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国際金融 Keida's Website slide if unit11

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Academic year: 2018

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国際金融

unit 11フローからストックへ

(2)

フロー・アプローチ

フロー・アプローチは、ある一定期間における外国通貨のフ ロー(流れ)に対する需給関係から為替レートが決定される とする考え方である。

この外貨のフローに対する需給は、経常収支、資本収支、公 的介入によって生じる。

(3)

フロー・アプローチ

経常収支に関しては、輸出とからは外国通貨に対する供給が 発生する。

日本の自動車メーカーがアメリカに自動車を輸出し、その代 金を円建てで受け取る場合、アメリカの輸入業者は、前もっ てドルを売り(供給し)、円を買っておく(需要する)必要が ある。

資本または労働などの生産要素を外国に提供し、報酬として 金利、配当または賃金などの生産要素所得を外国から受ける 場合も外国通貨に対する供給が発生する。

(4)

フロー・アプローチ

一方、輸入からは外国通貨に対する需要が発生する。 また、外国への生産要素所得の支払いによっても、外国通貨 に対する需要が発生する。

(5)

フロー・アプローチ

資本収支に関して、資本流入からは外国通貨に対する供給が 発生する。

たとえば、アメリカの投資家が日本の国債を購入する場合、 アメリカから日本への資本流入が発生するが、その際、アメ リカの投資家は、前もってドルを売り、円を買う必要がある。

一方、資本流出からは、外国通貨に対する需要が発生する。

(6)

フロー・アプローチ

公的介入に関し、通貨当局が外貨準備を取り崩し、為替市場 で円買い・ドル売り介入を行えば、ドルに対する供給が発生 する。

一方、円売り・ドル買い介入を行い外貨準備を積み増す場合 には、ドルに対する需要が発生する。

(7)

フロー・アプローチ

この関係は次の式で表される。

経常収支(e, Y, Y) +資本収支(i − i) =外貨準備増減 経常収支は、

為替レートeの増加関数 自国の所得Y の減少関数 外国の所得Yの増加関数 資本収支は、

内外金利差i − iの増加関数

(8)

フロー・アプローチ

この式を用いて、フロー・アプローチを説明すると以下のよ うになる。

資本収支は、内外通貨当局の金利政策によって決定する内外 金利格差に基づいて受動的に反応するため外生的(所与)で ある。

公的介入も内外通貨当局の介入政策によって決定されるため に外生的である。

すると、経常収支は資本収支から外貨準備増減を差し引いた 値として一意に決定する。

その経常収支を達成する為替レートeの水準に瞬時に決定 する。

(9)

フロー・アプローチ

フロー・アプローチでは、為替レートの決定において、経常 収支が重要な役割を果たすと考えられていた。

また、unit 6でみたように、輸出入の価格弾力性が十分に大

きくマーシャル=ラーナー条件が成立するならば、為替レー トの小幅な変動に対して輸出入が大きく反応するため、為替 レートの乱高下はなく国際収支は短期間で均衡すると考えら れていた。

つまり、為替レートによる国際収支の調整機能は高いと考え られていた。

(10)

フロー・アプローチ

さらに、内外金利差が不変で、公的介入が存在しない場合 は、資本収支が一定、海外準備増減がゼロとなるが、そのも とで、たとえば外国の景気が悪化し外国の所得Yが減少し ても、為替レートeによって調整されると考えられていた。 このように、フロー・アプローチにおいては、為替レートの 調整を通じ、外国の経済ショックは隔離されると考えられて いた。

(11)

フロー・アプローチからアセット・アプローチ

1970年代に入り、多くの先進国が変動相場制度を採用するよ うになると、フロー・アプローチで予測されていたよりも、 短期的な為替レートの乱高下が大きく、また国際収支の調整 機能も不十分であることが明かになった。

国際収支の調整機能が不十分であった理由の1つには、unit 6で解説したJカーブ効果があげられる。

(12)

フロー・アプローチからアセット・アプローチ

さらに、近年では、先進諸国だけではなく、新興市場国と呼 ばれる発展途上国においても、金融自由化、資本規制緩和が 行われ、国家間における資本移動が急増してきた。

これに伴い、近年の為替市場での取引の大部分は、実需取引 ではなく、資本取引から派生している。

(13)

フロー・アプローチからアセット・アプローチ

このような状況を踏まえ、近年では、国際的に統合された資 産市場における各国の通貨建てで表示された資産ストックに 対する需給関係から為替レートが決定されるというアセッ ト・アプローチと呼ばれる考え方が主流になってきた。

(14)

フロー・アプローチからアセット・アプローチ

アセット・アプローチは大きく分けて、 マネタリー・モデル

ポートフォリオ・バランス・モデル

に分けられる。

(15)

フロー・アプローチからアセット・アプローチ

マネタリー・モデルは、資産市場の中でも特に貨幣市場に注 目する考え方である。

そのなかでも、

一般物価水準は伸縮的と想定し、短期的にも購買力平価式が 成立する伸縮価格マネタリー・モデル

一般物価水準は短期的には硬直的であり、長期的にのみ購買 力平価式が成立する硬直価格マネタリー・モデル

に分けることができる。

ここでは、2つのマネタリー・モデルを解説し、ポートフォ リオ・バランス・モデルは次のunit 12で解説する。

(16)

伸縮価格マネタリー・モデル

伸縮価格マネタリー・モデルは一般物価水準は伸縮的である ため短期的にも購買力平価式が成立することを想定し、この 購買力平価式における一般物価水準が貨幣市場の均衡式から 決定していると考えるモデルである。

(17)

伸縮価格マネタリー・モデル

自国の貨幣市場の均衡式は、 Mt

Pt

= L(Yt, it) と表される。

Mtは名目マネーサプライ、Lは実質貨幣需要関数である。 Lは、実質所得Ytの増加関数、名目金利itの減少関数で

ある。

(18)

伸縮価格マネタリー・モデル

同様に、外国における貨幣市場の均衡式は、 Mt

Pt = L

(Y t , it) と表される。

(19)

伸縮価格マネタリー・モデル

自国と外国の貨幣市場均衡式を、PtPtでそれぞれ解き、 絶対的購買力平価式に代入すると、次式が得られる。

et= Mt Mt

L(Yt, it) L(Yt, it)

(20)

伸縮価格マネタリー・モデル

他の事情を一定としたもとで、自国のマネーサプライMtが 増加すると、為替レートはマネーサプライの増加率と同率で 減価することが分かる。

これは、自国のマネーサプライが増加すると貨幣市場におい て超過供給が発生し、これを解消するために一般物価水準Pt がマネーサプライと同率で増加し、これが絶対購買力平価を 通じて為替レートを減価させると理解される。

(21)

伸縮価格マネタリー・モデル

次に他の事情を一定としたもとで、自国の実質所得Ytが増 大すると(自国の景気が良くなったと解釈できる)、為替 レートは増加することが分かる。

実質所得が増加すると、取引動機に基づいた貨幣需要が増大 するため、貨幣市場において超過需要が発生し、これを解消 するために一般物価水準Ptが下落する。

これが、絶対的購買力平価を通じ為替レートを増価させる。 為替レートがどの程度増加するかは、実質所得が1%変化し たとき実質貨幣需要が何%変化するかを測る貨幣需要の所得 弾力性に依存する。

(22)

伸縮価格マネタリー・モデル

他の事情を一定として、自国の名目金利が上昇すると、為替 レートは減価することがわかる。

名目金利が上昇すると、投機的動機に基づいた貨幣需要が減 少するため、貨幣市場において超過供給が発生し、これを解 消するために一般物価水準Ptが上昇する。

これが絶対的購買力平価を通じて為替レートを減価させる。 為替レートがどの程度減価するかは、名目金利が1%ポイン ト上昇したとき、実質貨幣需要が何%減少するかを測る貨幣 需要の金利弾力性に依存する。

(23)

硬直価格マネタリー・モデル

伸縮価格マネタリー・モデルでは、一般物価水準が伸縮的で あるため、短期的にも購買力平価式が成立することが前庭と していた。

しかし、現実的には財市場の調整速度は遅く、一般物価水準 には硬直性が存在することが知られている。

このような短期的な一般物価水準の硬直性を考慮し、長期的 にのみ購買力平価式が成立することを想定したモデルを、硬 直価格マネタリー・モデルと呼ぶ。

(24)

硬直価格マネタリー・モデル

一般物価水準に硬直性が存在する場合、為替レートにオー バーシューティングという現象が発生することが知られて いる。

これを図示したものが図4-1である。

図4-1では、横軸に時間、縦軸に為替レートがとられている。 いま、他の事情を一定として自国の名目マネーサプライが増 加したとする。

伸縮価格マネタリー・モデルでは、為替レートは名目マネー サプライと同率だけ減価する。

(25)

硬直価格マネタリー・モデル

しかし、一般物価水準が硬直的である場合には、t= t0にお いて、為替レートは伸縮価格マネタリー・モデルで説明され る水準を超えて、点Aから点Bへと大きく減価し、その後 徐々に伸縮価格マネタリー・モデルで説明される水準の点C に向かって増加する。

この点Aから点Bへの過大反応の部分をオーバーシュー ティングと呼ぶ。

(26)

硬直価格マネタリー・モデル

(27)

硬直価格マネタリー・モデル

以下では、オーバーシューティングが発生する原因を説明 する。

いま、財市場の調整速度は遅いため、購買力平価式は長期に おいてのみ成立するものとする。

et= Pt Pt

一方、金融市場の調整速度は十分早いため、自国の貨幣市場 の均衡式とカバーなし金利平価式は短期的にも成立するもの とする。

Mt

Pt

= L(Yt, it) ee

(28)

硬直価格マネタリー・モデル

長期的には購買力平価が成立することから、長期的には為替 レートと自国の物価水準との間には正の関係が存在する。 一方、カバーなし金利平価式が成立するもとで、自国の貨幣 市場の均衡式が成立するので、自国の一般物価水準Ptと為 替レートet の間には、負の関係があることがわかる。 なぜならば、t+ 1期における為替レートの予想値e

e

t+1を所与

としたもとで、為替レートetが減価(上昇)するならば、カ バーなし金利平価式を通じ、自国の名目金利itが低下する。 このとき、投機的動機に基づく貨幣需要が増加するため、貨 幣市場において超過需要が発生し、これを解消するため、一 般物価水準Ptは低下するからである。

4-2

(29)

硬直価格マネタリー・モデル

(30)

硬直価格マネタリー・モデル

図4-2を用いてオーバーシューティングを説明する。 初期時点において、財市場、貨幣市場ともに均衡しており、 点Aにあったとする。

ここで、自国のマネーサプライが増大したとすると、貨幣市 場の均衡式を表す直線は右方にシフトする。

このとき、一般物価水準は短期的に硬直的であるため一定で ある。

一方、貨幣市場は短期的にも均衡しているため、経済は点A から点Bへジャンプする。

その後、一般物価水準が徐々に調整されるにつれ、経済は貨 幣市場均衡式に沿って点Bから点Cへ移動し、長期的には 点Cにおいて購買力平価式が成立する。

(31)

硬直価格マネタリー・モデル

これまでの説明を要約すると、以下のようになる。

自国で名目マネーサプライが増大すると長期的に一般物価水 準が、マネーサプライの増加率と同率の上昇をもたらすこと が予想される。

したがって、為替レートも同率で減価することが予想される。 この伸縮価格マネタリー・モデルで説明される為替レートの 水準を長期的均衡為替レートと呼ぶ。

(32)

硬直価格マネタリー・モデル

一般物価水準が硬直的である場合、実質所得または名目金利 の変化によって調整される必要がある。

しかし、実質所得は短期的には変化しないため、自国の名目 金利が低下する。

このとき、自国通貨建ての債券の期待収益率が外国通貨建て の債券の期待収益率を下回るため、資産市場の均衡が崩れる。 この結果、自国通貨建て債券売り・外国通貨建て債券買い圧 力が生じ、為替レートが減価する。

(33)

硬直価格マネタリー・モデル

資産市場を均衡させるためには、為替レートが長期的均衡為 替レートを超えて大きく減価し、将来的に自国通貨高・外国 通貨安が発生するという自国通貨の先高感をもたらす必要が ある。

この長期手均衡為替レートの水準を超える減価部分がオー バーシューティングである。

参照

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