地域班改革の説明と意見交換会
(H26.2) [資料1]センター運営の課題と対応策――概要――
1.厳しさ続く財務状況
当センターは、近年の大幅な補助金削減と、違法就業の是正の影響を受け、厳しい財務状 況が続いています。公益法人の認定取消しを回避するために、24年5月に「財務健全化計画」 (平成24~26年度)を策定し、26年度当初予算で収支均衡を目指して取り組んでいますが、 受注契約額の減少に歯止めがかからず、計画の一部見直しを余儀なくされました。
このため自主財源の確保を目指し、既に今年度から、3年度連続になる会費の引上げ(300 0円→4500円)と、民間受注における事務費率の一律10%への引上げを実施していて、26年 度からは市役所を中心とした公共受注においても10%への引上げを予定しています。
(単位:千円)
平成・年度 20 21 22 23 24 25(予算) 収支差 -62 +2,273 +2,310 -1,275 -4,642 -2,289 剰余金残高 12,749 14,528 17,021 15,904 11,406 9,227 補助金総額 32,384 33,931 29,781 22,500 14,200 14,200 補助金依存率 58.9% 60.8% 57.0% 49.5% 38.1% 36.7%
(注)1.「補助金総額」には、国庫補助制度に基づくもののほか、市単独分も含む。 2.「補助金依存率」は、収入のうち配分金、材料費等を除く運営収入に占める割合
2.低迷傾向の構造的要因
近年の会員数と契約金額は、前項で述べた状況により大幅に減少していますが、それらが頭 打ち傾向をたどったのは既に十数年以前からであり、シルバー事業一般と敦賀市の地域性な どを受けた構造的要因を認識し、適切な対応を講じる必要があると考えています。このため、次 のような取り組みを進めています。
(単位:人、百万円)
平成・年度 20 21 22 23 24 25(予算) 会員数 615 662 681 598 508 - 契約金額 217 220 242 220 210 208
①会員の運営参画、事務局の高度化への意識改革
従来の依存体質からの脱却と、地域班・職群班の活性化など基本理念への回帰 ②地域に密着した新分野進出等の就業開拓に挑戦
特に“団塊の世代”を中心とした年齢層と女性会員に係る低い入会率の解決 ③「安価で喜ばれる」から「良質で喜ばれる」ビジネスへ転換
会員の資質・能力の向上と地域に密着した就業開拓により社会貢献度をアップ
<参考資料>
H25.11.28 [参考資料]
センター改革の取組み
公益社団法人敦賀市シルバー人材センター 1.財務健全化
(1)支出の削減 (単位:万円) 平成・年度 20 21 22 23 24 25(予算)
人件費 3,316 3,229 2,992 2,796 2,725 2,519
その他 2,192 2,126 2,002 1,966 1,471 1,582 (注)本表は、『敦賀市SCの現況と課題』P5の「図1 人件費とその他の経費の推移」の基データ
①平成23年度以降の支出削減の取組みは、『敦賀市SCの現況と課題』P3~5参照 ②つなぎ資金借入れが生じないよう、25年度から会員への配分金支払日を6日間繰延べ
(2)自主財源の確保
平成・年度 22 23 24 25 26(計画)
正会員会費
(年額) 1000円 1500円 3000円 4500円 4500円 事務費率 民間 7%
公共 6%
一律 8% 標準 8% 民間単発 10%
民間 10% 公共 8%
一律 10%
(注)本表は、『敦賀市SCの現況と課題』P7の「表6 会費・事務費率の引上げ状況」を補足
①このほか、24、25年度に受注単価の見直しを行ったが、受注額増につながっていない。 ②24、25年度の会費の連続引上げで会員数が大幅減少し、効果は相当減殺されている。 2.体質の改善
(1)会員の自立、運営参画の推進
センター全体の補助金依存と、会員の事務局依存が長年続いた結果としての“虚弱体質” から脱却することが急務であり、24年度から次のような取組みを行っています。
①会員による受注対応やお客様満足度の増進を目指して、窓口グループ体制を整備 ②違法就業の是正と会員の自立的就業を促進するため、会員のグループ化を推進
(2)事務局の問題解決型への転換
正職員数(現状4名、『敦賀市SCの現況と課題』P4の「表4 事務局体制と人件費の推移」 参照)はこれ以上の削減は困難であり、今後はむしろ事務局体制の高度化を図る必要がある と考えています。これまでの会員への奉仕型(手取り足取りの世話焼き志向)就業から、セン ターの直面する課題を解決し、将来へ向けて着実に布石を打てるよう、会員と適度の緊張関 係を保ちながら互いに連携協力する、協働型就業へ切り替えることが肝要です。このため24 年度から次のような取組みを行っています。
[資料2]
事 業 低 迷 の構 造 的 要 因 と解 決 の方 向
当センターの事業の推移(平成7年度=100)は、下図のとおりであり、県内各セ ンターや全国の動向と比べると、かなり早い段階から頭打ち状態になっています。 年々の推移については、相当期間にわたって見極めないとその傾向を把握するの が難しいことは事実ですが、もう少し以前から、こうした状況を認識して構造的要因 を究明する努力をし、解決策を講じる必要があったと考えられます。
そうした取組みが阻害されてきたのは、補助制度への過度な依存(甘え)や会員 と事務局職員のもたれ合い関係が大きな原因となったのではないでしょうか。
図 当センターの事業の推移
(注)1.平成7年度を100としたのは特に意味はなく、入手できるデータの制約による。 2.会員数=各年度末の正会員数、契約金額=配分金+材料費等+事務費
1.低迷傾向の構造的要因
当 センターが低 迷 傾 向 をたどり始 めたのは早 かったのですが、全 国 的 に も数 年 から10年 ほど前 に頭 打 ちの状 態 が始 まり、いわゆる「団 塊 の世 代 」 が60歳 を迎 え、「超 高 齢 社 会 」が現 実 になったにもかかわらず、会 員 数 も 契 約 金 額 も減 少 が続 いています。これには、シルバー事 業 全 般 に通 じる構 造 的 要 因 があると考 えるのが相 当 だと思 われます。
また、同年代の人口の中で女性が5割以上を占めるにもかかわらず、会員の女 性割合が3割程度にとどまっていることについても、女性向きの仕事の開拓が不可 欠とされ、特に少子高齢化社会にあって当然にもニーズが高まる「生活支援」分野 の受注を増やすべく補助制度なども拡充されてきました。しかし、実際にはこうした 試みが功を奏したとは言えず、新世代や女性の高齢者にとって魅力的な就業機会 の確保が欠かせません。
一 方 、受 注 額 を増 やすためには、一般論として、受 注 数 量 を増 加 させると ともに受 注 単 価 を引 き上 げることが必 要 です。数 量 の増 加 には、これまでの お客 様 のリピートを確 保 しながら、さらに追加 の発注 をお願いするとともに、 新規のお客 様 を増 やしていかなければなりません。単 価 の引 上 げには、会 員 の資 質・能力 を向 上 させ、より良質 な仕 事 を行うだけでなく、地 域のニー ズに応えてよりきめ細かく、またより高 度 な仕 事 を手 掛 ける必 要 があります。 このことは、もちろん数 量 の増 加 にもつながります。
新規のお客 様 を獲 得するためにはPRが必 要 ですが、もっとも効 果的 と 考 えられているのは「口コミ」です。この「口コミ」が功 を奏 するためには、お 客 様 のニーズに的 確 にお応えするとともに、良質 な仕 事 、良 好な人 間 関 係 が欠 かせません。つまるところ、会 員 の資 質・能力 の向 上 と社 会 ニーズに即
した新 たな挑 戦が課 題 となります。
さらには、仕 事 の質 の問題 だけでなく、これまで安い価格で受 注 してきた 傾 向 も見 受けられます。定 年退職後の生 きがいが得られたらいいという感 覚から、必 ずしも配分 金 にこだわらない会 員 がおられることが基 本にあると 思 われますが、「どうせ、半分ボランティアのつもり」といった言 い訳も手 伝っ て、より高 い配分 金 を得ようというインセンティブが働かない現 実 があると考 えられます。「安いから喜 ばれるビジネス」からの転 換が必 要 です。
以 上 を踏まえ、構 造 的 要 因 として考 えられることをまとめれば、次のとおり です。
(1)新世代、女性への対応ができていない
○事務系、「生活支援」等々の取組みが難航
○固定イメージ ⇒ 魅力が感じられない (2)地域ニーズへの対応ができていない
○地域に根差さない浮草
○新分野への挑戦が進まない
(3)旧態依然のビジネスモデル
2.低迷を先取りした原因と解決の方向
以上のように、全国的にもシルバー事業の低迷傾向が現実化しているのですが、 その構造的要因と思われる問題点を克服し、会員を増やし、受注を増やしているセ ンターも全国にはたくさん存在します。一方で、問題を抱えるセンターも数多く、そ の程度の差はそれぞれのセンターによって大変大きいものがあります。そんな中で、 当センターが全国的な低迷傾向をかなり早くから先取りしてしまった原因を推察す ると、一つに、補助金への過度な依存、またそれが基因になったと思われる公共受 注への依存と会員の事務局への依存が考えられ、もう一つには、地域班、職群班と
呼ばれる会員組織が本来期待される機能を果たしておらず、センターの基礎体力 が養われていないこと、が挙げられるように思います。
以 下 では、この2点を中心に課 題 を把 握 し、解 決 の方 向 を探ることにしま す。なお、このほかにも、産業 構 造 や原発 立 地といった地 域性 が基になっ て事 業 の低 迷 を先取 りすることになったこともあると思 われますが、こうした
面での要 因 分析は容 易ではなく、解 決 のための方 向 性 も見出せていない のが現 実 です。
(1)会員参画、事務局の改革
シルバー人材センターは、会 員 により構 成 され、その総意 によって運 営
これまでのように補 助 金 を比較的潤 沢に受けることができたときには、臨
時 職 員 も含めて事 務 局 の陣 容を整えることができました。しかし、このことに よって本 来会 員 が行えることまで職 員 の業 務 にしてしまい、本 来職 員 に期
待されている、より高 度 な業 務 に従事 する余 裕をなくする結 果を生 みました。 こうした状 況 を打破するためには、会 員 にシルバー人材センターの基 本 理 念 「自 主 ・自 立 共 働 ・共 助 」に立ち帰っていただくことが肝要 です。
当 センターでは、お客 様満 足度 の増進を図 る意味もあり、24年 度 から 「なんでも屋」を再 興し、会 員 による受 注 相談 ・就 業手 配と、少 量多 種の受 注 への対 応体 制 を整備 しました。さらに、同 年 度末には「会 員 就 業規約 」 を改正し、改 めて会 員 の就 業 はグループ就 業 が原則である旨を明 確 にし、 各 分 野 におけるグループ化 とリーダー、マネージャーの選 任を促 進しまし た。
また一 方 で、事 務 局 の少 数精 鋭化 を図 るため、職 員 の人 事 考 課 制 度 を
導入 し、情 報 共 有体 制 の整備 などを進めてきました。これらの試 みは、これ
までのところ所期 の目的 を達成 するまでに至っていませんが、意 識 改革と いう非 常に困難 な目 標に向 かって、着実 に進める必 要 があります。
(2)地域班、職群班の活性化
以 上 のように、会 員 の参画意 識 が希 薄であったことは、センター内 の基 本的 な会 員 組織である地 域 班や職群 班の体 制整備 が怠られてきたことと 相互に関連しています。それらのグループ化 が遅れ、本 来期待されている
働きをしないということになると、当 然 ながらセンターの基 礎体 力 がいつにな っても蓄えられないことになってしまいます。
地 域 班は、近隣の会 員 相互のつながりを深め、センターと会 員 の意 思
疎通 を図 るとともに、地 域における就 業 機 会 を開 拓 し、それに対 応するた めの会 員 を確 保 する役割 を期待されています。しかし、これまでの地 域 班
はセンターからの配 布 物を会 員 に届 けることに終始 し、ほとんどそれ以外の
働きをすることができませんでした。このことが、女 性 会 員 の入 会 を妨げ、セ ンター事 業 が地 域に密 着することを阻 害 し、少 子 高 齢 化 社 会 にあってニー ズが高 い、子育て世帯や高 齢 者 世帯を応援 する仕 事 を丹 念に拾うことが できずにきた大 きな原 因 だと思 われます。
当 センターでは、こうした地 域 班のあり方 を抜 本的 に立て直し、近隣の 会 員 間 のコミュニケーションを活発化 し、地 域の就 業 機 会 を掘り起こし、で きる限りそうした仕 事 を地 域内 の会 員 で手 掛 け、もって女 性 の活躍の場を 確 保 する方 向 へ持っていきたいと考 えています。
ています。しかし、これまでの職群 班はリーダーシップを発 揮する会 員 を中
心とした自 主 ・自 立の就 業 体 制 がなかなか組 めず、また、通 年 で一 定規 模
の就 業 を確 保 できない分 野 ではグループ就 業 さえ実 現 できない有様 でし た。このことが、会 員 の資 質・能力 の向 上 が図 れず、お客 様 のご注文をでき るだけお断りしなくてよい体 制整備 が遅れてきた根 本的 な要 因 だと思 われ ます。
当 センターでは、現在、比較的 にグループ化 が進んでいる分 野 での職
群 班の組織 整備 を進め、会 員 の自 発的 な研 鑽や、履 行体 制 の充 実 など に取 り組 んでいます。また、一 方 で、「お断り事案」の極 少 化 を図 るため「な んでも屋」を再 興してグループ化 を進め、お客 様満 足の増進のため受 注 相
談 ・就 業手 配に対 応するグループ(「お客 様担当 」)の強化 に取 り組 んでい
るところです。今 後は、地 域 密 着 型の仕 事 を掘り起こし、「なんでも屋」の地
域 グループ=「(地 域のために)役 立ち隊」を立ち上 げて、よりきめ細かく地 域ニーズに応える体 制 を整備 したいと考 えています。
地域班改革のポイント
<参考資料>
◆「執行部通信 2014.1.24」 (「センターだより」平成26年2月号) ◆「執行部通信 2013.11.22」 (「センターだより」平成25年12月号)
★1.地域班は活動や就業の主体
現状:事業の普及広報、就業開拓など
本来期待される活動が行われていない
★2.地域班役員の体制確立と交流
現状:印刷物の配布など連絡役にとどまり、会員
との対話や相互の情報交換などがない
★3.地域班で女性活躍の場を創出
現状:市内全域を単位とする活動・就業のため、
.....
.....
.....
.....
A地域班
代表 副代表
(少なくとも1名は女性) [資料3]
地域班役員の選出等の考え方
a
地区地区委員 女性委員
(女性会員数に応じ複数名)
.....
地域内の全女性会員
地域班代表者会議
E地域 D地域
C地域 B地域
互選
[地域班・委員会議]
..... .....
互選 互選
[資料4]
地域班改革を進める手立て
(今後、検討するものを含む)
1.地域での会員間の交流促進に向けて
(1)地域拠点の開設――店舗・作業所・保管所、溜まり場、事務所の分室、受注窓口
(2)近隣会員間のコミュニケーションの確保
――地域班役員の選出方法の改革、会員集会、通信等の配布
(3)地域班役員への女性登用の促進
――女性委員の設置、代表・副代表のうち最低1名は女性に
2.地域でのシルバー評価の向上に向けて
(1)地域密着・貢献事業 「(地域のために)役立ち隊」の立上げ
――高齢者宅や留守宅・土地の見守り、家事代行、安全安心
(2)地域活動の推進
――地域イベントへの参加、地域内でのボランティアの実施
(3)組織活動助成制度の活用
――会員入会勧誘、賛助会員・寄付金勧誘、就業開拓
3.地域での就業開拓・就業促進に向けて
(1)就業の地域班への優先配分――非専門的業務の手配(配布、調査、会場設営、屋内雑務など)
(2)地域密着・貢献志向による新分野進出の試み
――区長・民生委員である会員との検討会、区長等へのPR
(3)「得割チケット」の発行(就業単価の特例)
――「(地域のために)役立ち隊」事業浸透のための一手段
4.地域間の経験交流・情報交換に向けて
(1)地域間の経験交流・情報交換の場としての代表者会議
――個人意見や不平不満の披瀝から建設的議論・提案へ (2)地域班新体制の確立に向けた側面支援
――意見交換会、地域班新任役員の研修会などの開催
(3)地域密着型による新分野進出の試みへのテコ入れ