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積分についての講義ノート

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Academic year: 2017

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(1)

積分の知識

学習院大学 福地純一郎

[email protected]

平成 29 年 10 月 27 日

(2)

1 章 積分

この講義ノートでは、大学初年度に統計学を学ぶために必要な積分の知識について説明を行う。定積 分の定義は高校の教科書に書かれている定義を用いる。微分の知識は前提とする。

1.1 不定積分

関数 f(x) に対して、微分すると f(x) になる関数、すなわち F(x) = f (x) となる関数 F (x) を、f(x) の不定積分という。

例 1. (x2) = 2xであるから、x2は 2x の不定積分である。 また、(x2+ 10) = 2x、 (x2− 6) = 2x で あるから、x2 + 10や x2− 6も 2x の不定積分である。

例 1 からわかるように、2x の不定積分は無数にあるが、その違いは定数部分だけである。関数 f(x) の不定積分を ∫ f(x)dx で表す。

不定積分

F(x) = f (x)のとき

f(x)dx = F (x) + C, Cは定数

関数 f(x) の不定積分を求めることを f(x) を積分するといい, 上の定数 C を積分定数という。

不定積分の性質

不定積分の性質 k, ℓは定数とする。

kf(x)dx =k

f(x)dx

{f (x) + g(x)}dx =

f(x)dx +

g(x)dx

{kf (x) + ℓg(x)}dx =k

f(x)dx + ℓ

g(x)dx

例 2.

1dx =x + C, Cは定数

xdx=1 2x

2+ C, C は定数

x2dx=1 3x

3+ C, C は定数

(3)

例題 1. 0 以上の実数 x ≥ 0 に対して定義された関数 y = e−xを考える。この関数の不定積分を求めな さい。

正解:(e−x) = −e−xであるから

e−xdx= − e−x+ C, Cは定数

統計学では、関数 y = e12x2 や、それに x または x2を掛けた関数がよく現れる。

例題 2. すべての実数 x に対して定義された関数 y = xe12x2を考える。この関数の不定積分を求めなさ い。

正解:(e12x2) = −xe12x2である ( 合成関数の微分の公式を使う ) から

xe12x2dx= − e12x2 + C, Cは定数

1.2 定積分

関数 f(x) を考える。区間 [a, b] で f(x) ≥ 0 であり, f のグラフは 上の図のような連続な曲線であると する。この曲線と x 軸との間で x = a から x = b までの部分の面積を求めたい。

いま、区間 [a, b] で動く変数 x をとる。y = f(x) と x 軸との間で a から x までの面積を S(x) で表すこ ととする。まず S(x) の変化率を考えてみる。点 (x, 0), 点 (x, f(x)) をそれぞれ P, Q とする。次に h > 0 とし, 点 (x + h, 0), (x + h, f(x + h)) をそれぞれ R, S とする。このとき S(x + h) − S(x) は図形 PRSQ の面積に等しい (左図)。これと等しい面積を持つ長方形 PRS’Q’ をとり、線分 S’Q’ が y = f(x) と交わ

y =f

(

x

)

a x x+h b

P Q

R S

S

(

x

)

S(x+h)S(x)

a x t x+h

P Q Q’ S’

R S

S

(

x

)

る点を (t, f(t)) と書く (右図)。このとき S(x + h) − S(x) = hf (t)

(4)

が成り立つ。したがって S(x + h) − S(x)

h = f (t)

である。h → 0 のとき、t → x であるから f(t) → f(x) となり、したがって

h→0lim

S(x + h) − S(x)

h = f (x)

が成り立つ。すなわち S(x) = f (x)である。つまり S(x) は関数 f(x) の一つの不定積分である。 F(x)を f(x) の任意の不定積分とすると

S(x) = F (x) + C, Cは定数

と表される。x = a のとき S(a) = 0 であるから 0 = F (a) + C

したがって C = −F (a). 結局 S(b) = F (b) − F (a) が得られた。

一般に、関数 f(x) の 1 つの不定積分を F (x) とするとき、2 つの実数 a, b に対して F (b) − F (a) を f(x) の a から b までの定積分といい、記号

b

a

f(x)dxで表す。また F (b) − F (a) を記号[F(x)]

b

aで表す。

定積分

関数 f(x) の不定積分の 1 つを F (x) とするとき

b

a

f(x)dx =[F(x)]

b

a= F (b) − F (a)

この定積分求めることを f(x) を a から b まで積分するという。定積分の定義で、f(x) は負の値をとっ てもよい。

例題 3. 以下の定積分を求めなさい。 (1)

1

0

1dx (2)

1

0

xdx (3)

1

0

x2dx. 正解

(1)

1

0

1dx =[x]

1

0 = 1 − 0 = 1 (2)

1

0

xdx=[1 2x

2] 1

0 =

1

2 − 0 = 1 2 (3)

1

0

x2dx=[1 3x

3]1 0 =

1 3− 0 =

1 3

(5)

例題 4. 以下の定積分を求めなさい。

2

1

(3x2− 4x)dx 正解:

2

1

(3x2− 4x)dx =[x3− 2x2]

2

1 = (8 − 8) − (1 − 2) = 1 例題 5. a > 0 を定数とする。以下の定積分を求めなさい。

a

0

xe12x2dx 正解:

a

0

xe12x2dx=[−e12x2]

a

0 = −e

1

2a2 + 1

関数の定数倍や和の定積分については, 以下の等式が成り立つ。

定積分の性質 k, ℓは定数とする。

b

a

kf(x)dx =k

b

a

f(x)dx

b

a

{f (x) + g(x)}dx =

b

a

f(x)dx +

b

a

g(x)dx

b

a

{kf (x) + ℓg(x)}dx =k

b

a

f(x)dx + ℓ

b

a

g(x)dx

(6)

1.3 関数の極限

1.3.1 x → a のときの関数の極限

1

関数 f(x) = x2において、x が 2 と異なる値をとりながら 2 に限りなく近づくとき、f(x) は 4 に限り なく近づく。

y =x2

2 x y

4

O

一般に、関数 f(x) において、変数 x が a と異なる値をとりながら a に限りなく近づくとき、f(x) が 一定の値 α に限りなく近づく場合

x→alimf(x) = α または

x→ a のとき f(x) → α

と書き、この値 α を x → a のときの f(x) の極限値という。また、このとき、f(x) は α に収束すると いう。

例題 6. 以下の極限を求めなさい。 (1) lim

x→0x

2 (2) lim

x→2

1 1 + x 正解:(1) lim

x→0x 2 = 0. (2)

x→2lim 1 1 + x =

1 3.

1「数学 III」、数研出版に沿っている。数学 III は自習するとかなり楽しいです。

(7)

1.3.2 極限が有限な値でない場合

関数 f(x) において、変数 x が a と異なる値をとりながら a に限りなく近づくとき、f(x) の値が限り なく大きくなるならば

x→ a のとき f(x) は (正の) 無限大に発散する といい、

x→alimf(x) = ∞ または

x→ a のとき f(x) → ∞ と書き表す。

1.3.3 x → ∞ のときの関数の極限

変数 x が限りなく大きくなることを x → ∞ と表す。また、x が負で絶対値が限りなく大きくなるこ とを x → −∞ で表す。このようなときの関数の極限を考える。

関数 f(x) = 1xにおいて, x → ∞ のとき f(x) は 0 に限りなく近づく。また、x → −∞ のときも f(x) は 0 に限りなく近づく。

y=1 x

x y

O

一般に x → ∞ のとき f(x) が一定の値 α に限りなく近づくとき、この値 α を x → ∞ のときの f(x) の極限値あるいは極限といい、 lim

x→∞f(x) = αと書き表す。x → −∞ のときも同様である。この記号を 用いると上の関数については

x→∞lim 1

x = 0, x→−∞lim 1 x = 0 と書き表される。また

x→∞lim f(x) → ∞, x→−∞lim f(x) → ∞

などの意味も limf(x) → ∞のときと同様に考える。

(8)

例題 7. 以下の極限を求めなさい。 (1) lim

x→∞

100

x (2) x→∞lim 1

2 + x2 (3) x→∞lim 5 + e

−x2

正解:(1) lim

x→∞

100 x = 0 (2) lim

x→∞

1

2 + x2 = 0 (3) lim

x→∞5 + e

−x2

= 5

1.4 広義積分

u >1とする。関数 f(x) = x12 の 1 から u までの定積分を求めると

u

1

1 x2dx=

[−1 x

]u

1 = −

1

u + 1 = 1 − 1 u

である。この値は、左図の斜線部分の面積を表している。

y= 1 x2

x y

1 u

O

y= 1 x2

x y

O 1

次に、u → ∞ のときの

u

1

1

x2dxの極限は 1 であることがわかる。これは、y = x12 の曲線と x 軸で囲 まれ x = 1 から右側の部分すべて (右図の斜線部分) の面積が 1 であることを意味している。

一般に、関数 f(x) の a から u までの定積分

u

a

f(x)dxが u → ∞ のとき一定の値に収束するとき、こ の値を f(x) の [a, ∞) 上の広義積分といい、

a

f(x)dx で表す。つまり、 lim

u→∞

u

a

f(x)dxが有限のとき

a

f(x)dx = lim

u→∞

u

a

f(x)dx

(9)

である。

上の例については以下のように書ける。

1

1

x2 dx= 1

例題 8. 以下の広義積分の値を求めなさい。

(1)

2

1

x2 dx (2)

0

e−xdx (3)

0

xe12x2dx

正解:(1) まず u > 2 に対して

u

2

1

x2 dxを求める。

u

2

1 x2dx=

[−1 x

]u

2 = −

1 u +

1 2 したがって

2

1

x2 dx= limu→∞

u

2

1

x2dx= limu→∞ (

1 u+

1 2

)

= 1 2. (2) まず u > 0 に対して

u

0

e−xdxを求める。

u

0

e−xdx=[−e−x]

u

0 = −e

−u+ 1 したがって

0

e−x dx= lim

u→∞

u

0

e−xdx= lim

u→∞(−e

−u+ 1) = 1.

(3) まず u > 0 に対して

u

0

xe12x2dxを求める。

u

0

xe12x2dx=[−e12x2]

u

0 = −e

1

2u2 + 1

したがって

0

xe12x2 dx= lim

u→∞

u

0

xe12x2dx= lim

u→∞

(−e12u2 + 1)= 1. (1.1)

(10)

(−∞, ∞)上の広義積分

統計学では、(−∞, ∞) 上の広義積分もよくあらわれる。関数 f は (−∞, ∞) 上で連続2であるとする。 u→ ∞のとき

u

a

f(x)dxが有限の値に収束し、かつ u → −∞ のとき

a

u

f(x)dxが有限の値に収束す るとき

−∞

f(x)dx =

a

−∞

f(x)dx +

a

f(x)dx = lim

u→−∞

a

u

f(x)dx + lim

u→∞

u

a

f(x)dx と定義する。

例題 9. 以下の広義積分の値を求めなさい。

(1)

−∞

xe12x2dx

正解:まず u > 0 に対して

0

u

xe12x2dxを求める。

0

u

xe12x2dx=[−e12x2]

0

u = −1 + e

1

2u2

したがって

0

−∞

xe12x2 dx = lim

u→−∞

0

u

xe12x2dx= lim

u→−∞

(−1 + e12u2)= −1. (1.2)

ゆえに

(1.2)と (1.3) 式から、

−∞

xe12x2dx=

0

xe12x2 dx+

0

−∞

xe12x2 dx= 1 − 1 = 0 を得る。

2関数が連続であるとは、大まかに言うと、その関数のグラフがつながっていることを意味する。

参照

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