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「押し葉標本で植物の多様性を考えよう」 研究発表一覧 第46回関東理科教育研究発表会千葉大会

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Academic year: 2018

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……… 第46回関東理科教育研究発表会

1 はじめに ~南アフリカ共和国自治体連携ボランティアについて

 埼玉県教育委員会は,独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携して,南アフリカ共和国に対する国際 協力活動を行うこととなり,本年3月3日に合意書調印式が行われた。本事業は,平成28年度から3年間に わたり,県立高校より3名の教員を毎年8月の約1か月間,青年海外協力隊として南アフリカ共和国科学技 術省に派遣することで,同国の科学振興及び理科教育に貢献するとともに,将来の両国の友好・協力の架け 橋となる人材の育成を図ることを目的としている。

 このたび私は,本事業の第1回目の派遣教員として7月27日から8月28日までの約1か月間,南アフリカ 共和国において現地の子どもたちや科学館スタッフ,教員向けの理科実験ワークショップを行なう活動に従 事した。今回の派遣で要請された活動内容は,同国の科学教育の現状などを踏まえ,現地で調達可能な材料 を用いた科学実験の手法を紹介すること,南アフリカ共和国の小・中・高校生を対象とした理科実験ワーク ショップを行うことである。

 今回の発表では,この派遣を通じてわかったことや感じたこと,苦労したこと等を共有させていただきた い。また来年度以降,本事業がより発展したものにするため,南アフリカ共和国で実施できそうな実験手法 等があれば,ぜひ広くご教授いただきたい。

2 南アフリカ共和国の科学教育について

 南アフリカ共和国はアパルトヘイト期,人種別・民族別に設置された教育行政機関によって異なった政策 が実施されてきた。特にこの期間,非白人を理数科教育から遠ざけていた経緯があり,現教員も理数科目を 十分に履修してきていないという現状がある。現教員の多くは科学実験をほとんど履修・経験していないと 考えられ,学校教育において科学実験のノウハウはほとんどないことが予想される。また,教育の現場では 暗記中心の機械的学習が主流で実験や観察はごく一部でしか行われていない(赤川 隅田,2001)という報 告もある。

 南アフリカ共和国では,各地方に科学館(サイエンスセンター)と呼ばれる施設があり,近隣の学校は遠 足のように科学館を訪れ,様々な展示を見て学習する。また,科学館のスタッフの指導で実験活動を行なう。 訪問頻度や指導分野は科学館によって様々で,教育内容とリンクしているかは不明である。また,科学館の 設備も地方によってまちまちであり,科学館スタッフの科学に対する専門知識もまちまちである。

3 活動内容

 今回の派遣では,以下のような活動を行なった。

 ① 各地の小中学校を訪問し,生徒向けに科学実験のワークショップおよびサイエンスショーを実施。(8 校ほど訪問。対象学年は小5から中3と様々。)

 ② 同国各地の科学館スタッフを集めて,科学実験の研修を実施。(3日間)

 ③ プレトリア大学付属の科学館(SCI-ENZA)において,科学館スタッフと生徒向けに科学実験のワー クショップおよびサイエンスショーを実施。

南 ア フ リ カ 共 和 国 の 科 学 教 育

~青年海外協力隊に参加して~

埼玉県立川口東高等学校 

大塚 一紀

 

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千葉大会

 紹介した実験は主に以下の内容である。

・ペーパークロマトグラフィー

  ろ紙は一般的に入手が困難であることが予想される。このため市販のコーヒーフィルターを用いて,水 性ペンの色を分離する実験を紹介した。

・炎色反応

  科学館には薬品類は整っているため(薬品のない科学館もある),日本で一般的に行われている炎色反 応の実験を数パターン紹介した。また,薬品がない科学館のために,薬品が無くても炎色反応が確認でき る実験を数パターン紹介した。(銅のバイルシュタイン反応,食塩を用いた炎色反応等)

・南アフリカで一般的に販売されている物品を用いた工作

  風船を使ったホバークラフトづくり,ビー玉を用いた顕微鏡づくり,など ・片栗粉を使ったスライムづくり

  ポリビニルアルコール(PVA)を用いたスライム作成を予定していたが,日本で一般的な洗濯のり(PVA を含んでいるもの)が南アフリカでは調達できなかった。このため代案として片栗粉に水を加えるだけで 簡単に作成できるスライムを紹介した。

4 終わりに

 本事業は今後も継続される。同国の科学教育の発展に向けて,より充実した研修内容にしていくことが望 まれる。今回の派遣では私が知る限りの,同国で調達可能で簡単に実施できる実験を紹介してきた。しかし, もっと多くの方のお知恵をお借りできれば,同国にとってさらに有意義な事業とすることができると考える。 今回の発表で「この実験ならば!」というものがあれば,ぜひご紹介いただきたい。来年度本事業で派遣さ れる教員に提案することで同国の科学教育発展により寄与できると考えている。また,同国へのボランティ アに興味を持たれた方は,ぜひ長期派遣(2年間)の青年海外協力隊に参加することを検討いただきたい。(青 年海外協力隊への参加は,各自治体で現職派遣制度等も利用することができる。)

5 引用文献

赤川泉・隅田学(2001)南アフリカ共和国の教育改革における理数科教育開発と国際協力,広島大学教育開 発国際協力研究センター『国際教育協力論集』第4巻第1号

埼玉県立川口東高等学校 大塚一紀 連絡先:otsuka.kazuki.9f@spec.ed.jp

参照

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