第2 回 骨格系( 2 )
日紫喜 光良
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前回の復習( 1 )
• 上下の椎体は間に繊維軟骨である( ①) をは
さ み、 柱状をなし て( ②) と なる。 椎孔も 上下で
重なり 、 ( ③) と なり 脊髄を入れる。 上位の下
椎切痕と 下位の上椎切痕と が合わさ っ て
( ④) をつく り 、 脊髄神経を出入り さ せる。
• 選択肢: 椎間円板、 脊柱、 脊柱管、 椎間孔
前回の復習( 2 )
• 脊柱は柱状であるが、 頚部と 腰部は( ①) し 、
胸部と 仙尾部は( ②) し て、 前後に生理的な S
状湾曲をつく っ ている。
• 選択肢: 前弯、 後弯
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前回の復習( 3 )
• (①)頚椎は椎体が欠如し環状で、後頭顆との環椎 後頭関節をつくる上関節顆がある。(②)ともいう。
• (③)頚椎は椎体の上方に歯突起が突出し、環椎の 前弓の後ろに入り正中環軸関節をつくる。歯突起を 軸として頭蓋の回転をおこない、(④)ともいう。
• (⑤)頚椎は上位6頚椎に比べると棘突起が長く体 表からも触知でき、他の椎骨の位置の基準となる。
(⑥)ともいう。
• 選択肢:第1、環椎、第2、軸椎、第7、隆椎
本日の講義
• 頭の骨
• 顔面の骨折
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チェ ッ ク 項目( 第2 回 骨格系( 2 ) )
• 脳頭蓋をつく る骨は?
• 頭蓋の縫合線は?
• 眼窩を構成する骨は?
• 側頭骨と つながる骨は?
• 蝶形骨と つながる骨は?
• 大後頭孔には何が通っ ているか?
頭蓋骨
• 脳頭蓋: 脳を保護する
– 頭蓋冠:頭頂骨(2個)、前頭骨(1個)、後頭骨(1 個)、側頭骨(2個)
– 頭蓋底:蝶形骨(1個)、篩骨(1個)
• 前頭骨、側頭骨、後頭骨も頭蓋底をつくる
• 顔面頭蓋
頭蓋の絵を描いてみよう
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頭蓋骨( 1 5 種2 3 個)
脳頭蓋
顔面頭蓋
(6種8個)
(9種15個)
1.頭頂骨(2個)
2.側頭骨(2個) 3.前頭骨(1個) 4.後頭骨(1個) 5.蝶形骨(1個) 6.篩骨(1個)
1.鼻骨(2個) 2.涙骨(2個) 3.下鼻甲介(2個)4.上顎骨(2個)
5.頬骨(2個) 6.口蓋骨(2個) 7.下顎骨(1個) 8.鋤骨(1個)
9.舌骨(1個) (「解剖生理学」38頁の表, 40頁
図2-4, 41頁図2-5)
脳の保護
顔面の形成
頭蓋
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脳頭蓋と 顔面頭蓋
側面像
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正面像
側頭骨
外耳道、頬骨突起、下顎窩などに注目
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側頭骨と 接続する骨
• 頭頂骨
• 蝶形骨
• 頬骨
• 後頭骨
頬骨
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頬骨( 前面)
上顎骨
アナトモグラフィー(http://lifesciencedb.jp/ag/)
頬骨
上顎骨
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下顎骨
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/
解剖生理学43頁図2− 8も参照
下顎頭は側頭 骨の下顎窩と顎 関節をつくる。
筋突起には側頭筋 が停止する
蝶形骨( 前面)
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蝶形骨( 上から )
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/
蝶形骨( 横から )
前頭骨
蝶形骨
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脳頭蓋と 顔面頭蓋と の境界
• 顔面の骨が後方にずれないようにする3箇所の支持 部は、
– (1)側頭骨の頬骨突起:水平方向 – (2)蝶形骨の翼状突起:斜方法 – (3)蝶形骨の大翼:垂直方向
• 顔面の骨の上方への移動を押さえる3箇所の支持部 は
– (A)前頭骨の頬骨突起 – (B)前頭骨の鼻部
– (C)下顎窩の屋根
触れら れる脳頭蓋の構造の例
• 額: 前頭骨
• 眉弓: 前頭骨
– 眉毛のあたりの弓状の高まり
• 眉間: 前頭骨
• 前頭結節: 前頭骨
– 髪の毛の生え際近く、左右両側に見られる高まり
• 外後頭隆起: 後頭骨
– 後頭部の正中線上
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前頭骨の性差
• 眉弓:男性のほうが高 い
• 眉間:男性のほうが平 ら、女性は眉から連続 して丸みを帯びる
• 前頭結節:女性のほう が高い
縫合と 泉門
• 矢状縫合:左右の頭頂骨の間
• 冠状縫合:前頭骨と左右頭頂骨の間
• ラムダ縫合:左右頭頂骨と後頭骨の間
• 鱗状縫合:側頭骨と頭頂骨の間
• 大泉門:矢状縫合と冠状縫合とが、まだ融合しない ときに、菱形の隙間ができる。生後1.5-2年で閉鎖
• 小泉門:矢状縫合とラムダ縫合との間の三角形状
の部分。生後0.5-1年で閉鎖
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縫合
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/
ラムダ状縫合
矢状縫合
冠状縫合
骨の名前を入れてみよう
ラムダ状縫合
矢状縫合
冠状縫合
A
B
C
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質問
• 左右の頭頂骨の間の縫合を( ①) 縫合と いう
• 前頭骨と 左右頭頂骨の間の縫合を( ②) 縫合
と いう 。
• 左右頭頂骨と 後頭骨の間の縫合を( ③) 縫合
と いう 。
• 側頭骨と 頭頂骨の間の縫合を( ④) 縫合と い
う 。
泉門
小泉門
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質問
• 矢状縫合と 冠状縫合と が会合し ている菱形
の部分で、 生後1 年半から 2 年で閉鎖する膜
性の部位を( ①) と いう 。
• 矢状縫合と ラ ムダ縫合と の間の三角形状の
部分で、 生後約6 ヶ 月から 1 年で閉鎖する膜
性の部位を( ②) と いう 。
前半のまと め: 頭蓋を描く
• 外耳孔との位置関係に注目。
• 側面像:側頭骨頬骨突起、頬骨に注意
• 正面像:頬骨による位置決め
• 耳眼水平面上にある構造物に注意
• 脳頭蓋と顔面頭蓋との境界に注意
図は
http://research.kahaku.go.j
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耳眼水平面
• 左右の外耳孔の最上縁の点と,左の眼窩の 最下縁の点で決る面
図は
http://research.kahaku.go.j p/department/anth/s-
hp/s8.html
頭蓋底
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頭蓋底の穴の例
• 大後頭孔(後頭骨):延髄下部が通り脊髄につながる。脊髄 動脈が通る
• 視神経管(蝶形骨):視神経
• 上眼窩裂(蝶形骨):眼神経
– 眼神経:三叉神経の第1枝。結膜、角膜、上眼瞼、前頭部の皮膚の 知覚を支配する。
• 正円孔(蝶形骨):上顎神経
– 上顎神経:三叉神経の第2枝。上顎(歯、歯茎、口腔粘膜、皮膚含 む)の知覚を支配する。
• 卵円孔(蝶形骨):下顎神経
– 下顎神経:三叉神経の第3枝。下顎(歯、歯茎、口腔粘膜、皮膚含 む)の知覚、ならびに、咀嚼筋群の運動を支配。
• 内耳孔(側頭骨):聴神経
• 頚動脈管(側頭骨):内頚動脈
• 頚静脈孔(側頭骨と後頭骨):内頚静脈。舌咽神経・迷走神 経・副神経。
大後頭孔
延髄が脊髄に移行する場所 椎骨動脈と脊髄動脈も通る。
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蝶形骨のまわり の骨
篩骨
前頭骨
頭頂骨
側頭骨 後頭骨
鼻中隔
篩骨垂直板
鋤骨
鼻中隔軟骨
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副鼻腔
• 鼻腔( びく う ) を取り 囲む骨の内部に発達し た
空洞
– 鼻腔に通じる開口部をもち、鼻腔粘膜の続きでお おわれている
• 炎症をおこ し やすい( 副鼻腔炎)
• 上顎洞: 副鼻腔の中で最大。 歯根部の病変
が波及するこ と あり 。
• 他に、 篩骨洞、 前頭洞、 蝶形骨洞
副鼻腔の例
前頭洞
上顎洞
蝶形骨洞
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質問
• 鼻腔の入り 口は( ①) と よばれ、 内部は( ②) で
左右に仕切ら れている。 両側壁から は上・ 中・
下( ③) が突出し て上・ 中・ 下( ④) を分ける。
• 鼻中隔は上半を篩骨の垂直板、 下半は( ⑤) 、
前方は鼻中隔軟骨から なる。
• ( ⑥) は鼻腔周辺の骨の内部の含気腔で、
( ⑦) 、 ( ⑧) 、 ( 前・ 後) 篩骨洞の4 種がある。
眼窩
• 7 種類の骨で囲まれている
• 前頭骨( 上面)
• 頬骨( 外側面)
• 上顎骨( 下面)
• 蝶形骨( 底面( 奥の面) )
• 篩骨( 内側面)
• 口蓋骨( 下面)
• 涙骨( 内側面)
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眼窩の構成
頬骨 前頭骨
蝶形骨
上顎骨 篩骨
涙骨
眼窩の構成( 前面)
前頭骨
蝶形骨 大翼
頬骨
涙骨 篩骨 口蓋骨
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眼窩内の構造物
• 眼球
• 視神経
• 眼球を動かす筋肉
• 眼球を動かす筋肉を支配する神経
• 脂肪組織
眼窩の損傷により障害をきたす
「見えない」「2重に見える」
スポーツでの外傷で重要。野球、ボクシングなど
顔の骨折の例
• 25歳、男性。野球練習中、グラブではじいた球が右 頬にあたった。すぐに冷やしその夜は様子を見てい たが、
• 翌日には顔面の腫脹(しゅちょう)が増していた。眼 の縁を触ってみると非常に痛いところがあり、
• 右頬が若干、平らになったように見え、右眼が左眼 にくらべて引っ込んでいるような感じがした。
• また口を開けようとしたが十分には開かず、
• 上目づかいに物を見たときに二重に見えるように なった。
• 右上唇および粘膜にしびれが生じている。
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眼窩壁骨折
http://www.jsprs.or.jp/sikkan/3-2/3-2-3.htm 日本形成外科学会ホームページより
眼窩壁骨折の症状
• 骨折部からは眼窩内の脂肪組織や眼を動かす筋肉 などがはみ出しますので、眼が落ち窪んだり(眼球 陥没)、眼の動きが悪くなって物が二重に見える(複 視)、そのために吐き気を催すこともあります。
• 眼窩の下壁には知覚神経が走っており、損傷すれ ば頬∼上口唇の感覚が麻痺します。
• また、鼻をかむと血液の混じった鼻水が出ます。こ のような状態で鼻をかむと、逆に骨折部から眼の周 囲組織に空気が入ってひどい場合には視力障害を 起こしますので、鼻をかんではいけません。
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眼窩壁骨折の治療方針
• 殆どの場合には経過をみて手術の要否を決めます。ただし、 骨折部で眼を動かす筋肉が挟み込まれている場合(小児に 多い)は緊急手術が必要になることもあります。したがって、 眼部を強く打った場合にはCT検査が受けられる病院を受診 してください。
• 手術適応:CT検査による骨折の状況、眼球陥没や眼球運動 障害の程度から判断します。
• 眼窩壁の骨折があっても、複視や眼球陥没などの 症状が無ければ手術はしません。
• 複視の多くは骨折部の腫れや出血が吸収されると 改善してきます。訴えが複視だけで、CT検査で問題 が無い場合には、改善状況を見てから手術するか 否かをきめます。
http://www.jsprs.or.jp/sikkan/3-2/3-2-3.htm 日本形成外科学会ホームページより
眼窩壁骨折の手術
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チェ ッ ク 項目( 第2 回 骨格系( 2 ) )
• 脳頭蓋をつく る骨は?
• 頭蓋の縫合線は?
• 眼窩を構成する骨は?
• 側頭骨と つながる骨は?
• 蝶形骨と つながる骨は?
• 大後頭孔には何が通っ ているか?
頭蓋の絵をかいてみよう