資源価格・金融資本市場
を通じた影響
初めに
交易条件と所得流出
資源の輸入依存度の高さが交易条件悪化の第一の
背景
日本の交易条件悪化のもう一つの背景に IC やパ
ソコンの輸出シェアの高さ
金融資本市場の急激な変動の影響
金融機関の自己資本増強等を通じた金融システム
の安定性確保が課題
今の世界経済の動きの中で、日本への影響という
点では、資源価格の高騰や急激な為替レートの変 動、あるいは海外発の金融危機の伝播などは常に 警戒が必要な現象だ。しかし、これらは必ずしも 我が国が対外開放を進めたがゆえに生じた問題と は限らない。その意味では、更なる「開国」を進 めるか否かによらず対応が必要であるが、実態の 把握と適切な対応を準備することで、グローバル 化への懸念の払拭に資するものといえよう。
新興国等の需要増加や投資・投機資金の投機を背景 に資源価格がさらに上昇するリスクは常に考えて おく必要がある。資源価格の高騰は、世界経済に とっても景気後退リスクを高めるが、特に日本で は、交易条件の悪化、所得の海外流出を通じたマ イナスの影響が強く意識されている。資源価格の 上昇が日本の交易条件を大きく悪化させるのはな ぜか、それは景気にどう影響するかを検討する。
2003 年~2009年の間
は資源価格は長期にわた る上昇と最後の下落が見 られたが、全体としては 上昇傾向だった。→資源 輸出国では交易条件が改 善、輸入国では悪化
→ 典型的な資源輸出国の
カナダは交易条件を改善 しているが、日本や韓国 の交易条件は大きく悪化 している。
条件が大きく悪化した国に
はどんな特徴がある交易か 調べる。→輸出構成で機械
類が多く、注目は価格下落
が激しい電気機械、パソコ ン関連
日本では電気機械 ,IC, 一般
機械の輸出が多かった
日本、北欧二カ国に共通す
る特徴は2000年時点で I
C や携帯電話等の電気機械の
シェアが高かったこと。
急激な円高は景気にマイナスの影響を及ぼす。そ
うした円高の景気下押し効果は、一般に、輸出依 存度が高い国ほど大きくなることが知られている。 一層の「開国」を推し進めるなかで、為替レート の急激な変動は引き続き注意すべきリスクである。 また、リーマンショック時に顕現化した、海外発 の金融危機に対して国内金融システムをいかに守
るかという点も課題である。こうした問題意識か ら、ここでは円高の動きが雇用の見通しに与える 影響と、金融面におけるリスクへの備えについて 検討していく。
日本の金融機関における金 融リスクへの対応力の状 況を把握しよう。
結果…日本は2009年時 点では普通株等 Tier 比
率の最終的な所要値
(7 % ) に達していないが 、2010年時では資本 増強が進められたことか ら所要値を大きく上回っ た。 ( アメリカ、欧州も
同様 )