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日本語 Research Yasuyuki OZEKI's personal web

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(1)

誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡

1 大阪大学大学院工学研究科 2 JSTさきがけ 3 近畿大学 *現所属:名大 小関泰之1,2 北川雄真1 梅村航1 住村和彦1 西澤典彦1*

梶山慎一郎3 福井希一1 伊東一良1

発表内容

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

• 光源開発の重要性

ご紹介ありがとうございます。大阪大学の小関です。我々は短パルスレーザーの応 用として、新しい生体顕微法である誘導ラマン散乱顕微鏡の研究に取り組んでおり ます。本日は、これについて、特徴や原理の詳しいところから、今後の開発に向け た問題意識も含めてお話させて頂ければと考えております。

発表内容をこちらに示します。まず、誘導ラマン散乱、SRS顕微鏡の原理と特長を お話しします。

また、従来のラマン顕微法と比較することで、SRSの特長をより明確にしたいと 思います。

その後、SRSの理論限界感度について、SRSの原理を絡めながらお話します。 また、その理論限界感度を達成するための高調波同期法、という方式についてお話 します。

最後に、SRSでどのような光源開発が必要とされるか、をお話します。

(2)

発表内容

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

光源開発の重要性

誘導ラマン散乱(SRS)

stimulated Raman scattering

波長変換 [1], レーザー発振 [2], レーザー分光 [3-5], 信号増幅 [6], 波長可変光源 [7], 生体顕微鏡 [8-10]

[1] Eckhardt et al., PRL 9, 455 (1962) [2] Takuma and Jennings, APL 4, 185 (1964) [3] Jones and Stoicheff, PRL 13, 657 (1964) [4] Owyong and Jones, OL 1, 152 (1977) [5] Levine et al., JQE 15, 1418 (1979)

[6] Namiki and Emori, JSTQE 7, 3 (2001) [7] Nishizawa and Goto, PTL 11, 325 (1999) [8] Freudiger et al., Science 322, 1857 (2008) [9] Ozeki et al., Opt. Express 17, 3651 (2009) [10] Nandakumar et al., New J. Phys. 11, 033026 (2009)

ωR

共鳴: ωR = ω1 − ω2

分子振動

ω2 ω1

E(ω)

ω 増加 減少 射出光

ω2 ω1

E(ω)

ω 入射光

ω1

ω2

ω2

応用

では、まずSRS顕微鏡の原理と特長から始めます。

SRSとは、2色のレーザー光と分子振動の相互作用として非常によく知られた現象 です。光周波数の差周波が分子振動周波数とマッチすると、光のエネルギーが高周 波から低周波に移動します。これがSRSです。

SRSには様々な応用があります。波長変換、レーザー発信、レーザー分光、光通信 における信号増幅、波長可変光源などです。最近、SRSの生体顕微鏡への応用が報 告されました。

(3)

SRS 顕微鏡

OB OB

Sample ω1

IM ω2

Lock-in

@ fm t

ΔISRS

t

fm t

[1] Freudiger et al., Science 322, 1857 (2008) (ハーバード大学) [2] Ozeki et al., Opt. Express 17, 3651 (2009) (大阪大学)

[3] Nandakumar et al., New J. Phys. 11, 033026 (2009) (シュツットガルト大学)

無標識生体可視化

3次元

高感度

高コントラスト

Nature, News Feature, vol. 459, p. 636, June 2009

それがSRS顕微鏡です。SRS顕微鏡の動作の概略をこちらに示しています。2色の レーザーパルスの一方に強度変調を施し、合波した後、試料に集光します。集光点 でSRSが発生すると、一方の強度変調がもう一方に転写されます。試料透過光をコ リメートし、この転写された強度変調成分をロックイン検出することで、集光点で のSRSを検出し、集光点に特定の分子振動がどれだけあるかを検出します。そし て、サンプルの位置や集光点の位置をスキャンすることで、試料の像を取得しま す。

SRS顕微鏡の特長をこちらに示します。SRS顕微鏡は、特定の分子振動を可視化 しますので、生体を染めたりすることなく、無標識で可視化できます。また、3次 元分解能を持ち、高感度で高コントラストな像が得られます。

SRS顕微鏡は2008年末から2009年初頭にかけて、ハーバード大学、大阪大学、 シュツットガルト大学のグループにより独立に実証されました。

SRS顕微鏡は昨年のNature誌でも取り上げられています。これらの図は、植物細胞 のセルロース、リグニン、豆乳中の水(青)、タンパク(赤)、脂肪(緑)、脳の 脂質等を可視化したものです。

(4)

ヒト癌細胞のSRS像

Cultured HeLa cell, Raman shift: 2850 cm-1 (CH2 stretch), 40 x 40 x 10 μm2

ヒト癌細胞のSRS像

Cultured HeLa cell, Raman shift: 2850 cm-1 (CH2 stretch), 40 x 40 x 10 μm2

我々も、細胞観察を試みています。これは、ヒト癌細胞のSRS像で、ラマンシフト を2850 cm-1, CH2伸縮モードに設定することで、細胞内の脂質を可視化していま す。

SRSは3次元分解能を持ちます。これは、SRSが集光点のみで発生する非線形光 学過程だからです。このように、脂質の分布を3次元的に可視化できます。

(5)

植物細胞の3次元SRS像

Cultured tobacco BY-2 cell, Raman shift: 2850 cm-1 (CH2 stretch), 60 x 60 x 40 μm2

発表内容

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

光源開発の重要性

• SRSのロックイン検出 ⇒ 無標識生体観察

こちらは植物細胞です。核、細胞壁、ミトコンドリア等の分布を3次元的に可視化 できています。

このように、SRS顕微鏡は、SRSをロックイン検出することで、生体を無標識で 観察できる手法です。

(6)

発表内容

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

光源開発の重要性

• SRSのロックイン検出 ⇒ 無標識生体観察

ラマン散乱を用いた顕微鏡

スペクトル解析 ラマン散乱

ラマンスペクトル:「分子の指紋」

G. J. Thomas, Jr., Ann. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 28, 1 (1999)

DNA タンパク

脂質

Hamada et al., J. Biomed. Opt. 13, 044027 (2008)

課題: 低信号強度    低速(分~時間)

ここで、比較のために、従来のラマン顕微法を紹介します。

ラマン散乱とは、光と分子振動の相互作用の結果、分子振動周波数だけ周波数シフ トした光が発生する現象です。このラマン散乱光をスペクトル解析すると、ラマン スペクトルが得られます。このラマンスペクトルは、非常に豊かな分子振動情報を 持っており、分子の指紋と呼ばれています。このラマン散乱を検出する顕微鏡は、 生体を染色せずに見ることができる、と期待されています。

この例では、細胞中のタンパク質や脂質の分布を可視化しています。

しかしながら、ラマン散乱効果は極めて弱く、観察に時間がかかることが課題でし た。

(7)

課題: 非共鳴信号

(特に水の電子応答由来)    バックグラウンドとなり     コントラスト低下

CARS 顕微鏡

(コヒーレント反ストークスラマン散乱、coherent anti-Stokes Raman scattering)

共鳴: ω1− ω2 = ωR 光パルス

ω1, ω2 2ω1 − ω2

M. D. Duncan et al., Opt. Lett. 7 (1982) 350. (cited 232 times) A. Zumbusch et al., Phys. Rev. Lett. 82 (1999) 4142. (cited 482 times) M. Hashimoto et al., OL 25 (2000) 1768. (cited 100 times)

特長: 高信号強度、高速

(ビデオレート可)

CARS信号

NIH3T3細胞, 1579 cm-1

Volkmer, J. Phys. D, 38 (2005) R59

四光波混合 ω1

ω2 ℏ(2ω1 − ω2)

非共鳴信号とは

光強度 ICARS ∝ |χ(3)|2

由来:Re χ

(3) χ(3):3次非線形感受率)

光電界 ECARS∝ χ(3)

ω1 − ω2

ωR

χe(3)

Re χR(3)

Im χR(3)

χ(3)

R. W. Boyd, Nonlinear Optics.

(3)|2

(電子由来)

自発ラマン:IRaman ∝ Im χ(3) Re, Im両方を反映

この感度の問題を解決したのがCARS顕微鏡です。CARS顕微鏡では、2色の光パル スを用いて、分子を強制的に振動させ、発生する四光波混合光を検出します。 CARS信号は非常に高強度で、ビデオレートに至る高速観察も可能です。

しかし、CARSの課題として、非共鳴信号と呼ばれるものがあります。これは、分 子振動が無くても発生する四光波混合信号です。生体観察時は特に水の電子応答由 来の非共鳴信号が強く発生します。これがバックグラウンドとなり、コントラスト が著しく低下します。

ここで,このCARS顕微鏡における非共鳴信号について教科書的な説明をします。 CARSは3次の非線形光学効果の一種で,CARS光の光電界は3次非線形感受率χ(3) に比例し,また,CARS信号強度はχ(3)の絶対値の二乗に比例します.ここで,この グラフに示すようにχ(3)は励起光の差周波に依存し、その実部、虚部、絶対値の二 乗は、分子振動周波数の周辺でこのように変化します。

ここで気をつけて頂きたいのは,χ(3)の虚部が共鳴周波数のみにおいて存在するの に対し、χ(3)の実部は非共鳴でも存在することです.もしχ(3)の虚部だけ検出できれ ば,非鳴信号は生じないのですが,一般的なCARS顕微鏡では光強度を検出するの で,χ(3)の実部も検出されてしまい,非共鳴信号の原因になります.なお、一般的 なラマン散乱では信号強度がχ(3)の虚部に比例するので、非共鳴信号は発生しませ ん。

(8)

非共鳴信号抑圧法

λ/2 Pol.

ωp

ωs

J. Cheng et al., OL 26 (2001) 1341.

F. Ganikhanov et al., OL 31 (2006) 1872. J. P. Ogilvie et al., OL 31 (2001) 480. E. O. Potma et al., OL 31 (2006) 241. A. Volkmer et al., OL 31 (2001) 480.

ωp, ωs APD

ωp1 ωp2 Optical SW

ωs

ωp, ωs

H. Kano et al., OE 13 (2005) 1322. Spectro-

meter ωp, ωs

APD PCF

PMT

PMT

周波数変調CARS

PMT

落射型CARS 偏光CARS

フーリエ変換CARS ωp, ωs

マルチプレックスCARS

干渉型CARS

CARS顕微鏡の開発:非共鳴信号との戦い いずれの方式も構成の複雑化や信号強度低下を伴なう

ωR

共鳴: ωR = ω1 − ω2 分子振動

ω2 ω1

E(ω)

ω 増加 減少 射出光

ω2 ω1

E(ω)

ω 入射光

ω1

ω2

ω2

誘導ラマン散乱(SRS)

Im χ(3)のみを反映 Re χ(3)を反映しない

非共鳴信号を排除 高コントラスト

励起光のわずかな強度変化の検出 SRSの課題:検出感度?

CARS

2 µm

SRS

2 µm

ポリスチレンビーズ像

CARS顕微鏡ではこの非共鳴信号の低減が非常に重要で,この10年ほどの間に様々 な方法が提案されています.CARS顕微鏡の開発は非共鳴信号との戦いであったと 言えます。しかしながら,これらの非共鳴信号抑圧には構成の複雑化や信号強度の 低下を伴うようです.

一方で,SRSもCARSと同様に3次非線形光学効果の一つで,分子振動情報を反映 します.SRSはχ(3)の虚部のみを反映し,χ(3)の実部に影響されないことが知られて います.このため,SRSは分子振動共鳴のみを反映し,非共鳴ではSRSが発生しま せん.比較のため、こちらにポリスチレンビーズ像を示します。SRS顕微鏡では、 CARS顕微鏡と比較して、圧倒的に高いコントラストが得られます。

SRSの課題として、検出感度の問題が挙げられます。SRSでは励起光のわずかな強 度変化、典型的には10万分の1程度の変化を検出するのですが,このような方式は 一般的には感度が低くなりがちであると考えられます.

(9)

ラマン顕微法の比較

ωS

ωCARS

方式

自発ラマン 散乱顕微法

CARS顕微法

SRS顕微法

感度 非共鳴信号

◎(無)

×(有)

ωL ω

ω2

ω

ω2

ω1 ω ω1

◯?? ◎(無)

発表内容

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

光源開発の重要性

• SRSのロックイン検出 ⇒ 無標識生体観察

• 高コントラスト・高感度?

以上まとめますと、自発ラマン散乱顕微法、CARS顕微法と比較して、SRS顕微法 は非共鳴信号が無く、高コントラストな像が得られることが特長と言えます。これ で感度が高ければ更に良いのですが、この点についてはこれからお話します。

(10)

発表内容

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

光源開発の重要性

• SRSのロックイン検出 ⇒ 無標識生体観察

• 高コントラスト・高感度?

SRS の理論限界感度

CARS とほぼ同じ

Y. Ozeki et al., Opt. Express 17, 3651 (2009).

理論限界感度が実現できれば、

SRS も高感度なはず!

では、SRSの感度はどこまで高めることができるのでしょうか?この点を考えるた め、SRSの理論限界感度について考えます。

実は、SRSの理論限界感度は、CARSとほぼ同じであることを示すことができま す。この点はこのような式で表されます。

CARSが高感度ですので、SRSも、理論限界感度が実現できれば高感度なはずで す。

(11)

SRS, CARSの機構

古典的描像

入力光

ωR ω2 ω1

I(ω)

ω

分子振動

量子力学的描像

ω1 ω2

ω1 CARS

ω1

ω2 ω2 SRS

(感度比較が容易)

ω2

ω2

ω1

射出光

ω2 ω1

I(ω)

ω SRS SRS

CARS

SRS の原理(時間領域)

分子を押す 屈折率変調

ωR

共鳴: ωR = ω1 − ω2 分子振動

ω2 ω1

E(ω)

ω 増加 減少 射出光

ω2 ω1

E(ω)

ω 入射光

ω2

ω1 ω 2

この点を理解するためには、SRSとCARSの機構を考える必要があります。SRSも CARSも、量子力学的描像と古典的描像で考えることができますが、ここでは、感 度比較の容易な古典的描像を考えます。

SRSは、古典的には、入射光が分子振動を励起し、その振動が屈折率変調を介して 位相変調を施した結果として考えます。この点をもう少し詳しく見てみます。

(12)

SRS の原理(時間領域)

t 光強度 I

ビート周波数 ω1 – ω2

屈折率変調

位相変調 qに応じた

(ドップラーシフト) 分子振動変位q

q ∝ Re χ(3) cos(ω1 – ω2)t

t 光ビートと同相の振動 共鳴による振動位相遅れ + Im χ(3) sin(ω1 – ω2)t

ωR

共鳴: ωR = ω1 − ω2

分子振動

ω2 ω1

E(ω)

ω 増加 減少 射出光

ω2 ω1

E(ω)

ω 入射光

ω2

ω1

ω2

SRS の原理(周波数領域)

Im ω2 ω1

Re

ω 入射光電場

ω Im

Re

射出光電場 位相変調スペクトル

ω ω1 − ω2

0

∝ Im χ(3)

∝ Re χ(3)

Im Re

iϕ(t) ∝ iq ∝ iRe χ(3) cos(ω1ω2)t + iIm χ(3) sin(ω1ω2)t 

∝ (iRe χ(3) − Im χ(3)) exp[–i(ω1 – ω2)t] (正の周波数成分) + (iRe χ(3) + Im χ(3)) exp[i(ω1 – ω2)t] (負の周波数成分)

expiϕ(t) ~ 1 + iϕ(t)(ϕ(t):位相変調量)のフーリエ変換

この様子をもう少し詳しく見ると,励起光強度は時間的に2色の光周波数の差周波 数で振動しています.この光強度波形によって分子を揺さぶると、同じ周波数で分 子も振動するのですが,振動共鳴によって振動の振幅や位相が変化します.従っ て,分子振動変位qはこのような式で書くことができ,χ(3)の実部に由来する光ビー トと同相成分と、χ(3)の虚部に由来する共鳴による振動位相遅れ成分から成りま す.qの変位に応じた屈折率変調が入射光に位相変調、ドップラーシフトを及ぼし ます.すなわち、χ(3)の実部と虚部では、光位相変調の変調位相が異なります。な お、電子の非線形応答も光強度に比例した屈折率変調、すなわち光カー効果を介し て光位相変調を与えるため、χ(3)の実部に寄与します。

位相変調はスペクトル領域において入射光電場と位相変調スペクトルの畳み込みと して表現出来ます.位相変調スペクトルは、位相の時間変化のフーリエ変換で表さ れ、このような計算によって得られます。ここで、位相変調スペクトルの側波帯の 実部に注目すると,その大きさはχ(3)の虚部に比例することがわかります.また, 周波数が正,負の側波帯の符号はそれぞれ負,正となります.

(13)

SRS の原理(周波数領域)

SRS: 位相変調サイドバンドと励起光の干渉 CARS: 位相変調サイドバンド

ホモダイン 光子数検出 SRSとCARSのショット雑音限界感度は同等

Im ω2 ω1

Re

ω 入射光電場

ω 2 − ω1 2ω1 − ω2

ω2ω1

SRS

Im CARS Re

射出光電場

SRS

位相変調スペクトル

ω ω1 − ω2

0

∝ Im χ(3)

∝ Re χ(3)

Im Re

光が分子を押す

q

分極率

(ミクロな誘電率)

α = α(q)

分極の エネルギー

力 F W =

1 2α E

2 F =dW

dq = 1 2

dq E

2

qに働く力

類推

εr

電界E

静電容量

C = C(x)

x

電界E F

分極の

エネルギー xに働く力

F=dW dx =

1 2

dC dxV

2 r = 1 + χ)

W =1 2CV

2 χx

χx + L

畳込みの結果、入射光と位相変調サイドバンドが干渉し、入射光の電場振幅がχ(3) の虚部に比例して変化します。これがSRSです。また、CARSは位相変調サイドバン ドのひとつです。このことから、SRSは位相変調サイドバンドをホモダインしてお り、CARSは位相変調サイドバンドを光子数検出していることがわかります。ここ で、ホモダインと光子数検出のショット雑音感度が同等であることに注意すると、 SRSとCARSのショット雑音限界感度は同等であることがわかります。

ここで、先程の説明でいくつか端折った部分を説明します。「光が分子を押す」と はどういうことでしょうか。その様子をこちらにしめしています。

分子の分極率α、すなわちミクロな誘電率が分子振動変位qの変数であるときに、 電界が存在すると、分極のエネルギーを大きくする方向に、qに力が働きます。 この様子は、誘電体を出し入れ可能なコンデンサと良く似ています。静電容量が誘 電体位置xの関数であるとき、分極のエネルギーを高める方向に、誘電体に力が働 きます。このようにして、光強度に比例した力が分子に対して発生します。

(14)

振動共鳴における位相遅れ

低周波

共鳴周波数

時間

時間

F F

F F F

t

t

t

t 力F、位置x

力F、位置x 仕事率P = F(dx/dt)

仕事率P = F(dx/dt) 平均 = 0

平均 > 0 同相

90度遅れ

振動のインパルス応答と周波数応答

t h(t) = exp(−Γt)sin ω0t

t sin ω0t = i(exp−iω0t − exp iω0t)/2

t exp(−Γt)

ω Re Im

0 ω0

−ω0

ω Re Im

0

共鳴による 振動位相遅れ

時間領域 周波数領域

ω Re

Im

ω0

0

また、分子振動の振幅や位相が共鳴で変化すると述べました。この様子は、ブラン コのような振り子を考えると類推できます。ゆっくり振り子を押すと、力の方向に ブランコが動きます。このため、力と位置は同相であり、力がした仕事の時間平均 は0です。

一方、共鳴周波数で力を与えると、振り子が真下に来たときに力を与えることに自 動的になります。このため、位置は力に対して90度遅れ、その結果、エネルギーが 振り子に与えられます。

この点をもう少し厳密に考えてみます。振り子を線形時不変系と考えると、その振 る舞いはインパルス応答で記述できます。振り子に対し、時間0でインパルス的な 力を加えると、振り子は速度を得て減衰振動します。従って、インパルス応答は exp × sinという関数で表されます。そのフーリエ変換が周波数応答になります。 減衰振動は、指数関数と、sinの掛け算ですので、そのフーリエ変換は、それぞれ のフーリエ変換の畳込みになります。指数関数のフーリエ変換はローレンツ関数で あり、sinのフーリエ変換は正負の振動周波数における虚数のデルタ関数となりま す。従って、ローレンツ関数が虚部に畳み込まれてこのような周波数応答になりま す。このことから、共鳴周波数で、周波数応答は虚数となり、共鳴によって振動位 相遅れが生ずることが分かります。

(15)

ショット雑音とは

光子描像:光子数のポアソン分布に起因

確率分布

平均: n0 光子数

標準偏差: n01/2

ショット雑音

電場描像:真空場による光エネルギーの揺らぎに起因

Im E

Re E 真空場ΔE

E ΔE

I

ΔEQ

(1) (2)

(2) → (1) ショット雑音

光子数検出 ホモダイン

(CARS) (SRS)

検出器

E(t) i(t) ∝ n

∝|E(t)|2

E(t) i(t) ∝

|E(t) + ELO(t)|2 ELO(t)

Im

Re

Im

Re 真空場

ELO E エネルギー

hν(n + 1/2)

vs.

また、ショット雑音についても簡単に説明します。ショット雑音は、光子数のポア ソン分布に起因する、と考えることもできますし、

真空場による光エネルギーの揺らぎに起因する、と考えることもできます。いずれ も同じ結果が得られます。

従って、光子数検出とホモダインを比較すると、光子数検出で光のエネルギーを検 出し、ホモダインでは光の干渉を検出しますが、いずれの場合も、真空場の影響に よってショット雑音が発生しますので、ショット雑音限界SNRは信号電場と真空 場の比に帰着されます。これが、CARSとSRSのショット雑音限界SNRがほぼ同じ 理由です。

(16)

R. W. Boyd, Nonlinear Optics.

ω2に放出される光子数

P = Dm1(m2 + 1)frepτ. 誘導ラマン 自発ラマン

ω1

Vacuum field at ω2 Spontaneous emission at ω2

ω1

ω2 Stimulated emission at ω2

D: 比例定数, m1, m2: パルス当りの光子数, frep: 繰り返し周波数, τ: 平均化時間

• SNRSRS = (Pst / (m2frepτ)1/2)2, SNRRaman = (Psp/Psp1/2)2 = Psp

SNRSRS: ~ 25 dB, frep: 76 MHz, 1 mW, τ: 1 ms

• 自発ラマンに対するSRSの感度メリット:

Y. Ozeki and K Itoh, Laser Phys. 20, 1114 (2010)

SRS vs. 自発ラマン

発表内容

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

光源開発の重要性

• SRSのロックイン検出 ⇒ 無標識生体観察

• 高コントラスト・高感度?

• CARSと同等、自発ラマンより3桁高感度

なお、量子力学的な描像を用いると、SRSと自発ラマンの感度比較を行うことも できます。量子力学的にはSRSは誘導放出、自発ラマンは自然放出ですので、その 光子数はこのような式で表すことができます。ここで、SRSと自発ラマンのSNR を信号とショット雑音の比として表すと、自発ラマンに対するSRSの感度メリット はこのような式で表されます。我々の実験条件では、約3桁のメリットが得られて います。

以上まとめますと、SRSの理論限界感度が得られれば、それはCARSと同等で、自 発ラマンより3桁高感度です。

(17)

発表内容

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

光源開発の重要性

• SRSのロックイン検出 ⇒ 無標識生体観察

• 高コントラスト・高感度?

• CARSと同等、自発ラマンより3桁高感度

高周波ロックインの有効性

10 MHz [2]

Popt: 4.5 mW

Tdwell: 100 ms Popt

: 1 mW Tdwell: 3 ms

100 kHz

Popt: 5 mW

Tdwell: 50 ms PToptdwell: 0.6 mW: 2 ms Popt: 10 mW

Tdwell: 200 ms

2 MHz [1]

ポリスチレ ビー植物細胞

N.A.

[1] F. Dake et al., OPJ2008 (2008). [2] Y. Ozeki et al., Opt. Express 17, 3651 (2009).

では、その理論限界感度はどのようにして得られるのでしょうか?

高感度化のキーになるのが、高周波ロックインです。最初の方で述べましたよう に、SRS顕微鏡では強度変調とロックイン検出でSRS信号を検出します。ここで、 様々なロックイン周波数で取得したSRS像を示します。上はポリスチレンビーズ、 下は植物細胞です。ロックイン周波数を100 kHz, 2 MHz, 10 MHzと高めるほど、 像がクリアになることが分かります。

(18)

光電流スペクトル

log freq. PD signal [log]

ショット 雑音 レーザー1/f 強度雑音

SRS信号 SNR

fm

光電流スペクトル

log freq. PD signal [log]

ショット 雑音 レーザー1/f

強度雑音 SNR

fm

このようなロックイン周波数依存性の原因は、受光器の光電流スペクトルを考える と理解できます。光電流は、1/f特性を有するレーザー過剰強度雑音と、ホワイトな ショット雑音の影響をうけます。SRS信号は、変調周波数に現れます。この部分が SNRです。従って、変調周波数を高めると、レーザー強度雑音が下がり、SN比が 向上します。もし、SN比がまだレーザー雑音に制限されている場合、更にロック イン周波数を高周波化し、ショット雑音限界を目指すことが有効です。

(19)

光電流スペクトル

log freq. PD signal [log]

ショット 雑音 レーザー1/f

強度雑音 ショット雑音 限界SNR

fm

ロックイン周波数の

更なる高周波化に向けて

従来構成

変調器不要  最高ロックイン周波数 高調波同期法

変調器の帯域制限

Y. Ozeki et al., Opt. Express 18, 13708 (2010).

しかし、光変調器を用いる構成では、変調器の帯域制限によってこれ以上の高周波 化が難しい状況でした。そこで、我々は高調波同期法という方式を開発しました。 この方式では、繰り返しが2倍異なる2色のレーザーを用います。このようにする ことで、変調器が不要になるだけでなく、繰り返しの半分で規定される最高周波数 までロックイン周波数を高めることができます。

(20)

高調波同期型SRS顕微鏡

~3 mW each LN位相変調器

帯域: 100 MHz V: ~ 2.3 V

2光子吸収PDによる タイミング検出 PI制御

制御帯域:140 kHz

Y. Ozeki et al., Opt. Express 18, 13708 (2010).

同期性能

2光子吸収信号 同期の様子

Time [s]

0 2 4 6 8 10

-1 0 1

Two-photon signal [V] キャビティ長調整 積分ON

ループ内ジッター: 4 fs ループ外ジッター: 7.8 fs

従来報告

(Ti:SとYbFの パッシブ同期) ジッター:3.2 fs

(帯域:10 kHz) Y. Kobayashi et al., CLEO2008, CML6 (2008).

(帯域:>100 kHz) (帯域:>100 kHz)

Y. Ozeki et al., Opt. Express 18, 13708 (2010).

実験系をこちらに示します。チタンサファイアレーザーと、Ybファイバーレーザー からそれぞれ繰り返し76MHz, 38MHzの光パルスを得ました。パルス幅は約300 fs、波長は790 nmと1028 nmです。レーザーを同期させるため、簡単なPLLを構成 しました。両レーザーパルスの一部を2光子吸収PDに集光し、タイミング差の検 出を行ないます。その信号を、ループフィルターを介して、ファイバーレーザーに フィードバックします。ファイバーレーザー内にLNの位相変調器を設置し、高速な 繰り返し周波数制御を行ないます。同期が実現したら、両パルスをSRS顕微鏡に導 入します。

こちらに同期の様子を示します。2光子吸収信号は、このようにパルスが時間的に オーバーラップしたとき増大します。ここでループをONにし、キャビティ長を調 整すると2光子吸収電流が一定値をとります。これはパルスが同期したことをしめ しています。ループの積分をONにすると、高精度な同期がかかります。ループ内、 ループ外のジッターはそれぞれ4 fs, 7.8 fsでした。パルス幅300 fsに比較して十分 小さなジッターを達成できました。また、ジッター値のみ比較すると従来報告の パッシブ同期には及びませんが、アクティブ同期は積分制御が可能なため、長時間 の安定性に優れるという特長があります。

(21)

雑音特性

Y. Ozeki et al., Opt. Express 18, 13708 (2010).

ΔI / I

~ 10-6

最高ロックイン周波数における

感度メリット

ロックイン信号が 6 dB増大

SNRが3 dB改善

ω0 = ωrep/2 0 < ω0 < ωrep/2

vL: lock-in signal, R: load resistance, η: quantum efficiency, q: elementary charge, ω0: mod. freq. ωrep: rep rate, Δt: pulse width, δI: intensity modulation by SRS, hν: photon energy, T: pulse period

Y. Ozeki et al., Opt. Express 18, 13708 (2010).

SRS顕微鏡の雑音レベルを測定した結果をこちらに示します。ロックイン信号の雑 音レベルは、光電流とともに増加し、光電流が0.2 mA以上のとき、ショット雑音 の理論値まで1.6 dBに迫る値が得られました。これは、10^-6程度の非常に僅かな 強度変化を積分時間0.1 msで検出可能な、非常に低い雑音レベルです。また、ロッ クイン周波数10 MHzの場合と比較して、雑音レベルは12 dB以上低減できていま す。

これらの結果から、高調波同期法によりロックイン周波数を高周波化することで、 ショット雑音限界まで1.6 dBに迫る低雑音性を実現しました。

なお、ロックイン周波数を繰り返しの半分に設定することは、レーザー雑音低減以 外にも、感度向上に有利です。時間の都合上詳しくは触れませんが、ポイントは、 ロックイン周波数が低い時は、SRSが完全にONまたはOFFにはならない、一方 で、ロックイン周波数が繰り返しの半分だと、全てのパルスにおいてSRSが完全に ONかOFFとなる。これが3 dBのSNRメリットをうみます。

(22)

ラマン顕微法の比較

ωS

ωCARS

方式

自発ラマン 散乱顕微法

CARS顕微法

SRS顕微法

感度 非共鳴信号

◎(無)

×(有)

ωL ω

ω2

ω

ω2

ω1 ω ω1

?? ◎(無)

発表内容

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

光源開発の重要性

• SRSのロックイン検出 ⇒ 無標識生体観察

• 高コントラスト・高感度

• CARSと同等、自発ラマンより3桁高感度

• ロックインの高周波化 ⇒ 理論限界感度まで1.6 dB

このように理論限界感度を達成できたことで、SRS顕微法は、感度、コントラスト を両立した非常に強力な手法であるといえます。

(23)

発表内容

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

• 光源開発の重要性

• SRSのロックイン検出 ⇒ 無標識生体観察

• 高コントラスト・高感度

• CARSと同等、自発ラマンより3桁高感度

ロックインの高周波化 ⇒ 理論限界感度まで1.6 dB

SRS顕微鏡光源への要求条件

• 時間幅:ピコ秒

• 2波長

• 波長可変(差周波:500 ~ 3500 cm-1, ex. 750 ~ 950 nm, ~1000 nm)

• 光パワー > 10 ~ 20 mW

• 超低雑音(ショット雑音限界, ~-160 dB/Hz)

• コンパクト

最後に、光源開発の重要性についてお話します。

実用化を目指す上でキーになるのが、光源開発と考えています。その要求条件とし ては、ピコ秒、2波長の光源で、波長可変性があり、一方は750 ~ 950 nm, もう一 方は1000 nm、光パワーとしては10 ~ 20 mW以上、ショット雑音限界に迫る超低 雑音性をどちらか一方が有する、このような光源をコンパクトに実現できれば、 SRS顕微鏡の実用化が進むはずです。しかし、現状ではこれらを全て満たすことは なかなか難しいようです。以下では従来の光源を紹介していきます。

(24)

DYE LASER

Mode-locked Ar+ laser

Mode-locked dye laser Mode-locked

dye laser

波長可変範囲 光パワー超低雑音 コンパクト 備考

◯ ◯ ◯ ×

~1980、Bell Labs. SRS分光

DUAL TI:SAPPHIRE LASER

SHG-

Nd:YVO4 Ti:sapphire

Ti:sapphire

波長可変範囲 光パワー超低雑音 コンパクト 備考

◯ ◯ ◯ × 要同期回路

http://www.coherent.com/Lasers/index.cfm?fuseaction=show.page&ID=1443

D. J. Jones et al., Rev. Sci. Instrum. 73, 2843 (2002).

Feedback

1980年ごろ、ベル研のShankらが色素レーザーを使ったSRS分光を行っていまし た。しかし、これは非常に大掛かりな光源です。

2000年代前半にCARSで良く使われたのが、同期した2台のチタンサファイア レーザーです。これは製品にもなっていますが、大掛かりであり、コンパクトとは 言いがたいものです。

(25)

OPO

Mode-locked

SHG-Nd:YVO4 OPO

波長可変範囲 光パワー 超低雑音 コンパクト 備考

◯ ◯ ◯ △

F. Ganikhanov et al., Opt. Lett. 31, 1292 (2006).

http://www.ape-berlin.de/gb/products/picoEmerald.html

FIBER-LASER-PUMPED

OPO

波長可変範囲 光パワー 超低雑音 コンパクト 備考

◯ ◯ ?? ◯ チラー不要

K. Kieu et al., Opt. Lett. 34, 2051 (2009).

Mode-locked

SHG-Yb-MOPA OPO

最近のCARS顕微鏡ではOPOが主流の光源となっています。2色のパルスを一台の OPOで発生可能であり、励起光源と合わせた一体型も製品化されています。しか し、もっとコンパクトにしたいところです。

昨年、ファイバーレーザー励起のOPOが報告されました。これはコンパクト化に 相当有効だと考えられますが、MOPAではASEが重畳しますので、超低雑音性が得 られるかは未知数です。

(26)

Er-MOPA + PPLN

波長可変範囲 光パワー 超低雑音 コンパクト 備考

◯ △ ??波長変化が

遅い A. Gambetta et al., Opt. Lett. 35, 226 (2010).

Mode-locked Er-MOPA

PPLN SC

PPLN

長尺PPLNによるスペクトル圧縮

各種光源の特徴

波長可変範囲 光パワー 超低雑音 コンパクト 備考

Ti:S + YbF

◯ ◯ ◯ ×

要同期回路

Dye laser

◯ ◯ ◯ ×

Dual Ti:S [1]

◯ ◯ ◯ ×

要同期回路

OPO [2]

◯ ◯ ◯ △

Fiber-laser-

pumped OPO [3]

??

チラー不要

Er-MOPA

+ PPLN [4]

??

波長変化が 遅い

[3] K. Kieu et al., Opt. Lett. 34, 2051 (2009). [4] A. Gambetta et al., Opt. Lett. 35, 226 (2010). [1] D. J. Jones et al., Rev. Sci. Instrum. 73, 2843 (2002).

[2] F. Ganikhanov et al., Opt. Lett. 31, 1292 (2006).

今年になり、ErファイバーレーザーベースのSRS顕微鏡がミラノ工科大学から報告 されました。これは、長尺のPPLNを用いてスペクトル圧縮を行う手法で、コンパ クト化に相当有効だと考えられます。しかしながら、MOPA構成ですので、ASEが 重畳し、超低雑音性を得ることが難しいと考えられます。また、波長掃引には PPLNの温度を変化させる必要があり、波長変化が遅い、という課題もあります。

以上のように、現状の光源には一長一短がある状況です。これらを解決できれば、 SRS顕微鏡の実用化にとって非常に有効であり、超高速光エレクトロニクスの非常 に有力なアプリケーションになると考えています。

(27)

まとめ

• 誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡の原理と特長

• 従来のラマン顕微法との比較

• SRSの理論限界感度

• 高調波同期法による高感度化

• 光源開発の重要性

• SRSのロックイン検出 ⇒ 無標識生体観察

• 高コントラスト・高感度

• CARSと同等、自発ラマンより3桁高感度

• ロックインの高周波化 ⇒ 理論限界感度まで1.6 dB

• ピコ秒、2色、波長可変、超低雑音パルス光源

以上、まとめます。誘導ラマン散乱顕微鏡は、無標識生態観察を高コントラスト・ 高感度に実現する強力な方式です。その理論限界がCARSと同等であること、理論 限界感度をロックイン周波数の高周波化でほぼ達成できたことを報告しました。ま た、実用化に向けて光源開発が重要で、現状ではまだまだ光源開発の余地が残され ていることをお話しました。ご清聴ありがとうございました。

参照

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