理論ゼミ 第 1 章
藤井涼平
2016 年 4 月 19 日
1930年代半ばには電子・陽子・中性子・ニュー トリノが知られていたが,後の加速器実験で100以 上の新粒子が発見された. これらはハドロンと呼ば れ,より基本的な構成要素であるクォークの組み合 わせで説明できた. 陽子・中性子もハドロンの一種 である.
1 基本的な構成要素
基本的な構成要素にはレプトン1)とクォーク2)が ある.
レプトンとクォークの大きさは10−18[m]以下で あるとわかっている.これは陽子・中性子の1/1000 以下の大きさで, 実際は点状だと考えられている. また,レプトンとクォークには励起状態が見つかっ ていない. 以上の理由から,レプトンとクォークは 基本的な構成要素と考えられている.
一方, レプトンとクォークはグループ分けでき る3)ので,さらに小さい構成要素から成ると考える 研究者もいる.
2 基本的な相互作用
基本的な相互作用は4種類4) あり,それらはスピ ン1のベクトルボソンの交換に媒介される.
• 電磁相互作用-光子
• 強い相互作用-グルーオン
1)電子・ミューオン・タウオン・電子ニュートリノ・ミュー ニュートリノ・タウニュートリノとそれらの反粒子の計 12種類ある.
2)アップ・ダウン・チャーム・ストレンジ・トップ・ボトム とそれらの反粒子の計 12 種類ある.
3)第一世代, 第二世代など.
4)重力は粒子間の相互作用としては非常に弱いため, 今後無 視する.
• 弱い相互作用- W+, W−, Z0ボソン
電磁相互作用が電荷を持つ粒子にしか働かないよう に,強い力は「色電荷(強い電荷・色とも)」をもつ 粒子にしか働かず,弱い力は「弱電荷」をもつ粒子 にしか働かない.
粒子のもつ電荷・色電荷・弱電荷は以下のとおり:
電 荷 色電荷 弱電荷 レプトン △ × ○ クォーク ○ ○ ○
※△はニュートリノ以外
W, Zボソンは非常に重く(=静止エネルギーが 非常に大きい),時間とエネルギーの不確定性から 寿命が非常に短い→弱い相互作用の到達距離は非常 に短い.
グルーオンの質量はゼロだが,グルーオン自身が 色電荷をもつためグルーオン同士で相互作用する. これが原因で強い相互作用の到達距離は非常に短い らしい.(後の章で詳説とのこと)
光子には質量がなく,光子は電荷を持たない.よっ て電磁相互作用は無限遠まで作用する.
3 対称性と保存則
古典力学では,相互作用が時刻や正準共役量(位 置・角度)に関して不変なことからエネルギー・運 動量・角運動量保存則が導かれる.
非相対論的量子力学では,パリティ量子数Pも存 在する.鏡映反転Pに対して波動関数の符号が変わ らないときP 1,変わるならP −1となる.例え ば,水素原子中の軌道角運動量lの電子のパリティ
1
は(−1)lである5). 相互作用が鏡映反転不変ならパ リティが保存される.
相対論的量子力学ではパリティの概念が拡張さ れ, 粒子と反粒子それぞれに内部パリティが存在 する.
粒子から反粒子を作ったり,その逆を行う荷電共 役変換Cに対し相互作用が対称なら, Cの固有状態 ではC-パリティが保存される.
質量数が同じで陽子数・中性子数の組み合わせを 変えた原子核は似た振る舞いをする. これはアイソ スピンという量子数によって特徴づけられる. 弱い アイソスピンと呼ばれる類似した量子数もあり,こ れらにも保存則がある.
4 実験
4.1 散乱実験とスペクトロスコピー
■散乱実験 標的に粒子ビームを当て,ビームの運 動学的量の変化を見ることで標的と相互作用の性質 を見る. 標的の大きさを調べるには,ビーム粒子の ドブロイ波長が標的粒子と同程度以下にならないと いけない.
λ h
p (1)
E2m2c4+p2c2 (2)
から,標的粒子の直径をRとすると
E ≳
√h2c2 R2 +m
2c4 (3)
のエネルギーをもつビームが必要.
今日到達しうるエネルギーでは,クォークやレプ トンの内部構造は見ることができない.
■スペクトロスコピー 励起状態の崩壊生成物を調 べることで励起状態の性質や相互作用を調べる. 図 1.1に書いてあるとおり,小さいものほど励起エネ ルギーが高いため,励起状態を生成するのに高いエ ネルギーのビームが必要となる.
5)これは球面調和関数に π − θ, π + φ を代入することで求 まる.
4.2 測定器
粒子を検出する測定器の種類: 1. シンチレータ:
放射線が入射すると光が発生する. これを光電 子倍増管で増幅する.
2. ワイヤーチェンバー:
ガスを満たした容器の中に電圧をかけた多数の ワイヤーを張る. 荷電粒子が入射するとガスを 電離し,電離した粒子がワイヤーに引き寄せら れ加速する際にさらに他のガスを電離する. 電 離したイオンがワイヤーに触れると電流が流 れ,粒子が付近を通過したことがわかる. ワイヤーを密に張ると,入射した荷電粒子の飛 跡がわかる. 磁場を同時にかけておくと,曲率 半径から運動量を測定することができる. 3. 半導体検出器:
おなじみ. 放射線が電子ホール対を生成するこ とで電流が流れる.
4. チェレンコフ検出器:
物質中を通過した粒子が物質中の光速(c/n)を 超えた時に,円錐形にチェレンコフ光が放出さ れる.この光を検出することで粒子を判別する. 5. カロリーメーター:
高エネルギーの粒子は物質中で二次粒子を生成 する. 二次粒子のエネルギーが高いと,この反 応が連鎖的に起こり,二次粒子のシャワーがで きる. このシャワーの大きさを測ることでエネ ルギーを測定する.
各測定器の特性,詳しい原理は付録A.2 (P348)を 参照のこと.
5 単位系
• 質量はeV/c2で表す.
• 運動量はeV/cで表す.
• ℏc ≃ 200MeV · fmを覚えておくと便利.
• 電磁相互作用の結合定数 α e2/4πε0ℏc ≃ 1/137がよく出てくる.
後は省略.
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