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北村 裕先生との四半世紀 外国語学部(紀要)|外国語学部の刊行物|関西大学 外国語学部

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Academic year: 2017

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北村 裕先生との四半世紀

外国語学部長 外国語教育学研究科長

竹 内   理

 我々が敬愛する北村 裕先生が、65 歳の定年を迎え、本学をご退職になられる。言葉では言 い表せない、強い寂しさを感じずにはいられない。

 北村先生とは、お互いの前任校時代から数えて、もう 25 年を越えるおつきあいとなる。私が まだ 20 代後半、先生が 40 代前半の時であった。学会でお会いしたのが初めてであったが、そ の素晴らしい英語力には感服するしかない、との印象を覚えた。その後、先生が長期の留学経 験を一切持たず、日本でのみ英語を学んできたという話を聞き、ふたたび驚いた次第である。 また、ご研究の面でも、パソコンという言葉がまだ一般化していない時代に UNIX のワークス テーションを駆使して、まさに外国語教育工学という言葉にふさわしい業績を打ち立てられて いた。その後も、ベルギーの著名な心理学者 G. d’Ydewalle 先生と共著で眼球運動に関する認 知心理学的研究を行われたり、米国 CNN 社と契約して英語教育教材を開発されたりと、常に フロントランナーとして、面目躍如たる活躍を続けられていた。これらに加えて、恩師の大西 昭男先生(関西大学元学長・理事長)の薫陶を十分に受け、幅広い分野で深い教養をお持ちで もあった(更にフルートの名手でもある)。このように、私からすれば、北村先生は真に仰ぎ見 るような存在であった。その先生と、国際研究大会の実行委員会メンバーとして、またその後 は、(先生が愛してやまない)関西大学の同僚としてご一緒させていただき、間近に接する機会 が持てたことは、後の私の研究者・教育者としての人生に大きな影響を与えたことは言うまで もない。

 先生は時に、我々凡庸のものが思いもつかないような発想を示されることがある。それを実 行に移すのには、たしかに周りのものが大変苦労したが、いざ実現してしまうと、10 年や 20 年は色あせないものとして、燦然と輝いていく。そのひとつが、大学院外国語教育学研究科の 構想であろう。当時、学問分野として十分には確立されていなかった外国語教育を、実証と実 践の融和の観点から体系化し、外国語教育「学」として打ち立てるという私の拙い考えを大い に支持され、「そのためには学問を発展・継承させる組織を作ることからはじめよ」と、ことも なげに言われた。むしろ学問的な体系化の方が先だろうと思っていた私は、そういう発想もあ るのかと考え込んだ。その後、この構想を実現するために、永きにわたって皆が格闘すること

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外国語学部紀要 第 10 号(2014 年 3 月)

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となるのだが、2002 年に外国語教育学研究科として結実した時に、先生は涙を流して心から喜 ばれた。この頃、すでに病を得られ、心身ともにかなり苦しい状況であられたかと思うが、そ れでも小躍りするように喜ばれたお姿を見たとき、私の胸に強くこみ上げてくるものがあった。  先生からは、人生において大切なものも実にたくさん学ばせて頂いた。これらの多くを、先 生は自らの行動で示された。その時点では、行動の意味がわからず困惑することも多々あった が、後になり意味が分かったときには、その深慮に驚くこととなった。また、時に言葉で示さ れることもあったが、これらの至言は、先生の行動とともに、今も私の指針であり、その輝き を失わない。

 北村先生のこれまでの人生は、長く苦しい戦いの連続だったと思う。様々な難局を乗り越え、 3 人分ほどの人生を過ごされてきたように見える(決して大袈裟ではないだろう)。ここから先 は、どうかお体をいたわり、楽しいこと、美しいことだけを考えて、のんびりと過ごして頂き たい。これまでの人生に、真剣に向きあって格闘してこられた方にのみ、休息の意味はわかる ものだ。そう考えると、先生は休息を堪能するに値する方だ、と私は思う。

 北村先生、これからの人生を、憂いなく、可能な限りたくさん楽しんでください。長い間、 ありがとうございました。

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