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理論ゼミ(前期) 2016 P3 20

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Academic year: 2018

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第 20 章 強い相互作用をする多体系

クォークからなる系(原子核、ハドロン)は複雑な量子力学的な系である。このような系 は扱いが難しいが、低エネルギー状態の性質については準粒子や集団運動による記述で説 明できることがある。高エネルギーではより複雑になり、統計的な記述を使うしかないこ ともある。

■準粒子

多体系は、十分低い励起エネルギーにおいては内部構造が複雑であっても準粒子の系とし て記述できる場合が多い。準粒子とは、基本的な構成要素と、それらの間の相互作用を粒 子とみなしたものである。半導体における正孔などが準粒子である。

■集団状態

低エネルギー励起状態のほかの例として、集団状態がある。たくさんの構成要素がコヒー レントに干渉して運動している状態で、結晶格子の振動(フォノン)や、原子核の表面の 振動などである。

■カオスの現象

励起エネルギーが増すと複雑さが増し、基本的な励起に基づいて定量的に説明できなくな る。普遍的な性質をもち、相互作用の詳細によらないような統計的現象が観察される。

■ハドロン

ハドロンの基本的構成要素はグル―オンとクォークであるが、クォークの閉じ込めにより 、 これらを直接観測することはできない。

核子の励起エネルギーは低い(数 100MeV)。ゆえに核子を構成するクォークの運動量も 低く、運動量移行も小さい。ゆえに、結合定数が大きく、QCD において摂動展開が使えな い。多体問題を正面から取り扱わないといけない。

ハドロンのスペクトロスコピーは、ハドロン内のクォークやグル―オンの複雑な相互作用 を単純化した準粒子、構成子クォークで説明できる。しかし、構成子クォークは本当の クォークとは性質が異なるので、ハドロンの複雑な励起状態を記述できるかどうかわから ない。

■強い相互作用の力

核子や構成子クォークに働く強い相互作用は第一近似では短距離力で、スピンやアイソス ピンの組み合わせにより引力になったり斥力になったりする実効的な力である。構成子 クォークについて、短距離については 1 グル―オン交換による相互作用として説明できる。 長距離については複数のグル―オンの交換として記述できる。核子には短距離で強い相互 作用による斥力が働くが、これはクォークの波動関数の対称性と色磁気的な斥力相互作用 によるものである。

■原子核

原子核は核子からなっていると考えてしまうが、核子というより準粒子からなっていると 考えた方が現実的である。フェルミ分布の上の方にある準粒子は弱く束縛されており、核

(2)

子と似た性質を持つ。原子核の低エネルギー状態のうちの 2,3 の現象(スピン、磁気モー メント、励起エネルギー)は、殻模型を用いて最外殻の弱く束縛された核子や閉殻に空い た空孔の性質で説明できる。p264 で、殻模型で原子核の磁気モーメントが一部説明でき た 励起エネルギーについても殻模型で一部説明できていた。

フェルミ分布の下の方にある、深く束縛された核子殻模型に当てはめることができない。 しかし、Λ 粒子は深く束縛されていても準粒子としてうまく記述できる。 Λ 粒子が原子核 中を自由粒子のように動くことは、17.2 節で述べた。

原子核にはもっと大きな準粒子もある。核子対を一つの準粒子とみなすと、これは

+ ¿

+¿=0

¿

J

¿ のボソンである。

原子核の性質のうちのいくつかは集団励起として理解できる。特に重い原子核の性質を記 述しやすい。例えば巨大双極子共鳴は密度の振動として記述できる。形の振動も集団励起 である。より高いエネルギーになると、励起の準粒子的性質や集団的性質は失われる。高 エネルギーでは順位の数が増え、複雑になるがゆえに逆に新しい記述法、つまり統計的な 手法が使えるようになる。

参照

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