③ Globalization の段階:マザー工場への依存から脱却
3.ホンダの国内拠点の集約化と車種移管
○国内拠点の機能集約化による立地調整
グローバル化→生産ラインの移管、生産拠点の集約化
○車種移管による立地調整
市場のフレキシビリティ UP→・「生産体質改革」
・工場内、工場間での車種移管 ※車種移管: ある車種の生産拠点を移管すること
「生産体質改革」によって可能となり、ライン稼働率の平準化がおこなわれ るようになった
4.ホンダ系一次サプライヤーにおける生産システムの変化
○ホンダ系一次サプライヤーの工場間分業 (図 7-3) ・製品別分業
・納入先別分業
・製品別・納入先別分業
○ホンダの車種移管による影響 1)製品移管
「ライン間フレキ」
・大部分のサプライヤー:納入先の変更は生じず、影響は少ない
・同期生産のサプライヤー:ホンダの「ライン間フレキ」への対応が必要
「拠点間フレキ」
・納入先別分業を行うサプライヤーに大きく影響 ホンダに対応して自社工場間で製品移管を行う 2)メイカーレイアウトの変更
3)納入先の変更
輸送コストの上昇、納入方法の変更
※ホンダの立地調整による一次サプライヤーへの影響は二次、三次サプライヤーへと階層的 に波及する可能性がある
特にホンダの拠点間フレキに対応した一次サプライヤーの生産移管は、二次サプライヤ ーの納入先変更や、メーカーレイアウトの変更などの影響を与える
第8章 繊維産地の衰退とフレキシブル生産
○繊維産業
綿織物:愛知、大阪、西南日本 絹織物:北陸、北関東
毛織物:愛知尾州、大阪泉州
3.泉州毛布産業の変貌 (2)調査対象企業の概要
毛布企業の分類
・伝統的分業体制(T):伝統的な産地内分業を存立基盤とする 大手紡績メーカーが産地を支配する
・完全外注生産体制(O):生産設備をもたず、産地内外の分業体制を利用 この体制をとる企業は生産管理のみ行う
・マイヤー分業体制(M):マイヤー編機の設備を導入し、マイヤー毛布生産
・一貫生産システム(W):紡績以外の全ての工程を内製化
※T,Oは小規模、M は中規模、W は比較的大規模 (3)類型ごとの立地特性
T:毛布生産が始まった中核地域に集中立地 O:中核地域に集中立地
W:染色工程に必要な工業用水の確保できる中核地域 M:集中と分散
(5)産地企業の海外進出
泉大津における毛布生産の変化
○技術革新→伝統的な生産システムから新たなシステムへ
○グローバル化→輸入品との価格面での競合
※最も競合を感じる海外地域:中国
ただし輸入品には逆輸入(ブーメラン効果)も含まれる →海外進出:主に M と W に属する大手企業
現地市場へ商品を供給 ⇒輸出代替
⇒雇用削減 →原材料の輸入
⇒海外代替により社会的分業が壊れていく
4.市場の変動と産地企業の対応
○市場の不確実性に柔軟に対応できるフレキシブル生産システム ・完全外注生産システム:集積の維持要因
~製品の多品種少量生産が可能
外注が産地内であれば産地内集積が維持される 市場の量的、季節的変動に柔軟に対応
・一貫生産システム:集積の解体要因 ~製品の多品種大量生産が可能 QR(クイック・レスポンス)が可能
生産工程の内部化により迅速な生産システムを構築する 海外進出によって産地の空洞化が起きる
※二つのし相反する傾向を持つ生産システムが対抗しながら市場のフレキシビリティに対 応している。
第9章 自動車産業のグローバル化と産業集積の空洞化 1.自動車産業の歴史と集積
○日本の自動車産業
・1870 年代~輸入代替産業として始動 ↓
東京、名古屋、大阪の三大都市で発展 ↓アメリカ市場で牽引された
1968 年~世界一の自動車輸出国へ ↓台湾、中国の台頭
中国などからの輸入増加
○自動車産業集積の空洞化 ・全国的推移
国内生産~2000 年:468 万台→2008 年:110 万台 輸入 ~2000 年:623 万台→2008 年:903 万台 (うち中国~2000 年:426 万台→2008 年:869 万台) 国内出荷~2000 年:1091 万台→20008 年:1013 万台
*輸入先の大部分は中国が占め、台湾からは欧米が製造している高級自動車を輸入 *国内出荷(1013 万台)の内訳
軽快車:6 割(↓)
電動アシスト車:25%(↑) マウンテンバイク:1割(↓)
○日本における自動車組立業者の概要
1958年~東京に本社を置く工業型アセンブラー多 (部品の生産から組み立てまで自社で行う)
↓
1998年大阪に本拠をおく商業型アセンブラー多 (部品を輸入などで調達し自動車をつくる、流通重視)
○自動車生産の中心地域の変遷
1996 年:大阪への一極集中←大手企業の生産体系の変更
○大阪府堺:自動車産業の国内唯一の集積地域 ・北部に高密度に集中
・企業の特徴
1950 年以前に事業を始めている古い企業 中小規模
高度に専門化または製品範囲の多角化
2.地域的生産リンケージと企業間関係 (1)組立業者と部品業者のリンケージ
・1種類の部品を多数の部品業者から購入 ・部品業者の地理的集中傾向
→取引の効率性
・納品の速さ、生産の質の高さ、小ロットへの対応 (2)部品業者と部品加工業者のリンケージ
・頻繁な取引
・低コスト、ニーズに対する柔軟性が選考基準 ・リンケージの特徴
1.製品需要の変動を吸収する調整機能 2.専門化された工程を外注
3・加工工程などの相談や知識の交換 (3)非対称的な企業間関係
・日本の自動車工業
明確なヒエラルキー構造(組立業者が部品業者を管理)がみられない ただし「技術的ヒエラルキー」は存在?
・非対称的な企業間関係 教科書 p153 参照
3.産業集積とイノベーション
市場対応(イノベーション)~消費者に対する近接性は海外では困難
→消費市場への近接性の方がより重要 例)消費者調査の立地 また研究開発の公的な機関も堺に立地
4.国際的な生産リンケージと地域への影響
○国際的生産リンケージ 1)製品別リンケージ
国内で技術集約的製品、国外で労働集約的製品を生産
2)工程別リンケージ:ある製品の生産工程を海外に移し同じ製品の異なる工程を国内で行 う
国内:組立工程 国外:部品、半製品の生産 小ロット 量産
安全基準の高いもの 安全基準の低いもの 3)生産量別のリンケージ
国内では短期需要の不安定性に対応 (フレキシビリティを達成) 国外ではコスト面での競争力を発揮 (規模の経済に対応)
5.グローバル競争下における産業集積の意味
1)地域企業の地理的近接性は、迅速で頻繁な配送を可能にする 2)国内市場での最終重要に敏感
3)集積内部で企業間の差異を拡大
※空洞化により地域内、地域間の生産リンケージが複雑化
第 10 章 企業城下町における立地慣性と政治力学 1.企業城下町の変化
・企業城下町:単一あるいは少数の大企業が持つ経済的影響が極めて大きい都市
・石油危機後の構造不況
→新産業の創出を支援することで中小企業依存からの脱却を目指す産業政策
・グローバル競争の激化
→中核企業が海外生産比率を高める
→下請け企業は自立を図り異業種交流や産学連携を進める 例)地方国立大学の医学部、工学部との研究、交流会など
2.旭化成の事業展開と事業展開と生産拠点の変化 (1)局面1:旭化成の事業多角化と拠点の拡散
○生産拠点 [戦後] 延岡(発祥工場):国内資源立地 ↓
[1950 年代以降] 太平洋ベルトへ拡散:海外原料依存、市場立地
・資源指向、労働力指向から消費地指向へ転換
・延岡は「マザー工場」として機能、併設された研究機関における基礎研究 (2)局面2:構造不況による繊維事業の再編
・構造不況による合成繊維を中心としたリストラクチャリング
・繊維産業が構造不況産業に
・雇用調整の必要性→従業者数も減少
(3)局面3:繊維事業のさらなる再編と新事業の成長
・グローバル競争によるリストラクチャリング
:1990 年代のアジア諸国との価格競争 レーヨン→中国製品に敗れ撤収
ベンベルグ→高付加価値化が図られる
・イノベーション
新たな製品の生産が延岡で開始される ◆再投資の要因…土地、水資源、技術蓄積
3.旭化成の企業文化と立地慣性
○企業文化…組織の慣性
・入社式、新人研修を通して企業文化を共有、再生産する ・経営上層部は宮崎または延岡支社を経験
・地域貢献事業~スポーツ、カルチャー
○立地慣性…地域の慣性
4.地域経済における旭化成の影響力の低下
・雇用への影響
延岡市の工業従業者数に占める旭化成従業員数の割合 1960年:8割→2000 年:2割
・産業構成への影響
・自治体財政への影響
延岡の財政に占める旭化成納税額(固定資産税、法人市民税)の割合が低下
5.産業をめぐる地方政冶の変容 (1)局面1:1950,60 年代の政策展開
旭化成の労働組合連合組織(全旭連)の政治活動が活発化
・労使協調的で、企業と労働組合の共同推薦により地方選挙の候補者確立 ・全旭連の指示する民社党が、市議会において第1党
・職場割選挙→地区割り選挙 O市長:工場設置条約
・条約の適応を受けたうちほとんどは旭化成、旭化成関連企業 ・旭化成を優遇する産業勢策
(2)局面2:構造不況の影響と延岡市の対応 H市長:企業誘致条例(構造不況政策)
(3)局面3:政治的影響力の低下と旭化成に対する再評価
・脱旭化成、政治的影響力の低下~下請け企業の減少など支持組織の弱体化
・企業立地促進条例~旭化成を再評価し、旭化成を核とする産業発展を目指す政策に回帰
第 5 章、第 11 章の前に… 立地調整による中山間地域の変容 条件不利地域
衰退要因 ○外因:・輸入自由化→内外価格差が拡大し競争力低下 ・エネルギー革命に伴う市場自体の縮小 ○内因:・国内他産地との競合
(一村一品ではなく多村一品のため) ・高齢化、人口減少による担い手不足 Cf.過疎化
70 年代:第一次過疎化 西南日本:挙家離村 東北日本:出稼ぎ
近年:限界集落 活性化要因 ○地域資源の再発見
→地域ブランドにつながる ○自立と連携(地域間、産業間)
第5章 非鉄金属企業によるリサイクル事業の展開 1.非鉄金属企業のリストラクチャリング
①第 1 次リストラクチャリング
1960 年代:貿易自由化→国際競争の波にさらされる ・小規模鉱山の閉山
・大規模で高品位の鉱石がとれる鉱山に経営資源投入(=ビルド鉱) ・海外鉱山開発に着手
→ノウハウ不足で短期撤退
②第 2 次リストラクチャリング
1970 年代:ドルショック、変動為替相場制への移行 ・ビルド鉱の閉山が相次ぐ
・比較的安価な海外鉱石を輸入し国内精錬業を維持 →臨海立地(大型精錬所)
③第 3 次リストラクチャリング
1985 年:プラザ合意→急激な円高、非鉄金属価格の下落 ・鉱業所の分離、別会社化
④第 4 次リストラクチャリング
バブル期:国内需要増加で経営利益回復 1980~90 年代:新規事業への参入
→金属加工、電子機器・電子材料(IT 関連産業が需要先) →リサイクル原料
2.同和鉱業の事業展開
○同和鉱業における売上高構成比の変化
・鉱業(精錬部門)の比率減少
・金属加工、電子機器・電子材料部門の成長
・環境・リサイクル部門の増加
○鉱山で蓄積された知識と関連企業間ネットワークの活用 黒鉱(複雑硫化鉱)の使用
→1 つの鉱石に多くの金属、岩石を含み選鉱が困難 ↓ 黒鉱を扱う技術の蓄積
レアメタルを抽出し電子材料部門が成長 高度なリサイクル技術の開発
3.秋田県小坂町におけるリサイクル拠点の形成
○鉱山町の宿命
急激な人口変化…急増期:秋田市に次ぐ県下第 2 位の人口 急速なインフラ整備(病院 etc)
商業活動(商店街、娯楽施設)の活発化 減少期:鉱業所従業者の流出
煙害による健康被害
○最盛期(1960 年代) 岱大鉱床の発見
→日本有数の大鉱床と、世界水準の精錬法を軸に増産
○北鹿事業間ネットワーク
「採鉱→選鉱→精錬」の工程が北鹿地域内で完結 ↓
しかし国内鉱業衰退時に全面的な閉山、撤退に陥る可能性高 ↓
旧来の施設、技術、ネットワークの枠組みを維持しながら業務内容を転換させる必要性
4.北鹿環境・リサイクルネットワーク
○北鹿事業間ネットワークから環境・リサイクル事業ネットワークへ転換 ・技術の転換
採鉱、選鉱、精錬技術→ゼネコン事業、土壌浄化技術、レアメタル精製 ・施設の転換
○成功要因
①同和鉱業における北鹿地域の位置づけ →鉱業技術、施設が集積する経営の中核地 ②地域との関係:地域住民の理解
5.小坂町における鉱山遺産の活用 政策的対応
新事業に移行する過程で分離した鉱山遺産をエコタウン政策と併せて活用
○観光
→康楽館、鉱業事務所(観光施設としてオープン)の興隆
観光収入といった経済的価値から離れ、文化財的価値に注目が集まる
○環境
→「エコタウン計画」の推進=資源循環型産業の創出
○研修(学習)
→途上国研修員の受け入れ、鉱山サミット
第 11 章 産直住宅のビジネスモデルと木材産地の変容 1.林業・木材産地の問題
○1961年:木材輸入の自由化 →外材、製材品が市場流入
⇔国産材:造林、育林コストと流通、加工コスト高
2.日本における産直住宅事業の展開
需要拡大、高付加価値化をめざし 1980 年代から産直住宅事業開始 岐阜県の産直住宅の優位性
・木材ブランド ・大工技術
・大市場への近接性
2.産直事業住宅の地域的影響
○2地域間比較 (中濃⇔東濃)
切り口:環境、アクター(共通点多)、ストック、フロー、プロダクトチェーン(相違点多) (P182~191の範囲は授業では詳しく説明されていませんが各自で読めって言ってました
…笑)
4.産直住宅事業の課題
製材業と建築業者、建築業者と消費者をつなげることには寄与したが林業とのつながりを 作るまでにはいたらず
→国産材の需要拡大に直結させることが課題