以下の 1 ∼ 28 に最もよくあてはまる答えを各解答群から1つ選び, 解答用紙(マークシート)にマークせよ。ただし,同じ番号を繰り返して用いてもよい。
!
図のように,水平な床の上に質量mの小物体と,床に対して角度θ の斜面をもつ質量4mの台がある。小物体を台に向かって大きさv0の初速度で運動させると,小物体 は台をのぼる。以下,小物体と床の間には摩擦はないものとする。床と台の斜面は滑ら かに接続されている。小物体や台の運動は紙面内に限られる。また,小物体は台の斜面
を通り越して,台から落ちることはないものとする。重力加速度の大きさをgとし,
空気の抵抗はないものとする。
4m 小物体
台
床
m θ
v0
) 台が床に固定されており,小物体と台の斜面の間には摩擦がない場合を考える。小
物体を台に向かって大きさv0の初速度で運動させると,小物体は台の斜面をのぼる。
小物体の最高点の高さは,床からはかって 1 × v02
g である。また,小物体が
斜面をのぼり始めて,この高さに達するまでに要する時間は 2 ×v0
g である。
1 の解答群
! 18 " 14 # 13 $ 12 % 32 & 2 ' 3 ( 4
2 の解答群
! 2sinθ1 " sinθ1 # sinθ2 $ sinθ3
% 2cosθ1 & cosθ1 ' cosθ2 ( cosθ3
物
理
1月24日実施
) 台は床に固定されており,小物体と台の斜面の間に摩擦がはたらく場合を考える。 小物体と斜面の間の動摩擦係数をµ′とする。小物体を大きさv0の初速度で台に向 かって運動させると,小物体は台の斜面をのぼり,床からはかって高さ 3 ×v02
g
の位置まで達する。小物体が最高点に達するまでに失った力学的エネルギーは 4 ×mv02である。小物体が最高点までのぼった後,斜面を滑り落ちないため
には,小物体と斜面の間の静止摩擦係数は 5 よりも大きくなければならない。
3 の解答群
! 4(sinθ+µcosθ′cosθ) " 2(sinθcosθ+µ′cosθ) # sinθ+µcosθ′cosθ
$ sinθ2+µcosθ′cosθ % 4(sinθ+µsinθ′cosθ) & 2(sinθsinθ+µ′cosθ)
' sinθ+µsinθ′cosθ ( sinθ2+µsinθ′cosθ
4 の解答群
! 4(sinθµ+µ′cosθ′cosθ) " 2(sinθµ+µ′cosθ′cosθ) # sinθµ+µ′cosθ′cosθ
$ sinθ2µ+µ′cosθ′cosθ % 削除 & 2(sinθµ+µ′sinθ′cosθ)
' sinθµ+µ′sinθ′cosθ ( sinθ2µ+µ′sinθ′cosθ
5 の解答群
! cosθ " sinθ # sinθcosθ $ tanθ
) 次に,台が床の上を摩擦なく自由に滑ることができる場合を考える。小物体と台の
斜面の間にも摩擦はないものとする。小物体を大きさv0の初速度で,静止している
台に向かって運動させると,小物体は台の斜面をのぼる。小物体が最高点に達したと き の 小 物 体 の 水 平 方 向 の 速 さ は 6 ×v0で,そ の 高 さ は 床 か ら は か っ て
7 ×v02
g で あ る。そ の 後 小 物 体 は 斜 面 を 滑 り 降 り た 後,床 の 上 を 速 さ
8 ×v0で運動する。このときの台の速さは 9 ×v0である。
6 ∼ 9 の解答群
!
正の電荷q〔C〕をもった質量m〔kg〕の小物体Aがある。Aは図のように,一対の 小穴P,Qがあいた電位差V〔V〕をもつ平行極板C,Dで加速され,平行極板に平行 な壁の小穴R0を通過して,紙面の表から裏向きの一様な磁束密度B〔T〕が存在する領 域に入る。ここに,小穴P,Q,R0は一直線上にあり,3つの小穴を通る直線は壁と平 行極板に垂直であるとする。以下,これらの装置は真空中にあり,重力の影響は無視できるものとする。また,Aの運動は紙面内に限られ,平行極板の間の電場は一様とする。
必要であれば,!r!<1のときに成り立つ和の公式 1+r+r2+r3+...= 1
1−r を用いてもよい。
AP C
D Q
壁 R0
R1 R2
Ⅰ Ⅱ
V〔V〕 B〔T〕
d〔m〕
v〔m/s〕
10 の解答群 ! V
d " V
d2 # V2 d $ V2 d2 % d V & d
V2 ' d2
V (
d2 V2
11 の解答群
! !2q
mV d " ! q
mV d # ! 3q
2mV d $ ! 2q mV d
% !2m
qV d & ! m
qV d ' ! 3m
2qV d ( ! 2m
qV d
12 の解答群
! !2qV
m " ! qV
m # !
3qV
2m $ !
2qV m
% !2mqV & !qVm ' !23qVm ( !2qVm
) AはQを通過したのち,壁の小穴R0を通って,速さv〔m/s〕で一様な磁場が存在
する領域に入射し,図の軌道Ⅰを描く。軌道Ⅰの半径は 13 〔m〕で,R0から
入射して壁の点R1に達するまでの時間は 14 〔s〕である。また,R1に達する 直前の速さは 15 〔m/s〕である。
13 の解答群
! 4qBmv " 2qBmv # mvqB $ 2mvqB
% 4mv
qB & mv
2qB '
mv
qB (
2mv qB
14 の解答群
! 4qBπ
m " qB
2πm #
qB
πm $
2qB πm
15 の解答群
! 2v " v # 3v
2 $ 2v
) AはR1で壁に衝突した後,跳ね返って,図の軌道Ⅱを描いた。Aと壁の衝突係数 をeとすると,軌道Ⅱの半径は 16 〔m〕である。Aが点R1で壁に衝突してか ら点R2に達するまでの時間は 17 〔s〕となる。ただし0<e<1である。
16 の解答群
! 2emv
qB " emv
qB #
3emv
2qB $
2emv qB
% 2qm
evB & qm
evB ' 3qm
2evB (
2qm evB
17 の解答群
! 2πme
qB " πme
qB #
2πme
qB $
4πme qB
% 2πqBm & πqBm ' 2qBπm ( 4qBπm
* この後,Aは何度も壁にぶつかり跳ね返されながら半円軌道を繰り返して図の左方
向に進んだ。このとき,Aは壁の上で,小穴R0からはかって距離 18 〔m〕の 点に限りなく近づく。
18 の解答群
! (1+e)mvqB " (1+e)2mvqB # (1−e)mvqB $ (1−e)2mvqB
% (1+e)mv
qB &
2(1+e)mv qB '
(1−e)mv
qB (
!
図1のように,空気中で平面ガラス1の上に平面ガラス2が微小な角度α〔rad〕でくさび形におかれている。平面ガラス2は点Oで平面ガラス1に接している。上から
波長λ〔m〕の単色光を平面ガラス1に垂直に照射し,反射光を上から観測すると,平 行な明暗の縞模様が見えた。以下,空気の屈折率は1,平面ガラスの屈折率はどちらも nとせよ。ただしn>1である。また,微小な角度!α!〔rad〕に対して成り立つ近似式 sinα≒tanα≒α を用いよ。
Q P O
x
d
α
1 2
図1
! 平面ガラス1上で,点Oからx〔m〕だけ離れた点Qに垂直に入射する光線を考え よう。この光線が平面ガラス2の下面と交差する点をPとし,PとQの間の空気層 の 厚 さ をd〔m〕と す る と,Pで 反 射 さ れ る 光 とQで 反 射 さ れ る 光 の 光 路 差 は 19 〔m〕で あ る。反 射 さ れ た 光 の 位 相 は,Pで は 20 が,Qで は
21 。Pで反射される光とQで反射される光が干渉して打ち消しあうには,
19 の解答群
! 4d " 2d # d $ 2d % 3d & 4d
20 と 21 の解答群
! 変化しない " 逆になる
22 と 25 の解答群
! 2m " m # 2m $ 4m
% 12)+m+1
2*, & )+m+ 1
2*, ' 2)+m+ 1
2*, ( 4)+m+ 1 2*,
23 の解答群
! m2α " mα # m $ )+m+1 2*, % 2mα & mα ' 2m ( 12)+m+12*,
24 の解答群
- 次に,2つの平面ガラスの間のくさび型のすきまを,屈折率n′の透明な液体で満 た す。n<n′の と き,Oか ら の 距 離x〔m〕の 位 置 に 暗 線 が で き る 条 件 は, m=0,1,2,...としてx= 26 ×λ〔m〕となる。
液体の屈折率n′が1<n′<nを満たすとき,Oからの距離x〔m〕の位置に暗線が できる条件は,m=0,1,2,...としてx= 27 ×λ〔m〕となる。
26 と 27 の解答群
! 2mnα′ " mαn′ # 2n′α )+m+12*, $ n′α )+m+12*,
% n′α(2m+1) & 2n′m
α '
m
n′α ( 2m n′α
. 2つの平面ガラスの間の液体を取り去る。その後,図2のように,平面ガラス1に
対する平面ガラス2の傾きを角度α〔rad〕に保ったまま,平面ガラス2を少しずつ真
上に持ち上げた。すると,暗線と明線の位置は徐々に変化していったが,平面ガラス2
を高さh= 28 〔m〕だけ持ち上げたとき,明線や暗線の位置は持ち上げる前の
位置と初めて一致した。
h
α
1 2
図2
28 の解答群
!
次の文!1∼!4を読み,空欄 1 ∼ 5 にあてはまる最も適切なものを,それぞれの解答群から選び,解答欄にマークせよ。ただし,原子量は,He=4.0,
C=12.0,O=16.0,Mg=24.0,Al=27.0とする。また,標準状態(0℃,1.01×105Pa) における1molの気体の体積は22.4Lとする。
!1 標準状態で体積がaL,質量がbgの気体がある。この気体の分子量は 1 であらわされる。
1 に対する解答群
" 22.4×ab # 22.4×ba $ 22.4×ba % 22.4×ab
& 22.a×b4 ' 22.a×b4 ( a−22.4
b )
b a−22.4
!2 ヘリウム1.5gと酸素3.0gからなる混合気体がある。この混合気体の平均分子量
は, 2 である。
2 に対する解答群
" 6.4 # 8.0 $ 9.6 % 11 & 12 ' 18 ( 23 ) 29 * 30 ! 31 + 32
化
学
!
!3 ある体積の一酸化炭素を完全に燃焼させたところ,標準状態で20Lの二酸化炭素
が生じた。この燃焼には標準状態で 3 gの酸素が必要である。また,標準状
態で比べると,反応後に生じた二酸化炭素の体積は,反応した一酸化炭素と酸素の体
積の和の 4 になっている。
3 に対する解答群
" 8 # 14 $ 16 % 25 & 28 ' 32 ( 36 ) 48 * 49 ! 50
4 に対する解答群
" 14 # 13 $ 12 % 23 & 34 ' 1.2倍 ( 1.5倍 ) 2.0倍 * 2.5倍 ! 3.0倍
!4 マグネシウムとアルミニウムからなる合金3.50gに十分量の塩酸を加えて反応さ
せたところ,標準状態で3.36Lの水素が発生した。この合金中に含まれていたマグ
ネシウムの質量百分率は 5 %である。
5 に対する解答群
+
次の文章の空欄 6 ∼ 18 および問1∼3の空欄 19 ∼ 24 にあてはまる最も適切なものを,それぞれの解答群から選び,解答欄にマークせよ。窒素とリンは,ともに周期表の 6 族に属する元素であり,どちらの原子も,
最外殻電子の数は 7 である。
窒素と水素を触媒存在下,約500℃,高圧で直接反応させるとアンモニアが生じる。
アンモニアを約800℃で白金を触媒として空気中の酸素と反応させると 8 が生
じる。 8 は空気でさらに酸化されると赤褐色の 9 となる。 9
を水と反応させると硝酸が得られる。
リンの単体には,毒性の低い 10 と猛毒の 11 とがあり,これらは互い
に 12 である。いずれも空気中で燃焼させると,強い 13 性を示す白色粉
末状の化合物が生じる。この化合物を水と反応させるとリン酸水溶液が得られる。 硝酸とリン酸は,ともに酸であるが,性質はかなり異なる。酸性の度 合 い は,
14 の方が 15 より強い。また,硝酸は, 16 作 用 が 強 く,銀 も
16 して溶かすことができる。一方, 17 や 18 に硝酸を作用させ
ても,不動態をつくるので溶けない。
6 , 7 に対する解答群
" 1 # 2 $ 3 % 4 & 5 ' 6 ( 7 ) 8 * 9 ! 10 , 11 - 12 . 13 / 14 0 15 1 16 2 17 3 18
8 ∼ 16 に対する解答群
" 亜硝酸 # 一酸化窒素 $ 引 火 % 黄リン & 還 元 ' 吸 湿 ( 酸 化 ) 硝 酸
* 十酸化四リン ! 赤リン , 同位体 - 同族体
17 , 18 に対する解答群
" 亜 鉛 # アルミニウム $ 金 % 鉄 & 銅 ' 鉛 ( 白 金
問1 リン酸カルシウムを硫酸と反応させると,-式にしたがって過リン酸石灰が得ら
れる。過リン酸石灰は,リン肥料として利用される。-式を完成させなさい。
Ca3(PO4)2+2H2SO4+, 19 +2 20 …
-19 , 20 に対する解答群
" H3PO4 # H2O $ H2S % O2 & P ' P4O10 ( SO2 ) CaHPO4 * Ca(H2PO4)2 ! CaSO4
問2 希硝酸に銀を入れると,.式にしたがって銀が溶解する。.式を完成させなさい。
3Ag+ 21 HNO3+,3AgNO3+2 22 + 23 … .
21 ∼ 23 に対する解答群
" H2 # H2O $ N2 % NO & NO2 ' O2 ( 2 ) 3 * 4 ! 8
問3 0.40mol/Lリン酸水溶液10mLを過不足なく中和するには,0.50mol/L水酸
化ナトリウム水溶液が 24 mL必要である。空欄に入る数値を解答群から選
びなさい。
24 に対する解答群
!
次の文章を読み,!1∼!6にある空欄 25 ∼ 33 にあてはまる最も適切 なものを,それぞれの解答群から選び,解答欄にマークせよ。ただし,同じものを何度 選んでもよい。また,原子量は,H=1.0,C=12.0,O=16.0とする。炭素,水素,酸素からなる分子量74.0の化合物Aと化合物Bがある。AとBを元素
分析したところ,どちらも質量百分率で炭素64.8%,水素13.5%であった。また,A とBを金属ナトリウムと反応させたところ,どちらも水素ガスを生じた。
AとBを過マンガン酸カリウムで酸化したところ,Aからは化合物Cが,Bからは化 合物Dが生じた。
アAとCにヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱したとこ
ろ,AとCのどちらの化合物からも黄色の結晶が生じたが,BとDに同様の操作を行っ ても変化はみられなかった。
イAとBにそれぞれ濃硫酸を加えて170℃に加熱したとこ
ろ,Aからは化合物Eと化合物Fが生じ,BからはFのみが生じた。
!1 化 合 物AとBの 化 学 式 を 整 数x,y,zを 用 い てCxHyOzと 表 し た と き,x は
25 ,yは 26 ,zは 27 である。
!2 下線部アの反応は 28 反応である。
!3 下線部イで起こる反応は 29 反応である。
!4 化合物A∼Fのうち,幾何異性体を持つ化合物は 30 である。
!5 化合物A∼Fのうち,少量の臭素水を加えて振りまぜると,臭素の色が速やかに消
失する化合物は 31 と 32 である。
25 ∼ 27 に対する解答群
" 1 # 2 $ 3 % 4 & 5 ' 6 ( 7 ) 8 * 9 ! 10 + 11 , 12 - 13 . 14 / 15
28 , 29 に対する解答群
" アルキル化 # エステル化 $ 加水分解 % 還 元 & けん化 ' 酸 化 ( スルホン化 ) 脱 水
* ニトロ化 ! ハロゲン化 + ヨードホルム
30 ∼ 33 に対する解答群
!
次の文章および表の空欄 34 ∼ 55 にあてはまる最も適切なものを,そ れぞれの解答群から選び,解答欄にマークせよ。ただし同じものを何度選んでもよい。水素分子や塩素分子のような 34 二原子分子では共有電子対は原子間に同等に
共有される。しかし, 35 二原子分子である塩化水素分子では共有電子対は
36 のほうに強く引きつけられる。このような共有電子対のかたよりは原子核の
37 や電子配置の違いから,それぞれの原子が結合に使われる電子を引きつける
強さが異なるために起こる。この強さを相対的に示す尺度を電気陰性度という。カリウ
ム,フッ素,リンを電気陰性度の大きい順に並べると, 38 になる。
異なる原子からなる共有結合では,電気陰性度の 39 が大きいほど電荷のかた
よりが大きくなる。このように,結合に電荷のかたよりがあることを結合に極性がある という。HgCl2ではHg−Cl間の結合に極性がある。しかし,HgCl2には2つの共有電 子対があり,これらが互いに直線上にのびているため,分子全体としては極性がない。 このような分子を無極性分子という。分子全体の極性の有無と分子の形をまとめると以 下の表のようになる。
NH3 CO2 H2S CCl4
三角形 無
9 3
BCl3
分子の形 分子全体として
の極性の有無 非共有電子対の
数 共有電子対の数 分子
34 ∼ 37 , 39 に対する解答群
" 異 種 # 同 種 $ イオン % 塩素原子 & 塩素分子 ' 水素原子 ( 水素分子 ) 正電荷
* 負電荷 ! 差 + 積 , 和
38 に対する解答群
" カリウム>フッ素>リン # カリウム>リン>フッ素
$ フッ素>カリウム>リン % フッ素>リン>カリウム
& リン>カリウム>フッ素 ' リン>フッ素>カリウム
40 ∼ 47 に対する解答群
" 1 # 2 $ 3 % 4 & 5 ' 6 ( 7 ) 8 * 9 ! 10 + 11 , 12 - 13 . 14 / 15 0 16 1 17 2 18 3 19 4 0
48 ∼ 51 に対する解答群 " 有 # 無
52 ∼ 55 に対する解答群
!
細胞質にある遺伝子がかかわる遺伝に関する次の文を読み,以下の各問いに答えよ。真核生物の
ア細胞小器官のうち, 1 は真核生物の細胞内に取り込まれた好気性
細菌が, 2 はシアノバクテリアが,それぞれ細胞内で共生するようになったも
のと考えられている。これらの細胞小器官には独自の 3 があるため,核にある
4 の遺伝情報に依存しない遺伝現象(細胞質遺伝)が見られることがある。ふ
つう,細胞質のもつ遺伝情報は,体細胞分裂では娘細胞にそのまま伝わるが,受精の過 程では卵細胞からしか次代に伝わらない。
イネでは,花粉の形成を阻害する細胞質(S型細胞質,遺伝子型S)の存在が知られ
ている。イネは,人工的に交配しなければ自家受精する植物であり,S型細胞質をもつ
個体では,花粉が正常に形成されないために種子ができない。これを種子不稔という。
S型細胞質は,卵細胞の形成に影響しないので,ほかの個体の花粉を用いて交配すると
種子ができるが,その種子から育てた個体もS型細胞質をもつため,ふつうは種子不
稔となる。
S型細胞質をもち種子不稔である系統Aは,種子不稔を示さないF型細胞質(遺伝 子型F)をもつ純系Bの花粉を毎世代交配することによって維持されている。この系 統Aに,F型細胞質をもつ別の純系Cの花粉を交配して種子を得た。その種子をまい て育てたところ,雑種第1代は種子不稔を示さなかった。雑種第1代の自家受精によっ
て得られた雑種第2代でも,すべての個体が種子不稔を示さなかった。純系Cには,S
型細胞質の働きを抑制する遺伝子(稔性回復遺伝子)が存在すると考えられる。しかし, その遺伝子が雑種第2代で分離しているようには見えない。この原因を明らかにするた めに,さらに実験を続けた。
上述の雑種第1代の1個体(個体D)に純系Bの花粉を交配すると種子ができ,そ
の種子をまいて育てると,種子をつける個体と種子不稔個体が1:1の比に分離した。
生
物
!
この結果は,純系Cのもつ稔性回復遺伝子が1つであることを示している。また,上
述の雑種第2代から数個体を選んで純系Bの花粉を交配した。雑種第2代のある個体
(個体E)では,次世代のすべての個体が種子をつけたが,別の個体(個体F)では, 次世代で種子をつける個体と種子不稔個体が1:1の比に分離した。この結果から,稔
性回復遺伝子が,雑種第2代で分離していることが推察される。さらに,個体Dの花
粉をヨウ素液で染色して顕微鏡で観察したところ,黒く染まる健全な花粉と,染色され ない不完全な花粉とが,1:1の比で存在することが明らかになった。
これらの実験結果は,S型細胞質をもつ個体では,稔性回復遺伝子(R)をもつ花粉
は正常に発育して受精することができ,これをもたない花粉(遺伝子型r)は途中で発
育停止して受精できないと考えることでうまく説明できる。
問1 上の文中の に当てはまる最も適切な語を下の解答群から選び,マーク
せよ。ただし,同じ語を繰り返し選んでもよい。 1 ∼ 4
〔解答群〕
! リボソーム " 小胞体 # 液 胞
$ 葉緑体 % ミトコンドリア & ヌクレオソーム
問2 前の文中の推論が正しいとするとき,次に示すものの遺伝子型として,最も適切 なものを下の解答群から選び,マークせよ。ただし,同じものを繰り返し選んでも よい。なお,遺伝子型は,【(細胞質の遺伝子型)核の遺伝子型】の順に表している。
5 ∼ 9
系統Aの遺伝子型: 5 個体Dの遺伝子型: 6 個体Eの遺伝子型: 7
個体Dのヨウ素液で黒く染色された花粉の遺伝子型: 8
個体Dの花粉を純系Bに交配して得られる種子の遺伝子型: 9
〔解答群〕
" (S)RR # (S)Rr $ (S)rr % (F)RR & (F)Rr
' (F)rr ( (S)R ) (S)r * (F)R ! (F)r
問3 前の文中の雑種第2代についても個体別に花粉をヨウ素液で染色した。このとき の,黒く染まる健全な花粉のみを生じる個体,黒く染まる健全な花粉と染色されな い不完全な花粉とがほぼ1:1の比で存在する個体,および,染色されない不完全 な花粉のみを生じる個体の分離比として,最も適切なものを下の解答群から選び,
マークせよ。 10
〔解答群〕
" 1:1:1 # 1:2:1 $ 3:1:0
% 1:3:0 & 1:2:0 ' 1:1:0
( 0:1:1 ) 0:2:1 * 0:3:1
! 0:1:3 + 1:0:1 , 2:0:1
問4 下線部アの細胞小器官に関して,次の 11 から 13 に示す記述Aか らCのうち,正しい記述の組み合わせとして最も適切なものを下の解答群から選び,
マークせよ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。 11 ∼ 13
11
A リボソームは,mRNAの5′末端から3′末端に向かって動き,アミノ酸を
結合させていく。このとき,ポリペプチド鎖は,N末端からC末端方向に合
成される。
B 細胞膜上ではたらく膜タンパク質は,小胞体に結合したリボソームによって 合成され,ゴルジ体を経由して細胞膜まで運ばれる。
C 原核細胞には小胞体がないため,リボソームのほとんどは細胞膜と結合して いる。
12
A 中心体は,べん毛などの形成に関わる細胞小器官であり,一対の中心粒(中 心小体)からなる。一般的に,植物で運動性をもたない細胞では観察されない。 B 中心体は,微小管の形成中心となり,ここから微小管が伸長する。特に細胞
分裂において,両極に分かれた中心体間を結ぶ微小管を紡錘糸といい,紡錘糸 が結合する染色体の部分をキアズマという。
13
A 葉緑体は,細胞内で分裂して増殖することができる細胞小器官であり,その 内部には核膜で包まれた小さな核が存在する。
B 葉緑体をもたない根の細胞を適切な条件で培養すると,葉緑体をもつシュー トを分化させることができる。このとき,葉緑体は,核の遺伝子の働きを利用 して,核から分裂して生じる。
C 緑色のピーマンは,クロロフィル,カロテノイドなどの光合成色素を含む葉 緑体をもっており,赤色のピーマンは,クロロフィルがなく,カロテノイドの みを含む葉緑体をもっている。
〔解答群〕
+
ホルモンに関する次の文を読み,以下の各問いに答えよ。脊椎動物の内分泌腺には,脳下垂体,甲状腺, 14 ,副腎,すい臓などがあり,
体内環境の維持に重要な働きをしている。ホルモン分泌を調節するうえで中心的な働き をしているのは,間脳の中にある視床下部とその下にみられる脳下垂体である。視床下 部は,塩類濃度,
ア血糖量,血圧など,体内環境の変化を直接感知し,その信号をホルモ
ンとして分泌することにより脳下垂体に伝える。脳下垂体 15 では,視床下部か
ら 15 内の毛細血管まで, 16 が伸びており, 15 内の血液中にホ
ルモンが直接分泌される。一 方 の 脳 下 垂 体 17 で は,視 床 下 部 に あ る 別 の
16 から, 17 の手前にある毛細血管に放出ホルモンや放出抑制ホルモン
が分泌され,これらによって 17 のホルモンの分泌が調節されている。
例えば,発汗などによってからだの水分が失われると,体液の水分量が減少し,体液
の塩類濃度が上昇する。この変化は,間脳の視床下部で感知され,脳下垂体 15
からの 18 の分泌を促す。腎臓の 19 の細胞が 18 を受け取ると,
原尿から再吸収する水分量が増加して,排出する尿の量を減少させ,水分の損失が抑え られる。
問1 上の文中の に当てはまる最も適切な語を下の解答群から選び,マーク
せよ。ただし, の中の同じ番号には同じ語が当てはまる。
14 ∼ 19
〔解答群〕
" 前 葉 # 後 葉 $ 多核体 % 基底細胞 & 神経分泌細胞 ' だ 腺
( 骨 髄 ) ひ 臓 * 胆のう
! 副甲状腺 , 細尿管 - 集合管
. リンパ管 / 輸尿管 0 チロキシン
1 バソプレシン 2 セクレチン 3 アセチルコリン
問2 下線部アの血糖量の調節にかかわるホルモンであるインスリンの構造に関して,
次の文中の に当てはまる最も適切な語を下の解答群から選び,マークせ
よ。 20 ∼ 22
インスリンは,21個のアミノ酸がつながったA鎖と30個のアミノ酸がつながっ
たB鎖の2本のポリペプチド鎖からなる。ポリペプチド鎖中の 20 どうし
は,側鎖の 21 の間で2つの 22 原子がとれて結合する。この結合は
S S結合と呼ばれる。A鎖の中で1か所,A鎖とB鎖の間で2か所のS S結合が みられ,それによって立体構造が形成されている。
〔解答群〕
" システイン # メチオニン $ グルタミン酸 % バリン & アミノ基 ' カルボキシ基
( SH基 ) アセチル基 * メチル基
! 酸 素 + 水 素 , 窒 素
問3 ホルモンの受容体について述べた次のAからDの記述のうち,正しい記述の組み
合わせとして最も適切なものを下の解答群から選び,マークせよ。 23
A グルカゴンは,疎水性で脂質に溶けこみやすく,肝細胞の細胞膜の脂質二重層 を通過して,細胞質基質にある受容体タンパク質と結合し,複合体を形成する。 この複合体は,細胞内の酵素を活性化して,細胞内の情報伝達物質を合成させる。 この伝達物質が細胞内のいくつもの酵素を次々と活性化させることにより,グリ コーゲンはグルコースへと分解される。
B ショウジョウバエなどの幼虫の脱皮やさなぎ化を促進するホルモンは,エクジ ステロイドと呼ばれる。エクジステロイドは,細胞質基質にある受容体と結合し,
複合体を形成し,核に移行する。この複合体は,調節タンパク質と同様にDNA
の調節領域に結合して,脱皮に関係する遺伝子の転写を開始させる。
C アドレナリンが肝細胞の細胞質基質にあるアドレナリン受容体に結合すると, 受容体の立体構造が変化して,細胞膜上にある別の酵素を活性化させ,この酵素 がATPをつくる。ATPは情報伝達物質としてはたらき,さらに別の酵素を活性 化させ,細胞内にあるグリコーゲンをグルコースに分解する。
D 糖質コルチコイドや甲状腺ホルモンは脂質に溶けやすい性質を持ち,主成分が リン脂質である細胞膜を通過できる。糖質コルチコイドの受容体は細胞質基質に あり,糖質コルチコイドが糖質コルチコイド受容体に結合して核に移動すると, 受容体は特定の遺伝子の発現を促進し,その結果,糖の代謝が活性化され,血糖 量が増加する。
〔解答群〕
" Aのみ # Bのみ $ Cのみ % Dのみ & AとB ' AとC
( AとD ) BとC * BとD
! CとD + AとBとC , AとBとD
- AとCとD . BとCとD / AとBとCとD
問4 ホルモンがはたらく現象について述べた記述として,最も適切なものを下の解答
群から2つ選び,マークせよ。ただし,順番は問わない。 24 , 25
〔解答群〕
! 体温が上昇すると,視床下部がこれを感知し,心臓の拍動を抑制したり,汗
腺からの発汗を促したりすることにより,発熱量を減少させ,放熱量を増加さ せる。
" イモリの胚では,原口背唇によって誘導された神経管の前部が広がり,脳と なる。
# アフリカツメガエルの胞胚の動物極付近の外胚葉を切り出したアニマル
キャップにアクチビンを加えた培養液で培養すると,アクチビンの濃度に応じ て,血球,筋肉,脊索,心臓へと分化する。
$ カイコガ(成虫)は,雌の尾部から分泌される物質により,雄がはげしく羽
ばたきながら雌に近づいて交尾をする婚礼ダンスと呼ばれる行動を起こす。
% トゲウオは,春になると,雄の腹部が赤色になる。
問5 次のホルモンに関する正しい記述として最も適切なものを選び,マークせよ。
26 ∼ 28
成長ホルモン: 26
パラトルモン: 27
鉱質コルチコイド: 28
〔解答群〕
! 骨の発育,からだの成長を促進する作用をもつが,血液中の血糖濃度が上昇
すると分泌され,血糖量の減少にもかかわっている。
" 血液中のカルシウム濃度が低くなると,副甲状腺がそれを直接感知し分泌量 が増加する。
# 血液中のカルシウム濃度が高くなると分泌が増し,骨からのカルシウムの溶
出を抑制する。
$ 副腎皮質から分泌され,腎細管でのナトリウムイオンの再吸収とカリウムイ
オンの排出を促進する。
% 脳下垂体前葉より分泌されるペプチドホルモンであり,タンパク質の合成を
促進する。
+
植物の環境応答に関する次の文を読み,以下の各問いに答えよ。植物は光,温度,水,虫などによる食害,病原菌,重力など,さまざまな環境要因の 影響を受けて生育している。例えば,光環境の刺激を受容して生物に一定の作用を及ぼ
す物質に光受容体があり, 29 と 30 を受容する 31 , 32
を受容する 33 と 34 が知られている。 31 は,植物が日陰を回避
する反応などに関与しており, 30 を受容することが刺激となっ て い る。
33 は, 35 や気孔の開口などに関与している。
また,低温,乾燥,高濃度の塩のいずれかの状態にさらされた植物では,( A ) がはたらくことが知られている。昆虫による食害を受けた場合には,食害情報の伝達物 質として( B )がはたらき,植物はさまざまな抵抗反応を示すことができる。
ア菌類 などの病原性微生物に感染すると,植物は微生物の細胞壁などの菌体成分に由来する物 質を「信号」として感知して,さまざまな応答を示す。
問1 上の文中の に当てはまる最も適切な語を下の解答群から選び,マーク
せよ。ただし, の中の同じ番号には同じ語が当てはまる。
29 ∼ 35
〔解答群〕
" クリプトクロム # フォトトロピン $ フィトクロム % Pfr型 & Pr型 ' 青色光
( 紫外光 ) 緑色光 * 赤色光
問2 植物の種子には,温度や水分の条件が適当であっても光が照射されないと発芽し ない光発芽種子と,光で発芽が抑制される暗発芽種子がある。光発芽種子と暗発芽 種子の組み合わせとして,最も適切なものを下の解答群から選び,マークせよ。
36
〔解答群〕
! レタス,マツヨイグサ " シロイヌナズナ,カボチャ
# キュウリ,ケイトウ $ タバコ,シソ
% 該当する組み合わせはない
問3 前の文中の( A )と( B )に当てはまる最も適切な語を下の解答群から
選び,マークせよ。 37 , 38
A: 37
B: 38
〔解答群〕
! デンプン " カルシウム # グルコース
$ ジベレリン % フロリゲン & オーキシン
問4 前の文中の( A )と( B )の物質の機能に関する記述として,最も適切 なものを下の解答群からそれぞれ2つずつ選び,マークせよ。ただし,順番は問わ
ない。 39 ∼ 42
A: 39 , 40
B: 41 , 42
〔解答群〕
! 孔辺細胞のK+チャネルを開き,細胞外へK+を大量に流出させることで, 孔辺細胞の浸透圧を低下させる。
" 細胞骨格の微小管の方向を制御して,細胞が縦方向に成長しやすいように細 胞壁の骨格を変える。
# タンパク質分解酵素を阻害する物質の合成を誘導する。
$ 種子が成熟する際に含有量が増加し,種子の発芽を抑制する。
% 種子の胚乳の外側にある糊粉層の細胞内受容体と結合し,アミラーゼ遺伝子
などの発現を誘導する。
& 葉の老化に直接関係し,葉柄の付け根に離層と呼ばれる細胞の層を形成させ る。
' ある種の昆虫に対して誘引性を示す揮発性物質の合成を誘導する。
( 細胞壁のセルロース繊維どうしのつながりを緩めることで,細胞壁をやわら
問5 下線部アに関する記述として最も適切なものを下の解答群から選び,マークせよ。 43
〔解答群〕
! 病原菌が合成するファイトアレキシンにより,植物の防御能力が高まる。
" 病原菌の感染部位の近傍で,自発的な細胞死である過敏感反応が起こる。
# 病原菌の構成成分が植物細胞壁にある受容体に受容されると,ファイトアレ
キシンの合成が誘導される。
$ 病原菌の感染により合成されたリグニンは,感染部位に蓄積して細胞膜を強
化する。
% 過敏感反応の状態にある病原菌の感染により,植物は初期感染部位に抗菌物
!
DNAの単離と遺伝子のクローニングに関する次の文を読み,以下の各問いに答えよ。目的の遺伝子と同一の塩基配列をもつDNA断片を得る操作をクローニングといい,
遺伝子をクローニングするためには,最初に
アゲノムのDNAを単離することがふつう行 われる。例えば,以下のような一般的な方法により,マウスの肝臓の細胞を材料にして, 特定の遺伝子のクローニングが可能であり,さらにマウスの遺伝子を大腸菌内で発現さ せることができる。
(1) マウスの肝臓をすりつぶし
イトリプシン溶液を加え,しばらく放置する。このとき
溶液の粘性が高まる。
(2) 食塩水を加え,100℃で5分間加熱する。
(3) 溶液をろ過した後, 44 を加えると,繊維状のDNAが生じる。
(4) 単離したDNAにプライマー,ヌクレオチドなど必要な試薬を加え,特定の遺伝
子を以下のような条件のPCR法で増幅させる。このとき,反応の触媒としては高
温の溶液中で安定なDNAポリメラーゼを用いるのがふつうである。
PCR法の条件(aからcの操作を順番に行い,この操作を繰り返す)
a 95℃で30秒間加熱する b 60℃に冷却して1分間保つ c 72℃で1分間加熱する
(5) 増幅したDNA(PCR産物)を適当な制限酵素で処理し,同様に処理したプラス
ミドに 45 を使ってつなぐ。PCR産物を含んだプラスミドを大腸菌に入れ
たあと,転写が行われ,さらに
問1 前の文中の に当てはまる最も適切な語を下の解答群から選び,マーク
せよ。 44 , 45
〔解答群〕
" エンドヌクレアーゼ # アミラーゼ $ ATP分解酵素
% カタラーゼ & DNAリガーゼ ' 脱炭酸酵素
( RNAポリメラーゼ ) グルコース * グリセリン
! クエン酸 + 塩 酸 , 過酸化水素
- エタノール . 水酸化ナトリウム
問2 前の文中の実験におけるPCR法の条件a,b,cにおいてどのような現象が起
こっているか,最も適切な記述を下の解答群から選び,マークせよ。
46 ∼ 48
a: 46
b: 47
c: 48
〔解答群〕
" ペプチド結合が生じる。
# ヒストンが結合する。
$ ヌクレオチドから塩基がはずれる。
% DNAの複製反応が起こる。
& DNAの2本鎖のうち,どちらか一方の鎖が分解される。 ' RNAが合成される。
( プライマーがDNAに結合する。
問3 PCR法の原理に関して述べた次に示すAからDの記述のうち,正しい記述の組
み合わせとして最も適切なものを下の解答群から選び,マークせよ。 49
A 200塩基対と400塩基対のDNA領域を増幅させると,増幅回数が同じならば, 増幅される400塩基対のDNA断片の数は,200塩基対の場合の半分である。 B 使用するヌクレオチドは5種類である。
C PCR法では,2本鎖の両方をもとにしてDNAが増幅されるため,最終的に
は,2種類の2本鎖DNA断片がほぼ同量生じることになる。
D 理論的には,前の文中のaからcの1サイクルで目的とするDNAは4倍に増
える。
〔解答群〕
" Aのみ # Bのみ $ Cのみ % Dのみ & AとB ' AとC
( AとD ) BとC * BとD
! CとD + AとBとC , AとBとD
- AとCとD . BとCとD / AとBとCとD
0 すべて間違い
問4 前の文中の実験で使用した肝臓が1×106個の細胞を含み,そこからすべての核
内DNAを単離できたとした場合,単離されるDNAとして,最も適切な量を下の 解答群から選び,マークせよ。ただし,マウスのゲノムサイズを30億塩基対,1ヌ クレオチド分の重さを5×10−22
gとして計算せよ。 50
〔解答群〕
" 1.5×10−13
g # 3×10−13g $ 6×10−13g % 1.5×10−12g & 3×10−12
g ' 6×10−12g ( 1.5×10−7g ) 3×10−7g * 6×10−7
g ! 1.5×10−6g + 3×10−6g , 6×10−6g - 1.5×10−5
問5 下線部アのゲノムに関する最も適切な記述を下の解答群から2つ選び,マークせ
よ。ただし,順番は問わない。 51 , 52
〔解答群〕
! ヒトのゲノムサイズは大腸菌のゲノムサイズの100倍以上ある。
" ゲノムの中にはタンパク質に翻訳されない部分は存在しない。
# ヒトゲノムを解読した結果,ヒトの遺伝子は10万個あることがわかった。
$ ヒトゲノムを解読した結果,個人ごとに塩基配列の異なる部分はほとんど存
在しないことがわかった。そのため体質の違いは育った環境の違いで生じると 言える。
% 生物の体の大きさとゲノムサイズは常に比例する。
& ゲノム解析は多大な労力と時間がかかるため,ゲノムの全塩基配列が明らか にされている生物種は,ヒトを含む10種程度にとどまっている。
' 対立遺伝子がヘテロ接合になっているような個体のゲノム解析をすると,ヘ
テロ接合部分に関して2つの異なった塩基配列情報を入手することになる。
( 有性生殖を行う生物の,純系でない1個体から採取した精子100個を1本の
問6 下線部イのトリプシンに関して,次に示すAからDの記述のうち,正しい記述の
組み合わせとして最も適切なものを下の解答群から選び,マークせよ。 53
A 最適pHは酸性である。
B リゾチームと作用は同じである。 C 基質特異性がある。
D 主な作用は脂肪を分解することである。
〔解答群〕
" Aのみ # Bのみ $ Cのみ % Dのみ & AとB ' AとC
( AとD ) BとC * BとD
! CとD + AとBとC , AとBとD
- AとCとD . BとCとD / AとBとCとD
問7 下線部ウのRNAに関して,次の 54 と 55 に示すAからDの記述 のうち,正しい記述の組み合わせとして最も適切なものを下の解答群から選び,
マークせよ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。 54 , 55
54
A クリックは,遺伝情報はDNAからRNAを経てタンパク質へと一方向に流
れると述べた。しかし,肺炎双球菌におけるR型菌からS型菌への形質転換
がRNA分解酵素により阻害されることから,RNAからDNAへの逆転写を 行う原核生物も存在することがわかる。
B RNAの1種であるmRNAのコドンは,4種類の塩基が存在するため,合計 64通りあり,これによりタンパク質を構成するアミノ酸20種に対応可能である。
したがって,半分以上のコドンは特定のアミノ酸に対応せず,終止コドンとし て翻訳の終了を示す。
C 真核生物においてAUGは,メチオニンに対応する唯一のコドンであるが,
翻訳の開始コドンとしても使われる。
D ある真核生物のDNAについて解析したところ,長さが100万塩基対で,遺 伝子が20個存在することがわかった。この20個の遺伝子からできる転写直後の
mRNA前駆体の長さの合計が10万塩基対で,スプライシングを経て成熟した
55
A RNAの一種であるtRNAはヌクレオチド約80個からなる短いRNAで,一 般にタンパク質を構成するアミノ酸20種類よりも多くの種類が存在する。
tRNAはアミノ酸を運搬する役割を担っており,RNAポリメラーゼで転写さ
れることにより生じる。
B DNAからRNAが転写されるときには,DNAの2本鎖の塩基間の結合が切
れる必要があり,DNAの一方の鎖を鋳型としてRNAが合成される。した
がって,合成されたRNAは,鋳型としては使われなかったほうのDNA鎖と, 常に同じ塩基配列である。
C タンパク質を構成するアミノ酸の側鎖以外の部分には,RNAには存在して
いない元素もある。
D mRNAの終止コドンより後ろ側の翻訳されない部分の1塩基分を欠損させ
た場合,合成されるタンパク質のアミノ酸配列に変化は起こらない。
〔解答群〕
" Aのみ # Bのみ $ Cのみ % Dのみ & AとB ' AとC
( AとD ) BとC * BとD
! CとD + AとBとC , AとBとD
- AとCとD . BとCとD / AとBとCとD
問8 下線部エのタンパク質に関して,次に示すAからDの記述のうち,正しい記述の
組み合わせとして最も適切なものを下の解答群から選び,マークせよ。 56
A コラーゲン,フィブリン,免疫グロブリン,ナトリウムチャネル,アクチン, ミオシン,シトクロムオキシダーゼは,すべてタンパク質である。
B トリプトファン,システイン,グリシン,アラニン,アルギニンは,すべてタ ンパク質を構成するアミノ酸である。
C タンパク質ができるときのアミノ酸どうしの一つのペプチド結合では,2分子 の水が取り除かれる。
D 生体内で20種のアミノ酸が結合してタンパク質が合成されるとき,100個のア ミノ酸からなるタンパク質を考えた場合,理論的には,2000種類のタンパク質が ありうる。
〔解答群〕
" Aのみ # Bのみ $ Cのみ % Dのみ & AとB ' AとC
( AとD ) BとC * BとD
! CとD + AとBとC , AとBとD
- AとCとD . BとCとD / AとBとCとD