(4)2次避難の決定と指示(解説 4.1)
<解説 4.1>
多くの学校で実施されている避難訓練では,地震発生後に校庭に2次避難(用語解説)の上,人員確認,
保護者への引き渡し,と言う流れを取っています。
校庭への2次避難は,「地震後の火災,余震による建物の倒壊,等による2次被害を回避する」,「休
み時間等には,児童生徒を1カ所に集合させることで迅速に安否確認ができる」,「その後の保護者への
引き渡しをスムーズにする」,といった効果がある一方,「大きな揺れに見舞われ,不安を抱える児童生
徒の移動」,「天候・気候(例:雨天時や冬期)によっては,迅速な2次避難が困難」,といったマイナ
スの要因もあります。
つくば市の学校施設耐震性能は,避難所として機能することに鑑み,地震発生後もその機能を維持す るレベルを有しているため,余震による建物の倒壊による危険性は,ほとんどの場合,大きくありませ
ん。(コラム:「学校施設の耐震性能」参照)
このため,2次避難の必要性は,児童生徒の人員確認の状況,保護者への引き渡しの有無等を考慮し て決定します。また,2次避難場所は,学校施設の耐震性能および直後の安全確認結果,天候等に応じ て決定します。
学校施設の耐震性能をあらかじめ把握し,2次避難が必要な場面や不適当な場面(天候等)について は,訓練等を通じて整理しておきましょう。
<解説 4.2>
地震災害時は,停電を伴うことが多くあり,東日本大震災の際もつくば市内の多くのエリアが停電し ました。そのため,校内放送のみならず,電池で駆動するハンドマイク等を用いた避難指示,避難誘導 の想定および訓練も定期的を行う必要があります。
また,停電時に学校内の各種通信インフラ(NTTの電話回線,校内インターホン等)がどの様にな
るか予め調べておきましょう。(例えば,NTTの電話回線は,停電時も使用できる端末もあります。ま
た,インターホンは電池で駆動している場合もあります。)
<コラム> 学校施設の耐震性能
昭和56年以降に新築された施設については,地震に対して最低限の安全性が確保されています。こ
のため,つくば市では,昭和56年以前に建設された建築物(通称:旧耐震基準の建築物)の耐震化を
促進することを目的に「つくば市耐震改修促進計画」を策定し,大規模地震に備えた地震に強いまちづ くりを進めています。
具体的には,国土交通省の基準である構造耐震指標Is値を目安として,「旧耐震基準の建築物」を対
象とした耐震診断の結果,Is値が0.6を下回る場合には,耐震改修工事を実施してきました。なお,震
度6~7程度の地震に対する耐震診断結果のIs値の評価(建築物の危険性)は以下の通りであり,通常
の建築物は最低限の性能としてIs値が0.6以上とすることを求められています。
Is<0.3 …倒壊または崩壊する危険性が高い 0.3≦Is<0.6 …倒壊または崩壊する危険性がある 0.6≦Is …倒壊または崩壊する危険性が低い
一方,「つくば市耐震改修促進計画」に基づき整備された学校施設は,避難所としての利用に配慮す
ることとした文部科学省の補強要件から,Is値が0.7以上となるようにしています。これにより,地震
時の児童生徒の安全性に加えて,被災直後の避難場所としての機能を確保することが考慮されています。 なお,つくば市の学校施設については,それぞれの建築物を機能ごとに分類(特定建築物等,指定避 難所,災害時の拠点等)し,それぞれの耐震診断結果,耐震改修の実施状況および現在の耐震性能判定
を下記URLで公表しています。地震発生直後に,余震等に備えた避難が必要な施設か否かは,これら
児童生徒への対応 【児童生徒の在校時】
○避難場所および経路の安全確認
○全校避難指示(放送・ハンドマイク)(解説 4.2)
教職員の対応
の診断結果より判断することができます。
http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/004/860/H28gakkou.pdf
<コラム> 非構造部材の安全性
学校等の建物は,建築物を構造物として形作る「構造部材」と建築物のデザインや居住性の向上等を 目的に取り付けられる「非構造部材」から成っています。
「非構造部材」には,天井材,窓ガラス,照明器具,空調設備等があります。これらは,建築物を形 作り,荷重を支える等の役割は無いため,地震時により損傷しても建物の安全性には影響を及ぼしませ ん。
しかしながら,「非構造部材」自体が,凶器となり建物内にいた人に影響を及ぼしたり,災害後に学 校施設が避難所として使用できなかったりした事例が,東日本大震災では見られました。
各学校における,吊り天井等の大規模な非構造部材の有無とその耐震性能については,教育施設課に 確認することで把握することができます。
また,目視点検で把握することができる,天井から吊られたテレビラックやスクリーン等の安全性, ロッカー等の転倒防止の状況は定期的に点検をする必要があります。
<コラム> 家具は地震により緩むことがある
この写真は,ある事業所での棚の様子を東北地方太平洋沖地震が発生する前と後に撮影したものです。 前面の棚が左右に移動するタイプの棚ですが,前面の棚には,地震時における転倒防止として強固な 金具が取り付けられ,壁に密着した後ろの棚につけられたフック状のレールに引っかけられていました。
しかし,長時間の揺れにより,金具が曲げられてしまい,余震の発生時に転倒してしまいました。 学校施設にこのようなタイプの棚はあまり用いられていませんが,通常の本棚等の壁への固定も,い かなる地震に対しても万全という訳ではなく,例えば非常に長時間に及ぶ揺れや大きな揺れに見舞われ た後の余震の際には転倒する恐れがあります。(写真の棚も,地震が発生してすぐに転倒したわけでは
なく,何度も揺すられてから,転倒しました。)
棚の固定状況は,定期的にチェックをするとともに,地震が発生した時は可能な限り近寄らないよう にしましょう。
<長屋氏提供>
(5)2次避難の実施
地震後の転倒と金具の様子 レールで固定された移動書架
児童生徒への対応(解説 5.1) 【児童生徒の在校時】
<コラム>
避難訓練でよく用いられる””””オカシモ”は,消防庁による教育安全指導のガイドラインにも紹介され ているものですが,ガイドラインで想定しているのは,地下街や映画館等の比較的狭く,出入り口が限 られている場所で,火災が発生した場合の避難行動です。
地震からの2次避難では,例えば避難経路上に割れた窓ガラス等がある場合,お互いに声に出してそ
の危険を伝える必要があり,「しゃべらない」は適切でない部分があります。
災害等を想定した基本行動を,標語として児童生徒に認識させることも重要ですが,その意味を理解 しないまま,児童生徒が絶対的な行動規範と捉えてしまうと,災害時に重要なことを想起しないばかり か,逆に危険な行動となってしまう可能性があるため注意が必要です。
<コラム>
廊下等に設置されている防火扉(防火シャッターを含む)は,センサーが取り付けられており,自動
で閉まります。(一部,手動のものもあります)
東日本大震災が発生した際,ある小学校では,地震の揺れによりセンサーが誤作動して防火扉が自動 で閉じてしまったケースがありました。
防火扉の位置や種類を確認し,地震後の避難経路として想定しているルートが塞がれないように留意 が必要です。
<コラム>
東北地方太平洋沖地震が発生した際,つくば市の外気温は約10度でした。
このため,ある学校では,校庭への2次避難にあたって,防寒着の着用を校内放送で呼びかけました。 しかし,地震発生直後の混乱した中,校内放送による伝達が聞き取れなかったり,校庭での体育の授 業からそのまま2次避難となったり,ということから,寒さをこらえ,校庭での2次避難や保護者への 引き渡しを余儀なくされたケースがありました。
校庭への2次避難にあたっては,校舎や避難ルートの安全性とともに,数時間程度は校庭に留まるこ とを想定した配慮が必要です。
(6)在校児童生徒の安否確認
<解説 6.1>
児童生徒の安否確認は,情報の一元的な管理や連絡の輻輳を避ける観点から,児童生徒の在校時,在 校していない場合にかかわらず,クラス毎に担任が一元的に行うことを基本とします。
児童生徒への対応 【児童生徒の在校時】
○人員確認(在籍数,欠席数,登校数,避難数)→報告・集計 【登下校時】
○既帰宅児童生徒の確認 教職員の対応
○各クラス単位で児童生徒の安否確認(解説 6.1) 家庭・PTA・地域の対応
【登下校時】
(7)児童生徒の安全確保
特に記載事項無し。
(8)被害状況等の把握
特に記載事項無し。 児童生徒への対応
○集団行動の維持
○負傷者等への対応(救急車等,応急機関への連絡)
○身体の保護,不安への対処(特別な配慮を要する児童生徒への対応) 教職員の対応
○救護施設の対応
教職員の対応
○施設・設備,通学路等の点検
※児童生徒の避難継続や避難所開設の判断のため,外観上の安全確認 ○避難者等の状況
家庭・PTA・地域の対応
竜巻等の積乱雲による突風災害を想定した対応の例と解説
●はじめに
積乱雲がもたらす竜巻や雷等の現象が接近する際には,地震とは異なり何らかの事前情報が入手可能 です。そのため,被害の軽減には事前準備が極めて重要です。避難訓練を行う際には,事前準備からし っかり行って下さい。
竜巻接近時に至るまでの事前準備は,いくつかの段階に分けて考えることが可能です。日々気を付け
る事柄(平常時),積乱雲の発生・発達が危惧される状況,竜巻注意情報の発令時(注意状態),積乱雲
の接近時(警戒状態),竜巻の接近時(退避),と段階を追って情報を確認し,行動することを心掛けて
ください。
竜巻発生時の避難場所は,竜巻に気が付いた状況で大きく異なります。あらかじめ決められた避難場 所まで待避する時間的余裕があることは,稀であることを想定してください。
以下では,情報の入手が全ての段階で可能であった場合における竜巻襲来への対応例を示します。こ の例に従うだけでなく,実際の学校の状況に合わせて様々なシナリオを検討しましょう。
(1)平常時
竜巻等の突風災害が発生する際には,多くの場合は前日から,気象庁等から注意喚起がなされていま す。ただし,それは県や地方等の比較的広い範囲に対しての情報となっています。日々,気象情報を入 手して,毎日の行動や気象に対する注意の参考にする習慣をつけて下さい。
<解説 1.1>
積乱雲が発達しやすい気象状況や注意の情報は,各種情報サービスで情報発信されています。
各学校で,情報監視係(比較的職員室での執務が多い,教頭や教務主任及び防災担当等。またPTA
関係者も併せて監視する体制が望ましい)を置くとともに,係員は情報サービスの登録を行い,「竜巻 注意情報」等の防災気象情報を受信,周辺の気象状況に注意を払うようにします。
<コラム> 防災情報サービス
茨城県およびつくば市では防災情報について,下記の情報サービスを提供しています。(地震も同様)
教職員の対応
○一日の天気の状況等を天気予報等で把握
○行政による防災情報サービスからの情報を受信(解説 1.1) 家庭・PTA・地域の対応
○一日の天気の状況等を天気予報等で把握
○行政による防災情報サービスからの情報を受信(解説 1.1)
※気象情報で雷や突風の発生について注意喚起がなされている場合や,「竜巻注意情報」が発令され ている場合は注意状態に移行
茨城県防災情報メール
http://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/bousaikiki/bousai/bosai/mail/bosai.html
つくば市災害・防災メールサービス
「竜巻注意情報」の例(つくば市災害・防災メール)
(2)注意状態
各種気象情報で雷や突風の発生について注意喚起がなされている場合や,防災情報メール等で「竜巻 注意情報」を受信した場合は,気象庁ホームページの高解像度降水ナウキャスト情報等を確認し,周囲 に積乱雲らしい雨雲が存在しているか,時々確認をして下さい。強い雨域が存在した場合,雨雲の詳細 な履歴を確認し,予想される動きを監視します。
<解説 2.1>
つくば市(学校近傍)が竜巻発生確度1もしくは雷活動度2の範囲(高解像度降水ナウキャスト情報
「竜巻・雷」情報のメッシュ)となることが予想される場合は,警戒状態に移行します。
なお,「竜巻注意情報」は,“○○時まで有効”と言う形で発令され,何度も発令が延長することがあ ります。特に,初夏~秋口にかけては,毎日の様に数時間にわたって発令されることも珍しくありませ ん。このため,この段階では,まずは情報収集の態勢をとります。
「竜巻注意情報」が解除された場合は平常時に戻りますが,前述の通り「竜巻注意情報」は“○○時まで 有効”と言う形で発令されるため,発令が延長されることなく,有効時刻を経過した段階で解除となり ます。
ナウキャスト情報を何時でも閲覧できるように環境を整えるとともに,日頃よりこれらの情報に注意 して,その見方等を習熟しておきます
<コラム> 積乱雲の動きを見る
気象庁高解像度降水ナウキャスト等,気象レーダー等を用いた雨の分布では,雷や突風をもたらす積 教職員の対応
○より詳細な雲の動き等を気象庁ホームページ等の情報で監視(解説2.1)
家庭・PTA・地域の対応
○より詳細な雲の動き等を気象庁ホームページ等の情報で監視(解説2.1)