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国際金融
unit 10金利平価
金利平価
金利平価は、購買力平価とともに、国際金融論における重要 な考え方である。
国際金融取引から外国通貨に対する需要と供給が発生し、こ れが為替レートを決定するという考え方を金利平価という。
金利裁定取引
購買力平価が、商品裁定取引に基づいていたのと同様、金利 平価は、金利裁定取引という考え方に基づいている。 金利裁定取引とは、金利の低いところで資金を調達し、高い ところで運用することにより「鞘取り」をする取引である。
金利裁定取引
たとえば、ある銀行の大阪支店と東京支店で、金利が異なっ ていたとする。
以下では、預金金利と貸出金利が等しいと仮定する。 ここでは、ある銀行の大阪支店の金利が3%、東京支店の金 利が5%とする。
大阪と東京で金利差が生じる理由は、大阪と東京の資金に対 する需要と供給の相対的な関係に差があるからである。
金利裁定取引
金利裁定取引
このような状況下では、金利裁定取引が発生する。
取引費用を無視するならば、大阪支店で資金を調達し(借り 入れ)、東京支店で運用する(預け入れる)ならば、1年後に 2%の利益を得ることができる。
しかし、このような裁定機会はいつまでも存続しない。 大阪支店では、資金に対する需要が増大するために需要曲線 が右方にシフトする。
東京支店では資金供給が増大するために、供給曲線が右方に シフトする。
この結果、大阪支店では金利が上昇し、大阪支店では金利が 低下する。
最終的には、たとえば、4%という金利で大阪支店と東京支 店の金利、すなわち、収益率が均等化する。
カバーなし金利平価
2国間の金利裁定取引を考える。次の仮定が成り立つとする。
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.1. 完全資本移動資本規制や為替管理が存在せず、2国間を自由に資金が移動で きる。
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.2. 内外債券完全代替経済主体はリスク中立的であり、自国と外国の債券の期待収益 率が等しいならば、どちらの債券を保有しても無差別である。
カバーなし金利平価
1億円を1年間運用するという国際資金運用の問題を考える。 日本円とアメリカ・ドルで運用が可能な場合を考える。
カバーなし金利平価
カバーなし金利平価
金利裁定が働いた結果として
1 + it= (1 + i∗t)e
e t+1
et
が成立する。
この式を近似すると、
it= i∗t +e
e t+1− et
et
を導出できる。
カバーなし金利平価
近似について。ある変数xが0に十分近い範囲では、 log(1 + x) ≈ x
という近似が可能である。
1 + it = (1 + i∗t)e
e t+1
et
log(1 + it) = log [
(1 + i∗t)e
e t+1
et
]
log(1 + it) = log(1 + i∗t) + log (ee
t+1
e )
カバーなし金利平価
(2)式を書き直すと、
it− i∗t = e
e t+1− et
et
が得られる。
これをカバーなし金利平価式と呼ぶ。
為替レートの期待変化率は内外金利格差によって決定される ことがわかる。
it> i∗t ならば、eet+1> etが成立するため、内外金利格差にみ あうだけ将来ドルが高くなり、ドル建てで運用する場合の期 待収益率が上昇する必要がある。
カバー付き金利平価
カバーなし金利平価式は、将来の為替レートの予想に基づい て金利裁定取引を行う投資家の行動を前提に導出された。 しかし、t期におけるt + 1期の為替レートの期待値e
e
t+1 が、
t + 1期に実際に実現する直物為替レートet+1に一致する保 証はない。
たとえば、ドル建て預金で運用する場合、予期せざる円高・ ドル安が発生すれば予期せざる損失を被る。
反対に、予期せざる円安・ドル高が発生すれば予期せざる利 益を得る。
このように、将来の為替レート変動によりt + 1期に受け取
カバー付き金利平価
既に学んだように、為替リスクを回避する(ヘッジする)た めに、先物為替契約を用いる方法がある。
先物為替契約を用い、為替リスクをカバーする場合に成立す る金利平価式を、カバー付き金利平価式と呼ぶ。
カバー付き金利平価式は、為替レートの期待値e
e
t+1を先物
レートftに置き換えたものである。 it− i∗t = ft− et
et
(ft− et)/etの値が、正のとき先物プレミアム、負のとき先物 ディスカウントと呼ばれる。