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中級ミクロ経済学 レクチャーノート#2 微分と最適化
講師:鈴木 慶春 配付:2017年4月17日
1. 微分を学ぶ意味
•経済学には合理的個人の仮定と言って「各経済主体は最も高い便益を得るように行動を決定する」と いう基本的概念がある。
•ではその行動をどうやって分析するのか?→数学でいうところの最適化問題に置き換える。
•微分を学ぶと最適化問題を解くことができるようになる。
そうすると中級レベルのミクロ経済学・マクロ経済学だけでなく、産業組織論・財政学・公共経 済学・労働経済学など他の応用科目の学習も円滑に進む。
これから2~3年長期的に経済学を勉強するならどう考えても「微分」と「最適化問題の解法」を 早いうちにマスターしておくのが最適解。
関数とグラフの復習(講義内では説明をしません。前提知識とします)
•ある1つの数�に対して、ある1つの数�(�)を対応させるものを1変数の関数という。 例)費用関数:ある財の生産量�に対する生産コスト�(�)
•ある2つの数の組(�, �)についてある数�(�, �)を対応させるものを2変数の関数という。 例)効用関数:ある財�と財�の消費から得られる効用� �, �
•関数� = �(�)のグラフ上の点(��, � �� )に接する直線を、このグラフの� = ̅�における接線という。
•通常の滑らかな曲線のグラフでは、ある�において接線が1本だけ存在する。
•ある直線について�が�増えたとき�がいくら増えるかという変化の割合を、その直線の傾きという。
•上図の接線では�が�増えると�が�増えている。つまりこの接線の傾きは(�/�)である。
� = �(�)
�
�
傾き
�
�
̅�
接線
�( ̅�)
2. 読書案内
•テキストを持っているなら神取ミクロの数学付録または荒井ミクロの数学付録が手っ取り早い。
•尾山・安田「経済学で出る数学 改訂版」と入谷・加茂「経済数学」は易しいのでオススメ。
•経済数学を本気で勉強したい人は、岡田「経済学・経営学のための数学」または神谷・浦井「経済学の ための数学入門」やA.C.チャン「現代経済学の数学基礎」に取り組もう。
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テストバンク
問題1. 結局、関数�(�)を微分して微分係数�′(��)を導出することの意味は何か? 問題2. 微分係数�′(��)がプラスであることの意味は何か?
問題3. 微分係数�′(��)がマイナスであることの意味は何か? 問題4. 微分係数�′(��)がゼロであることの意味は何か?
•関数�(�)のグラフについて、ある�における接線の傾きの値を求める操作を微分(Differentiation) という。
•�(�)について、ある�と、その�における接線の傾きの値を対応させる関数を導関数(Derivative) といい、�′(�) または��
��で表す。
•� = ��における接線の傾き�′(��)を、関数�(�)の ̅�における微分係数という。
微分・導関数・微分係数の定義
関数�(�)について �を ̅�から∆�だけ増やすと、�(�)の値は� ̅� + ∆� − � ̅� だけ増える(図を描いてみよ)。 そのときの平均変化率は、� ��+∆� −�(��)
∆�
∆�→�
���
� �� + ∆� − �(��)
∆� = �
′( ��)
微分の定義式(暗記でなく理屈を把握せよ)
ここで∆�をゼロに近づけると、平均変化率は
「� = ̅�における接線の傾き�′( ̅�)」に近づいて いく。したがって右が成り立つ。
� = �(�)
�
�
�
�(�) �
′� > �
�
�
′� < �
�
�
′� = �
3. 微分の基礎
• 本当ならばスキップしたいところですが、受講生の理解のために(簡単に)取り扱います。
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• �(�) = ��を微分すると、�(�)の導関数である�′ � = ���−�を得る。
• � � = ���+�(�, �は定数)の導関数は、�′ � = ����−�である。
典型的な式の微分の公式
2変数関数�(�, �)のうち�を定数と見なして�だけの1変数関数であると考えて�で微分したものを、 関数�(�, �)の�の偏微分といい、��(�,�)�� と書く。(�は主にラウンドと読まれる)
偏微分(Partial Differentiation)
�を変数とする関数�(�)と�(�)について、両者の積である�(�)�(�)を�で微分すると、
��(�)�(�)
�� =
��(�)
�� � � + �(�)
��(�)
��
関数の積の微分
関数�(�)と� = �(�)からなる合成関数�(�(�))の�の微分について、以下の公式が存在する。
�� � �
�� =
��(�)
��
��(�)
��
合成関数の微分
<補足>指数法則
�
��
�= �
�+�, ( �
�)
�= �
��, �
−�= � �
�, � �
��= �
�−�4. 色々な関数の微分
5. 制約のない最適化問題
• 関数� = �(�)として� = −�2+8� + 24を考える。これのグラフの概形を描いて、�がどの値のとき に関数値が最大になるか求めてみよう。
「微分してゼロ」は「関数が最大になる」ための必要条件でも十分条件でもありません。
皆さんが経済学を勘違いしないために付言しておきます
6. 制約付き最適化問題
例)縦が� cm、横が� cmの長方形を考える(� = �なら正方形)。縦の長さと横の長さの合計は8cmで なくてはならないとしよう。この条件を守った上で、この長方形の面積を最大にする�, �の組合せ は何か?(この問題を通じて「目的関数」「制約式」「代入法」を知ろう)
4ページ 解く
7. ラグランジュ乗数法(覚えておくと何かと便利)
max
�,��(�, �)
�. �. �(�, �) = �
制約付き最大化問題変換
ℒ = �(�, �) − �(�(�, �) − �)
ラグランジュ関数�ℒ
�� = 0,
�ℒ
��= 0,
�ℒ
�� = 0 を満たす(�′,�′,�′)
鞍点問題の解
( �
∗, �
∗)
最適解
ある条件下で一致!解く
<ラグランジュ関数ℒの解釈>
制約式を無視して自由に�, �が選べるとしよう。ただし、制約式を1単位上回る(下回る)ごとに目的 関数の値が�だけ下がる罰を受ける(�だけ上がる褒美をもらう)とする。
•もし�が小さいなら、制約式を破るほど大きい�, �を選ぶことでℒを大きくすることが最適になる。
•逆に�が大きいなら、制約式を過剰に守るような小さい�, �を選ぶことでℒを上げるのが最適になる。
⟶ �が小さすぎず大きすぎないある値��にあるとき、制約式を等号にすることが最適になる(関数ℒと 目的関数が同じになる)。このとき得られる解(��, ��)は、元々の制約付き最大化問題の解と等しい。 ラグランジュ乗数法はそんな�と最適化問題の解(�, �)を両方とも一度に求めてしまおうというアイデア。
テストバンク
問題5. 次の3つの関数を�で微分せよ:� � = �2, � � = , ℎ � = �1/3 問題6. 2変数関数�(�, �) = �2�を�で偏微分せよ。また�で偏微分せよ。 問題7. 次の2つの関数を�で微分せよ:� � = �2+ 1 3� + 1 , � � = 問題8. 次の合成関数を�で微分せよ:� � = 2�2+ 1 10
問題9. � + 3� = 24という制約のもとで関数� �, � = ��を最大にするような最適解 �∗,�∗ を、代入法 を使って求めよ。
問題10. 問題9をラグランジュ乗数法を使って解きなさい。 1
�
�
� + 1 制約式のある最大化問題を別の問題に変換して解く手法である。具体的には、
1. 最大化したい関数と制約式を1本の式にミックスさせたラグランジュ関数を作って、 2. ラグランジュ関数の鞍点を求めると、
3. 不思議なことに元々の制約付き最大化問題の最適解と一致している。 本当にそうなるか、前節の長方形の問題でやってみよう(板書で解説します)。