15Seika1-2
生化学Ⅰ 第 2 回小テスト
2015.12.10 問題1.
i. 酢酸(CH3COOH)が酢酸イオン(CH3COO
)にイオン化する様子を示した以下の式: CH3COOH + H2O ⇄ CH3COO + H3O+
を参考に,酢酸についての Henderson-Hasselbalch の式を正しく導出しなさい。 ただし,[H3O
+]=[H+]である。
ii. 実験用に pH=4.56 の緩衝液が必要になったので,酢酸と酢酸ナトリウムを用いて緩衝 液を作成する。0.5 mol/l の酢酸緩衝液([CH3COOH]+[CH3COO
]=0.5)を pH=4.56 に調 整するためには酢酸と酢酸ナトリウムをそれぞれ何 mol/l に調節すればよいか,i.の Henderson-Hasselbalch の式を用いて計算しなさい。ただし,計算にあたっては下記の3 点に注意し,必要ならば 10(-0.2)=0.63であることを利用すること。
・酢酸の pKa(=log10Ka)の値は 4.76 である。
・加えられた酢酸ナトリウム分子はすべてイオン化している。
・加えられた酢酸分子の中でイオン化した分子の濃度は加えた酢酸ナトリウムの濃度よ りも十分小さい,無視できるほどの値である。
問題2.右にある図は「デオキシシチジン5 三リン酸」と呼ばれるヌクレオチドの構造 式である。この図,並びにヌクレオチドに関す
る以下の質問に答えなさい。
i. 右のヌクレオチドを材料に生物で合成される 核酸(高分子)は DNA ですか,RNA ですか?そ のように考える理由とともに答えなさい。 ii. 「このヌクレオチドに結合している塩基の
① は ② と呼ばれる親化合物
の誘導体なので「 ② 塩基」の仲間である。一方,DNA の中でこの塩基とワト ソン・クリック塩基対を形成する ③ (塩基の名前)は,別の化合物 ④ の 誘導体である。」以上の文章の空欄に適当な語句を入れて文章を完成させなさい。 iii. このヌクレオチドに結合しているリン酸基は,ATPなどが「体内のエネルギー通貨」
として働くことができるための,ある重要な「分子結合」を持つ。この分子結合の名前 を答え,解答欄の図中にその結合の場所を矢印で示しなさい。
iv. ワトソンとクリックが1953年に発表した「DNA の二重らせん構造」の特徴を5個 挙げなさい。
v.生物の中で,DNA が「遺伝情報の担い手」であることを直接証明した「Griffith の実験」 と「Avery•MacLeod•McCarty」の実験について,簡単に説明しなさい。
<裏に続く>
N
O
H OH
H H
H H
O P O
O- O
P O
O- O
-O P
O- O
N NH2
O
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問題3.下図①∼⑭は 20 種類ある「天然アミノ酸」の一部(14 種類)を表す。
これらの天然アミノ酸に関連する以下の質問に答えなさい。
i. アミノ酸①∼⑭の中で「芳香族アミノ酸」のグループに属するものを番号で答え,その アミノ酸の「名前」「3 文字略語表記」「1 文字略語表記」を答えなさい。
ii.「この天然アミノ酸は側鎖の pKa が 6.06 であるので,酵素などの触媒部位によく見られ る」。以上の説明に合致するアミノ酸の構造を①∼⑭より選び,そのアミノ酸の名前, 及び 3 文字・1 文字略語表記を答えなさい。
iii.アミノ酸⑤は他の天然アミノ酸には無い,あるユニークな「能力」を持つ。アミノ酸⑤ の名前,及び 3 文字・1 文字略語表記を答え,そのユニークな能力とはどのようなもの か,答えなさい。
iv.アミノ酸①∼⑭の中で 1 文字略語表記が「R」であるものを選び,その番号と名前を答 えなさい。
v.小問 i.~iv.にて答えたアミノ酸以外のアミノ酸の構造を1つ選び,その番号と名前,3文 字・1文字略語表記,そしてそのアミノ酸の特徴を一つ,挙げなさい。なお,この問題 では小問 i~iv の答えに該当するアミノ酸を選んで回答した場合,評価されませんので注 意して下さい。
③ ④
⑤ ⑥ ⑦
⑧ ⑨
① ②
⑪
⑫ ⑬ ⑭
⑩
解答用紙 学籍番号 氏名
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問題1.25点 i.与えられた式より
K= !
![!!!!"!!]
!!!!""#[!!!]の等式が成立する。[H2O]が他の濃
度と比べて大きく,一定と見なせることを利用して Ka=K[H2O]とおくと」上の式は
Ka= !
![!!!!"!!]
[!!!!""#] となる。両辺の常用対数をとると,
log10Ka=log10[H+] + log10[!!!!"!!]
[!!!!""#],
移項してlog10[H
+] = log
10Ka + log10
[!!!!"!!] [!!!!""#]。」
log10[H
+] = pH, log
10Ka=pKaという表記を利用して pH = pKa + log10[!!!!"!!]
[!!!!""#] が Henderson・Hasselbalch の 式。」(15 点,部分点はカギ括弧の箇所にて)
ii.Henderson・Hasselbalch の式に pH=4.56,pKa=4.76 の値を代入すると,
4.56 = 4.76 + log10[!!!!"!!]
[!!!!""#]となる。」
これより log10
[!!!!"!!]
[!!!!""!]=0.2,式を変換し
[!!!!"!!] [!!!!""#]=10
(-0.2)=0.63とおける。つまり,緩衝液中の
[CH3COO̶]= 0.63 x [CH3COOH]の関係式が成立。」 さらに,問題文中にもあるが 0.5 mol/l の酢酸緩衝液 では [CH3COOH]+[CH3COO
]=0.5 が成立するの で,」
この 3 つの連立方程式を解き,各濃度を求める。 答え:
[CH3COOH]=0.307 mol/l, 」
[CH3COO]=0.193mol/l」(10 点,部分点はカギ括弧の 箇所ごとに。有効数字の違いによる正解を含む)
問題2.29点
i.リボースの 2 位を見ると,-H が 2 つ結合しているのでこのヌクレオチドは「デオキシヌ クレオチド」の仲間。従って合成される高分子は DNA である。(4 点,下線分ポイント) ii.① シトシン(4 点) ② ピリミジン(4 点)
③ グアニン(4 点) ④ プリン(4 点)
iii. 結合の名前 図→
リン酸無水(物) 結合
(結合名,図中矢印各 2 点)
iv. 2本のポリヌクレオチド鎖が互い違い(逆平行)の配置で右巻きらせん構造を形成している。塩基(疎 水性)はらせんの内側に,糖とリン酸の主鎖はらせんの外側に配置される。らせんの形の関係上,主溝と副 溝と呼ばれる2種類の溝が分子表面に現れる。2本のポリヌクレオチド鎖は水素結合からなる塩基対により 安定化される。アデニンはチミンと2本の水素結合,グアニンはシトシンと3本の水素結合を形成する。(下 線部中 5 箇所以上で正解;5 点満点)
<裏に続く>
N
O
H OH
H H
H H
O P O
O- O P O
O- O -O P
O- O
N NH2
O
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問題2.(続)5点
v. 莢膜を持ち,ネズミに有害な S 型の肺炎双球菌と莢膜をもたず,感染力のない R 型の肺炎双球菌を様々 な組み合わせと処理でマウスに投与した結果を調べた。Griffith の実験の重要なポイントは熱処理し,無害化 した S 型菌を生きた無害の R 型菌と混合して投与した場合,マウスが死に,生きた S 型菌が検出されたこと
(無害化した S から無害の R に「有害化因子」が移ったことの照明)であり,Avery・MacLeod・McCarty 箱 の結果を受け,S から精製した DNA を無害の R に与えると同様にマウスに有害で生きた S が誕生すること
(形質転換)を確かめたこと,である。(5 点)
問題3.<注意:小問 i.ではすべての解答欄を使用するとは限りません!>42点 i.番号
②
名前
チロシン,L-Tyrosine
3文字
Tyr
1文字 Y
⑨ トリプトファン,L-Tryptophan Trp W
⑬ フェニルアラニン,L-Phenylalanine Phe F
番号 1 点 名前 2 点 3文字 2 点 1文字 1 点
ii.番号
⑧ (1点)
名前
ヒスチジン,L-Histidine(2 点)
3文字
His(2 点)
1文字 H(1点)
iii.名前 システイン,L-Cysteine(2 点) 3文字 Cys(2 点) 1文字 C(1点) 能力
システインの「チオール基」は酸化反応を経て 2 つ結合し,「ジスルフィド結合」と呼ばれる共有結合を形 成することができる。(2 点)
iv.番号
⑭ (1点)
名前
アルギニン,L-Arginine (2点)
v.番号 名前 3文字 1文字
特徴 アミノ酸構造・名称対応一覧:
①=Ala,③=Val, ④=Pro,⑥=Ile, ⑦=Glu,⑩=Gly,⑪=Ser,⑫=Asn で,性質は講義で説明したもの を挙げると正解。番号,1 文字略記は各 1 点,名称,3 文字略記,特徴は各 2 点で計 8 点。
<備考>問題 3 i:アミノ酸の構造式と名称の食い違いが生じた場合;特典の多い方で評価 してます。(例:②のアミノ酸を「フェニルアラニン」「Phe」「F」とした人は,構造が間違 ってるが名称・略称は正しいと判断して採点してます)